二次創作小説(新・総合)
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.293 )
- 日時: 2021/06/13 15:37
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「更新前の小ネタ」
夢見草「今回の『メギド72』の魔宴ガチャ(キャラクター排出率が通常ガチャの2倍になる月末ピックアップガチャ)PUかつ新実装のBウァサゴが100連してやっと来たぞおおおおおー!!!!!つか彼女を手に入れる前にサブPUのウコバクとBベヒモス(魔宴ガチャ限定キャラであるテルミナスメギド、入手が厳しい)も入手してしまったんだが!?特にウコバクは今回で合計4人来たから今回は実質ウコバクPUじゃないですかやだー!あと次回のアジトTVのゲストが不穏過ぎて怖いー!ウァサゴPUでこれだったのにまたガチャガチャしたくないでござるー!!!!!」
クロウ「うるせーよ黙示録!」
夢見草「ぎゃーす!」
ダンガンロンパパロディのチャプター4です。引き続き原作同様に鬱展開や死ネタが多く、キャラクター同士の殺し合いを見たくない人は即座にブラウザバック&回れ右!そしてポジションのためか相変わらずメイプル社長の性格が最悪です。前回にも掲載すべき一文でしたが、作中に本家、または創作論破作品のオマージュ表現を一部含みます、予めご了承ください。
「前回のあらすじ」
殺人を犯したクロの願いを叶えるという甘言をアイドルたちに提示して来たメイプル。これとちょっとした言葉の選び方によるすれ違いから藍が殺害され、その事件のクロであったカミュが処刑されてしまった…。「これ以上の犠牲者を出したくない」と残虐な社長・メイプル相手にもがくシアンたち生存アイドルだが…?
幼いシアン「うわぁ、とっても素敵なギターの音!きみも音楽が好きなの?」
???「まぁな!俺様は将来、世界で1番カッコ良くてモテるギターボーカリストになるんだ!ネコの女のお前、お前もギターを演奏するのか?」
幼いシアン「うん!あたしも最近ギターをやり始めたのにゃん!これはあたしのギターのストロベリーハート!イチゴちゃんって呼んでるのにゃん!ねえ、きみの名前は?」
???「そんなに知りたいなら教えてやるぜ!俺の名前は…」
シアン「……」
絶望が包む閉鎖された事務所に来てから、早くも3週間が経った。最初は16人いた超アイドル級のアイドルたちは10人にまで減り、彼らはコロシアイの果てに殺害されたりメイプルによって処刑されていった…。そんな中、シアンはある夢を見るようになった。それはシアンが幼い頃の出来事であり、ギターを始めたばかりのシアンがある少年を見つけた時の話だった。彼は幼いながらも歌声とギターテクニックは非常に卓越しており、シアンは興奮して拍手したあと、思わず彼に話しかけたのだ。少年はそれに笑顔で応えて名乗ろうとした…ところで記憶は途切れている。もうずいぶん前のことだ、記憶が抜け落ちたり曖昧になっていても仕方がない。現に、そのあとシアンは夢の中の少年に出会うこともなかった。しかし、その記憶は懐かしくも精神的に苦しむシアンの心に安らぎを与える、暖かいものでもあった…。
シアン「…あたし、何でこの夢ばかりを見るんだろう…」
第4章 「妄想メソロギの滑稽な夢」
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.294 )
- 日時: 2021/06/13 15:31
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「四ノ宮那月の憂鬱」
前回、カミュが藍を殺したことによる第3の殺人事件が起きたことで、今回も事務所の敷地内が解放された。それは前回まで立ち入れなかった場所を含む3階全域と屋上であり、3階には保健室と様々な薬品や機材がある実験室が、屋上には美しい花が咲き乱れる庭園が広がっていた。ここに自分たちを悪夢の事務所から解法するヒントがあると信じ、生存アイドルたちは解放された保健室、実験室、庭園の探索に乗り出す。そんな中、何か手掛かりがないかと走り回るシアンに遠慮がちに超アイドル級の演奏家が話しかけてきた。
シアン「にゃ?那月ちゃん、どうしたの?」
那月「あっ…。シアンちゃん、時間が空いていたらでいいんです。ちょっとだけ、僕のお話を聞いてくれますか?」
シアン「え?…うん!もちろんだにゃん!皆がいる前だと話しにくいこともあるだろうし、ちょっと離れた場所へ行こう?」
那月「ありがとうございます…」
よく観察すると彼の眼は少し虚ろであり、目の舌にはクマが出来ていた…。目の前の相手がやや危険な状態に陥っていると判断したシアンはすぐにその申し出を了承し、那月を保健室に連れて行った。独特な薬品の匂いのする保健室はどこか懐かしく、アイドルたちを安らげる。そこの椅子に座り、シアンは那月の話を聞くことに。
シアン「どうしたの、那月ちゃん?いきなり話って?」
那月「…僕、最近とっても怖いんです…。この間の藍ちゃんの殺人事件とミューちゃんさんの処刑のことで、僕の心はとっても不安定になっているみたいなんです…」
シアン「那月ちゃん…」
那月「それだけじゃありません。藍ちゃんたちだけじゃなくて、今まで亡くなっていったコリエンテちゃんたちの最期の様子までもがフラッシュバックするようになってしまっているんです。どうやら現在と僕の作り出した悪い妄想が日を追うごとに混濁していっているようなんです。特に目の前に誰かがいると、この人は僕を殺してくるかもしれない、と物事に対して過敏になったり疑心暗鬼になっているみたいで…!いつか勝手に翔ちゃんたちをいつか殺してしまわないかと、僕、怖いんです…!」
