二次創作小説(新・総合)
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.176 )
- 日時: 2020/06/22 20:42
- 名前: 琴葉姫 (ID: FyzG1Vo4)
イデエレ馴れ初め文通話、これで完結です!果たしてイデアとエレちゃんはどうなるか!?どうぞよろしくお願い致します!
想いを伝える言葉 後編(終)
ある日のノウム・カルデア。
ラスベガスのレイシフトから帰還し、マスターに挨拶してその場を去ったのは…エレシュキガルだ。
そして、最近日課になっている…
エレシュキガル「マーリンいる!?」
マーリン「ああ、来ると思ってたよ。これでしょ?」
袖の中から一つの封筒を取り出し、エレシュキガルに渡す。
それを受け取ったエレシュキガルは、キラキラした表情でそれを見つめた。
まるで恋する乙女だなぁ…と他人事のようなことを心の内に秘める。
エレシュキガルがイデアに手紙を書き、イデアにそれを渡し、しばらくして彼から手紙が帰ってきたことに、エレシュキガルは文字通り踊りだすくらい喜んだ。
そんな彼女にイシュタルは揶揄うような言葉を掛けたが、そんなこと聞いてないようで幸せそうな顔で手紙を持って行った。イシュタルのポカンとした表情を見てギルガメッシュ(キャスター)とエルキドゥが想像も出来ないくらいに爆笑していたのも、エレシュキガルは知らなかった。
エレシュキガルは早々に手紙を熟読した。
内容は、挨拶と手紙を貰えてとても嬉しいという言葉から始まり、最近はゲームのイベントをしつつ忙しくもそれなりに学園生活を楽しんでいると書かれていた。
それに加え、今働いているラスベガスという場所での仕事はどのようなものか、こちらで開催されている夏の行事のこと、そして弟のオルトも自分含めエレシュキガルに会いたいという詞も書かれていた。
それを読んだエレシュキガルは目尻に涙を溜めるほどに歓喜した。彼が私に手紙を返してくれた…!その事実だけで、エレシュキガルは心が満たされているのを実感する。
すぐさま返信の手紙を書いて、翌日再びマーリンに渡して欲しいと頼んだ。
そして数日開けて、また返信の手紙が返ってくる。
どの手紙も丁寧な言葉で、親切に自分のことやあった出来事を話してくれる。
形となったそれを毎日毎日読み返して、宝物のように保管するエレシュキガルを見て、マスター達も職員達も微笑ましくほっこりした気持ちになった。
そして先程マーリンから受け取った封筒の封を開け、ドキドキしながら内容を見る。
○●○●○
拝啓、エレシュキガル様
再びお手紙を頂きありがとうございます。大切に読ませていただきました。
ラスベガスというカジノ街の仕事は落ち着きましたでしょうか。
颯爽とお金を稼ぐエレシュキガル様は想像するだけでもカッコイイです。願わくば、僕も近くで見てみたいものです。
こちらは最近、遊んでいるネットゲームで新しいイベントが開催されて色々と頑張っています。
学校の方も頑張って勉強しています(目立つ消し跡が残っている)。
それとこの前、飛行術の授業でいつもより高く飛べて、自己記録を更新しました。
このようなことではしゃぐなんて子供みたいですよね。もっと頑張って、エレシュキガル様に胸を張って報告できるような成果を出したいです。
長々と申し訳ありません。またお手紙でお話出来ると嬉しいです。
そしていつか、あの時のように直接会ってお話できることを楽しみにしています。
敬具
イデア・シュラウド
○●○●○
エレシュキガル「ふふ…」
彼の手紙を読み、笑顔が綻ぶ。字は拙くも、自分のために頑張って書いてくれたことが窺える。
ゲームを楽しむ彼も、学校の勉強に一生懸命な彼も、手紙を読むたび一つは必ずある卑屈な言葉も、何かもエレシュキガルにとっては愛おしいものだ。
私も、早くまた会いたいなぁ…。
…と思っていたところに
エピデンドラム「エレちゃん嬉しそうだね~」
千桜「だね~♪」
エレシュキガル「ひああああ!?」
背後から、カルデアのマスターであるエピデンドラムと兎川千桜に声を掛けられエレシュキガルは悲鳴と共に飛び跳ねた。
二人だけでなく、申し訳なさそうにこちらに苦笑いしているマシュ・キリエライトもいた。
彼女達を見てぱくぱくと口を開閉するエレシュキガルを見て、マシュは弁解した。
マシュ「あ、あのすみません!お楽しみのようでしたので、声を掛けようか悩んだのですが…!」
千桜「だってエレちゃん、イデアって人から貰った手紙読んでる時すっごい可愛いんだもん♪」
エピデンドラム「ねー?提案してくれた香子ちゃんに感謝しなくっちゃ」
マシュ「(手紙を渡して持ってきてくれるマーリンさんにもした方がいいのでは…と私が言っても意味ありませんよね…)」
謙虚な姿勢のマシュと違い、千桜とエピデンドラムはニヤニヤと笑っている。
そんな二人に対してエレシュキガルは目を丸くし、顔を真っ赤にした。彼女が顔を赤くするのは何回目だろう。もう思い出すのも億劫だ。
エレシュキガル「あ、あああああ貴方達!!!そんなことよりも早く明日のレイシフト会議は早いのだから、早く寝なさい!!!」
エピデンドラム「はいはーい、明日もまたQP稼がないとねぇ」
千桜「素材も集めないと!じゃあねエレちゃん!」
マシュ「あ、あのっ、失礼しました…!」
嵐のように現れて去っていった3人を見送り、エレシュキガルは再び手紙に向き直った。
そして…再び彼を思い出して微笑むのだった。
*~*~*~*~*~*~*~*
マーリン「はーあ、今日も今日とてイグニハイド寮に行かなきゃなんないのか…」
グリム「そのエレシュキガルって奴も、イデアって奴もよく飽きないんだゾ」
