二次創作小説(新・総合)

ABT②『音に集いし仲間達』 ( No.23 )
日時: 2021/02/01 22:10
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 6..SoyUU)

とりあえず、無事にOPゲームが終了し一区切りがついた運営本部。
ごくそつくん、サクヤから事情を聴いてとある決断をするみたいです。

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~運営本部 メインサーバ~



サクヤ「何とか無事に終わりましたね…。割れたのも割と想定通りの回数でした」

大典太「……主。風船とは膨らんでいない時も割れるのか?」

アクラル「いや。そん時はクッパが気分悪かったら自分の魔法で割るって」

アカギ「どこまでも自分勝手な奴だ…」

ニア「最初の関門は突破したのですし…。まぁ、これからのことを考えません、か?」



 何事もなくOPゲームを終了させ逃走者達がエリアへと向かったのを見守った運営本部一同。各々持ち場へと解散し、メインサーバに残った数人の面子はこれからのことを話し合おうとしていたところでした。
 彼女達の様子を見ていたごくそつくん。いつもなら真っ先に観客席へと行っていたはずですが…。気になることがあるらしく、珍しくメインサーバへと残っています。しびれを切らしたのか、彼はサクヤへと話しかけてきました。



ごくそつ「サクヤ~。ちょ~っとぼくとお話ししてよ~」

サクヤ「申し訳ありません。莉愛さんを送ってくださったことには感謝しているのですが…。今回貴方に構っている暇はありませんので…」

ごくそつ「その『暇はない』ことについて聞きたいのぼくは!あの女子が随分と焦ってたから大包平くん引き連れてここまで来たけど。どういうことか説明してもらえる?」

大包平「そうだ。何も詳細を聞いていないではないか!どういうことだ天下五剣。答えろ!!」

大典太「……説明する必要がないから説明してないだけだろう…」

サクヤ「あぁ。ごくそつさんも消滅の危機ですから関係者でした。ならば説明しませんと…」

大包平「待て。どういうことだ。主が消滅だと?!」

前田「お、落ち着いてください大包平さん!」



 ごくそつが彼女に説明を求めると、そういえばごくそつも『ポップンミュージック』に関係するキャラクターだということを思い出すサクヤ。となると、彼も関係者ということになります。
 思わず『消滅してしまうかも』とぽろっと零したのを大包平は聞き逃していませんでした。何故か大典太に詰め寄ります。



サクヤ「現在ごくそつさんの住んでいる世界を創り出した神様が、道化師に連れ去られてしまいました。彼は神様の記憶を書き換えて、『ポップンミュージック』の世界を最初からなかったことにしようとしています」

ごくそつ「きょひょ~?それなら早く言ってよ~!ぼく本当に消えちゃうかもしれないじゃ~ん!」

大包平「? つまり…このままでは主は『最初から存在しないこと』になるということか?」

大典太「……あぁ。その認識で間違いない。あんたの主が関わっている世界なんだ、世界が消えたら消滅するのは必然だろうな」

大包平「そんな…そんなことが……。そんなことが許されると思っているのか!!!天下五剣!!何か言え!!!」

大典太「……俺に言われても困るんだが。前田と違って俺は最初から政府の刀だ…。主が消えた刀がどうなるのかなんて知らない」

大包平「何……?!」

前田「(あれ?確か大包平さんも『政府の刀』だと主君から聞いたような気がするのですが…。どうして大典太さんが政府の刀だったことを知らないのでしょうか)」

アクラル「光世も大包平も知らないって顔だなー。前田は?」

前田「すみません。僕も知るところでは…。しかし、大典太さんや大包平さんとは違い僕は過去に『主君とは別の主』にお仕えしていたことがあります。元の主とは別人になりますが…。
   今の主君にお仕えするまでは顕現せず刀のまま眠っていた状態なのですから、『意識が無くなる』というのは可能性としてあり得ない話ではないと思います」

サクヤ「ふーむ。申し訳ないのですが、『審神者』というものが私もよく知らなくて。職業か何か、なのだとは思うのですが…」

アシッド「審神者ではないが…。こう考えることは出来ないだろうか」



 主がこのままでは消滅してしまうかもしれないと聞き大包平は大激怒。そんな彼を前田と大典太が二振がかりで止めていると、前田は以前思い出した微かな記憶を頼りに、あり得る可能性を口にします。
 それに続くように、メインサーバで別の仕事をしていたアシッドが口を挟みました。



