二次創作小説(新・総合)
- Re: 戦闘中~地球を守れ~ ( No.44 )
- 日時: 2020/01/15 20:55
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
こなくんはステッキを虚空に戻し、スターと対峙した。序盤で最後の武器を使うのは得策ではないと考えたのだ。代わりにスターの顔面にパンチを打つ。
軽々とキャッチされ、ハンマー投げでマットに叩きつけられる。したたか背を打ち付けられ悶絶していると、スターの膝が降ってくる。受け止めようとするがガードを崩され、腹にニードロップが直撃。唾を噴き出し、目を白黒させる。
スターが腕ひしぎ十字固めをかけようとするのを察し、両手をしっかりクラッチ。伸ばそうとするスター。懸命に踏ん張るこなくん。飽きっぽいスターは腕をとるのを止め、代わりにマウントポジションに移行する。馬乗りになると、上から打撃の暴風。一撃一撃が命中し、顔が腫れ上がっていくこなくんだが、血は一滴も出ない。
スター「妙だね。普通なら血塗れになっても不思議ではないのに」
こなくん「僕の能力は出血や肉体の欠損を排除できるんだよ」
スター「中々便利な能力だね。そして私にとっては結構厄介な能力だ」
スター流は時として相手の命を奪うことも厭わない。身体を真っ二つに裂いたり、骨を折ったり、酷い場合だと原型を留めないほど痛めつけ肉片にすることもある。異常なまでの残虐さだが、徹底しないと悪は反省しないという考えに基づいているからである。スターも例外ではなく、その気になれば相手の頭を首からもぎ取ったり、四肢を破壊したり、全身の骨を粉砕することなど容易い。けれどこの試合は、こなくんの能力が本来の彼の実力に制限をかけ、大幅な低下を招いていた。スターは間合いをとると、顎に手を当て、思案する。
流血が出来ないとなると凶器攻撃をしても効果は見られない。目潰しや急所狙いも無意味、アルゼンチンバックブリーカーやキャメルクラッチなど切断が起きる可能性がある技も完璧に極められないだろう。打撃や蹴りも防がれるので威力は半減。ならば投げ技で戦うのが理想的だが――ここまで思案し、スターは考えるのを止めた。
スター「とりあえず、スター流奥義を全部君にかけてみることにするよ」
こなくん「ちょっと待て! なんでその結論になったんだ」
スター「君の流血とグロ判定がよくわからない。だから全部かければ、どの技が君に効果がなくて、どの技が効かないか一目瞭然だよ」
こなくん「ああ、そうですか(滝汗)」
こなくんは本能的に悟った。これは確実にヤバい。スターは相変わらずにこやかな笑顔だが、間違いなく自分を葬る気だ。
スター「それでは、スター流奥義№25 衝撃拳!」
いきなりスターが正拳突きをこなくんの胸の中心に見舞ってきた。
完璧に食らい、膝から倒れ込むがスターは首を傾げる。
スター「この技を食らったら普通は生きていられないはずなんだけど、君は生きているね。ということは技の威力が低下しているね」
こなくん「どんな技なんだ?」
スター「心臓に渾身の突きを放って、心臓から拳圧が伝わっていき、内臓全部を破壊し、ついでに全身の骨が粉砕される技だね。要するに一撃必殺の打撃」
こなくん「怖え……」
スター「星野君ならことりちゃんに放つと思っていたんだけど、技を出す前に倒されちゃったみたいだからね」
こなくん「マジで良かった。こんなのことりちゃんに放ったらゆうきさん泣くぜ……」
スター「じゃあ気を取り直して、次の技いってみよう!」
スター流の技は基本的にプロレス技である。延髄蹴り、弓矢固め、掌底、コブラツイスト、ジャイアントスィング、キーロック、ドロップキック、首4の字固めパイルドライバー……あらゆる技の実験台になったこなくんは思ったほど威力の無さに安心感を覚えていた。単に己の能力が敵の技の効果を限界まで引き下げているだけなのだが。苦しいのは間違いないが、その場で絶命するほどではない。じわじわと徐々に体力が削られていく苦しみ。一瞬で生命活動が終わるのと、果たしてどちらが地獄であろうか。不動の不動俱梨伽羅落としも元はバックドロップであるし、ジャドウの冥府ニードロップもニードロップで、星野の天使のアッパーも普通のアッパーだ。
威力が化け物染みている点を除けば、どれもこれもこなくんが知っている技だったので、実態を知り、ちょっとだけ拍子抜けしていた。
息は荒いが、立てないというほどではない。スターは全く息を乱していないのが気になるが、これまでで大方の奥義は食らっているはずだ。
スター「これまで、君には999の技を味わってもらった。そして、1000番目こそがスター流の究極奥義だよ」
