二次創作小説(新・総合)

Re: ざくざくアクターズZ! ( No.105 )
日時: 2017/11/11 13:10
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

『ニワカマッスル』と『ハピコ』はハグレである。

この二人はハグレ王国建国前からの長い付き合いと言われているが、彼らの始まりは...?

....


野獣先輩
「はぁ...世界流し期間終了だってさ」

Sonic.exe
「何?どっちのだ?」

野獣先輩
「たくっちスノーの方さ」

Sonic.exe
「マジか...チッ。」

ニワカマッスル
「お、お前らあいつの護衛の...一緒に昼飯いいか?」

Sonic.exe
「ああ、構わない」

exeと田所は隣に座ってくるハピコとニワカマッスルを気にせず談義を続ける

Sonic.exe
「思えば、ここに来てからかなり建ってたんだな...」

野獣先輩
「そうっすね..気が付けばあっという間で...」

ニワカマッスル
「何の話だ?」

Sonic.exe
「こちらの仕事の話だ」

ハピコ
「そういやさ、確かあんたらってよその世界に好きに行けるんだっけ」

野獣先輩
「ん、そだな」

ニワカマッスル
「俺達からすれば羨ましいんだよなぁ...俺の住んでた世界ってどうなってんだか。」

野獣先輩
「なんでハグレって元の世界に帰りたがるんすかね?ロクな世界でもないのに」

Sonic.exe
「俺たちの世界が特殊過ぎるだけだ」

野獣先輩
「で...たくっちスノーはちょっとしたトラブルで黒影から禁止令出されてたんすけど、それが今日解放されて...」

たくっちスノー
「田所!お前の世界ニコニコワールド行ってくるわ!」


たくっちスノーは渦を作りその中へと入っていく....

野獣先輩
「この調子っすよ」

Sonic.exe
「また揉め事を起こさなければ良いが...」

野獣先輩
「まぁニコニコワールドなら遊ぶだけだし大丈夫だと思うが...」

ニワカマッスル
「お前の世界ってどんな所なんだ?」

野獣先輩
「政治、スポーツ、料理、エンターテインメント、パチンコ、動物、その他諸々!色んな情報が飛んでくる文字通りの情報社会、たくっちスノーの監理しているリアルワールドでは『ニコニコ動画』って名前だったかな」

Sonic.exe
「あれには『歌ってみた』や『作ってみた』『ゲーム実況』『アニメ観賞』と、あいつが好むジャンルもあるからな、夜まで帰ってこないだろう。」

野獣先輩
「デーリッチやヅッチーに会わなくて良かったっすね、あの年頃にアレは悪影響っすよ」

ハピコ
「ほーん...で、二人はあいつの護衛なんだよな」

Sonic.exe
「ああ、力を見込まれてスカウトされた。」

野獣先輩
「まぁあいつ、守る必要ないくらい強いんすけど、念には念を入れてらしいっす」

Sonic.exe
「まぁ、気が合う相棒が欲しかったから別にいいけどさ」

野獣先輩
「俺も。」

ニワカマッスル
「だけど会ったばかりの頃なんて、考えがバラバラだからよく揉めたんじゃないのか?」

Sonic.exe
「よく分かるな、当時はよく言い争った物だ、夕飯の献立みたいなくだらん事でもな」

ニワカマッスル
「俺とハピコだって最初はそうだったからな、何となくわかるんだ。」

ハピコ
「まぁそこら辺はハグレだししゃーないけどさ」

Sonic.exe
「なるほどな...」

野獣先輩
「exe、先に失礼するぞ、ニコニコワールドであいつが何するかわかんねぇし」

Sonic.exe
「ああ、炎上されないように気を付けろよ」

田所も渦を作り何処かへと消えていく。


Sonic.exe
「俺もバイトがあるから失礼する、いつかお前達の話も聞かせてくれ」

ニワカマッスル
「おお、頑張れよ!」

exeは窓を開けると音速で飛んでいった。

....

ニワカマッスル
「...出会った頃ねぇ、ハピコと出会って何年ぐらい経つんだろうな」

ハピコ
「さぁ?覚えてないね、私は過去より未来見ているからさ」

ニワカマッスル
「お前が見てるのは未来じゃなくてカモだろ...」


....そう、ずっと昔。


まだ、ハグレ王国という国が存在してなかった頃の事。

Re: ざくざくアクターズZ! ( No.106 )
日時: 2017/11/11 21:27
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

いつ、誰に召喚されたのか分からない。

何も覚えてなかった、元の世界も、家族も、自分自身の名前も。

何となく腕っぷしはあると筋肉を見て感じたから、俺は鉱山や炭坑などで働くことにした

鉱山の奴等は突然マッチョな奴が現れた事として俺を『ニワカマッスル』と呼んでいた。

ニワカマッスル
「あ~...掘っても掘っても金が足りねぇ」

当時、ハグレは迫害的な意味を持っていた。

そんな時代に、俺が必要とする程の賃金など貰えるはずもなく、一日三食の食事がやっとだった。

だが贅沢など言えるはずがなかった、文句など言える立場では無いから。


俺は...ハグレだから。

....