翔が少し前に危惧していた通り、残虐な社長・メイプルの企みと無情なコロシアイ生活から那月は精神の限界を迎えつつあった…。普段の天然ボケで抜けた言動とは裏腹に、内面は繊細で精神的に脆い部分のある那月にとって、このコロシアイ生活は余りにも苦しいものがあった…。自分がメイプルに躍らされて人殺しをしてしまうかもしれない、もしくは誰かに殺されてしまうかもしれないと怯える那月は、頭を抱え、震えて蹲っていた…。そんな彼にシアンは寄り添い、なるべく穏やかに話しかけるように努める。
シアン「那月ちゃんは変じゃないよ!あの悪趣味でひどいメイプルが引きおこるコロシアイは恐ろしいものだし、それが原因で人を信じられなくなっても何もおかしくないのにゃん。きっと那月ちゃんの頭や体がこの悪夢みたいな出来事の連続にびっくりして拒絶反応を起こしているだけだよ!」
那月「そう、なんですかね…?でも、僕はとても弱いですよ。僕は翔ちゃんや音也くんたちみたいに明るく前向きじゃないし、真斗くんみたいにコロシアイ生活の真実を暴こうと突き進む賢さや強さもありません。僕が生き残っていても、みんなに迷惑をかけてしまうだけですよ…」
シアン「そんなことを言わないで!那月ちゃん、まず自分がいることが迷惑になっているっていう発想がダメにゃん!那月ちゃんは那月ちゃんなりに、自分の出来ることをすればいいの!」
那月「…そう、ですか…?」
シアン「うん!だから自分がいなくなってもいい、なんて思ったらだめだよ!怖かったら消灯時間まで信頼出来る誰かと一緒に行動するのもアリだと思うにゃん!本当に信頼できる人なら、もし那月ちゃんがおかしくなっても止めてくれるだろうし、ね?」
那月「シアンちゃん…。ありがとうございます!僕、少しだけ自分を取り戻せたような気がします。コロシアイ生活は辛くて苦しいけど、早く終わらせないといけませんもんね…!僕は僕にできることしてみることにします!」
シアン「その調子にゃん!元気になって良かったにゃん!」
那月はシアンとの会話で少し落ち着きを取り戻し、やっと彼らしい穏やかな笑顔を見せた。それにシアンも喜び、2人は連れ立って保健室から退室した。
だが、ネコ族のミューモンの少女と超アイドル級の演奏家は知らなかった。那月とシアンが会話を交わしていた少し前に扉の前に人影があり、そして2人が保健室から退室する前に速やかにその場を去っていたとは知らずに…。
感想まだ
- Re: とある彼らの日常日和SP ( No.295 )
- 日時: 2021/06/13 15:37
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「第四の殺人」
那月から相談を受けたその夜、夕食後のレクリエーションルームでシアンはクロウと今後の相談も兼ねた会話をする。しかし以前の翔や那月との会話内容をシアンが隠そうとしたため不機嫌になったクロウが、「今まで亡くなっていったアイドルたちには心の弱さがあった、だからコロシアイ生活の中で亡くなっていったのは必然だった」と発言したため、直前に那月の相談を受けていたこともあり、感情的になったシアンとクロウは口論に発展してしまう…。
翌朝シアンは自分の兄的存在として慕う真斗にクロウとの口論やケンカについて相談。「2人ともコロシアイ生活内でのストレスによる苛立ちが着実に蓄積した結果、感情的になっていたことが原因だろう。ここは第三者も交えて冷静に話した方がいいかもしれない」と助言を受けたシアン。真斗はクロウを誘って「脱出の手掛かりを探すのはいいが、たまには息抜きをしないか?」とお手製の緑茶とイチゴ大福を持ち寄り、屋上庭園でのお茶会を実行。美味しいお茶やお茶菓子、美しい花々と外の空気、第三者である真斗の監視もありシアンとクロウは平静を取り戻し、無事和解することに成功したのだった。
その後、お茶会で使用したティーセットを片付け、キッチンに運ぶために事務所内に帰ろうとする3人。だが、何故か近くの薔薇が植えられているテラスに違和感がある…。
真斗「おかしいな…。人が通った痕跡があるのに、物音ひとつしないぞ。シアン、クロウ、俺はあちらの様子を少し見てくる。すぐ戻るぞ」
シアン「分かったにゃん!真斗ちゃん、気を付けてね!」
クロウ「危ないと思ったらすぐに戻って来いよ」
真斗「ああ」
バラが植えられているテラスの様子を伺いに歩き出した真斗だが、少し歩みを進めたところで突然動きが止まった。彼の目は大きく見開かれ、先ほどまで平然として様子から一転し、体はわなわなと震えている…!
真斗「なっ…!?」
シアン「真斗ちゃん、どうしたの!?」
目の前の光景に絶句する超アイドル級の書道家の様子がおかしいことからすぐに何かが起きたのかと把握して走るシアンと、それについてきたハリネズミ族の少年。だが、真斗に追いついた2人もすぐに唖然とすることとなる。何故なら…。
彼らの目の前にはうつ伏せの状態になり血の気の引いた顔色で吐血している超アイドル級の演奏家である四ノ宮那月と、頭から血を流して倒れている超アイドル級のサッカー選手の一十木音也の姿があったからだ…!
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.296 )
- 日時: 2021/06/13 15:43
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
連続殺人事件が…!
真斗「おい!一十木!四ノ宮!しっかりしろ!」
クロウ「…ダメだ、もう2人とも脈がねえ。手遅れだ…!」
シアン「そんな…!音也ちゃんと那月ちゃんが…!」
ピンポンパンポーン!
