二次創作小説(新・総合)

ABT.ex 『ウルトラワールドとの邂逅』-1 ( No.174 )
日時: 2020/07/27 22:04
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

さーて。大変お待たせして申し訳ございません。始まりますよABTコラボ回!
ついでに今の季節夏なんでね!ね!運営本部の皆様にも夏を楽しんでもらいましょう!

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~運営本部 メインサーバ~



MZD「あっつー…。いつの間に季節は夏だよ…。逃走中の1回目始めたの確か冬だよね?あー。半年経ったのかー」

サクヤ「半年経ちましたねぇ。時が流れるのは早いと言うものです。この流れに沿ってとっととグレンさん2人目とヴィルさん新規ハリアイ絵を出してほしいものです。あ、ヴィルさんに関しては新規衣裳でも新アニメでもいいですよ。使い倒しますから」

ヴィル「リアルの情勢が落ち着いてからにしろ。主に世に蔓延る『あれ』が落ち着いてからだ。…そういえば、次の逃走中の案はどうするのだ?まだ大々的にしか決めていないのだろう」

サクヤ「案出し、思い切って高校生達に任せてみることにしました。今回の我々の仕事は出していただいた案の難易度やバランスの調整ですよ」

マルス「人、最初にやった時よりも大分増えたからね…。それくらい沢山の世界が1つになっちゃった、って意味でもあるんだけれど」

ソティス「何を辛気臭い顔をしておるのじゃ。せっかくおぬしの『近衛騎士』とやらと再会できたのじゃろう?何故喜ばぬ!」

ベレス「ソティス、マルスはそういう心配をしているんじゃないと思うよ?」



時は4回目の逃走中が始まる前に遡ります。3回目の逃走中を無事終え、運営本部の面子は次の大会に向け準備を進めていました。
季節は既に夏。本部も衣替えの季節です。半袖のジャケットにシンプルなタンクトップ、涼し気なキャップと薄着のMZDは暑いのか、机に項垂れていました。隣では上着を脱いで白ブラウスと黒いパンツスーツを身に纏ったヴィルヘルムが書類の整理を行っています。



ベレス「マルスも夏服に着替えればいいのに…って、王子様に夏服とかあるの?」

マルス「あるにはあるんだけど、持ってくる時間がなくて部屋にないんだよ。鎧を着けていても暑苦しいだけだし、後でマスターハンドに頼んでぼくの部屋にある夏服を送ってもらう予定だよ」

ソティス「おぬしらも大変じゃのう。ほっほう、わしは暑さも寒さも感じない身体じゃからのう!おぬしらの悩みとは無縁なのじゃ!」

MZD「なんで同じ神なのにこうも違うの?神パワーもこれじゃ暑くて使いたくないし…」

ベレス「神様は元々実体化出来てたけど、ソティスはそうじゃなかったからその違いかな?…自分もレアに買ってもらった『水着』という服が部屋に仕舞いっぱなしだったな」

サクヤ「大掛かりなイベントもなさそうですし、まだまだ案が固まるまでには時間もかかりそうですし。どこかプールの様な施設が開いていたら行っても良いとは思うのですがねぇ。
    …あ、そういえば」



マルスも暑いのか、いつも着けている鎧とマントを外しています。本当は上着も脱ぎたかったらしいですが、どこからともなく現れたアリティア騎士団に止められてしまい…。夏服はスマブラ支部の自分の部屋にあるみたいです。右手も気を利かせて持ってきてくれればいいのに。
そんなことを思いつつ仕事を進めようと各々解散しようとしたその時、サクヤがふとこんなことを口にしました。



サクヤ「えむぜさん。ヴィルさん。そういえば以前『ウルトラワールド』という世界に依頼をしたことがありましたよね?ごくそつくんが逃げ出した時のあれです」

MZD「あー。勝手にゲート使って異世界渡り歩いていたあれなー。あっちの世界のヤツ等の協力がなけりゃ確保できなかったし依頼してくれて助かったよ。アイツ、色んな世界の技術自分のものにして『世界を支配するロボットを作るんだよ~!』なーんてほざいてたし」

サクヤ「お邪魔した感想です。私や兄貴はこの世界の守護を司っている以上この世界から出ることがかないません。ですので、お話を聞くことでしか異世界の情報を得ることが出来ないのです。どうだったんです?」

ヴィル「どう、と言われてもな。平和で、穏やかな世界という感想しか浮かんでこない。最近は『ダークアイ帝国』とやらと攻防を繰り返しているようだが…。それに、あの世界には巨大な『図書館』があると噂を耳にした。…今度観光目的で忍び込んだ際に訪れてみようか」

MZD「変な知識持って帰ってこないで貰えます?また新しい魔法の実験につき合わされるのは目に見えてるんだから!別にいいけどさ」

ベレス「(コンスタンツェみたいなことやってるんだなぁ…)」

マルス「ぼくも行ってみたいなぁ。異世界にお邪魔しようとするとアリティアのみんなが心配してくれてさ。なかなかお忍びが出来ない状況なんだよね…」

サクヤ「楽しかったのなら何よりです。我々の世界とは別の『超高校級の生徒』がいるとの噂もございますし、一度私も訪れてみたいものですね」



何を話すかと思えば、以前依頼したごくそつくん捕獲の件でしたか。まぁあの時は色々とご迷惑をおかけしてしまいましたからねぇ。主に軍服の彼が。
どうやら世界征服の為には更なる『知』が必要だと考えているようで、異世界へ繋がるゲートを無断使用して様々な異世界へ渡り歩いていたんだとか。現在はテントさんとウーノさんにしっぽり絞られて、ちゃんと自分のするべき仕事をしている…と、思いたいんですが。

そうそう。説明しておかねばなりませんね。
サクヤを始めとするオリジナルキャラ。異世界への転送が出来ないのです。当たり前ですよね。ですので、異世界の情報は派遣に行った人物から直接話を聞くしかないようで。
彼女、ちょっとだけ異世界に行ってみたいという夢を抱いているみたいですね。まぁ、叶わぬ夢なのですが。
そんなことを話していると、メインサーバに入ってくる3つの影。『委員トリオ』とまとめて呼ばれている3人が部屋に入ってきました。



石丸「話し込んでいる最中申し訳ない!次回の逃走中の具体的な案がまとまったので、一度サクヤさんに見て貰おうと思ってな!代表で僕達が来たのだ!」

田中「ククク。学生だけでの魔術の紡ぎ合いは中々に豪勢なものだったぞ。この俺様が驚くような魔術が完成したのだ!」

罪木「えっとぉ、確か予算も大幅に増えるはずなんですよね?そ、それなら…大々的にこんな施設を借りたいなぁって思って…大丈夫ですかねぇ?」

サクヤ「早いですねぇ。やはり若人の知恵と言うものは湧いて出る泉の様なものなのでしょうか」

MZD「いやいやお前さん年寄っぽいこと言ってるけどオレより年下だからね?」

マルス「見た目で勘違いしそうだけど、この中だと神様が一番年上なんだよね…。ぼくもルキナにたまに『ご先祖様』って言われるけど、言っちゃ駄目だよね」

ヴィル「槍をその身に受けたいのであれば口にすればいい」

マルス「言っちゃ駄目なんだね、分かったよ」



どうやら次回逃走中の案が固まったようで、一度サクヤに見て貰おうと訪れていました。若いっていいですねぇ。
さっそく彼らが持ってきた紙の束を見ようと手を伸ばすと―――急にメインサーバの入口が光り出しましたよ?!



