二次創作小説(新・総合)
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.25 )
- 日時: 2022/01/15 00:41
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: Mu5Txw/v)
ヨンーリゼー
『ガヤガヤガヤガヤガヤ』
食堂にて、人が看板を見るために集まり、圧死される人が出るかと思うぐらいぎゅうごゅうになっている。ここを通るなんて出来なさそうだな…
僕は半ば諦めた。すると
「通してくれるかい」
レイの低く、深い深海のような声がじわっと響き渡る。決して大きい声ではないが耳に残る声。その声を聞いた瞬間。野次馬はビクッと体を1回跳ねさせ、すぐさま僕たちに道を開けてくれた。
やっぱり凄いな…レイは。
タツナとミソウもおおっと小さく声をだし関心している。
しかしレイはそれが当たり前かのように堂々とその道を歩く。
「これが今回のランキングのようだね。」
レイが見つめるその先には掲示板に貼られたボロボロの紙があった。そこには1位から10位までのランキングが書いてあった。
1位は…レイだ。
「さすが…レイだね」
僕がボソッと呟く。それにレイは微笑みを絶やさずこういった。
「まぁね」
その顔が綺麗で僕はうっかり見とれてしまった。
「あっ!俺たち2位になってる!」
見とれているとタツナが目を輝かせランキング表を見る。そこには2位 タツナ ミソウ と表示されていた。いつの間にタツナとミソウの名前がバレたんだ… 隠してるわけでもなかったけど。
「上がってる……ランキング……!」
心做しか笑ってるようにみえるミソウが言う。タツナはミソウの頭をがしゃぎしゃと撫でている。それじゃあミソウの綺麗な青髪サイドテールがグシャグシャになっちゃうじゃないか。少し惜しく感じながらも僕はその様子を微笑みながら見る。
「シュウ。見てご覧。5位だよ」
レイが僕に声をかける。ほ、ほほほほ本当だっ!僕5位だ!
10位以内にも入るの難しいって言われてたのに!やったぁ!
僕はそこでガッツポーズをとる。タツナとミソウには負けてるけどね。
すると後ろから視線を感じる。いや、視線は野次馬から痛いほど突き刺さってるけど、なんていうか、殺気?っていうか。とにかく僕は背筋がゾッとした。その先を見ると…
ショート髪に紫髪、琥珀色の瞳の子が遠くから僕のことを見つめていた。目が合ったと思うとその子はすぐに去っていってしまった。
なんだったんだろう?
「シュウ、タツナ、ミソウ。ランキング上位に入ったんだから、物品を貰えるよ。」
そうだ!それを貰うために僕は頑張ったんだよ!これで脱走に1歩近づく!僕達はその物品が貰える場所に行くため歩き出した。
『6位 リゼ』
そのランキングには僕達は見向きもしなかった。
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.26 )
- 日時: 2022/01/26 18:01
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: Z/MkaSMy)
「え...これって...」
僕は絶望していた。そこには服、ズボン、タオルのように見える布切れが並んでいた。
「ランキング上位の人から好きなものを1つ選べるんだよ」
レイはそう言うと服を選んでとる。レイの服ボロボロだったもんね...じゃない!
ランキングの報酬ってこんな布切れだったのか...?なら脱走なんて絶望的じゃないか。
僕は解決案も思い浮かばず深く深く絶望していた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ガタッ
僕は長い長い廊下の果て、レンガの壁の1部を押し出す。すると壁が開き、下への階段が現れる。その先の扉を開けると...
「やぁ。来たんだね。」
そこには紫がかった白髪にポニーテールをした少年が何かどす黒い液体が入ったフラスコを持って立っていた。
僕はここ数ヶ月ちょくちょくダミに会いに来ていた。そこで分かったことが幾つかある。ダミは何かの研究者だということ。変なフラスコや、液体、薬を作っている。
「おや、シュウはまた怪我をしたのかい?手間がかかるなぁ。ほら、これを塗って」
ダミはクスクスと笑いながら僕に塗り薬を渡す。僕は仕事でパックリと割れてしまった腕に薬を塗る。すると瞬く間に傷が治りピカピカの肌に早変わり。
そう。ダミは天才なのだ。様々な便利な薬や機械を作れる。更に昔からここにいるらしい。
「ありがとう。」
僕は素直にお礼を言う。
「で、今日は何しに来たんだい?」
ダミは紅茶を入れながら僕に尋ねる。僕は相棒のモココを膝にのせ、アンティーク物の椅子に座る。
「今日は特に用はないんだけど。時間が空いたから顔出そうかなって。」
「そっか。まあゆっくりしていきなよ」
そう言ってダミは僕にお菓子と紅茶を出してくれる。ダミは本当に不思議な人だ。別にお菓子目当てで来てるとかじゃないからね?!
でも裏の世界である「施設」で表の世界の食べ物が食べられるのは嬉しい。僕とモモコは出されたクッキーを手に取ってモグモグと食べる。
「相変わらずレイに似てるなぁ」
ダミは何も食べず頬ずえをつき僕達をみる。僕とモモコはお互い顔を見合わせる。
「僕が?ないないない!」
僕は一生懸命否定する。微笑みを絶やさず基本喜怒哀楽の感情を表に出さないようなクールでカッコイイ レイと似てるなんておこがましいにも程があるよ!
「ふふっ。そっちのレイじゃないよ」
ダミは微笑み僕に言う。ダミこそ頬ん出るところとかレイとそっくりだよ。
それにしてもそっちのレイじゃないってどういうことだ?
僕は首をカクンとかしげる。すると、ダミの後ろに伏せられた何かの板ある。なんだろう。そう思って無意識に席をたちその板を触ろうとした。
「あ、それは、ダメだ!」
ダミがなんか叫んでいたが僕はその忠告を受ける前にその板をひっくり返してしまった。するとそこには...
