二次創作小説(新・総合)
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.253 )
- 日時: 2021/05/22 11:12
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
前回に引き続きダンガンロンパパロです。原作同様に鬱展開や死ネタが多く、キャラクター同士の殺し合いを見たくない人は即座にブラウザバック&回れ右!ポジションのためかメイプル社長の性格が最悪です。あと、今回のパートはダンガンロンパシリーズのネタバレ要素がぼちぼち含まれてるので注意。全く関係ないですが、5月21日は夢見草の誕生日でした。先日発売されたゾ〇サガ2期OPfullバージョンを聞きながら誕生日を迎えましたよ。1番もスルメが効いてて良かったけど推しパートの多い2番が熱くて最高。大きかれ小さかれ生きていれば良いことはありますね。読者の皆さんも去年に引き続き色々フラストレーションが溜まっている部分は多いでしょうし、何だかんだでよい1年になるといいのですが。
「前回までのあらすじ」
第1の殺人事件の結果レトリーが殺され、見せしめとしてコリエンテは「オシオキ」の名の下処刑された。メイプルの言葉に乗って殺人を犯そうとした者と、たとえコリエンテの正当防衛のようなものであっても、どんな理由でも殺人をしてしまった者には迷わず死が与えられることに集められたアイドル全員は言葉を失う…。
シアン「…もう、朝なんだ」
翌日、シアンは「シャイニング」の自室で目を覚ました。はじめは元の自分の自室なのか、あの最悪な出来事は悪い夢なのかと思ったが、無機質な部屋と自分の私物が少なかった点からすぐ現実に引き戻された。最初は部屋に戻ってベッドに入りひたすら泣いていたが、いつの間にか疲れて眠りについてしまったようだ…。その理由は言うまでもなく、レトリーの殺害とコリエンテの処刑…。
シアン「レトリー…!コリエンテちゃん…!」
腹部にナイフが刺さり血の気の引いたレトリーの亡骸とあまりにも残虐な処刑方法で葬られたコリエンテの最期に再び目に涙が浮かぶが、いつまでもこのままではいられない。これ以上殺人を犯さずにここから脱出する方法はあるはずだ。猫族のミューモンの少女はゴシゴシと目を擦り、身支度をして自室から外に出た…。
第2章 「BAD HEAD LOVE」
「探索場所の解放と『動機』」
シアン「おはようにゃん」
真斗「ああ、シアン。おはよう。朝食はもう出来ているぞ」
アン「早く起きてきた私と真斗くんで作っていたんです!良ければ運ぶのを手伝ってもらえる?」
シアン「うん!もちろんにゃん!」
食堂にやって来たシアンは先に起床していた超アイドル級の書道家と超アイドル級のパティシエと鉢合わせる。彼らはキッチンで朝食を作っており、それは温かく美味しそうだった。
シアン「とっても美味しそうだね!真斗ちゃんもアンちゃんも料理上手にゃん〜♪」
アン「えへへ、ありがとう…!」
真斗「俺の家は多忙なことに加えて妹がいるんだ。その妹のために作ることがあって、いつの間にか得意になった」
シアン「妹ちゃんがいるの!?どんな子?」
真斗「そうだな、少しお前に似ているところがあるぞ」
アン「シアンちゃんに似ている妹さんかぁ…。良いですね、兄弟がいない私にとっては色々想像できるものがあります!きっと可愛いんだろうなぁ…」
真斗「そうか。兄弟がいると言うことで良いことも有れば悪いこともあるが、俺にとって妹がいないと言うことは考えられないな」
アン「なるほど…!えっと今日からお皿とコップとお箸は14個ずつでいいのね。…作る分も用意する分も、減っちゃいましたね…」
真斗「……」
シアン「アンちゃん、真斗ちゃん…」
タロー「おっはよー!あっ、真斗とシアンちゃんとアンちゃんがいたんだね!うわー!とっても美味しそう!今日がこれの朝ごはん!?」
アイドルロンパ更新!感想まだ
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.254 )
- 日時: 2021/05/22 11:19
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
レトリーとコリエンテがいなくなったことで食事を用意する数が減った。それははっきりと目に見えるものであり、心優しく料理上手な2人の心にダメージを与える。ただし気まずい雰囲気になったところでちょうど明るく元気なタローが起きて来たため、3人は笑顔で彼を出迎えた。そのあと続々と他のアイドルたちが起きてきたため、彼らは朝食を取る。だが、ある程度食事が進んでいると…。
メイプル「超アイドル級のみんなー!おっはよーございまーす!」
全員「……」
メイプル「あれ?誰も返事をしてくれないの?芸能界では挨拶は基本でしょ?」
全員「……」
メイプル「何?ストライキを起こす気?そっちがそのつもりならボクにも案はありますぞ?手帳に『社長に挨拶を返さないものは即座に処刑する』と言う項目を加えちゃいますぞ」
全員「…おはようございます」
メイプル「分かればいいの!じゃあ早速だけど、ボクからみんなに伝えることがありますぞ!」
何が挨拶は基本だ、それ以前にお前は人の命や尊厳や心を平気で踏み躙る癖に。誰だってこいつと言葉を交わしたり返事なんてしたくない。抵抗を決めようとしたアイドルたち全員だったが、権力者のメイプルにそれは阻まれてしまった。アイドルたちの目論みを阻止したところでメイプルはある事実を伝える。
メイプル「実は!なんと!この事務所は殺人が起こるたびに行ける場所が増える仕組みになってまーす!昨日コリエンテちゃんがレトリーちゃんを殺したお陰で、生き残ったキミたちはこの大きな事務所の新しい部屋に行けることが出来るようになりました!どう?素敵でしょ?」
ロージア「胸糞悪い言い方をするんじゃないわよ!あの子たちのことを悪く言うな!」
カミュ「それにどうせ貴様はその新しい部屋とやらで、再び俺たちの間に殺人を起こす火種を生み出そうとする気だろう」
藍「とにかく、僕たちはアンタの言うことなんて信じないから」
メイプル「みんな塩対応ですぞ、しょんぼり…。これが超アイドル級のみんなの裏側の顔なんだね?ファンの子達が見たらガッカリしますぞー?」
音也「何だよ、それ…!?」
クロウ「お前ら、少しは落ち着け。マジでこいつはクソだが、行ける場所が増えること自体は悪いことじゃないだろ」
サユリ「…確かに、それはそうだね。今までは食堂とキッチンとレクリエーションルームとみんなの個室だけだったから、気晴らしをしたい時はちょっと不便だったわ」
翔「…行ける場所を聞くことだけは、価値がありそうだな」
那月「そうですね…。みんな、このお話を聞いたらもうこの人とはさよならしましょうか」
メイプル「ボクの扱いの悪さに納得いかないけど、聞く気になったならまあ良いですぞ。キミたちが行けるようになったのはこの事務所の2階にある音楽室とプール!」
全員「…?」
メイプル「キミたちはアイドルでしょ?歌ったり音楽を聞いたりすることは好きなはずだし、確か運動が好きな子もいたはずだから気分転換に泳いでリフレッシュすることは良いことだと思いますぞ」
タロー「ふーん。プールは良いね!俺、泳ぐことは大好きだしさ!」
メイプル「やっと賛同者が出てホッとしましたぞ。あっ、それともうひとつキミたちにビッグニュース!」
シアン「にゃ?ニュース?」
メイプル「快適なコロシアイ生活を行うために、ボクがみんなに『動機』を用意しましたぞー!」
ナカジ「はあっ!?」
再び現れた「コロシアイ」という言葉にその場にいたアイドル全員が過敏に反応し、一斉に立ち上がる。しかも「動機」を用意すると言った…?
