二次創作小説(新・総合)

#CR08-7 恐れるべきは過去か、未来か ( No.5 )
日時: 2021/03/18 23:29
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: bUOIFFcu)

音無町での出来事を画面越しに目の当たりにし、取り乱すサクヤ。
なんとか気分は落ち着いたようですが……。もうそろそろ隠し通せる頃合いではなさそうです。

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~運営本部 メインサーバ~



前田「主君、大丈夫でしょうか……」

大典太「……何を言っても逆効果なら、今は見守るしか選択肢はない。悔しくは、あるがな」

アクラル「つーか、光世もサクヤのことちゃんと気に掛けるようになったじゃねーか。顕現したばっかりの頃なんて『どうせ』って口癖のように言ってたのに」

大典太「……主に仕えているのだから、気に掛けるのは当然じゃないのか」

アクラル「悪かった。悪かった。言い方を間違えたからそんな仏頂面で睨むな圧が飛んでくるから!!」

前田「大典太さんの怖い顔、効果抜群ですね!」

アシッド「(ポケ○ンかな?)」



 人が捌けたメインサーバでは、サクヤを落ち着かせるため数人が待機をしていました。何を言っても取り乱す今のサクヤの状態では、話を聞くにも聞けませんからね。
 今は黙って、彼女が落ち着くことを待つ。それが最善の選択だと判断していました。どこかずれた雑談を続けていると、コツコツと静かな足音がこちらに聞こえてきたのが分かりました。



サクヤ「申し訳ありません。取り乱してしまいました。もう大丈夫です」

アクラル「『もう大丈夫』って……。こちとら全然大丈夫じゃねーんだけどな」

前田「しかし、今は主君が落ち着いたことに僕は安心しています。良かったです」

アシッド「あぁ。何よりだ。君と話がしたくて私はここに残ったのだからね。……今回のあの校舎での出来事で、何か君の過去を刺激してしまったように私は思えるのだが。―――何か、心当たりが?」

アクラル「うげっ。いきなり本題に入るのかよ」

アシッド「なに、急いで話をするつもりはないよ。人もほとんどここから捌けているしなぁ。―――隠し通すのはもう無理だと思った方がいい、サクヤ」

サクヤ「…………」



 サクヤがいつも通りに戻ったことを受け、早速アシッドは自分が聞きたい本題を彼女に投げつけました。それでもサクヤは言い淀んでいます。それ程、自分の心に傷を作っている出来事。口を割らないのも分かりますが……アシッドは続けます。『もう隠し通すのは無理だと思った方がいい』と。
 その言葉を受けてもなお、黙り込むサクヤ。……そんな彼女に、冷静にアシッドは話を続けます。



アシッド「恐らく、君が取り乱すトリガーとなったのは……。例の手記に書かれていた『龍神』の話なんだろうが」

大典太「……主」

サクヤ「…………。もうそこまで、推測しておられたのですね。ならば……最早隠し通す意味も理由もありません。正直にお話しします。
    あの日記に記載されていた『龍神』。あれは……。私と兄貴が分かれる前の『神』なのです」

アクラル「…………」

サクヤ「兄貴が何も知らないのは当然です。ゼウス様に『もう破壊するのは嫌だ』と力を2つに分ける時、龍神としての記憶は私が全て受け継いだのですから。
    その代わり、私は兄貴に『感情』を渡しました。それがなければ―――。破壊衝動に呑まれることも、世界を壊すことも。大切な人達を失うことも。ないと思いましたので」

アシッド「そう、か。そうだったのだな」



 遂にサクヤが『日記の『龍神』は自分とアクラルだ』と口を開きました。今まで大典太にしか明かしてこなかった秘密。身内であるアクラルにすら話してこなかった真実。その言葉を聞いて、アシッドは小さく頷きます。そして……『成程』と一言小さく答えたのでした。



アシッド「これで合点が行った。あの全知全能の神が君を守ろうとするのも納得だ。確かに竜族は破壊衝動が強い。天界にいた頃、よく上位の神から口酸っぱく聞かされていたよ。
     『龍神』と呼ばれるくらいなのだから、その衝動は計り知れないものだったのだろうね」

