二次創作小説(新・総合)

Re: 【】 ( No.27 )
日時: 2021/03/04 23:34
名前: 海未ちゃんが気になる ◆Jx1Vgc1Dso (ID: XWWipvtL)





[3.巴の気持ちには答えたいが、ことりちゃんを心配させたくないので明るい話にして嘘をつこうとする]

「そうだけど、確かそんなに悪い話じゃなかったような……」

 嘘をつくとき、人は饒舌になる。てか、ことりちゃんにこの嘘、ばれないでくれ。
話し始めようとしたとき、

「もう、さっさと帰ろう?」

 ことりちゃんが俺の制服の腕あたりをくいっと引っ張ってそう言った。
やっぱり、気づかれちゃったのかな?

「そう、だね。あんまりこういうの信じたくはないけど、もし本当にあったら洒落にならないし」

 巴もそう言ってくれて、嘘を話すことなく、さっさと昇降口まで三人でたどり着いた。
何も起きなかった。よかった。ただ、

「えっ、なにこれ……」

 昇降口には各生徒にロッカーが存在し、そこに靴やら傘やらを突っ込んでいく。
誰も使っていないはずのロッカーから何か赤い液体が滴っている。
あそこには鍵がかかっているはずだから、誰かがいたずらしようにも簡単には開けられないはずなのに。
その扉がひとりでにギィ、と部品を軋ませて開いていく。見たくない、でも見たいのか、
体は金縛りにあったように動かなくなった。ことりちゃんも巴もどうやらそのようだった。
徐々に開いていくロッカーは今もなお、赤い液体が垂れていて、止まる素振りすらなかった。
ロッカーの中が徐々に露わになると、何か丸っこい物体が暗がりにあることが分かった。
目を凝らしてみると、それは……

「きゃあ!」

 ことりちゃんが悲鳴を上げ、俺に抱き着くとついに見えた。
ロッカーの中身が、人間の頭だけ、ってことに。
そして、これは幻覚だろうか?
あの頭がこちらに話しかけているような気がする。

「お前、みぃたぁなぁ?」

 こんな低い声、誰かがいたずらで言ったとしてもこの二人には無理だ。
しわがれるような声でそれは俺に、いや全員にそう言っていたのかもしれない。
ことりちゃんは小刻みに首を振って、巴は何が起きたんだ、という表情でそれを凝視していた。
こんな奴、俺は知らない。こんなの、見たことも聞いたこともない。脳内で言葉にならない焦りが弾けていたら、突如視界が真っ暗になって意識が……。

 次の日、本校舎の昇降口のあのロッカーの前で三人が倒れた状態で発見された。
が、幸いなことに三人とも命に別状はなく、でもその日は大事を取ってと
一時病院、そしてそれぞれが帰宅することになった。
あの時見たあれは何だったんだ?
その謎の答えを今は知りたくもない。










それでもやり直す?
[はい>>24
[いいえ]
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