二次創作小説(新・総合)
- Re: クロスな日常物語!※4/27昼前 そこに空があるから 完結! ( No.32 )
- 日時: 2020/04/28 21:36
- 名前: 蒼星 ◆eYTteoaeHA (ID: rLG6AwA2)
シリアスさんはお帰りになりました。今回がIam〜の最終回となります。当初は分割予定だったのを1話に纏めた。
#I am reminded of you partFinal
何者かが湖に飛び込み、バシャンという派手な音と共に盛大な水飛沫が飛び散る。
湖の浅い部分だったようで、その人物はすぐ水面から顔を出す。
その人物は咲耶さんだった。が、何かがおかしい。瞳に光が宿ってないし、そもそも咲耶さんは何もなく湖に飛び込む人間じゃない。
「やっと……やっと会えた…………!レンゲ……!」
咲耶さんは狂ったように呟きながらレンゲさんに抱きつこうとするも……
『バシャッ!!』
抱きつける事なく、バランスを崩して湖に沈む。それもそうだ。レンゲは幽霊なのだから抱きつける訳がない。
きっと、今の彼女……咲耶に憑いてるサキさんだ。サキさんは再び湖から顔を出す。
「な、なんでだ……!?レンゲ、何で…………それに、体が透けて……」
「ごめん、もう命ないわ」
サキさんの困惑に対し、レンゲさんは爽やかスマイルで恐ろしい事を言ってのける。そんなのどこぞのアイドルの財布ないわ的なノリで言うことじゃない。これにはボクも苦笑いをするしかなかった。
「ど、どういう……」
「サキの後に死んだ」
「!?!?!?
えっ……なっ!?」
「というか、事故死じゃなくても寿命的にもう死んでる。あれから数100年経ってるよ?私人間だよ?」
あまりにもストレートな表現に流石のサキさんも困惑してる。これで平然としてるレンゲさんが尊敬を越えて恐怖に感じた。
「なっ、もうそんなに経ってるのか……?じゃあレンゲは今まで何処にいたんだ?」
「まぁ、かくかくしかじか。で、数週間前からはそこにいる飛鳥さんに憑いてた」
混乱しているサキさんの質問にこの発言に当のボクはどう反応すればいいのか。
「彼女ってこの体の主の子とよく一緒に居た……じゃ、じゃあずっとすぐそばにいたのか?」
「うん」
「はぁぁぁぁぁ!?」
レンゲさんのけろっとした返事にサキさんは素っ頓狂な声をあげる。
「そんな近くにいるなら教えてくれても……」
「サキが恐怖に呑まれてて気づいてくれなかった。
それより……いい加減咲耶さんから出てこい。全部あんたのせいで混乱してるんだぞ。
飛鳥さん、私じゃ咲耶さんの体に触れれないので地面に上げてあげてください」
「あ、嗚呼」
今更気にしたら負けだ。そう思いつつ、サキさんが透明な姿で出てきたのを確認してから咲耶さんを湖から引っ張りだす。すると咲耶さんはすぐ目を覚ます。
「やっと身体が戻った……」
「咲耶さん、大丈夫かい?」
「平気だよ。それと、2人の話も大体聞いていたから状況把握はできているさ」
「それは頼もしい」
咲耶さんはむくりと起き上がっては服についた泥を軽く払った。
「それで私達はどうすればいいんだろうね?」
「さぁ?」
「……取り敢えず謝ろう、サキ」
「そうだな……
飛鳥、咲耶。すまなかった。勝手に君達に取り憑いたりして……」
「私からもごめんなさい、二人共」
サキさんとレンゲさんの二人は、顔を見合わせて困惑してる私達に近づいて頭を下げた。
「頭を上げてくれ。事情は聞いたんだし悪意があっての事じゃないのだろう?唯一の人の為に盲目的になるのは解らなくもない」
急に頭を下げられても困る、という意味合いも込めてボクは二人に伝えた。
「許してくれるのか……?」
「まぁ許せといわれてただで許せるかと言われると少し……ボクならまだしも咲耶さんが。咲耶さんの身体を乗っ取ろうとしたじゃないか。それを何もなかったようにできるかと言われて逆に君は許せるのかい?」
