二次創作小説(新・総合)
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.53 )
- 日時: 2019/01/25 22:47
- 名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: xJq/HYyx)
琴葉姫「今回投稿する小説のせいで花騎士もFGOも出来てねえ(白目)」
アーサー「何やってるんだよ作者ァ!?(某オルフェンズ風)」
琴葉姫「私の身体が一つしかないからね、仕方ないね♂」
アーサー「ええ…(困惑)で、今回は」
琴葉姫「ツキウタ。の如月恋君×フラワーナイトガールのクルクマちゃんのカプです」
アーサー「やっぱり誰も知らないキャラなんだよなぁ…(遠い目)」
琴葉姫「これを機にツキウタ。沼と花騎士沼にハマってください(ダイマ)」
アーサー「4ね」
急に始まるよ~♪(シンフォギアの空耳風)
恋「最近クルクマちゃんの様子がおかしい」
駆「今日初めての会話がそれ?」
ツキウタ。嫁メンバーの共同ルーム。
他のメンバーは仕事などで外出中。
現在共同ルームにいるのはSix Gravityのメンバーである如月恋と師走駆だ。
だが、冒頭の言葉をとてつもなく真剣な表情で告げる恋に、駆は思わず「ああ、またか…」といった表情で先程の言葉を返した。
それに対し恋は…
恋「いやいやもっと深刻そうな顔してよ駆さん!あの可憐で可愛くて心優しくて何もかもパーフェクトな可愛さのクルクマちゃんが!!!いつもの笑顔じゃなくて悩んでるみたいな表情ばっかりしてるんだよ!!!?これは重大な事件だって!!!」
駆「事件て…恋はほんと、クルクマちゃんのこと好きだよね」
恋「だってクルクマちゃんは滅茶苦茶可愛いんだよ!?」
駆「いや、可愛いけど…」
恋の言う「クルクマ」とは、前回登場した(メタ発言お許しください!←)アプリコットと同じ世界に暮らす花騎士の少女のことだ。
アプリコットの所属はブロッサムヒルで、クルクマの所属はバナナオーシャンという国の騎士団なのだが…。
それはともかく、作者の琴葉姫の嫁として加わったクルクマは…一目で、恋の心を奪ったのだ。
それ以来、恋はクルクマに想いを寄せているのだが…如何せん恋がヘタレ故に目ぼしい進展はなく、最終的にクルクマへの想いをこじらせてしまったのだ。
そしてそのクルクマの様子がおかしい、と、恋はパートナー的存在である駆に相談したのだが…
駆「そりゃあクルクマちゃんも人間なんだから、悩むことだってあるでしょ。俺ら男にはわかんない女の子特有の悩みとかかも知れないし…」
恋「うう…そうかもしんないけど…!でもでも!クルクマちゃんが悩んでることがあったら相談して欲しい!」
駆「そう言えばいいだろ」
恋「それが出来たら苦労しない!!!」
駆「ヘタレか!ああヘタレだったな!ヘタレ乙!!!」
恋「ヘタレ言うなぁー!俺だってこんな自分をぶん殴って今すぐクルクマちゃんを励ましたいよーーー!!!うわーーーん!!!」
駆「ああもうめんどくさい…!」
軽く恋をあしらう駆だが、やはりそこは恋。期待を裏切らないヘタレだった。
というか、恋は本来無自覚タラシな性格なのに、何故こうなってるのか…それは見逃していただきたい。
駆「はぁ…そこまで言うなら、俺じゃなくてもっと適任な人がいるでしょ」
恋「…?」
硫黄「…それで、わざわざお仕事が忙しい中世界線を越えてここにきた、ということですか」
恋「大丈夫!1月いっぱいはアイドルの仕事お休み貰ってるから!」
硫黄「…人気グループなのに、すごいんですね」
「騎士団長の硫黄は何か知ってるんじゃない?クルクマちゃんのこと良く見てると思うし」と、駆の助言により、作者の琴葉姫を通じて花騎士達の世界、スプリングガーデンのバナナオーシャンを訪れた恋。
すぐさまバナナオーシャン騎士団の騎士団長である鳴子硫黄のいる執務室の扉を勢いよく開き、突然の恋の登場に唖然としてる硫黄などお構いなしに駆に告げたことと同じことを硫黄に説明した。
まくし立てられるような勢いで説明された硫黄は頭を抱えつつ恋に応答する。
硫黄「…確かに、最近のクルクマさんは様子がおかしいかもしれませんね。昨日の害虫討伐でもクルクマさんらしからぬミスを何回かしていましたし…」
恋「やっぱり!なんか心当たりはないの!?」
硫黄「私は特に…ただ気になることはありますが」
その言葉に恋は「え、何!?」と問い詰めるように硫黄に迫る。
困惑した表情をしながら片手で恋を自身から遠ざけて、「気になること」を説明した。
硫黄「クルクマさんが我慢強いということは貴方も知っていますね?」
恋「当たり前じゃん。クルクマちゃんの最大の魅力だぞそこ。それが?」
硫黄「わかりませんか?」
恋「?」
察せない恋に、硫黄は無意識に大きなため息をついた。
それが気に入らなかったのか、ムッとした表情で硫黄につっかかる。
恋「なんだよ!勿体ぶらずに言えよ!」
硫黄「勿体ぶってはいないのですが…まぁいいでしょう。あの我慢強いクルクマさんはちょっとやそっとじゃ落ち込んだりしません。つまり…そんなクルクマさんでも様子がおかしくなるほどの何かが、彼女の身に起こってる可能性がある、ということです」
恋「…!!!」
そう、クルクマは「忍耐」という花言葉に相応しい、我慢強い性格だ。その強さはちょっとやそっとじゃ崩れない。花騎士随一と言ってもいいだろう。
そのクルクマが、硫黄や恋がわかるほど態度に出てしまっている。これはある意味本当に事件なのだ。
恋はクルクマのことを良く見ているし、硫黄はクルクマの上司だから気付いたのかもしれないが、それでも二人に気付かれるほどに最近のクルクマは"おかしい"のだろう。
そのことにより恋は頭を抱え大声で嘆きだした。
