二次創作小説(新・総合)

ABT②『カフェと邪神と道化師と』 ( No.19 )
日時: 2020/03/03 22:06
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gF4d7gY7)

さてさて、OPゲームも無事(?)終了した逃走中#CR02。
本部の様子を見てみましょう。何やらサクヤが誰かと連絡をとって……モニタの向こう爆発してますが大丈夫ですか?

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~メインサーバ~



アクラル「おーいサクヤー、呼ばれたからお兄ちゃんきたぞ……ってモニターの向こう爆発してね?!」

MZD「あ、お疲れー。なんかスマブラ支部がやばいらしい」

アカギ「どう…『ヤバい』の?」

ヴィル「モニターに稲妻が走っている。あれはライラ殿の『かみなり』だろうな…」

アクラル「『かみなり』ィ?あいつ怒らせたかなんかしたか?」

サクヤ「先日発表があった『ポケモン・オブ・ザ・イヤー』の人気投票の結果に納得がいっていないらしいです」

アカギ「……全部、理解した」

アクラル「理解すんのはえーな?!」

MZD「お前さんはもうちょっとトレンドを知る努力をしような?」



こちらはメインサーバ。モニタが繋がっているということは誰かから連絡が来た…はず、なんですが。中継を繋いでいるはずの向こう側で爆発事件が起こっているようです。
ヴィルヘルムが『稲妻が走っている』ということから恐らく犯人はピカチュウであろうとは推測されますが…。というか中継を繋いでいるはずの右手が黒焦げで倒れているんですが大丈夫なんですか?

…さて、説明をしておきますと。
現在中継が繋がっているのは『スマブラ支部』と呼ばれる、スマッシュブラザーズのファイターの拠点みたいな場所です。
そこではマスターハンドが支部長として運営本部を補佐する役割を担っています。彼は前回本部に遊びに来たテントカント的な存在ですね。今回逃走者として参加しているロイ、クロム、カービィ、メタナイト、デデデもこの支部でマスターハンドの手伝いを行っています。
アイク?彼は本部にて『マルスの護衛』を自称している模様。



サクヤ「このようにライラさんの怒りにより雷が支部中に飛び散っておりまして…。しっかり上位のポケモン達にヒットしてしまい、本部で治療をすることになったのです。…で、本題です。兄貴とアカギには『こちら』をハスノさんのカフェまで届けてほしいのです」

アクラル「こいつとー?!サクヤとなら全然OKだけど気が乗らねぇなぁ」

アカギ「暑苦しいから俺、こいつ苦手…」

サクヤ「初っ端からそう言い合っているからわざと依頼したんです。これから世界を調査する仲間同士、仲良くなさい!本来ならば私が伺ってハスノさんに話を聞くべきなんですが、このように対処に追われておりまして。頼めますか?」

アクラル「別にいいけどさー。この箱の中身はなんなの?」

MZD「『ヴィル特製の果物のジャム詰め合わせ』と、オレが選んだ『プレーンビスケット』。それとサクヤチョイスの『紅茶セット』が入ってるぜ」

アカギ「なんか…女子力高い…」

ヴィル「突っ込むべきはそこではないと思うのだが…。新装開店だと言っていたからな。私達からの開店祝いだと伝えておいてくれないか」

アクラル「いや女子力充分高いだろ!…わーったよ、俺は回復魔法使えねーし、こいつは物理専門で役に立たねーから一緒に行ってやる」

アカギ「一言余計だ…」

サクヤ「助かります。あと、ついでにハスノさんから『道化師』について聞ける話があれば聞いておいてくださると嬉しいです」

アクラル「りょーかい」

アカギ「何か分かったら…連絡する」

サクヤ「頼みましたよ」



どうやらサクヤ、入り用でハスノのカフェに行こうとしていた様子。しかし、このようにライラの後始末に追われている為行けなくなってしまいました。そこで、アクラルとアカギを呼び出してカフェへのお届け物を頼みました。
―――ちなみにアクラルとアカギ、四神同士なのにどこか反りが合いません。かたや炎、かたや氷。そりゃ相反する存在ですから中々仲良くなれませんよね。
サクヤからの過剰すぎる丁寧さでお願いされ、否定の選択を奪われた2人は依頼を了承。彼女から荷物を受け取ってカフェまで歩いていきました。



サクヤ「…さて。junさん、葉月さん、ウィオさんの世界へ届ける荷物の準備も進めませんと。その前に怪我人の受け入れですね」

ヴィル「それにしても…何故どの異世界のMZDもあの不埒な事柄に関して大笑いしているのだ。理解ができない。不快だから魔法を放ちたいがお前と同じ顔に魔法は放ちたくない」

MZD「オレにも理解できないよ!!!そして物騒なこと言うな!!!」












~カフェ『ヒプノシス』~



運営本部から歩いて10分程度。見えてくるのはログハウスの様なお洒落な店舗。テラス席も見えています。
どこか小洒落た雰囲気が特徴のカフェ。そこが、ハスノが新しくオープンすることになったカフェ『ヒプノシス』です。
木材の安らかな香りに思わず癒されそうになる2人でしたが、目的を果たさなければなりません。
カランカランとドアを鳴らすと、どこかで見たことのある二つの顔が彼らを出迎えました。



