二次創作小説(新・総合)

Re: 戦闘中~地球を守れ~ ( No.36 )
日時: 2020/01/12 21:54
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)

美琴と風見はすこやか市へと急いでいた。移動手段はビークルモードのオプティマスである。日本へ入り、道を走っているとサッと草陰から人影が飛び出してきた。突然の出来事だったがオプティマスは冷静に停止する。現れたのは少女だった。桃色の髪に同色の瞳、コルセットを着ている。美琴は少女を知っていた。

美琴「ムースさん!」
ムース「美琴様、会いたかったですわ♪」

降りてきた美琴にいきなり飛びつき、ハグ。

風見「その子は?」
美琴「彼女はムース=パスティスさん。わたしの友達です」
ムース「友達だなんて、嬉しいですわ」

ムースは顔を耳まで赤くしてデレデレする。ムースは美琴に友情を超えた何か特別な感情を抱いているのだが、美琴は気付いていない。

オプティマス「彼女の首には時限爆弾が入っている」

分析するオプティマスに風見と美琴は驚愕し、ムースのチョーカーを外そうと試みるが、どれだけ力を込めても外れない。

美琴「このチョーカー、スターさんが付けたのですね」
ムース「そうですわ」
美琴「ムースさん、あなたは騙されていたのですよ。対抗する勢力であるわたし達を一掃するために都合の良いことを言ってあなたを利用したのです。そうでなければこんな首輪をするはずがありませんから」
ムース「ですわよね。何となくそんな気はしていました。でも、気が付いたら玩具で遊ぶのに楽しくて……」
美琴「性格は変わっていないみたいですね。川村さんとロディさんの命を奪ったみたいですね」
ムース「わたくしにとって美琴様とカイザー様以外は全て平等に玩具ですもの」
風見「このお嬢さんは頭がおかしいのかもしれん」

ド直球な風見の発言に美琴は何も言い返すことはできなかった。常人から見ればムースの思考回路はサイコそのものだからだ。

美琴「そのカイザーさんですが、ジャドウさんによって命を落としました」
ムース「何てこと……」

ムースは300年近く前、不動とジャドウに粛清される寸前のところをカイザーに助けられ、地獄監獄に幽閉されることで命を救われた経緯がある。それ以来、彼女はカイザーをとても慕っていたのだ。


風見「それで、この子はどうする?」
ムース「……わたくしはあなた方の仲間にはなりません。美琴様と共に過ごせる時間は嬉しいですけれども、わたくしがいると皆さまに迷惑がかかりますわ」

お嬢様風の少女は自らのチョークに触れる。

ムース「ジャドウ様はわたくしを先兵として利用し尽くし、爆弾で美琴様方もろとも吹き飛ばすおつもりなのですわ。ですから、皆さまにお願いがあります」

ムースは真剣な眼差しを向けて、頼んだ。

ムース「わたくしと戦ってください。そして、倒してほしいのです。最後くらいは戦士として精一杯戦って命を終えたいのです」
美琴「ムースさん……」
オプティマス「君の気持ちはわかった。よろしい、君との勝負はこの私が引き受けよう」
ムース「まあ、なんて大きな玩具なのでしょう! これほど大きいと痛めつける甲斐がありそうですわ」
オプティマス「だが、その前に君の生きていた証を残そうと思う」

オプティマスは美琴とムースを横に並ばせ、風見に写真を撮らせた。
動画も撮り、彼女の姿と声をオプティマスの体内に記録する。

オプティマス「これで君の存在は私が滅び死なぬ限り永遠に残る」
ムース「玩具にしては気が利きますわね。それでは、はじめますわよ。お覚悟はよろしいですわね」
オプティマス「うむ」
ムース「はあああああああっ」
オプティマス「うおおおおおおーっ!」


オプティマスは咆哮し、エナジーソードでムースを滅多斬りにし、至近距離でイオンブラスターをぶっ放す。だが、ムースは俊敏な動きで回避し、打撃で応戦。
けれどロボット生命体の金属の身体には掠り傷程度の威力でしかない。ならばと拷問器具を生み出す能力を発動するが、オプティマスは彼女が戦ってきたどの相手よりも巨大だった。彼女の拷問器具は等身大の相手には効果抜群だが、規格外の巨体を誇るオプティマスを拷問できるサイズは出せなかった。

ムース「これはちょっと予想外ですわね……」

息切れを起こし、虚ろな目になる。彼女の場合、器具を生成する度に体力を消耗するのだ。オプティマスの鉄拳を食らい、朦朧となる。

オプティマス「君の負けだ」
ムース「ですわね。でも、悔いはありませんわ」

互いの健闘を称え、手を握る。その光景を上空から観察していたジャドウは。

ジャドウ「無様に負けて生きていられるなどと思わぬことだ。生ゴミはその場で処分するに限る」

懐から取り出したスイッチを押そうとした刹那。

ムース「今ですわ!」
オプティマス「うおおおおおおおおーッ!」

ムースの足を掴み、渾身の力で上空に投げる。まるで弾丸のように突っ込んでくる彼女にジャドウは狼狽した。

ジャドウ「貴様、何をする!?」
ムース「わたくしを生ゴミと愚弄した報いを受けて頂きますわよ!」
ジャドウ「貴様、謀ったな! オプティマスと戦闘をしていたのは吾輩をおびき出す為――」
ムース「あなたを道連れにできれば、美琴様に貢献できますわ」
ジャドウ「ふざけるな。お前如きに吾輩が!」
ムース「美琴様、天国でまたお会いしましょう」


ジャドウからスイッチを奪い取り、自ら押す。
彼女のチョーカーが真っ赤に発光し。


ドカアアアアアアアアアァン!


上空で凄まじい大爆発が起き、後に赤と灰色のキャンディーが飛び去って行く。

美琴「ムースさん、ジャドウさん、あなた達のことは決して忘れません」

大粒の涙を流しながら、彼女は唇を噛み締め、拳を震わせた。
カイザー、川村、ロディ、メープルに続き、ジャドウとムースまで失ってしまった。この戦いはいつまで続くのだろう。そして何人の友を失えばいいのだろう。ハンカチで涙を拭くと、決意の顔で青空を見上げ、一つの誓いを立てた。

美琴「わたしは残りのスター流のみなさんを誰1人として殉職させないと誓います! たとえそれでわたしが命を落としたとしても悔いはありません!!」