二次創作小説(新・総合)

ABT②『全知全能を司る神』 ( No.26 )
日時: 2020/04/15 22:02
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)

OPゲームも無事(?)に終了し、3回目のスタートを切りましたね。
その様子を見て安堵する運営本部でしたが、何やら神々しい雰囲気が本部に近付いているようです。

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~運営本部 エントランス付近廊下~



jun「MZDー。控室の掃除終わったよー」

MZD「おー、ワリィな掃除までやってもらって。ここら辺過去2回あまり手入れ出来てなかったからな、助かったぜ」

jun「今回ばかりは僕も運営本部で働く仲間なんだからお礼なんていらないよ。…噂通りこの世界のMZDは真面目なMZDなんだね。なんか安心しちゃった…」

MZD「そもそも異世界のオレの殆ど全てがあの混沌とした出来事に大笑いしていることが納得できないと思ってるのはオレだけなの?」

ヴィル「…魂を奪い取り滅びへと導くしか道はないのだろうか」

MZD「物騒なこと言わないで?!」

jun「(怖い…)」



OPゲームも終わり、メインサーバに集まっている運営本部が現在はその場から解散していました。
junrisはMZDに控室の掃除の手伝いを頼まれ、意気揚々と今終わらせたようです。確かに過去2回、人手不足で中々手が回らない場所でしたからね…。
…junris、ここの世界のMZDが凄く真面目でまともなことに驚きを隠せずにいたものの、現在は安心して打ち解けている様子。対しての彼は異世界の自分がそんなことになっていると改めて知り頭を悩ませているようです。……ヴィルヘルム、魂を奪い取るのはやめてください。



ヴィル「貴殿の魂を奪い取るつもりは更々ない。junris殿、安心してほしい」

MZD「その台詞のどこに説得力があるんだよ!…まあ、ヴィルも確かにたまに物騒な台詞口から出るけど優しいし、頼りになる『兄ちゃんみたいなヤツ』だから。junもそんなに怖がらなくていいんだぜ」

ヴィル「…………」

jun「(…ヴィルヘルムさん、驚いてる?)」



MZDの口にした言葉が意外なのか、珍しく表情をきょとんと変えたまま彼を見つめるヴィルヘルム。…『兄みたいな人』と言われたことに驚いているんですかね?junrisは彼の珍しい顔を見て困惑しています。

そんなこんなで雑談を続けていると、ふとjunrisが遠目に何者かの影を捉えました。



jun「…あれ?誰かエントランスまで走っているみたい。……うーん。サクヤさんと霊歌さんかな?なんだか慌ててるみたい」

MZD「サクヤが慌ててる?珍しいな、何か大変なことでも起きたのかな?」

ヴィル「追いかけてみるか?」

MZD「あぁ、行ってみよう。junも来る?」

jun「もちろん!」



遠目の影の正体はどうやらサクヤと霊歌のようです。普段ほぼ淡々とした表情の彼女が慌てて廊下を走っているということは…状況が普通ではないということを知らせているも同じ。
もしかしたら敵襲かもしれません。嫌な予感が頭をよぎるポップン界のM&W。junrisに一旦確認を取り、3人でエントランスまで向かってみることにしました。









~エントランス~



サクヤ「…………」

アクラル「…………」

アカギ「…………」

ニア「…………」

旧支配者「お?お?急にどーしたんだお前ら」

霊歌「さっ サクヤさん?!みんな?!大丈夫?!」

『お~お~。随分と久しぶりじゃのう。なんじゃ!四神揃って固まりおって。ワシが単独で遊びに来たからって驚愕しなくてもいいじゃろうに』

サクヤ「……します!驚愕します!アシッドさんならともかく、単独で貴方がお忍びで現れるとは誰も思わないでしょう!せめて事前に連絡をくださらないと困ります!」

ニア「…サプライズ好きのひょうきん爺だとは以前から思っておりましたけれど…。まさかここまでとは思いませんでした、わ」



所変わってエントランス。どうやらエントランスに向かっていたのはサクヤと霊歌だけではなかったようで、現在表情が固まっている四神とそれを見て慌てている霊歌、そしてぼーっと目の前の急な来訪者を見ている旧支配者がいました。
……急な来訪者、白いひげを携えた、威厳のある老人の姿をしています。表情は随分と柔らかい印象を受けますが、こう、なんというか…ひざまづいてしまいそうな雰囲気を醸し出しています。



