二次創作小説(新・総合)
- 打ち上げ ① ( No.138 )
- 日時: 2020/11/17 22:06
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: xJyEGrK2)
サクヤ「それでは、以上を持ちまして次回逃走中に関しての発表を全て終了いたします。皆様、ご自由に打ち上げをお楽しみください!
この後すぐ、鈴花さんが歌を披露してくださるそうなので是非聞いていってくださいね」
MVPと作者陣発表も無事終了しましたし、思う存分打ち上げパーティを楽しみましょう!
おやおや、今回久々にライブありですか?前回はVENUSwith(^ω^)という結構とんでもない面子によるものでしたが…。今回は鈴花ちゃんが歌うんですね。
ミミニャミとMZDも演奏の手伝いをする為ステージ横にはけています。ごくそつくんと大包平も今回は『普通に』打ち上げに参加。……面倒くさいことにはならなさそうですね。
ごくそつ「『めんどうくさい』ってなんなんだよ~!ぼくは愉快で楽しい刺激を追い求めているだけなのに!まぁ、流石に最近気付いたことがあるからふっつーに参加するけどね!」
ジャック「本当にどうしたんだよお前。頭でも打って記憶無くしたか?」
大包平「?『愉快で楽しい刺激』とは一体何なのだ?」
ヴィル「(まさか、近侍である彼に何も説明してないのではあるまいな…?)」
あんまり心変わりはしていなさそうですが、本部で観戦してた時も大人しかったですからねぇ。大包平が顕現して一緒に本部に来てからの彼、何となく『何かが変わった』ような気がします。
ヴィルヘルムがこっそり大包平に耳打ちすると、彼は唯でさえ大きな目を更にまん丸にして驚いたのでした。
大包平「何?!『混沌を追い求めて異世界にまで迷惑をかけていた』だとぉ?!」
大典太「こっちにまで聞こえてきてる……喧しいぞ。……俺はあの後主から聞いたんだが。あんた、聞いていなかったのか?」
大包平「聞いていない!彼の思想に共感して近侍になったのは事実だが、そこまでは知らん」
サクヤ「まぁ、過去に散々打ち上げ台無しにしてきて結構大変な目に遭ってきたんですよね。……ですが、大包平さんと共に現れてから彼…『眼』が変わったように思えます」
ジャック「『眼』?」
不思議そうにジャックが首を傾げます。説明してほしいと詰め寄る一同にサクヤは少々戸惑いつつも、自分の考えを告げたのでした。
サクヤ「刀剣男士の皆さんは、皆それぞれ違わず『ゼウス様の力』で最初の顕現を果たしています。ゼウス様の力は、人生すら捻じ曲げてしまう程強力なもの。そんな彼の力で目覚めた大包平さんとごくそつさんが接触すれば、そりゃあ心に変化があることも…ないことはないでしょう」
大典太「確実性には欠けるのか…。……だが、あいつがここに来てからそういう報告は全く聞いていない。大包平と大会に熱中していたらしいからな。……主の推測もある程度当たっていそうな気がする」
ごくそつ「ん~?かぁ~ってにぼくの心の中のぞくのはやめてほしいんだけどなぁ。きょひょっ!まぁ、大包平くんと契約してから色々考え直したのもあるんだけどぉ。やっぱり世界には刺激が必要だし、いつかぼくが支配する運命も変わらない!
でもね?支配した後『下品でいっぱい』だったら嫌だな~ってぼく思ったんだよ!となりに大包平くんがいて、大包平くんが嫌な顔してる想像したらぼく嫌な気持ちになったんだよね」
ヴィル「……ほう?」
ごくそつ「だから大丈夫。ぼく愉快なのは大好きだしこれからも追い求めていくよ!でも、下品なことには首突っ込まないよ。マリオにもカービィにも言ってあるし、ルキナちゃんとお父さんにも話つけてあるよ~。異世界の彼らにもちゃんとお話してきたからね!
