二次創作小説(新・総合)

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.1 )
日時: 2021/12/20 20:45
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: K3f42Yhd)

「あら、珍しいお客様ね。」

その声の主はロッキングチェアに座り、微笑んでいる。隣には行儀が良いブラッキーが座っている。
手を伸ばしたら吸い込まれそうな透き通る黒髪。それと対象的な真っ白で弾力がありそうな肌。真っ黒で吸い込まれそうだが、どこか安心感を覚えるパッチリとした瞳。丈の長い白色のワンピースを着ており、身長からして20代の女性だろうか。
ポケモン二次創作 裏の陰謀を読んでいる貴方なら見覚えがあるかもしれない。

しかし、どういうことだろう。貴方はさっき、≪ポケモン二次創作≫最期の足掻きをスマホで開き、読もうとしたはずだ。
だが、ここは貴方の家の景色でない。全くの別物だ。
どこまでも広がる真っ白な空間。そこにポツンとおいてある古びたロッキングチェア。
無音の中、ロッキングチェアの「ギギギ」という音だけが響き渡る。

「貴方は誰ですか?」

そう貴方は問いかけるだろう。
女性は微笑みを崩さずにロッキングチェアからたち、ブラッキーをかかえる。ブラッキーは何一つ表情筋を動かさない。

「ふふ。誰だろうね。」

女性は心底楽しそうにブラッキーを撫でる。
しかし、こっちはそれどころでない。今すぐに家にかえらないと。

「ここはどこですか?」

貴方は焦りぎみでそう問いかけた。

「焦らないで大丈夫。貴方は≪ポケモン二次創作≫最期の足掻き読もうとしたわよね?
 ここは、その物語…いや、悲劇を傍観できる場所よ。」

貴方はなぜ自分がそんな所にいるのか疑問に思うだろう。

「私が貴方を連れてきたの。どうか、この悲劇を見届けてくれない?」

「どうして、自分なんですか?」

女性は困ったように微笑んだ。






イチ─仕事場─

『ガタガタガタガタ』

荷物が揺れる音がする。

 こ、ここは… どこなのだろう…

真っ暗で何も見えない。
手探りで回りを探索してみる。
どうやらロッカーのような縦長の箱に閉じ込められているようだ。

状況が分からない。
まず、整理をしてみよう…

僕の名前はシュウ…
捧擲ホウチャク 寿シュウだ!
15歳で、相棒はメリープ…
て、ここは要らないか。

問題はここにいる原因だ。
どんどん覚醒してきたのか、記憶が頭にうっすらと写される…

僕の家は貧しく、高原でメリープ達を育てて生計を建てていた…
父は若くして亡くなり、母は下の町へ出稼ぎに行った。
それでも…幸せだった。

ある日母が結婚した。
町のなかで出会ったそうだ。

その男はとても優しい顔をしていて、相棒にデンリュウをのせていた。

「これで…シュウを楽にさせられる…」

母さんが泣きながらそう言った。
俺も裕福な暮らしができると喜んでいたつかの間。

母さんは死んだ。

いや、殺されたという方が正しいか…

新しい父さんに殺されたんだ。
デンリュウで…。

忘れもしないあの日。
俺がうちに帰ると、母さんは電気を浴びせられ死んだ。

そうだ、そうだ…!

そのまま知らない場所に連れていかれて…
沢山人がいる暑苦しい刑務所みたいなところで三年間過ごして…

昨日。その刑務所? から連れていかれたんだ…!

たしかトラックに詰められたような…
ここは…?


すると急にドアが開いた。
光が漏れだしてきて………


「今日、ここがお前らの職場だ。」

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.2 )
日時: 2021/05/02 12:24
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: AQILp0xC)

そんな声が聞こえると、鉄格子に囲まれた建物が見えた…

僕は後ろを振り向くと、ロッカーがいくつもあり、そこからどんどん人が出てくる…
真後ろのロッカーは脱力したようにぶらぶらとロッカーの戸が開いてる。
ここから僕は出てきたのだろう。
回りは森に囲まれており、どこから来たのか見当がつかない。

「あのっ、ここは…どこですか…?」

僕は複数、作業着を来ている人に声をかけた。

「…」

作業員の服を来た人は僕の言葉を無視する。

「あ、あの」

ここで引き下がるわけにはいかないため、勇気をもってもう一度声をかける。しかし…

「うるさい!喋るな!」

「えっ、す、スミマセン…」

怒鳴られてしまった…
本当に…ここはどこなのだろうか…

すると…

「メェッ!メェー!」

聞きなれた声。
すると、僕らが乗っていたトラックとは別のトラックから
僕の相棒メリープが駆け寄ってくる。

刑務所みたいなところから連れ出されて以来会ってない…
数日ぶりだ。
メリープ…無事だったのか…!