マーリン「まぁそうなんだけどね。…エレシュキガルの様子は知ってるけど、イデア先輩がどんな感じなのか興味があるなぁ…むふふ」
グリム「え、笑顔が気持ち悪いんだゾ…」
今日も今日とて、マーリンはグリムと共にイグニハイド寮へ向かっていた。エレシュキガルの手紙をイデアに渡すために。
最早彼もこれが日課のようになっていた。
とは言っても、必ずエレシュキガルは手紙が帰ってきた翌日に手紙を書くのだが、イデアは少なくとも2、3日かかる。一番長かったので一週間くらいだ。必ず返事が返ってくるのは幸いだ。じゃないとエレシュキガル落ち込むし、返事が来るまでものっすごいそわそわしてるし。その様子も面白いんだけどね!とマーリンは「愉悦部」並なことを思っているのだが。
最早オンボロ寮と同じくらい見慣れたイグニハイド寮の中に入る。そしてこちらに駆け寄ってくる人物が一人。オルトだ。
オルト「マーリンさん!…とグリムさんも!エレシュキガル様から兄さんの手紙を届けに来たんだね!お疲れ様!」
マーリン「やあ。まるで予測していたかのようだね」
オルト「ようじゃなくて、本当に予測していたんだよ。今までの傾向からエレシュキガル様からのお手紙は兄さんが手紙を出した翌日に100%返って来てるし、放課後のこれくらいの時間帯にマーリンさんが来てくれるから」
マーリン「そ、そうなんだ…。あ、はい。これね」
オルト「確かにお預かりしました。責任を持って兄さんにお渡しします」
マーリン「うん。こっちこそありがとうね。それじゃあ」
グリム「じゃあな~」
玄関の自動ドアが開き、そこから出ていくマーリンとグリムの背中を見送って、オルトは嬉々としてイデアの部屋に向かった。
イデアの部屋。
ネットゲームをしているイデアは、何故かそわそわと無自覚に貧乏ゆすりをしている。
今日は自分の勘が間違いなければ、エレシュキガルから手紙が来る日だ。彼女は必ず、自分が手紙を出した翌日にお返事をくださる。
今日はどんな言葉が返ってくるのだろう。あんなことを書いて変な気持ちになってしまわれてないだろうか。
ソシャゲのチャットやスマホアプリのメッセージでは一切こんなことを思わないはずなのに、彼女はいつも自分の心を良くも悪くも動かしてくる。いや、ご褒美ですけどね!?
ベットの下…床には、大量の丸まった紙や破れた紙が散乱している。
これらは全て、エレシュキガルに宛てての手紙の没だ。
まずはシャープペンシルで下書きをし、それを消してボールペンで清書する、という筆記方法を使っているのだが、誤字をした際消しゴムをかけると勢い余って紙が破れたり、清書する際は手が震えて変な方向にペン先が走ったりして慣れない筆記に四苦八苦している。
それに加えて簡単に漢字に変換できるデジタルと違い、ネットで漢字を調べてそれを見真似で書くくらいの手紙初心者レベルだ。汚すぎて死にたくなるレベルの字も、今はマシになった。…と思いたい。
来るのか、来ないのか、多分そろそろ…。
と思っていると、部屋の扉がノックされる。その音にびくっと肩が跳ねた。
オルト「兄さん、僕だよ。マーリンさんがエレシュキガル様からの手紙を持ってきてくれたよ」
その言葉に、弾かれるようにドアを開けた。
そして、手紙を受け取る。
急いで中に入ってゲームからログアウトし、机に向かう。
ああ、また宝物が増えた。イデアの口角が上がる。
イデアはエレシュキガルから貰った手紙を全て、大切に机の引き出しに保管していた。
毎日寝る前に読み返して、美しい彼女のことを思い出す。手紙の執筆同様、イデアの日課になっていた。
ここまで来ると拙者キモストーカー過ぎでは…?と思いつつ、健全な青少年だからと言い訳して辞めなかった。
いつもの封蝋を割きいつもの上品な封筒から、いつものシンプルな便箋を取り出す。
そして相も変わらず綺麗な形で羅列されている詞を、胸に刻みつける。
○●○●○
拝啓、イデア・シュラウド様
お返事ありがとうございます。こちらも大切に読ませていただきました。
ラスベガスでの仕事はもうすぐでひと段落すると思いますが、すぐまた新しい仕事が舞い込んできそうです。もしかしたら、私も…出世?して色々楽しいことが出来るかも知れません。あくまでもしかしたら、ですけれど。
最近は梅雨でじめじめとして、それと同時に熱くなってきましたね。イデア君が熱中症等で体調を崩したりしないか心配です。
水分補給や塩分補給はこまめに摂ってくださいね。我々も外で仕事をする身。気を付ける所存です。
ゲームに熱中することも良いと思いますが、睡眠や食事もしっかり摂ってくださいね。
そして学校の授業での、飛行術の自己記録更新おめでとうございます。自分のことと同じくらい嬉しいです。
全部イデア君が努力して頑張った結果実った功績です。そのように自分を過小評価せず、私のことなんて考えないで、イデア君のペースで無理なく頑張ってください。
私は、イデア君を応援しています。
長くなりましたが、今回はこれにて失礼します。
私も、早くイデア君とまた直接お会いしたいです。創造主・琴葉姫にも進言しておきますね。
略儀ながら、次のお返事まで。 敬具
エレシュキガル
○●○●○
イデア「フフフ…」
口角が上がり、その中から笑みの言葉が零れる。…その笑みは傍から見たら結構怖いものなのだが、彼にとってはこれほどまでもない喜の感情なので、見逃してあげて欲しい。
嗚呼、今日もエレシュキガル様はお優しい。字が綺麗…。
そして、彼女の指で書かれた自分の名前を眼が、脳が視認するたび、イデアはこの上ない幸福感に包まれる。
こんなに幸福でいいのだろうか…。
───いいわけがない。
イデアは机に転がっている便箋とペンを用意して向き合う。
如何なる"運命"も
いつしかは"終わり"を迎えるものなのだから───。
おおっと…?