真斗「おいメイプル!コロシアイのための『動機』とは一体どういうことだ!?」
凛「しかも殺人を犯すためのものって…!?」
メイプル「『動機』は超アイドル級のみんなが抱えているステキな秘密のことですぞー!魑魅魍魎の芸能界を逞しく渡り歩いてきたみんなのことだもの、ひとつやふたつはブラックな秘密もあるよね?例えば、オーディションの時に他のライバルを蹴落とすための妨害とかさ!」
アン「そんな後ろ暗いことなどありません!私たちはみんな、自分の努力と実力で芸能界を生き抜き活躍して来ました!他の人を蹴落としたりといった卑怯なことなんてするはずありません…!」
メイプル「どうだか?とにかく、この『動機』にはみんなが隠したい秘密が書かれているし、もしそれを他のアイドルたちに知られたら絶対相手を殺さなくちゃー!と思うものになるはずですぞ!それじゃ、ボクはここでアディオス!」
真斗「おい、待て…!」
勝手にそう言い残すとメイプルはあっという間に食堂から姿を消した。追いかけようとしたアイドルたちだが、元凶である残酷な社長の姿は見当たらない…。「動機」の存在は気にかかるが、ひとまずそれは頭から置いておき、彼らは行けるようになった2階を探索することにした。
2階にあったのは言われた通り大きな音楽室であり、さまざまな楽器があった。それは学校の音楽室とは比べ物にならないほどの充実ぶりであり、中には全ての電子楽器や音楽プレーヤーを作動するパソコンや機械などもある。一方、その反対側にあったのは更衣室とプールであり、プールの全長は25メートルに加えてプールサイドには会話や軽食を楽しむことの出来るテラスなどアミューズメント施設の一角のように豪華。どちらもこんな環境でなければ非常に良いものだと言えるだろう。真斗や藍などといった泳げない一部のメンバーを除き、彼らは音楽室やプールでレクリエーションを楽しむ。コロシアイの惨劇があったことなど一旦忘れ、彼らは無理矢理閉鎖空間に閉じ込められた鬱憤を晴らすかの如く楽しんだ…。
その夜、自室に戻ったシアンは「動機」の書かれた手紙が自室内に届けられていることに気づいた。だがその内容は「自分の寝相が悪く、よくベッドから落ちてしまう」というもの。恥ずかしさはあるが、これを知られたところで殺人を犯そうなどとは到底思わないものであった。何故こんなものがコロシアイ生活のトラブルの火種になるのかと疑問に思うシアンだったが、彼女は深く考えずに眠りについた。
だが、シアンのようなアイドルたちは気付かなかった。この「動機」の書かれた手紙を見たことで顔色を変えたアイドルが数人いたことに…。
嫌な予感が…。感想まだ
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.255 )
- 日時: 2021/05/22 11:26
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「第2の殺人」
それから3日後、気に入ったプールで泳ぎはしゃぎ疲れたシアンは自室でシャワーを浴びるが、しばらくすると何故か部屋の電気が消えてしまった。事務所内に少しの間、停電が続いたがすぐに電力が復活する。しかし彼女は精神的な疲れもあり、そのまま眠ってしまう…。
翌朝、シアンは大掛かりな死体発見アナウンスで目を覚ます。何事かと思い、死体が発見されたプールの方へ行くとそこには首や手足にダンベルを括りつけられて溺死したタローの水死体が発見された…!
「うわあああああー!!!!!」
「遺体が発見されました。クロを暴くための捜査を開始します」
シアン「これって、音也ちゃんたちの声!?何があったのにゃ…!?」
ロージア「よく分からないけど、誰かが遺体を見つけたみたい…!」
クロウ「シアン、ロージア、朝からキツいが現場に向かうぞ…!
シアン&ロージア「うん(ええ)…!」
廊下で出会った3人はそのまま死体が発見されたプールへ。プールには音也と翔と藍とナカジという先客がおり、特に音也と翔はウェットスーツを着用していたが水に全く触れていないのでプールには入っていない様子だった。そして発見現場となったプールには、ダンベルを括りつけられて沈んでいる真っ青なタローの水死体が…!