MZD「えっ?この光って―――『転移魔法』の類じゃね?」

ヴィル「何者かがここに転移、だと…?誰かの襲撃にでもあったのだろうか」

マルス「決めつけるのは早いよ。様子を見よう」



しばらくその光を見守っていると、徐々にその光は『4人の人影』を映し出し―――。そのまま、淡く消えてしまいました。
光の中から出てきた人物の正体は―――。
































『えっ?あれ?!ここどこ?!確かに僕『コネクトワールドに連れて行って!』ってかけらにお願いしたよ?!』

『お願いのシカタを間違ったのではないデスカ?訳の分からないトコロに飛ばされてしまったみたいデスシ…』

『うーん…。特にそんな感じじゃなさそうだけどぉ……。あ、あれ?』

『いや、逆に目的地についてんじゃねーかこれ?』

サクヤ「あらまぁ。お久しぶりにございます、と初めましてですかね」

MZD「―――あっ。もしかして依頼の報酬であげた『かけら』使った?」

マルス「かけら?」

ヴィル「あの異世界のゲートの効力を利用した『かけら』だ。生命を『自分の住んでいない世界』へ一時的に飛ばす魔法のプロトタイプとして開発したものなのだが…。成程な。無事にここにたどり着いたということは、実験は成功したということか」

マルス「他の世界の人達を実験に巻き込んじゃ駄目ですよ?!」



目の前に現れた4人の人影の正体。1人は3回目の時に逃走者として参戦した『おろさん』。作者勢の1人でした。
そして、恐らく彼の紡ぐ世界に住んでいるのであろう3人。1人はペラペラの黒い平面をしており、1人はウサギのように小柄な少女。もう1体は黄色い体毛をした、ねずみのようなポケモンです。



おろさん「あ、あれ…?見知った人達が目の前にいる。ということは…無事に到着出来たってこと?」

サクヤ「長旅お疲れ様です。そして、我がメンバーの実験に巻き込んでしまい申し訳ございません。まさか実験段階のアイテムだとは私も思わなくて…」

おろさん「いいんですいいんです!『終わり良ければ総て良し』ってことわざもありますし!お久しぶりです、サクヤさん!」

サクヤ「ええ、お久しぶりですおろさん様。先の依頼の件はえむぜさんとヴィルさんがお世話になりました」

おろさん「こちらこそだよ!楽しんでもらえたのなら良かった。それで…今回みんなでこっちの世界を楽しもう!って話になって…。せっかくだから依頼の報酬としてもらったかけらを使うことにしたんだ」

MZD「ふーん…。ってことは、こっちの世界には観光目的で来たワケか。―――タイミングいーね、お前さん達」

???「どういうことデスカ?」

ヴィル「丁度私達も仕事内間に何をしようかと今話していたところなのだ。…この案を見る限り、実装には少しばかり時間がかかりそうだからな」

石丸「やはりそうなのか。裁判場のアポイントメントもこれからとらねばなるまいし…」

サクヤ「では、せっかくですからこれからどこか楽しい場所に出掛けて遊びましょうか。今日はもう仕事はおしまいです」



ぱん、と1回サクヤは手を叩き、珍しく楽しそうな表情でみんなに自己紹介を促します。
そういえば長いこと見守ってきましたけれど、まともに自己紹介をするのってこれが初めてなんですよね。



サクヤ「皆様も知っての通り、私はこの『コネクトワールド』を守護する神が1人、『青龍』の神サクヤと申します。…おろさん様には『灯焔』なる存在と同一視されているかと思いますが、私とあの方は一応別人ですので…。よろしくお願いいたします。

    はい、皆さんも自己紹介してくださいね!ちゃっちゃと!」

MZD「自己紹介か!んじゃちゃんと名乗らないとな!
   ちはす!オレはMZD。ポップンワールドの神!んで、このコネクトワールドでは『音の神』って呼ばれてるぜ。世界を管理する集団『pop'n Masters』の総長も務めてまーす!よろしく頼むぜ!」

ヴィル「ヴィルヘルムだ。名前が長いなら『ヴィル』で構わない。『pop'n Masters』の総長補佐、兼『自称!』執事を務めている。よろしく頼む。……MZD、自己紹介の度に自称と挟むのはやめてくれないか」

MZD「え?だって事実じゃん」

マルス「えーと。次、ぼくいいかな?ぼくはマルス。アリティア王国の王子だ。でも、ここでは身分なんて関係ない。気軽に話してくれると嬉しいな。よろしくね」

ベレス「ベレスよ。元は『ガルク=マク』大修道院で教師を務めていたの。…今でもたまに修道院に戻って生徒達に授業をしている。よろしく」

ソティス「ソティスじゃ!『はじまりのもの』と呼ばれておる。気軽に話すがよいぞ!ほっほっほ!」

石丸「『超高校級の風紀委員』、石丸清多夏だ!座右の銘は質実剛健!よろしく頼むぞ!」

田中「俺様の名を心に刻みつけるがいい。俺様は『制圧せし氷の覇王』田中眼蛇夢…。いずれこの世界を支配し、『田中キングダム』として創世する男だ」

罪木「えっとぉ…。急に自己紹介なんて振られても久々過ぎてなんて言ったらいいか…。あ、あのぉ…。罪木、蜜柑ですぅ。よろしくお願いしますぅ…」



おろさん「ご丁寧にありがとう!こっちも自己紹介するね。僕はおろさん。おろさん『さん』ってなると思うけど…気にしないで呼んでくれると嬉しいな」

ゲムヲ(お)「ワタシはMr.ゲーム&ウォッチデス。ゲムヲと読んだ方が分かりやすいカト。ヨロシクオネガイシマス」

不二咲(お)「僕は不二咲千尋だよぉ。『超高校級のプログラマー』って呼ばれてます。よろしくねぇ」

ピカチュウ(お)「俺はピカチュウだ。ニックネームはないからな。普通に喋るけど…気にしないで接してくれ。よろしく頼む」

MZD「あ、それに関しては大丈夫。うちの世界ガワだけ人、中身は化け物の方が比率多いんだよ。だから、それくらいで驚くヤツの方が珍しいから。よろしくな!」



お互いの自己紹介を終え、サクヤとおろさんは親交の握手を交わしました。
…さーて、どこへ出かけます?普段出来ないことしたいですよねぇ。天の声としてはベレスの水着姿を見たいと存じております。



ベレス「別に見世物じゃないよ?」

マルス「そうだね…。どうして気にするんだろうね?」

チョロ松「(その豊満な胸が『見世物じゃない』んだったら何なんだよ…!)」



入るタイミングを見失ったツッコミ松は置いといて、早速どこに出掛けるか決めちゃいましょう!