感想まだ
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.177 )
- 日時: 2020/06/22 20:47
- 名前: 琴葉姫 (ID: FyzG1Vo4)
マーリン「やぁエレシュキガル」
エレシュキガル「…?あら、マーリンじゃない。私に何か用かしら?さっきレイシフトから帰って来たばかりなのだけど」
廊下でマーリンに声を掛けられ、ジト目で彼を睨むエレシュキガル。
「心外だなぁ」と大袈裟かつ大根役者並の演技で悲しむ芝居をするマーリンに、更に苛立ちが増す。
エレシュキガル「用がないならさっさと行ってくれる?私、貴方と違って忙しいのだけど」
マーリン「えー?カルデア一の過労死サーヴァントにそんなこと言っちゃうの?じゃあこれはいらないのかな?」
そう言って、袖の中から一つの封筒を取り出した。それを見て、エレシュキガルが目を見開く。
なんせ、それは見慣れているものなのだから…。
エレシュキガル「そっそれっ!!!イデア君からの…!?」
マーリン「今日は早めにイデア先輩が書いてくれたみたいでね~。喜ぶかと思ったんだけど、エレシュキガル忙しいみたいだしまたお手隙の時にでも…」
エレシュキガル「まっ待ちなさい!!誰もいらないなんて言ってないのだわ!は、早く寄越しなさい!」
マーリン「えー?それが人にものを頼む態度なの…」
エレシュキガル「魔理沙ー!このグランドろくでなしが貴方の悪口言」
マーリン「そう言う手使うのずるくない!?普通に欲しいって言ってよ!はい!!!」
エレシュキガル「最初からそうすればいいのだわ、全く」
マーリン「君もそういう卑怯な手を使うようになったのか…悲しいなぁ」
エレシュキガル「貴方はもっと素直になりなさい。…いや無理なこと言ってしまってごめんなさいね?」
マーリン「ひどくない???」
マーリンから手紙を貰って早々に別れたエレシュキガルは、いつものようにうきうきとした気持ちで手紙を読む。
今日はどんなことが書かれているのかしら。どんな出来事があったのかな。
わくわくと手紙の内容を読む。
その中身を見て───
○●○●○
拝啓、エレシュキガル様。
お返事ありがとうございます。でも、これが僕からの最後の手紙です。
僕は、貴方に謝らなければならないことがあります。
僕は貴方が思っているような立派な人間ではありません。
貴方の好意を、真っ当に受けていい奴じゃないんです。
エレシュキガル様が僕なんかと文通していては、エレシュキガル様の品位・価値を下げてしまうことになりかねません。
いきなりこんなことを書いて失望しましたよね。
どうか、そのまま失望してください。僕には、貴方から優しくされる資格なんてありませんから…。
だから、どうか
僕のことはお忘れください。
イデア・シュラウド
○●○●○
エレシュキガル「え………?」
表情と言葉を失った。
また最初から最後で読み返す。何度も何度も読み返しても、同じことが書かれていた。
どうして?何故急に?前書いた文に何か気に障ることが?
どうして?どうして、どうしてどうしてどうしてどうして!?
エレシュキガル「っ…!」
手紙に生温かい滴がぽた、ぽたと零れ濡らす。
脳がキャパをオーバーし、昂る感情を抑えられずエレシュキガルは息を殺して泣いた───。
あれから翌日のノウム・カルデア。
エピデンドラム「エレちゃん、何かあったのかなぁ…」
陸奥守(姫テラ)「かなり落ち込んじょったのう…」
千桜「どうしたんだろ…?」
昨日から、明らかに様子のおかしいエレシュキガルに、マスター達は彼女を心配していた。
朝食では飲もうとして傾けたコップから水が零れて全部膝が飲んでいたし、声を掛けても心ここにあらずと言った感じだった。
自分達が心配しても「大丈夫…うん、大丈夫なのだわ」と死んだ目で、人形のように繰り返していた。
エピデンドラム、陸奥守(姫テラ)、千桜が未だに心配する中、中也は
中也(文スト)「…別に彼奴だって餓鬼じゃねえ。立派なカルデアのサーヴァントだろ。過保護なだけじゃ、彼奴も成長しねえよ」
千桜「中也さん、なんか言ってること矛盾してない?」
中也(文スト)「あ゛あ゛!?うっせ!それより今日もラスベガス行くぞ!」
エピデンドラム「はーいはい。あーいつになったらバカンス出来る水着イベが…、…あれ?マーリン?」
4人は挙動不審気な…マーリンを見つける。
彼らしくもなくびくっと肩を跳ね上げ、こちらに苦笑いしてやって来た。
マーリン(?)「や、やぁマス…ター・エピデンドラム」
エピデンドラム「え、いや、こんなとこで何してんの?いつもだったら学校行ってるんじゃ?」