僕はメリープにおもっきし抱きつく。

「メヘヘヘヘ!」

メリープが嬉しそうに鳴く。
少し静電気がピリピリしてくすぐったい。

「そこ。なにをしている!早く行け!」

作業服の人に怒鳴られる。
僕はあわてて回りを見渡すと、他の人達は建物の中へ入っている。

僕も入ればいいのかな…?
なんか心なしかこの人達…凄い…生命力みたいなのが無い気がする…

建物の中は薄暗く、ホラゲーの洋館の様だ。
長い廊下を歩くと、大きな部屋に連れていかれる。
大きさは学校の体育館ぐらいの大きさだ。
そのステージにトラックから出てきた僕達は立たされた。

ステージの下には厳つい人や、1.2歳ぐらいの幼い子達等がが居て、まるで野生人間のようだ…
しかし、そのなかになぜか大人は居ない。
僕達は…なにをされるんだろうか…

「今日から仕事に加わる奴らだ。以上」

あぁ…紹介か…
て短っ?!

ステージから見てる人たちはボソボソと何かを呟いている。

「解散!ほら。さっさと仕事いけ。」

僕達は何も聞かされずに厳つい人達とどっかえ連れていかれる。
細い通路にある自動ドアをいくつも通って…ようやく外に出ると…
ガラスのでっかいドームの建物にいた。

さっきまで薄暗い屋内にいたため、太陽が眩しい。

そこは不思議と暗く、鉄のような匂いがした。

『今日は20時までだ。
 では始め。』

どこからか放送が聞こえる。
その声を合図に皆が一斉に散らばっていく。

え?え?どういうこと?!

そう思っていると…
急に抱えていたメリープの毛がビリビリッとする。

「ガルルルルルッ!」

後ろから鳴き声がっ!
急いで振り替えるとそこには大きなクリムガンがいた。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.3 )
日時: 2020/12/18 22:13
名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: lNCdJP6d)

初めまして。
クロスオーバーの作品を書いてる女剣士です。

しかも、新人紹介らしくないですね。
何も紹介なく、お仕事開始とは。
かなり、ハードな時間ですねぇ。
そこの方たち、心配になりました。

続きを楽しみにしてます。
それでは。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.4 )
日時: 2020/12/19 00:22
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: GTJkb1BT)

>>3
謎の女剣士さん

見てくださりありがとうございます!
とても励みになります!

これからもよろしくお願いします。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.5 )
日時: 2021/05/02 12:28
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: AQILp0xC)

クリムガンはとても大きく、通常の数倍もある。

いきなりこんなところにつれて来られて仕事しろって、、、
しかも内容聞いてないし、ポケモンに襲われるなんて、、、!

僕はそんな弱音を心にこぼしつつクリムガンをみる。
クリムガンは『グルルウウウウウウウウ』と、この上ない程のうなり声を挙げながらにらみつけてくる。そして、、、

「メエエエエ!」

急にメリープが僕を突き飛ばす。
僕は数回転地面を転がり何事かと顔をあげる。
そこには僕がいた場所の地面に爪をさしているクリムガンが、、、

メリープが突き飛ばしてなかったら僕はあそこで刺されてた、、、

急に悪寒が走る。
クリムガンは爪を引っこ抜いてこちらをにらみつける。

殺される。

その単語が頭をよぎる。
すると、そんなことさせまいと、メリープが僕の前にかばうようにたつ。

やるしかない、、、

僕はバトルをする決意をし、クリムガンに向き直る。

「メリープ!電気ショック!」

「メヘヘヘヘヘ!!!」

メリープの体から放たれた電気ショックがクリムガンへ直撃する、、、が、効いてない。

すると次はクリムガンが爪を立てて襲ってくる。
あれは、、、ドラゴンクロー!

