二次創作小説(新・総合)

第0回 『神、ラジオDJするってよ』 ( No.1 )
日時: 2020/06/09 23:50
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: LdHPPNYW)

~運営本部 メインサーバ~



サクヤ「…ふっふっふ。やっと依頼していた『アレ』が完成しました」

MZD「何だよ急に笑い出して。普段感情が全然入らないんだからビックリするだろ」

サクヤ「まるで私の感情が希薄だという風な言い方をしないでくださいえむぜさん。割かし失礼ですよ」

MZD「そりゃすいませんねぇ。…で、依頼していた『アレ』って何?」



ここは『コネクトワールド』。『終末の世界』とも呼ばれる、様々な世界が混ぜられて出来た大きな1つの世界。逃走中#CRシリーズを開催しているその大地を守護する四神の1人、『青龍』であるサクヤは珍しくほくそ笑んでいました。
普段感情があまり表に出ない彼女が笑っている…。ただ事ではない、と思い隣で書類の整理を行っていたポップンワールドの神、MZDが不思議そうに話しかけます。

青龍は少年の『アレ』という言葉に、待ってましたと言わんばかりに彼を指差してこう言い放ちました。



サクヤ「えむぜさん。『ラジオDJ』をする気はありませんか?」

MZD「…『ラジオDJ』?」

サクヤ「実はですね…。この運営本部の地下に、『ラジオ番組用のスタジオ』を密かに制作する計画を1人遂行しておりまして。つい先程、『スタジオが完成した』と業者の方から連絡が来たのですよ!」

MZD「てかよくオレら…じゃない、本部のみんなに内緒で地下に部屋なんて作れたな?!え、あんだけいて誰も気付かなかったの?!」

サクヤ「とある『企画』を開始する為に本部にも内密に遂行していたのです。…あぁ、一応兄貴には最終チェックを頼むので彼だけには話していましたが」

MZD「マジかよ。…それで、そのスタジオ完成とオレがラジオDJをすることに何の意味があるワケ?」

サクヤ「よくぞ聞いてくれました。実は、ですね」



MZDが少し話に食いついてきているようです。神であり、かつては『六本木のアクマ』という異名でクラブでガンガンDJをしていた彼。その血が疼いているんでしょうか。というか神なのに異名が『悪魔』ってどういうことよ。
サクヤは彼に、スタジオを作った意図を話し始めました。



サクヤ「このコネクトワールドにも沢山の方々が降りてきて、そして逃走中も少しずつ規模を広げています。そこで少し問題が発生しまして」

MZD「問題?」

サクヤ「『コネクトワールド』の登場人物がイマイチつかみ取れていないのではないか、と思いまして。以前密かにこの世界についてどうだ、と聞いた際に『物語が壮大過ぎて追い切れない』という意見をいただきまして。
    …確かに、それについては前々から懸念をしておりました。こちらの世界の作品、はっきり言ってしまえば『逃走中』と『シリアス系の日常』をドッキングした感じの異色作ですからね」

MZD「言っちゃったよ。でも、確かに同じ人物でも、他の作品とは違った雰囲気の登場人物が多いからなー。把握しきれないってのは素直に良く分かるぜ」

サクヤ「えむぜさんが『超大真面目』で『世話好き』で『人間くさい神』ってのはうちならではですもんね」

MZD「ハッキリ言うな、恥ずかしい。…まぁ、確かにここいらでキャラ紹介も兼ねてラジオ番組を流せば、もっと色んな人達にオレらのことを知ってもらうきっかけにはなりそうだよなー」



そう。逃走中#CR、まあ天の声のシナリオ通りに進んでいますので何ら問題は無いのですが…。いかんせんスケールがデカいことには気付いておりました。そこで、彼女は考えました。『ラジオ番組がてらキャラクターを紹介すればいいのではないか』と。そのMCに、えむぜさんを大抜擢しようというのです。
…ポップンでラジオDJといえばミミニャミの方が適任な気がしますが、そこは大人の事情ということで。うちのえむぜさんURなもんで。
話を黙って聞いていたMZDも彼女の思惑を知り、『なるほど』と納得の表情。そして、小さく頷き『MC、やってもいいよ』と返したのでした。