「遺体が発見されました。クロを暴くための捜査を開始します」
真斗、クロウ、シアンの3人が音也と那月の死体を発見したため、死体発見アナウンスと主に2人の殺害の件の捜査が始まった。残された生存アイドルたちはちょうど偶然全員屋上庭園内におり、そのまま音也と那月の2人の遺体が発見された現場である庭園で捜査を行う。
翔「マジかよ…!さっきまで生きてた音也と那月が、死んじまうなんて…!」
サユリ「そんな…!またみんなの間でコロシアイが起きてしまうなんて…!」
凛「こんなの長く続く悪夢に違いないわ…!でも現に、目の前の音也と那月は既に死んでいる…!」
ロージア「また殺人が起こって悔しいけど、いつまでも嘆いてなんていられないわ!アイドル裁判が起こる前に被害者の2人の状態と、2人を死に追いやった凶器について調べないと!」
アン「そうですね…。皆さん、音也くんと那月くんの殺人の件について調べなくては」
2人の遺体を調べた結果、遺体から分かったことがあった。顔面蒼白かつ吐血している那月の遺体に目立った外傷はなく、何者かによって毒物を体内に混入されたことが原因。一方、頭部に致命傷を負い倒れている音也の死因は言うまでもなく頭部の裂傷と失血だろう。
シアン「那月ちゃんの遺体に目立った外傷はないにゃん。これって、もしかして…?」
真斗「ああ…。恐らくだが四ノ宮は体を傷付けられて命を落としたのではなく、毒によって命を奪われたのだろう。毒物といえば、先日解放された保健室や実験室が怪しいぞ…!」
アン「そうですね。私、毒物や毒になり得る薬品が誰かによって動かされたり取られていないか、見てきますね!」
超アイドル級のパティシエが怪しい部屋を調べる間に音也の遺体の詳しい分析に移る。彼の頭部は何やら鋭いトゲのようなもので傷付けられており、超アイドル級の格闘家が現場から少し離れた庭園内の死角でちょうどそれに当てはまるものを見つけた。
翔「おい、聖川!これを見てみろよ!何か赤い液体が付いてるぜ…!」
真斗「これは…ガーデニングの作業に使用する熊手か?だが、確かに熊手のトゲの部分が一十木の傷跡と一致しそうだな」
シアン「傷跡との合致はメイプルに投げちゃおう…!あいつはすごく嫌な奴だけど、コロシアイのことだけは真面目にやるから…!」
クロウ「ついでに那月の命を奪った毒物についても解析させねえか?専門家じゃないにしろ、大まかにどんな毒かくらいは分かるだろ」
シアン「そうだね!一口に毒物っていっても色々種類があるっていうにゃん」
熊手と音也の致命傷、那月の毒の件についてはメイプルに一任させることで意見が一致した。現場についてだが、これに関しては凛がある意見を述べた。
凛「亡くなった那月の座っていた庭園のテーブルに、ティーカップとお皿とフォークが1セットあったの。彼は死ぬ前に何かを食べたり飲んだりしていたみたいね」
シアン「本当に!?だったらその食器も合わせてメイプルに鑑定させるにゃん!那月ちゃんが使っていた可能性が高いと思うし…!」
それ以外もシアンとクロウと真斗と凛で現場の庭園については調べたのだが、毒があったりそれ以外の何かの花が採られていたり熊手以外の道具が意図的に動かされていたりといった不自然な点は見当たらなかった…。いつの間にか数時間が経っており、鑑定を終えたメイプルと保健室や理科室を隈なく調べていた超アイドル級のパティシエか、は信じられない言葉が…!
メイプル「熊手の跡と音也くんの致命傷は一致しましたぞ。音也くんはあれで殴られて殺されたみたいですね?あと那月くんについてだけど、彼はシアン化合物系の毒物を誰かに盛られて殺されたっぽいですぞ」
シアン「あたしと同じ名前にゃん…」
真斗「シアン化合物!?あれは少量でも体調不良を引き起こし、最悪の場合は死亡に至る恐ろしい毒物だぞ!?」
クロウ「そんな物騒なものを手に入れて使いやがった奴がいたのか…」
メイプル「凛ちゃんが見つけた食器一式からは那月くんの指紋が確認されたし、彼が死亡前に使用したと考えて間違いないですぞ。あとみんなに悲しいお知らせだけど、食器からは毒物の反応は何も発見されなかったですぞ」
シアン「そんな…!」
アン「はあ、はあ…。皆さん、大変なことが…!」
真斗「大丈夫だ、落ち着け。ゆっくりでいいからお前の確認したことを話してくれ」
アン「はい…!保健室や理科室で薬品や毒物になりそうなものを片っ端から調べたんですが、それらには触れたり動かしたりした跡が見つからなかったんです…!」
クロウ「マジかよ!つまり、それらからは毒物は使用されてないってことか!?」
「備考」
・那月の死因は何らかの毒が身体中に回ったことによる毒殺、音也の死因は頭を何物かで殴られたことによる強い裂傷とショックだと判明。またメイプルの遺体の鑑定によると、2人のうち先に亡くなっていたのは那月であることが発覚。
・2人から少し離れた場所に置いてあった熊手に血液が付着しており、音也はこれで殴られたと判明
・那月の遺体のあった場所にはテーブルと椅子があり、ティーカップとお皿とフォークがあった。つまり彼は亡くなる前に何かを食べたり飲んだりしていた?