jun「…あっ!サクヤさん達が見えてきた!―――誰かと喋ってるみたいだね…?」

ヴィル「―――ご老人か?随分と急な来訪者だな……MZD?」

MZD「―――!」



彼女達を追いかけていた3人、エントランスに到着。合流します。
慌てている霊歌をjunrisが宥めている間にヴィルヘルムがサクヤに事情を聞こうとしますが…MZDの様子がおかしいことに彼は気付きました。
…彼、あの老人に覚えがあるようで、無意識にヴィルヘルムのマントを掴んでいます。表情はサングラスで覆われて見えていませんが、手からの震えは彼の『恐怖』を十分に彼に伝えさせていました。



旧支配者「あったことはねーけど、なーんか俺等より強い力を感じる。誰なんだコイツ?」

サクヤ「…彼は『ゼウス』。我ら神なる存在を束ねる『全知全能の神』です。普通こんなところに単独で来ていい存在じゃないんです…」

霊歌「えっ?このお爺さん……凄い人なのーーー?!」

ニア「凄いどころではありません。『天界を司る者』…空の上の世界を統べるトップ、なのですわ」

ゼウス「ワシだって退屈なんじゃ!しかも最近アシッドが『逃走中』なる楽しそうな催しの話ばかりするからのう。こっそりワシも天界から見ておったのじゃ。そうしたらお主等が楽しそうに笑っておるのでのう。白虎の奴も珍しく起きておるし。様子を見に来るがてらワシも逃走者の応援をしに来たのじゃ!」

アクラル「あの社長が原因だったか…」

アカギ「…天界の管理はほっぽってないよな流石に…」

ゼウス「安心してよいぞ。ワシの信頼の置ける部下に任せてきたからのう。今のワシは『ただのお茶目な神様』じゃ!」

サクヤ「何が『ただのお茶目な神様』ですか!…前回リサさんとヴァリスさんが襲ってきたこともあって、神の世界に何かがあったことは明らかです。―――単に逃走中を見に来ただけではないのでしょう?」

ゼウス「…やはりお主の目は誤魔化しきれんようじゃの。……それも踏まえてお主等に話がある。それで単独で来たのじゃ」



この老人の名は『ゼウス』。『全知全能の神』と呼ばれる、神様の世界のトップを統べる神様です。2回目の時に名前が出てきていましたね。
そんな立場の人なので、普通はこんな場所まで出てくることが不可能な人物です。ですが、今回何かサクヤ達に話があるとわざわざ地上まで現れたようですが…。



サクヤ「…来てしまったものは仕方がありません。案内は後で致します。…ですが、先に神の世界で何があったかを教えていただけませんか」

ゼウス「そう逸るでないぞ青龍よ。…神の世界に、『人間を神として迎え入れる為に動く連中』がいることは知っておるな?」

アクラル「サクヤを人間から神にしようとしてちょっかいかけた奴だよな」

ニア「…いつ聞いても気分のいい言葉ではございませんわ、ね」

ゼウス「…前回、地上に道化師の奴らが襲ってきたことはお主等も知っているじゃろう。―――繋がっておったのじゃ。『そやつらと、道化師が』」

アカギ「…あの異星人達の口ぶりからしてそうかもしれないとは思っていたけど…これで、確定した…な」

サクヤ「メフィストの言っていた『天も、地も我らの敵』。…これで解釈が一致しましたね」

ゼウス「部下に何をしているか探らせている最中じゃが…。彼奴等、ワシが思っていたよりもとんでもない『邪悪』をこの世に蘇らせようとしているのやも知れぬ。『JOKER』の創り出した『永久』の魔法―――それよりも強く、邪悪な、何かを」

MZD「…………」



前回ジルクを操っている人物―――メフィストが彼女達に最後に言い放った言葉。皆様は覚えておりますでしょうか?『敵は天と地、両方だ』という言葉を。
…ゼウスによると、『神々の一部が道化師と繋がっている』とサクヤ達に伝えに来たのだそう。にわかに信じがたい発言ですが、メフィストの言葉、そしてリサとヴァリスが襲ってきたことと照らし合わせてみると―――手を組んでいても確かにおかしな点はありません。