「メリープかわして!」

指示が遅かった。
メリープにドラゴンクローが直撃する。

「メリープ!」

「メ、メヘヘ、、、」

メリープは見事に瀕死状態。
僕はすぐにメリープを抱える。
クリムガンはドラゴンクローを構えながつクリムガンはとても大きく、通常の数倍もある。

こんなポケモン勝てっこないよ…

僕はそんな弱音を心にこぼしつつクリムガンをみる。
クリムガンは『グルルウウウウウウウウ』と、この上ない程のうなり声を挙げながらにらみつけてくる。そして、、、

「メエエエエ!」

急にメリープが僕を突き飛ばす。
僕は数回転地面を転がり何事かと顔をあげる。
そこには僕がいた場所の地面に爪をさしているクリムガンが、、、

メリープが突き飛ばしてなかったら僕はあそこで刺されてた、、、

急に悪寒が走る。
クリムガンは爪を引っこ抜いてこちらをにらみつける。

殺される。

その単語が頭をよぎる。
すると、そんなことさせまいと、メリープが僕の前にかばうようにたつ。

やるしかない、、、

僕はバトルをする決意をし、クリムガンに向き直る。

「メリープ!電気ショック!」

「メヘヘヘヘヘ!!!」

メリープの体から放たれた電気ショックがクリムガンへ直撃する、、、が、効いてない。

すると次はクリムガンが爪を立てて襲ってくる。
あれは、、、ドラゴンクロー!

「メリープかわして!」

指示が遅かった。
メリープにドラゴンクローが直撃する。

「メリープ!」

「メ、メヘヘ、、、」

メリープは見事に瀕死状態。
僕はすぐにメリープを抱える。
クリムガンはドラゴンクローを構えながらじわじわと歩を進めてくる。

これは、、、本当に殺される、、、!

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.6 )
日時: 2021/01/08 14:52
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: e.VqsKX6)

「ゲッコウガ水手裏剣だ。」

低く澄んだ声がドームに響く。その瞬間。
僕の頭上を誰かが飛ぶ。

ゲッコウガと…僕と同じぐらいの…男?
二人はクリムガンの前に出て、
ゲッコウガは両手の手裏剣のような物をクリムガンに投げる。

「グガァァーー!!」

それはクリムガンの胸に直撃し、クリムガンが唸る。
地面が揺れクリムガンがこれでもかと足踏みをする。
そのままクリムガンは倒れ次は空気が揺れ、僕の髪が微かに揺れた。

瀕死状態になったようだ。
た、助かった
と、僕は腰を抜かす。

しかし……

「よし。とどめだつじぎり」

男が言う。

 とどめ?もうクリムガンは瀕死なんじゃ…
ゲッコウガは、腕を振りかぶり…

次の瞬間。
クリムガンの体液が花火の様に僕の目の前を舞った。
クリムガンは頭部だけなくなっている。

「え…?」

僕はショックの余り声がでなかった。
メリープは後退りし、僕もメリープも恐怖を感じている。

「意外と手応えないなぁー
 まあ今日は新入り多いから強い奴は入ってないのかな?」

と、ゲッコウガのトレーナーらしき男は顔についた体液を指でぬぐう。隣のゲッコウガは静に僕らの方をみている。

「あ、あぁ…」

声がでない。
僕もああなるのではないかという恐怖で、喉がカラカラだ。

「ちょ、君新入り?
 これぐらいでへばらないでくれる?
 仕事する前に死ぬよ?」

男はそう言い、僕にニコッと笑いかける。
その男は赤と、灰色が混じったくすんだで色で、所々縫っているボロボロの服に服と同じ色をしてるボロボロな長ズボンを履いている。
透明でキラキラしている白色の髪をしているが、それと対照的に灰色に近い白色の瞳は濁っている。
その頭にはクリムガンの体液と似ている色のタオルをターバンの様に巻いている。

この人は、何を言っているんだ?
死ぬという言葉を軽々と使い、僕に笑いかける顔の目は笑っていない。
怒りでも、悲しみでもない…「無」という表現がしっくりくる。

「仕事って?」

ここに来てからずっと疑問に思ってたことを、ようやく言えた。
その男はキョトンとした顔をする。

ずっと喋らなかった僕の第一声が仕事についてだからだろうか?