きょひょひょひょひょ~!ぼくがコネクトワールドを支配した暁には、おまえ達が地面に這いつくばって土下座する姿が今から楽しみだよ~~~!!!」
ジャック「前半はともかく後半おかしいだろ。ま、お前らしいといえばお前らしいけどさ」
ヴィル「支配する前に私が魂ごと喰らい尽してやるから安心しろ」
ジャック「言った傍から物騒なこと言ってんじゃねえ!!」
ヴィル「貴様、自我を持って冗談すら通じなくなったのか?……これは再度教育が必要なようだな」
サクヤ「ヴィルさんの冗談は冗談にならない時がありますからねぇ」
大典太「……だが、あまり心配は要らないのかもな?」
大包平「一瞬でも主を疑った俺を殴りつけたい…!」
ごくそつ「きょひょ!あっついひとは嫌いじゃないよ~!」
まぁ。ごくそつくんから意外な言葉が。昨今の情勢の酷さを真に受けて、大包平に変なものは見せたくないと思い直したのでしょうか。下品なことには首を突っ込まない。そして、本部の打ち上げも邪魔しないことを約束してくれたのでした。
それを聞いた大包平は、一瞬でも主を疑ったことが許せないようで自分で自分を殴ろうとしています。それは駄目だと無言で腕を掴む大典太。流石打撃76、一発で止まります。
……まぁ、何だかんだ今後迷惑行為はしてこなさそうですね?安堵した一同の元に、ミミの明るい声が聞こえてきました。
『そろそろ鈴花ちゃんによるライブがはじまりまーす!皆さん、どうぞステージの近くにお集まりくださーい!』
ジャック「おっと、そろそろ始まるのか」
大典太「……主。『らいぶ』とはなんだ?」
サクヤ「楽器を演奏して楽しい音楽を奏でるのですよ。ほら、ゲーム中にも翔陽くん達が歌ったでしょう?大典太さんも聴いていきましょう」
ごくそつ「よーし大包平くん、最前列はぼくたちが乗っ取るぞぉ~!!」
大包平「フッ、この刀剣の横綱、大包平の実力を見るがいい!!主のお通りだ、そこをどけーーー!!!」
大典太「……あいつの声で音がかき消されたりはしないか?」
サクヤ「だ、大丈夫でしょう。……多分」
ごくそつくんに続くように2人も人の輪の中へ。ステージではミミニャミと鈴花がマイクを持っていました。MZDは後ろでDJセットをいじっています。おやおや?これはもしやコネクトワールド初の神のDJ捌きが見れるというものですか?!
みんなが集まったのを確認後、ミミがマイクに向かって話し始めました。
ミミ『いえーい!皆さんこんにちはー!いや時間的にこんばんは、かな?今回も逃走中へのご参加、本当にありがとうございました!ってMZDって言ってたよ!
今回はわたし達の演奏と、鈴花ちゃんの歌声……そしてそして~?MZDが遂にDJ捌きを披露する気になったようだから是非聴いていってね~!』
MZD「おいこら~。オレの説明雑すぎな~い?」
ニャミ『雑すぎない!それじゃ早速曲目の紹介いっちゃおっか!鈴花ちゃん、よろしくね!』
アン「鈴花さんの歌を聞くのはサニーパーク以来ですから、とても楽しみですね!」
クアトロ「アタシは初めてだから、どんな歌声なのか気になっちゃうワ♪」
鈴花『はーい!ミミちゃんMCありがとう!こんばんは、鈴花です!今回は運営本部さんからの誘いで、打ち上げで歌を歌わせていただきます!
今回歌う曲目は、わたしの大切な友達の氷海ちゃんから紹介して貰った曲なの!とっても元気が出るノリノリな曲だから、是非聴いていってね!』
パステルくん(Y)「ぼにゅ?」
鈴花『曲を知ってる人は一緒に歌ってほしいな!それでは聴いてください!『神よ、ニャンコを与えたまえ!』』
パステルくん(Y)「ぼにゅ~♪」
konakun.「お、リフレクからだ!僕最近久しぶりにやったんだよね」
Ga.「復活のリフレシア」
konakun.「その話は駄目だよじーくん」
わぁお。今回は某ノーツをシューッ!するかつて一世を風靡したゲーム、『REFLEC BEAT』シリーズからの一曲。結局今後どうなるんでしょうねこのシリーズ…。
と、とにかくです。天の声も静かに聞き届けたいと思います。
♪ 神よ、ニャンコを与えたまえ! ~from:REFLEC BEAT VOLZZA
(´,,•ω•,,`)<~~~♪♪ ~~~♪♪
鈴花『神よ、ニャンコを与えたまえ!』
(×>ヮ<)<プリ~ズ!
(×>ヮ<)<ニャン!ニャン!ニャニャニャン!ニャンニャカニャンニャン ホイホイ!
『にゃん!にゃん!にゃにゃにゃん!にゃんにゃかにゃんにゃん ほい!ほい!』
(×>ヮ<)<ニャン!ニャン!ニャニャニャン!ニャンニャカニャンニャン ホイホイ!
