二次創作小説(新・総合)

ABT⑧『立ち向かえ!悪魔の手の元に』 ( No.76 )
日時: 2021/01/01 22:30
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 5VHpYoUr)

おそ松に誘い込まれるように、更に寂れた外れへと進む松野家の三つ子。
そうして彼を追い詰めますが、おそ松の口からとんでもない言葉が飛び出すのです。

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~城下町・外れ~



カラ松「進めば進むほど寂れた感じが強まっているな…」

チョロ松「それだけ人々がみすぼらしい生活を強いられているってことなんだろうけど…。十四松、おそ松兄さんの匂いこの先?」

十四松「うん!多分、一番寂れてるところで待ってる!匂いがこの先に続いてるよ!」

カラ松「よーし。何が起こるか分からんから気を引き締めていくぞ」



 『自分を追ってこい』と告げられ、更に寂れた地区へと移動する松野家の三つ子。人の生きている心地がしないこの地区にも誰かしら住んでいることを思い知り、またカラ松は心がチクリ、と痛むのでした。
 再び十四松の優秀な嗅覚を頼りにおそ松を探します。彼曰く、『もう逃げも隠れもしない』というのは本当らしく。彼の匂いが徐々に強まっている、と十四松は言いました。
 更に匂いを頼りに先に進みます。すると…。人気のない路地裏の先に、『目的の人物』は立っていました。



十四松「いた!おそ松にーさん!!」

チョロ松「こんな寂れたところで何しようってんだよ。ここが『目的地』って奴なのかな…?」

カラ松「とにかく話を聞く為には近づくしかないだろ。行くぞ、お前達」



 『待つ』と言われた以上、彼に何をされるかは分かりません。気を引き締めて3人はおそ松の元へ歩いていくのでした。













おそ松「よう。随分と遅かったじゃねーか」

チョロ松「おそ松兄さん!」

十四松「にーさん!!ちゃんとぼく達のお話聞いてくれるんだよね?!」

カラ松「…………」

おそ松「そんな怖い顔すんなって。もう『俺の目的』は果たしたも同然だからね~。暇になっちまったからお前らと特別に話してやるよ」

カラ松「……『俺の目的』?さっきから気になってたんだが、おそ松の『目的』ってなんだよ」



 3人がおそ松に追いつくと、彼はニヤニヤとしたあくどい顔を浮かべながら3人に向き直ります。どうやら先程から言っていた『目的』とやらを達成したらしく。凄く満足気。
 カラ松がそのことについて深く突っ込んでみると、彼は嬉しそうにこう答えたのでした。



おそ松「この島に『混沌』がもうすぐ降り注ぐんだぜ。ま、つってもメフィストのヤローが創り出した『まがいもの』だけどさ」

チョロ松「何を…言ってるの…?」

十四松「じゃあ、街でサクヤさん達と別れる前に見た人たちも全部おそ松にーさんが裏で仕組んでたことなの?!」

おそ松「ちげーちげー。俺はただ『入れ知恵』をしただけだよ。変だと思わなかった。この島、やけに『黄色』が目立ってんだよ。その『黄色』を目立たせた元凶。そいつがさぁ。『ハスター』っていう神様が大好きで。狂信するくらいには信じ込んでやんの。だから…俺はメフィストに言ってやったんだ。
    『こいつを使って、島を荒らしてやろう』って。そいつ、表向きには観光業やっててさ。だから人を集めるのは簡単だって言いやがって。ツアーコンダクターのふりして近付いて、裏で『ハスター』もどきを呼び寄せる儀式について教えてやったの。そしたらこれだよ!

