二次創作小説(新・総合)
- ABT⑦『道化は鳥を嘲笑う』 ( No.124 )
- 日時: 2020/07/08 22:15
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gK3tU2qa)
学級裁判、如何でしたでしょうか?逃走中にミッション扱いとして学級裁判やるなんてここくらいのもんですよ。
それはともかく、無事今回は平和に終われそうだと思っていた一同に『あいつら』がまたもや邪魔をしてくるのでした…。
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~運営本部 メインサーバ~
罪木「学級裁判、大成功でしたねぇ!皆さん楽しんでいただけて良かったですぅ!」
石丸「案の定天海くんには警戒されてしまったがな…。まさか罪木くんから言い出すなどとは思わなかったが」
サクヤ「ですが、結果的にうまく行って良かったではありませんか。今回は本部のメンバーの知恵が合わさったお陰で、逃走中を盛り上げることが出来ましたよ」
エフラム「『裁判』と聞いたからにはもっと緊迫感があるかと思っていたんだが、そうじゃないんだな」
エイリーク「緊迫感があるのは本当のことかと思ったのですが…。実際に罪木殿や希望ヶ峰学園の方々が参加した裁判に関しては実際に殺人が起きてしまってからの裁判だと聞いていますから…」
リピカ「終わり良ければ総て良し!ってことでいいのさ。…なぁサクヤ、1つ気になったことがあったんだけど」
サクヤ「はい。どうかされました?」
リピカ「…ジョマンダ、帰ってくるの流石に遅すぎやしないか?」
裏切り者を暴くのにまさか学級裁判を利用するとは思いませんでしたが、意外と盛り上がって良かったと安堵しながら運営本部のメンバーはメインサーバへと戻ってきました。
発案者はまさかの罪木さん。当初ダンガンロンパの世界が飛ばされた際は自分の意見など聞いてもらえないとおどおどしていましたが、日向くんや石丸くん、田中くんなど沢山の級友の励ましにより成長し、自分から案出しをするまでになりました。
うまく行ったのに彼女も大喜び。良かったですね。
…そんな折、リピカがサクヤに『ジョマンダが帰ってくるのが遅い』と問いかけます。どうやらリピカ、ジョマンダにおつかいを頼んでいたらしいのですが…。簡単な買い物の為、これだけ帰って来るのが遅いのに胸騒ぎがしていたようです。
それはMZDとヴィルヘルムも同じだったようで、彼女がその言葉を口にし終わったのに続くようにサクヤに言いました。
MZD「ミミニャミとジャックも流石に帰ってくるの遅いよな。アイツらの長時間のショッピング癖は知ってるけどさ、もう帰って来ても良い時間帯だぜ?」
ヴィル「魔力で察知できればいいんだが、ジャックが自分から拒否してしまってな。全く、自我を持ってから彼奴は調子に乗りすぎだ」
サクヤ「彼も自分で考え動きたいお年頃なのですよ、きっと…。それに、ヴィルさんの察知にはミミさんもニャミさんも反対するとは思いますがね」
MZD「アイツらジャックと出かけたがってたもんなー。邪魔したらまたフィッティングルームに箱詰めにされるぞー?」
ヴィル「………!それだけは嫌だ…!」
サクヤ「ならば大人しく帰りを待つ…方がいいとは思いますが、複数人の帰りが『同時に』遅いと心配になりますね。一度服屋さんに連絡を入れてみた方が…」
そう。視聴者の皆様ならば知っているかと思われますが、彼女達の身に何かが起こったことは運営本部は知る由もありません。
しかし、ミミニャミとジャックの3人とおつかいを頼まれたジョマンダが帰ってこない…。同時に長時間帰ってこないのは不思議だ、とサクヤはまずミミニャミがよく贔屓にしている服屋さんに電話をしようとスマホを取り出しました。
―――その時でした。
ビーーーッ!!! ビーーーッ!!!