ニワカマッスル
「はァ..ったく、先月より減ってるじゃねぇか、こんなんじゃマトモな飯を食えやしないぜ。」

ある日の事だ、近道をするために裏道を通ってたときの事。


「...おい、そこの。」

ニワカマッスル
「ん?」

誰かが俺に話しかけてきた。

そいつは、俺みたいなボロっちい服を着てた...そして、本来腕があるべき所は、鳥の翼のようなものがあった。

「あんた、ハグレだろ?私と同じで」

ニワカマッスル
「ああ、それがどうした?」

「それも、相当金に困ってるみたいでさ」

ニワカマッスル
「....借金はしないからな、使い道ないし」

「あっそ、ならさっさとどっか行け」

ニワカマッスル
「はいはい、そうさせてもらいますよ」

俺はこの時、変な奴だなとしか思ってなかった、二度と会うこともないだろうと思ってたが....


そのまたある日、あいつの事を忘れた頃、またあの裏道を通ると....


「おい、そこの....って、お前この間の奴じゃん」

ニワカマッスル
「...お前、あの時の、なんでまた。」

「そりゃこっちの台詞だよ」

あいつは居た、高台で待ち伏せてたかのように

「なんでお前金ないのにここ通るのさ」

ニワカマッスル
「しょうがないだろ、ハグレは立場弱いんだからマトモに給料貰えやしない、お前こそなんでこんなところにいるんだよ」

「私はあんたと違って力も無いんだ、ここを通る金持ちを奇襲して食い繋いでるんだよ」

ニワカマッスル
「要するにスリ、いや強盗か...」

「仕方ないだろ、そうでもしないと生きていけないんだ」

ニワカマッスル
「そういう危険なことは程々にしとけよ...」

「貧乏牛野郎に心配されるほど私は落ちぶれちゃいないさ、昨日だって4000Gくらいぶんどってやったんだから」

ニワカマッスル
「4000G!?俺の月収の倍以上だ...」

「そうそう、結構儲かるんだよ、分かったらさっさとあっち行きな」

ニワカマッスル
「....はいはい。」


俺は奴に言われたように、裏道を後にする

...正直、『あの時』は嫌味な奴だと思ったものだ。

Re: ざくざくアクターズZ! ( No.107 )
日時: 2017/11/11 22:14
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