トド松「いらっしゃいま……あーっ!1回目の時の!」

一松「どうも…兄と弟がお世話になってます…」

アクラル「へー。就職したってマジだったんだー。お世話されてるぜ」

アカギ「初めまして…かな?アカギ、です」

一松「これはご丁寧にどうも…。知ってると思うけど松野家四男、松野一松です…。アカギ、さんとは仲良くなれそう…」

トド松「1回目の逃走中にも出たから分かると思うけど改めて自己紹介するね。松野家末っ子、松野トド松!桃色のカーディガンが似合うかわいい男子ってことで、覚えておいてよね!」



ハスノは丁度厨房で料理を作っている最中らしく、店員らしき顔は一松とトド松の2人だけ。
彼女が来るまで立ち話もなんだと彼らを席に案内していると、思わぬ遭遇者がもう1組声をかけてきました。



ミミ「あれっ、アクラルさんにはじめましての人だねー!MZDから話は聞いてるよー!」

ニャミ「せっかくだし一緒にお茶しようよー!ここ寄り終わったら本部に行こうってミミちゃんとエクラさんと約束してたしね!」

エクラ「こんにちは…」



ミミとニャミがこちらに向かって手を振っています。その隣に淡い色合いの女性がいました。
男2人でカフェ、そんな言葉に少したじろいでいた2人は思わぬ助太刀に感謝し、堂々と彼女達の向かいの席に座りました。
それと同時に、ハスノが料理を持って現れます。



ハスノ「あら、アクラルさんにアカギさん~!いらしてたんですね~!いらっしゃいませ~!」

アクラル「よう。これ、サクヤ達から開店祝いだってよ。代理で持ってきた。えーっと…中身は…『女子会セット』」

ニャミ「いくらなんでも端折りすぎじゃない?!恐らくヴィルさん手作りの何かだと思うけど」

アカギ「あたり。何で、わかるの…?」

ミミ「わたし達、この世界に飛ばされる前はMZDとヴィルさんと一緒の家で暮らしてたんだよね。その時に家事の一切を担ってくれたのがヴィルさんでさ。貴族のはずなのに家事スキルめっちゃ高くて。特にお料理の腕が凄いんだー!」

ニャミ「MZDがヴィルさんを匿う前までは交代で家事やってたんだけどさ、来てから任せっぱなしだったよねー。本当申し訳なくなるくらいー。本人も凄く楽しんでやってたし、この世界に飛ばされてからもよく本部でお料理振る舞ってるみたいだし。こういうものを用意するならヴィルさんかなーって」

アクラル「よく見てんなぁ。ま、今回はそれだけじゃなくてエムゼとサクヤの差し入れも入ってるけどな」

ハスノ「ありがとうございます~!開けてもいいですか~? (びりびり) ジャムとビスケットと紅茶…!よし、今からお茶にしましょう!淹れてきますね~!」

ニャミ「決断早っ?!」

トド松「これ!って決めた時のオーナーは行動早いからねー…。あ、僕達も休憩貰ったから一緒にお茶していい?一松兄さんも一緒だよ!」

一松「えっ、お、おれはいいよ…」

トド松「可愛い女の子が3人もいるんだしこんなチャンスないって!」

ミミ「1人はラブラブな彼氏いるけどね!」

トド松「フラグを初っ端からへし折って来た!」



丁度一松とトド松も休憩をもらったようで、近くの開いている席に座りました。
しばらく待っていると、ハスノが人数分の紅茶と貰ったビスケット、ジャムを用意してテーブルまで戻ってきました。
…本当に女子会始まっちゃいましたね。



アカギ「―――(ぱくり)。―――?!う、うま……!」

アクラル「………?! これマジであいつが作ったの?!えっ、美味い」

ミミ「う~~~~~ん、ジャムの控えめな甘味がビスケットの塩気を引き出させる……悔しいけどヴィルさんの料理の腕前とMZDのお菓子選ぶセンスには今回は負けたーーー!!!美味いっ!!!」

ニャミ「サクヤさんの選んでくれた紅茶もこのお菓子にピッタリだよねー!いやぁ、至福の時間…」

一松「(無言でもぐもぐ食べている)」

トド松「美人で家事スキル高くて気品のある男の癖して彼女いないの?!」

エクラ「魔族だからではないでしょうか…?」

ハスノ「今度お料理教えて貰いましょうか~。…ところで、これを届けに来てくださった『だけ』ではないですよね、お二人とも~?」

アカギ「…鋭い。実は…」



そうそう、本題を忘れてはいけませんよ?ハスノが諭すように彼らに促し、アカギがサクヤに言われた『道化師』についての質問を彼女に投げました。
ハスノは一瞬表情が歪みましたが、すぐに元の顔に戻ります。…何か心当たりがあるようですね。