マーリン(?)「そ、そうなんだよ!ちょっと急いでてね。それで…どっちだっけ?」
エピデンドラム「はぁ?」
マーリンの変な態度に、エピデンドラムはもちろん、目ざとい陸奥守(姫テラ)と中也は当然、おつむの弱い千桜も違和感を持つ。
そうは思いつつも、エピデンドラムは親切に教えた。
エピデンドラム「何言ってんの?マーリンがいつも学校に使っているゲートはドッグ傍の7番ゲートだよ?」
マーリン(?)「あ、そ、そうだったね!いやぁ私としたことが!教えてくれてありがとう!」
エピデンドラム「え、待ってマーリンが素直にお礼言うとかどういう…!?ってあ、待って…行っちゃった…」
エピデンドラムの言葉を聞いて、マーリンはドッグの方へ走っていった。
マーリンらしからぬ言動に4人は驚き、彼が去っていった方向を見つめていた…。
中也(文スト)「なんだぁ?彼奴…」
陸奥守(姫テラ)「なんちゅうか、マーリンらしくんかったきに」
千桜「うん。あれはどちらかというと…うーん…?」
マーリン「あれ、君達何してるの?」
魔理沙「なんか鳩が豆鉄砲を食ったような表情してるのぜ」
千桜&エピデンドラム&陸奥守(姫テラ)&中也(文スト)「は!?!?!?」
マーリン「うおっなに!?」
魔理沙「わ、な、なんなんだぜ…?」
先程ドッグに向かって行ったはずのマーリンが、魔理沙と共に全くの逆方向から来たのだから4人は驚愕した。
驚くマーリンのことなど構わず、4人は彼に詰め寄った。
千桜「ちょっちょっと待って!?マーリン、さっきドッグの方へ行ったよね!?」
マーリン「え、何言ってんの?私、さっきまでマスターと種火周回行ってたんだけど?」
中也(文スト)「…は???」
魔理沙「一通り終わって、マーリンを送りがてらラスベガスのレイシフトに同行しようと思ってたんだが…」
陸奥守(姫テラ)「…ほにゃ、あのマーリンは…?」
…沈黙がその場を支配する。
マーリンが恐る恐る、先程の4人に問いかける。
マーリン「…その、さっき君達と会っていたという私は、何故ドッグへ?」
エピデンドラム「え、いや…いつも通り学校に行くって言うから…教えて………」
全員の顔から血の気が引く。
これは…やばい!!!
その場にいる者全てが確信した。
マーリン「そっその私絶対エレシュキガルだよ!!!私に変装してイデア先輩に会いに行く気だ!!!!!」
魔理沙「は、早くお前も7番ゲートをくぐってあっちへ行け!」
千桜「私琴葉姫さんに連絡してくるーーーー!!!」
…自分のせいでノウム・カルデアがパニックに陥っていることなど、エレシュキガルには到底想像できるはずがなかった…。
*~*~*~*~*~*~*~*
そして、肝心の原因であるエレシュキガル(※姿はマーリン)と言えば…。
エレシュキガル(姿はマーリン)「(ど、どうしよう…!イデア君、どこにいるのかしら…!?)」
広い中庭で、迷子になっていた。
茂みに身を隠して、辺りを見回す。
生徒はそこそこいるが、あの美しい蒼い炎の髪は当然見当たらない。
い、今の私の姿はマーリンなのだから、マーリンを装って訊けば…で、でも緊張する…!マスター達みたいにひっかかってくれるのかしら…と、考えているときだった。
エース「あれ、マーリンじゃん。何してんのんなとこで?」
デュース「かくれんぼでもしているのか?」
エレシュキガル(姿はマーリン)「ぴゃっっっ!?」
エース「うわビビったっ!?」
デュース「お、お前でもそんな声出るんだな…」
不意に二人組の男子生徒に声がかけられた。彼らはマーリンと知り合いのようで、親し気に話しかけてくる。
背後から不意を突かれ、情けない悲鳴を上げてしまったエレシュキガル(姿はマーリン)に、二人の男子生徒…エース・トラッポラとデュース・スペードは驚愕した。
そして、挙動不審でおどおどしている目の前の人物に首をひねる。
エース「どうしたんだよー、お前らしくねえな。なんかあったか?」
デュース「先程の行動と言い、エースの言う通りお前らしくないぞ」
エレシュキガル(姿はマーリン)「え、あ、あああ、あう…」
エース「え、なんて???」
どうしようどうしよう、こんなに早くピンチを迎えるなんて…!
で、でも私は諦めないわ、イデア君に会って話をするまで!…でもこの状況をどう乗り越えればいいの!?
打開策を考えようにも頭の中がぐるぐるして考えがまとまらない。あああ、どうすればいいのだわー!?
デュース「お、おい、本当に大丈夫なのか?保健室に…」
エレシュキガル(姿はマーリン)「だ、だいじょう…はっくしょん!」
ぼんっ
エース&デュース「えっ」
エレシュキガル「だ、大丈夫だから!気にすることない…ん?」
エースとデュースの顔が驚愕に染まっている。え、何?どうしたの?