「嘘...」
2、3歳程の幼い子。ブカブカのマウンテンパーカーを被り長いキラキラした黒髪。そして目の位置、高い鼻。パッチリした目。
僕と瓜二つの女の子。これは...僕?いいや、こんな写真を撮った覚えはない。じゃあ...これは誰だ?
「見てしまったか。まあ後々分かる事だから仕方ないか。」
ダミは呆れながら僕の方へ来る。
「なんで、この写真をダミが?それより、これは誰...?僕?」
「シュウ落ち着いて。それは君じゃない。」
これは僕ではない。そうなると消去法でたまたま僕と瓜二つの子が居たということになるか...
死んだはずの双子の妹が来ていたということか...
「シュウ。君には双子の妹が居たんじゃなかったかい?」
ダミは僕を諭すように話しかける。それでも僕は混乱していた。死んだはずの妹が...生きていた...?
そうじゃない!それよりも
「なんで、それを知ってるんだ?」
僕は震えた声でダミをみる。もしかしてあの時家を襲撃した犯人ってダミなんじゃ...
「この子から聞いたんだよ。」
この子って...俺の妹チャーフル・ジーニアから?
「チャーフルは...チャーフルはこの施設にきていたのか!」
僕の頭は真っ白になりダミに食らいつく。ダミはそれでも落ち着いている。
「そっか。この子の本当の名前はチャーフルって言うんだね。この子はこの施設に来て、僕たちを助け施設のてっぺんを取り、ピラミッドの上まで追い詰めた伝説の存在だよ。」
伝説...?僕の妹が...?
「どういう...こと...」
「君の妹はこれ以上ないほどの戦闘の才能を有していた。今のリーダーの数倍強いだろうね。いや、施設の規模じゃ収まらない。裏の世界で一番、最強とも言える力を有していた。 そこで彼女は裏の世界を平和にするために尽力していたんだ。」
まって、僕の妹が裏の世界で一番...?
信じられない。というか、生きていたのか?家の襲撃を受けた後、チャーフルは生きていたのか?!じゃあ
「今も生きているんじゃ...!」
ダミは真顔になる。レイのように微笑みを絶やさなかったダミが...真顔になった瞬間体が一瞬凍る感覚を覚えた。
「死んだよ。昔ね。僕らでこの施設を脱走する際に。大量の酸に溶かされて。死んだ。」
もう、居ない...?この世に居ないのか?チャーフルは... もう会えないのか?
酸で死んだ... 苦しかっただろう。辛かっただろう。しかもこんな地獄のような施設で生きて頂点になった。僕よりどれだけ辛いことを経験してきたのだろう。
チャーフルは幸せだったのか?否、不幸だったはずだ。裏の世界を平和にするために尽力していた。襲撃を受けても尚離れていても僕に元気を与えてくれたチャーフルは何故幸せになれなかったのだろう。どうして...どうして...
「...僕達もチャーフルには世話になってね。レイもリーダーも僕も、この施設にいて狂わずに済んだのはチャーフルのお陰だったんだ。チャーフルの笑顔で僕達は生きていけた。でも、チャーフルはもう居ない。僕らはもう狂ってしまったんだ。」
ダミも傷心に浸っていた。けれど僕はその声は全く聞こえなかった。ただ、真っ白な世界に飛び込んだような感覚を覚える。
すると、不思議と目から水が出てくる。
「あ、あはは...あははははははははは!」
僕は溢れてくる大粒の涙を抑えることが出来なかった。そして、悲しく泣いているはずなのにただ笑いが口から濁流のように溢れてくる。
心の中か真っ黒な何かで塗りつぶされる感覚。
ーあぁ。これが狂うなのか。
僕は「狂う」感覚を覚えもう何もかもどうでもよくなってしまった。
「ダメだ!シュウ!君まで狂ってしまったら皆を救えない!」
ダミは珍しく慌てて僕の、両肩を揺する。しかしその声は僕には届かなかった。
僕は何をすればいいんだろう。真っ先に思いついたのは妹を殺した、不幸にしたこの裏への施設への復讐。そうだ復讐しよう。妹が味わった地獄を味わってもらわなくちゃ。
すると
「メヘヘヘヘッ!」
モココの声が聞こえたと思うと体が痺れて動かなくなった。これは...モココのでんじは?
僕はモココの方へ向く。モココは心配そうに僕の顔を覗く。その瞬間。レイの顔が思い浮かぶ。
ずっと微笑んでいて何事にも動じない。そして無ともいえる雰囲気を出している。それはまるで、ミソウのようだった。
レイも...もう狂っていた?
僕の真っ白な頭がどんどん落ち着いてくる。
『レイを...レイを元にもどしてくれ』
ふとリーダーが言っていたことを思い出す。元に戻すって狂ってるレイを救うことか...?
「確かにチャーフルは死んだ。そして命をかけて裏の世界全てを救おうとしていた。そんな人が不幸で終わるなんて許せないと思わないかい?」
ダミの声は雰囲気は、怒りに満ちているようだった。僕がさっき思ったことだ。
「思う...思うよ!」
僕は深い深い深海から何かが引っ張ってくれる感覚を覚える。
「ならさ、双子であるシュウが狂って、不幸になるのは更にチャーフルを不幸にしないかい?」
思う。思うよだから、だからこそ
「僕はここで折れる訳には行かない」
深い息苦しい海から脱出する感覚。手を引っ張ってくれたのはチャーフルだった。チャーフルはいつもの笑顔だった。
「いい顔になったね。このまま狂ったら計画もくるう所だったよ」
ダミは心底ほっとしたような顔をする。え、計画?
「計画って...何?」
「施設脱走計画だよ」
ダミはこれ以上ない楽しそうな顔でニヤリと笑っていた。
施設脱走計画...?!僕はそれに一筋の希望を覚えた。いくら高いランキングになっても布切れ1枚しか貰えない中僕は脱走に関しては絶望的だった。しかし天才であるダミの力を借りれたら...脱走出来るかもしれない!