『にゃん!にゃん!にゃにゃにゃん!』
『にゃんにゃかにゃんにゃんにゃにゃにゃーん!!』
(×>ヮ<)<ニャンニャカニャンニャンニャニャニャーン!
koknakun.「トモダチ楽しそうだなぁ。ネコミミいいなぁ」
ヤード「待て待てツッコミ放棄するな!!」
ジャック「(これあいつも後で出て来るな…)」
鈴花『マイガッ 月曜日仕事 火曜日仕事 水木金土もそう 仕事なの~』
(×>ヮ<)<ウワーン
鈴花『でも日曜日はとろける にゃんこ☆へう゛ん』
(×>ヮ<)<カミハイワレタ、『メンコイモフモフニャンコアレ』ト!
鈴花『ばってん 猫カフェは定休日 ペットショップもおやすみ
にゃんにゃん探してもう 三千里』
(×>ヮ<)<ヒエ~
鈴花『はぴねすにゃくて せつにゃいこんにゃ世界じゃ 生きれにゃい!!!』
(×>ヮ<)<オオカミヨ、ワタシヲオミチビキクダサイ キッチーユートピアヘト、ワタシヲオミチビキクダサイ~!
ボワワワワワン……
『ウワッ……ケムッ……』
エフラム「けほっ、こほっ…な、何なんだ?!」
リオン「急に煙たくなってきた…!」
(×>ヮ<)<ハッ?! ア、アナタハ?!
(^ω^)<イカニモ、ワレガキッチーカイノカミデアル
(×>ヮ<)<ニャ、ニャンダッテーー!!?!?!?!
(^ω^)<ソナタノネガイ、カナエテシンゼヨウ……
Ga.「キッチーまでネコミミつけてるんだけどぉ?!」
レイン「顔文字界ではネコミミが流行ってんのか?」
オスクロル「無いです無いです絶対無いです!」
鈴花の演奏を盛り上げるかの如く現れたキッチーとトモダチ。新しいお友達も一緒にネコミミ付けてリズムに乗ってます!またお前らか!!
MZDはバイブス上げるのに集中して見えてないし、ミミニャミは演奏に夢中だし、こいつらを止める手立てはありません!ん?楽しいし誰にも迷惑かけてないから別にいいのか?
(^ω^)<ニャニャンプイプイ ニャジカルパワー! アメショーラパーマ ミャンミャンミャー!
(´,,•ω•,,`)<~~~!!
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャニャンプイプイ ニャジカルパワー! ミケクロベンガル ミャンミャンミャー!
(×>ヮ<)<ニャンコガイルンダ!エブリ~デイ!
(^ω^)<レッツゴー!
鈴花『にゃんにゃんにゃん ニャンコよ来い にゃんにゃんにゃん ニャンコに恋
百獣の王だって びっぐならいおん そうネコ科』
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャンニャカニャンニャカ イェイイェーイ!
鈴花『にゃんにゃんにゃん 肉球ステップ にゃんにゃんにゃん もふもふテール
世界を癒せよ』
(^ω^)(×>ヮ<)<ピピピピース!
鈴花『シャム ペルシャ マンチカン なんでもおーらい』
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャン♡キャット ニャン♡キャット イェイ!
鈴花『遍く人を 救い給え~』
(´,,•ω•,,`)<~~~♪♪ ~~~♪♪
鈴花『神よ、ニャンコを与えたまえ~!!』
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャン!ニャン!ニャニャニャン!ニャンニャカニャンニャン ホイホイ!
『にゃん!にゃん!にゃにゃにゃん!にゃんにゃかにゃんにゃん ほい!ほい!』
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャン!ニャン!ニャニャニャン!ニャンニャカニャンニャン ホイホイ!
『にゃん!にゃん!にゃにゃにゃん!』
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャンモアタイム!
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャン!ニャン!ニャニャニャン!ニャンニャカニャンニャン ホイホイ!
『にゃん!にゃん!にゃにゃにゃん!にゃんにゃかにゃんにゃん ほい!ほい!』
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャン!ニャン!ニャニャニャン!ニャンニャカニャンニャン ホイホイ!
『にゃん!にゃん!にゃにゃにゃん!』
『にゃんにゃかにゃんにゃんにゃにゃにゃーん!!』
(^ω^)(×>ヮ<)<ニャンニャカニャンニャンニャニャニャーン!
鈴花『1匹じゃ』 (×>ヮ<)<ワンワン!
鈴花『2匹で』 (×>ヮ<)<ビーニャス!
(^ω^)<コレ、ヒトノキョクジャナイデスカネ?
(×>ヮ<)<アッ ソウダッタカモ…
鈴花『神よ、ニャンコを与えたまえ!』
(^ω^)(×>ヮ<)<プリ~ズ!
最後まで顔文字達の独壇場で終わりましたとさ。歌唱パートほぼこいつら歌ってませんでした?
でも鈴花も満足そう。会場も大賑わい。良かったですね。
鈴花『わたしからは以上になりまーす!ご清聴ありがとうございましたー!』
(^ω^)<イェ~イ!バリカンバリカン!