「うっ……」
ボクの問いかけにサキさんはたじろぐ。
「飛鳥、少し言い過ぎだ。
私はアナタ達を許すよ。同情と言えばそうかもしれないがね……飛鳥はどうだい?」
咲耶さんはボクの肩をポンッと叩くと前に出た。
「いや、一番の被害者の咲耶さんがいいのなら異論はないよ」
フッと笑うとそう伝える。もともと許すつもりだったし、許さなかったら話は進まないだろう。
「ありがとう。そう言って貰えると助かるぞ」
「どういたしまして。なんだろう……少し前まで己に憑いていた霊にお礼を言われるとむず痒いね。姿も自分と似てる訳だし」
「ボクも実感してるから同情するよ」
サキさんにお礼を言われて恥ずかしそうに、そして困惑した咲耶さんが呟くのでボクは同志を見る目で彼女の肩に手を置く。
「とは言え……これから二人はどうするのかい?先程レンゲさんが成仏とは言っていたが……」
「あ、それね……実は私達、もう成仏できるんだ。後は時間経過だけ」
「!?」
「ゲホッ、ゴホッ」
レンゲさんが申し訳なく呟き、咲耶さんが唖然としてサキさんが咽ている。
「サキ……大丈夫?」
「大丈夫だ。少しびっくりしただけで、自分がどんな状態なのかワタシ自身が一番解ってるから。
まあ、レンゲに会えて、君達とこうして話せて……君達なら覚えててくれるだろう。って思えたからな。もう未練がないから」
少し名残り惜しそうに笑うサキさん。しかし、ボクには『未練が無い』という事は嘘に感じれて。
「未練が無いと言い切るのは少しばかり君の意に反しているんじゃないかい?サキさん」
やはり嘘だったようで、サキさんはボクの言葉に目を見開いていた。
「数分しかこうして話してないのに見抜くとは……少し、耳をかしてくれ」
「嗚呼」
サキさんはやれやれと言った感じで呟くと、ボクに近づいてはそう頼むので、ボクは彼女に右耳を向ける。
「と、言ってもワタシ自身の事じゃないのだが……彼女、咲耶を独りにしないであげてくれ。心が落ち着いてやっと気づいたが彼女はとても良い少女だ。そんな少女が孤独で苦しんで、誰かに必要とされる事を望む。そんな状態だと、彼女に情が移ってしまったワタシが成仏しきれるか心配でね」
「それならお安い御用だ。なに、昔はともかく、彼女はボクやL’Antica、沢山の人に囲まれてるからね。心配は無用だよ」
困ったようで、それでいて安堵を含んだ声調で、ボクに囁くような小さな声で話す。彼女の頼みをボクは快く承諾して微笑んでみせた。それを見た彼女は嬉しそうに笑う。大丈夫だと解りきってたかのように。
「君がそう言ってくれるなら安心して逝けるな」
サキさんは一歩後退すると、穏やかな笑みを浮かべて。
「サキ。そろそろ時間みたい」
「そのようだ。
二人共、短い間だったがありがとう。霊が成仏する瞬間なんて見てても面白味なんてないし、魔法で森の出口まで送ろうか?」
レンゲさんの名残り惜しそうな声に、サキさんはこくりと頷くと、ボクらにそう問いかけた。
「いや、最期まで居させてほしい。アナタ達が迷惑でなければの話だけど」
が、咲耶さんは始めからこの問いが来ることが解ってたかのように即答する。ボクも同感だ。ここまで来て『はいそうですか』と帰る人が居るだろうか?
「いいや、迷惑だなんて一切無い。ホント、君達には助けられてばかりだ。可能ならばお礼をしたいものだ」
「そうだね。何回目になるか解らないけど、改めてありがとう。白瀬咲耶さん、二宮飛鳥さん。これからアナタ達が歩む道に幸せが溢れてる事を願うよ」
満面の笑みを浮かべる2人の体は、徐々に薄くなって。ボクは名残り惜しくて、そして少し罪悪感を感じて。
先程まで話していた2人が今居なくなるのだ。それも、ボクらが行動したから。2人は嬉しそうだが、これはボクらが殺したという事になるのでは………?