「もしかして、仕事の内容のことを聞いてる?」

男が逆に問いかけてくる。
僕は当たり前だという意思表示に首を大きく縦にふる。
男は目を見開く。

僕何か変なことを聞いたのだろうか?
少し不安になるが、仕事の内容について聞かなければ仕事ができない。
それに…この建物についてもまだよく分からない。

「できれば、この建物のこととか、どこにあるかとかも教えて欲しいんだけど…」

僕がそう聞くと、男は次は口を開ける。
それだけ驚くことなのだろうか?
それとも僕は失礼なことを聞いてしまったのだろうか?
余計不安が広がる。

「君…しらないのかい?」

男は本当に驚いているのだと声で分かった。

「うん…」

僕は少し恐れながらも肯定と伝えられた。
次の瞬間。
男は衝撃的な言葉を発した。

「あぁ!君、表から来た奴隷市場出身の人か!」

  奴隷…市場?

僕は、この男に負けないぐらい目を見開いた。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.7 )
日時: 2021/01/24 13:57
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: gZQUfduA)

「本当に君はなにもしらないんだね。
 おっと、紹介が遅れたね。俺は…

     "レイ"

             だ。
  この施設で働いて六年ぐらいだ。なんでも聞いて?新人クン」

白髪の男はニコッと微笑む。
これは僕も自己紹介をしたほうがよさそうだ。

「ぼ、僕は捧擲ホウチャク 寿シュウ
 相棒はこのメリープで、今日は何も聞かされずにここに来たんだ。その前は刑務所みたいな所で三年過ごしていました。その前は…義母と貧しくとも幸せに暮らしていました…」

レイ…という人ウンウンと頷くとその微笑んだ顔を変化させずに口を開く。

「本当に表から来てなにもしらないんだね。
 まぁ、仕事内容だけでも知らないとね。ここは…そうだね。簡単に言うとポケモンを殺す所だよ!」

な、何を言っているのだろうか。
─ポケモンを殺す所
その言葉がショックすぎて信じられない。しかし、ついさっきクリムガンを殺した所をみたばかりだ。

「どうしてそんなことをするの?」

僕は反射的に思ったことを口にする。
レイは微笑みを崩さない。

「さぁね。
 詳しく説明すると、ここのポケモンは6とか、5Vとか、色ちがい、大きいポケモンとか、中途半端に強いポケモンが沢山いるよ。それを指定時間まで殺し続けるんだ。今日は20時までだね。20字になると戻れるよ。ただし、怪我をしたり死んだり致命傷を負っても20時まで戻れないから気をつけてね。」

僕は…恐ろしいことをきいてしまった。そして、恐ろしい所に来てしまった。
ポケモンを殺すというだけでも恐ろしいのに、あのクリムガンのような強いポケモンを相手にするなんて…
でも、それが仕事で、自分も死ぬかもしれない。
どうしたものか…
すぐに逃げよう。
僕はそう考えていた。そのために今日だけは生き残らないと…

「まぁ、君のような新入りは肉盾としての役割なんだけどね。」

肉盾…?
捨て駒ってことか?僕は肉盾役としてこの施設にきたのか。確かに僕達はレイとゲッコウガのような身体能力は持ち合わせてない。生き残るのは難しいかもしれない…
どうすれば…

「よかったら一緒に来るかい?」

レイは僕に手を差しのべる。
どうしたものか… きっと足手まといになるだろう。
それに、ここは死ぬか生きるかの場所なのだとしたら肉盾の僕をおとしめるかもしれない。

「信用ならないかい?」

僕は何も言わずにレイを見つめる。
レイはそれを肯定と受け取ったのだろう。

「そうかい。信用できないか…
 こうみえても俺はかなり好成績な者でね、君をおとしめなくともここでは生きていけるんだよ。それとも…死にたいのかな?」

レイは微笑みを変化させないで僕のことを見る。
その笑みが怖くて頼む他なかった。

「いえ、えと、ヨロシクオネガイシマス」

僕は圧に負けてしまう。
しかし、レイは少し意地悪く言う。

「ごめん。ちょっと聞こえなかったや。
 人にものを頼むときは…ニッコリと…ね?」

レイはどうやらドSっ気があるようだ。
僕は焦りながらもひきつった笑顔を見せる。

「よ、よろしくお願いします!」

大丈夫だろうか。きちんと笑顔でやれてるだろうか。不安になりつつレイの顔色を探る。
すると驚いたことにレイはずっと崩さなかった微笑みを消し、目を見開いていた。

「黒髪に整った顔…大きい目…



       レイ…    」

レイはそうボソッと呟く。
しかしフルフルと顔をふるとお得意な微笑みを取り戻す。
さっきより少しうるうるした瞳で僕に向きなおる。

「合格。これからは俺についてくるといい。
 いきる術を教えてやる… 俺が…そうされたように…」

レイは微笑み、表情を隠しているつもりかもしれないが、僕はすぐに読み取れた。
寂しそうな…悲しそうな…後悔のような気持ちだ。

ガラスのドームの向こうは相変わらずどんよりとした曇り空だった。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.8 )
日時: 2021/02/08 18:34
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: yLoR1.nb)

