二次創作小説(新・総合)

Re: 戦闘中~地球を守れ~【作者応募】 ( No.24 )
日時: 2020/01/11 05:24
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)

スター流は一体どうしてしまったというのでしょう。
わたし、美琴はスター流の門下生として修業に励んでいました。
個性豊かでとても優しいみなさんに囲まれ、厳しいながらも楽しい毎日を過ごしていましたが、闇野髑髏さんという方が現れてから、全てが変わってしまいました。あの日、本部のレストランで自作の特大おにぎりを食べていたわたしは、テレビの光景を見て絶句しました。戦闘中で優勝した闇野さんが、突如として地球の破壊を宣言したのです。愛と平和と正義のヒーロー集団、スター流の創始者であるスターさんのお師匠さんらしい闇野さんの発言を耳にして、わたしは自分の耳を疑いました。
最初は悪い冗談だろうと思ったりもしたのですが、本部に帰還した不動さん達の悲壮感漂う顔に只事ではない、やはり本当のことなんだと実感しました。
どうして闇野さんは地球を壊すなどと言うのでしょう?
確かに人間は過ちを沢山してきたかもしれません。ですが、それ以上に反省し、同じことを繰り返さないようにと戒めてきたはずです。
初対面のわたしがこのようなことを口にするのは生意気かもとは考えましたが、地球の危機とスター流の信用問題に関わることでしたので、頑として闇野さんに意見しました。地球の破壊はやり過ぎだし、もう少し人間たちに猶予を与えてはどうかと。けれど彼が首を縦に振ることはありませんでした。そしてわたしは、ロディさん、カイザーさん、川村さんと共にお世話になったスター流を離れ、各々のやり方で、時に団結しながら本来の正しいスター流に戻そうと決意したのです。たとえ遠く離れても、わたしたちの気持ちは一つ。そう、信じて流派に対抗できる勢力を作るべく、様々な街や世界を渡り歩きました。
そんな矢先、とても悲しい知らせが届いたのです。
ロディさんと川村さんが何者かに襲撃され、命を落としたというのです。
テレビや新聞では正体はハッキリとわからないとのことでしたが、わたしは誰が犯人なのかを見抜いていました。彼らはいずれも原型を留めないほど無残に命を奪われていました。これほど残忍な行為を平然とできるのは、ムースさん以外にあり得ません。確信こそしましたが、納得がいきませんでした。地獄監獄で大人しく収容され、外の世界に出る日を夢見ていたムースさん。わたしと握手をした時の彼女の瞳は優しい光がありました。なのに、その彼女が再び悪事に手を染めるなんて。それもわたしの大切な仲間をあのように……

「ムースさん、どうして……」


視界が涙で潤むのがわかります。おにぎりを一口食べると、しょっぱい味がしたのはきっとわたしの涙のせいでしょう。
一刻も早く彼女を止めなければ、犠牲者は増えていきます。
いえ、彼女だけでなくスター流全体を止める必要があるのです。
頭ではわかってはいるのですが、大好きな人達と敵対する事実に胸が張り裂けそうです。

「君、どうして泣いているんだい」

誰かがわたしに声をかけてきました。
茶色のセミロングヘアに爽やかな顔立ちをした若い男性で、白いベストに青いシャツを着ています。彼は私の隣に腰掛け、優しく微笑んでくれました。

「実は――」


私は彼に全ての事情を話しました。流れ流れて別の世界に来てしまったわたし。
異世界の住人であるわたしの話など、普通の人なら作り話の一言で一蹴するでしょう。ですが、彼は違いました。真剣な、けれど優しい眼差しでわたしを見て、頷いています。そして、全ての話が終わると彼は立ち上がり。


「そういう事なら、俺が力になるよ」
「えっ――」
「君は仲間を集めているんだろう。だったら1人目は見つかったな。
俺の名は風見志郎。よろしく」


茶色い手袋をはめた手で握手を求めてきます。その手を握り返した時、彼の握力の強さに驚きました。なんて力強い手なのでしょうか。握力計が壊れても不思議ではないほどです。でも、その握手が何よりも嬉しくて、自然に涙が零れてきました。風見さんは爽やかに笑って、わたしに言いました。

「君、名前は?」
「美琴です!」
「よし、美琴ちゃん。これから、仲間を集めにいこう。アテがあるんだ」

風見さんはわたしをバイクの後ろに載せて、颯爽と走らせました。
吹き抜ける風がとても気持ちいいです。
色々ありましたけれど、風見さんに会えて本当に良かったです。
ほんの少しだけですけれど、わたしの胸に希望が灯りました。