二次創作小説(新・総合)
- Re: 戦闘中~地球を守れ~ ( No.46 )
- 日時: 2020/01/18 10:12
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
これまで数多の怪人を葬り去ってきた必殺の飛び蹴り。彼らの代名詞的存在ともいえる技が、男には通用しない。命中はするのだが強靭な筋肉の鎧に弾き返されてしまうのだ。単独でも、複数人で放っても結果は同じ。地面に着地するが反動で体勢を崩しかけるふたりの正義の味方。圧倒的な打撃技も男には効かない。
この男を倒せねば世界は滅ぶ。そんなことはさせない。皆は自分達が守る。
再び立ち上がる彼らに男は鋭い視線を向け、口を開く。
「お前達では俺を倒すことはできぬ」
「この世に悪がある限り、仮面ライダーは不滅だ!」
「お前達には悪に見えるかもしれぬが、これは悪ではない。救済なのだ」
「罪のない人々の命を数限りなく奪っておいて、何が救済だ!」
「全てを往生させることが俺と闇野髑髏様の悲願だ」
「不動仁王! お前は嘗ては熱き正義の魂を持つ漢だったと聞いている。何故、悪に走る!」
1号ライダーの問いに不動は身体を怒りで震わせ、怒号を吐き出した。
「俺はガキ共に心底失望したのだ。確かに、一定数認めるに値する者がいるのも事実。だがその一方で改心できぬほど性根の腐ったガキ共がいるのも確かだ。
俺は何万年もそやつらの愚行を見てきて、もう我慢ができぬのだ! 失望と不満を重ね、それでも感情を胸に封じ、ガキ共の改心を願い続けたが、闇野様の決定で全てを悟ったのだ。俺がこれまでしてきたものは全て無意味であったと!
ガキ共は変わらん。ならばいっそのこと、俺が全ての責任をもって往生させるまで!」
偉丈夫は目から涙を流していた。無意識だった。心を鬼にしてきたが、根は優しい男である。非情な振る舞いには心を痛めていた。
「すまん……」
1号は絞り出すように告げた。謝罪だった。
「お前は追い詰められていたんだな。可哀想な男だ。だが、お前の行動は決して無駄ではないと、俺は思う」
「アンタの努力があったからこそ、正義の魂は脈々と今に受け継がれてきたんじゃないか」
1号の言葉にV3が続けた。
そして彼らは闘志を燃やし。
「偉大なる先人、不動仁王よ。お前をこれ以上失望させぬ為にも、この戦い、負けられぬ!」
「絶対に勝って、人類の正義の魂を認めてもらわなきゃな」
「笑止。最大技を無効化されたお前に俺を倒す術は残されておらぬ」
「それでも戦わねばならぬのだ!」
「正義の魂でなあ!」
ふたりは猪突猛進で男に挑む。幾度、弾かれても諦めることは無かった。
その時、背後から高い声が響き渡った。
「待って!」
振り返ると、そこにいたのはキュアスパークルだ。
「コイツは私に戦わせて」
「逃げたのではなかったのか、ガキが」
「確かに怖かった。でも、気付いたの。あなたを癒してこそのプリキュアだって」
「使命感に目覚めた点は歓迎するが、果たしてその程度で実力に変化が生じるか否か」
「私は一歩も引かない! あなたに、勝つ!」
地面を蹴って勢いをつけ、不動の頬にパンチを一撃。
するとどうだ、不動が後方に仰け反ったではないか。
Wライダーが如何に攻撃しても、先輩プリキュアが挑んでもビクともしなかった巨大壁が動いたのだ。
「やあああああっ」
二発目を左頬に撃ち込み、バク宙から顎を渾身の力で蹴る。
不動は吹き飛ばされ、地面を滑る。四つん這いになり立ち上がろうとするが、上空から膝が迫る。首の背後に膝小僧が命中し、不動は再びダウン。
辛うじて立ち上がるが、その瞳には動揺があった。
「このガキ、覚醒したのか」
「私はガキじゃなくて、キュアスパークル!」
ウィンクをして微笑む彼女に1号とV3は頷いた。
やはり未知の可能性に託して正解だったと。
「もしかすると次の時代を切り開くのは彼女のような戦士なのかもしれぬな」
「キュアスパークル、輝いているぜ」
美琴の攻撃をいなし続けていた闇野髑髏は劣勢に陥る不動の傍に瞬間移動で現れた。共闘するのかと警戒する3人に、闇野は不動に対し頭蓋固めをかける。
通称ヘッドロック。単純な技だが闇野のそれは単なるヘッドロックの域を遥かに超越していた。完璧に極まったそれは、不動を瞬時に絞め落とし、轟沈させる。
気絶し沈黙した不動を帽子の影から一瞥すると、3人の正義の戦士に向き直る。
「彼では恐らくあなた方に敗北していたでしょう。彼の名誉を守るため、私が絞め落として差し上げました」
「仲間になんてことを!」
スパークルが憤るが、闇野は首を振り。
「2対1より私1人の方があなた方も闘いやすいでしょうから、怒る必要はありません。それでは、残ったみなさんと私で最後の対決をはじめましょうか。
この星の破壊か救済かを決める、最後の戦いを……」
遂にラスボスとも言える存在の闇野髑髏と対峙する戦闘可能なメンバー達。
1号、V3、キュアスパークル、オプティマス、美琴の5人は彼の狂気に満ちた野望を打ち砕くことができるのか。