ABT.ex 『ウルトラワールドとの邂逅』-2 ( No.175 )
日時: 2020/07/28 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

サクヤ「どこかに出掛けるとは決まりましたが、さて。どこに出掛けましょうか」

MZD「遊びに行くっつったって、この時期じゃプールも混んでるだろうしなぁ…。あんまり人前に見せなくてもいいような遊び場ってなかったっけ?」

おろさん「見つかるとまずいことがあるの?」

ベレス「ある…わけではないと思うけど、立場的に遊んでいると…イメージが下がってしまうと思っている人達が多いからじゃないかな?」

おろさん「周りの人からのイメージって大事だよね、うんうん。分かる」

不二咲(お)「この時期だもんねぇ。ショッピングモールに大勢で出掛けるのもいいと思うけど、はぐれちゃったりしたら意味がないからねぇ」



どこかに遊びに行く、と決めたのはいいものの。肝心の『遊ぶ場所』が中々決まらず困っていました。今は夏のど真ん中。プール施設に行くとしても恐らく大量の人だかり。不二咲さんが言った通りショッピングモールに行くとしても大量の人だかり。他の世界の方々を迎え入れている以上、はぐれるなど言語道断です。
―――どうしたものかと悩んでいると、喧しいほどに暑苦しい声がサーバに聞こえてきました。



『開けろサクヤーーー!!!ビーチの貸し切り出来た!!今から2人でキャッキャウフフしに行こうぜー!!!』

サクヤ「開けなくて大丈夫です。空耳として聞き流してください」

アクラル「待てよおい!!今まさにどこに遊びに行くか決めてたところなんだろ?!無視されるとお兄ちゃん泣いちゃうぜ!!」

サクヤ「普通に開けてほしかったら普通に報告してください。兄貴とキャッキャウフフだなんて死んでも嫌です」

MZD「相変わらず妹溺愛っぷりは変わんねーなー。それで?『ビーチの貸し切り』ってどういうこと?アクラル」

おろさん「え、えっと…。この人は確かサクヤさんの双子のお兄さんで、『朱雀』の神様なんだっけ?」

ヴィル「…よく知っているな。勉強熱心なことだ」

おろさん「僕の世界の図書館の書物の1つに、君達の世界の情報が詰まったものがあってね。そこから学んだんだ」

ヴィル「異世界の蔵書もあるのか。―――今度お邪魔したら是非見せて貰いたいものだ」



けたたましい声を上げながらメインサーバに入ってきたのはアクラル。自信満々気に1枚の紙を見せびらかしてきます。先程の台詞に嫌悪感を抱いたのかサクヤは眉間にしわを寄せたまま。そんな彼女をなだめながらMZDが代理で紙を受け取り中身を見てみると、そこには確かに『リゾートアンセム Aビーチ アクラル様 貸し切り同意書』と書いてありました。



MZD「『リゾートアンセム』って。あのリゾートアンセム?!今の時期によく貸し切れたな!あそこって確か弐寺の皆伝ライセンス持ってるヤツしか入れないVIPリゾートだったはずだぜ?!」

アクラル「それは一部のエリアだけだよ!俺が今回貸し切ってもらったのはそこに入る前のビーチの一部!外側には露店が出てるエリアだからよ、遊びに行くならうってつけだと思って話を振ったんだぜ!」

ピカチュウ(お)「見た目も話し方もちゃらんぽらんなのに根はかなりまともなんだなこいつ…」

サクヤ「『極稀に』ですがね。…兄貴、今回ばかりは感謝を申し上げます。それにしても何故タイミング良く貸し切りOKになったのですか?一般人も入れるエリアを貸し切っていただいたとはいえ、『リゾートアンセム』は有名な観光地。そう簡単に貸し切りを赦してもらえる場所ではないはずです」

アクラル「ああ、それなんだがよ。リゾートアンセムの近くの森を下見に行ってたんだよ。ほら、お前今後の逃走中で『ホラー回をやりたい』って言ってただろ?エリアに使えないかと思ってさ。そしたらリゾートアンセムのビーチで砂浜で足もつれてるお婆ちゃんを見つけて。
     そんで助けた結果、そのお婆ちゃんが『リゾートアンセム』のオーナーの1人だったみたいでな。このビーチを貸してもらえることになったんだよ」

マルス「人助けの結果、ビーチを貸してもらえることになったんだね…。でも、これでどこにいくか探す必要は無くなったんじゃないかな?」

サクヤ「兄貴のお人好しもたまには役に立つということがよーく分かりましたよ。…私も兄貴の調査していたその『森』とやらも気になりますし、今回は心意気に甘えてリゾートアンセムで海水浴と洒落こみますか」

ヴィル「ホラー回か…」

MZD「そっちに反応するのね…」



『リゾートアンセム』。同名の某DJシミュレーション音楽ゲームをモチーフにした観光地です。一般の人達が入れる透明に広がる海が特徴的な『ビーチエリア』と、弐寺の『皆伝ライセンス』を持っている人間しか立ち入ることのできない『VIPエリア』に分かれているリゾート地です。コネクトワールドでも有名な海水浴場であり、ビーチの近くには数々の露店が並んでいることも特徴的です。
―――こんな場所をあっさりと借用してしまうなんて。神様といえど運命はどう転がるか分からないものですねぇ。あと、サクヤもお人好し度はアクラルと同じなんですからね?

それはともかく、せっかくアクラルがビーチの一部を貸し切りにしてくれたということで海水浴に行くことにした一同。しかし…不二咲さんが小さな声色でこんなことを言ったのです。



不二咲(お)「あ、あのぉ…」

罪木「どうしたんですか?も、もしかして日光が苦手、とか…。だ、大丈夫ですよぉ!パラソルとかちゃんと持っていきますので!は、はうぅ。心配しないでくださぁい!」

不二咲(お)「別にそういうことじゃないんだよねぇ。えっと…。僕達、『水着』持ってきてないんだぁ。どうしよう…」

マルス「そうだね…。海水浴をするつもりなら、『水着』がないと海に入れないね。アクラルさん、貸し切りはいつまでなんだい?」

アクラル「夜の11時!今朝の9時くらいだから、服屋の店が開いたら買った足で行けばいいんじゃねーか?」

MZD「あの場所から近い施設といえば…『ココナッツモール』か。確かマリオの知り合いのモンテ族が働いてる店があったと思うけど。せっかくだからおろさんさん達の水着も買っていこうぜ!」

おろさん「えっ?!僕自分で買うよ?!流石にお金の通貨は一緒だよね?」

ヴィル「こういう時は『長い物には巻かれろ』と言うように、立場の強い者のいうことを聞くものだぞおろさん殿。ついでに食料品売り場にも寄って行きたいんだがいいか?」

MZD「んー。全然OKだけど。ならパラソルの他にテーブルも持っていかないとねー。ヴィルの圧縮魔法借りていい?」

ヴィル「あぁ。寧ろ使ってくれ。この暑い中砂浜まで手で持っていく労力が勿体ない」

罪木「わぁ!じ、じゃあ、私が不二咲さんの水着を一緒に選びますねぇ!サイズを間違えてしまうかもしれませんが…えへへ、可愛い水着が良いですかねぇ」

不二咲(お)「罪木さん。気持ちは嬉しいんだけど…。僕、マルスさんに水着を選んでほしいなぁ。そ、そのぉ…べ、別に嫌って訳じゃないんだよぉ?だから泣かなくていいんだよぉ?!ふ、ふぇぇ…」

罪木「わだじじゃぢからぶぞくっでごどでずがぁ~…。ずみまぜん……ぐすっ……」

マルス「あはは…。大体の事情は何となく察したし、千尋殿はぼくが一緒に水着を選ぶよ。ベレスは確か水着があるって言ってたよね?」

ベレス「うん。だから、自分だけ先にスマブラ支部によって水着を取ってからココナッツモールに向かうよ。マリオに話を通しておいた方がいいかな?」

マルス「話してくれると助かるよ。服屋さんで働いているモンテ族がマリオの知り合いだから、もしかしたら顔パスが利くかもしれないし」

ベレス「了解したよ。ソティスはみんなと一緒に先にモールに行っててね…って、行く気満々だね」

ソティス「保健委員よ!おぬしに命じる!」

罪木「は、はいぃ…」

ソティス「わしの水着を選べ。似合うものを頼むぞ!」

罪木「は、はいぃ~!!」

石丸「僕は海に入る予定はないが、田中くんはどうする?」

田中「俺様には砂浜だけで充分だ…」

マルス「(一応彼らの分の水着も買った方がいいかもしれないね…)」



そういえば日常的な話なんて様子見たことありませんものねー。そりゃ水着なんてありませんよねー。ということで、リゾートアンセムのビーチに行く前にココナッツモールで買い出しをすることになった一同。
ココナッツモールは、リゾートアンセムの近場にある大きなショッピングモールです。『マリオカートWii』をプレイしたことがある方ならば名前を聞いたことがあるでしょう。そこです。
買うものを軽くサクヤがメモし、懐に仕舞います。そして、ある程度持っていくものが決まったところでサクヤが声をかけました。