アシッド「可能性として考えられるのは…。マエダが言ってくれたように、主がいなくなった付喪神が『眠りにつく』パターン。恐らく、これは政府と正式に『解任された』審神者がいる場合だと私は思う。そして2つ目。何らかの理由で主が消滅したり、殺害されてしまった場合。当然主が不当に消えてしまうので、主からの霊力の供給は消えるだろうな。その場合…。考えられるのは、『分霊が本霊に還る』パターン。そして…『本霊に還れず、禍つ神』になってしまうパターンだ」

大包平「ま、禍つ神……だと」

サクヤ「その名の通り、『災厄をもたらす神』となってしまう可能性があるのですか。そうなってしまうと…。色々と厄介なことになってきそうですねぇ」

大典太「……災厄をもたらす神、か。俺のことじゃないか…」

大包平「すぐ陰気になるな大典太光世!貴様の悪いところだ!!」

サクヤ「話を戻しますよ。とにかく、えむぜさんを救わねば『ポップンミュージック』そのものがなくなり、ごくそつくんを含めた住人が全て消滅してしまいます。ごくそつさんを主としている大包平さんへの影響は免れないでしょう」

ごくそつ「な~るほ~どね~。それで莉愛ちゃんが超焦ってた、ってワケか。―――あの神1人の為にこのぼくが動くなんて本当は嫌だし納得いってないよ?でもね。ぼくはいつかこのほしを征服するごくそつくんだからね!!今消えるわけにはいかないんだよね~!!きょひょひょ!!
     だ・か・ら! 今回はトクベツに協力してあげるよ!このぼくがね!!」

大包平「主が危険な状態に陥っているのだ。その『音の神』とやらを助ければいいのだろう。この大包平も手を貸すぞ!!必ずや救出せねばな」

サクヤ「ごくそつさん……。大包平さん……。ありがとうございます」



 おやおや。自分の消滅は嫌なのか、ごくそつくんが協力してくれるみたいで。珍しい。彼サクヤのことは好意的に見ていますが、いかんせん彼女がMZDの味方ですからねぇ。MZDが気にくわない彼としては複雑なんでしょうね、色々と。
 主の消滅がかかっているので当然大包平も手を貸すことを約束してくれました。これは心強い。サクヤはそんな1人と一振の反応を見て、深く頭を下げてお礼を言ったのでした。

 それと同時に。マルスの声と、彼に案内されてメインサーバに女性の声が聞こえてきました。その正体は……。





マルス「お取込み中いいかな?少し、サクヤと話がしたいと言っている人がいてね」

サクヤ「はい、伺います」

ルキナ「お取込み中申し訳ありません…。お父様を通じてお話を聞かせていただきまして、マルス様にお願いをして連れてきていただいたのです。……あら、ごくそつさんもいらしたのですね!」

ごくそつ「やっほ~ルキナちゃ~ん!元気~?」

ルキナ「はい、とても元気です!……ええと、本題に戻りますね。別の世界のことではありますが…。過去を改変して、沢山の人達の命を奪おうとしている輩がいるという話を聞きました。その阻止に、私も協力させてください。そのお願いをしにここまで来たのです」

マルス「え?!確かにルキナって、クロムの運命を変える為に未来からやって来たんだよね」

ルキナ「はい。もしかしたらその時の知識がお役に立てるかもしれません。まぁ……私達を過去に飛ばしてくださったのはナーガ様のお力なので、もしかしたら期待外れかもしれませんが……」

サクヤ「成程…。確かに時を超えた彼女の知識があれば、もっと深堀が出来るかもしれない…」



 女性の正体はルキナ。クロムから事の顛末を聞き、サクヤに協力したいとマルスに連れてきてもらったのです。確かにルキナは覚醒の世界で、父であるクロムを助ける為時を超えて絶望の未来からクロムがいる世界へとやってきているんですよね。ネタバレ?今更でしょう。
 ルキナの話を聞いたサクヤは、確かにとうんうん頷いた後……。少し考えた後、ルキナに協力を要請することにしました。



サクヤ「メフィストの使用した魔法の解読も含め、時を超えた経験者の知恵は是非得たいものです。ご協力、是非よろしくお願いいたします」

ルキナ「本当ですか!ありがとうございます。私の知っていることがどれだけ役に立つかは分かりませんが…。精一杯お手伝いいたしますね!
    それと…。一応お父様経由でマリオさんとカービィさんにも連絡をしていただいて、影ながら協力してくださるということです」

