二次創作小説(新・総合)

ABT⑤『星々と暗闇の協奏曲』 ( No.54 )
日時: 2020/03/17 22:16
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Btri0/Fl)

そういえば、CR#01の時にセブンスドラゴンの世界と一緒に『混ぜられた』世界がもう1つあるって話でしたね。
今回でその『混ぜられたもう1つの世界』の正体が判明します。

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~運営本部 連絡通路~



石丸「全く、苗木君も日向君も危機感が無さすぎるではないかっ!こんな大変な状況だというのに呑気にゲーム大会などと抜かして…兄弟に止められなければ説教をするところだったぞ」



そんな大きな独り言をぶつぶつと言いながら連絡通路を歩いているのは石丸くん。
先程まで『ダンガンロンパ支部』の拠点である希望ヶ峰学園に入り用で立ち寄っていたようで、その帰りみたいですね。
前回の逃走中が余程面白かったのか、現在ダンガンロンパ支部では今回の逃走中の『逃げ切り予想大会』的なゲーム大会が行われている様子。石丸くんは本部で何が起こったのかも把握している為、自分も楽しみたい気持ちとしっかり説教をしなければならないという風紀委員のジレンマに陥り複雑な気持ちのようです。



石丸「あまり支部に入り浸っているのも悪いから帰っては来たが、途中で抜け出してきたようなものだったからな。田中くんと罪木くんを学校に残してきてしまったことは少しだけ複雑だ」



あらら、田中くんと罪木さんは希望ヶ峰学園にいるんですね。
その後も学園に対するお小言を大きな声で響かせていると、ふと見えた窓の向こうに本らしきものが落ちていることに彼は気付きました。



石丸「む?あの木の下に落ちているのは…本ではないか!全く、管理がしっかり行き届いていない証拠だぞ!仕方ないから拾いに行こう」



確かに運営本部にも住居区には大きな書庫があり、そこには古今東西あらゆる地域の蔵書が詰められています。
ですが、住居区ではなく本部の方に本が落ちているとは…。落とし物にしては随分と目立つような。ですが、石丸くんは『外に本が落ちていた』という事実に憤慨しているようで、そのままずんずんと本を拾いに外まで出て行ってしまいました。













~運営本部 連絡通路付近~



石丸「よし、見つけたぞ!…こんな表紙の本などあったか?」



流石石丸くん、行動が早い。彼は一瞬で落とし物の元へとたどり着き、それを拾い上げてみました。
確かに本部にある蔵書されているものではなさそうなデザインですね。本の表紙は赤みがかっており、真ん中にぷよぷよした丸い物体のデザインが描かれています。…あれ、これって。



石丸「むぅ。外部のお客様の落とし物か何かなのか?僕もよく勉強の為に書庫を利用しているが、こんな表紙の本など見たことが無いぞ」



眉間にしわを寄せながら拾った本とにらめっこをする石丸くん。
しばらくそのまま沈黙が続く…。そんな折、彼の背後からガサガサと草むらをかき分ける音と聞き慣れない声が耳元に聞こえてきました。
『誰だ!』威勢のいい声で返事をする石丸くん。振り向いてみると、そこには……。




















????「すみません、それボクの落とし物なんです…。返してもらえませんか?」

石丸「ん?これは君の物だったのかね。全く、こんなところに落として悪い人間に拾われてしまったらどうするつもりだったんだい?次からは気を付けたまえよ!」

????「ありがとうございます。…えっと、もう1つ質問いいでしょうか?ここ…どこなのか全然分からなくて。『プリンプタウン』にいたと思ったら急に変な渦に巻き込まれて…って言っても信じてくれませんよね」

石丸「(もしかして…) 分かった。僕達の拠点にそれに詳しい人がいる。着いてきたまえ!」



草むらから現れたのは、羽のついた紫色の帽子をかぶった茶髪の少年でした。
言っていることから恐らく『混ぜられた世界』の住人であることは間違いないようですが…もしかしたら、お詳しい方はピンと来たかもしれませんね。
彼は右も左も分からない世界で目が覚めて、行くあてもなく迷っていたようです。石丸くんは、彼が発した言葉に何か気付き本部まで連れていくことにしました。





~運営本部 メインサーバ~





石丸「サクヤくん、失礼するぞ!……何をしているのかね?」

サクヤ「す、すみません石丸くん。メイユさんを何とかしてくださいませんか…」

メイユ「きゅ~!み~み~!」



石丸くんがサクヤに会いに少年を連れてメインサーバまで顔を出しに行くと…そこでは、ミミッキュに顔を覆われて困っているサクヤがいました。ちなみにミミッキュもフレイヤと同じく固有の個体です。ちなみにメイユは女の子です。
メイユ、どうやらサクヤ達に助けられて『友達になってくれる』と思っているのか先程からサクヤの顔に引っ付いて離れません。ミミッキュはフェアリータイプ。サクヤは竜の神様なので、ポケモンの分類で言えばドラゴンタイプ。効果は抜群だ。
アクラルやアカギがいくら彼女を引っ張っても取れません。そこに石丸くんと少年がやって来たわけですね。