サクヤ「今日は仕事のことは忘れて楽しむことだけを考えましょう!…買い物が長くなりそうであればココナッツモールのレストラン街でお昼を食べてから向かうというものアリですね。レストラン街にあるアイス屋さんのソフトクリーム、中々に美味なのですよね…」

MZD「今の時期ならトリプルアイスのフェアもやってるはずだぜ!サクヤ、ソフトじゃなくて三倍アイスにしよ!三倍アイスクリーム!水着買ったらお前さん達にもおごってやるよ!」

ゲムヲ(お)「期間限定のスイーツ?!た、食べたいデス!」

ピカチュウ(お)「ポケモンでも食えるスイーツがあればいいなぁ…」

アクラル「おっしゃ花火も買う!ヴィル、買い出し手伝うぜ!」

ヴィル「手伝ってくれるのは有り難いが…。辛い物は入れるなよ?」

サクヤ「それならば心配しないでください。私も付いていきますから。兄貴は何をしでかすか本当に分かりませんからね」

アクラル「そんなに俺と一緒にいたいのかよサクヤー!かわいいなーもうー!」

MZD「お前はその頓珍漢な頭を買い直して来い」

マルス「ま、まぁまぁ…。じゃあココナッツモールで各々買い物を終えたらレストラン街で集合ということで…。それで、大丈夫かな?」

サクヤ「はい、構いませんよ。では立ち話をしている時間も惜しいことですし、準備物を圧縮した後早速ココナッツモールまで行きましょう!」



『おーーー!!!』




威勢のいい掛け声を皮切りに、一同はメインサーバを後にしビーチへと行く準備を早速始めたのでした。
ココナッツモールでの買い物!海水浴!楽しみですね~!こんな日常100%のお話なんて滅多に見られませんからね!
最後までお見逃しなく!まだまだ続きますよ~!

ABT.ex 『ウルトラワールドとの邂逅』-3 ( No.176 )
日時: 2020/07/29 22:02
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

~ココナッツモール 入口~



不二咲(お)「おっきぃ~…。うちの世界にあるショッピングモールに匹敵するくらいだよぉ…!」

マルス「コネクトワールドでも数ある大きなショッピングモールの1つだからね…。モール自体が1つの街を形成しているようだ、って話も出ているくらいなんだよ」



準備を終えた一同は早速ココナッツモールへ。施設への入り口に繋がるエスカレーターを昇った先には、巨大な建物の壁とそれを繋ぐ自動ドアが。異世界の来訪者達はその巨大さにただ驚いています。
…時刻は午前10時15分といったところでしょうか。さぁ、ベレスと合流する前に買い物を済ませてしまいましょう。



サクヤ「それでは一旦別行動ですね。私、兄貴、ヴィルさんは食料の調達をしに地下のショッピングモールへ。それ以外の方はモンテ族の方が開いている服屋さんへ。確か…グランドエリアの2階にあったはずです。えむぜさん、一応買い物が終了したら連絡よろしくお願いいたしますね」

MZD「おっけー。ただでさえだだっぴろいのに迷子になって合流できませんでした、は御免だからな。サクヤ達も買い物が終わったら連絡してくれよな」

サクヤ「承知しました。…それでは皆様、一旦解散ということで」



彼女の合図を皮切りに、服屋に向かうメンバーはそのままエスカレーターを使用して服屋がある2階へ。残った3人は彼らが移動したのを確認してから、下に降りるエスカレーターが設置してある場所まで移動し、地下へと向かったのでした。
―――さてさて。天の声も様子を見て行こうと思うのですが…。服屋の面子の様子を見て行きましょうか。









~ココナッツモール 2F~



罪木「あ、あのぉ…。マリオさんのお知り合いが経営している服屋さんって、どんな感じのお店なんですかぁ?」

MZD「確か本店が『ドルピックタウン』って場所にあったはず。だから、『THE・南国』って感じの店のはずだぜ。まぁ行ってみればすぐにわかるさ」

マルス「ドルピックタウン、って確か…。クッパの息子さんが一度イタズラをした場所だよね?マリオが一度冤罪で逮捕されたんだっけ」

石丸「逮捕?!彼にはそんなことがあったのか」

ソティス「今でこそあの陽気で破天荒な姿を我々に見せつけておるものの、彼奴も彼奴で数奇な人生を歩んでおる様じゃったしのう。…どこで価値観が狂ってしまったのかは考えたくもないが」

おろさん「この世界のマリオはかなりお調子者な性格みたいだからね…。でも、顔が色んな所に知れてるのは流石『スーパースター』だなって思うよ」

ピカチュウ(お)「……ん?なんか見えてきたぞ?ヤシの木の飾りかあれ?」

ゲムヲ(お)「もしかしタラ、マリオさんのお知り合いのお店かもしれまセンネ」

MZD「遠目でモンテ族っぽい姿見えるし、もしかしなくても目的地かー?入ってみよう」



他愛ない雑談を繰り返していた最中、目的の店っぽいものが見えてきたようですね!
早速水着を買う為に店の中に入ると、飛び込んできたのは大量の服。季節が夏だからなのか、涼し気なものや薄着のものが沢山目につきます。
先程MZDが遠目で見つけたモンテ族がこちらに気付いたようで、笑顔で一同に近付き出迎えてくれました。



ポワレ『いらっしゃいませ~!あらら、もしかしてマリオさんのお知り合いの…?この前のスマブラの大会見ましたよー!迫力満点でしたね!』

マルス「話通ってる。ベレス、行動早いなぁ」

おろさん「服がいっぱい…」

MZD「そりゃ服屋だからな。そんじゃ、各々気に入った服をこの店員さんに預かってもらって!会計はオレが全部まとめて済ませるから。神のおごりなんだから遠慮せずに選べよ~?」

罪木「えっ?私達の分も払ってくれるんですか?……そんなのダメですぅ!ちゃんと自分の分は払いますぅ!」

石丸「罪木くん、先程のおろさんくんと同じような台詞を繰り返しているぞ!…しかし、いいのですか神様?客人の分は納得できますが、僕達の分まで払ってもらうなんて…」

MZD「だいじょーぶだいじょーぶ。人の金だからって遠慮なく服買い漁るウサギと猫の財布も握ってるくらいなんだから。使う、使わないのメリハリはちゃんとつけてるつもりだぜ」

おろさん「(この世界のミミとニャミ、だいぶフリーダムだなぁ…)」

マルス「少し気が引けるけど…。あ、後で半分ぼくも払いますから。とりあえず各々水着を選びに行こうか」

ソティス「疾くわしに似合う『水着』とやらを選ぶのじゃ!行くぞ保健委員よ!」

罪木「はいぃ!」

ポワレ『わたくしはカウンターでお待ちしておりますので、ご用がありましたら何なりと申し付けてくださいませー!』



お支払いはまとめてMZDがやると言いのけましたが、結局彼とマルスで折半することになりました。流石に人に払ってもらうのは気が引けたようです。
早速店の中で別れ、各々自分が身に付ける水着を選びに行きました。ピカチュウとゲーム&ウォッチはその間ポワレと一緒に待っていることにしたようです。