恋「あ、あのクルクマちゃんが…!我慢強いことが一番の魅力のクルクマちゃんが…!そんなに悩むことがあったなんて…!?お、俺、ちょっとクルクマちゃんに訊いて来る!」
硫黄「ああっ、ちょっといきなり来て…!」
「うん、訊いてあげて。私達と一緒に」
恋&硫黄「…へ?」
執務室から出ようとした恋だったが、突然第三者の声が聞こえた。
その声に恋と硫黄は唖然とするが、声の主が、扉が開かれたことによって現れた。
硫黄「れ、レッドジンジャーさん…?…って」
恋「く、クルクマちゃん!?」
クルクマ「………」
現れたのは、レッドジンジャーだ。否、レッドジンジャーだけではない。
ハイビスカス、アンスリウム、レインリリー、カタバミ、マンリョウ、センリョウと言った花騎士達もいた。
そして何より、レッドジンジャーの隣には、彼女に背を押され俯いている───話の本源であるクルクマが立っていた。
硫黄「…話、聞いてたんですね」
マンリョウ「申し訳ありません。立ち聞きは良くないとは思いつつ、つい…」
センリョウ「クルクマちゃんが執務室の前で固まってて何かなー?と思ってセンリョウ達も聞いちゃった。センリョウ達も、クルクマちゃんの様子がおかしいって思ってたから」
レッドジンジャー「…クルクマ」
クルクマ「…はい」
クルクマの声は微かに震えている。ぎゅっと、大切なくまのぬいぐるみを抱きしめる。
そんなクルクマに、レッドジンジャーは優しく彼女の頭を撫でた。
レッドジンジャー「悩み事があるなら、相談して欲しい。私達は、仲間だから」
クルクマ「仲間…」
ハイビスカス「そうだよ!私もクルクマが悩んでるのはやだし!」
アンスリウム「今回ばっかりはハイビスカスと同意見。私達、クルクマの悩みを解決するのに力不足?」
クルクマ「………」
カタバミ「そうだぞー!クルクマが調子悪いと、私達も嫌だ!」
レインリリー「そうそう!クルクマちゃんの悩みは、可愛いリリーが解決してあげるから!」
クルクマ「みなさん…」
恋「あ、あのさ、クルクマちゃん!」
クルクマ「こ、恋君…!?」
花騎士達の言葉には曖昧に耳を傾けていたクルクマだったが、恋が駆け寄って来るとびっくりして顔を上げた。
その顔には…隈や疲れが見えた。
それを見て、恋はぐ、と顔を歪めた。
あの我慢強いクルクマがそこまで誰にも相談せず、一人で我慢してきたのだと思うと…自分の無力さを殺したくなる。
そんなことを頭の片隅に追いやり、自分の思いの丈を告げる。
恋「お、俺、クルクマちゃんが悲しいと嫌なんだ!一般人に等しい俺なんて全然力になれないかもしんないけど…でも!悩みを聞くくらいはしたい!」
クルクマ「恋、くん…」
恋の言葉にクルクマは唖然とした表情で彼を見つめていた。
そんなクルクマにしびれを切らしたのか、硫黄が、クルクマに近づき───
硫黄「…そういうことですので、団長命令です。"貴方を苦しめている原因を教えなさい"」
真剣な声色でクルクマに"命令"する硫黄。
クルクマはそれにぐ、と顔を強張らせてぬいぐるみを抱きしめるが、何か諦めたように身体の力を抜いた。
クルクマ「…わかりました。実は…」
彼女は語りだす。彼女が苦しむ理由を…
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.54 )
- 日時: 2019/01/25 22:48
- 名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: xJq/HYyx)
「「「嫌がらせ!?」」」
クルクマ「は、はい」
クルクマが第一声に、「いやがらせ、されてるみたいです」と切り出すと、その場にいる全員が驚いた表情をし大声で復唱した。
そんな彼ら彼女らに押されつつ、再びぽつぽつと説明する。
クルクマ「3週間くらい前からでしょうか…私物が無くなったり壊されてたり、持ってる本が破られてたり、変な噂を流されてたり…噂の方は皆さんが優しくて気にしてないので幸いですけど…」
アンスリウム「え、そんな噂あったっけ?」
レッドジンジャー「団長は知ってる?」
硫黄「私も初耳ですよ。そもそもクルクマさんに変な噂とか、上がること自体あり得ませんし」
レインリリー「きっと、クルクマちゃんが可愛いから誰かが嫉妬しちゃったのかなぁ?だとしても、そんなやり方卑怯だよっ!」
マンリョウ「しかし、確かにそれらの嫌がらせは堪えるものですが…クルクマさんがそこまでなるほどのことが、他にはあるのでしょうか?」
クルクマ「………」
マンリョウの問いに、クルクマは俯く。
しかし、ちゃんと説明してくれた。
クルクマ「…数日前に、シャワーを浴びている隙に、その…私の下着に「死ね」とか「メスクマブタ」とか「何も出来ない足手まとい」とか、マジックで書かれてた時はすごく堪えましたね…」
恋「よし潰す。そいつ絶対潰す。死刑」
硫黄「すぐ殺すなんて勿体ありませんよ。まずは私財を差し押さえて路頭に迷わせ、奴隷として雇いましょう。生き地獄を味合わせて…」
レッドジンジャー「恋、団長。気持ちは分かるけど落ち着こう?」
クルクマガチ勢の恋と、なんだかんだで自分の騎士団の花騎士達はみんな好きな硫黄が真顔で嫌がらせの犯人をどうやって追い詰めるか声に出して考えていたが、レッドジンジャーが冷や汗を舁き心配そうな表情で二人を落ち着かせていた。
しかし、やはりレッドジンジャーも内心ではクルクマを苦しめている犯人に憤りを感じていた。それは他の花騎士達も同じだ。
カタバミ「何だよそれ!クルクマにそんなことするなんて許せねぇ!」
センリョウ「ホントだよ!そういうヤツ、センリョウ大ッ嫌い!」
レインリリー「それで、その犯人って誰!?庇っちゃだめだよ!?」
クルクマ「へ、あ、いえ…誰がやってるのかは分からないんです」
硫黄「…本当ですか?」
