二次創作小説(新・総合)
- Re: 戦闘中~地球を守れ~【作者応募】 ( No.15 )
- 日時: 2020/01/08 21:25
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
スター流本部ではジャドウが闇野とスターを前に宝箱を差し出していた。箱の中身は黒と茶のキャンディだ。
「ロディと川村の超人キャンディーでございます」
2粒のキャンディーを手に取ると、スターは盛大に嘆息する。
「分かってはいたことだけど、現実を目の当たりにするとやはり悲しいね。
川村君もロディ君も私の大切な教え子だったのだから」
すると、闇野が言った。
「仕方あるまい。地球を破壊することが巡り巡って彼らの幸福にも繋がる。そう思えば、彼らの犠牲も無駄ではない」
闇野の言葉にジャドウが続けた。
「超人キャンディーの源は闇野様の能力そのもの。門弟に分け与えた偉大なる能力の数々をその身に再び宿し時、闇野様は完全復活を遂げます。無論、吾輩も不動も全面的に協力しますぞ。たとえ、この身が消滅しようとも」
彼の恭しい礼に闇野は頷き。
「不動とジャドウのキャンディーは後々頂くとして、最優先すべきは美琴の超人キャンディーだ。あの白いキャンディーは特別なものだった」
「伝説の白いキャンディー。必ずや我らが元に戻してご覧にいれましょう。
美琴の腹を裂いてでも」
「頼んだぞ」
「ハハ―ッ、このジャドウ=グレイ、スター様と闇野様、偉大なる両者にお仕えできるこの時こそ、何よりの喜びでございまする」
三名のやりとりを扉の外で聴いていた不動は、小さく呟く。
「俺達の数万年の努力は全て無駄だったのだろうか。ガキ(人類)共は本当にどうしようもない欲だらけの存在なのだろうか……かくなる上は――俺が非情の鬼神と化した方が奴らはまだ往生しやすいのかもしれぬ」
その時、扉の向こうから飛び込んできた言葉に、不動は戦慄した。
「ムース=パスティスの首にはチョーカーをさせてあります」
「ああ、あのチョーカーね。黒革のアレは可愛いよね。性能は凶悪だけど」
「奴の首の装飾品がどうかしたのか」
「闇野様、ムースのチョーカーには強力な爆弾を仕込んでおります。
万が一、我らを裏切った時には遠隔操作のボタンを押せば奴の身体は跡形もなく吹き飛び、魂ごと消滅します」
「相変わらず恐ろしいことを考えるね、ジャドウ君は」
「先の戦いで美琴と友情を育んだようですが、何、根は変わっておりませぬ。
奴は地獄監獄でも非常に扱いに困るゴミでしたから、この機に利用し尽くして始末した方がいいですからな」
彼らの言葉が耳に入ると、不動は流血するほど強く己の拳を握りしめていた。
「俺の仲間はこれほどまでに外道に堕ちたか……!」
ムースは不動が過去、最も恐れ、嫌った相手である。けれど美琴の試合を通して、性格に僅かながら変化の兆しが見えたと聞いていた。その彼女を駒として利用し捨てるというのか。美琴やカイザーが聞いたらどれほど悲しむか。不動は湧き上がる怒りをどこへぶつけていいかわからなかった。闇野が来てから全てが変わった。否、闇野の方針が変化したからスター流全体が暴走してしまったのだ。
では、闇野を言葉巧みに誘導し、豹変させた者は誰だ。そもそも闇野が自分で人類に失望したという線も捨てきれなかった不動だったが、流派全体を巻き込むほど策略に長けた存在がいるとすれば――不動の脳裏に1つの可能性が浮かんだ。だが、それは強靭な精神力を誇る不動でも全身に大量の汗をかくほど身の毛のよだつ想像だった。
「まさか――そんなはずはない」
己の考えを即座に否定し、彼は心の中で祈る。
カイザーをも失った今、残されたのはガキ(美琴)、お前だけだ。
全てが終わる前に、阻止してくれ。
この俺が怒りで我を失う前に、ガキ共の希望を見せてくれ。