「備考」
・「死体発見アナウンス」は殺人を犯したクロ以外の3人以上が死体を見つけると事務所内の全ての場所で放送され、クロを暴くための捜索とアイドル裁判への準備が始まる。
・タローの死因は溺死であり、頭には打撃痕があった。何者かに襲われたと考えられる。
・死体を見つけたのは音也と翔。彼らは解放されたプールを気に入り泳ごうとしたが、その際プールに沈められたタローの死体を見つける。
・タローが死んだ時刻は昨日であり、その時に停電が起きていた。恐らく停電時に襲われたのだろう。
・だが、停電時には全員のアリバイがあった。ちなみに停電は3分間だけと思っていたより短かった。
・停電時になると大半の電子機器類が動かなくなる。
「アイドルたちの証言」
・翔の証言:第1発言者の1人。音也に誘われてプールに入ろうと思ったら、水中に沈むタローの遺体を発見して驚いて叫んでしまった。ちなみに少しだけプールの水がプールサイドに出ていたのだが、何故か足元の水が少しザラザラしていたような気がする。
・カミュの証言:停電が起きる前は大浴場に行こうとしていたが、道中で停電が発生。何事かと驚いたが道中で懐中電灯を持つナカジに遭遇。そこで彼と共に真っ直ぐ事務室に向かってブレーカーを上げに行った。部屋に戻るまではナカジと一緒に行動していたが、最後にナカジが自室に戻る時に彼の部屋から身が震えるほどの冷気を感じ、その奥には熱風を送るドライヤーがあったという。
・ナカジの証言:停電前は自室でシャワーを浴びており、髪の毛をドライヤーで乾かしていた。停電時は部屋にあった常備灯で真っ直ぐブレーカーがある事務室へ向かう。道中ですぐにカミュに出会い、2人でブレーカーを上げに向かう。ちなみにブレーカーを上げたのはナカジ本人。明かりを取り戻した後は緊急事態ということもあり、自室に戻るまでカミュと行動した。彼らは大急ぎでブレーカーを上げに行ったため、部屋にある電子機器類を放置していたと考えられる。
・サユリの証言:意気投合した凛と一緒にギターとキーボードでセッションをしようと音楽室に向かったが、その音楽室から激しい物音がした。室内で誰かが多くの機材や電子楽器を使用していただろうと思い、音楽室に行くと誰もいなかった。機材の使いっぱなしはよくないと思い、電源を切ろうとしたら停電が発生してしまい、電気が復旧するまで身動きが出来なかった。
・凛の証言:サユリと同じ証言であり、彼女は好きなギターを弾こうと音楽室へ。その際に無人の音楽室から何故か騒音があった。監視役のメイプルに文句を言われる前に電源を落とそうとしたら停電が起きてしまったという。サユリと同じく、停電のせいであまり動けなかった。
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.256 )
- 日時: 2021/05/22 11:32
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「2度目のアイドル裁判」
場面は変わって2度目のアイドル裁判へ。だが状況が悪化してしまい、シアンたちは窮地に追い込まれていた。アイドルたちのアリバイや現場の証拠はあるのだが、それらがどうしてもうまく結びつかないので真実にたどり着けないでいる。だがそこに追い打ちかけるかのように第一発見者の1人である音也がとんでもない事をしでかしてしまい、すべての推理が台無しになったのだ。彼は悪気があってやった訳じゃないのだが、そのせいで真実を暴こうと推理をするアイドルたちが不利になった事は事実である…。
翔「お前は何してんのじゃー!」
藍「オトヤ…何してんの…」
凛「わざとじゃないのは分かってるけど、これはないわよ…;」
カミュ「これだと一十木、貴様が容疑者の1人と捉えられてもおかしくないぞ…」
音也「本当にごめんってー!」
彼が怒られている理由は音也が事務所の備品にあった磁気厳禁の物を近づけて使えなくなってしまったことが原因で裁判を混乱させたから。つまり音也のうっかりミスが原因で怒られた。それに対して色々言い合うアイドルたちを周囲が止めようとするも、主に仲裁を兼ねる真斗たちにとってはそれどころではない。
ロージア「あんたのせいで余計に事件解決が困難になったのよ!?分かってんの!?」
真斗「落ち着け!一十木も悪気があってやった訳じゃない!」
アン「皆さん、一旦冷静になってください!ねっ?」
那月「音也くん、みんな、一旦深呼吸して落ち着きましょう!はい!ヒッ、ヒッ、フー!ヒッ、ヒッ、フー!」
サユリ「那月くん、それは深呼吸じゃなくてラマーズ法だから!?」
音也「だって、だって俺だって分からなかったんだよ…!」
音也「俺はあの備品に磁石を近付けちゃダメだったなんて、知らなかったんだ!」
シアン「!」
音也のさり気ない発言がきっかけでシアンはとっさに何かを閃いた!その瞬間、彼女の脳は盛大に活性化し、今回の事件のトリックと殺害方法を見抜いた!
シアン「…分かったにゃん!アリバイがある中でも殺人は可能だったのにゃん!」
カミュ「何だと…!?」
ナカジ「どういうことだ…?」
シアン「あたしたちは犯人に騙されてたの!この事件、アリバイがある状態での殺人は可能だったの!磁石を使った音也ちゃんのおかげで分かったにゃん!」
音也「え?俺のおかげ…?」
シアン「その前に少しだけもう一度見直すにゃん!まずは…これから!」
まずシアンは電子手帳で被害者のタローに括りつけられていたダンベルを表示。そのダンベルは銀色に輝いていていた。このダンベルに何か秘密があるのだろうか?
シアン「みんなはこの重たいダンベルでタローちゃんが溺れ死んだと思ってるでしょ?」
藍「タローの体にはたくさん水が入ってたからね…。それがどうかしたの?」
シアン「…みんな、タローちゃんは溺れ死んだと思ってるでしょ?」
シアン「でもね、タローちゃんの死因は溺死じゃないのにゃん」
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.257 )
- 日時: 2021/05/22 11:38
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
シアンの一言に場の空気は一転。タローの死因が溺死ではない事に驚きを隠せない。それにプールにはダンベル以外の物はなく、ましてや凶器になりそうなものはない。
翔「別の死因って…!?おいシアン、お前は正気なのか!?」
シアン「翔ちゃん、落ち着いて!みんな、ちょっと思い出して欲しいんだけど、プールの上にある移動スペースには何があったか覚えている?」
藍「何って?プールの水質や水温を調整するプールの調整装置があるんでしょ?」
シアン「藍ちゃん、正解!電子手帳に書いてあったけど、あれは電磁石で動くんだよね?」
真斗「それにあれには相当な磁力があると聞いた事があるぞ!俺は泳げないことからプールに近付いていないから詳細は分からんが、電子手帳にも調整装置についての記載があったよな?」
ロージア「そうだったわね…!それに最初にあの装置を見た時に、ロージアちゃんのヘアピンがあの装置にバチっとくっついたんだもん!」
ナカジ「でもそれがどうしたんだ?電磁石で感電なんて無理があるだろ?何より停電時になると動かなくなるし…」
ある人物が発言をした瞬間、シアンはそれを見逃さずに追撃する!