....鉱山と市場はかなり離れている。

仕事場に戻るには急いでいるときは裏道を使わざるを得ない。

だからあいつと鉢合わせる事は度々あった。

「お前さ...いい加減ここ通るのやめてくれない?」

ニワカマッスル
「しょうがないだろ近道なんだから...」

「ったく、カモ逃したらどうすんのさ、責任取れんの?」

ニワカマッスル
「....ちなみに、そいつでいくらほど稼いだんだ?」

「へぇ聞きたい?今月はもう14万はね」

ニワカマッスル
「じゅ、14万だと!?そんだけあれば...あれば...」

多額の金を聞いて驚いたが、俺はある事に気付く。

俺って、特に欲しい物ないじゃんと。

ニワカマッスル
「....14万あっても、何に使えばいいか分からねぇ、食うのがやっとで贅沢出来ないもんだから特に欲しいもんがねぇ」

「貧乏もここまで行くと同情するね」

ニワカマッスル
「るっせぇ!じゃあお前は14万で何するんだよ!」

「....そいつは後々考えるとして」

ニワカマッスル
「お前だって使い道ないじゃないか!」

「うるさいこの貧乏牛!」

ニワカマッスル
「るっせーこの...えっと...お前何の種族?」

「ハーピーだよハーピー!鳥人間!そんぐらい分かるだろが」

ニワカマッスル
「ああそう、ハーピーね、覚えとく、じゃあな!」

「二度と来るなー!!」

.....もちろん、その後も俺はその裏道を通った、ていうか通らざるを得ないからな。

裏道を通るたびに、あいつと出会い、軽い会話をした、娯楽を知らない俺の唯一の楽しみでもあった

「...はぁ、もう言っても聞かないみたいだな」

ニワカマッスル
「まぁ、ここ通らないと間に合わないからな」

「ここでこうやって私と話してるだけでも時間は去っていくのに?」

ニワカマッスル
「人間に石ころ投げつけられるよりかはずっとマシさ」

「...そういやさ、あんた...名前ってある?」

ニワカマッスル
「名前?俺は覚えてない、鉱山の奴等からは『ニワカマッスル』って呼ばれてるけどな」

「やっぱか...私も覚えてない、私が前にどんな生活を送り、どんな名前を付けられていたのか、だから今の私は名無しのハーピーさ。」

ニワカマッスル
「お前も名前がないのか...俺が何か付けてやろうか?」

「いや、お前センスなさそうだしいいわ」

ニワカマッスル
「酷くない!?もう俺行くからな!」

「お、拗ねた?拗ねちゃいました?」

ニワカマッスル
「そうだよ!!...ったくよ、何時までもここに居ると危険だぞ?最近謎の強襲事件だとかでうちの鉱山にまで噂飛んできてるからな、捕まらんうちにどっか行けよ?」

俺がそう言って走り去るとき...あいつは、何も言わなかった。


そしてその次の日、裏道を通ってもあいつの姿はなかった。

Re: ざくざくアクターズZ! ( No.108 )
日時: 2017/11/11 22:46
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

俺の忠告を聞き入れ何処か遠くへと行っちまったんだろう、最初はそう考えていた。

だからあいつの事は忘れ、仕事に専念しようと考えてた時...

「よ!元気でやってるか?」

ニワカマッスル
「なぬっ!?」

...居た、何故か居た、鉱山に明らかに似合わない風貌のあいつが。

ニワカマッスル
「お前何しに来たんだよ...」

「別に感謝の言葉を伝えに来たわけじゃないさ、他に金稼ぐ方法がないか調査しているだけ」

ニワカマッスル
「だからってその腕で鉱山はないだろ」

「お?翼とはいえ一応物持てたりすんだぞオイ?」


『おいそこの二人組!ベラベラ喋ってる暇あったら働けこのハグレが!』

ニワカマッスル
「ほら見ろ怒られた、これで賃金減ったらお前のせいだからな」

「はいはい...そんときは稼いだお金分けてやるから倍にして返せよ?」

ニワカマッスル
「それただの借金!!」

....そして当たり前のようにあいつは鉱山で働き始めた。

あいつはハーピーとしての腕...というか翼を活かして荷物運搬などをやっていた。

ニワカマッスル
「やれば出来るじゃねぇか」

「...そうでもないよ、私はあんたと違って筋肉もないから鉱山掘れないし」

そして、1ヶ月....
俺はあいつと賃金を確認していた

ニワカマッスル
「うっわ、やっぱり先月より減ってる!ていうかどんどん減ってやがる...」

「...あんだけ頑張って、これっぽっちなの?」

ニワカマッスル
「そうだよ...でもしょうがないだろ、俺達はハグレなんだから。」

「....貸してやってもいいけど?」

ニワカマッスル
「スリで稼いだ金なんて使う気になれるか、ていうか倍にして返せとか言ってただろ前に」

「脳筋のクセに記憶力あるな...なら特価交換ならどうだい?」

ニワカマッスル
「特価交換だぁ?」

「ああ、お前が私に望むことがあれば出来る限りなんでもやってやる、ただしお前も私の望みを聞く、どうだい?」

ニワカマッスル
「まぁ~それはいいかな、その時には頼むわ、その時には」

「交渉成立っと...で、どうする?この調子だと来月また給料減るんじゃないの?」

ニワカマッスル
「そこは多分、頑張りが足りないんだろう」

「よくやるよ....」

俺とあいつは鉱山で働き続けた。

だが、あいつの思った通り俺達の賃金はどんどん減っていった。

そして、取れる鉱石の量も減っていき...


ハグレの俺達は真っ先に解雇された。

Re: ざくざくアクターズZ! ( No.109 )
日時: 2017/11/11 23:22
名前: ロストメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)

俺たちにはアテがなかった。

家族もいない、頼れる人もいない。

邪魔者ハグレに恵んでくれる者など、誰もいなかった。

ニワカマッスル
「はぁ...これからどうすっかなぁ...」

「私はまたスリでもしていくけどさ、お前も協力してくれるってんなら...」

ニワカマッスル
「バカいえ!暴力を振るうために筋肉を使うなんて間違ってるだろ!」

「なんだそりゃ...あ、そうだ、特価交換。」

ニワカマッスル
「え、今更!?ちょ、ちょっと待て今は勘弁!出せるものが今筋肉しかな

「心配しなくていいさ、金が掛かるものじゃないからさ。」

ニワカマッスル
「ええ?」

「名前が欲しいんだ、自分の名前。」

ニワカマッスル
「前にセンスなさそうだしいいわとか言ってなかったか?」

「鉱山のおっさんどもに『ニワカバード』って呼ばれるよりはいいかと思って、それにお前、ここから先ニワカマッスルを名乗っていくんだろ?その相方でニワカバードって呼ばれるのもシャクだし」

