二次創作小説(新・総合)
- 打ち上げ ⑤ ( No.149 )
- 日時: 2020/05/26 22:09
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)
~運営本部 住居区~
MZD「何?本部の近くですげーデカイ音がしたんだけど」
ジルク「近くに大きい物体が墜落した。様子を見に行こうと思ってるんだが…」
MZD「てか、ジルクルーントレイン乗らなかったんだね。折角だし星空見て行けばよかったのに」
ジルク「俺は浮けるからな」
ヴィル「夢の無いことを言う奴だ」
MZD「否定はしないけど、車内から見る景色とは違うと思うんだけどなー。とにかく、何が落ちたのか見に行こうぜ」
運営本部でも何かが落ちた音、そして落下による地面の揺れを察知。サクヤに頼まれ、MZDとヴィルヘルムは落ちた物体の様子を見に行こうとしていました。
途中で同じ目的で落下地点へ向かおうとしていたジルクと合流し、3人は目的地へと出発しました。ジルクは『星は別に自分で浮かんで見に行けばいい』と思っていたようで、彼の言葉を聞いた2人は少し呆れ顔の様子。
そのまま歩いていると、ふと目線の先に何か『白い突起物』が見えました。
ジルク「何か見えるな。…城か何かか?」
MZD「随分デカそうだなー。早く行って確認しようぜ」
3人がその場所へ急いで向かうと、そこには…。
まるで地面の一部分が抉られたような地形の、『城』が建った大地が転がっていました。信じられない光景に思わず言葉を失う一同。
そこに、ルーントレインも丁度良く到着しました。車掌席からクレアとグレンが降りてきたのと同時に、車内に残っていた参加者も一斉に外へと出ます。
クレア「これが…落ちてきた物ですか…?」
ヴィル「列車での旅はどうしたのだ」
グレン「実は、目の前でこの城を列車が横切ったようで…。落ちた場所が本部の近くだったから、星を見るのをやめて一旦戻ってきたんだ」
烈「なんだなんだー?って、本当に何だこれ?!」
ミミ「おっきな城…。それに、まるで街みたい…」
チタ「んー…。なんか、あの人が動かしてる『飛行島』に似てねっスか?」
ルーファス「形状は似ているけれど、違うもののようだ。飛行島には城なんて存在しないからね」
チタが『見覚えがある』と飛行島の名前を出しますが、どうやらそれではないようで。他のメンバーも『空中に白が浮かんでいる』なんて聞いたことも無いようです。しばらくそれを見続けていたクレアが、ふと何かを思い出したようでこう口走りました。
クレア「このお城…本で見たことがあるような…」
シェリル「本ー?どんな本なのー?」
クレア「えっと…。確か、『ドラガリアロスト』という世界の本です。私達とよく似たような世界があって、そこでは人とドラゴンが絆を育んでいるんだとか。その本の中に出てきた『聖城』という建物に似ているような…」
マルス「聖城…よく見せてくれないかな?―――あっ。ぼく、ここに行ったことがある。たしか、アスク王国での怪奇現象に巻き込まれて…『ドラガリアロスト』の世界に飛ばされてしまったんだよ」
ニア「…それにしても、あれだけ大きく落下したのに、大して損傷がございませんわね…。もしかしたら、本の中の世界…それが、本当に目の前に現れてしまったのかもしれませんわ、ね」
マルス「聖城が『世界の融合』に巻き込まれてしまったということなのかな?それなら…中に誰かいるかもしれないね。見て来るよ」
アイク「俺も行く」
マルスは心当たりがあるようで、クレアの言葉が『本当だ』と認識している様子。中に誰かがいるかもしれない、と彼はアイクと共に聖城の中へと入って行きました。
…しばらく待っていると、彼が誰かをおぶって帰ってくるのが見て取れました。
MZD「どうだった?誰かいた?」
マルス「うん。…間違いないよ、この聖城は『ドラガリアロスト』の世界のものだ。それから、中に2人程倒れていたからおぶってきたよ」
アクラル「知ってるヤツなのか?」
マルス「そうだね…。僕のおぶっている彼は『ユーディル』。この聖城の主だよ。確か…『新アルベリア王国』を設立して、ディアネル帝国と戦っていたと思うんだけど…」
アイク「この耳が生えた少女も彼の仲間なんだな?マルス」
マルス「うん。彼女は『クラウ』。『フォレスティア』という種族で、見た目に反してかなり超齢だったはずだよ。『霧の森』という場所をずっと守護してたんだって」
マルク「不思議な人なのサ…。こんな小さな見た目なのに…」
ソティス「そう珍しいものでもあるまい?特にこの世界ではのう。…とにかく、じゃ。聖城とやらのことも気になるが、とにかくはこの2人を本部まで運ばねばな」
ベレス「もし彼らが『世界の融合』に巻き込まれたのなら、話を聞かないことには始まらないしね」