・だが、那月の使用したティーカップやお皿やフォークからは毒物の反応は検出されなかった…。
・毒殺ということで解放された保健室や理科室、その他の部屋の毒物や毒物になり得るものを探したが、それらは一切触れられたり動かされていないことが発覚…。この情報から那月を死に追いやった毒物の在処については不明…。
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.297 )
- 日時: 2021/06/13 15:49
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
翌日、アイドル裁判の直前までシアンとサユリとロージアは協力して怪しいものはないか探す。すると、少しだけだが事件の手がかりが…。
ロージア「ロージアちゃんは昨日凛と一緒にケーキを作って、おやつに食べてってみんなに渡したのよ。それはたくさんのフルーツが目一杯使われた美味しいフルーツタルトで、サユリとアンからレシピを貰って2人で何とか作ったのよ」
シアン「フルーツタルト!とっても美味しそうだね!ちなみに何のフルーツが使われてたの?」
サユリ「レシピを改めて確認したんだけどね、あれにはイチゴとりんごとモモとさくらんぼとアンズとビワが使われていたの。シアンちゃんとクロウくんは真斗くんの作ったイチゴ大福を食べていたけど、それ以外のみんなには配って屋上の庭園で食べたのよ」
シアン「そういえば、真斗ちゃんがロージアとサユリちゃんもケーキを用意していたからあとで食べようかと言ってたにゃん!夜ご飯のあとにデザートとして食べようと思っていたけど…」
ロージア「あとサユリ、あんたはあたしたちがフルーツタルトを作ったからって紅茶の茶葉をみんなの分用意してくれたわね?シアンさんたちは真斗の用意した緑茶を飲んでたから紅茶を飲んではいなかったみたいだけど、茶葉はみんなそれぞれ好きなものを持っていって好き勝手に飲んだのよ」
シアン「にゃ?そうなの?」
サユリ「ええ、ハーブティーや紅茶を色々選んで置いておいたわ。私はローズマリーのハーブティーを選んで飲んだの」
ロージア「ロージアちゃんはアップルティーよ!他だとペパーミントとバタフライピーとオレンジティーが減ってたからそれぞれ飲んだみたいね。あとでみんなに何を飲んだか聞いてみましょう。ついでに言うと、アッサムとレモンティーのフレーバーも無くなっていたわ」
サユリ「そうだね…あれ?」
シアン「にゃ?サユリちゃん、どうしたの?」
サユリ「…キッチンだけど、ちょっとおかしいところがあるのよ。種を砕く機械の『ミルメーカー』っていう機械なんだけど、普段は全く使わない機械なのに最近洗った痕跡があるの。誰かが近いうちに使ったのかしら?私は汚れを落とすために一昨日使ったから分かったけど、重曹の量が結構減ってるわ…。それに、このゴミ箱…」
ロージア「キッチンのゴミ箱がどうしたのよ?フルーツの皮やイチゴのヘタやりんごの芯が捨てられているだけじゃない?」
サユリ「…うん、そうなんだけどね?でも何か、何かの違和感があるのよ…。でも何がおかしいのかは分からないの。ごめんね」
シアン「いつもと違う、と思ったことならちょっとでもいいから抑えておくにゃん!犯人が何かしたのかもしれないし…!」
3人でそうこう調べているうちに裁判の時間が来たので、シアンたちは裁判場へ向かうエレベーターへと乗り込む。そしてアイドル裁判が始まる直前、被害者の2人の遺体と事件現場の写真を見て最後の違和感を見つけた。
シアン(…あれ?音也ちゃんの手、何でパーなの?)
「追加情報」
・屋上庭園にいたアイドルたちは音也と那月が殺される前のアリバイ中にそれぞれ思い思いの場所でケーキを食べていたが、それは凛とロージアがサユリとアンからレシピを教わって作ったイチゴやさくらんぼやアンズやビワやモモがふんだんに使われたフルーツタルトであり、全員同じものだった。
・その際に選択したお茶のフレーバーは全員異なるものであり、翔はペパーミントのハーブティー、サユリはローズマリーティー、アンはバタフライピーティー、凛はオレンジティー、ロージアはアップルティーを選択していた。さらに死亡した音也と那月はレモンティーとアッサムティーを選択していたという。
・キッチンに置かれていた重曹の量が何故か減っていた。
・滅多に使われないミルメーカーに使用されていた痕跡があった。
・キッチンに設置されたゴミ箱だが、サユリ曰く何故か違和感がある…。
・音也の遺体の手が何故かパーの形で止まっている…。
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.298 )
- 日時: 2021/06/13 15:55
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「毒を隠すなら…」
ついに4回目のアイドル裁判が始まった。今回の議論の焦点は、今回の被害者は2人いるが音也と那月を殺害した犯人は同一人物なのか否か、そして那月の命を奪った毒物はどこから出てきたのか。特に今回遺体発見アナウンスの対象に入っていない5人はそれぞれケーキを作ったり、ケーキや紅茶のあった場所にいたり立ち寄ったりしているため、簡潔に言えば5人全員が毒を混入するチャンスがあったとも言える。
クロウ「状況を整理して言えることだが、那月の殺害の件と音也の殺害の件を比較すると、音也の殺害はより杜撰な部分が目立つな…。凶器もすぐに見つかったしな」
翔「だよなぁ。結局あの血の付いた熊手が音也を殺した凶器で間違いないみたいだし、毒物の痕跡すら見つからない那月の件と比較すると、ちょっとおかしいよな」
凛「犯人はどういった意図でこのようなことをしたのかしら…?音也の殺害を目立たせて、何か私たちに伝えようとしていることがあるのかしら?」
ロージア「音也と那月、どちらかをカモフラージュに殺したのかしら…?」
真斗「そういえば、結局先日解放された保健室や実験室からは薬品や毒物が運び出されたり持ち出された痕跡は見つからなかったんだよな?」
アン「はい…。ヒ素や青酸カリといった強力で殺害にも使用されるようなものもあったのですが、誰かが動かしたり触れた痕跡はありませんでした」
サユリ「裁判の時に追及されることを警戒したのかな?毒物がないのに毒殺を実行するのは無理があるわよね…。でも、間違いなく那月くんの死因は毒殺…」
真相解明への目立った情報やひらめきはなく、議論は長い時間続いて難航した。その結果、アイドル裁判の監視役であるメイプルが裁判の時間制限を残り1時間と設け、その時間までに真実を解明しないとクロの勝利となり、クロ以外のアイドル全員は処刑されるというルールを設けた!この強制ルールに驚きメイプルを非難するアイドル全員だったが、真実を解明出来ないと状況は好転しない。そんな中、視点を変えたシアンがある可能性を提示した。
シアン「…ねえ、目立った毒物で那月ちゃんの毒殺を行ったと考えるのは、少しおかしいんじゃないかにゃん?」
凛「え?どういうこと?」
シアン「だって、日常生活の中で普通に使われる道具にも、使い方を間違ったらとんでもないことになったり、下手したら命に関わるようなものもあるんでしょ?そういえばサユリちゃん、キッチンの重曹がなくなっていたって言ってたよね?」
クロウ「重曹がなくなっていたのか!?もしかしたら、犯人がそれをトリックに使用したのかもしれねえな」
サユリ「え、ええ…。でも重曹は人が体内に取り入れても一応問題のないものだったはずよ?それで毒殺は不可能なはず…」
ロージア「時間的にも、重曹を使ったのは多分犯人よね?犯人は何で重曹なんて使ったのかしら?」
アン「洗剤の量はどうだったんですか?メーカーによっては人が体内に取り入れると毒性が強くて危険の強い洗剤もあるはずですけど…」
サユリ「それがね、洗剤やキッチン内にあった危険な液体はいつもの量しか減っていなかったわ。重曹だけ不自然に減っていたのよ」
真斗「とにかく、犯人は重曹を使って四ノ宮に何かしらをした。もしかしたら一十木にも何かしたかもしれないな。それで捜査の目をごまかそうとしたのだろう」
まず、重曹がトリックに使われた可能性が高いという情報を共有する。シアンはまだ何か情報がないかと、メイプルに毒物について詳しい書物を要求。それを隅から隅までチェックするアイドルたちだが、凛があることに気付いて青ざめた!
