二次創作小説(新・総合)
- Re: ハリー・ポッターと銀色の精霊使い【ハリー・ポッター】 ( No.1 )
- 日時: 2020/04/08 22:31
- 名前: ケルン ◆14iGaWqIZs (ID: 66mBmKu6)
プロローグ 0話
「今日のハリーを見たか、リリー! 将来は間違いなくグリフィンドールのクィディッチ選手だよ!」
「そうね、きっとジェームズに似たのね」
興奮気味に話すジェームズに、リリーは苦笑する。親友から送られたおもちゃの箒を乗りこなす息子を見て、ジェームズは早くも将来に思いを馳せていた。
でも、とジェームズはすぐに暗い顔になる。夫婦にはもう一人、娘のソフィアがいた。こちらは、夫婦の悩みの種だった。
「リリー。ソフィアは結局、スクイブなのかな……ハリーと違って箒に乗れない、魔法の力が目覚める気配がない。心配だよ」
「……そうかもしれないわね」
兄であるハリーが魔法の力に目覚め箒を操ったりするのに対し、ソフィアには何の力もなかった。
箒には乗れないし、魔法らしきものは一切見られない。マグルの子供と変わらないのだ。
両親共に魔法使いであった彼らは、自分の子が魔法を使えない等と夢にも思わなかった。
「けど、魔法の力が目覚めるのが遅い子供だっているわ。スクイブだって私達の子供であることにかわりはないもの」
「そうだね。きっと、ソフィアは人より遅いだけなんだ」
その日は、ハロウィンの日。
かつてソフィアが暮らしたポッター家では穏やかな時間が流れていた、はずだった。
「やめて! ソフィアを返して! 殺すなら私を殺して!」
ポッター家の二階で、ソフィアの母親であるリリーはハリーを抱きながら懇願していた。
対峙するのは、気味の悪い仮面をした魔法使いだった。彼の腕には泣きじゃくるソフィアが抱かれ、その頭には杖が押し付けられている。
リリーは魔法使いに杖を奪われた上に、ソフィアを人質にとられていた。
「あんたは娘より、息子を選んだ。それだけの話だろう」
魔法使いは、娘を返してくれと懇願するリリーを嘲笑った。そして迫る邪悪な気配。
「タイム・リミット。喜べ、ソフィア・ポッターはすぐに父親の元に送ってやるからな」
高笑いをしながら魔法使いはソフィアと共に、姿くらましで姿を消した。青ざめたリリーは絶望から、膝をついてしまう。
「そんな……ソフィア……」
背後からする物音にリリーが振り向くと、そこにはヴォルデモートが立っていた。
同日。ポッター家ではジェームズとリリーが亡くなり、兄のハリーが生き残った。ハリーが闇の帝王を打ち倒し魔法界は、歓喜にわく。
しかし、その裏でソフィアの悲劇は人々の涙を誘った。死喰い人に誘拐され、やがて殺害された悲劇の子供。そう世間は勘違いしていた。
その日、とある森の奥にソフィアは捨てられていた。