Ga.「だから バリカンを 仕舞え!!」
サクヤ「恐らく乱入してくるだろうと思って対策をしておいて正解でした…」
ヴィル「予測してたのか」
ジャック「(乱入の割に大人しかったのはそれが原因なんだな…)」
MZDも久々にDJとして活動出来て楽しかったのか、ニッコニコのままステージを後にしました。キッチーも今回はぴょんぴょんと飛び跳ねています。
ミミニャミの巧みなMC捌きで、次のイベントもスムーズに進むのでした…。MZDは人の波をかき分けこちらへとやって来たようです。
MZD「いやー!久々のハコでのDJはいいねぇ~!いやハコじゃねーけど?オレのDJ捌き見ててくれた~?」
マルス「そういえば、神様バンド演奏よりこっちが本職に近いんだったっけ」
MZD「そーそー。だからさー、5人揃ったらどっかでDJやりたいってずっと思ってたんだよねー。めっちゃ満足超満足~!満ち足りないぜ!」
ヴィル「お前が楽しそうなのを見るとこちらもつい浮かれてしまうな」
サクヤ「楽しめたようで何よりです。曲目を提供してくださった氷海さんにも感謝せねばですね」
大典太「俺は……もう少し落ち着いた音の方が好きだな」
大包平「こんな派手な曲など聞いたことなかったが、意外に良いものだな。俺は気に入ったぞ」
大典太「……意外だな。あんたのことだから『喧しくて好きになれん』と言うと思っていた」
ごくそつ「きっとぼくの近侍になったからじゃないかな~?刀は主に似るっていうし~?」
サクヤ「そうかもしれませんね」
ヴィル「大典太殿は、今度別にクラシックを聴かせてやろう。それならば気に入ってくれると思う」
MZD「あれ、珍しいじゃん。ヴィルが自分から楽器演奏するなんて言い出すの」
ヴィル「幽玄紳士の気まぐれというもの。それに、力のある者同士気が合うと思ったまでだ」
大典太「…………」
サクヤ「それでは、今度前田くんと3人でお邪魔しましょうか」
あらら。これは大典太の恐怖心も少しは解消するきっかけになるでしょうか?その後も楽しく打ち上げパーティは進むのでした…。
- 打ち上げ ② ( No.139 )
- 日時: 2020/11/18 22:02
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: xJyEGrK2)
各々打ち上げパーティを楽しんでいる中、端のテーブルで皆の様子を見守っているサクヤと大典太の近くに1人と1振が歩いてきました。
どうやら今回のことで刀の方が話があるようで。その人物と目が合ったサクヤは、まず深々と頭を下げたのでした。
サクヤ「石丸くん。今回は重責を背負わせてしまい申し訳ございませんでした…。貴方含め、怪我など無く何よりです」
石丸「いやいや。僕にとっても貴重な経験だったし、君の言う通り誰も大きな怪我をせず丸く収まったので問題ないぞ!それに、今回はまんまと騙されて交流祭に参加してしまった僕達にも責任の一端はあるからな…」
三日月『まぁまぁ。双方頭をそう下げるものではないぞ。今回の件、こちら側の非はあるとしてももう解決している事項だろう。その失敗を次に生かしていけばいいだけの話だ』
大典太「……あんた、何だか楽しそうだな」
三日月『おお?そう見えるか。俺がいない間に大包平も顕現してこちらに来たのもあって、俺は今実に気分が良い。お前も宴を楽しめばいい大典太』
大典太「あんたに言われなくとも、俺なりに楽しんでるさ」
三日月『ならばそれを顔に出せばいいものを。はっはっは、お前はいつでも仏頂面だなあ』
大典太「……元からこの顔だ」
三日月は大典太の顔を見たなりそんなことを言い始めます。天下五剣として繋がりがあるからなのか、大典太の反応も少し砕けたものになっていますね。
サクヤと石丸くんが2人で話を続けている間にも、刀剣達は情報交換を続けます。
三日月『して大典太よ。サクヤ殿の近侍としての初仕事はどうだった』
大典太「…………」
三日月『おや、俯いてどうした。もしかしてもう近侍として相応しくないと思っているのか?』
大典太「まぁ、その気持ちも無くはないんだが…。主の近侍としてちゃんと出来ているか不安になった。そう思ったら気分が沈んだだけだ…」
三日月『ふむ。だが、サクヤ殿を見ているとお前のことを随分と信頼しているように見えるが』
大典太「それはあんたの主観だろう。どうせ腹の内で『陰気で面倒くさい刀』だと思っているに決まっているさ…」