凛「…ねえ、ロージア!サユリ!これってマズいわよ!?もしかしたら私たちも犯罪の片棒を担がされたのかもしれない…!」
ロージア「はあっ!?どういうことよ!?」
翔「え?何でそう思うんだよ?何かお前らがしたことがヤバいとか、あったのか?」
凛「あったのか?じゃないのよ!私たちが材料に使ったフルーツタルト、果物の種の中にこの書物に書かれている強力な毒物の『シアン化合物』が入っているんですって!?」
サユリ「種!?…あっ、思い出したわ!そういえばあの時のごみ箱の中に、材料に使われたはずの果物の種だけがなかったのよ!皮や芯はあったのに!」
ロージア「…!そういえば、よく考えてみたらゴミに種が1個もないなんておかしいわ…!?」
実はさくらんぼやモモ、アンズやビワといった一部のフルーツの種子の中には、少量だが有名な毒物である青酸カリと同じ毒の「シアン化合物」の成分が含まれている。ただし人間1人分のシアン化合物の致死量は200~300グラム程度とフルーツ1個分の種子の分では到底達成できる量ではない。フルーツ1個分の種子を食べても致死量に満たないので死にはしないが、ごく少量のシアン化合物のせいで嘔吐したり気分が悪くなる悪影響はある。「フルーツの種を食べるとお腹の中に木や植物が生えてくるよ」と脅されたり果物の種を食べるなと注意されるのはこのためだ。だが、凛やロージアはあくまでフルーツの果肉のみをケーキの材料として使用したのであって、種は皮や芯などと一緒に処分したはず…。だが、数人が食べる大きなケーキを作ろうとしたために多くのフルーツを使用したため、種子が多く出たことは事実だ。
クロウ「おい、フルーツの種子類は間違いなく処分はしたんだよな?」
凛「ええ、間違いなく。ねえ、ロージア?」
ロージア「うん…。でもその後はキッチンから出てみんなにケーキを渡したのと、ロージアちゃんたちも花を見て気分転換をしたかったから、夕飯までキッチンには行ってないのよ…」
真斗「ということは、犯人は霜月とロージアがキッチンから退出したあとにフルーツの種子類を回収し、毒物として使用したのか!?」
翔「そんなことって出来るのかよ!?おい、凛!ロージア!お前たちがキッチンから出たのってどのくらいの時間だったか覚えてるか!?」
凛「確か…お昼の少し前よ」
サユリ「それ以外にも謎はあるわ!種子類をそのまま那月くんに取り入れされるのは余りにも不自然よ!犯人はどうやって那月君に毒物を取り入れさせたの?」
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.299 )
- 日時: 2021/06/13 16:05
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
実際に果実の種子を大量に食べたり、空腹の余り未成熟の果実などを食べたことで当たってしまい、亡くなった事例は現実にあるようです;
シアンは更なる手掛かりはないかと事件の書類に目を通す。すると、ある興味深い情報が目に留まった。
シアン「…みんな、ちょっといいかにゃん?」
アン「シアンちゃん、どうしたんですか?」
シアン「あたしとクロウちゃんと真斗ちゃんは屋上庭園で真斗ちゃんが入れてくれた緑茶を飲んでいたんだけど、他のみんなは何を飲んだか覚えてる?」
サユリ「ええ、私が見つけてみんなに持ってきたフレーバーだから覚えているわよ?私はローズマリーのお茶を飲んでいたの。あとはペパーミントとバタフライピーとアップルティーとオレンジティーがなくなっていたのよね。那月くんはアッサムを、音也くんはレモングラスを選んでいたことが皆の証言から分かっているわ」
シアン「ありがとう、サユリちゃん!それでね、このお茶の中にとっても興味深い特性のあるお茶があることが分かったのにゃん」
翔「興味深い?味が一気に変わるとかか?甘いのから苦くなるとか?」
シアン「翔ちゃん、惜しい!何かが一気に変わるのは正解にゃん!一気に変わるのは色なの!あるお茶はレモンを入れると色が変わることが判明しているのにゃん。そのお茶は鮮やかな青色が特徴的なバタフライピーティーで、スライスレモンを入れると青色から普通の紅茶と同じような赤色に代わるの」
ロージア「あの青くて目立つお茶にそんな特徴があったんだ。青から赤に変わるなんてびっくりするわね…。って、ちょっと待って!?他の紅茶と同じような色に変わるってことは…!?」
凛「まさか、バタフライピーティーを選んだ人が毒物であるフルーツ類の種子とスライスレモンを入れてお茶の色を変えて、那月の呑んでいたお茶とすり替えたとでもいうの…!?」
そう、バタフライピーティーの特徴だ。このお茶やバタフライピーの成分の特徴として、強い酸性のものを入れると青から赤に変色する特性を持ち、一部ではその特性を利用して色の変化を楽しむカラートリックティーとしても親しまれている。そして、今回そのバタフライピーティーを選んでいたのは…!