サクヤ「はい。そして―――恐らく、その日記に描かれている世界こそが『カーディナルワールド』にあったポップンの世界。確かに、私が滅ぼしてしまった世界です」

アクラル「でも、まだわかんねーよ。それと、さっきの映像と何が関係してんだ?サクヤが怯え出したのはあの亡霊のミミニャミが闇……。『永久』を出した後だろ?」

大典太「……実は」



 アクラルが納得がいっていない顔つきで更に質問を投げかけます。その消滅してしまった『本人』から、サクヤと大典太は1つ頼みごとを受けていました。それを許可したから、こんなことになったのだと。
 自分のせいで仲間を消滅させてしまった。それで、サクヤは取り乱したのだと。大典太がかいつまんで話すと、アクラルはやっと納得のいった表情になったのでした。



アシッド「しかし。私が君と初めてあったあの日。サクヤは全く表情を動かしていなかった。私も『何と話しているんだろう』と不気味に思ったものだよ。だが、サクヤ。君は今、感情が少しずつ生まれている状態だ。だから、自分が大切だと思う者が奪われ……取り乱した。
     それは確かに消した筈の君の感情だ。何がトリガーになって新たに生み出されたかは分からないが…。もう、過去に囚われて『自分が感情を持つべきではない』と思うのはやめた方がいい。
     きっと、それを続ければ。今の自分も、これからの君も否定することになる。永遠に苦しむことになるぞ、サクヤ」

サクヤ「……それでも。それでも私は感情を得るわけにはいかないのです。感情を得たが最後、いつ破壊衝動に呑まれるか分かりません。それは青龍の称号を受け継いだ今でも同じ。兄貴と力を分け合ったとはいえ、私が龍族では無くなった免罪符にはなりません。

    自分のせいで、もう大切な人達を失いたくない。沢山の仲間との出会いを通じて、余計そう思ったのです。だから―――。私は否定し続けなければならないのです」

アクラル「…………」

アシッド「それに、サクヤ。君が今の自分を否定することは―――。きっと、君に仕えようと、主命を果たそうと思っている『いのち』の否定にも繋がると私は思うのだが。
     ―――いつまでも蓋をして、否定し続けて。解決することはあるのかい?……サクヤ。そろそろ、自分と向き合った方がいい。私はそう思うのだがね」

サクヤ「……どういうことなんです?」

アシッド「私からはっきりと言ってしまえば君の成長にならないだろう。それに―――そちらさんにも同じような理由で近づけない気持ちがあるのだろう?
     お互いがお互いを分かり合えなければ、『本当の絆』を結ぶことなど到底できやしないのさ」

前田「どういうことでしょう…?」

大典太「(―――まさか)」

サクヤ「少し…考えさせてください。答えが見えてこないのです」

アシッド「あぁ。ゆっくり考えると良い。―――これも君を成長させる『運命』なのだから。先人からのアドバイスだと思うといい」

アクラル「先『神』の間違いじゃねーのか?」

アシッド「そう思うならば、今ここで元の姿に戻ってもいいのだがね?本部が破壊しかねんが」

アクラル「そういやお前相当デケー神だった。本気じゃないから戻ろうとするな」



 アシッドはサクヤの本質―――そして、サクヤと大典太が交わしている『アレ』に関しても何か勘づいている様子。彼女達の今後を考えて、お互いに乗り越えないといけない障壁がある、と彼は遠回しにアドバイスしたのでした。
 その言葉を聞いて、サクヤはまだピンと来ていない様子。感情が生まれていることも、過去に怯えそれを否定していることも。いずれは、乗り越えないといけないことだとは分かっていても。―――彼女にはまだ、時間が必要なようです。



