二次創作小説(新・総合)

Re: クロスな日常物語!※4/22夜 番外編投稿! ( No.26 )
日時: 2020/04/23 15:20
名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: xDap4eTO)

※警告※
出血表現有り。『Iam〜』シリーズの中でもこのpart3が一番重い。
こんなの日常クロスオーバースレでやるお話じゃないよ......。飛鳥ファン、咲耶ファンのみなさんごめんなさい。それと今回短め(2400字越え)


自身に憑く幽霊の存在を知った2人。お伽噺の舞台へと向かう中、2人______否。4人の少女の物語は加速する______


#I am reminded of you part3

紺さんの部屋を後にしたボクと咲耶さんは、現在謎の夢、そしてボクらに憑いてる霊についての手がかりがあるという鬼湖に向かう為、鬼湖へと繋がる森を歩いてる。
途中、ボクは素朴な疑問を咲耶さんに尋ねた。

「なぁ咲耶さん。不思議に思ったのだが、君は鬼になったのに、何故ボクは人のままなのだろうか?」

「それは......飛鳥に憑いてる霊は気性が穏やかだからだろう」

......『だから体を乗っ取ろうとする力が弱い』。恐らく咲耶さんはこう続けたかったのだろう。何故言わなかったのか、その理由は明白だ。先程の件だ。先程咲耶さんは、霊に体を乗っ取られる可能性が高いと言われていたからだろう。
いつもはみんなを引っ張るリーダーシップを持つ彼女だが、自分が自分で無くなってしまうのだ。乗っ取られた際、元の人格がどうなるのかは解らないが、どうにしろ、誰だって恐怖を感じる。ボクだって独りならば、戯れ言だと捉えて現実から逃げてたかもしれない。

「すまない。こんな事態の時に、かなり無神経な事を聞いてしまったね」

「いや、飛鳥は何も悪くないさ」

ボクが謝罪の言葉を口にすると、彼女はいつものように笑顔で返す。が、いつも通りの笑顔ではない。こんな状況じゃなければ気がつかないだろうが、無理に笑顔を作っているように感じた。
それに............

「咲耶さん......。一旦休息をとろうか?」

「いや、いいよ」

ボクの提案を蹴った彼女の手は、誰でも解る程に震えていた。
それでも無理して歩く彼女の腕を、ボク無理にでも引っ張る。元はと言えば、無神経な事を聞いた自身の失態だが、この状態で進んでも良くないと判断したからだ。

「............咲耶さんッ!」

「離せッ!」

「ッ!?
............グハッ」

咲耶さんは声を荒げては力任せにボクの腕を振り払い、ボクを狙って水の魔法を放った。
魔法によって生み出させた高圧の水流は、体重が40kgを越えるボクの体を浮かせ、自由が効かなくなった身体は近くの大木に強く打ち付けられ、自身はぐもった声を漏らした。

(痛......くない?)

全身をとてつもない痛みが襲ったが、驚く事に痛みは“一瞬にして”引いたのだ。
髪や服が血濡れているのが感覚で解るのに、痛くなくて。

(血が............もしかして、ボクは此処で死ぬのか?この訳の解らない世界で?)

自身の鮮血は服を紅色に染め上げても尚流れ続け、ふと視線を右下へと移せば地面までも染まっていた。なのに、怖いくらいに意識ははっきりとしていて。

「アスカッ......!」

そこまで距離が離れてない筈なのに、ボクの名を叫ぶ少女の声はとても遠くから発せられているように感じる。

(彼女は......とても悲しそうな顔をしているな。大切はあの人の最期の様に______



最期......? あの人?ボクは一体何を考えてるんだ?ボクは誰かの最期の表情なんて見た事は無いよな?
それに、何でボクはまだ生きているんだ?そもそも、今のボクは咲耶さんみたいに人間じゃないかもしれない?)

矛盾だらけな自身の思考。己は一体何を考えている?自問自答を繰り返す内に頭は答えの出ない疑問で無茶苦茶になって。

「飛鳥!......待っててくれ、今魔法を掛けるよ」

「!?」

聞き慣れた声と、体を包む黄緑色の光によって、ボクは我に返った。

「これは......?回復魔法?」

「ああ。
飛鳥......先程はすまなかった。許されない事をしたのは解ってる。どんな罰でも受けるつもりだ」

魔法で傷が癒えていっているのだろう。頭部や背中が温かい。咲耶さんはボクの質問に肯定しては、ボクに頭を下げた。

死ぬ可能性だって充分有ったんだ。普通の人ならば温厚だろうと怒らずにはいられない。ボクも同じように彼女に説教をしてやろう、そう思ったのだが______

『彼女は、自分の意思でやったのではない。彼女もあの子も、辛い思いをしている......だから、許してあげて』

ふと、そんな声が何処からか聞こえ、不思議な事に怒りが消え去ったのだ。

「気にするな、とは流石に言えないが......ボクも悪かった。無理に君の手を引っ張って。
それと......何があったんだ?ボクを振り払った時の君の表情はまるで別人のようだった」

不安で震えてるであろう彼女の手をそっと握って呟いては、疑問をぶつける。

「こんな事を言っても信じて貰えないと思うが......
断じて先程のは私の意思ではないんだ」

「知ってた。
君が意図的にあのような事をする人じゃないくらいは解る。何があったか説明してほしい」

「飛鳥......ありがとう......」

咲耶さんは普段の彼女では絶対に見せない涙を瞳に浮かべ、ゆっくり、震えながら言葉を紡ぎ始めた。

この話を聞いて、ボクは白瀬咲耶という人物について、彼女の事を殆ど知らなかったのだと気づかされる。
アイドルの白瀬咲耶は、完璧で非の打ち所もなくて、誰にでも優しく、そして強い。老若男女、様々な人物から尊敬されている。しかし、白瀬咲耶という人間は違った。暗闇と孤独を恐れる寂しがりな1人の少女なのだから______


続く____________



美嘉『担当にこんな目に合わせるし、作者Sなの?』
いや、そう言われましても違いますって......。自分でも『どうしてこうなった』なお話だから