そんな事ないと解りきっているのに、そんな思考が巡って、ボクは俯いて。
すると咲耶さんはそっとボクの手を握った。
「飛鳥。何も心配する事はないさ。2人はこれからきっと幸せになるだろうから気に病まなくていい。むしろ……」
「「「誇っていい事だよ。長い呪縛から開放してくれたのだから」」」
三人の声が重なる。
生物が死んだ後どうなるかは誰にも解らない。死後の己の行き先もそうだ。が、死んだのなら、己が居た世界にど干渉できない。この『お伽噺』のように、誤った歴史が伝わる可能性だってある。
ボクらは旅立つ彼女達の歴史を、正しく未来に伝えようではないか。
そして、元の世界に戻っても、たまに彼女らの事を思い出してあげよう。
I am reminded of you______。
私は貴方を思い出す。ボクは君達を思い出す。
2人が消えゆく最期まで、ボクと咲耶さんは2人を見つめた______
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あれから1週間というもの。鬼湖と花畑には寮の皆が集まっていた。
咲耶さんはあの翌日、姿が元の人間のものに戻り、そして紺さんを始めとするメンバーにこの出来事を話せば、反応は千差万別だったが、最終的には揃って『2人の生きた証であるこの場所を広めよう』、『ならば皆で此処に来よう』と(何故か)なり、今日はここに集まったのだ。
そんな彼女達を、ボクと咲耶さん、そして紺さんは少し離れた、森の端の大木にもたれかかっていた。
「飛鳥、あれからお伽噺の夢の方はどう?」
紺さんの、そんな何気ない発言。
「嗚呼、それなら昨日、2人の夢を見たよ。
でも______
今までとは違って、ボクと咲耶さん、レンゲさんとサキさんの四人で、他愛のない話をした、そんな幸福な一時さ」
「私も同じ夢を見たよ。夢から覚めたのが勿体無いくらい心地よかった」
ボクの微笑に咲耶さんの優しい声。ボクらの反応を見た紺さんは、『良かったですね』と言わんばかりの笑顔を浮かべる。
「そういえば……この花畑の蓮華に似た花は一体……?」
ボクのそんな問い掛けに、咲耶さんは少し考えては答える。
「この花は『鬼蓮華』。この世界特有の花で、橙と黒の2色があるのだけど……橙の花言葉は『かけがえのない者』、黒は『孤独の克服』。そして……共通の花言葉は『限り無い幸福』だった筈よ」
そんな言葉を聞いたボクは、そそくさと花に近づき、橙の鬼蓮華を摘む。そして、不思議がってボクに近づく咲耶さんの方向へ振り向くと、両手で花を持ち、精一杯の想いを伝える。
「咲耶さん、いつもありがとう。限り無い幸福を、君に」
柄じゃないのは解ってるが、渡したい、そう思ったから。たまにはいい。例えアイドルだろうと、中二病だろうと、ボクはまだ14歳の少女だから。
______こうして感謝を伝えるのも、たまにはいいとは思わないかい?
そうだろう?と、声が届いてるのか解らないこの花のモチーフの人物達に問いかける。きっと、2人は天からボクらを見てるだろうから。
『『「ありがとう、飛鳥」』』
響く咲耶さんの声。でも、この声は咲耶さんだけじゃなく、呪縛から解き放たれた2人の声も合わさってる気がした____________
おしまい。
後書き抜きで4500文字越え!なんとか完結したぁ!
飛鳥『いやいやいや。最後だけ良くすればいいって訳じゃないよ』
いやだって……真乃誕の後くらいから、そこに空があるからや春なんて来なくていいと平行でこのFinal書いてたから日数経ってるし。結構大変だぞ?シリアス投げ出した辺りから狂って、なんとか軌道修正して、途中何度も投げ出したくなったから………
咲耶『うん。それは褒めようだけど……6話あるって言わなかったのかい?』
1週間後の部分(エピローグ)は別話にしようと思ったけど、ここまで来たら合併したくなった。だからいつもの小説が2000文字ちょいだとして、倍近くのボリュームなんだ。
では、ここまでの閲覧ありがとうございました!次回は前にも予告しましたが、舞花ちゃん参戦の予定です!
あすさく『『では、また次回!!』』
あ、今更ですしこないと思うけど一応。コメントはどのタイミングでもokです。
それとアイマスの境越え二次創作増えろください。あすさくもっと書きたいけど5話の長編(このスレ内では)を書いたから暫くお預けかな?一応鬼蓮華と美嘉の変貌の癒し草は架空の花です。