二次創作小説(新・総合)
- Re: 戦闘中~地球を守れ~【作者応募】 ( No.19 )
- 日時: 2020/01/10 21:01
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
不動仁王は街中に赴き、軍隊や警察と対峙していた。砲弾や弾丸が容赦なく浴びせられるが、それらを幾ら受けても不動の肉体には掠り傷ひとつ付かない。
弾切れを起こし戦慄する彼らを前に不動は瞳を光らせ、殺気を放つ。
「以前から思っていた。銃や刀があるからガキ共は互いを傷付け、力を得た気になり傲慢になっていくのだと。武器を持てば何でも自分達の思い通りになるという発想が俺は気に入らぬ」
ツカツカと歩みを進める不動。邪魔な戦車群を蹴飛ばし、殴りつけ破壊し、進撃を続ける。上空からの戦闘機には跳躍で対応し、機体ごと手刀で一刀両断にする。
戦意を喪失し撤退を開始する軍隊達だったが不動の俊足には及ばず、すぐに追いつかれてしまう。そして1人、また1人と彼の手により往生されていく。ある者は頭を握り潰され、ある者は上半身と下半身を切断させられ、ある者は心臓を貫かれ……1万人以上いた男子達はあっという間に壊滅してしまう。
「次の街に行くとするか」
踵を返して歩き始めた刹那、側頭部に飛び蹴りを見舞う者があった。不意打ちだったことも手伝いのけ反るがすぐに体勢を立て直し、相手を見据える。
彼の視界に映ったのは悟空とベジータ、2人のサイヤ人である。
「サイヤ人のガキ共か。お前達に構っている暇はない。失せろ」
「そうはいかねぇ。これ以上、皆を犠牲にするわけにはいかねぇんだ」
「犠牲ではない。俺はガキ共を往生させているだけだ」
冷徹に告げると、ベジータが口を開いた。
「俺は人類の事などどうでもいいが、サイヤ人の王子である俺をガキと見下す態度が許せぬ」
「ガキにガキと言うのは当然だろう」
「貴様ッ」
「……ここで撤退してもお前達はどの道我らに牙を剥くだろうな。ならば、早めに往生した方が良さそうだ。相手になってやる。ついでくるがいい」
不動は浮遊し、上昇していく。舞空術で追う悟空とベジータ。
遥か上空で対峙した3人。睨みを利かせる。
「さて、誰から相手をしてやればいい。両方でも俺は構わぬ」
「ふざけるな! 誰がカカロットと共闘などするか! 貴様など俺1人で充分だッ」
悟空が制止するよりも早く、ベジータは先陣を切って飛び出し、蹴りと打撃で猛攻を加えていく。けれども不動は彼の打撃を全て見切り、回避していく。
そして口角を上げ。
「遅い動きだ。止まって見える」
「ほう……だが、そんな減らず口を叩けるのも今のうちだ」
ベジータは超サイヤ人に変身し、無数の気弾を発射。
「だだだだだだだだだッ!」
得意のグミ撃ちを受けても、不動は無傷だ。
「気を連射すれば驚くだろうと思っているのか。この俺も甘く見られたものだ」
ベジータに急接近すると、その首筋に手刀を叩き込む。その一撃で白目を剥き、気絶しかけるがサイヤ人の王子という誇りが肉体を支え、瞬時に復活し、敵の腹に渾身のパンチを打ち込む。だが、不動の鋼の筋肉は凹むことさえない。
距離を置き、気を溜める。稲妻の如きオーラを纏い、両掌から高威力のエネルギー波を炸裂させた。
「ギャリック砲!」
不動は避ける素振りをせずに食らうが、この攻撃も効果はない。
「ビックバン・アタック!」
人造人間19号を破壊したビックバン・アタック。
だが、これも凌がれてしまう。
「タフな野郎だ……」
「当たり前だ。お前達のような生半可な鍛え方はしていない」
「だったらこれでどうだ! ファイナルフラッシュ!」
全身の気を集め、一直線に放つ超サイヤ人ベジータの最強技だ。