ハスノ「お役に立てる情報かは知りませんけれど~。以前、キュベリアさんから『道化師』に関しての『おとぎ話』を伺ったことがあるんです~」

アカギ「『おとぎ話』?」

ハスノ「はい。えーと…確かこんなお話しだったような~。」



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むかしむかし。

魔界の一角に、圧倒的な力を持ち数多くの強大な魔法を生み出した道化師がおりました。
常に仮面に覆われた道化師の素顔を見た者は無く、それは『魔界の悪魔』か、或いは『魔神』の姿をしていたのかも知れません。
道化師は『JOKER』と呼ばれ、『魔法使い』『魔女』と呼ばれた全ての者達とは一線を画した比類のない力で魔界の一角を支配するに至りました。

しかし、海を裂き、大地を割り、星々を砕くほどの力を持った道化師にも終焉の時がやってきます。
強大な魔法をいくつも使い続けた反動から、魔法は道化師自身の毒となり、その身体は蝕まれていきました。

道化師は最後に、世の理に反する究極の魔法『永久』の開発に取り組みます。
そして最後の時、道化師は自分の全ての力を『永久』とする為に、優秀な4人の弟子を迎え言いました。

「わたしのこの『永久』は、この身が滅びると共に、永劫を記録する場所へと転移する。『永久』へと辿りつけた者は、わたしの知識、わたしの力、わたしの全てを『再びこの世に誕生させる者』となろう」

道化師の身体はボロボロと崩れて行き、夜空の虚空へと消えていきました。
そして、二度とその姿を現すことはありませんでした。

かくして『JOKER』の力を継承する為、道化師の弟子達は互いに対立し、それぞれの方法でいずこかへ消え去った『永久』を探し始めます。

そして…ながくながく時計の針は回り続けていきました…。



『beatmania IIDX 23 copula ~X~』 より一部抜粋

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アクラル「…『JOKER』?キュベリアから聞いた…ってことは、弐寺の世界にはそんなやべー奴がいたってことなのか?」

ハスノ「それ以上はキュベリアさんもご存知ないということで教えていただけなかったのですが~…。確か、本部にある古い文献にも載っていたと仰っていました~」

ミミ「…あれっ?わたしその話知ってるかも。前のパーティでMZDに教えて貰ったような…」

ニャミ「確か14回目のパーティの前だったよね!今回『時空を超越したとんでもねーヤツ招待するから覚悟してな』って自信満々に言われたのと一緒に教えて貰ったんだった!」

アカギ「エムゼも、知ってることか…」

エクラ「ですが、『おとぎ話』ということは…。随分と大昔の物語でしょうし、彼が現在生きているとは到底思えません。そもそもお話の中で身体が滅びてしまったのでしょう?」

アクラル「うーん…。エムゼ達が魔界で合った『道化師』とはあんまり関係がなさそうだがなぁ…」



ハスノが話したのは大昔の『JOKER』が存在していたころの『おとぎ話』。
どの時代だかも分からない、現在も生きているかどうかも分からないけれど、実際には存在したんでしょうね。そのお話の道化師。まあ、今生きていたらとんでもないことになっていそうですが。
アクラルはその話を聞いてうんうんと唸っています。アカギも考える頭が足りないのか、しかめっ面を続けています。そんな中、「あっ」とニャミが思い出したように言いました。



ニャミ「あっ。そういえばテントさんから伝言預かってたんだった」

アカギ「伝言…?」

ニャミ「うん。多分この『おとぎ話』と関係ありそうだから今言っちゃうね?前にテントさん達が道化師をぶっ倒して、ニアさんと出会った後…逃走中のゲームが終わってからテントさん1人で調べものしてたみたいなんだよね。その時に小耳に挟んだんだって。



    ―――『道化師』って呼ばれてる魔族とか悪魔達が『JOKER』を現代に産みだそうとしている、って」









アクラル「それ早く言ってくれよ!!!一番欲しかった答えだよ!!!」



















~運営本部 メインサーバ~



サクヤ「…なるほど?おとぎ話の『JOKER』を生み出そうとしている連中がいるかもしれない、ですか。それは…少し追わなければなりませんね。しかし…『JOKER』に限らず、何かの生命を創造するには『魂』と『身体』がこの世に現存していないのが前提条件です。しかも『生命の創造』だなんて…禁忌の実行にも程がありすぎます!―――ま、『失敗するとは思います』がね」

アクラル『なぁ…。サクヤ、お前なんか隠してない?』

サクヤ「隠している、と聞かれれば隠しているのですが。『私からは口が裂けても言えない』ことですので」

アクラル『…………?』

サクヤ「とにかく、その『道化師』と呼ばれる魔族や悪魔達の情報もこれから追って行きましょう。そろそろ戻ってきてくださいませんか?」

アクラル『あ、あぁ。……無理だけはすんなよ?』

サクヤ「…善処します」





『JOKER』ですか。いやー、そんな恐ろしい存在がいたんですねー。
今回のおとぎ話の詳細を知りたい方は是非曲紹介ページを開いてみてくださいね。そこで察した方は察したままでいてあげてくださいね。
どうやらサクヤ、『JOKER』に心当たりがあるようですが…。今は話してくれなさそうです。これの判明には…もう少し時間が必要なようですね。