三日月『あの顔でか?それは無いだろう。俺よりお前の方が接している期間は長い。それに、姿形は変わっても纏う空気は俺達があの蔵で接した『龍神』の優しい力そのものだ。そんな甘すぎるほどの優しさを持つあやつがどうしてお前を『陰気で面倒くさい刀』だと思うんだ?』
石丸「そうだぞ大典太さん。君はサクヤさんに頼りにされているのだから自信を持ちたまえ!」
2人が話を続けていると、ふと石丸くんが割り込んできました。サクヤはどうしたのかと尋ねると、彼女は残した仕事があるからと一旦席を外したのだとか。仕事熱心なことで。
石丸くんにも言われてしまっては返す言葉が見つからない大典太。そのまま口を噤んでしまいました。
石丸「僕は、三日月くんと大典太さん。両方信頼しているし頼りにしているぞ!今回、学園での騒動の解決に知恵を貸してくれたし…。何より、三日月くんが『人間を信じる』と言ってくれたことが嬉しかったからな!はっはっは!」
大典太「三日月がそんなことを…?あんた、何の心変わりがあったんだ」
三日月『まぁな。学園で色々あったのだ。……俺達は人間や神の『醜さ』しか知らなかった。老人や青龍殿に与えられ、与えた優しさをも塗りつぶす程。―――だが、学園での祭りごとを見て…思ったのだよ。『人間は美しい』『世界は美しい』と』
大典太「……そう言われると、俺も心当たりが無いわけではない」
そう言った大典太、近侍としてサクヤの仕事の手伝いをせねばならないと思ったのかその場を後にしようとします。
しかし、その動きは石丸くんに止められたのでした。力は大典太の方が圧倒的に上なのですが、彼が真っ直ぐ目を見つめてくる為、大典太は委縮してその場に立ち止まってしまいました。
石丸「大典太さん。ここは僕に任せてくれたまえ!多分軽い書類仕事が残っているだけだと思うから、君は三日月くんとの話を続けるといいぞ!」
大典太「―――? い、いや。これは俺の仕事だ。近侍として主を支えるのは当然のことだ『ならばこのパーティを楽しむのもその1つではないのかね?』…………」
三日月『大典太。ここは1つ主の言葉に甘えてみてはどうだろうか。俺もお前に話したいことがあるのでな。この機会を逃すと永遠に言えなくなってしまう気がするのだよ』
大典太「…………。……分かった。じゃあ、ここはあんたに任せる」
石丸「ああ!思う存分パーティを楽しむといいぞ!僕のことは気にしないでくれたまえ!それでは三日月くん、後でな!」
大典太の反応を見た石丸くんはにっこりと笑い、三日月を丁寧に腰のベルトから外します。そして、音が立たない様に静かに彼の近くにある壁に立てかけたのでした。
そのまま2振に向かって手を振りながら、サクヤがいるであろう場所まで走って行ったのでした。
その姿が見えなくなってしばらくした頃―――。大典太が口を開きました。
大典太「……あんたの主、少しお人好しすぎないか」
三日月『真っ直ぐな奴だと言ってほしいな。そういうならばお前の主も相当にお人好しだぞ』
大典太「……否定はできないな」
三日月『だろう?……なぁ、大典太。俺は―――この本部を信じてみようと思う』
そう、刀からぽろっと零れた言葉に大典太は目を見開きます。まるで信じられないものを見たかのように。
そのまま彼は首を横に振り、細々と言葉を告げ始めます。
大典太「俺達が政府に何をされたのか、まさか忘れたわけじゃなかろうな…。お前が見ているのは一部分だ。例え主が信頼できる人間だったとしても、だ。その周りが全て信用できるとは思えない…」
三日月『お前の言い分も分かるぞ大典太。だがな、俺達はそうして立ち止まっている場合じゃないと、学園で気付いてな。
この世界で俺達が目覚めたことは何か『意味がある』と思ってならん。何故俺が刀のまま、意識だけが中途半端に覚醒してしまったのか……。最初は、鬼丸と童子切を奪った神々の妨害によるものかと思っていたが。が…。違うかもしれないと最近思ったのだ。
俺が中途半端にしか顕現できなかった理由……。きっと、俺が人間に懐疑心を持ったままだったからなのではないかと、ふと思ってな』
三日月は語りました。石丸くんと共に学園に赴いて、本部の仲間達と共に事件を解決した時の美しい勇気を。それを見ていたからこそ、自分に抱いていた懐疑心…。このわだかまりを晴らさねばならないということを。
―――しかし、その言葉を聞いた大典太に1つ疑問が浮かび上がります。
大典太「……確かに、あんたの言い分は筋が通っている。だが…その理屈が通るならば、俺ではなく数珠丸が顕現していなければおかしい。あいつは、政府の人間に何をされても動じていなかった。数珠丸の心の内を読むことは出来ないが……俺達のように人間に『負の感情』を抱いていたとは思えない」