「ガァッ!ギャァァーー!」

ガブリアスの断末魔が響き渡る。そしてガブリアスの体液が飛び散る。

「ひぃあぁぁぁーーーー!!!」

僕は思わず叫ぶ。さっきからずっとポケモンの殺害現場を目撃しているため気が狂いそうになる。ガブリアスは胸に水手裏剣が刺さっており、生きるために必死に足掻き、叫ぶ。もうそれが見ていられなくて…悲しくて…。

「あぁ…」

僕はその場で目を塞ぎしゃがむ。隣にいるこのガブリアスを殺害したゲッコウガのトレーナー。レイが立っている。レイは僕を呆れた目で見つめるとため息をつく。

「全く。情けない。そんなんで凹んでいたら生きていけないよ?」

そんなことを言われても。ここ数時間ポケモンの断末魔を何回も聞いていて気絶するぐらいのショックを受けている。僕はポケモン猟をしていたことがあり、こういうことには慣れているつもりだったが、こんな残酷な光景を見せられてショックを受けるなと言う方が無理だ。逆に彼は何故平気なのだろうか。

「む、無理だよ…さす…がに…
 なんでレイは平気なの?」

僕は見るに無惨な姿になったガブリアスを横目に言う。レイはあからさまに困った顔をすると、ポケットから尖った岩を取り出すと僕の背後にいる何かに突き刺す。
『グサッ』と鈍い音が僕の耳元に鳴る。その瞬間後ろで何かが倒れる音がする。

「ファイニィー!」

恐る恐る後ろを見ると… エースバーンが倒れていた。そのエースバーンの様子は…とてもグロかった。ここはあえてその様子を書かないことにする。

「ちょっとー後ろからは卑怯じゃない?」

レイがエースバーンにほほえみかける。今さっきの動きはとても人間とは思えなかった。僕はとても恐ろしく感じ、逃げようとするが、レイが「危ないよ」と言ってレイに腕を掴まれる。

「ファニッファニォッ!」

エースバーンはレイに刺された所を手で押さえ暴れている。その様子が見ていられなくなり、ついに僕は思っていたことをこぼしてしまう。

「た、助けて上げようよ。」

レイはエースバーンの急所に石を刺したようで助からないかもしれないのは分かっている…けれど…

「無理だよ。このポケモンはもう助からない。俺達ができることはこのまま逝かしてあげることぐらいだ。それに、それが俺達の仕事だしね。ゲッコウガ」

レイが合図をするとゲッコウガがエースバーンにトドメをさす。するとエースバーンの断末魔が周りに響き渡る。その時、エースバーンの周りを真っ赤な炎が囲うが、徐々になくなり、その炎が消えた頃にはエースバーンはもう屍と化していた。

僕はなんとも言えない気持ちでそのエースバーンを見つめ、レイは何の色もない顔でエースバーンを見つめていた。

「ほら、20時までもう少しだよ。あと人踏ん張りだ。」

そう言うとレイが歩き出す。僕ははぐれないようにメリープを抱えて必死に追いかけた。

「そういえば…最近エースバーンをよくみかけるな。」

そんな彼の声は僕には届かなかった。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.9 )
日時: 2021/03/08 20:46
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: O/vit.nk)

『ジリリリリリリリリ!』

大きな金属音がドームに鳴り響く。
全身に生ぬるいものがはいまって気持ち悪く、立っているだけで精一杯だ。

「終わったな。お疲れ様。」

レイがふぅっと息を吐く。汗1つもない彼。

「は、はい…」

レイは微笑むと僕らが来た道帰る。僕もあわててその後についていく。
出口には様々な人でごった返しているが、今日僕と一緒にロッカーに閉じ込められてた人は見かけない。
すると、誰かにぶつかってしまう。

「いたっ!あ、スミマセン」

僕はその人に謝ろうとするが、その瞬間背筋が氷る。僕の数倍背が高く体格が良い男がいた。

「あぁ?」

「ひっ!」

僕はその男から威嚇を受ける。もう体が動かなくなった。

「ちょっと、俺の連れに変なことしないでくれる?」

レイがそんなことを言う。こんな体格の良い男になに言ってるんだろうか…。
しかし、その男は体に電気を流されたかのように震え、走って逃げてしまった。
凄い。あんな男を蹴散らしてしまうなんて。