シアン「犯人はね、タローちゃん殺害前日に発生した停電を利用したのにゃん!そう、プールで溺死じゃない方法でタローちゃんを殺してね?」
クロウ「停電を利用…?」
シアン「うん!遠くにいながらも条件と時間が合えば、タローちゃんを殺す事も十分出来るにゃん!そしてそれが出来たのは…」
シアン「ナカジちゃん、ナカジちゃんならそれが出来るよね?」
ナカジ「……」
ナカジがタローを殺した殺人犯と指名した瞬間、殺されたタローの幼馴染であり、疑われている彼の恋人であるサユリが声を上げた。
サユリ「シアンちゃん!ナカジくんが殺人を犯すなんてあり得ないわ!それによりによって大親友だったタローくんを殺すなんて…!何よりナカジくんは停電中にカミュさんと一緒にブレーカーを上げに行っていたから、その時間はプールには近づけなかったのよ!それにブレーカーのあった場所からプールまでには長い距離はあるのよ?そこからどうして、ナカジくんが殺人を犯せたって言うの!?」
カミュ「確かに、中島は停電発生時に俺と共にブレーカーを上げに行っていたな。お前は先程アリバイはなくても反抗可能といったが、その根拠はどこにあるのだ?」
普段穏やかで滅多に怒らないサユリが激昂し、場は一触即発の状態。恋人のナカジが犯人扱いに怒るサユリに対し、犯人として扱われたナカジは終始冷静だった。
ナカジ「シアン、面白い発言だな。だったら、お前は俺がどうやってタローを殺したのか言えるのか?」
シアン「言えるにゃん!アイドルみんなの証言がナカジちゃんの犯行を暴くにゃん!」
ナカジ「あいつらの証言?翔やカミュやサユリや凛たちの証言は何もおかしいところはないし、正しいだろ?俺の証言にもどこにも見落としはないし、嘘なんてないぞ。俺はほぼ自室にいたし、停電時以外は誰にも会っていなかったぜ」
シアン「それは違うにゃん!」
ナカジ「!」
超アイドル級の退魔師の挑戦に猫族のミューモンの少女は反論する。彼女は電子手帳を操作し、サユリや凛たちが使用していた音楽室の機材の使用データを表示。そこにはアラーム設定で稼働するように設定した時間帯が堂々と表示されていた。
シアン「捜査時間中、クロウちゃんと一緒に音楽室で利用者の情報を調べたの。そうしたらシンセサイザーや音楽起動ソフトに予約が入っているのがあったにゃん。ナカジちゃんは頭が良いし、最近のパソコンは色々と便利だしね!ここではメイプルのせいでインターネットが使えないのは嫌だけど…」
ナカジ「…!」
クロウ「ああ、無人でもスイッチ一つで稼働するソフトウェアもあるし、殺されたタローや音也や翔ならともかく、お前だったら説明書さえ見れば大体機械やソフトウェアの動かし方は分かるだろ?そう言えば、最初全員で音楽室に来た時にお前は音楽室にある機材の使い方を記された本を読んでいたよな?」
ナカジ「お前、見てたのか…!」
那月「じゃあ、僕たちが停電の時に聞いたのは使用中のものじゃなくて、あらかじめセットされた音だったんですか…!あの時はとっても大きな音がしたから、びっくりしました…!」
ナカジ「確かに俺もギターをやってるし、音楽などを聞いたり演奏したい時がある。それは俺の設定ミスだ…。だけどそんな事をして、一体何のためになるんだ?」
シアン「簡単にゃん。タローちゃんを殺すため、の準備にゃん。さらに…!」
シアン「ナカジちゃん自身が事務所の電気を操って、わざと停電を起こす事も出来るにゃん。だよね、停電発生源の張本人さん?」
ナカジ「!」
今の発言でナカジの心にダメージを与える。普段は冷静な彼も額に脂汗を流し、顔が引きつっていた。停電を故意に起こした?まさか、超アイドル級の退魔師が停電を起こした張本人なのか…?
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.258 )
- 日時: 2021/05/22 11:45
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
今回の殺人事件のトリックは…?
ロージア「あいつが停電を起こしたの…!?」
真斗「そういう事か…。それなら確かに遠くにいても犯行可能だな…!」
音也「え?え?どういうこと?」
凛「さっぱり分からないわ…」
シアン「みんなが混乱しているからさっさと説明するね!犯人は最初に音楽室に行って電子楽器や機材を特定の時刻で作動するように設定。その次にタローちゃんをプールに呼び出して気絶させると、首や手足にダンベルをつけて移動スペースにある調整装置に張り付けたのにゃん。それもプール側に向けて…。そのあとに水の中の電気の通りを良くするためにプールの中にお塩を撒いたり、プールにちぎれたコードなどの感電しやすいものをプールに入れる。こうするとどうなるか分かる?」
アン「タローくんは調整装置に固定されています。そしてプールには電気が流れて…まさか!?」
サユリ「まさか…!そんな…!」
クロウ「全員気付いたみてーだな。翔が言ってた『プールサイドにあったザラザラしたもの』はナカジによって撒かれた塩のことだろ。写真があるが、これは停電が起きる前のプールの状態だ。準備を整えた犯人は自室でも電化製品を使い、懐中電灯を持って事務所に向かう準備をする。これだけでは流石にまだ停電は起きないが、音楽室にアラームを掛けてあらかじめセットしていた機材がいきなり動き出したら、どうする?」
藍「…言うまでもないよ。停電が起きる」
犯人は犯行前に音楽室の機材を特定の時刻で作動するように設定すると、タローを呼び出し、彼を殴って気絶させる。気を失った彼に首や手足にダンベルを括り付けて、移動スペースにあるプール調整装置の電磁石が作動している部分に体をプールに向けて張り付ける。そのあとに感電しそうなものを用意し、プールの中に投入する。これで準備は完了。その次に犯人は自室に戻り、自分の部屋にある電化製品をいろいろ使用をして部屋にいたかのようにアリバイを作り、事務室へ行く準備をする。そうすると時間が来て音楽室の機材が作動する。
このように1度に大量に電気を使うようなことをするとブレーカーが落ちるのは当たり前だ。だが、ブレーカーが落ちると…?
カミュ「連を固定していた電磁石の磁力がブレーカーが落ちたことによって外れて…!」
真斗「装置に張り付けられた連が、プールに落ちる…!」
シアン「正解。だけど、この時点ではタローちゃんはまだ死んではいないにゃん。そして事務所は停電してるにゃん。だから事務所内の全ての電子機器はストップ。そこに犯人が大急ぎで事務室に向かってブレーカーを上げに行く。それで、犯人がブレーカーを上げた瞬間…!」
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチィ!
シアン「電力が戻って、プールに落ちたタローちゃんは感電しちゃうにゃん!そう、タローちゃんの本当の死因は溺死じゃなくて感電死だったのにゃん!」
衝撃の事実が発覚。プールで発見されたタローの死因は溺死じゃなくて感電死なのだ!停電を利用した殺害方法にアイドル全員は言葉を失う…。つまり自分で故意に停電を起こし、電力を復活させて殺害した人間が犯人なのだ。そして、ブレーカーを上げに行ったのは…!
シアン「最後にプールの方に行って、感電の原因となる凶器を回収すればみんなタローちゃんの死因を溺死と勘違いしちゃうにゃん。そうでしょ?ナカジちゃん?」
ナカジ「…そうだ、見事だ…」
論破!