サクヤ「ゼウス様。現在その『神々』は何をしているのですか?」

ゼウス「道化師の奴らから連絡を受けたようでの。どうやら彼奴等も『JOKER』を探しておるらしい。―――彼奴等の目的は道化師の求めている『JOKER』そのものではなく、彼奴の創り出した『永久の魔法』じゃ。双方求めているものが違うからこそ、手を組んだのじゃろうとは考えておるが…」

アクラル「じゃあよ、クソ神と道化師野郎よりも先に『JOKER』を見つけて保護しちまえばいいんじゃねーか?」

jun「でも、どこにいるのか分からないんでしょ?目星も付けないで探すなんて流石に無茶だと思うけど…」

旧支配者「うーん…。そんな心配することかー?『JOKER』って、魔族を逸脱した魔力を持っていた存在だったんだろ?だったとしたら、自分が狙われていることくらいもう知っていそうなもんだがな」

霊歌「確かに…そうかもしれないね。でも、私達が『JOKER』が誰かを把握しておくことはとっても大事なことだと思う!探すことに反対はしないわ!」

サクヤ「―――『JOKER』捜索のことはさておき、これで我らを邪魔立てする者の目的が明確になりましたね。…ですが、動くのは今ではありません。相手方が水面下で動いている以上、我らが無暗に動き敵方に知られてしまえば元も子もありませんからね。
    …ゼウス様、情報提供ありがとうございました」

ゼウス「なぁに。四神はワシの息子や娘みたいなモンじゃからのう。困ったら助け合うのはお互いさまじゃろ」

アカギ「それは有り難い…けど、次はちゃんと事前に連絡欲しい…」

ゼウス「ほっほっほ!それはすまんかったのう!…そろそろこの話は仕舞にするか」



…神々の一部も『JOKER』を狙って動いているとは。もしかしてリサとヴァリス襲撃もそれ絡みなんでしょうか。下手に動いて相手に勘付かれるのも困ると判断したのか、一旦はサクヤがこの話を切り上げることを提案しました。
ゼウスはケタケタと高笑いをした後、ゆっくりとMZDの前へと現れます。
MZDは震えたまま、ヴィルヘルムの前に立ち彼の前に手を広げました。



MZD「…………」

ゼウス「久しぶりじゃのう翡翠。元気じゃったか」

MZD「…お願い。親友に、手を、出さないで」

ゼウス「…神々が道化師と繋がっていることが確定した今、お主が彼を守ろうとするのは想定しておった。…じゃが、ワシはお主等に何もする気はない。あの神々とも無関係じゃ。その手をどけてくれんか」

MZD「…………」



どうやらMZD、道化師と神が繋がっているかもしれないと先に気付いていたようで、ヴィルヘルムがゼウスに襲われると踏んでいたのでしょう。だから守ろうとしていたのですね。
そうではないと彼に諭され、少年はゆっくりと彼を守っていた手を下げました。



ヴィル「貴殿が『ゼウス』…。『全知全能の神』だったか」

ゼウス「…………。なるほどのう。お主か。この子が『守りたい』と言った魂……この子に『あの呪縛』をかけたのは」

ヴィル「―――?!」

MZD「待って、それは―――」



…先程おどけてあんなことを言っていた彼、もしかして全部分かってて言ってるんでしょうか。
焦る2人でしたが……ゼウスは、それを宥めるかのようにヴィルヘルムの左肩に、MZDの頭に、手を優しく当ててポンポンと叩きました。



ゼウス「安心せい。お主等のことを話すつもりはない。…それに、ポップンワールドを創った際から翡翠のことを見守っておったが…。お主と再会してから彼奴、自然によく笑うようになったのじゃ。…この子を救ってくれた奴のことをどうして襲おうと思うのじゃ」

ヴィル「…………」

MZD「…そう、だったんだ」

ゼウス「それにのう?翡翠、お主の命を奪おうとした心の無い道化師に心を生み出させた『きっかけを作った』は他でもないお主じゃ。…お主が紡いだ種を根こそぎ奪おうとは思わんよ」