サクヤ「何事ですか?!」
ルーファス「誰かに通信がハッキングされてて様子が確認できないんだ!」
アクラル「は?!通信が誰かに乗っ取られたっていうのかよ?!」
ルーファス「分からない。権限を取り戻そうとしてるんだけど……うう。既にこちらの手が読まれて全然システムに入り込めないよ…!」
突如メインサーバに響き渡る警告音。そしてルーファスの叩いているキーボードが赤く光ります。彼は『何者かにハッキングを受けた』と伝え、何とか権限を取り戻そうとしているようですが…上手くは行っていないようです。
何か対策を練ろうと考え始めたサクヤの目の前のモニタに、唐突に沢山の画面が映し出されました。そのいくつもの画面に『ERROR』と赤く表示されており、画面を覆い尽くしていきます。
しばらくその画面が続いていた後―――中央に1つ、大きなモニタが発現しました。そこに映っていたのは―――。
リピカ『ジョマンダ?!』
アカギ『見ろ。あれ……!ミミとニャミ、ジャックじゃないか…?!』
ソティス『他にも何人か捕まっておる様じゃな。それに…彼奴は…』
檻を揺らして何かを叫んでいるミミとニャミ、彼女達を止めにかかっているジャック。そして壁にもたれるようにぐったりしているジョマンダがいたのでした…。そして、ソティスの言葉からジョマンダの近くに白い羽の男性と顔に黒い布が巻かれた男性もぐったりしていました。
言葉を失っている一同の前に、彼らを嘲笑うかのように『紅い目をした』彼は現れたのです。
はなこ「あ、あれ!庭園で私達を襲ってきた…!」
konakun.「確か『ジルクファイド』だっけ?何者かに乗っ取られているんだよね」
そう。現れたのはジルクファイド…を乗っ取っているメフィスト。アンドロイドであるジルクファイドでは絶対にしない表情。そして、目の色が赤かった為、本部のメンバーはすぐに彼が乗っ取られているのだと判断できました。
konakun.の言葉が届いているのか、わざとらしく拍手をした後彼らに言い放ちます。
メフィスト『よォ。前回は散々コケにしてくれたなァ?それに太古の遺産も傷つけやがって。モノクマが怒ってたぜェ?『遺産に何てことしてくれるんだ!』ってなぁ!!』
石丸「モノクマ!彼は道化師と共に行動をしていたのか…!」
東条「神谷さん達が言っていたことは本当だったのね。手を組んだ相手が厄介な人達ということを含めても…」
メフィスト『本部襲っても化けモン共に追い返されちまったしさぁ?だから……外堀から傷つけることにした。テメェらがやっている『ミッション』とやら。あの逃げてる雑魚野郎共が使命を終えた時…。この塔は『どかーん』。檻に入ってるこいつらもろとも崩れて消えるように細工をしておいた』
ソティス「な、なんじゃと?!その塔には実際にコネクトワールドの天気を司っておる宝石があるのじゃ!それに、最後のミッションで逃走者に集めて貰う『レプリカ』のオリジナルも祀られておる。そんな塔が爆発でもして消えてなくなってみよ。宝石にひびが入って消えたりでもしてみよ!現実世界の天気はドラマのように滅茶苦茶になってしまうぞ?!」
ベレス「…もしかして、メフィストの狙いはそこもあるんじゃないのかな?」
MZD「胸糞悪いことしやがって。オレ達が倒せないからって戦えないヤツを囮にして逃走者を利用して潰す、だぁ?フェアじゃないね!」
なんと、メフィストは最後のミッション終了後に塔を破壊すると言い放ったのです!前回は逃走エリアの地下に囚われていた為『逃走者を傷付けないで済む』との判断から本部で2人を救出に行ったのですが、現在ミミ達が捕らわれているのは『天空の塔』の中の檻。つまり、しっかり『エリアの中』。逃走者に危害が加わる可能性がある以上、本部に手出しは簡単には出来ません。
メフィストはそれも踏まえて彼女達をここに閉じ込め、彼らの絶望した顔を見たかったのでしょう。
クルーク「最後のミッションを発動しなければいい話じゃないかな?そうすれば…」
メフィスト『そんなこと、テメェらには出来るはずないだろ?俺は『ミッションが終わった後』としか言ってねぇ。つまり…今の状況でも好きに破壊が出来るんだよ!!クッハハハハ!!!』
おろさん「なんだそれ!一方的な言いがかりじゃないか!」
メフィスト『せいぜい仲間の死を歯ァ食いしばって見てなぁ!…テメーら、俺様を散々弄びやがって。落とし前は高くつくぞ?覚悟しやがれ』
サクヤ「くっ…!」
メフィストは勝ち誇ったように本部の面子を見下しながら、高笑いを続け通信を一方的に切りました。
と、同時に。エラーを起こしていた画面の連鎖も元に戻ります。ルーファスによる素早い修復技術で、通信の権限も取り戻すことが出来ました。