自分の犯行の全てを見抜かれた超アイドル級の退魔師であったが、彼の顔はどこか誇らしげだった…。
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.259 )
- 日時: 2021/05/22 11:52
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「退魔師の少年は紙飛行機の少女を愛する」
その後、コリエンテの時と同じようにアイドルたちによるアイドル裁判の投票がされ、スロットにナカジの顔が映し出された際、コインがジャラジャラ湧いた。そう、タローを殺したクロはナカジだったのだ。幼馴染の大親友を殺した自分の恋人に、紙飛行機の少女はか細い声で問い掛ける…。
サユリ「…ねえ、ナカジくん。どうして、どうしてタローくんを殺したの…!?」
ナカジ「…それは、お前を守るためだ」
サユリ「私を守るため…?」
ロージア「ナカジがサユリの恋人だから…?」
音也「守りたい気持ちはわかるよ。でも何でわざわざタローを殺す必要があったんだよ!タローは人に危害を加えるような奴じゃないって、それはナカジが1番分かってることでしょ!?」
ナカジ「…確かに、あいつは人を殺したり危害を加えるような奴じゃねえ。普通の状況ならもちろんそうだ。だが、この状況なら例えあいつでも、何がどうなってもおかしくない…!」
カミュ「この状況?…おい、まさか…!」
クロウ「『動機』が関係していたのか?」
サユリ「!」
アン「サユリちゃん、顔色が悪いけど大丈夫ですか…!?」
メイプル「サユリちゃんは黙秘権を貫くみたいだけど、ここからはボクが説明しちゃいますぞ!」
2章冒頭でメイプルが生き残っているアイドル全員に提示した「動機」という言葉にサユリは固まる。彼女の顔色は真っ青であり、今回ナカジが殺人を犯した理由の根幹に関わっているようだ。ずっと黙秘権を行使する紙飛行機の少女の代わりに、メイプルが代弁する。
メイプル「実はサユリちゃんの『動機』が書かれた手紙にはあることが書かれていたんですぞ?それはサユリちゃんが幼い頃の話であり、サユリちゃんのご両親に関係することですぞ。先に言っておくと、サユリちゃんのご両親は娘のサユリちゃんのように穏やかで温かく優しい人たちですぞ」
ナカジ「…俺はサユリとは昔からの付き合いだから、おじさんやおばさんたちには何度も会っている。愛情深く、俺やタローのことも親戚の子どもみたいに可愛がってくれた良い人たちだった」
凛「私は会ったことはないけれど、いつものサユリを見ているとご両親の人柄が分かるような気がするわ」
メイプル「サユリちゃんのお父さんは手先が器用で日曜大工も得意だった。サユリちゃんのお母さんは細かい作業…アクセサリー作りやペーパークラフトが趣味で、特にそれは趣味のレベル以上の実力を持っていた。きっとその才能がサユリちゃんに遺伝したり、お父さんやお母さんの手元を見て工作やペーパークラフトを覚えたりしたんだろうね?もちろん、ご両親は近所や仕事先の人からの評判はとても良かった。…表向きの話は、ですぞ?」
サユリ「……」
メイプル「キミはまだ小さかったから覚えていないのかな?ある日、幼いサユリちゃんは風邪を拗らせて酷い咳と高熱を出した。普段元気な娘の緊急事態にご両親は慌てふためき、すぐに車を出して病院へと向かった。だけど…」
キキーッ!
メイプル「その日は運悪く悪天候で、車を運転していたサユリちゃんのお父さんは小さな子どもを撥ねてしまった。子どもは大怪我を負っていたけど、病院で治療をすれば助かるかもしれなかった。だけど高熱を出して苦しむ自分の娘のことで手一杯だったサユリちゃんのご両親はその子どもを見捨てて車で走り去ったんですぞ?幸い目撃者はおらず、サユリちゃんは運ばれた病院で適切な治療を受けて3日後には元気になった。それと同時に、サユリちゃんを乗せた車が撥ねたあの子どもが亡くなった知らせがサユリちゃんが短期入院していた病院に入ってきたんですぞ」
自分の命が助かった代わりに、他の誰かの命は自分の両親が原因で失われた。秘密をバラされた紙飛行機の少女はガタガタと震え、その場にいたアイドルたち全員はサユリの秘密に言葉を失う…。
アン「そんなことがあったなんて…!」
翔「でもそんなの、サユリの親父さんやお袋さんを簡単に責められる問題じゃないだろ!?自分の娘の命が懸かってたんだぞ!?」
那月「そうですよ!それに誰にだって知られたくないことくらいあります!サユリちゃんを苦しめた上に、どうしてこんな残酷なことをするんですか!?」
メイプル「じゃあ逆に聞くけど、もし仮に自分の家族や友達のような大切な人が、勝手に車に撥ねられて、それが原因で亡くなったら君たちは平気でいられるの?しかも車の持ち主は亡くなった人を見捨てて走り去っているんだよ?もしこんなことを知ったら、君たちは平然としてはいられなくなると思いますぞ?」
全員「……」
サユリ「…私もこんなことがあったなんて、『動機』の書かれた紙を渡されるまで知らなかったわ…!昔、私が風邪を拗らせて肺炎になりかけたけど助かったということだけは知っていたけど…。その話をするお父さんとお母さんの様子が少し暗かったことは気になっていたけれど、まさか、そんな…!」
真斗「…小川の『動機』が殺人を犯すきっかけになるほど重いものだということは理解した。だが、何故それが中島が連を殺す要因になったんだ?そもそも中島や連は小川の『動機』を知っていたのか?小川だけでなく俺たち個人個人を含め、あの『動機』は基本的には本人しか知ることが出来ないもののはずだぞ?」
ナカジ「…俺がサユリの『動機』を知ったのは、俺がタローを殺す前の夜だ。あの晩、サユリは真っ青な顔で俺を部屋に呼び出してきたんだ」
犯行前夜…
サユリ「ナカジくん、来てくれてありがとう…」
ナカジ「ああ…。サユリ、お前、さっきから顔色が良くねえぞ?一体どうしたんだよ?約束は守るし、俺で良ければ何でも聞くぞ」
サユリ「…あのね、さっきから私の『動機』が書かれた紙がどこにもないの…!」
ナカジ「『動機』?ああ、俺が照れるとナナシの紙を顔に貼るとか何とか書いてあるあのふざけた紙切れか?だけどサユリ、何でそれをなくしただけでお前はそんな顔つきになってるんだ?」
サユリ「…あの紙にはね、昔私のお父さんとお母さんが人を轢いて、見殺しにしたって書かれてあったの…!あんな内容を知られたら、絶対にコロシアイ生活のトラブルの火種になっちゃう…!ナカジくん、私、どうしよう…!」
ナカジ「!?…チクショウ、マジかよクソッタレ!お前、その紙の特徴を覚えているか?俺がすぐに見つけて取り返してきてやる」
サユリ「うん…!真っ黒なドクロのシールが貼ってあったからすぐに分かると思うわ…!私も急いで探すね…!」
ナカジ「ああ…!誰か変な奴に見られてなければいいんだが…!」
サユリの部屋から退出したのち、ナカジはサユリの動機を回収するために事務所中を奔走した。運動が得意ではない彼は汗だくになりながらも、愛する少女のために必死で探し物をする。そして、対象のものは見つかった。彼にとって最悪な形で…。
ナカジ「何でだよ…!?何でよりによってあいつが、サユリの『動機』を持っているんだよ…!?」
彼の目に映ったのは、自分の幼馴染の大親友の少年が、悪趣味なシールの貼られた封の切られた手紙を持っている姿だった…!