2人に優しくそう言うと、彼は2人から離れ改めて深く礼をし、こう告げました。



ゼウス「翡翠―――今は『MZD』じゃったか。この子はのう―――幼い頃に何もかも奪われて、それでも必死に前を向いて生きておる。とても純粋な子なのじゃ…。どうか、『この子をこれからも守ってやってくれんか』」

ヴィル「神の総督である貴殿が私にそのようなことを…?」

ゼウス「…ワシが何も気づいていないとは思うまい。貴殿はワシと同じなのじゃ。…それに、この子はお主のことを『兄のような存在』と言っておるのじゃろう?それほどに信頼があるのならば、この子を任せてもいいと思ったまでじゃ。……それが、例え『道化師』であってものう」

MZD「…確かに否定はしないけど?」(赤面)

ヴィル「…MZD、微かに顔が赤くないか?」

MZD「―――だーっ!!実際に人に言われると恥ずかしいの!!赤の他人を『兄って思ってる』とか!普通言うかよ?!もうー!!」

ゼウス「ほっほっほ!その様子を見ておれば安心じゃ。……ヴィルヘルム殿、この子のことを……よろしく頼みます」

ヴィル「―――はい」



あーあ。ゼウスに図星突かれてMZD、ヴィルヘルムのマントに隠れてしまいました。
その様子を見てゼウスは改めて高笑いを、ヴィルヘルムはくすくすと口に手を添えて笑ったのでした。











サクヤ「―――あの。観客席に案内する前にゼウス様。お尋ねしたいことがあるのですが」

ゼウス「お?なんじゃ?今のワシは気分が良いからなーんでも答えるぞ!」

サクヤ「気分で答える答えないを決めないでください。……まるすちゃを増やしたのは貴方ですね?」



え?まるすちゃが増えた?
MZDの珍しい表情が見れて気分がいいゼウス、サクヤが淡々と指を指した先を見て「おぉ!」と満足そうに頷きました。
そこでは……。













まるすちゃ「まるまる~!まる~♪」

まるすちゃ(伝承)「まるまるまる~♪」

まるすちゃ(花婿)「まるまる?まるまる~!」

まるすちゃ(Xマス)「まる~!まる~!」

ねこ「た……たすけて……」

霊歌「きゃーーー!!!みけーーー!!!」

jun「これ、全部マルスなの?!」

マルス「な、なんで増えてるのー?!ぼくの部屋で大人しくしててって言ったでしょー?!」



…ぬいぐるみのマルスが3体ほど増えてねこの体毛をもふもふして遊んでいました。
満足そうに笑っているところからして、このお茶目爺の仕業に間違いありません。





ゼウス「え?駄目だった?」

サクヤ「―――『今すぐ』元に戻してください?」

ゼウス「ひっ!刀を取り出して構えるのはやめんか!可愛げのない奴じゃのう!!」

サクヤ「お客人に迷惑をかける輩はたとえ上位の神であっても許しはしませんので……ご容赦を」

ゼウス「ぎゃーーー!!!刀を首に突きつけるんじゃないーーー!!!」

アクラル「ジジイが悪いわ!戻せ!」



その後、首筋に大典太光世を突き付けられたゼウスは泣く泣くぬいマルスを1体に戻したとか…。





ヴィル「…随分と賑やかなご老人なんだな、彼は…」

MZD「神にしてもらう前はかなり世話になったからなぁ。…たまにとんでもないこと仕出かすけどさ」

ヴィル「そうなのか」

MZD「あ、そうそう。忘れないうちに言っておかないとな。ヴィル、誕生日おめでとう!」

ヴィル「―――!……感謝する」(赤面)

MZD「なんだよもう!照れてんじゃないのー!この後ミミにもニャミにもジャックにもサクヤにも言われるはずなんだからここで慣れとけ!…今後、『永久に』祝われるんだからなお前」

ヴィル「照れてなどいない。勘違いするな。頬を突くな!」

サクヤ「(実の御兄弟のように仲良しさんですねぇ…)」(しんみり)





とんでもない人が現れちゃった…。そしてとんでもない事実も明らかになりました…。
そしてヴィルヘルムさん、お誕生日おめでとうございます!出会ってから13年間、一緒に走ってくれてありがとう。これからもえむぜさんと共に、一緒にポップンを楽しんでいきましょう。これからもよろしくね!
運営本部にまたもやひと嵐来そうな予感ですが…。今は様子を見るとしましょうか。