二次創作小説(新・総合)

ABT②『松野家の七転八起』 ( No.36 )
日時: 2020/06/06 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: LdHPPNYW)

今回も無事に始まった逃走中#CR04。
あらら、どうやら松野家に動きがあるようですよ…?

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~運営本部 メインサーバ~



十四松「にーさーん!!おつかれサマースラッシュ!!!」(ドンッ!!)

チョロ松「勢いよく抱き着いてくるな!!ただでさえお前は怪力なんだから!骨が折れたらどうするんだ!!」

カラ松「弟の愛を受け取れないチョロ松が悪い」

チョロ松「なんでだよ!!!明らかに過剰な力で抱き着いてくるのが悪いんだろうが!!!」

MZD「初っ端から言い合いはそこまでにしろー。三つ子にカフェの店員から連絡きてんぞー」



無事にOPゲームを終え、カラ松とチョロ松がメインサーバへと戻ってきました。まだかまだかと待っていた十四松が2人に向かってダイブ。が、照準を誤り大部分はチョロ松が受け止める羽目に…。ぶーたら文句を垂れる彼にカラ松は『弟には優しくしろ』と的外れなアドバイスをしていました。
そんな彼らの日常をいとも簡単に受け流し、MZDは3人に連絡があると告げたのでした。



チョロ松「連絡…?カフェって、弟達が働いている『ヒプノシス』ですよね。まさかあいつらが何か問題を…」

ヴィル「別にそういう話はしていなかったな。『彼らは優秀な我が仲間です~!』と逆に自慢してきていたくらいだ。その弟達から、『カラ松兄さん達とランチがしたいからカフェに来てほしい』と連絡が来ていた」

カラ松「一松とトド松、頑張ってるんだなぁ…」

十四松「え?ランチ?おひる?ごはんだって!どーするにーさん!」



どうやらトド松と一松がカラ松達をランチに誘っているようです!現在は別々に働いているとはいえ六つ子。話の場も設けたいことでしょうしね。3人もそろそろ彼らの様子が見たいと思っていたのか、割と乗り気です。



チョロ松「ランチかぁ…。ここで働くようになってからあんまり会えてないし、何やってるのか近況も知りたいしなぁ」

サクヤ「では、行ってみてはどうです?丁度お昼の時間帯ですし」

カラ松「えっ?それは有り難い話だが、逃走中の運営は…」

MZD「お前らがいなくなったくらいで運営止まるような仕組みじゃないから安心していいよ!何の為に手伝い募ってると思ってんの?」

ヴィル「たまには家族水入らずで食事でも楽しむといい。…血の繋がりは大切にするものだぞ」

サクヤ「そもそも私と兄貴が余程のことが無ければ本部から離れませんので。安心して弟さん達に会いに行ってきてください」

チョロ松「みんな…。それじゃお言葉に甘えてカフェでお昼ご飯にしよっか!」

十四松「わーい!一松にーさんとトド松にまたあえるー!」

カラ松「本当にありがとう!それじゃあさっさと準備してカフェに行くぞ弟達よ!」

チョロ松/十四松『おーー!!』



サクヤの後押しもあり、保留組の3人はカフェでお昼を楽しむことを決意したのでした。
待たせてはいけないとさっさとメインサーバを後にし外出の準備をする3人を、微笑ましく神2人と幽玄紳士は見守っていたのでした。











~カフェ ヒプノシス~



トド松「あーあ、兄さん達来てくれるかなぁ。一応連絡してくれるとは言ってたみたいだけど…」

一松「無事…かは分かんないけどOPゲーム終わったし、暇なら来るんじゃない?」

ハスノ「そこまで本部の方々も仕事を押し付けてはいないと思いますし、心配しなくても大丈夫な気はしますよ~?」

トド松「べ、べべべべ、別に心配してなんかないもん!どーせ兄さん達みんなに迷惑かけてるから僕が慰めようとしてるだけだもん!」

一松「言い訳にしては随分と苦し紛れだと思うけど…?ヒヒッ」



一方のカフェ『ヒプノシス』。連絡を伝えたトド松は、保留組の3人がちゃんと来てくれるかが心配でそわそわしていました。
来なくても別にいいや、と思っている一松は対照的に落ち着いており、現在オーナーであるハスノの手伝いで仕込みを行っていたところでした。
ハスノに図星を突かれ、苦し紛れに言い訳をするも一松に言い返されて不貞腐れるトド松。あんまりいじらないであげてくださいね。
そんな様子で彼が窓の外を見たと同時に、3つほど店に近付いてくる影が見えました。同じような影が3つ。紛れもなく保留組でしょう。

