二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケットモンスター レインボー ( No.18 )
- 日時: 2020/11/15 13:35
- 名前: みなひっきー (ID: 4VXB0SaS)
第3話 サヤカ
ヒロキside
生きていることが辛い。あの頃は楽しかったのにな……。
6歳の12月。たった1ヶ月だけずっと一緒に過ごした女の子がいた。その女の子の名前はサヤカ。顔は覚えてないけど一緒にいると楽しくてとても幸せだった。そしてボクの名前を呼んでくれたのはそのサヤカだけだった。
でもサヤカはもういない……。大晦日の夜、大きな戦争が起きた。大人達が勝手な理由で始めた戦争だ。その戦争に巻き込まれてサヤカは命を落とした。そしてサヤカの体は不思議な光に包まれ消えてしまった。それからボクはひとりぼっちになり人間が信用できなくなった。
「あの時、ボクとサヤカは一緒に逃げていた。誰よりもサヤカの近くにいたのに守れなかった。ごめんね、サヤカ……。ボクは何度もサヤカに助けられたのに、君に何もしてあげれなかった……」
あの日の夜、除夜の鐘がなることはなく、人やポケモンの悲鳴とサイレンだけが響いていた。
あれから数年、たまにサヤカと過ごした日々が夢だったのかもしれないと思うときがある。でもサヤカと過ごした日々は確かに実在したんだ。6歳のクリスマスにサヤカから青いマフラーをもらい、ボクは赤いマフラーをプレゼントしたんだ。サヤカからもらった青いマフラーは今でも大切にしている。このマフラーがサヤカとの思い出は実在したことを証明している。
「そろそろ食事にするか」
今日も1日頑張ったんだ。その後に食べる物は何でも……
「不味い……」
この世界の食べ物は不味かった。
ボクは適当に食事を済ませ、風呂に入った。あとは寝るだけだ。
「今日も1日、よく生き延びたな。明日はどうだろう……。生き延びることができるのだろうか……」
ボクは青いマフラーに目を向け手に取った。
「サヤカのいない世界を生きてても仕方ないか」
そう……。生きてても辛いだけなんだ。それなのになぜボクはこの世界で生きてるんだろう……。
「もし今、願いが叶うならサヤカに会いたい……」
悲しい気持ちが込み上げ、気がつけば泣いていた。そしてマフラーを持ったまま、いつの間にか眠っていた。
……ん?
「ここはどこだ……?確かボクは部屋にいたはず……」
自分の部屋にいたはずなのにボクは今、周りに花畑があってその先に街が小さく見える丘にいた。
「この景色、なんか見覚えがある気がする」
……そうだ!ここはサヤカと遊ぶ時にいつも待ち合わせしてた約束の場所だ。でもどうしてだろう。
「キレイな空だなぁ」
見覚えのある景色。ひとつ違ったのは空が青かった。この青い空はボクの記憶にない。青い空を見ると心がスッキリする。
「あ、おはよう」
声が聞こえ、振り向くと手にバックを持った黒髪ロングの女の子がいた。髪を見ると濡れている。それで気づいたけど地面も濡れていて、草や葉には水滴がついているちょっと前まで雨が降っていたようだ。
「ヒロキ、よく寝てたなぁ。」
……!?何でボクの名前を知ってるんだろう?確かにボクの名前はヒロキだがまだ名乗っていない。そしてこの女の子にはなんだか懐かしさを感じる。どこかで会ったっけ?
「寝てる間、ずっとマフラー持ってたけどめっちゃ大切にしてるんやな」
「あぁ。これはボクにとってかけがえのない物なんだ。本当に大切な物なら手放してはいけない」
「わかる。その気持ち。うちにもあるわ。本当に大切で無くさないようにずっと手放せないものが」
そう言って女の子はバックから赤いマフラーを取り出した。ボクは驚いた。今、女の子が持ってる赤いマフラーは6歳のクリスマスにボクがサヤカに渡したマフラーと同じ物だったからだ。赤いマフラーを見て目の前の女の子が誰なのかようやくわかった。
ボクのことをヒロキと呼び、赤いマフラーを持つ女の子。そしてこの女の子から感じる懐かしい雰囲気。
もしかして君は……まさか……。
第3話 END
- Re: ポケットモンスター レインボー ( No.19 )
- 日時: 2020/10/11 06:52
- 名前: みなひっきー (ID: PodOMJCV)
ポケットモンスター レインボー
今日の格言
大切な物なら手放してはいけない
以上!