「その話...乗ったよ!」
その瞬間ガチャっと隠し扉へ続く扉が空いた。そこには紫のショートボブに琥珀色瞳をしていて、サーナイトを連れている少女が居た。
「あっ...ごめんなさい。聞いちゃってた」
脱走計画を...いや、その前にチャーフルについても聞かれてた?!
どうしよう!
それに対し、ダミはニコニコと微笑んでいた。
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.27 )
- 日時: 2022/02/28 21:00
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: SEvijNFF)
「まさかこの短期間で2人も迷い込んでくる人がいるなんてね。僕は君の敵じゃない。君の名前は?」
ダミは僕が迷ってきたのと同じ言葉を紫髪の子に聞く。その子は少し黙ったあと...僕に向かって踏み込んできた。
「え?え?!」
僕は慌てながらもバックステップを取った。こういう反射神経が極限まで鍛えられている所。この施設に馴染んでしまったんだなと思う。紫の子は僕に回し蹴りを食らわせようとしたがギリギリ避ける。その足をタミがガシッと掴む。
「こらこら、暴力は頂けないよ?」
タミは1層ニコニコしながら紫の子に言う。紫の子は一生懸命足を抜こうとしているがタミの力が強すぎるせいか全く抜けない。
「...サーナイト」
紫の子はそう言った瞬間僕らの前に立ち、桃と水色が混じった神秘的な球体を生み出す。
ムーンフォースだ...!
「モココ!」
モココは毛をもふもふにさせてムーンフォースを受ける。コットンガードだ。
「ちょっと落ち着いてくれるかい?」
ダミはここでも冷静で紫の子に優しく語り掛けている。僕は危うくこの子に攻撃しようとしてたのに。施設に馴染んでいるデメリットが出てしまった。
「...その黒髪。私の順位。奪った。だから殺す。」
黒髪...って僕のこと?!順位を奪ったなんて、そんなつもりはなかったんだけどな。でも今まで順位に入らなかった人が入るということは誰かを蹴散らすというわけだもんね。それに順位は高ければ高いほどいい報酬を得られるし。
「その前に僕はダミことプラタナス。この黒髪の子はシュウ。君は?」
ダミはやっぱり冷静で紫の子に自己紹介をする。
「私は...リゼ...前までランキングでは5位だったのにこのシュウに奪われた。」
あ、だから僕に襲いかかってきたわけだな。いや、なんか申し訳ない...けどここは弱肉強食だから仕方ない...よ。
「なるほど。それよりもリゼ君?君計画のこと聞いたよね?」
ダミはニコニコしながらリゼに聞く。ニコニコしすぎて逆に怖い。何か後ろにゴゴゴと雰囲気が出ている気がする。
「聞いた。今すぐリーダーに知らせる。」
リゼは一生懸命足を振りほどこうとしながら言う。ダミは更にリゼの足を掴む手を強める。
「そうか。言うんだ。」
ダミはそう呟く。それに僕はこう問いた。、
「リーダーに知らせられたらマズイの?」
「当たり前だよ。最悪殺されるよ。ここは脱獄厳禁だからね」
するとダミはスッと無の表情に戻りリゼに向き合う。圧が強く僕も足がガクガクしている。これだけの圧を出せるなんてダミ...何者?
「まぁ聞いてくれよリゼ君」
ダミは幼い子を諭すようにリゼに言う。
「な、何...」
リゼはダミの圧にたじろきながら返事をする。この圧に耐えられる上に向き合って返事できるだなんて...リゼもかなりの精神の持ち主のようだ。
「脱獄に協力して欲しい。」
「私のメリットは」
ダミの言葉にリゼは直ぐに聞く。自分でメリットデメリットを判断しようとするなんて...もしかしたら僕よりも頭切れてるかもしれない。
「表の世界で自由に暮らせるよ。分かるかい?表」
「分かる。皆の...理想郷...表の世界」
ダミが言うとリゼは歯切れが悪くなる。表の世界は皆の理想郷という認識らしい。そこまでいい世界でもないけど確かにこんな環境よりはマシだ。
「デメリットは」
「それ...は...」
リゼがそう言うと次はダミの歯切れが悪くなる。こういう所心理戦のようで見てる方は面白いけど、僕も脱獄計画に加担していたとリゼがリーダーに知らせたら溜まったものじゃない。ここはダミの話術を信じていいのだろうか...
そう思いながら2人の様子を僕は見守っていた。
「バレると拷問行き」
「拷...問?」
僕は聞いてもいなかったことに背筋がヒヤリとする。ダミはもしかしてデメリットを僕に提示せずに脱獄計画に加担させようとしていた...?
「...そうだよ。脱獄に失敗し、捕まった人は拷問を受けられて二度と脱獄なんて考えないような体にされる。」
聞いてないよ...そんなこと!
