二次創作小説(新・総合)

ABT⑤『我ら、虚構の魔術師』 ( No.67 )
日時: 2020/05/03 22:02
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: ACwaVmRz)

しっちゃかめっちゃかありましたが、無事逃走中も後半戦へ突入!
そんな中、わにゃわにゃしてる生物と不穏な影が…。

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~運営本部 住居区 果樹園前~



jun「えーっと。サクヤさんに頼まれたリンゴはこれで全部かな。いよぃしょっと。重いなぁ…」



『マモニス農場』こと運営本部の畑にある果樹園で、junがリンゴ狩りをしていました。
ワドルディに与える分と、打ち上げパーティの料理で使用する為、サクヤに頼まれていたのです。メモを見てみると結構な量。…1人で運べるんですか?



jun「結構きつい量だけど、戦闘をミミやニャミばっかりに頼っている訳にはいかないからね。こういう日常的な訓練で力を身に付けなきゃ…!」



そうはいいますが、相当無理をしているように感じるのですが。
ここは素直に近くにいる人を頼って半分こにして持って行った方がいいと天の声は思います。このままでは転んでしまいますよ。



jun「大丈夫だよ!これくらいへいk―――うわっ!」



…言わんこっちゃない。バランスを崩したjunrisは地面へと頭からぶつかる―――はずでした。
身体の痛みは全身に広がるものの、頭がぶつかった感触がしない…。実は。



ワドルディ「わにゃ」

jun「わっ、ワドルディだ!助けてくれたの?ありがとう!」



なんと、通りすがったワドルディがいつの間にやらjunrisの頭を支えていたのでした。むにむにとした感触のお陰で一番ダメージの大きくなりそうな箇所を回避できたjunrisは、すぐに体勢を整えワドルディと向き合います。
かわいいなぁ、と呟きながらワドルディを優しくなでる彼。そんな彼の元に、ワドルディではない別の声が聞こえてきました。



????『クックック。マルクの気配がしたからチョット顔を覗かせてみたら、トンダ面白いモノが見れたヨォ!』

jun「な、なんだぁ?!人の失態を見て笑うとは失礼な人だなぁ!」

????『おっと、これは失敬したネェ。…ところで、『この施設の責任者』はドコにいるンダイ?』

jun「ん?なんか聞き覚えのある声…。もしかして、『マホロア』?」

マホロア「ワーオ!ボクを知ってるんだネェ!ご指摘の通り、ボクは『マホロア』!カービィのイチバンのトモダチダヨォ!」



なんと、声の主はマホロア。…アポを取ってやって来た訳ではなさそうですね。サクヤのことを知らなさそうな雰囲気を醸し出していましたし。というか、どこから入って来たんですか貴方。
マホロアはニヤニヤとした表情を崩さないままマホロアはjunrisに先程言ったことを再度訪ねます。



jun「サクヤさんにアポ取ってないの?」

マホロア「そんなメンドクサイことしてられないヨォ!それに、ボクだって『この世界に来て、長い間地下を彷徨っていた』ンダカラ!地上に出てこれたのはつい最近なんダヨォ」

jun「(地下…?地下って、『魔界』のことなのかな?それにしては随分と濁した話し方をするけど…。こいつを連れて行っていいんだろうか…)」



表向きは善人っぽく喋るマホロア。しかし、『それだけではない』。そんな思いがjunrisの頭の中に渦巻いていました。
…ふと、ワドルディがマホロアの目の前に立って、彼の耳をむにむにと触り始めます。



マホロア「な、何するんダヨォ!ボクの耳は食べ物じゃないんだぞ?!」

ワドルディ「わにゃ…」

jun「もしかして、お腹が空いてるのかな?…仕方ない、一度サクヤさんのところにリンゴを届けに行くか。…君の素性は分からないけど、来たければ一緒に来ると良いよ」

ワドルディ「わにゃ!にゃんにゃ~」

マホロア「恩に着るヨォ!キミのコト、覚えておくネ!」

jun「(やっぱり胡散臭いなぁ…)」



ワドルディ、どうやらお腹が空いている様子。このままだとマホロアを食べてしまいかねないと思ったのか、収穫したリンゴを一旦サクヤのところまで持っていくことにしました。
よいしょ、と改めて背中のカゴを背負い直す彼。…しかし、先ほどまで感じていた『重み』が感じられません。背後では―――。