ルーファス「一方的な妨害だったみたいだ。すぐに権限は取り戻すことが出来たよ」
サクヤ「ありがとうございます。しかし…彼らにやられた腹いせとして逃走エリアを使うとは。前回よりもやり方が過激になっています…」
アシッド「それほど彼らも本気になってきたということだろう。しかし…エリア内に侵入されたとなると、逃走者達にも危害が及ぶ可能性も出てきたな」
ニア「えぇ。それに…我々にはどうすることもできません、わ。妨害魔法は『道化師』にしか解けませんもの。我々神や邪神の扱う魔法とは性質が違いますもの…」
アシッドとニアも渋い顔。どうやらメフィスト、本部がエリア内に助けに来ないように逃走エリアに『特定の種族でしか割れない』妨害魔法を張り巡らせていたようなのです。
…道化師と言えば。MZDがはっと気づきヴィルヘルムに声をかけますが、彼の眉も眉間によったまま。どうにか解決策を編み出そうとはしているようですが、良い考えが思い付かないらしく。
MZD「『道化師でしか割れない』ってんなら、ヴィルが割れるんじゃない?」
ヴィル「あぁ。あの程度の障壁ならば私ならば簡単に破壊できる。が…破壊した後が問題なのだ。彼奴…メフィストは寧ろ私に『割ってほしそうに』障壁を張り巡らせているようにしか見えぬ」
マルス「つまり…『障壁自体に何かが細工されている』ってこと?」
アイク「どういうことだマルス」
マルス「メフィストはヴィルさんの実力については前回実際に目の当たりにしてるから、良く知っていると思うんだよね。そんな彼が『ヴィルさんに簡単に割れる様な』障壁をただ作ると思うかな?寧ろ、割ってくれるのを期待して『割った後に何かの魔法や妨害が発動するように』仕掛けを施している可能性は捨てきれないと思うよ。例えば…『障壁が爆発して、エリア内に火をつける』とか…」
ロボット(お)「そんなことになったら…逃走者が怪我どころじゃ済まなくなるぞ?!」
百鬼姫(お)「逃走エリアに何が起こるか分からない可能性がある以上無暗な破壊は駄目じゃ!」
MZD「それに、クルークの言った通りミッションを発動しない選択をオレ達がしたら…塔がいつ破壊されるか分からない。ミミニャミ達が確実に大怪我しちゃう!そんなのオレ嫌だよ!」
サクヤ「えむぜさんのお気持ちは最もです。…だから『障壁』なのですね。あの性悪道化師、誠に厄介ですねぇ…」
ヴィル「障壁が破壊されない限り私達はエリア内に移動することすらできない。しかし、障壁を破壊するとエリアへの被害は確実。どうにかエリアへの被害を出さずに障壁を解除する方法を試してみる。新しい手法に頼る必要は出てきそうだが…」
エイリーク「私も魔導の心得ならば得ています!お手伝いします!」
クルーク「ボクも!ヴィルヘルムさん、何かできることがあったら手伝うよ!」
ヴィル「…分かった。サクヤ、エイリーク殿とクルークを借りていくぞ。少しここを離れる。…MZD。彼女達とジャックのことを頼んだぞ」
サクヤ「承知しました。…私達はミッションを発動する準備を整えましょう」
MZD「おっけ。障壁のことはお前に任せたぜヴィル。…大丈夫、お前なら出来るって!ミミニャミジャックのことは任しといて!」
障壁を『エリアに被害が出ないように』解除することは今の彼には難しいらしく…。というかメフィスト、姑息すぎますって。
他人の知恵を借りられるなら借りた方がいいと自分から手伝いを申し出たエイリークとクルークを連れ、彼はメインサーバを去っていきました。
彼を遠目で見送ったサクヤは早速ミッション発動の準備を始めます。
MZD「…だけど、ミッションを発動してる間に対策を練らないとミミニャミ達に被害は確実に出るぜ。―――『ジルクが自我を取り戻してくれれば』状況は逆転しそうだけど…」
サクヤ「それに、向こうにいたのは確か『リサ=リシア』と『ヴァリス=ネリア』の2人ですよね。…道化師に協力しているかと思っていましたが、どうやらそうではないみたいです。―――彼らの知恵でこの状況を打開させられればいいのですが…」
それに、サクヤにはもう1つ『ミミニャミ達を確実に救える方法があるかもしれない』可能性を頭によぎらせていました。
サクヤ「(メフィストが話していた時に映っていた『ミミニャミさん達ではない影』。あれは…)」
―――『道化師』の中に、希望が…生まれようとしているのかもしれません。
とにかく!メフィストが嫌な置き土産を仕掛けていった以上、逃走者にもミミニャミ達にも怪我はさせられません!どうにかこのピンチな状況を打開しないとですね!