わなわなと震え、こちらを指差し…叫んだ。
エース&デュース「マーリンが女の子になったぁぁぁぁーーー!?!?!?」
エレシュキガル「え、えええええええええ!?!?!?」
エース「いやなんでお前が驚いてんだよ!?いやそりゃ驚くわな!?」
慌てて自分の手を目に移す、そして足元、そこから徐々に上まで見通す。それは白い装束ではなく、見慣れた脚やドレスのスカートだった。
エレシュキガル「(嘘でしょ!?変装が溶けてる!?なんでぇ!?)」
…期待を裏切らないポンコツっぷりを自分の知らない人物二人に披露し、更に脳がぐちゃぐちゃと搔き乱される。
そして当然、騒ぐのは彼女達だけではなく…
「お、おい、誰だあの子!?」
「男子校のナイトレイブンカレッジに、女の子…?誰かの彼女か…?」
「てか、あの子超可愛くね?」
「あんな可愛い子が男だとしたら、俺はもう何も信じられなくなるぞ…」
「寮長並のお美しさ…いったい誰なんだ…!?」
「是非、お近づきになりたい…!」
「うわ、コラ押すなー!」
エレシュキガル「な、なんか人がいっぱい来てるのだわー!?に、逃げるわ!」
エース「え!?ちょ、おい待て…ってうわー!?」
デュース「れ、列車の如く生徒達が雪崩れ込んで…うわぁぁぁぁぁ!!!」
巻き込まれたエースとデュースに心の中で謝罪し、エレシュキガルはその場から逃げたが、それでも女性に飢えている生徒達は彼女を追いかけ続けた…。
「いたか!?」
「いや…」
「せめて、お話くらいはさせて欲しいな…」
エレシュキガル「もううう…!一体何なのよ…!」
建物の物陰に姿を隠して、自分を探している彼らが去るのを待ち続ける。
体感だけでもかれこれもう半時間は経過している。自分はそれどころじゃない、早くイデアを見つけて話をしなければいけないのに。
で、でもどこに…。
頭を悩ませているときだった。
ふと茂みの奥に鮮明な、蒼い炎を見つけた。
それは、ずっとずっと焦がれていた、彼と同じもので…
思わず駆け出して、"彼"の元へ向かった。
そして、…腕を掴んだ。
エレシュキガル「イデア君ッ…!!」
オルト「え…?」
イデアだと思っていた人物は、彼と同じ色をした髪色を持っていたが、随分と背が小さく機械のような姿をしている少年だった。
「あ…」と言葉を溢してから、慌てて少年の腕を解放して謝罪する。
エレシュキガル「ご、ごめんなさい!人違いだったのだわ…!」
オルト「い、いえ…でもこの学園にどうして女性が…それに兄さんのこと…(…この人、なんだか不思議な気配がする…)」
エレシュキガル「…え、に、兄さん?」
オルト「え、う、うん」
エレシュキガル「あ、貴方もしかして、イデア君が言ってたオルト君!?」
オルト「ッ…!?ま、まさか…貴方がエレシュキガル様ですか!?」
エレシュキガル「オルト君も私のこと様付けなの!?って、それは今はどうでもいいのだわ!」
オルトと同じ目線で屈み、深々と頭を下げる。それを目の当たりにしたオルトは狼狽え顔を上げるように懇願した。
オルト「ど、どうか頭をお上げください!な、なんで僕に…!」
エレシュキガル「お願い!イデア君に会わせて!彼と…話がしたいの!」
オルト「……………」
その言葉にオルトは黙っていたが、しばらくして「こちらです」とエレシュキガルに手を差し伸べた。
オルト「兄さん、今まで頑張って授業に出ていたのに、急にまた部屋に引きこもっちゃって…きっとエレシュキガル様と会えば、元気が出るはずです」
エレシュキガル「え………」
部屋に引きこもった?しかも、また?
オルトの言葉に思うことは色々とあるが、自分がすべきことは…ただ一つ。
エレシュキガル「…ええ。まかせて」
…"運命"にも"最期"はある。
しかし
───それは、"今"では決してないのだ。
イデエレの行方は…!?(おい)
感想まだ
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.178 )
- 日時: 2020/06/22 20:56
- 名前: 琴葉姫 (ID: FyzG1Vo4)
イデアの部屋。
部屋の主であるイデアは…ベットの上で、毛布を頭からかぶって体育座りをしている。
ずーんという擬態語が付くくらいの落ち込み用を見せるイデアを心配する者も咎める者も、ここには誰もいない。
───…あれで良かったんだ。
イデアがあのような手紙を書いた理由。それは、自分等がエレシュキガルと親しくなっては彼女が汚れると思ったからだ。
自分のような存在が、エレシュキガル様という尊い存在に好意…もしくはそれに似たような感情を向けられるなど、許されないことだ。エレシュキガル様本人が許しても、自分自身が許せない。
毎日自分の拙く幼稚で独り善がりな詞に、彼女は優しく真摯に返してくれる。それはイデアの心を何度も潤した。
だから、彼女に胸を張って一緒にいられるようになりたいと、毎日授業も頑張って、大嫌いな飛行術の授業もあのバルガスですら驚愕するほどに努力した。
でも、そんな中でもやはり思い知らされるのだ。
自分なんかのせいで、エレシュキガル様のお手を煩わせるなんて…と。
心優しく慈悲深い彼女はきっと、ずっと自分に付き合って手紙を送ってくれるだろう。また会って話をしてくれるだろう。
でも…自分にそんな資格なんて…ないのだと。
彼女を思えば思う程、その黒い膿は無尽蔵に創造され…やがて溢れ出してしまった。
…彼女はあんなことを書いた自分に、失望しただろう。
もしかしたら心を痛めているかもしれない。自分が彼女を傷つけた。それは、最も重き咎だ。
頭の隅では分かっている。これは僕のエゴだ。そんなことで、彼女を傷つけた。
だから…僕にはエレシュキガル様に会う資格なんて…ない。
ドンドン!
急に乱暴に叩かれるドアに、イデアははっとして跳ね上がる。被っていた毛布が、くしゃりとベットの上に落ちる。
どうした、誰だ?オルトか?何をそんなに…
しかし…ドアの向こうから発せられた声に、イデアの心臓が飛び跳ねる。
「イデア君!いるの!?」
忘れるわけがない。あの美しいお声を。
ずっと聴きたかった、美しい音を。
イデア「え、エレシュキガル様っ…!?」
思わず声が上擦る。どうして、どうして彼女が!今ここに!?
オルト「兄さん、エレシュキガル様が来てくれたよ。早く会ってあげて」
オルトの声も聞こえる。そばにいるのか…!?もしかしてお前が連れて…!?
混乱状態のイデアのことなど知らずに、再びドアが乱暴に叩かれる。ドンドンと大きく音を立て微動するドアから目が離せられない。
エレシュキガル「どうしたの!?体調が悪いの!?大丈夫!?」
エレシュキガルが心配そうに訊いてくる。
どうして、貴方は僕の手紙を読んで傷ついたはずなのに、どうして僕の心配をしてくる?どうして!?