ナカジ「封が切られていたことで、俺はタローが手紙の中身を見たことを悟った。それで、もうあいつを殺すしかないと思った。あいつが…タローが変な考えを起こして、サユリや他の奴を手に掛けようとする前に…!」
タロー「あれ?ナカジも泳ぎに来たの?珍しいねー!」
ナカジ「何だよ、俺が泳ぎに来ちゃ悪ぃってのか?」
タロー「そうじゃないよー!でも珍しいねって!俺や音也や翔ならともかく、ナカジは音楽室でギターを弾いたりするんじゃないかと思ってた!」
ナカジ「たまにはいつもと違うことをしてみるのもアリなんじゃねえか?…こういう風にな?」
タロー「えっ…?」
ドゴッ!
被害者:超アイドル級のサーファー タロー
クロ:超アイドル級の退魔師 ナカジ
犯行:自分の親友であるナカジに対して全く警戒心のないタローを呼び出し殴りつけ、ダンベルでプールの電磁石で動く装置にタローの体がプールに目掛けて落ちるように固定させる。電通性をより良くする塩をプールに撒いた後はドライヤーなどの室内の電化製品や音楽室のPCや機材を利用して電力を大量消費してわざとブレーカーを落とさせ、再始動のスイッチを押してプールに落ちたタローを感電死させる。その後はトリックに使った物を回収し、アリバイを立証した上で彼を溺死させたように見せかけた。動機はサユリの「動機」をタローが見たと思ったため。
次はナカジのオシオキ…。感想まだ
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.260 )
- 日時: 2021/05/22 11:58
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
ナカサユ好きの方は特に注意…
サユリの両親の闇に葬られた過去から発展した事件。元は自分が原因なのにそのせいで幼馴染の大切な友人であるタローは殺され、恋人のナカジはクロになってしまった。本来なら自分が殺されるかクロになるはずなのにとサユリはメイプルに自分を裁いてほしいと懇願する。だが、投票が投票なのでそれを変える事は不可能だ…。
サユリ「お願い!私をクロにして!私を裁いて、ナカジくんを助けて!」
メイプル「残念だがそれは無理ですぞ?それにサユリちゃん、自分に投票をしちゃダメですぞ?ちゃんとクロに投票しないといけませんぞ?これはコロシアイ生活のれっきとしたルールだからね!」
サユリ「嫌よ!そんなの、絶対に嫌…!私のせいでタローくんとナカジくんが殺されるなんて…!」
ナカジ「サユリ、泣くな。俺はタローを殺しちまった。それはもう決まっちまったことだし仕方ねえ…」
サユリ「嫌、嫌…!」
メイプル「…ふーん。そんなに嫌なら、サユリちゃんをオシオキ会場に連れて行くことは出来ますぞ?」
サユリ「?」
ナカジ「!?…おいテメェ、今、なんつった!?」
メイプル「この事務所でボクに出来ないことはないのですぞー!それじゃあ、オシオキターイム!サユリちゃんを先にワープさせて…!」
サユリ「えっ…?」
ナカジ「おい、やめろ…!サユリにだけは手を出すな…!」
メイプル「人殺しが何言ってんの?あの子のナイトを気取ってんじゃないよ?そんなキミにはとっておきのオシオキを用意したからね?恨み言はせいぜいあの世で言ってね?」
親友を殺した覚悟もあり自分が殺されること自体には納得していたが、愛するサユリに手を出されたことで退魔師の少年は大きく動揺する。そしてメイプルが片手を振ると紙飛行機の少女の姿は何処かへ消えてしまった…。
メイプル「それじゃあ、ワックワクドッキドキのオシオキターイム!」
ナカジ「サユリいいいいいいいいいいー!!!!!」
GAME OVER
ナカジマくんがクロに決まりました。オシオキを開始します。
首に鎖を繋がれた彼は引き摺られ、気が付くと薄暗く不気味な墓場にいた。前回のオシオキ対象者だったコリエンテと違い比較的涼しい顔をしているナカジだが、彼は顔や体をを墓場のあらゆる場所に向けており、メイプルによってワープさせられた愛する少女を探していた…。
ナカジ「サユリ…」
「中島くんの霊媒トレーニング」
超アイドル級の退魔師 中島進の処刑執行
ナカジ「俺、あいつに操られてんのか…。まあ、そうだよな。俺はタローを殺した殺人犯だし、前回のコリエンテのこともあるから、確実にここで処刑される…」
ナカジの目には墓場から隔離された部屋でゲームのコントローラーのようなものを操作するメイプルの姿が見える。そこから自分はメイプルによって操られている身だと悟り、すっと冷静になる。
ナカジ「だが、このような死の臭いや空気のする場所だと…。チッ、やっぱり来やがったか…!」
場所と嫌な空気から察知していたナカジだが、彼の予想通りにゾンビや異形のものがナカジ目掛けて襲って来る。退魔の力を持つ彼はそれを利用し、次々と襲い来る敵を倒していく…!
ゾンビ「ガアアアアアー…」
ナカジ「ふんっ!」
異形のもの「グゥオアアアアアー!」
ナカジ「たあっ!」
ゾンビ「ア゛ー…」
ナカジ「甘い!」
高い退魔の才能でゾンビ達を蹴散らしていく超アイドル級の退魔師。霊的なものを察知したり、魔や邪悪を払うスキルを持つ彼にとってはゾンビ程度の敵は雑魚だ。彼はゾンビの弱点である頭を潰して戦う。だが、長期戦やどんどん増える敵に流石のナカジにもだんだん疲労の色が見え始める。
ゾンビ&異形のもの「ググゥ…!」
ナカジ「チッ!これ以上動いていたら体が持たん…!体制を立て直すために一旦、逃げないと…!