エネルギーの流れは直線上と限られているが、その分、貫通力に特化しており、完全体セルの半身を破壊したこともある。真っすぐ向かってくる光線を見ると、不動はニヤリと笑った。
「何が可笑しい」
「つまらぬ攻撃ばかりで辟易していたのだが、やっと俺の特技を見せるに値する技が出たと思ってな」
「貴様の特技だと!?」
「今、見せてやる」
不動は放たれたファイナルフラッシュが自らに着弾する寸前に打撃を見舞い、何と光線の軌道を捻じ曲げ、逆にベジータに返してしまったではないか。
直撃し、ダメージを受けるベジータ。服はボロボロになるが、闘志は燃えている。
ベジータはここに来て、水色の髪と同色の瞳の超サイヤ人ブルーへと変身。
変身完了すると、距離を詰め、不動の頬に打撃を食らわせる。初めてまともな打撃が命中した。不動は伸び切ったベジータの腕を捉え、肘を入れる。
ベキッ
「が……ああああああああッ!」
乾いた音と絶叫が上空に木霊する。不動がベジータの左腕の骨を折ったのだ。
激痛からスーパーサイヤ人へと戻る彼の首を掴んで高々と持ち上げる、ねっぐハンギングツリーだ。首を圧迫され続けることで意識を失う恐怖技を遥か上空で仕掛けているのだ。高くなればなるほど酸素は薄くなり、息が苦しくなる。
その状態で首を攻められては一溜りもない。腕を外そうと自由が効く両足で蹴り上げ、右手で気弾を放つが不動の腕は全く外れない。
遂にベジータは通常形態へと戻り、失神。手を放すと落下していくが、不動はそれを追いかける。悟空は危機感を覚え、敵を追いかける。が、不動の方が巨体にも関わらず、移動速度が速くベジータに到達してしまった。背後に回り、バックドロップの体勢へ移行する。
「不動俱梨伽羅落とし!」
完璧に技が決まり、落下の速度に不動の体重を加えた衝撃が地面と共に脳天を貫く。技の威力の強大さにベジータの身体は持たず、息絶えてしまった。
スター流の鬼神は技を解除し、埃を払う。
「往生させてやった。このガキは、ジャドウのところだろうな」
「おめぇ、ベジータをよくも……!」
怒りに震える悟空に不動は冷たく、吸い込まれそうになるほどの殺気を猛禽類の如く鋭い瞳から出し、言い放った。
「ドラゴンボールがあれば生き返るのであろう? 何を怒る必要がある」
「オラは自分の命が犠牲になるのは構わねぇ。けれどよぉ、他の誰かがやられるのは我慢がならねぇんだ。オメェ、なんでベジータを、他の皆の命を奪うんだ」
「先ほど言ったであろう。怒りを以て人を救いに導くのがこの俺、不動仁王の使命だ。どうしようもないガキ共を往生させ、転生させる……だが、数万年にも及んだ俺の仕事も今回が最後になりそうだ」
悟空には淡々と語る不動の表情に一瞬、悲しみの色があるのに気づいた。
「オメェ、本当は悪い奴なんかじゃねぇな。オラには分かる。おめぇの拳、泣いてっぞ」
「拳が泣く? 理解できぬな」
「オメェ、心の中では泣いてっぞ。こんなことしたくないのに誰かに無理やりさせられてるって感じだ。そりゃあ、オラだってベジータを倒されたのは我慢ならねぇけどさ、オメェも何か事情があるんだよな」
「ガキの分際でこの俺に説教でもするつもりだ」
「さっきからガキガキって、オラには孫悟空って名前があっぞ。それならガキって呼んでいるオメェは何歳なんだ」
「少なくとも億単位で生きているのは間違いない」
「ひゃ~!すっげぇ年上じゃねぇか!」
「お前と下らぬ問答をしている場合ではない。お前を往生させてやろう」
瞬時に距離を詰め、悟空の胸に貫手を見舞って風穴を開けると、裂かれた肉体に手を入れ、心臓を握りつぶした。絶命し、倒れ伏す悟空。血で赤く染まった掌を一瞬見つめ、不動は眉間に皺を寄せる。
「お前の言葉も一理はある。だが、俺達は止められぬ」