二次創作小説(新・総合)

ABT③『拳は剣よりも強し』-2 ( No.34 )
日時: 2020/10/08 22:17
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)




~運営本部 稽古部屋~



アイク「脇が甘いぞブレディ!そんな踏み込みでは敵に斬り付けられても受け流すことは難しい!!」

ブレディ(ゆ)「仕方ねぇだろ武器なんて持ったことがねぇんだから……あー!!訓練用の剣がーーー!!」

ゆめひめ「ブレディが武器を明後日の方向に飛ばすのはここでも健在だった」

ノワール(ゆ)「ひ、他人事みたいに言わないで…!」



 こちらは稽古部屋。いつでも戦闘態勢を整えられるよう、普段から有志によって訓練をしている場所です。ちなみに発案者は意外にもベレスなんだとか。
 現在はアイクとブレディが打ち合いの稽古をしていました。いや、流石に武器を持ったことのない僧侶に本気でかかりすぎではないですかアイク。



ブレディ(ゆ)「ちげぇよ!俺から頼んだんだよ。その…アイクは『蒼炎の勇者』って呼ばれてるほど強い英雄だから、剣の腕も当然立つだろ?そんな凄いやつにご教授願えたら、俺の武器音痴も少しは改善できるかなと思っただけだよ!悪いかコラ!」

ノワール(ゆ)「わ、私は別にブレディの得意分野で頑張ればいいって止めたんだけど…。ぶ、ブレディが聞かなくて。『普段出来ないことをやってみねーでどうすんだ』って…」

アイク「そういうわけだ。だが、これ程までに武器の扱いが慣れていないとは思わなかったがな」

ゆめひめ「事情を知ってそうな人達本部にいないもんね…。知らなくて当然か」

アイク「次からはもう少し手加減して教える。すまなかった」

ブレディ(ゆ)「い、いや!俺から頼んだんだから謝るな…!―――ん?向こうから足音が聞こえて来てんぞ?」

ノワール(ゆ)「確かこの時間って…。アイクさんくらいしか使わないって言ってたわよね?どうかしたのかな…」



 ブレディが足音を察知。メガトンパンチをする為に移動してきたサクヤ達が到着したようですね。ぞろぞろと現れた人影にアイクは珍しく驚いた表情をしています。
 ぴょん、と子供のように敷居をジャンプしたバンワドは、早速勝負の準備をしにそそくさとその場を離れたのでした。



サクヤ「失礼します。…おや、やはりアイクさんが使用していましたか」

アイク「あぁ。ブレディに稽古をつけていたんだが…。誰かに何か用なのか?」

ヴィル「貴殿等の誰かに用があるという訳ではない。何やら『かちわりメガトンパンチ』なる力比べをこれからここで行うようなので、一緒についてきたのだ」

ゆめひめ「『かちわりメガトンパンチ』wwwww スーパーデラックスカービィちゃーんwwwww」

ごくそつ「本当はそこのネガネガしてるのとバンワドくんが勝負する予定だったんだけど、大包平くんが『こいつと勝負する』って興奮しちゃって。ぼくも観戦役として来たんだよ~」

ゆめひめ「ごくそつくんwwwww カオス軍団とやっとご対面じゃんwwwww」

ブレディ(ゆ)「作者が変なツボに入って大爆笑してるが大丈夫なのか…?」

ノワール(ゆ)「いつものあれだから放っといてもいいんじゃない…?混沌大好きだしうちの作者…」



 かちわりメガトンパンチの話をした途端、何故かゆめひめが大爆笑。そしてごくそつくんが一緒に来ていたことに気付き更に大爆笑。何がツボったのか天の声には一切分かりませんが、まぁ深く突っ込まないでおきましょう。
 大包平に至っては先程から大典太に視線飛ばしまくってますし。そんなキャラでしたっけ貴方。