三日月『そこなのだよなぁ。大典太も恐怖心を今だに抱えている状態で顕現した。ふーむ。俺が推測しているものとは逆説なのかもしれないなぁ。『人間に悪意を持っていない刀は顕現しない』だとか』
大典太「それだと前田や大包平が顕現したことの理由付けが出来ない…」
三日月『おお、そうだったそうだった。俺としたことが忘れそうになっていた。はっはっは、長年眠っていたせいか記憶力が曖昧になっているなぁ』
大典太「とぼけるな。……あんたが爺なことは否定しないが」
三日月『俺がじじいならお前もじじいだからな大典太。それはともかく、だ。
俺も忘れてはいないよ。政府に俺達がどんな仕打ちを受けたのか…。何故数珠丸が目覚めず、俺達が目覚めたのか。神々の妨害があったのかもしれんし、また別の理由かもしれない。だから……俺は、これから主と共にそれを探していこうと思っている。だからこそ、この運営本部を信じるに値すると思ったのだ』
何故、人間に悪意を持っていない筈の数珠丸が顕現せず、負の感情を抱いている三日月と大典太が顕現したのか…。現時点では2振にも分からないことでした。
だからこそ、三日月はその理由を探りつつ、数珠丸を顕現させたいと言葉にしました。確かに彼の言葉通り、大典太も数珠丸の顕現方法を探すことには是の意を示しています。しかし、自分達だけではどうすることもできない。だからこそ……自分達に手を差し伸べてくれた、運営本部を信じたい。そう口にしたのです。
三日月『幸い俺の主は真っ直ぐすぎるが、根はとてもいい子だ。悪意に染まることも無い。裏表のない、純粋な主だ。それに、運営本部の輩も中々に愉快ながら、各々信念を持って生きている。
大典太。お前も……口ではそう言っているが、心ではもう決まっているのではないか?』
大典太「俺が…?」
三日月『先程もサクヤ殿の仕事を自分から手伝いに行こうとしていただろう。それは立派にお前が主のことを信頼している証拠だぞ』
大典太「それは、俺が近侍、だから……。…………」
三日月の落ち着いた声が胸に刺さります。確かに大典太も、今回サクヤに付き従い様々な人と触れ合いました。彼らの優しさを、確かにその身に受けていました。恐怖が少しだけ薄れていたのもまた、事実だったのです。
自分に問いかけるように、胸に手を当てる大典太。そこから聞こえてくるのは自身の息遣いだけ。しかし…不思議と頭の中は落ち着くことが出来たのでした。
大典太「……確かに、ここの連中は優しい。地面を割った俺を怖がらなかったしな…」
三日月『地面を割ったのか?流石は『だげきおう』だな』
大典太「その称号を持つのは今は鬼丸だろう…。―――俺も、信じているべきなのかもしれない。主だけでなく、その周りの連中を…。怖がることのないように」
三日月『大典太の場合は怖がり過ぎなだけだと思うがなぁ』
大典太「余計なお世話だ」
三日月『はっはっは。返す余裕があるのならば大丈夫だな。……お互い、『見つめるべきもの』をしっかりと見つけていこうではないか』
大典太「……あぁ」
そう頷いて開いた深紅の瞳は、少しだけ希望に満ちていたのだとか。そのまま、サクヤと石丸くんが戻るまで2振は他愛ない会話をしたんだとさ。
打ち上げパーティは、そうしてつつがなく平和に終わっていったのでした…。
- 打ち上げ ③ ( No.140 )
- 日時: 2020/11/18 22:09
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: xJyEGrK2)
打ち上げも無事終了し、参加していた人々も各々帰路につきます。
そんな中、運営本部の面子は会場の片付け。今回はいつも以上に人が多かったですからね。総動員で宴の残り香の掃除に取り掛かります。
そんな中、モップをかけているMZDの元にミミとニャミが近づいてきました。
ミミ「いやー!今回は色々大変だったねー。ニャミちゃんもMZDもハテナくんも全員無事だったから良かったけどさ」
ニャミ「うんうん。あんな場所に段ボール置きっぱなしにしてくれて逆に助かったよねー。ジェイドくんには逃げられちゃったけど」
MZD「あっ、お前ら。……今回はほんっとうにごめん。2人を危険な目に遭わせるつもりは無かったんだよ…」
ミミ「もう!MZDが無茶ばっかりさせるのはいつものことでしょ!気にしてないよ」