残りの霊力もほぼなく、肉体と精神に疲労が蓄積するナカジは逃げながらゾンビや異形のものと戦う。逃げる彼に対し、生きる屍たちは逃げる相手を追いかける。屍の数は数え切れないほどあり、彼1人では対処が出来ない。すると、逃走を図る高校生の前方にある影が見えた。
サユリ「ナカジくん…!」
ナカジ「サユリ…!?」
そう、幼馴染であり彼の最愛の人物であるサユリだ。疲労が蓄積していた彼だが、次の瞬間弾かれたように走り出した。
ナカジ「チクショウ、サユリだけは絶対に傷付けさせねえ…!」
何故なら、墓場にいるサユリの背後に大量のゾンビ集団が映し出されたからだ!もちろん自分と異なり退魔の才能のないサユリには対処不可能であり、もしサユリがゾンビや異形のものに襲われればひとたまりもない…!
ナカジ「サユリに手を出すんじゃねええええええええええー!!!!!」
ドドドドド!
走ってサユリの元に駆け寄ろうとしたナカジに銃声と、弾丸の雨が降り注ぐ。それを背中からまともに食らった彼は身体中に無数の穴が空き、ばたりと倒れてしまった。彼を撃ったのは某警備隊のような服装をしたメイプルであり、メイプルがナカジを撃ったのだ。その後メイプルはフィールドに現れたゾンビや異形のものを全て一掃してサユリを救い出したが…。
サユリ「ナカジくん、ナカジくん…!」
メイプルに目もくれず、サユリは血塗れになりピクリとも動かなくなった幼馴染の恋人の亡骸に駆け寄りしがみついていた。彼の最期の死に顔は必死の形相であり、何とかサユリの元に辿り着いてゾンビや異形のものからサユリを救い出そうとしようとしたことが一目でわかる…。
サユリ「私の『動機』のせいでこんなことになっちゃって、本当にごめんね…!私がナカジくんに相談しなければタローくんも殺されずに済んだかもしれないし、ナカジくんもこんな姿にならなくて良くなったかも知らなかったのに…!ねえ、ナカジくん。いつもみたいに喋ってよ…?ナカジくんは口が悪いけど、本当は誰よりもタローくんや私のことを思って行動してくれていたでしょ?素直じゃないなとは思っていたけど、行動力があっていつも有言実行のナカジくんはカッコよかったし、恥ずかしがり屋で照れ屋さんなところは可愛いなって思ってた…。もしこれをナカジくんの前で言ったら絶対に怒られちゃうから、今まで言えなかったけどね?」
紙飛行機の少女は愛する退魔師の少年の死にポロポロと涙を流す。その涙は頬筋を通って雫となり、透明な水が既に生き絶えたナカジの顔を濡らす…。
サユリ「ナカジくん、最期まで私を守ろうとしてくれて、本当にありがとう…。でもね、私は出来るならナカジくんと事務所から一緒に脱出したかったな…。もちろん、タローくんやみんなも一緒にね?」
もう2度と聞けなくなってしまった彼の言葉と、最期の瞬間まで自分を想って行動した超アイドル級の退魔師に、超アイドル級の紙飛行機の少女はしがみついてしゃっくりあげる…。その姿はコロシアイ生活の中で落ち着きのあり女子みんなから頼られる穏やかなお姉さんではなく、愛しい恋人を失って悲嘆に暮れるただ1人の少女の姿だった…。
ナナシの紙を入手しました!
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.261 )
- 日時: 2021/05/22 12:05
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「オシオキを終えて…」
メイプル「エクストリィィィィィーム!人殺しの思うようにはさせないし、人殺しも殺人教唆も何もしていないサユリちゃんに危害を加えるわけがないですぞ!だってボクがこの事務所のルール違反になっちゃいますからね!そんなことも分からずに突っ込んでいくなんて、ザマァないですぞ!」
前回のコリエンテのオシオキを終えたあとのように興奮し切って叫ぶメイプルだったが、それをまともに聞くものは誰もいなかった。恋人を処刑されたばかりのサユリを気遣った彼女と親しい凛が彼女より先に裁判場から出るようにと他のアイドルたちを扇動し、彼らもそれに応じる。裁判所から自室に戻る廊下の途中で、合流したシアンと真斗と凛は会話をする。
凛「…ねえ、おかしいと思わない?」
シアン「え?何が?」
凛「動機が提示された時に、みんなは秘密が書かれた紙を処分するか部屋に厳重に保管しておいたはずよね?」
真斗「ああ、そうだな。俺は…幼少期の頃のたわいもない失敗だったから、別にばらされても人殺しをしようとは思わないものではあったが」
凛「私もよ。私が本格的なメイド喫茶とメイド服に興味があるって、どうしてあいつは分かったのかしら…」
シアン「シアンは寝ている時に時々、ひっくり返ってベッドから落ちちゃう話だったにゃん;でも、サユリちゃんのような大掛かりな動機だと、トラブルになったり人殺しに発展してもおかしくないものだよね…」
凛「それよ。そういうものなら尚更厳重に保管するか絶対中身が見られないように処分するはず…!でも、ナカジは殺される前に言ってたわよね?」
真斗「!…そうだったな。封が切られた小川の動機を連が持っていたから、中身を連に見られたと思ったと…!小川はしっかり者の性格だし、連もいくら小川と親しいからといっても無断に小川の部屋に立ち入るような奴ではない」
シアン「いくら仲良しの幼馴染って言っても、個人の守るべきプライバシーはあるにゃん!タローちゃんはそれを分かっている子だったはず…!」
内容は人それぞれだったが、サユリクラスの爆弾は一大事であり、絶対に他人へ暴露されたらいけないものだ!そうなると誰にも知られないように自分で厳重に保管するか処分するのが当たり前。だが、サユリ宛の手紙がタローの手に渡ってしまうという不幸が何で起きてしまったんだ…?