アクラル「わりぃ石丸ー!こいつ力つえーんだか知らねーけど、いくら引っ張ってもサクヤから離れてくれねーんだよー!引っ張るの手伝ってくれねーか?」

アカギ「このままだと窒息死する…」

石丸「神に窒息とかあり得るのか?!…いやそれはともかく。分かった、僕も手伝おう。君は椅子に座って待っていてくれたまえよ」

????「は、はい。分かりました」

サクヤ「(この声…。聞き覚えがありますね)」



…顔に引っ付かれて冷静になっているのならば彼女を取る必要はないのでは?いやいやそうは問屋が卸しません。
力が強い男2人と魔力が強い男1人が3人がかりで勢いよくメイユを引っ張ると、しばらくの彼女の攻防の末サクヤの顔からやっと離れました。当然メイユは不貞腐れています。



メイユ「きゅ~きゅ~!」

サクヤ「気に入っていただけることは嬉しいのですが、常時引っ付かれると私もやりたいことが出来ないのですよ。申し訳ありませんねぇ」

アカギ「遊びたいのなら…ハテナと遊んで来ればいいよ…。あいつ、また本部うろついて遊び相手…探してた…」

アクラル「好かれ過ぎも困ったもんだよなぁ。…で、その椅子に座ってるガキが石丸の本題って奴か?」

石丸「実をいうとそうなのだよ。『渦のように混ぜられた』と言っていたから、もしかしたら『混ぜられた世界』の被害者なのではないかと思ってここに連れてきたのだ」

サクヤ「なるほど。そして、お顔とその手に持っている本を見るに…見えてきましたね。『混ぜられたもう1つの世界の正体』が。とりあえず、そこのお坊ちゃん、名乗っていただけます?」



メイユが離れて少年の顔がサクヤに見えるようになり、彼女は確信したようです。
サクヤに促され、紫色の帽子の少年は恐る恐る名乗りを上げました。



クルーク「ボクはクルーク。『プリンプタウン』で魔導学校に通っている魔導使いさ」

アカギ「『プリンプタウン』…。もしかして…もう1つの混ぜられた世界って…『ぷよぷよの世界』?」

サクヤ「御明察です。…私が知っている彼とは少し性格が違うようにも思えますが。もしかすると、プリンプだけではなく『ぷよぷよ全体の世界』が全てこちらに混ぜられた可能性が高いですね」

クルーク「ま、待ってください!ってことはボク…『異世界転生』的なことをしちゃったってことですか?!」

アクラル「それはちょっと話が飛躍しすぎだが…そんなもんだなぁ。人間と世界が逆だが」



彼は『クルーク』と名乗りました。魔導学校に通う優秀な魔導使いで、偉大な彗星の魔法使いであるレムレスを目標にしている少年ですね。
確かに、天の声が記憶している彼はもう少し嫌味で自分の能力を鼻にかける様な性格だったはず。世界が混ぜられた影響で身体や心身に影響が出た人達もそう少なくはありませんが、彼もその1人なのでしょうかね。
流石魔導使いということか、3人が異次元レベルの話をしていることをすぐに理解し、話についていこうとしています。



クルーク「学校は、ボクの家は、どうなったんでしょうか…」

サクヤ「クルークくん。恐らく貴方以外にもご友人や知り合いが飛ばされている可能性は高いです。何故貴方だけがこちらに落ちてきたのかは分かりませんが…。そんな不安そうな顔をなさらないでください」

石丸「似たような境遇の人物なら本部にもいるからな!それに、家族が見つかっていない仲間もいるのだ。自分1人だと不安に思わなくていいのだぞ!」

アクラル「……サクヤ、見慣れない場所から通信が来てる。覚えのない魔法…もしかしたらもしかするかもな?」

サクヤ「繋げてください。多分、兄貴の読み通りで合っていると思いますよ」



素直にしょぼんとした表情をしているクルークに、サクヤが優しく声をかけます。
彼を宥めていると、唐突にアクラルがそう発しました。覚えのない魔法…ぷよぷよの世界の魔法はそんな扱いなのですね。
アクラルが自らの魔力を共鳴させて通信を繋ぐと、そこには元気そうに手を振る赤いぷよぷよ帽子をかぶった少女達がいました。



アミティ『あっ!アコール先生つながったよー!クルークもいる!』

アルル『噂通りで良かったねー…。あの黄緑のお姉さんに助けられたね!ねっ、カーくん♪』

カーバンクル『ぐー!』

サクヤ「やはりでしたか。『混ざった世界』はぷよぷよの世界で確定ですね」

アコール『急に連絡をしてしまってすみません…。突如外が見慣れない世界で困っていたところに、『こちらに繋げば助言をいただける』と伝えられたものですから』

サクヤ「こちらこそ、身内が唐突にそんな話をしてしまい申し訳ありません。ですが…世界の融合に巻き込まれて無事で良かった。この世界の仕組みについてお伝えしたいので、そのまま通信を繋げてていただけますか?」