ワドルディ「わにゃ!」

jun「支えてくれてるのか…」



…どうやらこのワドルディ、junrisにすっかり懐いてしまったようですね。
そのまま彼は、マホロアを連れてメインサーバへの道を歩き始めたのでした。







~運営本部 メインサーバ~



jun「只今戻りましたー」

サクヤ「お帰りなさい。…うわぁお、沢山収穫したんですねぇ。これ程までとは思いませんでした」

マモニス「私の育てたリンゴは今が収穫の時期ですからね!想像以上に沢山あったでしょ?」

サクヤ「ところで何故マモニスさんは黒焦げなのですか?」

MZD「他人に迷惑をかけようとした『罰』?」

サクヤ「何故疑問形なのです?」

ヴィル「……さてな?」

霊歌「(これが『オシオキ』なのね…)」



メインサーバに入ると、カゴに大量に入ったリンゴを見て驚いているサクヤが待っていました。何故かマモニスが黒焦げのままリンゴについて力説していますが、今は放置しておきましょう。
…机に置かれたカゴをソティスがまじまじと見つめ、『いっぱいじゃのう』と漏らしてします。こういう経験も初めてなのですね。
そして、『彼』を見つけたマルクが叫びました。



マルク「あーーーっ!!!『マホロア』!!今の今までどこで何してたのサ!何度探しても見つからないから、チョットだけ心配してたんだからな!」

マホロア「チョットー?!ソンナに大きな心配だったのカイ?キミのコトだから心配なんて1ミリもしてないと思ってたヨォ!」

マルク「いちおーボクも『ドリームフレンズ』の一員としての意識と正義感はあるよ!『ボクのイチバンのフレンズダネェ』ってカービィの場所ぶん盗ったオマエよりはじゅーぶんマシなのサ!」

マホロア「旅してまた『銀河全体にいたずらしほーだい』ってつい最近言ってたのはドコのピエロダッタカナァ?キミはボクのこと言えないヨォ!同罪同罪!」

リピカ「言い争いのレベルが底辺さ…」

サクヤ「それで…。マホロアさん、と言いましたか。どのような御用件で本部にいらしたのですか?」



このままではキリが無いと思ったのか、サクヤがマホロアに提言を促します。
すると……彼は、しばらく黙った後先程junrisに見せた顔より『怪しく』笑い、こう答えました。





マホロア「『ヨウケン』ネェ……」

マルク「マホロア…?」





マホロアの『影』が蠢いたのに、マルクは見逃しませんでした。
彼は、『影』が動き出したと同時に、叫びます。





マルク『―――!!!みんな、しゃがんで!!!』



サクヤ「?!」

ソティス「な、なんじゃ?!」





―――一瞬でした。先程までマホロアを形作っていた『影』は、彼の数倍はある大きな『黒い両手』となり、運営本部に攻撃せんと襲い掛かって来たのです!
マルクが叫んだお陰で初撃は避けられた一同でしたが、間髪入れずに次の攻撃が襲ってきます!



ミミ「な、なんなのこれー!」

ニャミ(j)「そっちのあたし達!うちの作者と霊歌さん達と一緒に後ろに下がって!この手、多分『ただ者じゃない』!」

ニャミ「うん!攻撃が来なさそうな場所まで下がってるよ!」

タイマー(j)「なんなんだあれは…!」

ニア「…邪の力?いえ、違います、わ。それとは似た、別の『邪悪な力』…」

マルク「ハッキリ言えるコトは、『アイツ自身の力』じゃないコトサ。…つまり、裏で誰かと手を組んでる可能性が高いよ!」

サクヤ「裏…。もしかして…」



戦えない面子を後ろに下げ、各々戦闘態勢に入ります。どうやら彼、『何か』と手を組んで行動していることが確実そうです。
マホロアはそんな光景を見て『クックック』といたずらに笑うだけ。そして、巨大な手を休みなく襲撃させます!



サクヤ「…貴方の目的は本部の襲撃ですか?」

マホロア「冷静にボクに質問を投げかけるとは随分と余裕があるんダネェ?マァ、そうでなければ『支配しがいが』ナイってモンダヨォ」

マルク「お前っ…!やっぱりこの世界でもそんなこと企んでたんだなッ…!」

マホロア「『利害の一致』と言ってほしいナァ?相手の求めるモノが全然違うし、アイツら『世界』には1mm程もキョーミもってなさそうダッタシ。ある程度目的が一致しているナラ、協力してあげない手はナイト思ってネ!この力も『その人』から教えて貰ったモノなんだヨォ!」

MZD「―――やっぱり『道化師』が絡んでたか…!」

マホロア「オットォ?ソンナ話し続けてイイノカイ?キミ達が大事な…『オトモダチ』が怪我しちゃうヨォ…?」

MZD「『お友達』……? ミミ!!ニャミ!!」



マホロアは両の手をつばぜり合いを行っているサクヤの刀とMZDの槍から離し、後ろで隠れている戦闘できないメンバーに向かって突進させました!なんて卑怯なー!!