MZD「あんまり濃い色でもなー。なぁなぁ、これとか良くね?」

おろさん「派手すぎないけど…ちょっと色身が渋くないかな?成人男性が身に纏うなら似合うと思うけど…。僕、そこまで年とってない自覚はあるよ?」

MZD「んぁ?あーごめん。いつもの癖で選んじゃった。もうちょっと明るい青の方がいいな。よーし、水着決まったらそれに合うTシャツもセットで購入ってことで!」

おろさん「何から何までありがとう…」




ソティス「保健委員よ!流石にそのふりふりがたくさんついた布は泳ぎにくいぞ!」

罪木「ふぇ?!え、ええっとぉ…。でもぉ…。ソティスさんの体型だとこれが一番似合うかなって思ったんですけどぉ…。センスが無くてすみませぇん…」

ソティス「泣かんでよいわ!!ぬぅ、色は好みなんじゃがこのふりふりがどうものう…。せめて腹と背中のふりふりが無ければこれでもいいんじゃがのう…」

罪木「もう少しフリルの少ない水着を選んできますねぇ…」




マルス「これなんかどうかな?色も派手すぎないし、地味すぎないし…。パーカーと合わせて着れば体格もそれほど気にならないと思うよ」

不二咲(お)「袖口が大きいねぇ…。確かに体格は隠せそうだけど、重くないのかなぁ?」

マルス「軽い素材で出来ているってタグに書いてあったから大丈夫だとは思うけど…。清多夏殿、流石にふんどしは怒られると思うよ…?せめて普通の水着にしよう?」

石丸「なっ…!マルス王子!日本男子の魂を君は分かっていない!ふんどしというものはな!」

田中「仕方あるまい。この俺様が石丸に見合うものを仕立ててやろう。そこで待っているがいい」

マルス「行っちゃった。…彼のことは眼蛇夢殿に任せちゃってもいいかな?」

不二咲(お)「マルスさん、僕この水着着てみたいなぁ。サイズも合うと思うんだよねぇ…」

マルス「それかい?うん、似合うと思うよ。それならこのパーカーじゃなくて…」



各々が水着を吟味している中、いち早くおろさんの水着を選んだMZDとおろさんが会計のカウンターへ戻ってきました。あれ、MZDは水着着ないんですか?



MZD「オレ?着るつもりないよ。魔族って全体的に強い日差し苦手だからさ、必然的にアイツのサポートしなきゃなんないだろ?流石に混じって海水浴、は出来ないよ」

おろさん「…前から思ってたけど、君ってどの異世界のMZDよりも保護者っぽいよね?」

MZD「あ、そう見える?確かに昔はやんちゃしてた自覚はあるけどねー。今はやろうとは思わないかな。『ありのままの自分』ってヤツを受け入れてくれる人達が今はいるからね」

おろさん「なるほど…。異世界によって同じ人物の性格が違うとは耳にするけど、実際に聞いたり話をしたりすることで分かることもあるんだね」

MZD「中々的を得たこと言ってくれるじゃ~ん?…あ、そろそろ他のみんなも戻ってきたみたいだな。えーと、財布出さないと…」



MZDがそろそろ会計をしようと財布を取りだしたその時でした。目の前で可愛らしい水着が空に舞いました。それと同時に大きく響く誰かが転ぶ音。音の方向を見てみると、そこには……。



罪木「こ、転んでしまいましたぁ~!」

ソティス「な、なにをしておるのじゃおぬしはーーー!!!」



罪木さんがあられもない姿で水着を落としてすっ転んでいました。あーあー、下着が丸見えです。
思わずポワレの後ろに隠れるおろさんと彼女を呆れて見つつも彼女を助ける為に手を伸ばすMZD。彼女は泣きながらMZDの手を掴んで助けて貰いましたとさ。



罪木「売り物を落としてしまってすみませぇん…」

MZD「大事が無くて良かったよ。水着よりも自分の怪我の方を気にしろよお前は!」

ソティス「選んだ水着ならどっちもかごに入れておいたぞ!『まとめばらい』をするのじゃからな。一方にまとめておいた方がよかろう」

MZD「サンキュ。マルス達も帰ってきたみたいだな」

マルス「…神様、不可抗力だとは思うけど。流石に女の子を泣かせるのは駄目だと思うんだぼく?」

石丸「つ、つ、罪木くん?!何故号泣しているのだね?!何者かにいじめられたのか?はっ!まさか神様が『やってません!!誤解しないで!!』 し、失礼したッ!」

罪木「私が勝手に転んでしまっただけですぅ!神様は私を助けてくれただけなんですぅ!」

ポワレ『青春ですねー!お会計はこちらでよろしいですか?』

MZD「買い忘れはないよなー?はい、これで全部です。カードで一括」

おろさん「(セレブリティ…!)」



籠の中に入った水着を1着ずつ丁寧に確認し、お会計を済ませたMZD。ポワレに見送られる中店を出ると、そこでベレスと鉢合いました。
手荷物を持っていることから、無事に自分の水着を取ってくることが出来たみたいですね。



ベレス「良かった、間に合った。みんなも買い物終わったの?」

ソティス「遅いぞベレス!!ふふん、保健委員と選んだわしの水着、ビーチに着いたらとくと見るがいいぞ!」

ベレス「うふふ。楽しみにしてるから。…それで、サクヤ達はまだ買い物?」

MZD「あぁ。特に買い物が終わったとも連絡来てねーし、先にサクヤ達に連絡してレストラン街で待ってようぜ。…主にあの朱雀のせいで遅れてるんだとは思うけど」

ゲムヲ(お)「スイーツを食べる時間は…!」

マルス「あるよ。あるからそんなに詰め寄らないで!」

ピカチュウ(お)「こいつスイーツ大好きだからなぁ。時間も惜しいしさっさと行こうぜ」



MZDが自分のスマホを取り出しチャットアプリを見てみるも連絡は特になし。ということはまだあの3人は買い物を続けているということなのでしょうか。…まぁ、夜までいるならば晩御飯の買い出しもしているでしょうしねぇ。
彼は素早く『買い物が終わったからレストラン街に行く』とだけ送信し、合流したベレスも連れてレストラン街へと足を運ぶのでした。









~ココナッツモール 3F レストラン街~



MZD「じゃーん!ここがココナッツモールで一番美味いアイス屋!味は保証するぜ!―――あ、やっぱり今三倍アイスのフェアやってんじゃん!みんなトリプルアイスな!な!いいよな!」

マルス「ぼくはクレープにするよ…。ここのお店の従業員さんは神様の知り合いなの?」

MZD「ん?いやーそういうわけじゃないけどさ。たまに遠出した時には必ずここによってアイス買って帰ってるから、顔くらいは覚えて貰ってるんじゃね?」

ゲムヲ(お)「種類がいっぱいアリマス…!どれにしまショウかね、ゴマとちくパ味とモカと…」

ベレス「ちくパ味?そんなのあったっけ?」

ソティス「日向美商店街の名物を模倣するでない!あるわけなかろう!」



お昼の時間帯だからなのか、人がそこそこいるレストラン街に一同はやってきました。若干テンションが高めな状態で、MZDはとあるアイス屋さんを指差します。店主がキノピオ族っぽいので知り合いではなさそうですが、彼曰く『ココナッツモールで一番美味い』アイス屋だと豪語しています。
ガラスから覗く沢山のアイスに口を開けてキラキラした眼差しを送るゲーム&ウォッチ。早速各々食べたいアイスを注文します。…流石にトリプルアイスに喰いついたのはスイーツマニアの彼だけだったようです。