イデア「だ、大丈夫、です…それよりエレシュキガルがどうしてここに…」
エレシュキガル「え!?あ、あー!ちょっと用事があって!それよりイデア君、私貴方と話がしたいの!部屋に入ってもいい?」
用事があってだなんて明らかに嘘だ。まさか、僕に会いに来るためだけに?そんな馬鹿なことが?
本当なら、すぐにでも顔が見たい。またあの時のようにお話がしたい…!
…でも………自分にそんな資格なんてない。
イデア「ごめんなさい、それは出来ません」
エレシュキガル「…ど、どうして…?」
イデア「…僕は、エレシュキガル様と一緒にいてはいけないんです」
オルト「え…」
僕の言葉を聞いて、ドアを叩く音がぴたりと止む。
そして、沈黙が場を支配した。
そうだ、これでエレシュキガル様も僕に失望して、帰ってくれる。
そう憶測を立てていた時だった。ドアの外でオルトが驚愕したような大声で叫ぶ。
オルト「え、エレシュキガル様!?そ、それは一体…!?」
エレシュキガル「ごめんねイデア君!ちょっと扉が使い物にならなくなっちゃうけど、すぐ修理するから!」
…………………………はい???
え、何が起きるというのです???唖然とドアを見つめる僕は、すぐにあまりの驚愕を覚えることになる。
エレシュキガル「冥界の…赤雷よ!!」
オルト「エレシュキガル様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
バギッと大きく鈍い音を立て、ドアが巨大な衝撃を受け崩壊した。
イデア「くぁwせdrftgyふじこlp!?!?!?」
あまりの衝撃に、言葉にならない叫びがイデアの口から木霊する。
呆然とするイデアを尻目に、エレシュキガルが部屋の中に入ってイデアに駆け寄る。
そして………
エレシュキガル「ごめんなさい!」
床に膝をつき頭を地面に擦り付けた。…所謂、土下座だ。
唖然としていたイデアとオルトだったが、エレシュキガルの行動を見てぎょっとして慌てて懇願する。
イデア「や、やめてください!そんな、どうして…!」
エレシュキガル「無理を言って手紙を書かせてごめんなさい!そのせいで、イデア君に嫌な思いをさせて…本当にごめんなさい!いけなかった言葉を使っていたのなら謝るから!どこが悪かったか言ってくれれば今後直すから…!」
その言葉に、イデアは目を見開く。
何故、貴方が謝るのだ。僕みたいな奴に。だって、僕のせいで、貴方は…。
イデア「…どうして、貴方が謝るの。悪いのは、僕、なのに…」
エレシュキガル「何言ってるのよ!悪いのは私なのだわ!私が…!」
頭をこすり付けて謝罪し、涙を流すエレシュキガルは痛々しいことこの上なかった。
イデアの心の中を、罪悪感が満たす。どうして、全部僕が悪い、僕が自分勝手で貴方を傷つけたのに!!
イデア「…エレシュキガル様は、僕がうざくないんですか?」
エレシュキガル「うざいって…?」
イデア「だって僕、エレシュキガル様への手紙にあんな子供みたいな字で子供じみたこと書いて、小学生の絵日記の方がよっぽどしっかりしてるレベルだし自分のことばっかりで…僕なんかがエレシュキガル様のような尊い存在にそのように気を使わせるなんてうざすぎる!!僕にはエレシュキガル様から好意を受ける資格なんてないのに!!」
エレシュキガル「…はへ?」
エレシュキガルの口から発せられたのは、素っ頓狂な声だった。
ようやく頭を上げ、彼女は気の抜けたように表情を変えた。
エレシュキガル「なんだ、そんなことか…」
イデア「そ、そんなこと!?」
イデアの葛藤など一蹴し、エレシュキガルは彼の顔を覗き込んだ。
エレシュキガル「私はイデア君の言葉の一つ一つが、とても愛おしいわ。ゲームや勉強を頑張っている言葉も、授業で評価されて私に報告してくる言葉も、私の名前を呼ぶ言葉も…何もかもが宝物よ」
イデア「っ…!」
エレシュキガル「私の手は冷たくて、イデア君が夢見るような立派な存在じゃないけど…どうか、」
───どうか貴方の方から離れないでほしい。
目を潤ませ自分の手を愛おしそうに握る彼女に、罪悪感が溢れ出す。
嗚呼、彼女の心を傷つけたうえそのような顔をさせるなんて…!死後の沙汰は生半可なものではない。
そして、先程まで黙って控えていたオルトが、黙って部屋の中に入ってくる。
そして、イデアの机の引き出しを開けた。それを見たイデアは声を荒げる。
イデア「ッ!ま、待ってオルト!そこは…!」
オルト「兄さん。僕は知っているんだよ。ここに、エレシュキガル様からの手紙を大切にしまって毎日寝る前に読み返してるの」
イデア「ああああああ…!!!」
エレシュキガル「…え?」
その手紙を一枚手に掴んで、イデアに手渡す。
オルト「兄さん、手紙を書くためにいっぱい頑張ったじゃないか。なのに急にやめちゃったら駄目だよ。いっぱい悩んで、最終的に決めたことかもしれないけど…どうか、そんなに自分を責めないで」
彼女同様、心優しい弟の言葉に、イデアはエレシュキガルに向き直った。
イデア「………エレシュキガル、さま」
エレシュキガル「…ええ」
イデアがエレシュキガルの手を両手で握り返す。
瞳からは、とめどなく涙が溢れ拳に零れた。
イデア「ど、どうかっ…!エレシュキガル様が許す限りは、そばに、いさせて、くださいっ…!」
その言葉に、エレシュキガルも涙して微笑んだ。
エレシュキガル「ええ、ええ。大切な、ただ一人の親愛なるブドウの実。その瑞々しさを、いつまでも守らせてね」