大包平「大典太光世!勝負前から負けたような顔をするんじゃない!どこかのじじいを思い出すからな!!」

大典太「……出来れば俺はあんたとの勝負は避けたいんだがな…。主、助けてくれ…」

サクヤ「結局はついてきてしまっているのですし、逃げは通用しないと思いますよ」

ゆめひめ「ごくそつくん、この赤髪の人と知り合いだったの?」

ごくそつ「知り合い、というか。最近知り合ってね。彼の正体はこの『刀』だよ!きょひょひょ!」

アイク「ということは、こいつも『付喪神』なのか…。人は見かけによらないんだな…」

大包平「貴様!どういう意味だそれは!!」

前田「…そういえば。『かちわりメガトンパンチ』の経験者は稽古をしていた皆さんにはいるのでしょうか?」

アイク「それなら前に俺とベレスが対決したな。僅差で俺が勝ったが、あの時は相当盛り上がったな…」

サクヤ「あら。経験者がいましたか。ちなみにその時はどれだけ記録が出たんです?」

アイク「俺が『190Mt.』でベレスが『188Mt.』だ。その時もバンダナに審判を頼んだんだが、やけに興奮していたから好記録だったんだろうな」

ゆめひめ「確か『201Mt.』がMAXで、それ超えると星割るんだったっけ。真っ二つに」

ヴィル「星を割る…」

サクヤ「そこに共感しないでください。貴方が言うと別の意味に聞こえます」



 アイクが経験者だったんですね。彼から軽くどんな風に試合が進められたのかを聞く刀剣男士2名。まぁどちらも古い刀なのでね。片や超ネガティヴ、片や上から目線の委員長だとはいえ、根っこは真面目。ちゃんとアイクの話をしっかりと聞いています。
 そんなこんなで雑談が続いていると、準備が終わったのかバンワドが笑顔でこちらに手を振ってきました。



バンワド「みなさーん!準備が出来ましたのでこちらに集まってくださーい!」

ゆめひめ「おぉ!あれが実際の『かちわりメガトンパンチ』なんだ!」



 バンワドの近くには2つのバッテンと数値を記録する機械が設置してありました。簡易的なものですが、バンワドが混ぜられる前の世界で使っていた設備と同様のものですね。
 一同が彼の元へ近付くと、早速バンワドは競技の説明を始めました。



バンワド「それでは説明を始めますね!これから大典太さんと大包平さんには、このバッテンに向かって力強くパンチをお願いします!そうすると、その強さに応じてどれくらい強く殴れたのかこの装置に数値として現れます!その数値が1Mtでも高かった方の勝ちとなります!」

大典太/大包平「『ぱんち』?」

サクヤ「日本の言葉でいうなら…『殴打』のことです。グーで殴ることですね」

大典太「そうか。あの×印に向かって全力で殴ればいいんだな」

前田「意外と乗り気ですね、大典太さん」

大典太「逃げられないのなら…。全力でやるしかないからな…」

ごくそつ「2人共洋服とか軍服着てるけど、こういう外国語に首を傾げるところは『日本刀なんだな』~。って思うよ」

ゆめひめ「そもそもここにいる人達のうち、何割が純粋な人間なんだろうねwwwww」

ノワール(ゆ)「それは言っちゃ駄目よ、作者…」



 『パンチ』という言葉に首を傾げたものの、先程アイクから話を聞いていたのか意外とすんなり納得した2人。アイクの説明の仕方が上手いのでしょうね。流石団長。
 バンワドの案内を受け、早速大典太と大包平は×印の前に立ちます。一応×印の下は魔法で強度に耐えられるように設計しているらしいですが…。原作を知っている方なら分かると思いますが、この2人実は…。それを知らないサクヤも心配はしているようです。



サクヤ「(地面が割れなければいいのですが)」



 割と危ない方向の心配を。そんな彼女の思惑をよそに、バンワドは早速2人に声掛けをしました。彼の合図に合わせてパンチをすればいい様ですね。
 ―――2人が息を整えた瞬間。空気が一瞬で重苦しいものに変わりました。片や動物を殺した逸話持ちの霊刀、片や横綱とまで言われた名刀。そりゃ空気一変しますわ。一応何が起きても良いようにサクヤはゆめひめの前にスタンバイ。



バンワド「それでは、競技スタートっ!!」



 軽快なバンワドの声と共に、2人は地面に向かって一撃を殴打!大典太は無言で静かに、しかし力強く。大包平は雄たけびを上げながら豪快に、力強く!
 2人の地面への殴打で揺れが発生したような感覚を一同は感じます。『それほどまでに強い刀なのだ』と、その場にいる誰しもが思ったことでしょう。

 ちらりとサクヤが横目で装置を見てみると、そこに映っていたのは……。



サクヤ「りょ、両方数値が振り切れてませんかこれ」

アイク「俺の時でもこんな上がり方してなかったぞ」

ヴィル「相当強い力で殴ったのだろうな…」

ごくそつ「こんな強いなんて聞いてないよぼく~…」



 装置の数値が振り切れています。何かエラー吐いてるみたいにチカチカと点滅しています。これ大丈夫なんですか?!
 あまりにも全力で叩きすぎではないかと突っ込もうとしたサクヤ、殴打したはずの2人をちらりと横目で見ました。―――平常と同じ顔をしていました。双方大して力を込めていないような表情。え、まさか本気じゃない?