アン「……」
超アイドル級のパティシエだ…。
アン「ちょっと待ってください!いくら私がたまたまバタフライピーのお茶を選んでいたからって、それだけで犯人扱いは酷いですよ!」
シアン「…アンちゃんは料理やお菓子作りに詳しいから、フルーツの種の中に強い毒性を持つ物質が少し入っていることや、バタフライピーティーの色が変わる特徴について知っていてもおかしくないにゃん。だからその知識を利用して那月ちゃんの殺害計画を企ててもおかしくないのにゃん」
真斗「…そういえばお前、お前が捜査時間中に保健室と実験室に薬品が使われた痕跡を確認しに行っていたな?」
アン「確かにそうですけど、でも毒性の強い薬品や毒物になり得るものが移動されたり触れられた痕跡がなかったことは事実ですよ!」
クロウ「自ら毒物や毒物になり得る薬品が多く集まる部屋の操作を担当して『毒物が使われた痕跡がない』と言い張れば、他のアイドルたちはそうだったのかと思う。それで自分から疑いの目を逸らそうとしたんじゃないか?あと種の毒性物質についてだが、確か種を上手く砕く機械があるんだよな?『ミルメイカー』っていうんだろ?キッチンには色々な調理器具が揃っていたというし、もしかしてそれを利用して種を粉末状にして紅茶の中に入れたんじゃないか?」
アン「!」
サユリ「確かにキッチンの中にはミルメイカーがあって、何故か事件当日に使われた痕跡もあったけど…!?」
シアン「何で那月ちゃんの殺害に手間が掛かっていて、それに比べて音也ちゃんの殺害が杜撰だったのか!それはきっと、クロにとって音也ちゃんの殺害があまりにも予想外のものだったからだと思うにゃん!だから音也ちゃんを殺した凶器の処分も途中までしか出来なかったのかも…!」
ロージア「…そういえば、さっきシアンさんが『音也の手がパーのまま止まっていたのが妙に引っ掛かる』って言ってたわよね?もしかしたら、自分を殺そうとしたアンを制止しようとしてあの形のまま殺されたのかも…!」
凛「あと重曹についてだけど、メイプルの配った毒物について書かれてある書類には確か酸性の物質の働きを弱める作用があるって書いてあるのよね?アンが自分のバタフライピーの入ったティーカップを那月のものとすり替えて飲ませて殺害、そのあとキッチンで証拠となるティーカップに重曹を入れて洗えばティーカップからは何も検出されなくなる…」
アン「ですが、私がそれを行ったという証拠はあるのですか!?」
真斗「キッチンの人の入りを調べれば分かるんじゃないか?朝は食事当番だった俺とアンがキッチンへ立ち入り、食後は食器を洗うために来栖と小川が立ち入った。そのあと、俺はシアンとクロウに自前の緑茶と大福を食べさせるために立ち入り、そのあとの午前が終わるまでは霜月とロージアがずっと立ち入って使用した。空白の時間があるが、霜月とロージアが立ち去った後に立ち入った人物がお前だと分かれば…」
アン「でも、それを調べるのはどうするんですか?確かキッチンに監視カメラは仕掛けてありませんよね?」
クロウ「…なあお前、お前はキッチンで何かする時には必ず自前のエプロンを身に着けていたよな?もしそれから重曹の反応が出れば1発だと思うんだが?」
翔「そういや、そうだったよな…。他の奴らはキッチンに備え付けられてたエプロンを使ったり使わなかったりしたけど、お前は自分だけのものを使ってたよな…?」
アン「!」
超アイドル級のパティシエはいきなり自分が犯人扱いされたことに反論するが、フルーツやバタフライピーの特性について前もって知っていた可能性があること、調理器具に詳しくマイナーな存在であるミルメイカーの存在も知っていただろうこと、最終的に愛用していたエプロンからトリックに使用した重曹の反応が出る可能性があることをシアンの発言がきっかけとなりエンジンが掛かった他のアイドルたちから次々と突き付けられる。特に最後の証拠は彼女にとって決定的であり、ギリギリまで何とか粘っていた彼女も最後には崩れ落ちた…。
論破!
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.300 )
- 日時: 2021/06/13 16:10
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「血塗れのトリコロール」
複数の遺体と見つからない毒。難攻不落だった今回の連続殺人事件。紆余曲折あったが、何とかシアンたちは制限時間以内にアイドル裁判で真犯人と真実を突き止めた。しかし今回の連続殺人事件のクロが可憐で小柄なトリコロールの少女だったことに一同は驚き、彼女を色々問い詰めるが…。
翔「おい、アン!何で音也と那月を殺したんだよ!?」
サユリ「アンちゃん、どうして…!?」
アン「…何故、私が音也くんと那月くんを殺害したかですか?分かりました。もう時間もないですし、皆さんが知りたいなら私の殺害動機をお教えしますね」
アン「どちらにせよ、死が音也くんと那月くん…特に那月くんの救済になると思ったからです」
何と彼女はとんでもないことを言い出した。死ぬことで被害者の2人は救われたと言う。言葉を紡いだアンの目は綺麗に澄み渡っており、彼女が本心からそう言っていることが伺える…。
真斗「死が、一十木と四ノ宮の救済になると…!?」
凛「あなた、本気でそう思っているの!?」
アン「はい。続けて言うなら、彼ら以外のあなたたちも死によって救われると思っています。そして今までコロシアイ生活によって亡くなった皆さん…レトリーちゃん、コリエンテちゃん、タローくん、ナカジくん、藍くん、カミュさんも死によってこの惨く非情な現実から救われているはずです」
ロージア「あんた、何言ってんのよ!?少なくともコリエンテはオシオキの時にサメに食われる恐怖に怯えて苦しんで死んでいったじゃない!他のみんなも、死ぬ瞬間に自分が救われているなんて思っていないはず…!」
シアン「確かにこのコロシアイ生活はとっても酷いものだったけど、みんなが死ぬことで救われるのは、ちょっと違う気がするにゃん…!」
アン「シアンちゃんや皆さんは人死ににも屈しない強い心を持っているからそのようなことが言えるんです!何回も殺人事件が起きる上に酷い処刑が続くこの環境はいつ終わるか分かりません!人の命が紙切れのように軽く扱われるこの事務所はすでにこの世の地獄と化しています…!そんな地獄からもたらされるストレスが原因で疲弊していた音也くんと那月くんを救おうと、私は美味しいバタフライピーティーに安らげる物質を入れてお休みするお手伝いをしたんです!」