真剣な表情で、クルクマに迫る硫黄。
クルクマの表情は戸惑ってはいるものの、しらを切ってるようには見えない。
硫黄「…クルクマさんの言葉を信じます。しかし、この騎士団本部に部外者が入ることなんて不可能です。となると…」
マンリョウ「…騎士団の中にいる、ということですね」
騎士団の中に、クルクマに嫌がらせをした者がいる。
その事実に、執務室はピリピリとした緊迫感に包まれた。
ハイビスカス「うちの花騎士の誰かが、クルクマに嫌がらせしてるってこと…?それ、すっごい嫌だ…」
硫黄「私だってうちの騎士団に内ゲバするような花騎士がいるだなんて考えたくもありません…しかし、部外者の犯行の可能性は極めて低いんです。…明日の全体号令で喚起します。正直これでやめるとは思えませんけどね」
カタバミ「うん!その間、クルクマは私達が守るぞ!」
アンスリウム「もちろん!もうクルクマに嫌がらせなんてさせないんだから!」
クルクマ「皆さん…ありがとうございます!」
作り笑いではない、素直な気持ちで笑うクルクマに、硫黄達からも笑顔がこぼれた。
硫黄「ということなので、如月さんはもうお帰りになってよろしいですよ」
恋「えっはぁ!?ちょっと待って!俺だってクルクマちゃんを護りたい!」
硫黄「ぶっちゃけると貴方部外者なので。ここまで誰にもつまみ出されてないことが奇跡なんですよ?」
恋「で、でも…!」
自分もクルクマを護りたいと思う恋。やはり渋っている。
しかし…
クルクマ「恋君、ありがとうございます。すごく嬉しいです。でも…私のせいで恋君の都合を狂わせるためにもいきませんから」
恋「っ…」
微笑みながらそう言うクルクマに、恋は言葉を飲み込み「…わかった」と短く告げてその場を後にした。
執務室から出て、扉を背もたれにして前髪をくしゃりと掻き毟る。
恋「…俺じゃ、クルクマちゃんを護れないのかな…」
震えた声で呟いた恋の瞳は、濡れていた───。
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.55 )
- 日時: 2019/01/25 22:49
- 名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: xJq/HYyx)
翌日、バナナオーシャンでは───。
硫黄「皆さん、討伐任務お疲れ様です。あとはゆっくり身体を休めてください」
「「「はい!」」」
午前の害虫討伐に出ていた部隊が帰還した。その部隊メンバーの中に、クルクマもいた。
ハイビスカス「はぁ~、今日の討伐もつっかれたぁ~」
アンスリウム「今回の害虫も手強かったものね」
クルクマ「はい。でも、皆さんの力と団長さんの指示のおかげで今回も何とか乗り越えられましたね」
シャワー室で汗と汚れを流す花騎士達。
クルクマは嫌がらせの犯人が近づけないようにハイビスカスとアンスリウムと共にいた。もちろん、二人のたっての希望だ。
しかし───
「………」
何者かが、クルクマのロッカーを物色していた。そして…
手にクルクマのぬいぐるみを持って、脱衣所を去った───。
**************************************************
恋「うぅ~………」
恋は再びバナナオーシャン騎士団本部を前にして腕を組み唸っていた。
クルクマのことが心配で前日は一睡も出来なかった恋は、再びクルクマを護りたいと彼女に会いに来たのだ。が…
恋「や、やっぱり俺みたいな一般人じゃ犯人をボコることは出来ない?いや、物理じゃなくて知力で…ダメだ!俺馬鹿だからそれも無理!一体どうすれば…」
ぶつぶつと呟きながらどうやったらクルクマに嫌がらせをしている犯人を突き止められるか、彼なりに脳みそをフル回転して考えていたがいい案が思いつかない…そんな時だった。
ぼんやりとした思考の中、とても見覚えのあるものが視界に入りばっとそれを眼で追った。
それは、クルクマがとても大切に、常に携帯している…くまのぬいぐるみだ。
黒いローブを被った何者かが、そのぬいぐるみを小脇に抱えどこかへ向かっていた。
恋「(あれは…クルクマちゃん?…いや、違う!あいつまさか…!)」
何かに気付いた恋が、黒いローブを被った人物にこっそりとついて行った───。
その頃…。
有基「バナナオーシャン来るの、久しぶりっすねー」
サクラ「ええ。やっぱり、活気があっていいわね~」
エニシダ「ど、どうして私みたいなミジンコが団長さんと我が騎士団最強の花騎士であるサクラさんとウメさんと一緒にいるんでしょうか…!?ひ、引き立て役…?」
ウメ「エニシダさん、その後ろ向きな思い込みは何時もやめた方がいいと言っているだろうに…それに今回は、エニシダさんの協力も仰ぎたいからな」
ブロッサムヒル騎士団団長の箱根有基と、ブロッサムヒル騎士団に所属している花騎士のサクラとウメ、エニシダがバナナオーシャンの繁華街に足を運んでいた。
というのも、もうすぐブロッサムヒルの騎士団とバナナオーシャンの騎士団が合同で害虫討伐を行う予定なのだ。
主軸は新人花騎士の訓練なのだが、その打ち合わせとして硫黄と会議をするためにバナナオーシャン騎士団本部に足を運んでいる途中だったのだ。
サクラ「ええ。何かハプニングがあったり強力な害虫が現れた時の対処として私たちが出るのよ。エニシダさんは、空から援護を頼みたいの」
エニシダ「ああ、私ホウキで空を飛べますからね…」
有基「そうっす!これはエニシダさんじゃないと出来ないことっす!」
エニシダ「!私しか、出来ないこと…!」
有基の言葉に、エニシダは目を輝かせ握りこぶしを作った。
エニシダ「わ、わかりました!おばあちゃんの名に懸けて、頑張ります!」
ウメ「ああ、いい塩梅だ。私達も負けてはいられんなサクラ」