こなくん「まだあるのかよ、もう疲れた勘弁してくれ……」
スター「この技で終わりだから、もうちょっとの辛抱だよ。というよりこの技を出す為にこれまでの技を披露したんだ。今までの技は前菜のようなものだよ」
こなくん「それじゃメインデッシュを早く出してくれ」
スター「究極奥義はね、私以外の誰も使いこなすことができないんだよ。ジャドウ君も、カイザー君も不動君も、習得しようと修行を重ねたけど無理だった」
こなくん「そんなにすげぇ技なのかよ!?」
スター「宇宙最強の技だと断言していい。それを本気で放つから、ちゃんと受け切ってね♪」
こなくん「無理無理無理無理! 俺の命が幾つあっても足りないから!」
スター「それじゃあ、はじめるとしよう」
こなくん「うおおおおおい! 人の話を聞け!」
しかし、こなくんの話を完全に無視し、スターはCDレコーダーのスイッチを入れる。流れているのは、μ'sのHappy maker!だ。
スター「スター流究極奥義・ダンス拳法!」
イントロが流れると同時にスターは動き出していた。いきなりタックルをこなくんに炸裂させてコーナーポストまで吹き飛ばすと、無数の鉄拳を頭の頂点から足先に至るまで浴びせまくり、下から突き上げるような蹴りで上空に吹き飛ばし、そこからロメロスペシャルを極め落下。再度、打ち上げ、リバースロメロ。ロープに飛ばして反動で返ってきたところにラリアートを首元に撃ち込む。
スターの筋肉質の腕が喉に衝突した刹那、今度は膝が胸に炸裂。続けざまに逆水平。頭を掴み、頭突きを5連発し、背後に回ってジャーマンスープレックスなどの投げ技の嵐。顔面を鷲掴みにすると、そのままマットに全身を叩きつける。間髪入れずに身体を反転させ、キャメルクラッチで背骨を傷めつける。技を解き、今度は弓矢固めで尚も背骨を攻める。
耳に入ってくるのはμ'sメンバーの可愛らしい歌声。だが、聴いている状況は地獄そのものだ。スターは仁王立ちになると指を鳴らす。すると、会長室の窓が割れて、ミサイルが飛んできた。直撃。今度はバクダン。次は玩具のハンマーだ。
曲がどんどんサビに近づくにつれて攻撃は過激なものになっていく。
スターの掌から火炎と冷凍光線が放出され、灼熱と冷凍を同時に味わう。
マットからは針山が出現し、靴底を細い針が靴底を貫く。
こなくん「無茶苦茶だ。何なんだよ、この奥義は」
スター「曲が終わるまで攻撃は止まらない。そしてその間は何が起きても不思議じゃない。私の場合に限ってだけれども」
こなくん「!?」
猛攻撃を食らいながら、こなくんは奥義の本質がわかりかけてきた。この奥義は曲に応じて自由に技をかけまくり、相手を徹底して痛めつけるものであると。
反撃できない。しようにもする隙が一切与えられないのだ。技から技へ移行するのも、こなくんの目に辛うじて残像が映るほどの速さなのだから。
スター「本来なら光に近い速さで技をかけるんだけど、君の能力が強力に作用しているせいなのか、どうも遅いなあ」
こなくん「!?」
スター流究極奥義ダンス拳法は不可避の速攻である。
曲が流れる3分間で0・1秒とて隙なく連続で大技を仕掛けるのだ。
スター「1回の究極奥義で基本的に私は2000くらいの技を放つようにしているんだけど、今日はどうも遅い」
スターの究極奥義を食らった者は何をされたのか理解できない。
動体視力で捉えられるというレベルを遥かに超えているのだから。
ただ、棒立ちになり音楽を聴いているようにも感じられる。
その間、スターの姿は見えないので透明の術でも使ったのかと錯覚するほどだ。
そして、曲が終わると時間差で全身が破壊され撃沈してしまう。
こなくん「北斗神拳かよ……」
スター「例外無し、防御不可能、絶対無敵! それが私のダンス拳法。基本的には如何なる能力も使用できなくなるオマケが付くんだけど、君の能力は特別みたいだね」
こなくん「今回は本当に勝ち目0っぽい(滝汗)」
スター「いや、そうでもないよ」
こなくん「え?」
スター「実はこの奥義、たった1つだけ弱点があるんだ。それはね、奥義使用後は凄まじく疲れて、動けなくなっちゃうってこ――」
言い終わる前にスターはぐらりと横転し、瞼を閉じた。
起き上がる気配はなく、すやすやと寝息を立てている。
こなくん「重大な欠点じゃねぇか。でも、これって俺の勝ちってことだよな?」
あまり実感はないが、相手のミスとはいえ勝ちは勝ちに違いない。
様々な幸運が重なった結果ではあれど、こなくんはスターに勝利したのだ。
全身が痛くて大の字になることしかできないが、脅威は一つ倒せた。
こなくん「あとは皆に任せる。俺は少し休ませてもらうぜ」
スター=アーナツメルツVSこなくん 勝者 こなくん