前田「大典太さん。アシッドさんの先程のお言葉…どういうことなのでしょうか?」

大典太「……俺にも向けて言っているような感じがした、が。―――俺も、人のことを言っていられる場合じゃないのかもしれないな…」

前田「大典太さん…」




 大典太も、その強い霊力で小鳥を殺してしまったりと、自分の霊力で人を傷つけてしまうことを恐れていました。
 似た者同士の主従。彼らが心から通じ合う日は―――一体いつになるのでしょうかね。

#CR08-8 信じるべきは一筋の希望 ( No.6 )
日時: 2021/03/19 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: bUOIFFcu)

本部の警備にあたってしばらくした頃。本部に怪しい影が近づく気配は一切ありませんでしたが、予断を許しません。
そんな中、クルークが『違和感』をサクヤに話します。それは、現状打破の『希望』の一歩となるのです。

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~運営本部 エントランス~



マルス「……とりあえず、30分くらい見回りを交代でしてきたけど…。特に誰かが襲ってくる気配はなさそうだね」

クルーク「メフィストなら、もっと本格的に道化師達を動かしてきそうだと思ったんだけど…。読みが外れたのかなぁ」

マルス「それか、最低限の人数で動いているか。あの街で行動を起こしてしまえば、本部諸共潰せると考えているのかもしれないね」



 エントランスでは、本部総出で拠点の見回りを行っていました。メフィストが本格的に動き出した今、いつ本部が襲撃されるか分かりません。もしかしたら襲撃されない可能性もありますが、最悪の手を取られて何も出来ないようなことがあってはたまったもんではありません。
 最大限の警戒を強めていましたが―――。敵陣らしき影は、いつになっても現れる気配がありません。クルークがそのことを不思議に思い近くにいたマルスに問いかけます。すると、彼は『最低限の人数で動いているのかもしれない』と持論を述べるのでした。



クルーク「警戒を緩めちゃいけないけど…。ボク、ちょっと確かめたいことがあるんだ。マルスさん、一緒にメインサーバまで行ってくれませんか?」

マルス「確かめたいこと?何なんだい?」

クルーク「さっき闇に呑まれたヴィルヘルムさんのことについてです。彼のことについて、そういえば神様から前に話を聞いていたのを思い出して。それで、もしかしたら『ボク達が気付けてなかったことに気付けるかもしれない』と思って…」

マルス「なるほど。―――わかった。アカギ殿に連絡してから行こう。黙って持ち場を離れて大事になったら大変だからね」



 どうやらクルーク、ヴィルヘルムが消滅したことについて違和感を覚えているようで。そのことをマルスに話すと、彼は小さく頷いた後、一緒にメインサーバへと向かってくれると言ってくれました。仲間の真摯な行動はすぐに信じて行動する、流石はカリスマSランクの持ち主。
 善は急げとばかりに行動を急かすマルス。背中をポンポンと優しく叩かれ、クルークはびっくりしながらもアカギにそのことを伝え、メインサーバへと歩いて行ったのでした。










~運営本部 メインサーバ~



クルーク「あの、サクヤさん!すみません、今お話大丈夫でしょうか?」

サクヤ「およ、クルークくんにマルスさん。警備の方は大丈夫なのですか?」

マルス「それについてはアカギ殿に断ってあるから大丈夫。クルークが、どうしてもきみと話がしたいからって。ぼくは付き添いだよ」

アクラル「『話』?」

クルーク「はい、実は……」



 メインサーバへと2人が顔を出すと、早速入口近くでサクヤと目線が合いました。警備は大丈夫なのかと聞かれたので、アカギに断ってから来たことを説明。クルークはすぐに自分が気になっていたことをサクヤに話したのでした。



クルーク「前、神様に教えてもらったことがあるんです。『自分の魂は、ヴィルヘルムさんの呪縛のせいでこの世界に縛られている。だから、呪縛が解けない限り両方の魂が消えることはない』って。
     だから……あの時、闇に呑まれちゃって混乱して何も考えられなかったんですけど。―――後で冷静になって考えてみたら、神様の呪縛が解けていなければヴィルヘルムさんは無事なんじゃないかなあって」