ヴィル「…そうだな。ただ、医務室にそう何人も入らんだろう。彼らを介抱する面子以外は打ち上げ会場に戻っていてくれ」
罪木「分かりましたぁ。それでは、医務室を開けてきますねぇ」
コハク「オマエラもちゃっちゃと来やがれよ」
彼らを確認したマルスは、再度混ぜられた世界は『ドラガリアロスト』だということを彼らに告げます。また世界が混ぜられてしまった…。融合に不安がる一部のメンバーでしたが、彼らの安否も心配だということで2人を医務室へと連れていくことにしました。
他に人はいなかったのかを改めて聞くと、マルスは『いなかった』とだけ答えました。…何か心当たりがありそうですが、それは医務室で聞いた方がいいですね。
こうして、一部のメンバーは医務室へ。残りの参加者は打ち上げパーティ会場へと戻って行ったのでした。
~運営本部 医務室~
罪木「お待ちしておりましたぁ。見たところ軽傷そうですが…い、一応検査と応急処置をいたしますねぇ」
コハク「…ったく、いつまでこんなことが続くンだァ?あのリーダーサンは何か言ってないンですかァ?」
MZD「いつどこで『世界の融合』が起きるかなーんて、神でも予測不可能だよ。前に言ったと思うけど、全知全能なのはあの爺さんだけだからね」
アイク「起きたら話をちゃんと聞かないとな。…そういや、サクヤを呼ばなくていいのか?」
サクヤ「呼びました?」
マルス「あれっ?落ちた場所には居合わせなかったよね?」
サクヤ「打ち上げ会場に戻るついでにと、ミミニャミさんが知らせに来てくれたのですよ。世界の融合関連ならば話を聞かねばならないと思い来たのです」
2人をベッドに寝かせ、早速罪木さんとコハクは応急処置を開始しました。幸いにも2人共軽いかすり傷だけのようで、特に大掛かりな処置は必要なさそうとのことでした。
待っている間に扉の音が開き、サクヤが部屋に入ってきます。どうやらミミニャミから話を聞いたようです。
罪木「…これで大丈夫ですねぇ。大きな傷もありませんでしたし、すぐに起きてくれると思いますぅ」
コハク「本当に『不幸中の幸い』ってヤツだったなァ。あんなどデカイ墜落してこンな軽傷でいられるとか…。『ドラガリアロスト』ってのは落下に慣れてる世界なンですかねェ?」
マルス「そういうわけではないけど…。彼ら、結構な頻度で『異界の狭間』に行っているらしいから…。こういう不祥事には慣れているのかもしれないね」
ユーディル「う、うう…」
話を続けていると、金髪の青年…『ユーディル』が目を覚ましました。急に現れた見覚えのない景色に彼はその大きな目を更に大きくし、驚いています。
その緊張を溶かすように、マルスは優しく話しかけました。
マルス「ユーディル王子、久しぶり。ぼくのこと覚えてる?」
ユーディル「その声…まさか、マルス王子?!アスク王国に帰ったんじゃ…?」
マルス「ここは『アスク王国』でも、きみ達のいる世界でもない。周りを見てごらん」
ユーディルは目の前にマルスがいることにひどく驚いています。そりゃあ、元の世界に帰る手助けをした相手が目の前にいたらそりゃびっくりするでしょうけれど。
マルスに言われてユーディルは周りを見てみました。確かに自分の知っている人がいません。彼の言う通り、『別の世界』に飛ばされてしまったのでは…?と、彼はすぐにすんなり納得がいきました。
ユーディル「つまり、ここは『異界』のうちの1つということなのか?」
アクラル「いや、厳密にはそうじゃねーんだけど…。まあいいや。元々お前らがいた世界はこの『コネクトワールド』ってのに呑み込まれちまったんだよ」
ユーディル「ってことは、『異界』じゃないのか?混乱してきたな…」
サクヤ「兄貴、説明を端折らないでください。…ユーディルさん、でしたね。私はサクヤ。この世界を守護する『四神』がうち1人です。貴方のいた世界…『ドラガリアロスト』の世界は、『世界の融合』という現象によって、このコネクトワールドに混ぜられてしまったのです。恐らく、貴方達の言っている『ディアネル帝国』とやらもこの世界のどこかに現れているはずですよ」
ユーディル「『世界が混ぜられた』…。そんなことがあるのか…。あ、丁寧にありがとう。おれはユーディル。アルベリア王国の第七位王子だ。よろしく頼むよ」
MZD「見た目の割に言動がしっかりしてると思ったら、王子様だったんだねー。そりゃ堂々としてるわけだよ」
マルス「こう見えて、ぼくと早々年齢が変わらないからね。本当に、彼の勇気と優しさにはいつも感心してしまうよ」
罪木「えっ?!マルスさんと同い年なんですかぁ?!もっと年下かと思ってましたぁ…」
ユーディル「あはは…。見た目で勘違いされるのはもう慣れてるから気にしないでくれ。それで…おれ達はどういう状況でここまで運んでもらったんだ?」
流石、状況を理解する力に長けています。ユーディルはサクヤの説明をしっかりと聞き、すぐに自分達の状況の説明を求めました。