サクヤ「良かった!いい返事を期待しておりました。それでは後日、企画の説明をしたいのでタイミングの良い時にヴィルさんと共に私の元を訪ねてきてはくださいませんか?」

MZD「ん?ヴィルにもMCやらせるつもりなの?…確かに声だけの仕事とはいえ、一応暗殺者の肩書あるからなアイツー。素直にOKしてくれるかな?」

サクヤ「収録場所も地下ですし、お便りの管理等裏方は全て私が行います。…それでも駄目ですかね?」

MZD「うーん…。一応声かけてはみるけど、あんまり期待はすんなよな?」

サクヤ「本当に嫌であれば無理に連れてくる必要はありませんので…。一応、お願いいたします」



あらら。MZDの他にヴィルヘルムもMCとして抜擢しようとしているみたいですね。全く、彼女の腹の内が読めませんよ。声だけの出演とはいえ『暗殺者』としての一面を持つ彼がすんなり首を縦に振ってくれるかというと、答えが見えません。
一応声掛けをしてくれるということで、彼女達は後日改めて新しく完成した地下のスタジオを見に行くことにしたのでした。



そして、後日。







~メインサーバ 地下スタジオ入口~



MZD「ちはす。連れてきたぞー」

ヴィル「何事かと思えば私に『ラジオDJ』をしてほしいだと?どういう風の吹き回しだ。そもそもそういうことならば尚の事ミミとニャミに頼むべきではないのか」

サクヤ「ミミニャミさんだとどうしても王道っぽさが抜けられないでしょ?他と変わらないと申しますか。人外が人間からのお便りを捌く光景が『面白い』のではないですか」

MZD「自分の『面白さ』加減でオレ達をこき使うな」

ヴィル「やはり神の考えていることは理解が出来ん」



後日。ヴィルヘルムと都合があった日に合わせて、サクヤと共に地下のスタジオがあるという場所へやってきた2人。彼の頼みを聞いてまずは驚き、結局は『仕方ないな』とオファーを受けてくれました。なんだこの魔族。
彼女はどことなく嬉しそうに相槌を2回打った後、壁に手を当てます。するとどうでしょう。何もなかったそこに地下への階段が現れたではありませんか。



サクヤ「ついてきてください。こちらです」



サクヤの案内に従い、ポップン界のM&Wは黙って彼女に付いていきます。…長いコツコツとした靴音はいつまで続くのでしょう。無言の中に響く音だけが、彼らが『目的地に向かっている』という証拠となるのでした。
…しばらく歩いていると、ふと階段が目の前から消え、左方面に明かりが。どうやら目的地へついたようですね。
入口から中に入った2人は、まず『おぉ…』と感嘆の声を挙げたのでした。






~運営本部 収録スタジオ~



MZD「随分本格的なんだな」

サクヤ「広さにも性能にもこだわりました。壁は本部と同じ防音設計ですのでジャカジャカ楽器を鳴らしても安心です」

アクラル「やーっと来たのかよ!機器の最終チェックは終わってるぜ。ぜーんぶ動くこと確認済みだ!」

ヴィル「これが『収録スタジオ』というものなのか…。初めて見たな」

MZD「ヴィルはこういう世界初だもんねー。まぁ、だからこそ新鮮な切り口見せてくれそうで期待してるんだけどな」

ヴィル「傷口のことか」

MZD「実際に傷付けるわけじゃないのでやめてくださいます?」

サクヤ「まぁまぁ。では、スケジュールはこちらの方で組みますので…。試しに1回、私をゲストに捉えて練習で1回目を行ってみましょう」

アクラル「音響の調整とかこまけーことは俺に任せとけよなー!」

MZD「オレも出来ることならするよ。なんつーか、アクラルだけに任せてると痛い目見そうだし」

アクラル「ちょっ?!お前どんだけ俺のこと信用してないんだよ!!」

ヴィル「お前の信用が地に落ちているのは元からだろう」

サクヤ「兄貴は口だけはいっちょ前ですからねぇ」

アクラル「言葉の刃で斬り刻むのやめろ!!地味に辛いんだよ!!」



地下に広がる収録スタジオに思わず感心するMZD。既にアクラルが機器の最終チェックを行った後のようで、いつでも1回目の収録を行えるようです。
試しにサクヤをゲストに呼んで1回『練習』という呈でラジオ番組を発足することに意見はまとまり、その場は解散となりました。



MZD「なーに考えてんだか分かんないけど…。楽しめそうだし思いっきり楽しまなくっちゃな!」



去り際、スタジオを改めて見ながらサングラスの少年は口角を上げたのだそうな。