りんご『世界の融合…?わたし達が異世界に飛ばされてたのではなくて、世界そのものが別の世界に置き換わっちゃったんですかー?!なんて摩訶不思議!』



画面の向こうの知り合いを見て、クルークの不安そうな表情が少しだけ和らぎました。やはり知人が無事だと安心ですよね。
サクヤがこの世界の成り立ちと『混ぜられた世界』について軽く説明をすると、アコールは小さく2回頷きこちらに笑顔を見せました。
後ろでアミティは何が何だか分からない顔をしており、それをアルルが宥めています。



アコール『…大体の事情は分かりました。無事だった子はこちらで預かりたいと思います』

サクヤ「魔導学校が無事だということは、恐らくプリンプタウン自体は全てそのまま混ざっているはずです。子供達に不安にさせないようそう言ってあげてください。…それと、クルークくんをしばらくこちらで預かりたいのですが。急な申し出で申し訳ないのですが、どうか承諾を願えませんか」

クルーク「えっ?」

アミティ『えーっ?!クルーク、こっちに帰ってこないのー?!』

アコール『理由を聞いてもいいですか?』



サクヤ、突如クルークを本部で預かりたいと言い出しました。何を企んでるんですかね。



サクヤ「この世界は貴方達の世界のように『いつ、新しい世界が混ざるか』が分かりません。その為、混ざった世界の皆さんに世界の調査の手伝いを要請しているのですが…。プリンプとこちらとの橋渡しに、彼を…クルークくんを起用したいと考えています。土地柄を知っている方が1人でもいた方が、こちらも助かると思ってのご提案です。勿論、クルークくんが嫌だと言うならばすぐにプリンプタウンへと送迎するつもりですが」

クルーク「ボクが、橋渡し役…?」

アクラル「お前だけじゃなくて、他にもたくさんの支部から色んな奴が遊びに来るからな。もしかしたらお前が専攻してる星の魔法とか闇の魔法とかに詳しい奴がいるんじゃねーかな。そういう意味でも刺激になると思うし、俺は受けてもいいと思うぜ。この提案」

アカギ「知らない奴がここに唐突に現れるよりだったら…俺は、クルークが橋渡ししてくれたほうが嬉しい…。きっと、こっちに落ちてきたのも…何かの『運命』だと俺は思う」

アコール『クルークくん、あなたはどうしたいですか?』

クルーク「……橋渡し役、やってみます。この経験がボクの糧になるのなら…」

アルル『これも成長の為の経験ってやつだねー。アミティ、そんな不機嫌そうな顔しちゃ駄目だよー』

アミティ『でもぉ!ラフィーナだってシグだって今どこにいるか分からないしさー!せっかく知ってる人と会えたのに…また離れ離れなんて寂しいよ…』

石丸「そんな、一生離れ離れにはならないんだから安心してくれたまえ…」

サクヤ「それに、こちらに縛り付けることは絶対に致しません。彼が帰りたいと言えば、すぐにプリンプタウンへと送りますから安心してください」

アミティ『それならいいや!あたしもそっちに遊びに行くからね!』

アカギ「切り替え早いな…」

クルーク「そこがアミティの数少ないいいところだからね」

サクヤ「(あ、微かに嫌味なところは残ってるんですね)」



クルーク、朱雀と白虎に背中を後押しされ、ここでぷよぷよ勢との橋渡し役を務めることに決めたようです。
まぁ、本部は神だらけだし人外もそこそこいますし、いい刺激と経験は得られると天の声も思いますよ?
アコール先生はクルークの決断を優しく受け入れ、こちらからもまた何か分かったら連絡するとだけ言い残し通信は切れました。



アクラル「っつーわけで!これからよろしくな、クルーク!」

アカギ「本部にも魔法に長けた人がいるから…勉強したい時は…彼らに話を聞くと良い。…あ、でもこいつは駄目」

クルーク「あんなに魔法を軽々しく使っていたのに…ですか?」

サクヤ「兄貴は理論じゃなくて感覚で魔法を使いますからねぇ…。おつむの弱さは四神で一番です」

アクラル「褒めてる?褒めてるんだよなそれ?」

サクヤ「断言します。兄貴よりも石丸くんの方が知力は高いと思います」

アクラル「断言するな!!傷付く!!!それに魔法は考えるより感じて撃つ方がつえーの!」

サクヤ「それ、ニアの前で絶対に言わないでくださいね?身体崩れるか心灰にされるか確定なんですから」

メイユ「みーみー!」

クルーク「ボクは感じるより考える派だなぁ…」





なにはともあれ、将来有望な魔導使いが本部入り。これでますます賑やかになりますね!
そして現在の『混ぜられた世界』が明らかになりました。…でも、まだ油断は出来なさそうです。