アクラル「あの超絶トラブルスマブラレジェンドコンビが? 大丈夫かー?」

ごくそつ「ルキナちゃんやっる~!って、ちょっと!トラブルってなんだよ~!あの2人はすっごいヤツなんだからね!ぼくについてこれる数少ない『ソウルメイト』だからね~!」

大典太「……いつの間にそんな仲になったんだ?」

大包平「知らん。俺が顕現した時から主はそんなことを言っていたぞ」

サクヤ「……まぁ、いいでしょう。借りられる手は多ければ多い程助かります。ルキナさん、ありがとうございます」

ルキナ「いえいえ!神様を救う為、黙って等いられませんからね。
    ―――過去が変わってしまえば、『ポップンミュージック』の方々だけではない。彼らと関わった、術ての方々に影響が出てしまうはずです。最悪、その方の記憶から全ての存在が消えてしまうことだってあり得ます…。私も過去を変える為、未来から飛んだ経験がありますのでよく分かります。歴史改変を阻止する為…。この力と知恵、使ってください」



 秘密裏にマリオとカービィにも連絡が言っていたようで、彼らも何かしらで協力してくれるらしいのですが……。彼らが過去にやってきた仕打ちを思い出し、『今回も絶対碌なことにならない』と苦い顔をする一部の面子。そんな表情を見て、ごくそつくんは不機嫌そうにぼそりと悪態をついたのでした。

 その後、ごくそつくんと大包平には万全の状態で音無町へと向かって貰う為、一時観客席で待機させることにしました。MZDを助ける為にはまず、変わってしまった街の情報を得なければなりませんからね。各々所定の位置についた後、サクヤは現場のミミ達に連絡をします。





サクヤ「ミミさん。ニャミさん。聞こえていますか?」

ミミ『あっ!サクヤさん!ちゃんとしっかりばっちり聞こえてまーす!』

ニャミ『それにしても…。ここ、トリコロシティから上書きされちゃったって本当なんだね。全く知らない街だよ…。莉愛ちゃんの案内がなければ絶対迷ってた』

サクヤ「そうですか。……これから街の情報を得る為、気になるものがありましたら写真を撮ってこちらに送信してくれませんか?そこから現在の街の状態を分析したいと思います」

ジャック『写真だぁ?……あぁ、ミミとニャミがデジカメ持ってきてたんだっけか』

ニャミ『冒険に出る時は準備が大切だからね!……MZDから口酸っぱく言われてたんだよ? 冒険には何があるか分からないからってさ』

ヴィル『これは冒険ではないのだがな?まぁいい。情報収集はミミとニャミ、莉愛殿に任せるとして、我々は彼女達の護衛に付く。何か大きな変化があれば直接やり取りをしよう』

サクヤ「了解しました。頂いた写真を元に、なるべく早く分析を進めます。その間、どうかよろしくお願いいたしますね」

ヴィル『……あの子が何をされているかは分からんが…。彼奴め、私の呪縛を潜り抜けるとは。一体どんな魔法を使ったのかも興味があるしな。それでは、な』



 まずは情報収集の為、ミミニャミに写真を撮ってきてもらうよう依頼したサクヤ。道中ヴィルヘルムが不穏な言葉を発言したことに大典太の口が開きます。



大典太「……あの濃い桃色の髪の男。人間ではないとは主から聞いているが…。一体何者なんだ。……外側が陶器のようで、中に触れたくない程の『闇』を感じるんだが…」

サクヤ「もしかしたら…。えむぜさんにいただいた『仮初の身体』の内側は……。我々が想像している以上に、知ってはならないものが詰まっているかもしれません。深く突っ込むのは野暮というものです」

大典太「……そういう、ものなのか。今は放置しても良さそうだが…。いずれ。世界が牙を向いた時。……きっとあいつは毒牙をこちらに向けてくる。俺は……そんな気がしてならない」

前田「大典太さんにはそう感じるのですか?普段は貴族なのに執事らしい、気配りの出来る方だと思っているのですが…」

大典太「……きっと前田の考え方で正しいよ。俺は……俺は、きっと『知ってはいけない領域』が見えてしまっているだけだからな」

サクヤ「大典太さんが霊刀だからなのか何なのか分かりませんが…。肝に銘じておきますね」




 大典太が感じた『闇』。その正体が何であれ、きっと我々も知ってはいけないことなのでしょうね。今はこれ以上突っ込まないでおきましょう。
 『音無町』の情報を得る為、サクヤはミミニャミからの写真を待ちながら椅子に深く腰かけたのでした。