僕たちの間に沈黙がどんよりと現れた。
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.28 )
- 日時: 2022/03/09 21:45
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: HPUPQ/yK)
「それで、どうするんだい?シュウ、リゼ」
ダミは何事も無かったように僕たちに問う。ダミは嘘はついていなかったけれど、僕にデメリットを教えずに脱走に参加させようとした。正直そんな人を信用したくはない。と言っても、僕単体で脱走できるかと言われたらそうでも無い。
「私は協力する。」
リゼが呟く。
冗談じゃない!こんな怪しい人に協力するだなんて……
「一応理由を聞いてもらってもいいかな?」
ダミも僕と同じことを思ったのかリゼに聞く。自分で怪しいという自覚があるらしい。
「ダミは信用ならない。それは事実。だけど、脱走するためには自分単体ではできることじゃない。なら協力した方がいい。あくまで利害の一致で。」
ザスッと言うなぁ。こんなに正直に言うのは大丈夫なのだろうか。ダミに逆上されたりしないかな?いや、ダミは逆上したりする性格ではないと思うけど、やっぱり心配だ。
「利害の一致…か。まあ、いいよ。僕が怪しいのは事実だしね。シュウは?」
怒らないんだ…僕は安堵した。
それよりも僕がどうするかだ。ダミに協力するか、しないか。正直協力はしたくない。だって明らかに怪しいんだもん。下手したら裏切られかねない。こうなったらやっばり1人で脱走した方がいいのかも。
「ごめん。僕は協力できない。明らかに怪しいから裏切られかねない。」
僕はハッキリ自分が思っていることを言った。逆上されないだろうか。いざと言う時は逃げよう。そして二度とここに来ない。
僕は逆上される前に部屋を後にしようとした。
「君は、昔脱走を測った者たちの話を知っているかい?」
ダミが去り際に僕に言う。そんな事言われても僕は止まらないからね。そう決意し足を進めようとした。
「1人で脱走しようとでも思ってるの?」
ダミが嘲笑うかのように僕に聞く。当たり前だ。信用できるのは僕一人。嘘をついていたダミに協力は出来ない。
「昔ね。脱走をした例が2つある。1つはかけ落ちだった。2人の少年少女が軽々脱走したようだ。」
ダミが勝手に話を進める。
「なら僕1人でも脱走は出来る。」
僕は疲れてたのかもしれない。それとも、毎日命のやり取りをして警戒心が高ぶっていたのかもしれない。
そのためか、いつも暇な時に会っていたダミのことを完全に悪として認識していた。
そして、ムキになって出来もしないことを口走ってしまった。
「まあまあ、待たないかい?話はまだだ。」
ダミは僕がムキになっても落ち着いていた。その声に僕は微かに安心し、そのまま話を聞くことにした。
「2回目。6人の少年少女が脱走を試みた……が失敗。2人の少年は拷問を受け、まだこの施設で奴隷として働かされ、残り4人。1人は片腕を落とされ殺された。1人はポケモンの毒に犯されジワジワと殺された。2人の少女は脱走の最後の難関。酸の海に溶かされ死んだ。」
……おかしい。一回目は簡単に脱走出来てたはずなのに2回目は明らかに難易度が上がっている。
「2回目の方が難易度が明らかに高い。それ程施設の脱走は年々難しくなってきているということだ。それは事実だが、1回目の2人の力がおかしいということもあるけどね」
ダミはそこら辺をグルグル回りながら説明する。それにしても、何故ダミはそんなに詳しいのだろうか?レイにも、タツナにもミソウにも聞いても一言も聞けなかったのに。
「なんで……そんなに詳しいの?私が生きてる間に1回脱走があったとは聞いたけど、そんなに詳しくは知らない。私以外も」
リゼがダミに探りを入れるかのように聞く。なるほど、普通の仕事人達は脱走のことなんてそんなに知らないんだ。なら尚更ダミは怪しい。
「そりゃそうだ。僕は2回目の脱走未遂者だこらね」
ダミが涼しい顔で僕たちに微笑む。
脱走未遂ってことは……拷問を受けたってこと?
「拷問を受けても尚脱走を試みるんですか?!頭おかしいんじゃないんですか!」
リゼが声を荒らげる。あれほど荒らげるなんて…どんな拷問が待っているのだろう。僕は背筋がゾッとする感覚を覚えた。
「いんや、僕は死んだよ。拷問は受けてない」
ダミはスラリと質問に答える。え、死んだ?なら、目の前にいるダミは一体……?
急にダミが恐ろしく感じ、僕とリゼは数歩ダミから下がる。
「大丈夫大丈夫。確かに僕は生きてないけど。死んでもない。安心して」
そんなニパァッとした顔されても…こんなスピリチュアルなことを聞かされるだなんて思ってもいなかった。でも確かに、ダミが幽霊だとしても、僕はダミと触れ合ったり触ったりしてた。幽霊では…ない?でも死んではいるんだよね…怨霊?
「スピリチュアルな思考を一旦僕から遠ざけてくれるかい?」
ダミが苦笑しながら僕らに呼びかける。それが僕の心を読み取ったように感じ余計不気味さを感じる。
「それより、シュウ君。君に物凄い情報提供をしてあげよう」
ダミはそう言うと2枚の写真を僕に見せる。さっき見せてくれたチャーフルの写真と…もう1つはチャーフルに似たような顔立ちの少女。あれ、この面影は…どこかで見たことがある。これは…これは……!