「シュウ。気をつけてね。」

僕は素直に頷く。レイはどうやらかなり恐れられているようだ。
もう20時で廊下は薄暗く、ゴーストポケモンが出そうな雰囲気だ。そういえば、この後は何をするのだろうか。それよりも、ここは何故ポケモンを殺すのだろうか。そして、レイは何者なのだろうか。
仕事が終わり緊張がほぐれると一気に頭の中に疑問が押し寄せる。さすがに一気に聴くことは出来ないため、一つだけ聞いた。

「レイ、次は何をするの?」

「飯だよ。」

ここは飯付きの仕事場の用だ。あんな重労働の後、すぐご飯が食べられるのはありがたい。しかし、ポケモンのグロい様子をみたあとでは余り食欲はわかない。

僕達は大きな部屋 ─食堂に着く。そこでは様々な人、ポケモンが殴り合いをしており、阿鼻叫喚という言葉が本当に似合う場所であった。

「なに…ここ」

あまりの恐怖に僕はメリープを抱く。メリープもその光景をみて、固まっている。

「貴重な食料だからね、奪い合いをしてるんだよ。」

レイが涼しい顔をして言っている。レイの様子からみて日常茶飯事なのだろうか…。それにしても酷い。あそこの隅っこの方なんか今にも殺されそうな少年とコロモリが居る。

「た、助けないの?レイ」

僕はレイに問いかけるがレイは表情を変えずにただただ微笑んでいる。

「うん。ここは弱肉強食だしね。」

こんな無慈悲な微笑みは見たことがない。僕は仕事の時ぐらいにゾッとした。


僕らは台に置かれていた食べ物が乗っているトレーを持ち、空いている席に座る。
相変わらず周りは騒がしく、とても食べる気には慣れない。しかし、昼あんな動き回ったため、さすがに食べないわけにもいかない。僕は腹をくくった。

「いただきます。」

「なにそれ?」

レイが、きょとんとしている。まさかとは思うが、いただきますについて言ったのだろうか。

「えっと、この材料の命に感謝をして食べる礼儀、挨拶みたいなものかな…?」

「ふぅん。」

レイは素っ気なく返事をする。興味が無かったのかと思いきや、レイも僕の真似をして「いただきます」と言う。僕は少しくすぐったくなる。それより、ご飯を食べなければ。
トレーには、パン、緑色のスープ、何かの焼いた肉の塊と、オレンの実がある。
どれもとても美味しそうとは言えない雰囲気を出している。
試しにパンをかじってみる。

「うぐぅっ」

固い。固すぎて変な声を出してしまった。僕は自慢の歯で一生懸命噛む。なにも味はしなく、固い空気を食べている用だ。
そうだ。スープでパンをふやかそう。そう思って、僕は固いパンと一緒にスープを口に…しようとした。
スープは青臭い匂いがしてとても口に出来ない。良く見ると、スープの中には謎のキノコや草が入っている。食べれるのだろうかと疑問に思ったがレイが微笑んだままスープをグビグビ飲んでいるため大丈夫…なのだろう。
またまた腹をくくってスープを口にする。その瞬間。ダストダスのような、生ゴミの塊のような、なんともいえない臭さが口の中を襲う。それは鼻、喉と広がってほしくない所に広がっていく。僕は吐かないようにと無理やりパンと一緒に飲み込む。しかし、まだ口に臭さは残っているため、オレンの実を速球に口にする。オレンの実も美味しいとは言えない生臭さと、微妙に柔らかく、腐る寸前であることが分かった。しかし、スープや固いパンよりは数千倍マシなため、問題なく食べた。
最後は肉の塊だ。今までの経験からすればこれもろくでもないであろう。そして仕事のせいでとても食べる気にはなれない。でも、貴重な食べ物だ。食べるしかない。匂いはオレンの実と似たような生臭さがある。僕はしぶしぶ肉を口にいれる。それはとても固く、味は無。そのため洗濯機のような生臭さが僕を襲う。スープよりはマシだがとても食べられる物ではない。泣きながら僕は肉を喉に送り込む。
レイを見れば微笑んだままそれらを食べている。すごいな、と思いつつ、僕は今までの疑問をぶつけてみることにした。