サクヤはその行動力に少し眉が動きましたが、そのまま『聖城が落ちた経緯』について話をしました。すると、彼は少し首を傾げた後、頷きました。
ユーディル「つまり、おれと後ろにいるクラウ以外はみんな行方が分からないってことか…。でも、聖城が無事で良かった。あれが無事なら移動に苦労はしないからね」
サクヤ「クラウさんの他にも仲間がいたのですね…。良ければその仲間探し、私達に手伝わせては貰えませんでしょうか?その変わり、この世界はまだまだ謎が多い。貴方達が発見したことを『ドラガリ支部』として共有していただきたいのですが…」
ユーディル「貴方達もこの世界については良く分かっていないのか…。仲間探しも一緒にしてくれるって言うし、手伝うよ。聖城を動かせれば近くにいる仲間は反応するだろうし、そこから何人かここで連絡役を務める様頼んでみるよ」
MZD「適応力早いな?!随分と異界の人間と出会うのに慣れてるんだねぇ…」
ヴィル「お前が言うか。…だが、協力してくれることには感謝するぞ。ただでさえ、ここのところ道化師の襲撃で人手がままならんのだ。借りられる手は借りたい」
サクヤ「返事が早くて助かります。…ですが、今日はここでゆっくり休んでいってください。突然の異世界にまだ驚いているようですからね」
ユーディル「そうさせてもらうよ。ありがとう」
なんと、ユーディル達の協力を取り付けることに成功しました!彼らの仲間達から、次回から本部で協力してくれる仲間が増えるようです!一体どんな仲間が来てくれるんでしょうかね、わくわく。
とりあえずこの話は切り上げる様サクヤが提案し、ユーディルとクラウにはしばらく休んでもらう様提言しました。彼はその提案を承諾し、しばらく休ませてもらう選択を取りました。
この場は罪木さんとコハクに任せることにして、集まっていた一同は打ち上げ会場へと戻ることにしたのでした。
~打ち上げパーティ会場~
ジルク「みんな、楽しそうだ。笑顔が沢山ある」
打ち上げ会場には笑顔と歓声が戻ってきていました。ルーントレインでの星空の旅は途中で終わってしまいましたが、それまでに見た綺麗な夜空に皆話が盛り上がっているようです。
それを陰で1人見つめるアンドロイド、ジルクファイド。…彼の胸に、何か『むずむずとしたもの』があるのに彼が気付くのは、そう難しいことではありませんでした。
ジルク「俺は、神を…人間を、壊す為に起動されたアンドロイド。だけど、そう思うと胸がムズムズとする。この笑顔が、奪われるのは…モヤモヤする。なんだ、これは」
胸に手を当てても、そのムズムズが収まる訳ではありません。名前の分からない感情に、彼は不安と恐怖を覚えていました。
しかし、彼らと共にいることで―――その『感情』の正体が分かるのではないか。彼はそう考えるようになっていました。
ジルク「俺は、ここに、いたいのか…?」
思わずぽつりと口に出した、その時でした。
―――無駄だよぉ。
ジルク「?!――――――うぐっ……ぁぁ……」
目の前が、歪んだ。頭が割れるように痛い。脳内に響く声は、誰だ。
色々な思考が頭の中を支配する。思考が、声に、塗りつぶされていく。
―――逃げられると、思ったのか?『アンドロイド』の癖に。
やめろ。もう少しで答えが出そうだったのに。やめろ。やめろ。やめろ―――!!
否定する彼を嘲笑うかのように視界が、脳が、暗闇に覆われていく。そして……。
―――『道具』は『道具らしく』最後まで使われてろよ。
ジルク『―――コード『Zirkfied』再起動。
マスター。『殲滅対象』を 再度 インプット して下さい。
殲滅対象 『ウンエイ ホンブ』』
そう機械的に呟いた『赤い目の』彼は、一瞬にして打ち上げ会場から消えてしまったのでした…。
MZD「ジルク…?」
彼の消えた場所を心配そうに見つめる、少年の姿を捉えながら―――。
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ふぅ。今回はカオス軍団の暴走がなくて良かったですねぇ。それとは別ベクトルで大変なことになりそうですが。
『JOKER』の正体が遂に公となったわけですが、彼も無策でそうした訳ではありません。いずればれるとは思っていたのでしょう。それに、本部の輩は彼が御伽話の道化師だったからといって態度を変えることはしませんでしょうからね。
ジルクファイドの変異やアシッドの本部在籍など色々ありましたが、果たして次回はそれも踏まえどうなっていくことやら。
それでは皆様、次回の逃走中でお会いいたしましょう!Adieu!
逃走中#CR03 ~カービィ!バトルデラックス!!~ THE END.
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