その光景に、オルトも思わず涙ぐんだ…。
「ごほん」
イデア「えっ」
エレシュキガル「えっ」
オルト「あっ」
背後の破壊された扉から咳払いが聞こえ、思わずそちらを向くと…。
クロウリー「お楽しみのところたいっへん申し訳ないのですが」
イデア「がっ、が、」
オルト「学園長!?」
エレシュキガル「えっ学園長!?」
マーリン「私もいるよ~」
エレシュキガル「えっあっま、マーリン!?!?!?」
怒った表情で仁王立ちをしこちらを見降ろすペストマスクを顔に被った男性…学園長・ディア・クロウリーとその後ろからひょっこりと顔を出しエレシュキガルをニヤニヤと見るマーリンに、三人は言葉が出ない程驚愕している。
しかしそんな彼ら彼女らを気にせず、クロウリーは有無を言わさない笑顔で
クロウリー「貴方達、学園長室に来てくれますね?」
イデア&エレシュキガル「…はい」
二人は、そう答えるしかなかった…。
*~*~*~*~*~*~*~*
学園長室。
発端のエレシュキガルとイデアはクロウリーの立つ前で正座させられ、今回の騒動のことで説教されていた。
傍らにはマーリンが苦笑いしながら控えている(オルトは難を免れ、グリムは面倒ごとの気配を察知して逃げた)。
足が痺れ苦い顔をする二人など構わずに、騒動のことについて言及される。
クロウリー「全くエレシュキガルさんのせいで生徒達が暴徒と化してしまって学園としては機能しなくなってしまって…(ぐちぐち)」
エレシュキガル「ご、ごめんなさい…」
イデア『は?学園長とは言えエレシュキガル様に説教とか何様ですかね?処す??』
クロウリー「シュラウド君はお黙りなさいっ!」
イデア「ヒエッ」
マーリン「あーあー…」
学園長に対しては相変わらずタブレットで言葉を発しているイデア。エレシュキガルに対しては自分の口から会話して成長したかと思えば、そうでもなかった。
しかしクロウリーは人差し指を顎に添え何やら呟く。
クロウリー「全く、先程のシュラウド君はちゃんと会話出来て謝罪すらしていたのに…」
マーリン「そりゃほら、イデア先輩にとってエレシュキガルは特別だし」
イデア&エレシュキガル「なっ!?」
マーリンの言葉に、イデアとエレシュキガルは顔も真っ赤にして弁論する。
イデア「いやいや何言ってんですかね監督生氏!?そりゃあ拙者にとってエレシュキガル様は特別ですぞ当たり前だけど!」
エレシュキガル「え、あ、あう…(ぷしゅうう…)」
イデア「えっエレシュキガル様ご無事あででで…!あ、あじがじびれる…!」
マーリン「ふむ…」
マーリンが考えるような素振りを見せる。
しかしすぐに閃いたと言わんばかりに手をポンと置く。
そして、学園長であるクロウリーに一つの"提案"を促した。
マーリン「エレシュキガルもこの学園に通ったらどうかな?」
クロウリー「えっ」
イデア「えっ」
エレシュキガル「えっ」
その提案にクロウリーだけでなく、イデアとエレシュキガルも目を丸くした。
真っ先にリアクションを見せたのは…エレシュキガルだ。
エレシュキガル「はっ…はぁぁぁぁぁぁぁああ!?貴方、急に何を言い出すのかしら!?」
マーリン「エレシュキガルにとっても悪い案じゃないと思うけどなあ。毎日イデア先輩と青春な学園生活を送れるよ?」
イデア「えっ…エレシュキガル様と…学園生活…!?」
エレシュキガル「えっ…い、イデア君…?ちょっと…え、ちょっとイデア君!?」
イデアの意識がどこかに飛ばされたように固まる。それにエレシュキガルは必死に彼の肩を揺らすが、意識はまだ戻らない。
エレシュキガルの耳に「ほわんほわんしゅらうど~」という言葉が聞こえた気がするが、気のせいだ。
当然、クロウリーはその提案を飲むわけにはいかなかった。
クロウリー「ま、待ちなさいマーリン君!この伝統ある男子校である学園に女生徒を通わせるわけには…!」
マーリン「えー?そういうの男女差別じゃない?女の子は魔法士になっちゃ駄目ってこと?」
クロウリー「そういうわけでは…!」
マーリン「それに」
こっそりクロウリーに近づいて、小声で耳打ちする。
マーリン「エレシュキガルがイデア先輩と学園に通えば、彼女を通して引きこもり気質が治るかもしれませんし。学園長もご存じでしょう?エレシュキガルが絡んだイデア先輩の底力を」
クロウリー「そ、それは…そうかもしれませんが…」
マーリン「そ・れ・に。可愛い女の子であるエレシュキガルが学園にいるだけで、花になりません?」
クロウリー「………」
マーリン「学園長も、目の保養がしたいでしょう?」
クロウリー「……………………………」
マーリンの悪魔の囁きに、クロウリーが出した答えは…
クロウリー「…分かりました」
エレシュキガル「へ?」
クロウリー「エレシュキガルさんを、ナイトレイブンカレッジの転留生…別世界からの留学生みたいなものですね。として学園に通うことを決定します!私、優しいので!」
イデア「ハッ!な…なんだってー!?」
エレシュキガル「わっびっくりした!って…え、えええええええええ!?!?!?」
クロウリーの宣言に、イデアもエレシュキガルも驚き叫ぶ。
なおマーリンは、某「計画通り」の表情でバレないようにガッツポーズした。
…説教される原因となった騒動の元凶を学園に通わせるとかどういう?という突っ込みはどうかおやめ戴きたい。何卒どうか。
エレシュキガル「えっちょっちょっと待って!この世界とは仮契約なのに、そんなに簡単に決めていいの!?琴葉姫に内緒で…」