しばらく待っていると、注文したアイスがどんどん手渡しで運ばれてきました。各々受け取り、アイスに刺さったスプーンを抜き1口。甘い味が口いっぱいに広がります。



おろさん「本当だ、美味しい!アイスなんて久しぶりに食べたよ…!」

MZD「んー、やっぱこの店のアイス最高~!全部期間限定のフレーバーで攻めてみたけど中々相性いいな~♪」

不二咲(お)「マルスさんはクレープ…だけど、あれ。アイスは期間限定なんだね?」

マルス「そうなんだ。千尋殿、良ければ少し食べる?」

不二咲(お)「うん!僕そっちの味も気になってたんだけど、ダブルは流石にきついかなぁって思ってたから…ありがとう!」

ピカチュウ(お)「おいゲムヲ。無言で食うんじゃねえなんか感想言え」

ゲムヲ(お)「美味しいモノは美味しいウチに食べるのがマナーデスよ!溶けてしまったら意味がありマセン!」

石丸「やはりアイスは抹茶味に限るな!…罪木くんは何を頼んだのだ?随分とどぎつい色をしているが…」

罪木「期間限定で『ラブアイス!』というフレーバーがあったみたいなので頼んでみましたぁ。えへへぇ、中々癖になるベリー味ですぅ」

田中「(多方面から怒られそうだから突っ込まないでおこう…)」



このアイス屋、期間限定フレーバーでとんでもない名前のものがあるようで。何ですか『ラブアイス!』って。どこかのアイドルグループですか。しかし、味は王道のベリー風味のようで、美味しそうに罪木さんはアイスを頬張っています。
美味しいアイスを味わっていると、向こうからこちらに小さく手を振る3つの影が。どうやらサクヤ達が買い物を終えてやってきたようですね。



サクヤ「すみません、待たせてしまって…。例の如く兄貴が花火を買うと言ってきかなくて…。仕方ないので大きなものを1つ買って戻ってきたのです」

アクラル「だって!ビーチといえば花火だろ!どでかいヤツもいいけど、手で持てるサイズの花火を楽しむのもまた一興だぜサクヤー!!」

ヴィル「夜までいるのだから夕食もビーチで済ませる予定なのだろう?…ならば、バーベキューはどうだと3人で話し合ってな。食材を買い込むのに時間がかかってしまって。すまない」

MZD「おっ?バーベキューか。いいねぇ~!ひと夏の思い出ってヤツ?」

おろさん「バーベキューまで?!本当にいいんですか?!」

サクヤ「これだけの大人数なのですから、大人数ならではで楽しみましょうよ。せっかく来てくださったのですから。遠慮せずに」

おろさん「あ…ありがとう…!ならお言葉に甘えてバーベキューも楽しむね!」



遅くなっていた理由。どうやらバーベキューをしようと3人で策を立て、それ用の買い出しを追加していたからだったんですね。手持ちの荷物がやけに少ない?いえいえ、彼らには『圧縮魔法』という便利なものがあるんですから。利用しなくてどうするんですか。
…時間は12時を回りそうになっていました。そろそろ昼食にしようかとサクヤが思った途端。

キュルルルル、と可愛い音が。それと同時に赤面するねずみ。



ピカチュウ(お)「……今のは聞かなかったことにしてくれ」

ベレス「もうお昼の時間だしね。近くのお店に入ってお昼ご飯にしようよ」

MZD「あ、そういえばアイス頼んだ時にあの店のクーポン貰ったぜ。即日使用可能、って書いてあるからせっかくだしそこ行かね?」

サクヤ「何とまぁタイミングのいいことで…。善は急げとも言いますし、行きましょうか」

アクラル「辛い食べ物あるといいなー!!楽しみだなー!!」

不二咲(お)「アクラルさんは辛い物が好きなのぉ?」

ヴィル「辛い物どころの話ではない。彼の味覚に『痛覚』と『辛味を判断する力』は存在していないようなのだ」

アクラル「いや味覚あるから!美味しくいただいているから!!」

MZD「味覚があるんだったら辛さ100倍増しとか人前で言うなよ。こっちの舌が麻痺しそうだ」

サクヤ「兄貴の辛い物好きは限界を知りませんからねぇ」




そんな会話を繰り返しながらレストランに入り、美味しい昼食に舌鼓を打った一同なのでした。
さぁ、お腹も膨れたことですし。いざリゾートアンセムへ!海を楽しみましょう!」

ABT.ex 『ウルトラワールドとの邂逅』-4 ( No.177 )
日時: 2020/07/30 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: gKP4noKB)

~リゾートアンセム Aビーチ~



昼食を楽しんだ一同は、早速リゾートアンセムへとやってきました。夏の日の日中ということで、露店がある駐車場には人がごった返しています。気を抜くとはぐれてしまいそう。
サクヤが今一度振り返り『兄貴の髪の毛を目印にして来てください』と忠告。自分の双子の兄をそんな風に使うとは。まぁ、これも信頼しているが故の発言なんですけどね。

そして、しばらく人混みに流されながら歩いていると…。ふと、地面の感触が柔らかいものに変わりました。まるで『砂浜のようだ』。一同はそう思います。
目の前には―――透き通る水が、広がっていました。まるでこの世の楽園のようだ…。それくらい、綺麗で透明感のある海。一部はこんな綺麗な海を初めて見たのか、驚きと感嘆を隠せないでいます。



ソティス「なんと!こんなに煌びやかな海を見るのは初めてじゃ!他の者も戯れる海であるのに、何故ここまで透き通っておるのじゃ?」

MZD「なんだっけ。なんか海の底にいるプランクトンやサンゴが海に溜まった汚れを『餌』として食べてるからこんなに透き通ってたんだっけ?」

ベレス「そうだとしても、凄く綺麗な海だね…。生きているうちにこんなに綺麗な景色を見れるのなんて幸運だよ」

マルス「ここの海に入ったら気持ちよさそうだね」

サクヤ「更衣室はあちらのようですね。各々着替えたら存分に海を楽しんでください。私はテーブルやらパラソルやら設置するお手伝いをしますので…」

罪木「えっ?サクヤさんは入らないんですか?」

アクラル「俺もサクヤも『人型は仮の姿』なんだよ。だから、この状態から着替えることが出来ねーの。あれだ、『擬人化したら服も皮膚の一部』って奴だ。こんな姿で海に入ったら変だろ?」

ヴィル「それは初耳だな。…ミミとニャミが残念がる姿が目に浮かぶ」

MZD「あいつら似合いそうなものは他人のものであってもすーぐ買うからなー。多分クローゼットの中にサクヤやアクラルにプレゼントする服もたんまり仕舞ってるはずだぜ」

おろさん「それは残念だね…。でも、折角買ってもらったんだし僕も水着に着替えて遊ぼう!マルス、不二咲、早速更衣室へ!」

不二咲(お)「うん!えへへ、似合ってるといいなぁ…!」

ゲムヲ(お)「ならワタシは設置物の手伝いをしますネ」



早速水着を買った一同は更衣室へ。残ったそれ以外の面子は早速圧縮魔法を解き、海からそこそこ離れた所詮『映える』場所に持ってきたパラソルやテーブルを置いていきます。
…しばらく作業を進めていると、男性陣の着替えが終わったのかおろさんと不二咲さん、ピカチュウが更衣室から出てきました。

おろさんは空色の無地Tシャツに、淡い青のサーフパンツ。おろさんをイメージする青系統のコーディネートでまとめています。サーフパンツに描かれた青いワンポイントのイルカがクール。
不二咲さんは軽めの生地で出来た大き目サイズの深緑のパーカーに、長めのカーキ色のサーフパンツを履いています。一応中性的に見えるように、とのマルスの配慮。ちなみに萌え袖になっています。