しばらくそのまま様子を見ていると、徐々に大きくなる3つの影は店の扉に手をかけ、チリン、と鈴の音を響かせ店の中へと入ってきました。



カラ松「一松!トド松!久しぶりだな、元気だったか?」

ハスノ「いらっしゃいませ~!サクヤさん達からお話は伺っております~。お好きな席へどうぞ~!」

トド松「兄さん達おっそ~い!どんだけ僕達を待たせたと思ってんの?」

一松「あんま待ってないけどね」

十四松「ひさしぶりー!元気だったー?ぼくたちはねー、すっげー元気!」

チョロ松「元気そうで何よりだよ。お前らのことだからすぐ仕事投げ出してニート生活に戻ってると思ってた」

トド松「うっわ失礼だなもー!そんなこと言うなら兄さん達だって同じ穴の狢なんだからね!松野家の六つ子なんだから」

カラ松「ははは、それは言えてるかもなぁ。…さーて、立ち話もなんだし飯でも食いながら近況報告でもするか。その為に俺達を呼んだんだろう?」

十四松「ごっはん!ごっはん!カラ松にーさん以外のご飯食べるの久しぶりだなー!たのしみー!」

ハスノ「パパッと作ってきますので、皆さんでゆっくりお話を楽しんでください~!」



どことなく嬉しそうに話をする5人を優しく見守りながら、ハスノは5人分のランチを作りに厨房へと去っていきました。
その間に5人は多人数向けの席にそれぞれ腰を下ろし、そのまま話を続けたのでした。



カラ松「この店のオーナーも『一松さんとトド松さんが来てくれてからお店が繁盛しているんです~!』って褒めてたみたいだからな。頑張ってるんだな、2人共」

トド松「まぁ、元々僕はカフェ店員に就職したかったしー?オーナーもいい人だし、一松兄さんがたまに猫連れて来るんだけどそれがお客さんにウケてさー。ちゃんと猫のケアをするならって条件で、月に3回くらい『猫カフェデー』ってのをやってんの。凄いでしょ?」

一松「猫たちもこの店気に入ってるみたいだし…。大人しいヤツばっかりだから客にも喜んでもらえてるよ」

チョロ松「へぇー。一松の猫好きも役に立ってんだなー」

トド松「最近は僕も新メニュー考案に関わったりもしてるんだよ!カラ松兄さんには流石に届かないけど、オーナーの手を借りずに自分だけで新メニューをお客さんに出したりしてるんだから!」

十四松「トド松、りょーりできんの?!すっげーね!スタバってた時よりも生き生きしてる!」



どうやら一松とトド松、このカフェに就職してから一生懸命頑張っているみたいです。ハスノも彼らを信頼しているみたいですし、逃げ出したりはしていなくて安心しました。
楽しそうにカフェでの仕事の話をする2人に、思わず保留組はにっこり。仕事の話をしている5人など、元の赤塚では絶対に見られなかったでしょう。

そんな話をしていること数十分。ハスノが5人分のスパゲティをワゴンに乗せて持ってきました。
目の前に出された暖かいスパゲティ。ソルトベースなのか具材はほうれん草としめじというシンプルなもの。にんにくの風味が食欲をそそります。



ハスノ「みなさ~ん お待たせしました~!本日のおすすめパスタ、『ほうれん草としめじのにんにく風味パスタ』です~!」

チョロ松「食べる前から美味しそうな匂いが…!うぅ、これはお腹が余計減ってくる奴だ!」

トド松「ふっふーん!カラ松兄さんの料理も美味しいけど、オーナーの料理も超美味しいんだから!ほっぺたが落ちても知らないからね?」

十四松「トド松がおいしいっていうならおいしーのかなー!いっただっきまーす!」

一松「…今日のは自信作そうだね。一層美味しいやつだ。いただきます」

トド松/チョロ松/カラ松『いただきまーす!』



5人揃って『いただきます!』と元気よく手を合わせ、フォークに麺を絡ませ一口。
…入れた瞬間、彼らの世界が一瞬で変わりました。しつこくないにんにくの風味に、程よく炒まったほうれん草としめじの弾力が踊っている。ソルトベースなのであっさりとしたシンプルな味だが、薄過ぎずこれまたもう一口と食欲が邁進する。
―――カラ松の料理に引けを取らない上手さだ。チョロ松と十四松は一口食べた瞬間からそう思ったそうな。



カラ松「美味い!シンプルながらいくらでもいける味だなー!オレも作ってみたいぜ、これ!」

トド松「でっしょー?まぁ、でもこのメニューカラ松兄さんの『ベーコンとしめじの醤油パスタ』のアレンジなんだけどね」

カラ松「えっ?」

一松「カラ松が料理上手いってのは最初に話してて…その、オーナー時折こっそりサクヤさんからレシピを貰って、それを自分で作ってはアレンジしてってメニューを増やしていったみたいだよ」

