二次創作小説(新・総合)
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.147 )
- 日時: 2020/05/06 17:15
- 名前: 琴葉姫 (ID: EnwL6lXi)
琴葉姫「二連投稿です!!!!!!!!!!!!!!!!(!?)」
アーサー「筆乗ってんなァ!?(驚愕)」
琴葉姫「多分もうすぐ倦怠期に突入します」←←←
アーサー「それでいいのか…?」
今回はあんスタの鬼龍紅郎先輩×花騎士のマツバボタンちゃんの話ですが…この話ウーちゃんとハクロウさんの形式、つまりマツバボタンちゃんのキャラクエを団長を大将(鬼龍さん)に見立てたキャラクエ改変になっております(爆)そういうの無理という方は閲覧をお勧めしません。
また、どうあがいても闇のある話なので(!?)そういうの苦手な人も閲覧非推奨です。
それでもいいよ!という方はよろしくお願い致しますm(_ _)m
『心の扉』を開けてやる
鬼龍「おう。お疲れ『プロデューサー』。また頼むわ」
そう言って鬼龍紅郎は自宅の扉を開けて入って行った。
本来なら女であるプロデューサーの方を自宅まで送った方がいいのだろうが…生憎立場が許さずプロデューサーに自宅まで送ってもらった。
鬼龍は芸能事務所RhythmLink(リズムリンク)に所属するアイドルユニット『紅月』に所属している。
人気ユニットでもある紅月は現在メディアに引っ張りだこで、次々に仕事が舞い込んで来紅郎も中々休む時間が取れずにいる。
明日も午前早くに家を出て朝の情報番組に生出演しなければいけなかった。
忙しいが鬼龍本人は充実していると思っている。ただ、趣味の裁縫が中々出来ずストレスは若干溜まってるが…。
鬼龍「(今日も刺繍は出来そうもねえな…少しでも寝て、明日に備えねえと…)」
ジャージに着替えるなりベットに入って横になる。
瞼を閉じると、意識を失うように眠りについた───。
○●○●○
鬼龍は気が付くと、おかしな空間にいた。
辺りは真っ白で、傍に似つかわしくないちゃぶ台に、急須と湯飲みが置かれていた。
すぐ気づく。これは夢か。それにしては変な夢だな。最近忙しいからか?
夢だと確信する鬼龍だが、すぐそばに人の気配を感じる。
誰がいるんだ…とそちらを見ると。
「ひっ…」
可愛らしい女性の声が聞こえた。声と言うよりかは、悲鳴に近いものだが。
その声の主は、亜麻色の髪の一部をお団子にして、弓を携えている和服の美少女だった。
おどおどしながら、こちらを凝視するように見ている。
鬼龍「大丈夫か?」
和服の美少女の挙動不審具合に、鬼龍は心配して彼女に近づくが…
和服の美少女「っ…!」
顔を真っ青にして後ずさってしまった。
その行動に鬼龍は唖然としてしまう。確かに自分の顔は怖いかもしれないが、そんなに怖がられるとは…いやでもこのお嬢ちゃん臆病な性格っぽいし…。
落ち込んで色々思考を巡らせていると、美少女は慌てて事情を告げた。
和服の美少女「ご、ごめんなさいっ…!わ、私…男の人、が、得意じゃなくて…!」
美少女の言葉に目を見開いた後、「(成る程、男性恐怖症か)」と合点がいった。
しかしこの空間には自分と彼女しかいないようだ。なら自分はあまり彼女に近づくべきではないだろう。
だが、この微妙な距離感をこのまま保ってもいいものだろうか…というか彼女は何者だ…?と、再び思考を巡らせていた。
が───
和服の美少女「………お兄さん?」
美少女が不意に訊ねてきた。
不安を露わにして、こちらの顔色を窺っている。
和服の美少女「お兄さん、急に静かになってしまったので………。私、お兄さんをよくない気持ちにさせていませんか…?」
鬼龍「え?ああ、違ぇよ。お嬢ちゃんに不快な思いなんて一切してねぇ。むしろ俺こそ不安にさせて悪かった。すまねぇ」
どうやらこちらの沈黙を深読みしてしまったようで、鬼龍は慌てて弁解した。すこし大袈裟なくらいに身振り手振りを交えて。
それが功を為したようで、和服の美少女から笑顔が帰ってきた。
和服の美少女「よかった………。あ、あの、これは夢、なんでしょうけど…私、こんな風ですけど…お兄さんには、近づきたい、です……。もっと、お話、したい、です……」
鬼龍「夢?嬢ちゃんも夢を見てるのか?」
和服の美少女「…?はい…お兄さんも、ですか…?」
鬼龍「ああ、こいつぁどういう現象だ…?」
なんでこの嬢ちゃんと俺は夢を共有してるんだ…?