不二咲(お)「マルスさんにアドバイスを貰って一緒に選んだんだけど…。どうかなぁ?似合うかなぁ?」

ゲムヲ(お)「ナルホド、そういう系統で来たんですネ。意外ですが似合っていますヨ」

おろさん「僕も着てみたんだけど…。どうかな?」

ヴィル「シンプルだがワンポイントのシルエットが映えているな。似合っている」

MZD「あったりまえでしょー?だってこのオレが選んだんだもん!」

ピカチュウ(お)「で、なんで俺はこんな可愛い浮輪をかぶせられてるんだ?いや泳ぐ気は満々だったけどよ」

おろさん「ピカチュウの分の浮輪がそれしかなかったんだよ…。色は明るいものを選んだからそれで勘弁して?」

石丸「本当はふんどしが良かったが、たまには海パンもいいものだな!」

田中「フッ…。俺様のセンスの高さに酔いしれるがいい…」

MZD「(ふんどし…)」



2人共似合っている、と設置していた面子からお褒めの言葉をいただき嬉しそうなおろさんと不二咲さん。まぁ、ミミニャミのセンスの高さを見ればMZDもセンスは良い方なんでしょうけどね。
そのままテーブルの設置を進めていると、今度は女性陣の着替えが終わったようでこちらに駆けてきます。………が。

『とある一点』を見たアクラルの顔が赤くなってしまいました。そりゃそうだ。その元凶であるベレスが着ていたのは……。



ベレス「…あれ?なんで一部が赤面してるのかな?」

罪木「ベレスさんの置いてあった水着って…凄く大胆なデザインですよねぇ…。体格がいいので似合ってるんですけどぉ…。そのぉ…。わ、私まで恥ずかしくなってしまいますぅ~!」

ソティス「何故じゃ!おぬしら!特に朱雀よ!何故そんなに赤面しておるのじゃ!」

アクラル「いや、ベレスって結構でかかったんだなって」

ベレス「?」

ソティス「おぬし!おぬしおぬしおぬしー!卑猥な言の葉には気を付けよ!神としての自覚を持たんか、まったく!」

MZD「神を束ねるトップがあんなスケベ爺なら仕方ないっちゃ仕方ない気がするけどねー。ベレスの体格の良さって元々分かってたじゃん。だからそんなにデカく反応する必要もないし~?」



ベレスは黒が基調のビキニ。一応マントで『背中』は隠しているようですが、その体格をありありと表現しているようなデザインです。ちなみに今年の夏ガチャのあの衣装です。
恥ずかしがっている罪木さんも可愛らしい白いフリルのビキニを着ていますが、まぁ彼女も体格良いですからねぇ。黒い髪の毛と相まって、夏のビーチに映える格好です。
ソティスは罪木さんが選んだエメラルドグリーンと白が基調のスクール水着のようなデザイン。嫌がっていたフリルは下ら辺にワンポイント残っている程度であり、彼女の可憐さを引き立たせています。



石丸「そうは言っているが罪木くん!君も中々に大胆な格好だな!君ならばもう少し露出を抑えるかと思っていたのだが」

罪木「だってぇ…。せっかく海で遊べるのに余計に着込みたくないじゃないですかぁ。だから…その…これでも頑張って選んだんですぅ、許してぇ~!!!」

田中「別に攻めている訳ではなかろう!!……いや、その、……似合っているぞ」

罪木「ありがどうございまずぅ~…」(号泣)

石丸「いいから涙を拭きたまえ!!……そういや、マルス王子がまだ来ていないようだが。彼も水着に着替えると言って更衣室へ向かったのだよな?」

MZD「確かに遅いな。何かあったのか…?」

アクラル「ま、まさか…。更衣室の中で殺害されてるとか…『ダンガンロンパ本編でもないのにどうしてそんなことが起こるんだよ』……言ってみたかっただけだよ!」

ヴィル「だが、こうも遅いと心配になるな。様子を見て来よう」

MZD「待って。お前日光苦手でしょ?オレが行ってくるよ」



女性陣が水着を着てやって来てしばらく経ってもマルスは更衣室から出てきません。まさか…と、アクラルがあらぬことを考えますがMZDが一刀両断。様子を見て来るとその場から離れようとした、その時でした。
―――『彼』が現れたのは。






















マルス「すまない、遅れてしまって。こういう水着を着るのは初めてだったからうまく着ることが出来なくて…」

MZD「……あぁー。なるほどー」

おろさん「『ウェットスーツ』を着てたら遅くなるのもまぁ分かるかな…」



ウェットスーツを着たマルスが現れました。なんか既視感がありますが黙っててくださいね。彼は申し訳なさそうにしながらテーブルの設置を終えた彼らの元までやってくるのでした。
そりゃそうでしょうねぇ。露出の多い水着を着ようとするとどこからかセコムが現れて『駄目です!』と彼の考えを一蹴しちゃいますからねぇ。そりゃこういう路線の水着しか選べなくなるわ。

何とか全員が揃ったようですね!それでは、早速常夏の海へ……!



ソティス「わしが一番乗りじゃー!それー!!」

ベレス「あぁソティス、ちゃんと準備運動をしてからでないと足をつってしまうよ!」

サクヤ「あまり深いところまで入らないでくださいねー。まぁ、最悪竜の姿に戻って水を操れば救出は出来ますが…」

ゲムヲ(お)「り、竜?!」

アクラル「さっきも言ったけど、俺等本当の姿は別にあるんだよなー。サクヤは青く綺麗な竜が本当の姿なんだぜ!ちなみに俺は燃え盛る不死鳥の姿な!」



準備運動をせずに飛び込もうとするソティスをベレスが宥めたり、浅いところで遊んでくれと一応注意喚起をするサクヤの様子を見守ったりと、各々楽しい時間を過ごしていました。



罪木「ベレスさーん!不二咲さーん!マルスさーん!そーれっ!!水鉄砲ですぅ!」(水をパシャッ!)

不二咲(お)「うわぁっ!や、やったなー!お返しだよぉ!えいっ!」(水をパシャッ!)

ベレス「うっ…。ここが戦場なら君達に命を奪われていたね。よし、自分も!」(水をパシャッ!)

マルス「うわっ!不意打ちは卑怯だよ!ならこっちもお返しだよ!」(水をパシャッ!)

罪木「は、はわわぁ~!3人同時はずるいですぅ~!!」



おろさん「…田中くん、何作ってるの?」

田中「未来に建設予定の我が『田中キングダム』の設計をしているのだ…。貴様も俺様のアストラルレベルについてこられるようになったら歓迎しよう…」

石丸「それならばもっと古典的な日本の城にしたほうが良くないか?田中くんが今作っている城だと敵に攻められた際に守りが薄くなってしまうぞ!」

田中「な、何っ?!しかし、日ノ本の城のようにしてしまうと俺様の描いていたイメージがッ…!」

おろさん「でも日本の城だと動物が育てにくいよね…。思い切って折衷しちゃえば?」

石丸/田中『それだっ!!』

おろさん「えっ?えーーーっ?!」



ソティス「ふっふっふ。電気鼠よ。これを見よ!」

ピカチュウ(お)「それ…ヒトデか?浅瀬に沢山いるぜ?」

ソティス「わしは実際に見るのも触れるのも初めてなのじゃ!察せ!」

ピカチュウ(お)「それにしても…浅瀬にもこんだけ海の生き物がいるなんてな。もしかしたら綺麗な海にしかいないポケモンも…あっ サニーゴが浮かんでる」

ソティス「どこじゃ?どこじゃ?!疾く案内せよ!」



思い思いに夏を楽しんでいる光景を、パラソルから4人と1体は見守っています。
どこから持ってきたんだか簡易ジュースサーバーまで設置。露店に行く必要ないじゃないですか。