サクラ「ふふ、私達はもしもの時のサポートよ~?」
エニシダがやる気に満ち、ウメも意気込みを語る。
その時、有基が何かを見つけた。
有基「ん?あれ、恋さん?」
サクラ「え?」
有基の見つめる方にサクラ達が目線を向けると、恋がこそこそと怪しい動きをしながら歩いているのが見えた。
恋の先に目を向けると…ピンクのクマのぬいぐるみを小脇に抱えている人物が見えた。が、黒いローブを被っていて誰かは分からない。
しかし、あのぬいぐるみには有基達も見覚えがあった。あれはクルクマが常に携帯しているぬいぐるみだ。
それを思い出し、有基、ウメ、エニシダは「ああ~…」と呆れた表情をした。
有基「恋さん、まーたクルクマちゃんのストーカーしてるっす…」
エニシダ「だ、団長さん。恋君は一度もクルクマちゃんのストーカーはしてないです。…恋君がクルクマちゃんのこと好きなのは知ってますけど」
ウメ「ついにそうなるまでに至ったか…もし問題があれば厳重注意だが…今は忙しいからな。団長、行こう」
サクラ「…う~ん?」
ウメ「?どうしたサクラ?」
サクラ「…ううん、気のせいだと思うわ~」
ウメ「…?」
唯一サクラだけ、ぬいぐるみを抱えている人物を訝し気に見つめていたが、ウメに諭され有基達と共にバナナオーシャンの騎士団本部へ向かう足を再び動かした。
感想まだ
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.56 )
- 日時: 2019/01/25 22:49
- 名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: xJq/HYyx)
硫黄「…おや?」
書類を片手に持って睨めっこしていた硫黄。しかし、何やら周りが騒がしいことに気付いた。
少し歩みを進めると、あちこちで挙動不審な動きをしている花騎士達の姿が見えた。
訝し気に首をかしげる硫黄に、ハイビスカスが硫黄の元に駆け寄った。
ハイビスカス「あっ、団長!クルクマのぬいぐるみ見なかった!?」
硫黄「へっ?クルクマさんの…?」
その言葉を聞いてクルクマの方を見ると…涙を流しながら必死に物をどけたり隙間を這い蹲りながら覗いて必死に何かを探しているクルクマの姿があった。
その姿を見て、硫黄はハッとしてハイビスカスに訊く。
硫黄「クルクマさんのぬいぐるみなくなったんですか!?まさか…」
アンスリウム「そうなのよ!シャワー浴びてるうちになくなってて…!絶対クルクマに嫌がらせしてる犯人の仕業よ!」
クルクマが脱衣所に戻ると…くまのぬいぐるみがなくなっているのにすぐ気づいた。
それによりちょっとしたパニックに陥ったクルクマを、ハイビスカスとアンスリウムが必死に落ち着かせ他の花騎士にも協力してもらいぬいぐるみを探していた。
が、一向に見つからないのだ。犯人が持ち出し、そのぬいぐるみをどうしたか…それを想像するだけでクルクマは…顔を真っ青にしてただ涙を流し続けた。
クルクマ「だ、団長さん…!ど、どうしよう…あ、あの子が…あの子はどうなってしまって…!」
硫黄「落ち着きなさいクルクマさん!誰か物を探知できる魔法を取得している人はいませ───」
有基「イオせんぱーい!来たっすよー!」
硫黄「っ、有基…!?」
剣呑な雰囲気の中、現れたのは有基だ。つい先ほど、バナナオーシャンの騎士団本部に到着したのだ。
だが今は彼に構っている暇は、硫黄にはないのだ。
硫黄「すみません有基、話は後日しますので───」
エニシダ「え、く、クルクマさん!?なんでここに…!?」
クルクマ「え…?」
しかし、クルクマの姿を見て驚く有基達に、クルクマも硫黄も花騎士達も唖然とした。
硫黄「…どういうことですか?」
有基「え、だ、だって、クルクマちゃんは繁華街にいたんすよね?俺ら、見たっすよ?」
硫黄「…何を言ってるんですか?クルクマさんは午前の討伐から帰ってずっとここにいましたが」
ウメ「な、ではあのぬいぐるみを持った人物は一体…!?」
クルクマ「私のぬいぐるみを持ってる人を見かけたんですかっ!?」
ウメの言葉に、クルクマはウメに綴った。その様子は、一抹の希望を見つけたように縋るもので…
そんなクルクマに気圧されながらもウメは説明する。
ウメ「あ、ああ。君のぬいぐるみを持った人物が、繁華街から…南だったかな?に向かったのを私達は見た。恋君が後を付けてたから、クルクマちゃんだとばかり…」
ウメの言葉を聞いたクルクマは目を見開いてひゅ、と息を呑んだ。
クルクマだけじゃない、硫黄も、その場にいた花騎士達もだ。
硫黄はすぐ有基の肩を掴んで詳細を求めた。
硫黄「いますぐ!恋さんとその人がいた繁華街の箇所、あとどこへ向かって行ったか連れて行きなさい!!」
有基「ええ!?でも合同討伐の…」
硫黄「それは後日お願いします!責任は私が負います!ですから早く…!」
有基「こっ、こっちっすぅー!!!」
硫黄の気迫に耐えられなかった有基は上ずった声で慌てて硫黄達を案内する。
他の花騎士達も同行しようとしたが、硫黄とクルクマだけ案内してもらった───。
感想まだ
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.57 )
- 日時: 2019/01/25 22:51
- 名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: xJq/HYyx)
その頃恋は…なんとかローブの人物に気付かれずに跡をつけて居るのに成功していた。
そして気付けば…海岸の断崖にいた。
恋「(あいつ、ここでどうするつもりだ…?)」
視線をローブの人物から絶対に離さない恋。
ローブの人物が…小脇に抱えていたぬいぐるみを手に取り───
断崖から海に…放り投げようとした!