「君の。母親だよ。」
綺麗だ。鼻が通っていて高く。そしてチャーフルのようにキラキラとした、大きな目にどうしても抜けない童顔。
僕はとある森の中の一軒家に生まれた。3歳までは。ある日襲撃を受け、家族は皆殺された。父と母は家で燃やされ、妹は僕が一生懸命運んでいる最中に黒色の格好をした人達に連れていかれた。妹に川に突き飛ばされなんとか、一命を取り留めた。チャーフルはその後この施設に来たのだろう。
その後、次の母親に拾われ、メープルを育てて育った。
この母親は1回目の方の母親の顔だ。間違いない。雰囲気は少し違うけれど、確かに母親だった。
僕の妹と母親はこの施設に来ていたというのか… これが運命ってやつなのかな。そして2人とも脱走を測っている。
「君の母親は無事脱走出来ただろうけど、チャーフルは脱走は叶わなかった。妹の思いをシュウが晴らすべきだとは思わないかい?」
ダミは人を計画に乗せるのが上手い。更に頭がいいため、僕は丸め込まれかねない。でも、できるだけ抵抗はしたい。
「確かに妹の無念は晴らしたい。けど、ダミに協力する話とはまた違う話だ。僕は僕1人で脱走する。」
僕はキッと目を釣らせてダミを睨みつける。リゼは静かにダミの背後によって僕の方を見つめる。ダミはニコニコした顔は絶やさなかった。こういう所レイに似てるな。
て、そんなことはどうでもいいんだ。今は僕がこの話を断り、ここから安全に逃げ出すことが出来るか…だ。
「そうだな…じゃあ最後の手だ。2人とも。こっちにおいでよ。」
するとダミはナチュラルで木材の床のでっぱりを掴むと、下への扉を開いた。そこには金属の道と縄ばしごがあった。
「ここから先は結構ハードな所だ。けれど、脱走するならどちらにしろ見なければならない。覚悟は良いかい?」
脱走するなら見なければならない?どういうことだろう。でも、なにか情報が掴めるかもしれない。僕とリゼは頷き縄ばしごを降りていった…
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.29 )
- 日時: 2022/03/23 23:24
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: rKVc2nvw)
縄ばしごから降りた先は通風口だった。僕達はダミを先頭に這いつくばってその通風口を進んで行った。
すると、ダミが止まった。そして何やらガチャガチャと金属音が聞こえた後ダミが消えた。
「2人とも。こっちこっち。」
一瞬驚いたけど、ダミの声で下の部屋に降りただけだと気づいた。僕たちを後につづき通風口から降りた。
そこはコンクリートの階段が下へつづいていた。窓も装飾品も何も無い。あるのはチカチカと点滅している白熱灯だけだ。
「こっちだ。静かにね」
ダミはニコッと笑うと人差し指を口に当てる。僕達は頷くとダミの後をついて行った。階段の下は鉄の扉。手術室の扉と言った方がわかりやすいだろうか。それがあった。
ダミは何も言わずにその扉を開く。すると…そこにはとんでもない光景が待っていた。
「なんですか……これ……」
リゼが衝撃のあまり呟く。僕も驚きすぎて口をパクパクしていた。
そこには…幾つもの培養槽があった。その中にはポケモンがいる培養槽もあれば人間が入ってる培養槽、そして1番衝撃だったのは…ポケモンか人間か分からない。異様な形をしていたナニカが入っている培養槽があった。
「ここは研究所。」
ダミは見慣れているのか僕たちに説明する。
「研究所って何の……?」
リゼはガタガタしながらダミに聞く。ダミはまだ微笑みを絶やさない。こんな恐ろしい光景を前に動じない…むしろニコニコしているダミに恐怖すら覚えた。
「人間にポケモンの能力を付与する研究。」
ダミが一息はいた。人間に…ポケモンの能力...?意味がわからない。なぜ、そんなことをするの?なぜこの施設の中にそんな研究所があるの?
疑問でいっぱいいっぱいだった。
「君達も心当たりがあるんじゃないかい?」
ダミは僕とリゼに問いかける。僕は心当たりなんて無い。この培養槽にいるようなバケモノなんて心当たりがない。ん…培養槽…バケモノ?心当たりがあるような…
「私…達…」
リゼが自分の手を見て震えながら言った。自分達…?
僕は絡まった糸が解けそうで解けなくてもどかしい。
「そうだ。僕達施設の奴隷が。ポケモンの能力を付与された存在。言わばキメラだ。」
ダミがそういった瞬間。僕の絡まっていた糸が解けた。
培養槽…タツナとミソウが育った場所だ。バケモノ。それはまさしくレイ、タツナ、ミソウその他諸々の奴隷達の事が思い浮かぶ。
「レイも…タツナもミソウもキメラってこと?」
僕は思ったことをボソッと呟いた。リゼも僕のことを見て震えている。
「あぁ。そうだ。僕達はキメラ。ポケモンとのね。まあ失敗作なんだけどね。」
失敗作…?てか、僕は普通の人間なんだけれど…よく考えたらこんな身体能力を得られるのはおかしい。僕は…何者なんだ?
「失敗作って…どういうことですか?」
リゼが食い気味でダミに問いかけた。ダミはふぅと一息つく。
「この研究所は昔から武力制作として人間にポケモンの力を付与する研究を行っていたんだ。僕達はここで生まれ育ったキメラの失敗作。失敗作はポケモン狩りとして活用されているんだ。最近は成功率が上がってきて失敗作が枯渇してポケモン狩りはピンチらしいけどね。最近は奴隷市場からポケモン狩り戦力を取ってきてるんだけど普通の人間じゃ力不足なようだ。」
ダミは真顔で恐ろしいことを淡々と告げる。僕はもう足先から頭のてっぺんまで凍ったように動かない。ただ、目の前の化け物たちを恐ろしいとしか思えなくなっている。
僕がここに来た理由も失敗作が枯渇してるから?
それにしてもポケモン狩りって何?
「今まで気にしてなかったけど…なんで私達ポケモンなんて殺してるんですか?」
リゼは恐ろしさのあまりストンと腰を落としてしまっている。それをサーナイトが必死で支えようとしている。僕もその場で座りたい、這い蹲りたい気分だった。
「君達は、表世界の『厳選』は知っているかい?」
ダミは僕達…いや、君達とは言っても僕しか表の世界は知らない。多分僕に問いかけたのだろう。
「理想の強いポケモンが出るまで卵を孵化し続ける行動のこと…だよね?」
「な、なんですかその恐ろしいこと」
僕が言うとリゼは顔を更に真っ青にする。もう白色に近い顔になっている。
「そうそう。そこで理想のポケモンでなく、余ったポケモン達。その子達はどうなっていると思う?」
ダミが聞く。僕は特に思うことも無くサラッと答える。
「野生に逃がすんだよね?」
「ぶっぶー違いマース」
僕の答えにダミは手でバッテン印を作る。それより、こんなおどろおどろしい所でニコニコしていること。それに僕は不気味さを感じざる得なかった。
「野生に大量のポケモンを逃がしたら生態系崩壊しちゃうじゃん?正解は、秘密裏に組織が殺してる!でしたー!」
「え…」
衝撃的なことを聞いた僕はもう立つことが辛くなってくるようになった。
「でもある程度育てられて逃がされたポケモンは処理出来ない組織が多い。そうしてたらい回しにしてやってきたポケモンが、今僕達が倒しているポケモンだ。ここは言わば最後の砦。ポケモンを殺せない事はあってはならないんだよ。」
その瞬間僕は膝の力が無くなったかと思った一気に崩れ落ちた。痛かったはずだ。けれどそれは全く感じなかった。
恐怖と不安と衝撃でもうどうにかなりそうになった。けど、ここで狂う訳には行かない。僕は必死に意識が落ちないようにした。
「やっぱり2人には衝撃が強かったか…」
ダミはそう言って頭をポリポリと書いている。ダミはなぜそれを知っても狂わずにいられるんだ?