ヴィル「露店で買うより自分で作った方がいいと気付いたまでだ。ガーデニングも料理も根本的には一緒のものなのだよ」

ゲムヲ(お)「フルーツジュース、美味しいデス」

MZD「ま、流石に大がかりなものは持ってこれなかったから食いたいもんは各自購入って感じだけどなー。…ってヴィル、飾り切りなんて珍しいじゃん。すっげー上手く行ってんね」

サクヤ「暗殺者らしからぬナイフの使いどころですよね…。元々手先が器用なのは充分にわかっておりましたが、ここまでとは思いませんでしたよ」

ヴィル「今日のは中々の出来だ。客人に振る舞う予定で切ったからなのかつい張り切ってしまった」



そう言いながらナイフを動かすヴィルヘルムの近くには、大きなスイカのボウルが。何時の間にやらフルーツを取り出し、色々な形の一口サイズに切ってはその器に盛っているようです。
少しずつ増えていく様々な形の果物に目(?)を輝かせるゲーム&ウォッチ。これを作っているのが噂に聞いていた『凄まじい破壊力を持つ元道化師』だとはとても思えません。
ふと、彼は頭に思い浮かびこんなことを2人に口にします。



ゲムヲ(お)「…アノ、お2人共『カミサマとマゾク』っていう双反する種族のハズなのデスガ…どうもそのようには見えまセン。今海で遊んでいるヒト達と同じような『ニンゲン』に見えマス」

MZD「ポップンワールドでは隠してたからね、『オレ達が超仲良し』ってこと。仮にも世界を守る存在であるオレと、正反対の位置にいるヴィル。そんな2人が仲良しだって世間様にバレたら色々と面倒だろ?反乱だって起きるかもしれないし。…だから、そういう意味では感謝してんだよね。世界が混ざって、さ。色々不便はあるけど、こうして堂々としていられるって気持ち的にも楽だからさ」

ヴィル「もし私がゼウス殿の魔術を打ち破っていなかったとして、今同じ状況にあったとしたら私はこの場にはいないはずだからな。…ある意味、世界が混ざって様々な事柄に影響が出たからかもしれん。種族の壁など、案外脆いものだ」

ゲムヲ(お)「スマブラに参戦している面子を見てると、ワタシもそう思っちゃいマスね…」



そう呟いている間にも彼の手は止まりません。そして…いつの間にかスイカの器には沢山のフルーツが。思わず手を出そうとするゲーム&ウォッチでしたが、サクヤに優しく手をはねのけられてしまいました。みんなで食べたいですもんね。
…そんなことをやっていたからなのでしょうか。ソティスとピカチュウがこちらに気付いたようで走ってくるのが見えました。



ソティス「な、なんじゃこの果物の盛り合わせはーーー!!!」

ピカチュウ(お)「器がスイカだと…?!それに中身全部スイカじゃない果物だと…?!美味そうだな…!」

ヴィル「食いたいなら海で遊んでいる彼らを呼んでからにするんだな。…全員で食べた方が美味さも一塩、だろう?」

ソティス「そうじゃな!よし電気鼠よ!疾く皆を集めるのじゃ!早く向かうぞ!」



愉快にはしゃぐソティスとそれに慌てて付いていくピカチュウの様子を見ながら、彼らは微笑ましく様子を見守ったのだとか。
その後、フルーツの飾り切りはみんなで美味しくいただきましたとさ。




















~夜 リゾートアンセム~



マルス「晴れて良かったね。星空も綺麗だったなんて…。突然だったから少人数だったけど、今度はもっと大勢で楽しみたいね」

ベレス「そうだね。ルキナなんか凄くはしゃぐだろうし、生徒達も喜びそうだよ」



海で過ごす楽しい時間も夜を迎えました。サクヤ達の思惑通り、晩御飯はバーベキュー!
これまた圧縮魔法で色々と道具を準備し、一同は一面に広がる夜空、そして揺蕩う夜の海を見ながら晩御飯を楽しんでいました。



おろさん「いやー、楽しかったなぁ。サクヤさん、今日は色々とありがとうございました。すっごく楽しかったよ!」

サクヤ「そう言っていただけると幸いです。我々もいい気分転換になりましたし。…やはり、本部に籠ってるだけじゃ駄目なんですねぇ」

アクラル「大将が留守にしちゃいかんってお前全然出掛けねーもんな。…ま、たまにはいいんじゃね?俺もお前のそういう優しい笑顔見るの嬉しいし!」

MZD「おっと?アクラルの妹溺愛発言が出てきたか~?」

アクラル「そ、そういう意味で言ったんじゃ―――」



MZDのからかいにアクラルが言い返そうとしたその時です。空に、大きな華が。音と共に広がりました。
星一杯の夜空に加わるように、大きな花火が鳴り響いたのです。



ソティス「綺麗なものじゃな…。これが『花火』か…」

不二咲(お)「どこかの団体さんが花火を打ち上げたのかなぁ?綺麗だねぇ…」



リゾートアンセムを彩る花火。一同は遊びつくした疲れを癒すかのように、その花火に夢中になっていました。
…ふと、思い出したようにアクラルが圧縮魔法を解いて手持ち用の花火を持ち出します。



アクラル「あっ!忘れるところだったぜ!花火!俺も買ったんだよ!思い出作りに俺達もやろうぜ!」

石丸「仮にも神様だというのに考えが子供っぽいぞアクラルさん!」

ゲムヲ(お)「でも、いいんじゃありまセンか?ワタシも花火、持ってみたいデス!」

ベレス「ちょうど貸し切りだし、周りに気を付ければ十分遊べる広さだからね。折角だし花火、やろう!」



その言葉に気分を良くしたアクラルは、1人1人に違う種類の花火を手渡します。本当発想が子供ですね貴方。えむぜさんならともかく、大の大人である彼が…まぁ、楽しんでるからいいか。
その後、一同は手持ちの花火が尽きるまで夜に光る華を楽しみつくしたんだとか。



















―――大空に打ち上がっていた花火も静まり、ひと時の楽しみは終焉を迎えます。
そろそろ帰ろうか、と誰かが言いました。その途端…おろさんの持っていた『かけら』が淡く光り出しました。
…どうやら、ここでお別れのようですね。



おろさん「随分急だね?!…もう少しいたかったけど、効力が切れるならそれまでかぁ」

ヴィル「元々それは試作品だからな。最大でも1日経てば勝手に元の世界に戻る仕組みになっているのだ」

サクヤ「お別れは少し寂しいですが…。今日はとても楽しかったです。この世界に来てくださって…本当にありがとうございました」

おろさん『ううん、こっちこそだよ!今度会える時を楽しみにしてるね!それじゃあ…また、どこかで!お互い元気でいよう!』

アクラル「風邪ひくなよー!元気でいろよー!またなー!!!」




『今日の思い出を絶対に忘れない様にしよう』。お互いそう称えあいながら、ウルトラワールドの住人達は…自分の世界へと戻って行ったのです。いつまでも手を振る彼らの顔には、笑顔が残っていましたとさ。


今回のお話はここでおしまい。今度こそ、次回の舞台でお会いしましょう。Adieu!



AfterBreakTime コラボ回 with おろさん様
~『ウルトラワールドとの邂逅』~ END.