アシッド「ふーむ。確かにどこかでそのような話を聞いたことがあったような気がしたが…。もしヒスイの呪縛が無事ならば、ジョーカーの身体は消えても『魂』はどこかに残っている、君はそう言いたいんだな?」

クルーク「はい。なので…もしご迷惑でなければ、なんですけど。さっき村雲小学校で映った場面をもう一度確認したいんです。街での映像はちゃんと録画されてるはずですよね?」

アクラル「あぁ。毎回大掛かりな作戦実行する時は、必ず録画するようにしてるから―――。調べればその時の動画が残ってるはずだぜ」

マルス「じゃあ、確認すれば―――」

アクラル「あぁ。見えるかどうかはわかんねーけど、一抹の望みはあるかもしれないってな」

大典太「……待ってくれ。その呪縛……『邪神』になったあいつなら簡単に解けるんじゃないか?」



 クルークが話したのは、以前書庫でMZDに教えてもらった呪縛の話でした。これがあるから、魂が消滅できないのだと。消えゆく世界を永遠に見守るしかないのだと、どこか諦めたような、悲しそうな目で彼は話していました。
 本当は他言無用にしてほしいと本人から言われていたのですが、緊急事態。話すことで事態が進展するのであれば、話さなければならない。そういう思いを抱き、クルークはサクヤにこの話をする決断をしたのでした。
 彼の話を聞いて、それならばとすぐに記録を漁り始めたアクラル。その話を聞いた大典太は1つの可能性を提示します。『メフィストは今邪神なのだから、彼の呪縛を解くのは簡単ではないか』と。
 ―――しかし、その言葉にはサクヤが優しく否定の言葉を並べたのでした。



サクヤ「それはないと考えて良さそうです。もしメフィストがヴィルさんの呪縛を解けているならば、既にえむぜさんの命はないものと思った方がいい。と、いうことは…。彼の呪縛を解く方法が分かっていない、もしくは彼には解けない。どちらかだと思います。
    そもそもが、あの呪縛は『ヴィルさんでも解けない代物』です。いくら邪神となったメフィストが関わり、異世界のミミさん、ニャミさんが『永久』の力を得ていたとして…彼の呪縛を解くことは不可能だと思います」

大典太「……そう、か。あいつが邪神にされて日が浅いのも俺達にとっては有利に運んだのかもしれんな」

マルス「うん。もし自分の力を解析できる時間と、それを考える余裕があったんだったら―――。きっとぼく達に為す術はなかった。ただ、あいつがやることを固唾を呑んで見るしかなかっただろうね」

アクラル「どれどれ~?……おっと、あったあった。この動画ファイルに残ってる。サクヤ、中央のモニターに今から映すぜ。再生速度は?」

サクヤ「えむぜさんが現れた辺りまで飛ばして、そこから0.5倍速で確認しましょう」

クルーク「大丈夫、大丈夫だ…」



 話し合っている間に、アクラルが『動画の準備が出来た』と声をかけてきました。中央のモニターに映すよう指示し、その場の全員がモニターの近くに集まります。
 アクラルが動画ファイルを操作し、ミミ達とMZDが鉢合った時間まで早送り。そして―――。



サクヤ「兄貴。ここから0.5倍速でお願いします」

アクラル「分かった。なんか見つけたら言ってくれ。一時停止してスクショ取るわ」

前田「ミミさんニャミさん同士が言い争いを始めましたね…」

アシッド「この辺りで、メフィストが正体を明かしたのだったね」



 ゆっくりと流れる動画をしっかり見つつ、あの場で何があったのかを再確認する一同。そして―――場面は、異世界のミミとニャミが『永久』でこの世界の自分達を消そうとするシーンまで流れました。
 動画の中では『永久』を生み出した影響で強風が吹き荒れています。―――と、その時。前田がとある場面を見た瞬間、アクラルに動画を一時停止するよう要求。