そう思っていると、廊下を清掃するメイプルがとんでもないことを口に出す。
メイプル「ボクはちゃんとゴミを処分したのになー?特にサユリちゃんへの手紙はばれたらまずいと思って、ちゃんと封を切ってゴミ箱に捨てましたぞ?そう、食堂のゴミ箱にね!」
清掃員の格好をしたメイプルがぽつりと呟いた発言の意味にシアンと真斗と凛は全てを理解する。
食堂のゴミ箱。それは最も人の出入りが食堂にあり、もっとも人目に付く場所に置いてある。そんなところに手紙を捨てたら大問題だ。今回の殺人が起きたのはそこにサユリに関する大きな秘密が記された手紙が捨てられ、誰かが見つける事によってサユリを殺すようにアイドルたちの殺意を促すためだろう。しかもわざと封を切って、手に取った物がサユリの手紙の中身を見たと勘違いするように…!今回は不幸なことにタローが手に取り、それを見たナカジが中身を見たと勘違いしたことで殺人が起こってしまったが、仮にサユリを脅すような卑怯なアイドルが回収したら、それを見られたサユリが激怒して秘密を見た上に自分を脅した人間を殺すかもしれない…!そう、この事件は彼女がクロになっても全くおかしくはなかったのだ。ここまで仕組まれた行為をしたのはただ1人…!
凛「お前の仕業だったのね…!お前がそんなことをしなければタローの手に手紙が渡る事はなかったし、それを見たナカジがタローを殺す悲劇は起こらなかった…!少なくともお前が余計なことをしなければあの2人は死なずに済んだし、サユリも悲しまずに済んだのよ…!?」
メイプル「えー?ボクは落としたゴミをゴミ箱に捨てただけなのにー?事務所を綺麗にすることは、ここの管理者として当然のことですぞー?」
凛「ふざけるな…!例えもしサユリの動機で何も起こらなくても、お前は他のみんなを利用して殺人の火種を作るつもりだったんでしょ…!?」
シアン「凛ちゃん、ダメにゃん!冷静になって!」
真斗「そうだぞ霜月!こいつを殴りたいのは俺も同じだ…!」
意図的にコロシアイが起こるように仕組まれていたことに超アイドル級の図書委員は大激怒。サユリが泣きじゃくる原因となったタローとナカジの死の遠因となる出来事を仕組んだ残酷な社長に対し、拳骨を振りかざそうとする…!
凛「例え殺されたって構わない…!こいつを殴らないと気が済まない…!」
シアン「凛ちゃん!やめて!」
真斗「霜月、怒りで我を忘れてはダメだ!」
凛「シアン、真斗、離して!元凶が目の前にいるのに、黙っていられますか…!」
ただの少女といえど堪忍袋の緒が切れた怒りの力は凄まじいものがあり、超アイドル級の図書委員がシアンと真斗を振り解いてメイプルを殴ろうとした瞬間、それはある人物によって阻止された。ハリネズミ族のミューモンの少年が凛の首筋に手刀を落とし、彼女を気絶させたのだ。
シアン「クロウちゃん!」
クロウ「飯の時間になってもダイニングに集まらないお前たちを探しに来たんだが、これは一体どういうことだ?何もないならさっさと行くぞ?つか、こんなバカの言うことなんかまともに取り合うな」
メイプル「にゅおっ!?この事務所の社長でありみんなの管理者であるボクにそんな口を聞くなんて…!」
クロウ「そこに突っ立っていても掃除の邪魔になるだけだ。こいつも掃除に忙しいんだろ。…裁判場が再び使われる前に、せいぜい俺らに寝首をかかれないようにしてくださいね?」
メイプル「!」
残酷な社長から1本取ると、クロウは真斗に凛を運ぶように指示を出し、その場を後にする。メイプルを思い切り睨み付けたあと、シアンは走り出し、食堂へ向かうクロウの後に着いて行った…。
Chapter2 「BAD HEAD LOVE」
生き残りメンバー 残り12人
to be continue
次はナカジと、今回の被害者のタローのオシオキ。あと少しだけあるので感想はまだ。
- アイドルロンパ Chapter2 ( No.262 )
- 日時: 2021/05/22 12:13
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
・「ナナシの紙」
ある退魔師の少年が持ち歩いていた紙であり、へのへのもへじが書かれている。。彼は粗暴で口が悪かったが照れ屋でシャイな一面もあり、嬉しくなったり照れるとナナシが書かれた紙を顔に貼り付けてシラを切ったり誤魔化す癖があった。特にそれは幼馴染で大親友の少年や同じく幼馴染であり彼の最愛の少女とのやり取りの最中に使われていたものだった…。
・ナカジ「中島くんの霊媒トレーニング」
いかにも墓場、という場所に連れてこられたナカジ。状況が状況なので警戒する中、予想通り異形のものやゾンビといった集団が彼に襲い掛かってくる。持ち前の能力でゾンビたちを蹴散らすナカジの横目に見えたのはコントローラー機を持つメイプルであり、操られているのだと悟る。どうせ自分は死ぬのだと冷静なナカジだったが次の瞬間弾かれたように走り出した。彼の目に映ったのは愛するサユリの姿と、彼女に向かって襲いかかってくる大量のゾンビ集団…。せめて彼女だけでも救いたいと走るナカジだが、突然銃声が響く。某隊員の格好をしたメイプルが銃を持ち、サユリに襲ってきたゾンビ集団を一掃したのだ。ナカジはそのゾンビたちと一緒に全身を撃たれて死亡。
死因は射殺。モデルは本家のあの子のオシオキ。だけど結局は好きな子1人守れませんでした、というオチ。あと補足で言うとメイプルが操っていたのはナカジではなく最後に登場した某ゲームの隊員風メイプルです。ゲームをしてたら攻撃中に仲間NPCを巻き添えにしちゃった…的な。
・タロー「イケないサーファー」
照りつける太陽、白い砂浜、目の前に広がる青い海。大好きなものばかりのはずなのに震えが止まらないのはこれから自分は処刑されてしまうから…。そんなタローを煽るかのようにサーファーの格好をしたメイプルが海へと飛び出していき、タローは嫌でもそれを追いかけてしまう。メイプルとサーフテクニックで勝負をするタローだが、才能のこともあってか終始タローが優勢だった。だが突然嵐が発生し波はしけて大荒れに。これはまずいと浜辺に戻ろうとするタローだったが、長い海藻に足を取られて動けなくなってしまう。そんな彼を後目にメイプルはさっさと泳いで岸へいってしまった。それでも大声で必至に助けを求めるタローの真上に雷が落ち、やがて彼は海底へと沈んでいった…。
直接の死因は雷に撃たれたことによる感電死。前回のレトリーの案同様彼も本編と同じ死因という皮肉。泳ぎが大好き&大得意なはずの彼がよりによって嫌いな「しけた海」で死んでしまうというオチ。同じスイマー系であるコリエンテちゃんとの差別化は意外と楽でした。タイトルは某曲が元ネタですが、それに加えて「イケてない」と「いけない(危ない)」をかけて。
続きます。ちなみにあと3人ほどオシオキを食らう予定です。感想OK