恋「ッ!?おいお前!」
ローブの人物「!?」
思わず恋が姿を現してローブの人物を止めようとする。
まさかつけられていると思わなかったローブの人物は恋を見て焦っているようだ。
恋「そのぬいぐるみどうするつもりだよ!こっちに渡せ!」
ローブの人物「っ、うるさいッ!なんであんな奴ばっかり…!」
恋「えっ…?」
やっと、ローブの人物が声を発した。
"女性の声だ"。ローブの人物は、女性のようだ。
しかし、恋はこの声に聞き覚えはなかった。そんなことを恋が思考しているうちに…
ローブの女性「こんなのッ…!」
恋「ああっ!?」
女性が、とうとうぬいぐるみを崖から放り投げた───!
その拍子で、女性の被っていたローブが外れ、素顔を晒す、が
恋はそんな彼女のことなど無視し───
恋「待って!待って待って待って待ってーーーーー!!!」
女性「なっ…!?」
一直線に力の限り走り、崖の端から跳び…
ぬいぐるみを、キャッチした!
恋「よっ、し…!?」
しかし、恋の真下は荒れ狂い波が打ち付けられる断崖絶壁…!
重力に逆らえず、そのまま恋は───
恋「うわあああああああああああ!?」
どすんっ
恋「どわいてっ!?」
エニシダ「何やってるんですか!危ないじゃないですか!」
恋「え、エニシダさん!?どうしてここに!?」
───恋は、ホウキに乗って空を飛んでいるエニシダによって助けられた。
そのままホウキに乗せてもらい、元の場所へ戻った。
そしてそこには…
恋「うえええっ!?硫黄に有基にサクラさんにウメさんに…く、クルクマちゃんっ!?」
クルクマ「恋君ッ!!!」
真っ先に恋に駆け寄ったのはクルクマだ。顔面蒼白で、目元には涙を浮かべている。
恋は何を思ったかそんなクルクマを安心させるように、持っているくまのぬいぐるみをクルクマに渡した。
恋「はい、ぬいぐるみは大丈夫だから、もう安心して?」
クルクマ「っ…」
恋の言葉に、クルクマは更に顔を歪めた。その理由が分からず、恋は不思議そうな表情で首を傾げた。
そんな二人のやり取りを呆れたように見ていた硫黄は視線を変え、ローブの脱げた女性を睨み付けた。
硫黄「貴方…最近うちの騎士団に配属になった新人花騎士ですよね」
新人花騎士「だ、団長さん…!」
ローブの女性…基、クルクマに嫌がらせを行った犯人は、花騎士になりたての新人のようだ。
そして───クルクマは、彼女に覚えがあった。
クルクマ「…どうして」
恋「え、」
クルクマ「どうして、またこんなことするんですか!?しかも私だけじゃなくて、恋君まで…!」
硫黄「…まさか」
何かを察した硫黄が、目を見開きながら新人花騎士を見る。
硫黄「クルクマさんの幼少期、彼女をいじめてこのぬいぐるみを壊したって言う、クルクマさんの友人ですか?」
恋「!?」
硫黄に言葉に、恋はばっと新人の花騎士を見た。
有基もサクラもウメもエニシダも、新人花騎士を睨んでいる。
それが心地悪かったのか、新人花騎士は声を荒げた。
新人花騎士「何よ、何よ何よ何よ何よ!私だけ悪者みたいに言って!何も出来ない弱虫のアンタだけ悲劇のヒロインぶっちゃってさ!全部アンタがいじめられるようなうざい奴だからイケないんでしょお!?」
硫黄「認めるんですね。小さい頃クルクマさんをいじめてたことも、今現在もクルクマさんに嫌がらせしていたことも」
新人花騎士「そうよ悪い!?っていうか、団長さんや他の花騎士達はそいつばっかり気にかけるけど、新人の私にだって優しくしてくれない!?」
硫黄「私はちゃんと貴方をフォローも指導もしましたよ。花騎士なのですから、実力主義になってしまいがちなのは仕方ありませんし」
新人花騎士「それってそいつが実力あるっていうわけ!?そんなわけないじゃない!そいつは泣いて耐えるだけで特に役に立たないくせに!」
硫黄「…それ、本気で言ってます?」
低い声で新人花騎士に問いかける硫黄。
癇癪を起こしたまま、彼女は自分の言い分を述べた。
新人花騎士「私の親は故郷の村でも有力者で私は寺子屋でも成績優秀だった。そいつみたいな弱い奴を率先して叩けることが出来るくらいには。だからそんな私が花騎士になるのは必然だったのよ。でも…騎士学校の教師達は有力者の娘である私に厳しい課題を出したり私のやったことに対して文句を言う!極めつけは…優秀な私より役立たずのそいつを先に卒業させて花騎士にさせた!!あり得ないわ!私は優秀な花騎士として脚光を浴びるはずだったのに、そいつよりずっと後に卒業させられて、どれだけ両親に失望されたと思う!?私の人生はそいつに狂わされたのよ!!!」
彼女の述べた言い分は、全く持って呆れかえるお粗末なものだった。
自分のことしか考えてない、自分の自己顕示欲のために花騎士になったと断言した彼女に、硫黄は再び言い返そうとする。
硫黄「あのですね───」
が、
それは叶わなかった。
サクラが新人花騎士に歩み寄った。
新人花騎士を見つめるサクラの瞳は、凍てつくように冷えていた。
サクラ「貴方、なんのために花騎士になろうと思ったの?」
新人花騎士「え…?」
威圧のあるサクラの問いに新人花騎士はびくっと肩を震わせた。
そんな彼女のことなど気にしないように、サクラは続ける。
サクラ「世界の平和のため?人々の安心のため?護りたい人がいたから?…いいえ、貴方は花騎士の名を利用したいだけ」
新人花騎士「え、え?」
サクラの言葉の意味を理解していない新人花騎士。
サクラの言葉と同意するように、ウメも加わる。
