二次創作小説(新・総合)

Re: 戦闘中~地球を守れ~【作者応募】 ( No.18 )
日時: 2020/01/09 20:13
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)

「アンタ誰だっけ?」
「僕は星野天使、正真正銘の天使です。それ以外の何者でもありません」

学校帰り、津島善子は1人の少年と出会った。艶のある茶色い髪に眠そうな半眼、白いシャツに灰色のズボン、そして首にはヘッドフォンをかけている。

「……思い出した。アンタ、不動仁王の弟だったわね。私に何か用?」
「時が来ました」
「はぁ!?」
「あなたはこれから僕と共に天国へ行くのです。いえ、あなただけではなく、全人類みな、一緒に」
「フッ、私は堕天――このヨハネに天国は似合わない。地獄こそ至高」

敢えて堕天使と言わなかったのは星野を激怒させたくなかったからである。
横ピースでキメ顔を善子がすると、星野は背中の天使の翼を展開し。

「ごめんなさい」

謝りながらも拳を放ってきた。

「うわっと!」

後方に跳躍して躱す彼女。星野が殴った地面には拳大の穴が開いている。

「何するのよっ」
「先ほど言ったじゃないですが、天国に行きましょうと」
「アンタ、もしかして私の命を狙ってる?」

冷や汗をダラダラと流しながら訊ねる善子に少年は頷く。

「ダレカタスケテー!」


逃げる善子。
追いかける天使。
星野は建物を打撃で破壊しながら、善子の命を潰さんとばかりに全力で攻撃を仕掛ける。倒壊するビル群、絶叫する人々。善子は後ろは振り返らない。何故なら、音からしてどれほどの地獄絵図と化しているかが分かるからだ。見たら最後、足が恐怖で動かなくなる。以前、逃走中に参加した事があったが、今回は事情が違う。捕まったら最後、命の炎が消える。
その時、上空からにゅっと手が伸びてきた。その手の主は十六夜リコだ。

「乗って!」

他に選択肢がないのでリコの箒に跨り、空を滑空する。星野は天使の羽を羽ばたかせ突風を巻き起こし、邪魔な建物を吹き飛ばしていく。
下をみると廃墟となった街が見えた。一体、どれほどの人が犠牲になっただろう。
さっきまで普通の日常だったのに。視線をリコの背に戻し、問う。

「アイツ、なんで破壊活動をしてるのよ」
「スター流が敵に回ったの。彼らは地球を破壊する気よ」
「滅茶苦茶だわ!」
「それが闇野様の下した決定です」

いつの間にか星野がリコ達の前に現れた。
旋回しようとしても、星野はすぐさま目前に移動する。

「僕からは逃げられません」

星野は軽くリコと善子の肩に触れる。すると2人はフィギュアに変化してしまった。箒だけが虚しく地面に落ちていく。

「スターさんの計らいでラブライブのメンバーは特等席で拝ませてあげるそうです。この星が跡形もなく消える様を」

高層ビルも民家も無残に破壊され尽くし、あるのは残骸だけだ。

「毎度の事ながら胸が痛みますね。でも、これも闇野様の命ですから。逆らえないのが天使の定め……」

感情が読み取れない瞳から一筋の涙を流し、星野は瞬間移動でその場を去る。
彼自身は地球の破壊は反対であったが、上位の存在である闇野に真っ向から歯向かう勇気は持てず、自分の実力も痛感していた。今の彼にできるのは指示を忠実にこなすことのみだった。