ニワカマッスル
「うーんそうかぁ...名前ねぇ...ハーピーの女だし『ハピコ』でいいんじゃないか?」

「いや、なんだよそれそのまんまじゃん!もう少し捻ろよお前!」

ニワカマッスル
「ええ?俺は良いと思うんだけどなハピコ、なぁハピコ?」

「うっせぇ!」

ニワカマッスル
「...で、特価交換だから俺がハピコに欲しい物言えばいいんだな?」

「ハピコで通していくつもりなんだな、もういいよハピコで。」

ニワカマッスル
「....んー、そうだな、悪い、後回しでいいか?まだ欲しい物が特に浮かばない」

「はぁ?なんだそれ...お前も名前付けてやろうか?」

ニワカマッスル
「俺はいい、『ニワカマッスル』がなんかしっくり来るし、これからもニワカマッスルを名乗り続ける。」


「...そうかい、じゃ早めに頼むよ。」


この時、俺に初めての友達ダチが出来た。

生意気で守銭奴だが、何処と無く気が合うハグレの友達


ニワカマッスル
「よし...ひとまず、仕事探しますか!」

ハピコ
「うおーし!」

......

とまぁ、こんな事があったんだよなぁ...

あれから数年か、早いものだ。

ハグレ王国が無ければ、俺はこんな堂々と活動できなかっただろうし、悪く思われてただろう。

何より、児童館やらで子供に慕われたりするようになったからな。

その間に俺は鉱山を転々としたり、筋肉鍛えたり、首無し幽霊の噂を建てて鉱石を独り占めしたり...って、なんかハピコに似てきたな俺。

ニワカマッスル
「あ、そういやあの特価交換、まだ望み聞いてなかったな」

ハピコ
「...げっ、お前まだあの事覚えてたのかよ、そのまま忘れて無効にさせようと思ったのに」

ニワカマッスル
「おいコラ」

ハピコ
「冗談だって冗談、で、何がいい?今なら資金も時間も余裕あるし、なんかあるでしょ。」

ニワカマッスル
「...うーん、そうだな、やっぱまだ保留で」

ハピコ
「いつまで保留する気だよ、期限付けとけば良かったかな」

ニワカマッスル
「特に欲しい物がないからな、金は特に使わないし、俺もお前も店あるし、武器はこの肉体があるし、飯は困ってないし...これといって欲しい物もないし...」


ニワカマッスル
「ていうか彼女が欲しい!!モテたい!!青春というものを味わってみたい!!」

ハピコ
「....ははは!前だったら贅沢なんて言ってられないとか言ってたのにさ!変わったねお前!」

ニワカマッスル
「...そういえばそうだな、今でも贅沢な気もするが。」

ハピコ
「...で、彼女が欲しいんでしょ?」

ニワカマッスル
「お前は勘弁だけどな、お前を嫁にしたらケツ毛までむしり取られちまう」

ハピコ
「よく分かってるじゃんか」

ニワカマッスル
「おう...はぁ、合コンとかやってないかなぁ...」

ニワカマッスルは愚痴りながら炭坑へと向かっていく


それをハピコは立ち止まって見ていた

デーリッチ
「あ、おーいハピコ!」

ハピコ
「お、王様、何のようだい?」

デーリッチ
「最近寒くなるだろうと思って、ヘルちんがマフラー編んでくれたんでちよ」

ハピコ
「そいつを私に?いやー助かるわ、どうしてもこの季節は寒くて寒くて」

デーリッチ
「英語で名前も書いてあるんでち...それにしても、ハピコって何て単純な...」

ハピコ
「あっはっは、そりゃそうだよ、だってそれマッスルが考えた名前だもの。」

デーリッチ
「え、そうなんでちか!?」

ハピコ
「おう、センスないよねーあいつ。」








ハピコ
「まぁ嫌いではないんだけどね、この名前」

ハピコはマフラーを巻いて、今日も空を飛ぶ。


ハグレには、深い歴史と、深い絆がある。


彼らのように。

ハピコ
(...私、あいつやハグレ王国に色々貰ってばかりだな)