チョロ松「それでもこれだけアレンジを広げられるのは凄いよ!カラ松の料理と同じくらい美味しい!」

十四松「いつか異世界の人達にもここの料理食べて貰いたいってくらいおいしいー!」

ハスノ「喜んでもらえて良かったです~。これも日々のリサーチのお陰ですね~!」

チョロ松「(神にリサーチさせる邪神ってなんだろう。てかこの人間延びした喋り方してる穏やかそうな人だけど邪神なんだよね。うん。正体現したらSANtチェック免れないやつだよねこれ)」



あれよあれよと麺はすぐになくなってしまい、5人同時に『ごちそうさまでした!』という声が店に響きます。それを聞いたハスノは嬉しそうに『お粗末様でした!』と返したのでした。
…昼食後の一服をそれぞれ席で行っていた折、トド松がこんなことを切り出してきました。



トド松「そうだ。あの後おそ松兄さん本部に顔出したりしてる?」

チョロ松「なんだよ急に。おそ松兄さんならあれっきり顔出しに来てないよ」

カラ松「たまに松野家に電話で連絡入れてるんだが、母さんしか電話に出なくてな…。トド松と一松は一応家からここに通っているんだろ?…最近おそ松どうだ?」

一松「そっか。母さんしか出てないんだ…。いや、実は最近…おそ松兄さんの様子がおかしくてさ」

十四松「おそ松にーさんの様子がおかしい?どーゆーこと?」



何を話すかと思えばおそ松の話でした。一松とトド松がカフェで働くようになってからも、彼は1人ニート三昧の生活を送っていました。保留組は本部で住み込みで働いている為、電話でしか家の近況を知りません。
そのことを伝えると、一松はぼそぼそと『最近おそ松の様子がおかしい』と呟きました。何事かと十四松が聞き返すと、少し考えた後こう返しました。



一松「なんかさ。焦ってるっていうか…。おれ達をまたニートに引き戻そうとしているっていうか…。よくわかんないけど、俺達が離れていくみたいに考えてるようにおれは思った」

トド松「本当兄弟思いなのか何なのか知らないけど、折角拾って前を向けたのを後ろに戻そうとするなんてさー。ありえなくない?そう思ってこの前兄さんに言ったんだよ。『そろそろ働けば』って。そしたら何て言ったと思う?


    『松野家はニートなのが常識です!』だってさ!!
    
    
    本当信じらんないよねー!まあ、おそ松兄さんらしいっちゃらしいんだけど。…でも、そういったおそ松兄さんの顔、ちょっと引きつってるような感じがしてさ」

カラ松「成程、そんなことがあったんだな…」

十四松「おそ松にーさんが働くって想像つかないよね…」

チョロ松「言うな十四松。まあおそ松兄さんは元々凄いポーカーフェイスだし、我儘だけど何か隠してる感じするのは元々だし…。何があったのかは知らないけど、僕達も一回休暇貰って家に帰った方がいいかもしれないね」

カラ松「そうだな…。母さんにもちゃんと近況報告しなきゃ駄目だしな。今回のゲームが終わったら様子を見に行くか…」

十四松「その時はぼくも一緒だからね、にーさん!」



『働く気はありません』を地で行くおそ松。らしいっちゃらしいですが、トド松曰く『何か隠してる』らしく。あの何も考えてなさそうなおそ松が『隠し事』ですか。5人共働き始めている為、もしかしたら拗ねてるだけなのかもしれませんが。
最近家に中々顔を出せていなかったこともあり、3人は今回のゲームが終わったら一回家に帰ることを決意したのでした。



カラ松「…もう少しおそ松についての話…と、お前らのおすすめのメニューを持って帰りたい。もうちょっとだけここにいてもいいか?」

チョロ松「ゲーム終わる前にはちゃんと帰ろう?まあ、もう少しだけならサクヤさんも許してくれるとは思うけどさ。ここのカフェ、スイーツも美味しいらしいから食べて帰りたいし」

十四松「えっ?帰らないのー?じゃあにーさん達ともうちょっとお話するー!」

トド松「僕も今日はそんな気分だから別にいいけどー。あ、じゃあさ、僕が考案した新しいデザート食べてってよ!まだメニューに乗っけてないからアドバイス欲しい!」

一松「おれも…新しいメニュー考えたから、アドバイス欲しい…」

カラ松「それくらいお安い御用さ!このPERFECT GUYカラ松が『はいはい今から作るからイタイ発言止めてねー』…………」

十四松「少なくなったけどカラ松にーさんまだイタイ発言するよね」

チョロ松「身体に染みちゃってんだろうな。…ま、本当に稀になったから流しておこう」

カラ松「そこは流さないで乗ってくれチョロ松~~~~~!!!」




そんなこんなで一松、トド松の新メニューを堪能した保留組の3人。
彼らも成長しているんだな、と確認した後お土産を持って運営本部への帰路についたのでした。