「レイ。少し聞いても良い?」

「なんだい?」

レイは口をもぐもぐさせている。

「ここはどこなの?この施設はなんなの?表ってなに?奴隷市場ってなんなの?なんでポケモンを殺すの?君は何者?」

最初からずっと気になってたことだけを話すが、自分が思ってたよりも混乱していたようで、余計なことまで口にする。

「そういえばシュウは何も知らなかったんだっけ。良いよ。最初から教えてあげる。」

レイはそんな質問責めにも慌てることなく微笑みを崩さずに答えてくれた。

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.10 )
日時: 2021/03/30 11:55
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: De6Mh.A2)

「まずは"表"と"裏"について説明しようか。」

レイはそういうと澄ました顔で生臭いスープをゴクゴクと飲む。
表、裏。なんの表と裏だろうか。

「"表"それは多分。シュウが住んでいた世界の粉とを指すね。表のことについてはシュウの方が詳しいだろうね。」

「どういうこと?」

「それは俺達の世界、裏についてから話すよ。"裏"っていうのはそのまんま。シュウの世界の裏側。表と対をなす世界だ。具体的に、表では禁止されていることが大量に起きている。例えば"奴隷市場"」

「さっき言ってた奴だね。」

「あぁ。奴隷市場というのはそのまんま。奴隷を育てて、色々な所に売る所だ。育てる他に、"表"から人を拐うこともある。」

「それって…僕のこと?」

「あぁ。シュウみたいに親を殺されて子供だけ連れてこられる場合もあるね。」

レイは平気で恐ろしいことを言う。まるで、それが常識であるかのように。

「え、えっと。ど、奴隷に需要はあるの?」

何を言ってるのだろうかと自分でも思う。しかし、恐ろしすぎて下らない質問しか思い浮かばない。
膝の上のメリープを撫でる。しかしメリープの静電気が感じない。

「ん?んー。まあまあ需要はあると思うよ?ここみたいな重労働のために大量な奴隷がいるからね。」

「そ、そっか…」

「他にもポケモンの売買とか、違法なポケモンの薬の売買とかだね。要するに"表"と真反対の世界と思ってくれれば良い。」

ここは僕が思った以上に恐ろしい所だったようだ。犯罪で溢れかえる世界なんてフィクションでしか聞いたことがない。それに、一つの質問でこんな情報量だと追い付かない。

「あと、"何故ポケモンを殺すのか" "ここは何処か、この施設はなにか" "俺は何者なのか"だっけ。」

「う、うん。」

「じゃあこの施設はなにか、何処なのかについて答えようか。この施設は君も知っている通りここはポケモンを殺す仕事をする所だよ。仕事って言っても給料もなにもでないけどね。」

「それって…まるで…」

"奴隷のようだ"

「奴隷だね。そうだよ俺達は奴隷だ。ここの大抵の人達は産まれた時から相棒ポケモンとこの仕事に放り込まれて死ぬまで働かされる。人数が不足すると奴隷市場から大量の人達が送られる。」

そんな酷く悲しい話があるのだろうか。いやここは僕の世界の常識は通じないと考えた方が良いのだろう。

「産まれた時からここに居るから、俺達は表のことはもちろん。裏の世界のことも話でしか聞いたことがないし、ここが何処の地方で何処にあるのかも分からない。」

なるほど。
ならレイの行動にも合点がいくかもしれない。不味い食事を文句一つ言わずにもぐもぐと食べることも、ポケモンを殺すという恐ろしいことも表情筋一ミリも動かさずに成し遂げることも、この"裏"の世界の残酷な惨状に対して何かを思っている様子をないことも。
全て彼にとっては『当たり前』なんだろう。

「だから、何故ポケモンを殺すのかも分からないね。というか、今初めて考えたね。何でだろう。」

レイは微笑みを崩さずにうーんと唸るフリをする。

「じゃあ最後に…君は何者なの?」

僕にとってはこれが一番の疑問だ。
何故見ず知らずの僕を助けてこのようなことを教えてくれるのだろうか。この施設の僕たちと同じ"奴隷"の人達は何故レイを恐れるのか。それを知るためにはまず、彼が何者なのかを知らなければならない。