ウメ「花騎士になる理由は人によってさまざまだ。中には君のように自分の力を誇示したいという理由でなった者もいるだろう。だが、そんな花騎士は長くは続かない。理想を演じきれず辞める者や、自分の力を過信して殉職する者もいる。…君も、そうなってしまうかもしれないんだぞ?」
新人花騎士「な、なんで?わ、私は───」
硫黄「…大体お二人に私の言いたいことを言われてしまいましたが…これだけ言わせてください」
新人花騎士「だ、団長さ…」
縋るように硫黄を見つめる新人花騎士。
しかし、硫黄はそんな彼女を冷たく見下ろし…
硫黄「貴方、クルクマさんのスケジュールを把握して、周りの花騎士の皆さんに気付かれないように嫌がらせを遂行したと思うと、かなり頑張ったみたいですけど───」
硫黄「結局貴方は自分の手で証明してしまいましたね。自分が花騎士として優れているかどうかを」
新人花騎士「っ…!」
硫黄のその言葉に、新人花騎士はぺたんと座り込んで顔を両手で押さえて泣き叫んだ。
そんな彼女に、恋達は何も言えなかった───。
感想まだ
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.58 )
- 日時: 2019/01/25 22:53
- 名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: xJq/HYyx)
その後バナナオーシャン騎士団本部に新人花騎士を連行して、彼女は処分を受けた。
処分と言ってもそんな大したことではない。"再び騎士学校で学ぶ"だけだ。
まだ花騎士になる猶予は与えられているのだ。それを、彼女が受け入れられるか、再び花騎士を志そうと思うのか、それだけの問題なのだ。
色々と手続きが終わって有基達がブロッサムヒルに帰って、執務室で硫黄に恋が注意を受けていた。その場には、今回の事件の被害者のクルクマもいた。
硫黄「馬鹿なんですか貴方は?投身自殺とか何考えてるんですか?仮に貴方があのまま落ちて亡くなった場合貴方の友人達に何と説明すればよろしいのでしょうか???」
恋「自殺じゃないし!ぬいぐるみ助けようとしただけだし!」
硫黄「…話になりませんね」
恋のとてつもなく杜撰な反論に、目頭を押さえ頭が痛そうにする硫黄。
しかし、表情を変えクルクマの方に目線を向けると…ぬいぐるみを強く抱きしめ俯いているクルクマが映った。
新人花騎士が連れて行かれてからずっと、そうしていた。一言も言葉を発さずに、ただ、何かを"我慢"していた。
そんな彼女の心理をなんとなくだが、硫黄は察していた。
だからだろうか
硫黄「私はもう帰るので、クルクマさん、如月さんのことはお願いします」
クルクマ「えっ…?」
恋「ファアッ!?」
クルクマのか細い声は、恋の上擦った大声でかき消えた。
顔を赤くして冷や汗を流す恋を無視し、「帰る時は電気きってくださいね」と呑気なことを言い残し、執務室を後にした。
残されたのはクルクマと恋のみ。恋の内心はパニックだ。
恋「(え、なんで!?なんでクルクマちゃんと二人っきりにすんのあいつ馬鹿じゃねーの!?クルクマちゃん二度とぬいぐるみが戻ってこない怖さで未だに喋ってくれないのに!どうすればいいっていうんだよォォォォォ!?)」
クルクマ「こい、くん」
恋「ヒャイイッ!!」
たどたどしく発さられたクルクマの言葉に、想像以上に声が上擦ってしまった噛んでしまった恋は自分の情けなさを呪った。
そんな恋のことなど気にしていないのか気付いていないのか、再び口を開いた。
クルクマ「あ、あの…この子…」
恋「え、ああ、ぬいぐるみ?」
クルクマの視線の先には、彼女が抱きしめているくまのぬいぐるみがあった。
恋が文字通り命を張って助けたぬいぐるみ(七割方くらいはエニシダの功績だが)。本当に助けられてよかったと思う。
しかし、ぬいぐるみが無事だったのに、なんでクルクマはまだ泣きそうな顔をしているのだろう。元凶である新人花騎士も、もうこの騎士団にいないのに。
もしかして、もう二度とぬいぐるみと会えなくなってしまうと思っていた恐怖から抜け出せていないのだろうか、それはいけない。
もう大丈夫、君とこの子を引き離そうとする奴はもういないよ。
そう伝えようと口を開こうとした───
クルクマ「どうしてあそこまでしたんですか!?」
恋「うぇえええっ!?」
急に声を張り上げたクルクマに、恋はびっくりして思わず尻もちをついてしまった。
そんな恋のことを気にかけず、クルクマは溜め込んでいたものを彼に吐き出す。
クルクマ「ぬいぐるみを取り返そうとしてくれた恋君の気持ちは嬉しいです!でも!有基団長が来なかったら?エニシダさんも一緒に来てなかったら?有基団長達があの時恋君を見つけてなかったら?間に合わなかったら?どれか一つでも欠けてたら、恋君はあのまま…!」
クルクマ「このぬいぐるみを失うのはつらいです!でも、この子はまた買ってもらったり作ってもらったりすれば、大丈夫なんです!でも…!恋君の命は、何にも代えられない大切なものです!!!」
涙を流しながら告げるクルクマの、ぬいぐるみを抱きしめている手は震えていた。
クルクマは、ずっと苛まれていた。
仮に恋を喪った時の、果てしない絶望に…。
自分のせいで、恋が死んでしまったらどうすればいい、どうしたら償える、彼は自分と違って多くの人から愛されているのに…。
自分の思った以上に、その想像は自分の心を痛めた。心臓をナイフで滅多刺しにされたような、とてもとても痛い思いをさせられた。