ニャミ「それに、あたし達が残ったからこそ石丸くん達が頑張ってくれたと思ってるし。違うかもしれないけど『怪我の功名』ってやつ?」
MZD「例えが違うし意味も違う。ハテナもミミニャミのこと守ってくれて、ありがとな」
ハテナ「のいのい♪」
MZDが戦闘に2人を巻き込んでしまったことを改めて深く頭を下げて詫びてしました。そんな彼を見て、彼女達は『いつものこと』と笑い飛ばし、頭を上げるように言ったのでした。
ハテナもミミとニャミを守れて何だかご満悦そう。そんな会話を繰り返している中、ヴィルヘルムとジャックが近づいてきました。
ヴィル「あの子供が運営本部の差し金だと気付いて音楽室に閉じ込めた可能性は高いが…まさか再度神になることを目論んでいたとはな。……そういや、結局あの子供はあの後見つかったのか?」
MZD「ううん、ぜーんぜん。ゲーム後に手分けして探したんだけどさ、跡形も無くいなくなってた」
ミミ「うん。まるで『最初からそこにいなかった』かのようだったよ。ジェイドくん、神様になって何するつもりなんだろう…」
ニャミ「MZDの辛さはあたし達には分かんないけど、何となく理解はしてるつもりだよ。だから、簡単に『神様になる』って言っちゃ駄目だと思うんだけどなぁ」
ジャック「それほど何か『神』に対しての執着があんだろ、その餓鬼には。……神に魔族に毎回散々振り回されてる俺からしてみれば、全然分からない感情だけどな」
ニャミ「何か悪だくみしてないといいんだけど…考えるだけ無駄かぁ」
ヴィル「お前達に手を出した以上、何も考えていない訳がないからな。行方不明になってしまった以上追うべきでもないが…気にしておく必要はあるだろうな」
MZD「そうだね。でも、一旦は収まったんだしこの話はここでおしまい!さ、掃除続けようぜ」
MZDが他の4人を散らばそうと動こうとしたその時でした。彼ら5人を呼ぶ声が。声の方向を向いてみると、そこにはこちらに向かって小走りで来るジルクファイドの姿がありました。
彼はミミニャミの頼みで今まで本部の周りの監視を続けていたようですね。
ジルク「ミミ、ニャミ。打ち上げ会場の見回りが終わった」
ミミ「うん、ありがとー!本当はジルクさんにもパーティを楽しんでほしかったんだけどね。本人が『煩い場所は好きじゃない』っていうから、今まで外の監視を頼んでいたんだよ」
ヴィル「今回はいつも以上に曲目が電波だったからな…。その件に関しては外に出ていて正解だったと思う」
MZD「それはお疲れさん。で、何か気になるものでもあったの?」
ニャミ「ジルクさんがわざわざあたし達全員を呼ぶってことは、何かあったってことだよね?」
ジルクファイドの顔はいつにもまして真剣な面持ちでした。これは何かないと思わない方がおかしいでしょう。
ニャミがそれとなく聞いてみると、ジルクファイドはその顔のまま自分の見たものを話し始めたのでした。
ジルク「俺達に直接関係あるかは分からないが、『木々から本部を見下ろすような気配』を感じた」
ジャック「本部を見下ろすような気配?見られてたのか?どんな気配だったんだよ」
ジルク「詳細までは分からなかったが…。神々しくとも、禍々しくともどちらにも取れた。つまり、分からん」
ヴィル「外からそんな気配がしていたのか…。気付かなかったな」
MZD「高度な魔法を使える奴らに気付かれたら一巻の終わりだからねー。それにしても、『神々しくも禍々しくもある』か。ニアみたいな邪神ならそういう感じの気配はすると思うけど」
ミミ「でも、打ち上げが終わるまで本部を襲う様子は無かったんだよね?」
ニャミ「うん。てか、襲って来てたらサクヤさん達がいの一番に反応すると思うし…。様子を見てただけじゃない?不気味だけど…」
MZD「気になるな。けど、手出ししてこない以上こっちが変に動いて勘付かれたりされるのも困るし…。オレ達が出来ることは『警戒すること』くらいだと思うな」
ジルク「俺も神の言葉に賛成する。姿を見つけたら対策をすればいい」
ジャック「守ってばっかじゃ制圧戦は勝てねぇけどな。ま、勝負してる訳じゃないし別にいいけど」
ヴィル「邪神が裏で蠢いているのかもしれんな…。本格的に対策はしなくとも、調査くらいはいいだろう。こちらで何か様子を探ってみるさ」
MZD「そういうことだから、今は心配する必要なし!ありがとな、ジルク」
ジルク「礼を言う必要はない。俺に出来ることをしただけだ」
当然の如くそう言い放ったジルクファイドにミミニャミは『ありがとうって言われたらどうしましてだよ!』と言い返していたんだとさ。