「…これと、私たちの脱走になんの関係があるんですか?」
リゼはどんどん落ち着いてきたようで、冷静にダミに聞く。
「まあ、さっきこの施設の重要性は言ったよね。ということはだよ。戦力の1ミリも漏れないよう施設側も全力で脱走対策をしているんだ。その脱走対策の中には、キメラの正規品も混じっている。要するに脱走するためにはこの培養槽の中にいるのよりもっとハードな敵と戦わなきゃ行けないんだ!」
ダミはそう言うと培養槽の周りでクルクルと踊り出す。それを聞いた僕は無意識にこう問いた。
「それって、レイよりも、リーダーよりも強いの…?」
「んー、正規品といっても失敗作ギリギリの奴らだからね。けどレイよりは遥かに強いよ。リーダーとは…互角位かもね。」
「じゃあ、リーダーを味方に付ければいいのではないのでしょうか!」
リゼが叫ぶ。暗雲の中から導き出された希望の光。僕もそれに縋りたくなった。が、しかし。
「リーダーは無理だよ。」
その希望をダミはスパンと切り裂く。僕達は糸が切れた人形のようにストンと肩をおとし、もう前もかすれて見えなかった。
「何…で…」
リゼはそう呟く。
「リーダーも。2回目の脱走者の1人だったんだ。」
ダミはニコニコしてたのに急に真顔になって話し出す。それだけダミには重要なことだって言うこと?
「ってことは…拷問を…」
僕はさっきダミに聞いた話と繋ぎ合わせて言う。2回目の脱走者は2人以外皆死んだ。その中の生き残りの1人というわけだ。色々聞きたいところではあるんだけど…
「受けたよ。聞くだけで痛くなるような酷い拷問を。リーダーはもう脱走なんて考えないようにしてるはずだ。それほど酷い拷問なんだよ。 」
もう僕は1人で脱走なんて無理だと思った。いや、脱走すら無理だと、思った。
もう、僕は、ここで一生生きていかなければならないのだろうか…
「キーは君だ。シュウ。」
ダミは資料やパソコンやらがおいてある机まで歩きながら言う。キー?僕が?一体どういうことなんだ?
「一回目の脱走者の少女はこのポケモンのキメラだったんだ」
ダミはペラっと1枚の紙をめくると僕に見せる。紫に白色。シュッとした人型でニョロロンとしっぽが生えているポケモン。これは…本でしか見たことない。
伝説のポケモンミュウツー?
「ミュウツー。ミュウというポケモンの遺伝子によって作った人工ポケモンで、ポケモンの中で高い戦闘能力を、誇る。たまたまこの施設の人間が捕まえたようだね。」
てことは…
「僕のお母さんは…ミュウツーのキメラ」
「ピンポーン!大正解!伝説のポケモンのキメラを母にしているシュウは、この中で嫌、施設、裏世界の中で1番高い潜在能力を持っている。」
僕が…裏の世界で1番の?イマイチ信じられない。自分の手を見てみてもなんの変哲もない人の手だ。僕が…僕が?
信じられなさすぎて、僕は思わずダミの方を見て助けを求めた。なんの助けを求めたのかは自分でもイマイチよく分からない。
「そんな表情を僕に向けられてもね… じゃあ、気持ちの整理が着くまでここの資料を読み漁ったら良いんじゃないかな?」
ダミは難なく僕を助けてくれた。そうだ。そうすれば気持ちの整理がつくかもしれない。流石天才だ。僕は早速そこら辺に散らばっている資料を手に取った。
そこには『研究日記 ミュウツー』と書いてあった。
『ミュウツー No.9802 ♀
ミュウツーのキメラである。適合性は他より圧倒的に高く成功作が期待できる。
成功した。ようやく成功した個体ができた。しかし、ミュウツーの遺伝子は薄い。だが、強さは本物だ。これは施設の…いや、裏世界1強い個体だ。しかし、遺伝子が薄く出たのが残念だ。これからも研究を続ける。No.9802は手元に置いておこう。戦闘能力の向上も求めたい。なら、ここをポケモン処理場としよう。研究資金も儲かりNo.9802の戦闘能力も上がる。一石二鳥だ。』
これは数枚ほど束になっていて、僕はペラペラとページをめくっていった。
『 No.9802がガブリアスの失敗作と逃げ出した。施設の作りは強固だった筈なのだが、やはり裏世界1の名は伊達ではない。捜索班を出し探すことにする。ようやく生まれた成功作だ。逃がす訳には行かない。
捜索班は何をやっているのだ!一体、なんのために出したと思ってるのだ!No.9802を生け捕りにするために出したのだ!それを…殺してしまうなんて。なんと情けない。いや、世界一強い彼女の事だ。生け捕りなんて難易度が高すぎたのだろう。しかし、No.9802は子供をこしらえていた。これで首の皮一枚繋がった。これからは捉えたガブリアスのキメラとミュウツーのキメラの子であるNo.18003を研究対象とする。
No.18003は中々聡い。それ故、研究の邪魔になる。少々洗脳を施そう。
洗脳が効かない。No.18003は強い意志を持っているようでピラミッド所か、裏世界の頂点にまでなった。これでは立場が逆転してしまう。何とかせねば。
No.18003は愚かなことに裏世界を平和にすることに尽力を尽くした。これまた滑稽なことをする。裏世界は表世界が平和になるための犠牲のようなものなのに。平和のためには犠牲が付き物。No.18003はそれを理解した上で裏世界を平和にしようとした。なんとまあ。 愚かな事だ。
No.18003が死んだ。施設から脱獄する際に死んだのだ。何たることだ。もっと深く研究をしておけばよかった。いや、その前に、それ以前に。私はあのNo.18003が皆を救うかのような笑顔に惹かれていた。だいのおじさんが幼女の純粋さに惹かれてしまったのだ。最期は無駄な抵抗とわかり、施設の仲間を選んだようだが。
少なくとも、私はNo.18003の…彼女の笑顔に救われていた。彼女の最期は身を犠牲にし酸に溶けて死ぬことだった。しかし、仲間は全滅。彼女が死んだ意味はあったのだろうか?