    滑稽で面白い以外の言葉が思いつかねーよな!」

カラ松「……何が『滑稽で面白い』だ!!観光客だけじゃない。お前のやってることはこの島の住人の命さえも危険に晒すことなんだぞ!!」

おそ松「だから~?悪魔である俺には全く関係ありませーん。それに、人間なんかよりもっと強い神様を呼べるんだから別によくね?」

チョロ松「良くねーよ!!!仮にその『ハスター』ってやつの紛い物がこの島の外に出ちゃったら…。近隣の島だけじゃない、コネクトワールド中が危険に晒される可能性だってあるんだぞ?!」

十四松「沢山の人達が悲しい気持ちになっちゃう!」

おそ松「あ~あ~。別にいいだろー?お前らだって心の底ではそう思ってんだろ?『この世界なんてどーでもいい』ってさ。俺はお前らと元の『ニートの松野家』に戻れればそれでいいの。
    そもそもさぁ。この世界でお前らおかしくなったんだからさ。世界を壊すなんて、当然だと思わない?『元に戻そうと努力するお兄ちゃんかっこいい~!』って、逆に褒めてくれないと困るんですけど~?」

チョロ松「うるせえ!!!何が『元に戻そうと努力するお兄ちゃん』だ!!!俺達だけの問題なら別にいい。だけど!!!お前のやっていることはその範囲を超えている!!!確実に島の人…いや、世界中の人を巻き込むような大きなことを、だ!!!
     いくら『人間国宝』って自称する人間だったお前でもそんな選択はしなかった!!!バッカじゃねーの!!!ケツ毛燃えて一回死んじまえコラァ!!!」

カラ松「―――おそ松。それ、本気なのか?」

おそ松「……あ?」

カラ松「お前には聞いてない。『おそ松』に聞いてるんだよ」

おそ松「はぁ~?何言ってんの?俺がおそ松なんだけど。ナルシスト限界突破して俺も二重人格に見え―――ッ……!!」



 なんと、この騒動の裏で糸を引いていたのがおそ松だと自分で白状してしまいました!既に沢山の人が生気を吸い取られ、大和城に向かっていることから『目的』は達成されてしまったのだと三つ子は察知。嬉しそうにそんなことを告げるおそ松に怒り心頭のチョロ松と、いつものおそ松ではないとたじろぐ十四松。
 やはりおそ松の心の中には『寂しさ』が残っていて、『コネクトワールドから赤塚を取り戻す』為にこの世界を壊そうとしていたのでした。
 ……そんな中。カラ松は表情1つ変えず、ただ『おそ松』に話しかけます。表で取り繕った『悪魔のおそ松』ではなく。かろうじて残っているであろう『人間のおそ松』の心に。目の前の彼はカラ松が『イタイ行動』を起こしたと思ったのか、その言動を利用し彼を嘲笑おうとしました。しかし……。



おそ松「な、なんだよっ……これっ……!!くそ、邪魔すんな……!!」

チョロ松「え?え?ちょっと?どうしちゃったのおそ松兄さん?!」

十四松「おそ松にーさん、くるしいの…?」

カラ松「……あぁ。苦しいんだよ。多分…。メフィストに無理やり心を奪われて悪魔になって、普通でいられるわけがない。さっきの頭痛もそうだけど、オレの見解では―――。『おそ松にはまだ心が残っている』。だから、おそ松の中で暴れる悪魔と対抗しているんだよ」

チョロ松「何そのオカルト的展開?!いつもなら絶対トド松がお前のこと『イッタイよね~!』っていう台詞だからそれ!!でも…。その『悪魔』とやらに蝕まれて、それにおそ松兄さんが抵抗しているって考えれば…。急に苦しみだしたのも何となく理解できるなぁ」

十四松「それじゃあ!おそ松にーさんの中にいる『悪魔』を引きずり出して、ぼくたちがボッコボコの三振ホームランしちゃえば…」

カラ松「ああ。おそ松は元に戻る!……多分」

チョロ松「そこは言い切れよバカラ松」

カラ松「Why?!今オレ良いこと言った!!」

おそ松「ハァ…ハァ…。何…言ってんだよ…。俺の中にいる『悪魔』だぁ…?そんなことが認められてたまるもんか。この力も、この『自由』も全部俺のもんだ。お前らに勝手に決めつけられる筋合いはねーんだよ!!」