真斗「…おい、アンから何かまずいオーラを感じるぞ…!?」
ロージア「アンからとんでもない雰囲気を感じるわ…!?今までのあの子とはまるで違う…!?」
アン「私だって、私だってこの事務所に閉じ込められた当初は人殺しなんてしようと思わず、無事全員で事務所から脱出しようと奮起していました!でも最初にコリエンテちゃんがレトリーちゃんを誤って殺してしまった事故でも、あの惨たらしいメイプルは彼女に容赦なく処刑を執行した…!その時にどんな理由であれ人を殺してしまった者には死が待ち受けていると理解した私は恐ろしく思い、震え上がりました…!そのあとくんやさんや親友や親しい人たちを次々と手に掛けざるを得ない状況になり、私はとても怖くなりました…!メイプルは他人を思いやる気持ちを奪い、この事務所には鬼や悪魔しかいなくなってしまったのかと…!遺体に動揺したり慣れない捜査に手こずったり、アイドル裁判や処刑の後でいつも気を失ったり気分が悪くなる私を、真斗くんやサユリちゃんや凛ちゃんやロージアちゃんはいつも気にして部屋に運んで連れて行ったり心配してくれました…。ですが、私はそんな自分が嫌で嫌で仕方ありませんでした。肝心な場面で役に立たない私はお喋りでみんなの気を紛らわしたりお料理やお菓子作りでみんなを気遣うことしか出来ませんでした。私はシアンちゃんやサユリちゃんや凛ちゃんやロージアちゃんたちみたいに強くはなかった…!特に幼馴染と恋人を一気に亡くしても前を向いて進むサユリちゃんは私の憧れでした…!もちろん誰もが非常時や緊急事態にたくましく振る舞えなかったり強くないのは当たり前で、それは私も頭や心で理解していました。そしてしっかりしなくちゃ、せめて今の状況や話について行かなくちゃと必死になっていた私は、いつの間にか自分が壊れていることに気付きました…。このままメイプルに怯えたままこの事務所で暮らしていかなければいけないのかという絶望、今まで亡くなっていった皆さんの遺体や死に様や最期の状況がフラッシュバックしての恐怖、ンビリやサンやクワトロといったかつての仲間たちに会いたいという微かな希望、かつて共演したウーノさんに会いたいというほのかな気持ち…!そんな気持ちが混ざり合った結果、私は思いました!『どうせいずれ人は死ぬんだ、だったらもういっそ死んでしまえば、私たちはこの地獄の状況から解放されて死後の世界で安らかに過ごせる』のだと!」
残ったアイドルたちに今まで自分が溜め込んでいた気持ちをまくし立てるフランス少女。心優しい彼女はこのコロシアイ生活の恐怖とストレスで完全に潰れてしまっていたのだ…。
クロウ「……」
アン「しかし壊れているのは私だけだと、私は第3の事件が終わった辺りから早く死にたいという気持ちを抑えて行動していました…。ですが、シアンちゃんと那月くんが保健室でお話しているのをたまたま聞いた私は、那月くんがコロシアイ生活の影響で特に強く衰弱していることを知りました。メイプルの狂気に当てられていつ自分が人を殺してしまうか分からず怖いと怯える那月くんの姿を見た私は、この気持ちを抱えているのが自分だけではないと気付きました…」
シアン「アンちゃん、あの時の会話を聞いていたの!?」
アン(そうなんですね…。那月くんもいつ自分が壊れてしまうか、いつ自分が狂気に当てられて仲の良い翔くんや音也くん、真斗くんたちを殺してしまわないか分からなくて恐ろしかったんですね。それは当たり前です、こんな恐ろしい環境に置かれておかしくならない人間はいませんよ。でも大丈夫ですよ。もう私という仲間がいますから、怖くなんかありませんよ…)
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.301 )
- 日時: 2021/06/13 16:15
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
事件当時…
アン「那月くん!ロージアちゃんと凛ちゃんがフルーツタルトを作ってくれたんです。よかったら一緒に食べましょう?」
那月「えっ、そうなんですか!アンちゃん、ありがとうございます!僕、とっても嬉しいです!喜んで頂きますね!」
美しいバラが咲き誇る屋上庭園の一角。アンは椅子に座ってぼうっとしていた那月に近付き、凛とロージアが取り分けたフルーツタルトを持ってきた。彼らはケーキと紅茶でちょっとしたお茶会をスタートさせ、談笑する。アンは一緒に食べる那月のためにと紅茶を注ぐが、彼女がそれに恐ろしい細工をしていることに超アイドル級の演奏家は気付かない。
アン「食事当番だった真斗くんから伺いました。那月くん、藍くんたちの件でまだダメージを負っているようだと…。大丈夫ですか?」
那月「…正直に言うと、あまり大丈夫じゃありません。藍ちゃんやミューちゃんさんたちが亡くなってしまってから僕はおかしいんです。藍ちゃんたちだけじゃなくて、今まで亡くなっていったコリエンテちゃんたちの最期の様子がフラッシュバックするようになってしまって。どうやら現在と僕の作り出した悪い妄想が混濁しているようなんです。僕はダメですね。翔ちゃんたちは事件解決や事務所脱出に向けて頑張っているのに、僕は心が弱いから…」
アン「那月くんが弱いからではありません、あのような悪夢が起こったんですし、拒絶反応を起こしてしまうのは当然のことですよ。不安ならこの紅茶を飲んでリラックスして下さい。サユリちゃんが見つけた美味しい紅茶なんですよ。スライスしたレモンを入れるとより美味しくなるので、どうぞ」
那月「ありがとうございます…。少しでも話を聞いてくれる人がいると、嬉しいです…」
アン「ずっと事務所の室内に閉じ込められていましたし、お花を見て気分を和らげるのはどうでしょうか?ほら、このバラなんて色とりどりでとても綺麗ですよ!」
那月「本当だ…!この事務所から出たら、こんな場所で思いっきり演奏をしてみたいですね…!」
那月はアンの言葉の通りに素直にテーブルから視線を外す。その隙に血濡れたトリコロールは彼のレモン入りの紅茶と、大量のフルーツの種子の粉末を注いだ自分の毒入りバタフライピーティーと上手くすり替えた。あとは彼がそれを飲み干すのを待つのみだ。
アン(お休みなさい、那月くん。もうあなたが怯えることはありません。ゆっくり休んでくださいね?)