ニャミ「ぎゃーーーっ!!こっちに来たーーー!!!」

ミミ「せ、せめて霊歌さんとjunさんは守らないとぉ!!」

ニャミ「影でもパンチでもキックでもかかって、かかってきなさーーい!!身体張って守るんだからーーー!!」

ミミ(j)「この距離じゃ私達の『コスプレ拳』が届かないー!」

マホロア「…………『モクテキはオマエラじゃないヨォ』」

ベレス「――――――! はぁぁぁぁっ!!!」



ふと、彼女達を襲おうとしていた両手が霧になって消えてしまいました。
『目的はお前らじゃない』…?ミミ達を襲う手筈では?
マホロアの言葉に一瞬混乱する一同でしたが、『ベレスが天帝の剣をソティスの方向に向け蛇腹を放った』ことにより、彼の『本来の目的』が一同に伝わるのでした。




















MZD「なっ…!…なんだこれ、力がっ…!」

ソティス「離せ!離さんか!…ぐぅぅ、神の力を吸収しておるのか…?力が、出ない…」

マホロア「そこの綺麗なオネーサンは咄嗟に気付いたみたいだケド、一足遅かったミタイダネェ。本来の目的はコイツラダヨォ。『連れて来い』って、言われてるんデネェ」

ベレス「遅かったか…!」

ヴィル「―――っ!!」



そう。彼の…マホロアの目的は、『MZDとソティスの身柄を拘束する』ことでした。ベレスの蛇腹剣はマホロアに弾かれ、仕方なく元の鞘に戻します。
先程まで影から伸びていた『両手』は、現在はMZDとソティスの身体に茨となって捲き付き、彼らの神の力を奪い取っていました。
神の力を失った2人はただの子供同然。今のマホロアになどお茶の子歳々の相手でした。



ヴィル「その子達を離せ『魔術師』!!」

ベレス「ソティスを、神様を、返して!!!」




ヴィル/ベレス『せぁぁぁぁぁっ!!!』




力を失っていく2人を助けようと飛び出しそれぞれ魔法と剣技を繰り出すヴィルヘルムとベレス。しかし―――





マホロア「周りを良く見ないと…怪我するヨォ?」



―――死角からの、マホロアの魔法…。零距離で発射された為、直撃は免れませんでした。



ヴィル「ぐぅっ…!」

アクラル「無茶すんなよ全く!」

ベレス「うっ…!」

サクヤ「大丈夫ですか。―――駄目です、攻撃が出来ません」



青龍と朱雀がそれぞれ彼らを受け止めた為、最大ダメージは何とか回避できましたが…。
―――既にマホロアは『技を吸収する障壁』を創り上げてしまっていました。
最早立っていることもままならないのでしょう。茨に囚われた2人は膝から崩れ落ち、マホロアにただ引っ張られています。

そして、メインサーバの入口まで引っ張った彼は、『ディメンションゲート』を開いて宙に浮かびました。





マホロア「ナンダァ、アイツから『気を付けろ』って言われてたケド、大したことないネェ『運営本部』ってノハ!ア、キミ達に『メフィスト』カラの伝言を伝えるのを忘れてたヨォ。ボクよりキミ達の方がカレノコト知ってるデショ?





『彼らを助けたければ、『JOKER』の首を持ってこい』





     ……ッテネ!『JOKER』だか何だか知らないケド、アイツらヒト探ししてるみたいだったヨォ?協力してアゲレバいいんじゃナイ?ソレジャ、ボクの仕事はココマデダカラ。ジャアネェ~!!」




マホロアはそう言い残すと、茨に囚われた2人ごとディメンションゲートに落ちて姿を消してしまいました。
……床に落ちた、MZDのサングラスを残して。






ミミ「MZDが……ソティスちゃんが……さらわれ、ちゃった…」

ミミ(j)「ごめん。私達…何も出来なかった…」

マルク「……アイツ―――、何考えてんのサーーー!!!」

ワドルディ「わにゃ…」




メインサーバに残ったのは、恐怖に震えたミミの声。そして、マホロアに怒り心頭のマルクの叫び。そして―――一同を取り巻く、『静寂』だけでした。