琴葉姫「と思うじゃん?ここで創造主である私、参上!!」
イデア「ゲッ…」
琴葉姫「ひどくない?」
エレシュキガル「こ、琴葉姫ぇ!?な、何でいるのかしら!?」
琴葉姫「そりゃエレちゃんが勝手にこの世界に来たって言われたから色々と処理?に。そしたらなんか面白いことになってるし!」
夢交界の創造主・琴葉姫の登場にイデアは汚物を見るような目で琴葉姫を見てるし、エレシュキガルは彼女の登場に驚いているし、学園長室が混沌と化している。
しかしそれに+どころか×で更に混沌化するのが、琴葉姫と言う奴で…。
琴葉姫「エレちゃんもこの学園に通うってことは、マーリンみたいな立場でいいかな。あ、制服も用意しないとなー!NRCの女子制服…ふふふ、腕が鳴るぜ!あ、もちろんこっちも手続しておくんで学園長もオナシャス!」
学園長「ええ!忙しくなりそうですねぇ!」
エレシュキガル「すっごいとんとん拍子で進んでるのだわ!?ほ、本当に私この学園に通うの!?」
琴葉姫「そうだよ(肯定)エレちゃんも息抜き必要だしね!(今後のイデエレのために布石を打っておくのは当然だしな!)」
マーリン「(知 っ て た)」
琴葉姫の心の内を知っているのは、この場で彼女を除けばマーリンだけだった。
クロウリー「ということで、マーリン君。エレシュキガルさんの事を頼みましたよ」
マーリン「えっ」
しかし、クロウリーの言葉を聞いて、マーリンは真顔になった。
そんなマーリンを見て首を傾げ、爆弾を投下したのだった。
クロウリー「転留生のエレシュキガルさんの面倒を見るのは監督生であり、同郷の仲間である君なのですから。エレシュキガルさんにはオンボロ寮に在籍してもらうつもりですし」
琴葉姫「あーうん。私もそのつもりだし」
マーリン&イデア「ファッ!?」
エレシュキガル「え、ま、マーリンと!?」
まさかの事実に、マーリンとイデアは素っ頓狂な声を上げ、エレシュキガルも目を丸くして驚愕している。
当然、マーリンは否定するため抗議する。
マーリン「いやいやいや!?イデア先輩のいるイグニハイドに属した方がいいと思うんだけど!?」
琴葉姫「そうはいかないよ。だってエレちゃんは当たり前だけど闇の鏡に選ばれてない。本来ならお前と同じでこの学校に通う素質がないんだからオンボロ寮にしか入れないよ」
マーリン「え、ええ…」
エレシュキガル「…というわけだから、よろしく頼むのだわ」
マーリン「順応性高いね…ええええ、マジかぁ…」
琴葉姫「というわけだからヨロシクゥ!エレちゃんの転入初日はまた後日、日を改めて知らせるから!」
エレシュキガル「…決定事項なのね」
琴葉姫「うん☆」
イデア「(うっぜぇ(確信))」
エレシュキガル「…なら、仕方ないわね。イデア君」
イデア「ピェッ、ひゃ、ひゃい」
噛んでしまって死にたくなるイデアだったが、エレシュキガルの笑顔を見て全て吹き飛んだ。
エレシュキガル「これから毎日、お話出来るわね!よろしく!」
イデア「…!こ、こちら、こそ…!」
それを見て、マーリンは安心したように二人を見つめていた。
エレシュキガルがナイトレイブンカレッジの制服を着て、イデアのクラスに入るまで…
そして、エレシュキガルが学園のマドンナになり、イグニハイド寮生から女神と崇められるまで…───それは、またの話に。
無事解決…?
おまけみたいなのがあるので感想まだ
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.179 )
- 日時: 2020/06/22 20:59
- 名前: 琴葉姫 (ID: FyzG1Vo4)
没案として、イデアがモストロ・ラウンジ行ってアズール君様に手紙の代筆を頼むけど「それは、イデアさんの手で、意志で、書かれた方がよろしいかと」って言うシーンを妄想してたんだけど長くなりそうだしどう描写したらいいか分からなかったから没に(クズ)
・蛇足
エレちゃんが学園に通うことになって彼女が超気になる子→エース、デュース、ケイト、アズール、ジェイド、フロイド、カリム、ルーク、リリア
能力を買っている→リドル、トレイ、ジャック、ジャミル、シルバー
放っておけない→ヴィル、エペル
どうでもいい→レオナ、ラギー、セベク
おもしれー女…と思っている→ツノ太郎(おい)
子分→グリム
我らが女神(!?)→イグニハイド寮生全員(!?!?!?)
上記の彼ら(我らがry除く)はエレシュキガルに対して恋愛感情は抱いていない。モブにはいっぱいいる←
・蛇足2
フロイドはエレシュキガルのことを「シーラカンスちゃん」と呼ぶ。
理由としてはグレート・セブンの死者の国の王と同格&化石レベルの人物だと聞いたから(支離滅裂な思考・発言)(作者の知識が貧弱なのが窺える())
ちなみにルークの彼女への呼び方は「冥府の女神」と書いて「マドモアゼル・イルカルラ」ネーミングセスンス?いえ、知らない子ですね…。
はい!!!イデエレの馴れ初め文通話はこれにて完結!これからイデエレ成立していけばいいな!!!まぁイグニハイドのメインストーリーが実装されたらどうなるかは分かりませんが!!!(白目)(クズ)
pixivで次の話のアンケートとかもありますが、私の気分によって別の話も投稿されると思います。月恋ス紅花の後編も投稿しなきゃだしね!←
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
感想OK