いや、余計なことは考えたくない。私は、ミュウツーのキメラを再び作り出すことを決心した。彼女のような子が。また産まれてくることを信じて。』
ここで日記は終わっていた。No.9802は多分僕の母のことだろう。No.18003は僕の妹。チャーフル・ジーニアのことだ。チャーフルは、ダミ達だけではなく、研究者をも笑顔で救っていたようだ。なんともまあ、誇らしい。そして、妹が死んでいることをひしひしと感じた。色んな感情が入り交じり僕は涙を流した。なにに対しての涙かは分からない。ただ、涙が溢れ出てしまったのだ。
それより、まとめよう。
母はこの施設産まれのミュウツーのキメラ。母はここを脱走して僕たちを産んだ。そこで捜索班が僕たちの家に襲撃し、母、父は死に、チャーフルを誘拐した。
ここで、僕らジーニア家を襲撃したのは施設側の陰謀ということを知る。
他の資料は無いものかと、他も探してみる。すると、小さな手記を見つけた。
『チャーフル・ジーニア 日記』
どうやら僕の妹。チャーフルの日記のようだ。妹の日記を見るのは少し抵抗があるが、今は情報が欲しい。すまない。チャーフル。そう思い、日記をペラペラとめくっていく。
『きょう は フジが けがを しました。 よしよし してあげました。 すると スイが ほおを ふくらませて フジのことを 睨みました。 そのようすを見て ドクとダミとアーボは わらっていました。 みんな わらってくれた! うれしかった!』
それはチャーフルの普段の施設で過ごした事が書き綴ってあった。やはりまだ幼い歳であったため、漢字はかけていなかったが、文章はちゃんと書けていた。その中で分かったことはフジ、スイ、ドク、ダミ、アーボの5人と仲がよかったということが分かった。いつも一緒にいて、仕事をして、僕とレイの様だった。
しかし、不穏な事も書いてあった。
『本日。大手企業の社長の暗殺を終えた。今回、チャーフルには負担が大きかったようなので俺がやった。チャーフルは大丈夫なのだろうか?まあ、レイとして動いてる限りは俺がサポートをしたい。それがいつもの責めてものお礼だ。』
急に筆跡が変わり漢字も多くなってきた。チャーフルの日記なのになぜ、チャーフル以外の奴が日記を書いているのだ?
『かってに ひとの にっきに かかないで ください』
『俺は悪いやつじゃない。君の味方だ。チャーフル。』
そんなやり取りが前半にあった。後半は完全に馴染んでいたが。しかし、レイとして活動してる間…とはどういうことなのだろうか?もしかして…いや、確証がある訳じゃない。僕は次のヒントを探すために他の資料を探した。
『No.18003 ♀
No.18003は裏頂点に立ってもなお、汚い仕事を引き受けている。それで世界が平和になるとでも思っているのだろうか?そして、最近気づいたが、どうやら彼女は多重人格のようだ。No.18003の本人格がメンタルが壊れそうになるとメンタルケアと同時に精神に来ることは引き受けている。ストレスを貯めるために生まれた人格と言っても過言ではないだろう。しかし、それもいつまで持つのだろうか。No.18003。いや、2代目レイ』
これは…さっきの研究者の日記の1部だったようだ。2代目レイ?どういうことなのだろうか?レイって、あの、レイだよね?いつも僕と一緒にいる。それが、チャーフル…?意味がわからない。他の資料を見よう。そうだ、今度はチャーフルが関わっていた人物の資料を見てみよう。
『奴隷 No.723548 本名 クローバ・ナーヴァ 通称 ドク
国際警察の息子であった。即に処刑することになったが、バトルの潜在能力が高いため、施設に放り込むことにした。No.723548はポケモンのキメラ出ないのに意外にも大活躍を見せ、脱走を試みたこと以外は素晴らしい人材だった。今はここのリーダーをやらせている。』
『奴隷 No.723547 本名プラタナス・ナーヴァ 通称 ダミ
国際警察の息子であった。No.723548の弟。No.723547の戦闘能力に免じて生かしてやった虫けらだ。しかし、意外にも頭の回転が早く、我々でも開発できないような薬を、研究環境が整ってないところで作って見せた。正しく天才であった。是非我らの研究室に招待したい。
しかし、その願い虚しく、彼は死んだ。哀れなことに脱獄する際にポケモンの毒に侵され死んでしまった。良い人材だったのだが…』
『ユキメノコ No.353 通称 スイ
No.353は従順で私たちのいいコマだった。途中までは。No.18003のせいで私たちに反抗するようになってしまった。美貌だけはあるため水商売にでも売り出してしまおうと思っていたのだが。仕方なく、施設に居させてやることにしたが、脱走の歳に死亡した。No.18003と脱走する際に酸の海に飛び込んだようだ。なんとまあ愚かなことをする。』
『ガブリアス No.556 本名 レイ・ジーニア 通称 アーボ
No.556は1回目に脱走を試み成功した。しかし、捜索班により生け捕りにされ、拷問を施した完全なる我らの奴隷だ。No.9802と子をこしらえたことも讃えよう。研究の首の皮一枚繋がったのだから。
しかし、No.556はまた脱走を試みた。しかし、成功品により、片腕を落とされ死んで行った。惨めなものだ。2度目の脱走等考えなければ良かったものを。』