「俺?俺は"レイ"またの名を"ゼロ"。産まれも育ちもこの施設。3柱の一人のピラミッド候補の結構凄い人だよ。」

レイは微笑みながら頬杖をつく。
さっきの話で出たこともあるが、僕が分からない言葉も出てきた。

「3柱…?ピラミッド…?それって何?」

「え?」

レイが心底驚いた顔をチラ見させる。が、すぐに微笑む。

「3柱。それはこの施設で高い実績を残してる人のことを指すんだ。高い実績を残している人は時期によって違うから数字はその都度違うかな。5柱とか10柱とか。誰もいなかったら0柱になるね。ここの施設の総人口は万を越えるから柱に選ばれるのは凄いことなんだよ。」

それならここの人達がレイを恐れるの理由が分かる。そんな力のある人達の怒りを買って何をさせるか分からない。しかし、そんな成績のある人が何故僕を助けたりするのだろうか。謎を説くための質問が余計深めてしまった。

「ピラミッドって言うのはね。うーん…お手軽派遣組織って所かな?」

こんな重い話の最中に"お手軽派遣組織"というギャップに驚いてしまう。

「お、お手軽派遣組織?」

「うーん…本当はそんなにお手軽では無いんだけどねお金もかなりかかるし。でも、お金を払えば書類とか契約とか難しいこと無しで協力してくれるからお手軽と言えるかもね。」

「ってことは、ピラミッドは何でも屋なの?」

「そうだね。大きなことから小さなことまで金さえあれば何でも引き受ける。それが例え世界を滅ぼすことになっても。」

何でも屋…。表の、僕が住んでた世界にもありそうだな。レイはそれの候補ってことなんだろう。でも、それなら3柱の一人の方が凄そうだな。

「そこって凄い所なの?」

「んー。歴史は余り深くはいらしいけどね。十数年前一人がやり始めたのがきっかけでどんどん大きくなって今のようになったらしいね。凄いか凄くないかって言われると…」

「おい、お前ら。何してる。」

レイの話の途中で誰かが割り込んでくる。
僕らの数倍高い身長。高校生かな?紺色のパーカーを来ていて、銀髪の短髪に吸い込まれそうな深い紫紺の瞳。目は鋭く、決してまわりに甘えさせないような雰囲気を放っている。

「お、リーダー。グットタイミング。」

レイはその男をリーダーと呼ぶ。それは本当の名前では無いようだ。

「もう食事時間過ぎてるだろ。早く部屋に戻れ。」

「まぁまぁ、リーダー。そんな怒りなさんなって。シワが増えるよ?オッサン」

レイは微笑みを絶えさずにからかう。しかし、そこには微かに冷笑が含まれている。

「い・い・か・ら・早・く・も・ど・れ」

さっきの威圧感が数倍にも増してくる。しかし、レイにそれは効いていない。

「はいはい。戻りますよー。ククク。」

ついにレイは声に出して笑うようになった。

「お前は新入りか。」

レイに向けていた鋭い目が僕に向けられる。さすがに声などはでなく、頷くことしかできなかった。

「俺はここのリーダー。お前達を統一する役割がある。俺の命令に背くならこちらも実力行使に移るからな。」

怖い。それしか頭の中に浮かばない。

「はいはい。ほら、シュウ。行くぞ。」

シュウが僕の腕を引っ張って食堂をでる。

「い、今の人は?」

「あー今の?ここの老けたリーダーだよ。」

「高校生っぽかったけど?」

「まあまあ。あの人に逆らうとろくなことにないから気を付けてね。」

「それだけ凄い人なの?」

「ああ。ここのリーダーであり。"ピラミッドの一人だからね"」

ピラミッドの…一人?

Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き ( No.11 )
日時: 2021/05/04 15:01
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: LU1dyaTr)

『XX00年 ◯月 ◯日
 
  ゼロとクロが施設から脱走。
   仕事員の烈度がガタ落ちした。

    ゼロが脱走したことにより施設の資金もガタ落ち。すぐに代わりを見つけなくてはならない。 仕事員の代わりにポケモンにすること試みる。』



       ペラッ




『XX07年 ◯月 ◯日

    新入りが驚異的なスピードで成長。
   ゼロが帰ってきた。すぐに収入源にした。』


  

      ペラッ




『XX11年 ◯月 ◯日
      
     三柱と三名が脱走未遂。
    最終関門までたどり着いた アーボ、ドク、フジを確保。
   スイ、ダミは最終関門を固める薬物と一緒に自殺。

  その後

















       レイも自害した。』














 ─────パタン…








「下らない。」

少年は、そう言いポリゴンを撫でた。










             終