その後、いつまでも雑談をしている訳にはいかないとミミニャミ、ジャック、ジルクファイドの4人は持ち場に戻ったのでした。
彼女達の姿が見えなくなってから数刻後。―――『道化師』は少年にこう耳打ちをしたのでした。
ヴィル「―――口ではあんなことを言って誤魔化したようだが。腹の内はどうなんだ」
MZD「腹の内ー?あれがオレの本意ですー。オレが腹黒く見えるのヴィルは?」
ヴィル「そういうことではない!お前、自分が危険な目に遭う可能性にさらされているのを自覚していないのか?!あんな宣戦布告のような行動をされた後だ、命を狙われていても充分に頷ける話であろう」
MZD「ふーん。で?」
ヴィル「『で?』とはなんだ!もう少し大将としての自覚を持たぬのか!お前が消えてしまえば、お前が創ったポップンワールドの『全て』が無に帰すのだぞ。分かっているのか?!」
どうやらヴィルヘルム、MZDが言葉を濁したことを看破していたようで。本音はどう思っているのかを聞き出そうと詰め寄っています。学園でジェイドと一戦交えたことから、今後彼が狙われるのは明白。ヴィルヘルムはそう思っていました。
MZDが仮に消滅してしまった場合…。混ぜられたとはいえコネクトワールドの『ポップン』に関する事象が消え去ってしまうのは簡単に分かることでした。そう、ミミニャミも含めて。
珍しく感情的に詰め寄る彼をMZDは冷静に一目見て、彼の額に人差し指を突き付けました。そして……感情が抜けた声で、こう言ったのです。
MZD「だからって、オレ等に何か出来ることあるの?」
ヴィル「…………」
サングラスで表情は見えませんが、その瞳は―――氷のように冷たく自分を見つめている。ヴィルヘルムはそう感じていました。
彼の言ったことなど、少年には全て分かっていたことでした。自分が消えたらどうなるか。ミミニャミを含む『ポップンミュージック』が消えてしまうことは絶対に避けられない。だからこそ『自分が消える訳にはいかない』。分かりきっていたことでした。
額に指を突き付けたまま、MZDは続けます。
MZD「あのねヴィル。自分が狙われてることなんて、ジェイドと戦った時から分かってるよ。それに、オレが消えたら『ポップンミュージック』自体が終わるってことも。
だからこそ、それを周りに悟られないように振る舞うのが上の立場にいる者ってもんだぜ?」
ヴィル「それはそうなのだが…。やはり腑に落ちん。お前は悟られないようにする動きとは裏腹に自分から敵にぶつかりに行くではないか」
MZD「それとこれとは話は別だよ!自分があとどんだけやられたら消えるかもしれないってのは大体計算づいてるし、お前が心配するようなことはないよ。
でも、心配してくれたことは素直に嬉しいよ。メフィストのこと、それからジェイドのこと。色々起こりすぎて切羽詰まってたからさ」
ヴィル「それならばいいのだが。―――動向は私の方でも探っておく。だが……これだけは言わせてくれ」
MZD「何?」
そういうと、ヴィルヘルムはMZDがつついている指を下ろし、こう告げたのでした。
ヴィル「仮に、これから我々が対峙すべき存在が『異世界』の存在であった場合。その技術に我々は対処できない。私がお前にかけてしまった呪縛も完璧ではない。現にゼウス殿ならば解ける筈だからな…。
ということは、だ。『異世界の技術や魔法で呪縛が解かれる』可能性も懸念せねばならない。そうなった場合…私には成す術が無くなる。お前を守ることも出来なくなる。それだけは用心してくれ」
MZD「……そっか。そうだよね。5回目でメフィストを連れ去った連中…。異世界の連中かもしれない可能性もあるってことだよね。
分かった。用心しておくよ。改めて、心配してくれてありがとな」
ヴィルヘルムが危惧していたのは、ジェイドの背後にいる『神々』がどこから来たのかということでした。プレロマで鬼丸と対峙した時も、メフィストを連れ去った『手』。コネクトワールドの誰もが見たことのないものでした。
そこから、彼は『手引きしているのは異世界のもの』ではないかと推測を立て、彼にそう言ったのです。その言葉を聞いたMZDは『確かに』と納得した顔をして、彼に改めてお礼を言ったのでした。
流石に長時間話を続けていては怒られる。そう感じた2人は、一旦別れ各々残っている掃除に向かって行ったのでした。
―――去る少年の背中を見ながら、男はこう思ったそうな。
ヴィル「(……彼奴がいつ動いてきてもおかしくない。警戒を強めねばな…)」