- Re: ≪ポケモン二次創作≫ 最期の足掻き【オリキャラ募集】 ( No.30 )
- 日時: 2022/05/14 16:53
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 7dCZkirZ)
僕は次々と明かされていく謎について呆然とせざるおえなかった。なんということだろう。このアーボという人。僕達の父親だったようだ。チャーフルは知っていたのだろうか?嫌、チャーフルの日記を読んだところそんなことは無いように見えた。そして、襲撃の時に死んだと思っていた父親は生きていたのだ。まあ、今は死んでいるのだが。そして、ドクとダミのことだ。ダミ、本名プラタナス・ナーヴァ。彼は死んでいると記載されているが今僕達の目の前でニコニコしている。彼の過去は知れたが何故今ここにいるのか、何故生きているのかという謎が増えた。そしてドク。本名はクローバ・ナーヴァ。今のリーダーをしている。そう。あのリーダーだ。リーダーも脱走未遂者できっと拷問を受けたのだろう。だから、リーダーを仲間にすることは叶わないとダミは分かっていたのだろう。それより、リーダーとダミのファミリーネームが同じだ。見た目的にも兄弟であることは確実なのだが。何故ダミは兄弟でないと言い張るのだろうか?それより、他の資料も見なければ。
そうして手を出した資料に目を疑わざるおえなかった。
レイの資料だ。そして、レイが写ってる写真の下にもう1枚写真があった。それは幼く、黒髪でおどおどした男児だった。そして、名前には『ワルビアル No.85 通称 フジ、レイ』
と書いてあった。フジということは、チャーフルと同行していた人物ということになる。まさか身近な人物がチャーフルと関わっていただなんて思ってもなかった。そして、レイも拷問を受けたのだろう。だから、前に脱走を持ちかけた時。あんな怖い顔をしたのだろう。そして、あとはチャーフルだけだ。僕の資料も探してみよう。
『ミュウツーキメラの子 No.19058 本名 ソレイユ・ジーニア、捧擲 寿
No.9802とNo.556との子でNo.18003の双子の兄である。
捜索班を今までずっと張り巡らせてきて良かった。死んだと思っていたNo.18003の兄を見つけたのだから。さあ、彼は何をしでかしてくれるのだろうか。また、2代目レイのように皆を笑顔にしてくれる様な存在であってほしものだ。』
『ミュウツーキメラの子 No.18003 チャーフル・ジーニア 通称 レイ
No.18003は施設に来てからアーボに救われ、施設の皆の慈善活動に尽力するようになった。そして、ミュウツーの遺伝子を持ってる故に強い。その強さを酷使し、ピラミッドまで上り詰め、汚い仕事をこなし続け、裏世界の頂点まで上り詰めたとんでもない奴だ。レイというのはアーボから受け継いだ名の様だ。アーボも名前はレイ・ジーニアのため、No.18003は2代目レイと言ったところだろうか。しかし、力は初代レイをも大きく上回る程だった。
しかし、愚かにも脱走する際に酸に溶かされ死んで行った。惨めなものだ。』
こう、妹が死んだとダイレクトに書かれているものを読むと心に来るものがある。しかし、チャーフルはレイという名を貰っていたようだ。その名前は僕らの父親であるレイ・ジーニアから受け継いだ物の様だ。そして、今レイと名乗ってるのは僕と毎日関わっているあのレイ。別名フジだ。ということは今のレイは3代目レイということになるのかな。何故レイと名乗っているかは謎だけれど。
整理は着いた。
まとめると、過去2回脱走を試みる者がいた。一回目は僕の父と母。いわゆる駆け落ちである。そして、最強の力を持つ母のおかげで無事脱走成功。しかし、施設の研究者のせいで父はまた捕まり、母は殺され、子である僕は優しい2回目の母に拾ってもらい、チャーフルと父は施設行った。父はよく仕事で外に出ていて今では顔すら覚えてないから多分チャーフルは父のことを父と認識できていなかっただろう。そしてチャーフル達はスイ(死亡)、フジ(現レイ)、ドク(現リーダー)、ダミ(生死不明)、アーボ(僕達の父)という愉快な仲間たちと出会い脱走を試みたが失敗。チャーフルとスイは死亡。フジ(現レイ)、ドク(現リーダー)は拷問を受けるが生き残り、今目の前にいるダミは生死不明ということになった。うん。整理はできた。今僕がやることも。分かった。
「それで資料は読み終わったかい?」
丁度いいタイミングでダミが僕らに話しかけてきた。リゼも丁度読み終わったようだ。
僕はまだ、気持ちの整理はついていない。けど、やらなきゃ行けないんだ。
「それで、シュウ。答えは出たかい?」
もちろん僕はこう答えた。
「あぁ。僕、ソレイユ・ジーニアは、チャーフルと同じ道を辿らないために速急にここをでなければならない。やろうと思えば多分、僕も裏世界の頂点まで上り詰められる。けれど、それは悪手だ。だから、ここを、いち早く出なければならない。でも1人で脱走は無理だと資料を見てよくわかった。だから、僕はダミに協力するよ。みんなで、ここから脱走しよう。」
リゼとダミは顔を見合わせると微笑み僕に手を差し伸べた。僕は迷わず2人の手を取った。この時の僕は、これから何もかも狂うことなんて考えもしなかった。
~完~