前田「アクラル殿!動画を止めてください!」

大典太「……どうしたんだ前田。何か見つけたのか」

前田「はい。強風で服が少しずれるのを確認しました。一瞬ですが、神様の胸元が見えました」

サクヤ「分かりました。兄貴、すぐに画面のスクショを撮って、えむぜさんがいる部分を拡大してくれますか」

アクラル「オッケー。了解!」



 静止画面を拡大し、MZDが写っている部分を見やすくします。すると―――。確かに前田のいう通り、強風に煽られて心臓部分が少しだけ見えていました。そして……そこにあったのは。
 クルークが話に聞いていた、『u』のような黒いタトゥーのようなものが。『呪縛』が、確かにそこには写っていたのです。



前田「ありました!アルファベットの『u』のような文字が少しだけ見えます!」

アシッド「―――そう、か。ならば……彼は完全には消滅していないことが確定したね。……やはり、取り乱す必要などなかったんだサクヤ」

サクヤ「……あの件はもういいではありませんか。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした…」

大典太「……だが。あいつは何故そんな回りくどいことを―――あっ」

前田「大典太さん?」

大典太「―――そうか。だから『彼奴を確実に潰す為』か…」

サクヤ「何か、分かったことがあるのですか?」



 呪縛が解けていないということは、ヴィルヘルムはどこかで生きていることが確定しました。身体は消滅してしまった為、恐らく魂のままあの街のどこかにいるのでしょうが…。
 からかうようにサクヤをあしらうアシッドの後ろで、大典太はその『彼』に言われたことを思い出しました。そう。『単独行動を許してほしい』と申し出た真意を。薄々感付いたのです。



大典太「……主。あの男は作戦遂行前、『メフィストを確実に潰す為、準備をしたい』と言っていた。もしかしたら―――この消滅も、奴の『作戦』なのではないか?」

クルーク「えぇ?! 作戦?! でも、どうしてそんなみんなを心配させるようなことを…」

サクヤ「『貴殿らに危害を加えるつもりはない』と、彼は言っていましたね。それと、自らの身体の消滅がどう関わり合っているのでしょう…」

大典太「…………。―――『死んだ』と相手に思わせることが『準備』なのか?」

前田「え?」

アシッド「確かに、敵味方全てに『自らの消滅』を大袈裟に見せつければ…。その後は、誰にも気付かれず行動が出来る。皆『死んだ』と思っているのだからな。
     恐らく、今はメフィストを潰す為の『準備』とやらを着々と進めているのだろうよ。我々の理解に及ぶところではないがね」

サクヤ「だとすると、下手に彼の援護はしない方がいいでしょう。ヴィルさんが生きていることも、この場だけの共有事項とします。話が外に漏れてしまった場合、彼の『準備』に影響が出ても困ります」



 あの男、一体何を考えているんでしょうね。自らの消滅をカモフラージュしてまでメフィストを確実に潰す、とは。もしかすると、大典太が随分と前にサクヤに口出ししたように、本当に彼の内には『彼の思っている以上に恐ろしい闇』が隠されているのかもしれません。
 ―――となると。自分達に出来ることは。ミミ達を援護すること、その一択です。



サクヤ「クルークくん。マルスさん。アカギ達にもうしばらく本部の警備を頼むよう伝言をお願いできますか」

マルス「……分かった。ここに残ってもぼく達が出来ることは何もなさそうだからね。伝言を伝えたら、そのまま警備に戻るよ」

サクヤ「ありがとうございます。―――我々はミミさん達の援護をいたしましょう。ヴィルさんが何を考えているか知る由もありませんが…事態が動き出してしまった以上、彼らがえむぜさんに危害を加えることは確実でしょう。完全には止められなくとも、被害を最小限に。そして―――確実にえむぜさんを救出し、メフィストと決着を付けますよ」

大典太「……あぁ」

アシッド「そうだな。邪神もどきが過去を捻じ曲げ、世界を滅ぼすなどあってはならない。そんな『運命』、私は認めるわけにはいかない。―――必ず止めよう。この世界の未来の為にも」




 改めて決意を胸にし、各々持ち場へと戻ります。今度こそ。誰の犠牲も出さず、MZDを助ける。そして―――コネクトワールドの『未来』を守る為。サクヤ達は動き始めたのでした。