しかしそれは今は良い。不可思議な現象ではあるが、不快ではない。
「そういえば、」と、改めて鬼龍は美少女の方に向き直った。
鬼龍「俺の名前は鬼龍紅郎だ。嬢ちゃんの名前は?」
和服の美少女「名前………」
美少女はその言葉を反芻した後、名乗った。
和服の美少女→マツバボタン「…マツバボタン、です」
鬼龍「マツバの嬢ちゃんか。まぁ、短い間だがよろしく頼む」
マツバボタン「……はい、キリュウさん。頑張っていい子でいますから…これから、仲良くして欲しい、です………」
それが、二人の出会いの始まりだった───。
○●○●○
それから毎日眠って夢を見ると、鬼龍とマツバボタンの交流が続いていた。
話を聞くに、マツバボタンは地球の人間ではなく、「スプリングガーデン」という全く別の世界の住人であることが分かった。
スプリングガーデンでは害虫と言う虫型のモンスターが人々の生活を脅かしていて、花騎士という存在だけが害虫を倒せるという。
「マツバの嬢ちゃんのフラワーナイトなのか?」と聞くと、落ち込んだ顔をしてしまったので謝るとこちらが申し訳なくなるくらい謝り返して来たので、花騎士の話はしなくなってしまった。
代わりにマツバボタンの師匠であるレウイシアという人物のことを静かながらも熱弁してくれて、本当にその人物が好きなんだな、と鬼龍は微笑ましくなった。
鬼龍も鬼龍でこちら側…地球での歴史や文化などを話したり、自分がアイドルという職業をしていて歌ったり踊ったりする仕事と聞いてマツバボタンは目をキラキラさせていた。
試しに持ち曲を歌って踊ると、目を輝かせて「すごいすごい」と称賛するマツバボタンに照れ臭くも喜ばしい感情を抱いたりもした。
プロデューサーやユニットメンバーから「最近が調子いい」と言われ「そうか?」と濁していたが理由はただ一つ。マツバボタンという存在のおかげだ。
今日も帰ってすぐ眠りにつき、楽しみにしていた夢でマツバボタンとの逢瀬の時。
やはりいつものように一定の距離を保って、それでも和やかに会話していた。…が、鬼龍はずっと疑問に思っていた。
マツバボタンは、よく「よくない」や「好きじゃない」と表現する。
直接的にマイナスな言葉は使わず、それらは遠回しな言い方として矯正する。
それは初めて出会った時もだ。過度に相手の顔色を窺うのは、恐れの感情があるからだろう。
そして何より、彼女が苦手とする対象は男性に限定されている。
鬼龍「………なあ、マツバの嬢ちゃん」
マツバボタン「…?はい、何でしょう…?」
いきなりこんな事を聞いていいのか?
いや、でもこれが悩みを解消するきっかけになるかもしれない。
天使と悪魔が脳内に囁いて、最終的に勝ったのは───
鬼龍「もしかして、親父さんとなんかあったのか?」
マツバボタン「えっ───?」
マツバボタンの表情から感情が消えた。
しまった、また間違えたか、と思いつつもマツバボタンの反応をつぶさに観察する。
もしも心の傷に触れたのなら、すぐにでも謝罪できるように。
しかし、彼女の表情には戸惑いこそあれど、嫌悪感は見受けられなかった。
それどころか───
マツバボタン「ど、どうして、分かったんですか…?……私が、お父さんのこと、悩んでるって………」
鬼龍「…やっぱそうだったのか。いや、明確な根拠はなかったんだが、なんとなくそうなんじゃねえかって…」
マツバボタンの反応は畏敬のそれに近かった。
鬼龍がそう伝えると、ますますその眼差しが尊敬の念を帯びる。
マツバボタン「………キリュウさんになら、いいです」
鬼龍「ッ………」
ついに、彼女の口から知ることになるのか。
無理に言わずとも言いと伝えたが、「キリュウさんに、聞いて欲しいです…」と他ならぬマツバボタンが言い切った。
そう言われては無下にできず、鬼龍は覚悟を決めてマツバボタンの話を聞き入れた。
マツバボタン「悩み……お父さんのこと、です。私、桃源郷…お師匠様の…ところに来る前は、お父さんと暮らしていました。私はお父さんが大好きで、お父さんの自慢の娘になりたくて。でも、私…お父さんのもとから逃げ出してしまったんです」
鬼龍「…逃げ出した?」
鬼龍は間抜けな顔でオウム返しの言葉を溢した。
それに構わず、マツバボタンは更に語った。
マツバボタン「お父さんが見ていない時に、家を飛び出して………走って、走って……桃源郷に辿り着いた頃には、動けなくなってて。お師匠様に助けてもらって、そこから桃源郷に住むことになりました。……どうして逃げ出したのか、わからないんです。私…お父さんのこと、大好きなのに………」
鬼龍は首を傾げた。どうも話が繋がらない。
もしも父親と不仲なら、家を飛び出すのは分かる。
だが彼女は父親のことが大好きと断言している。
男性恐怖症とはまた別の問題なのだろうか…?
探りを入れるべく、鬼龍はマツバボタンの父親について聞いてみた。
鬼龍「マツバの嬢ちゃん、親父さんのこと好きなんだな。親父さんのどういうところが好きなんだ?」
マツバボタン「どういうところ?」
首をかしげるマツバボタンに、鬼龍はきょとんとした表情をしてしまった。
鬼龍「さっきから何回も「大好き」って言ってただろ?それくらいいい親父さんなら、良いところの一つや二つあると思ったんだが」
そう言うと、マツバボタンは再び、ゆっくり語り始めた。
マツバボタン「………それは、お父さんが、言ったから。お父さんが好きな言葉だから、です」
マツバボタン「私はお父さんが大好きです。お父さんの好きな言葉だけ、綺麗な言葉だけ使います。どうかずっとお父さんのそばに置いてください」
マツバボタン「………いつも、何度も、お父さんが満足するまでそう言ってました」
鬼龍「…─────」
言葉が出なかった。返す言葉がなかった。
彼女は…マツバボタンは、父親と良好な関係など築けてなんていない。
いや、表面だけなら良好に聞こえるだろう。
だがこれは───
マツバボタン「キリュウさん………。私、自分が分からないんです」
琴葉姫「いやぁ~マツバボタンちゃんのキャラクエのツイート見た時「やばい(やばい)」って思いましたからねえ(遠い目)」
アーサー「完全にヤバいんだよなぁ…(震え声)」