バンワド「こんなの…こんなの見たことがありませーん!すごーい!」

ブレディ(ゆ)「やべぇ…」

ゆめひめ「興奮してる場合じゃないwwwww」



 数値を一番近くで見守っていたバンワドも興奮気味。あれ、焦っていないということは特に気にしないでも良さそうですね?
 しばらく見守っていると―――。下側の数値がピタッと止まりました。『199Mt.』と書いてあります。しかし、いくら待てども上側の数値が止まりません。



アイク「俺よりも高い数値だ。凄いなあんた」

大包平「当然だ。俺を何だと思っている」

バンワド「それにしても…。大典太さんの数値中々止まりませんねぇ」

前田「機械が故障をしているのでしょうか?」

大典太「ま、まさか…。この機械も俺の霊力のせいで…!」

ヴィル「それは違うと断言するから青い顔をするな」



 自分のせいで機械まで駄目にしてしまったと思い込み、青い顔をする大典太。現に下の数値がしっかり止まっているので機械の故障ではないのは目に見えて分かるのですが、中々止まりませんね。
 ―――しばらく様子を見ていたその時でした。


















 『メリッ』と、地下深くから鳴り響く音が稽古部屋に響いたのは。



バンワド「あれ?聞き覚えがあるなぁこの音」

ゆめひめ「じゃああれじゃんwwwww 完全にあれじゃんwwwww」

ブレディ(ゆ)「そんなことってあんのかよ…!」

ノワール(ゆ)「あ、あるからこうなってるんじゃない…!」



 それと同時に青い顔を更に青くする大典太。そう。音と同時に数値が止まったんです。『201Mt.』という数値を残して。さぁ、競技開始前にゆめひめが言っていたことを思い返してみてください。
 その音の正体は1つ。



サクヤ「大典太さんが…地面を割った…」

大典太「………っ、………!!」

前田「凄いですー!やはり大典太さんは力強く優しい刀なんですね!」

バンワド「ぼ…ぼ…ボクとカービィの他に地面を真っ二つにする人が現れるなんて…。凄いですーーー!!!お友達になりましょう大典太さんっ!怪力友ですーーー!!!」

大包平「負けた……!!」



 あーあ…。大典太が地面を割っちゃいました。実はですねぇ。原作の某乱舞ゲー、刀種によってステータスが色々と変わるんですが…。大典太と大包平、太刀の中で『打撃』という項目。俗にいう力ですね。トップ3の内の二振なんです。
 そりゃ馬鹿力持ってる2人が殴ればこうなるわ。流石に地面を割るとは天の声も予測してませんでしたが。



サクヤ「大典太さん。凄いではないですか」

大典太「…………」

アイク「どうしたんだあんた。折角勝負に勝ったのに嬉しくないのか」

大典太「………せ……」

前田「???」



 当の大典太は顔を青くしたままふるふると拳を振るわせています。何か気に食わないことでもあったんでしょうか。
 サクヤが彼を落ち着かせる為にその震えている手にそっと自分の手を差し伸べようとした、その時でした。













大典太『どうせ…どうせ…。俺は施設を破壊するような危険な刀だよっ……!』



サクヤ「そんなことはありませんから逃げようとしないでください!」

ヴィル「全く…。魔法で殆どの打撃力を吸収しているからこの程度の地割れなど大したものではないというのに…!」

ごくそつ「怪力なのも大変だねぇ…」

大包平「天下五剣に負けたっ…!」

ごくそつ「きみも一旦落ち着こうねぇ。ひょひょ」




 その後、稽古部屋から逃げようとする大典太をサクヤとアイク、ヴィルヘルム3人がかりで何とか宥め、その場は収まったそうな。
 とりあえず、大典太はバンワドに怯えなくなったという点では…。進歩したのかもしれませんね?