 再びおそ松が頭を抱え、苦しみ始めます。この時カラ松は既に気付いていました。『おそ松の心はまだ残っている』と。彼を蝕んでいる『悪魔』さえ対峙できれば、おそ松は元に戻ってくれると。そう確信していました。
 随分と現実味のない中二的な台詞にチョロ松が突っ込みますが、彼も『納得は出来る』と彼の意見に乗っかります。十四松は元よりおそ松を助けることしか考えていない為、全力でその意見に賛成しました。
 当のおそ松はやっと頭痛が収まったのか、ふらつく身体を抑えながら3人と対峙。声色が震えていますし、なんだか3人に図星突かれたようですね。



カラ松「おそ松!!いや、その中に巣食うおそ松の心を蝕む『悪魔』よ!!よーく聞け。確かに、おそ松はとんでもなく屑で、だらしがなくて、自分勝手で我儘で、精神年齢が小学生のまま止まっちまってて、松代に迷惑かけるどうしようもない馬鹿なニートだよ。
    でも。俺達にとって『兄』なことに変わりはない。そんな兄貴を勝手に弄んで『自由』と錯覚させるだなんて。ふざけるのもいい加減にしろよ!!!俺達は『残虐で冷徹な悪魔なおそ松』じゃない。『屑で身勝手で精神年齢が小学生のおそ松』に帰ってきてほしいんだ!!!
    だから。今のお前をおそ松とは思わん。徹底的にお前をつぶす!!!そのつもりでいろ『悪魔』!!!」

チョロ松「これ以上おそ松兄さんを弄んで悪さするなら、僕も本気で言っちゃうからね!そしておそ松もろともぶん殴って正気取り戻させてやる!!!おそ松!!!お前悪魔なんかに負けるなよ!!!本当に『寂しい』なら、寂しいって言えよ!!!母さんにも相談しないでさ、一人で抱え込むなよ馬鹿野郎!!!」

十四松「にーさん…。ぼく、にーさんとなぐりあうのやだ。でも…やらなきゃいけないから、わるい奴からにーさんを取り戻さなきゃいけないから…。さびしいならぼくがいくらでもぎゅーってしてあげる!今はおしごとしてるから、いつでもってわけにはいかないけどさ…。
    カラ松にーさんも、チョロ松にーさんも、一松にーさんも、トド松も。みんなおそ松にーさんを『見捨てた』なんて思ってないよ!思ってなかったら顔出さないし、帰ってこないよ!だから大丈夫だよ!ぼく達を信じて、頑張ってこらえて!にーさん!!」



 3人はそれぞれおそ松に言葉をかけつつも、2回目の時に手に入れた『神器』を取り出し装備します。おそ松を『倒す』為ではなく、『救う』為。3人の覚悟は既に決まっていました。
 それをも嘲笑おうとするおそ松でしたが―――。またひどい頭痛が。紛れもなく、おそ松が抵抗している証拠でしょう。



おそ松「なんだよ…!!お前達ばっかり好き勝手言いやがって…!!こうなったのも全部お前達がいなくなったからだろーが!!!俺を1人にしやがって!!!……ぐっ……なんだよこれ、どんどん痛みが酷くなってやがる……!!」

チョロ松「痛みがひどい、って。まさか!」

十四松「おそ松にーさんの『心』だよ!きっと抵抗してるんだ!その間に悪魔だけを引きずり出そうよ!」

カラ松「チャンスはそう多くないが…。隙を逃さず悪魔を引きずり出すぞ!弟たちよ!!」

チョロ松「オーケー。ちょろっと早い僕の活躍、見ててよね!」

十四松「さーて、やってやりまんがな!!」

カラ松「おそ松。……いや、『悪魔』。お前のそのひん曲がった根性ごと、叩き直してやる!!覚悟しろ!!!」




 そう言って、3人はおそ松を救う為彼に飛びかかりました。
 果たして、三つ子はおそ松を救うことが出来るのでしょうか。そして、大和城の異変…。『ハスターの狂信者』タケモトの陰謀を解決することはできるのでしょうか…。