しゃくり上げながら乱暴に涙を拭うクルクマを見て、恋は自分のやったことの重大さに改めて気付かされた。
自分の勝手でしたことで、自分の大好きな…護りたいと願っていたクルクマを、苦しめてしまったのだ。嫌がらせの犯人である、新人花騎士の彼女以上に…。
それに気づいた恋は、膝をついてクルクマと視線を合わせ、問いかける。
恋「…ごめん、余計にクルクマちゃんを悲しませちゃったよね…でも、俺…」
───好きな子を、護りたかっただけなんだ。
クルクマ「…え…?」
恋の発した言葉に、クルクマは目を開いて彼を見つめた。
数秒間、沈黙が続く。なお、その間の恋の頭の中は…。
恋「(ああああああああああああああああああああああああああああ言っちゃったよおおおおおおおおおおお!?やばいやばいやばいやばい何言ってんだ俺こんな空気の時に何言ってんだよ絶対クルクマちゃん「何言ってんだこいつ?」って思ってるよそうなったら絶対嫌われちゃうクルクマちゃんに嫌われるなんて絶対嫌だ助けてーーーーー!!!あーーーーーーーーいッッッ!!!!!)」
…真面目な時にこんなテンションは場違いかもしれないが、恋はひたすらクルクマに嫌われたくないと思っているだけだ。ただ、事態が事態なのでとてつもなく慌てているだけで。
クルクマ「あ、あの…恋、くん…」
恋「ふぇっ!?(いや俺!!!ふぇって!!!ヒドインか!!!)」
絶望したような表情でクルクマの方に目を向ける、と…。
クルクマの顔色が赤い。目もとろんとして、蕩けているようだ。
そんな様子のクルクマに、恋の頭上はクエスチョンマークがこれほどかという程浮いていた。
え、なんでクルクマちゃんそんな顔してるの???どういうこと???教えて偉い人???
他人事のようにそんなことを思っていると、クルクマが言葉を続けた。
クルクマ「わ、私…すごく悪い子です。恋君はあんな目に遭ったのに…昨日、相談に乗ってくれたことと、この子を助けようとした恋君を───」
クルクマ「すごく、かっこいいって思ってしまって…」
恋「───」
ああ、ああ、好きだ。
この子が、たまらなく好き。
恋「…じゃあ、俺達両想いなのかな」
クルクマ「そ、それは…」
もじもじとぬいぐるみを抱きしめながら視線を彷徨わせるクルクマ。
だが…
クルクマ「…私の、自惚れでなかったら、私も…きっと、恋君と同じ気持ちの、好きです」
恋「ッ~~~!!!やっ、やったああああああああああああああああああああああ!!!!!」
俺のことを好き?誰が?クルクマちゃんが!俺のことを!!!
夢でも見てるのだろうか、いや、これは現実!!!
あの恋焦がれて仕方なかったクルクマちゃんと!想いが!!通じ合った!!!
恋「ありがとおおおおおおお!!!クルクマちゃあああああああああああああん!!!」
クルクマ「ひゃあっ!?こ、恋君!きゅ、急に抱き着かないで…!わ、私…心臓の音聴こえちゃいそうです…!」
抱き着かれた恋にクルクマは可哀想なくらいに顔を赤くしている。
そんなクルクマの耳元で、恋は息を吐くように呟く。
恋「俺も…心臓の音やばい…聞こえる…?」
それに耐えきれないといった感じでクルクマが何か言おうとした───。
「ちょっ団長凭れないで…!」
「あっやばい!」
ドサーーーッ
恋&クルクマ「…へ?」
急に執務室の扉が開いたかと思ったら…
帰ったはずの硫黄と、他の花騎士達が扉に雪崩れていた。
恋「………」
クルクマ「だっ、団長さん!?皆さんも…!な、なんでここにいるんですかぁ!?」
硫黄「いや、そりゃ帰ってませんから。まだ明るいのに帰るわけないでしょう。隠れて二人の様子を見守ってたんですが…」
レインリリー「まーさかこんなラブコメ展開になってるなんて思わなかった!いいなぁークルクマちゃん、可愛くてカッコイイ彼氏が出来ちゃうなんて♪」
センリョウ「クルクマちゃんおめでとー!お赤飯だね!」
マンリョウ「こら、センリョウ…!せ、せっかくの良いところをお邪魔して申し訳ありませんでした!」
恋「めっっっっっっっっっっちゃ死にたい」
硫黄「でしょうね。あ、一応言っておきますよ」
そう言って恋の肩に手を置き、睨み付け───
硫黄「クルクマさんを嬉し泣き以外で泣かせてみなさい。バナナオーシャンの地、二度と踏めないようにしてさしあげます」
クルクマ「だ、団長さんっ!?」
恋「…何言ってんだよ」
恋「俺はクルクマちゃんを離さない!絶対に、絶対に!!!」
いつもおとぼけて、ヘタレな彼からは想像できない、真剣な表情と声色。
それを見せつけられた硫黄は「…わかりました」と言って恋に向き直り
硫黄「クルクマさんを、よろしくお願いします」
と言って、頭を下げた。
琴葉姫「\パン/ヨッシャwwwキタァァァァァァァアアアアアwwwwwwwwwww(高い声で)ウワヤッタァァァァァァアアアアアア恋クル成立ゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
アーサー「うざい(確信)」
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.59 )
- 日時: 2019/01/25 22:56
- 名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: xJq/HYyx)
恋「はぁ~、今日は良い日だ~♪明日から人生が楽しくなる~♪」
クルクマと想いが通じ、浮かれ気分で屋敷に戻った恋。
るんるん気分で、ツキウタ。組の共同ルームの扉を開けた───
パンパンパンッ!
恋「!?」
「「「おめでとう!恋(くん・さん)!」
恋「へっ!?」
ツキウタ。メンバー達が、クラッカーを持って恋を祝福していた。
テーブルの上には、ご馳走も並べられていた。
恋「え、は、始さん、みんな!?あ、愛も、なんで!?」
愛「おめでとう、お兄ちゃん!よかったわね!」
恋「いや何が!?」
隼「えー?クルクマちゃんと両想いになれた記念の祝福だよー」
恋「……………、はい?」
隼の言葉に、恋は固まった。
状況を飲み込めてない恋に、始が説明する。
始「あいつ…イオ、だったか?あいつがLINEで「如月恋さんとクルクマさんが付き合うことになりました。祝福してあげてください」って」
春「多分、嫁の人達皆知ってる頃だろ思うよ?」
恋「あいつ何してんだァァァァァァァァァァァァァアアアア!!!???」
そう、なんと、硫黄が嫁全員にLINEで恋とクルクマのことを伝えたのだ───!(爆弾発言)
関係ないことなのか、恋が無茶したことは伝えてないみたいだが。伝えた時点で恋が色々ヤバいことになることが確定なのでそれは不幸中の幸いだが。
まさか、ツキウタ。メンバーだけでなく嫁全員に知らされた恋はパニック状態だが、始が恋と対峙し…
始「…恋」
恋「はっ、はいいぃ…!」
始の威圧ある雰囲気に、恋は泣きだす寸前だ。
ぽん
始「よかったな」
恋「…へ?」
まさか、始に頭を撫でられ祝福されていることに、恋は思わず唖然とした。
恋「…いいんですか?俺、アイドルで…」
始「恋人との仲を引き離して欲しかったのか?」
恋「い、いえっ!!全く!そのようなことは!!」
始「…お前の拗らせた片思い話はもううんざりだからな。それが無くなったと思えばいいもんだ」
恋「始さん…」
始とそれなりに付き合いの長い恋は悟った。始も、なんだかんだで恋のことを祝福してくれているのだ。
その気持ちに、今度は嬉しさで泣きそうになるのをぐっと堪えた。
恋「…ありがとうございます、始さん」
始「ああ、それとこれだけは言いたい」
恋「なんでしょう?」
笑顔の恋に、始は───
始「撮 ら れ る な よ ?」
恋「アッ………ハイ…」
…やはり睦月始、恐ろしい男である←
そんな始の肩を春が抱いた。一升瓶を片手に。
春「まぁまぁいいじゃない始。恋にとってめでたい日なんだからさー」
始「俺らグラビにとっての死活問題だぞ」
春「分かってるよ!そこはほら、琴葉姫ちゃんがさ、ちょちょいっと」
恋「春さーん!?なんか、結構恐ろしいこと言ったような気がするんですけど!」
陽「そんなことより呑め恋!羨ましいったらありゃしねーぜコンチクショー!」
恋「ちょっ陽痛い引っ張らないで!」
夜「もう、陽ったら、やめてあげなよ」
麗奈「あたし達にはあんま関係ないことだけどー、お祝いならはしゃがにゃ損損!」
酒や料理で盛り上がるツキウタ。メンバー。
彼ら彼女らも、恋を祝福していた。恋もそれに気づいていた。
恋「…(アイドルとしては失格なのかもしれないけど、俺、すっごい幸せだ)」
その日の夜は、ツキウタ。メンバーの共同ルームでも、"別の場所でも"盛り上がっていた。
琴葉姫「よっしゃ恋クル成立ゥ!!!これで一つのクロスカプがまた正式に恋を実らせた!!!さぁ飲むぞー!(デカビタプシュー)」
律歌「……………よかったですね、創造主(脱力気味)」
※琴葉姫はアルコール類を飲むと所構わず嫁にセクハラをするので(!?)禁酒を命じられている。
~あとがき~
こ こ ま で 読 ん で い た だ き あ り が と う ご ざ い ま し た !!!
やっと恋クルが正式カプに!(?)やった!!!やったぜ!!!(クズ)
今回は結構まともに書けてるんじゃないか!?と自画自賛しております。まぁそれが読者さんにどう映っているかはわかりませんが!!!(とんでもないクズである)
でも新人花騎士のやったことは駄目なことだけど、ラベンダーとかオオオさんとかベロニカさんの例もあるから「う、うん…?」となってしまった今更な私でありました←←←
あと恋君アイドルだけど恋愛して大丈夫なのか?というところに関しては目を瞑ってください(は?)他のアイドルキャラ達もふつーにくっつく予定なので(!?)(は??????????????????????(威圧))。
この調子で他のカプも成立させたい…(結局そこ)ここまでの閲覧ありがとうございました!!!
ということで、感想OK!
アーサー「FGOマスター組の大喜利対決は?」
琴葉姫「な、なんとか投稿する(震え声)(クズ)」