これを飲み干せば、那月は別の意味で心から安らぐことになる。だが次の瞬間、那月の殺害計画を実行する彼女にとって予想外の出来事が…!
音也「那月ー!ここにいたんだ!あっ、アンちゃんも一緒なんだね!」
アン「!」
那月「あっ、音也くん!僕は今アンちゃんと一緒にお茶会をしていたんですよ!」
超アイドル級のサッカー選手がやって来た。彼も連日引き起こされる殺人事件によって憔悴していたが、何とか持ち前の明るさと気力で踏ん張り、事務所から脱出する手がかりを探していた。それはあまり上手くはいっていないが、彼なりに頑張っている。頭は弱いが元気で明るくフレンドリーな彼はみんなのムードメーカー的存在であり、アイドルたちともすっかり馴染んでいた。だが、現在那月の殺害計画を実行中のアンにとっては音也は部外者にカウントされるため、邪魔な存在だ。厄介なことになる前に早く立ち去ってくれと思うが…。
アン(音也くんの目の前で那月くんが死んでしまったらとても厄介なことになります…!早く別の場所に行ってください…!)
音也「翔を探したけど見つけられなかったし、マサのところに行こうと思ったら、何か難しい顔をしたシアンちゃんとクロウが一緒にいたからやめたんだ;那月が早く見つかって良かったよ!」
那月「そうなんですかー。真斗くん、もしかしてシアンちゃんとクロウちゃんのケンカに巻き込まれちゃったんでしょうか?早く仲直り出来るといいんですけど…。あとこの屋上庭園は結構広いから、翔ちゃんは僕たちと少し離れたところにいるのかもしれませんね」
音也「そうみたいだね。この庭園、沢山の花で綺麗なのはいいけど、あまり広いと手がかりを探すのが面倒になっちゃうから大変だなー。いっそ脱出の手がかりだけさっさと見つかればいいのに!ねえ、アンちゃんもそう思わない?」
アン「そ、そうですね…」
那月「音也くん、いけませんよ?無理に近道をしようとしたら何も見つからなくなっちゃうって、地元で牧場をしているお爺ちゃんとお婆ちゃんが言っていました。…さーて、そろそろアンちゃんが用意してくれた紅茶をいただきまーす!」
音也「えっ、良いなー!レモン入りなんだね、美味そう!」
アン(今このタイミングで飲んだらダメです!目の前に部外者の音也くんがいるのに…!?)
アンにとっては最悪の事態が発生。那月が音也のいる前ですり替えた毒入りの紅茶を飲んでしまったのだ。実は果物の種子などに含まれるシアン化合物はかなり毒の回りが早く、致死量を摂取すると数分程度で死亡する!そのため自分しか目撃者のいない場面で静かに殺害計画を実行する予定だったのだが、音也が来たことで一気に計画が狂ってしまった。そんなことなど露知らず那月は美味しそうに紅茶を飲み干し、音也は羨ましそうにそれを見ている。
音也「俺もレモンっぽい紅茶のフレーバーを選んだんだよね。レモングラス…だっけ?あとで飲むんだ!那月の飲んでるやつも明日試してみようかな?」
那月「良いですねー!僕も明日はレモングラスのお茶を飲んでみようかな?でもサユリちゃんの選んだ紅茶、ちょっと特別なものなんですかね?普通のものと比べて、ちょっと苦いですね…」
アン「……」
音也「サユリちゃんはお菓子やお茶に詳しいから、滅多に手に入れられないものも選んだのかもしれないよ?マサも和菓子や緑茶に詳しいしさ」
那月「そうかもしれないですね!あとでサユリちゃんに何の紅茶か聞いてみま…!?」
音也「那月?…那月!?えっ、どうしたの!?口から血が出てるし…!?」
突然、友人の超アイドル級の音楽家が血を吐いて倒れた。超アイドル級のサッカー選手は彼に声を掛けるが、那月は痙攣を繰り返したのち、次第に動きが弱まり動かなくなった…。
音也「那月!那月!…嘘、もしかして、死んでる…!?」
幸い、音也は少し前から那月の様子を見ていたため彼が食べたものや飲んだものに毒物が盛られていた可能性に気付く。そして、それが可能な人物は…!
音也「…もしかして、アンちゃんがやったの…?」
アン「……」
音也「何で那月を殺したんだよ!?さっきまで仲良さそうに話していただろ!?どうして…!?」
アン「…ですよ」
音也「え…?」
アン「那月くんのために、やったんですよ」
音也「殺すのが那月のため!?…まさか、那月が藍さんたちの件で苦しんでいたから、コロシアイ生活の中で生きるより死ぬ方が良いと思って…!?」
アン「知られてしまったらしょうがないですよね。本当は彼だけを安らかに見送るはずだったんですが…。こうなったら、音也くんもあちらへ送ってあげますね?」
音也「やめてよ…!俺、まだ死にたくないよ…!落ち着いて話を聞いて…!?」
偶然その場にあった熊手を手に取るトリコロール。彼女を手のひらで制しながらジリジリと後ずさる音也だが、残念ながら他のアイドルたちに彼らの声ややり取りは届かない。そして後ずさる音也が背後の壁にぶつかった次の瞬間、アンは握りしめた熊手を思い切り音也の頭上へ振りかざし…!
グシャッ!
被害者:超アイドル級のサッカー選手 一十木音也
超アイドル級の演奏家 四ノ宮那月
クロ:超アイドル級のパティシエ アン
犯行:サユリとの会話に上手く便乗してレシピを提示して凛とロージアにフルーツタルトを作らせる様に誘導し、彼女たちがお菓子を作り終わりキッチンを去った隙にこっそり果物の種を回収。調理過程で出たさくらんぼやアンズなどの果物の種子を大量に砕いて粉末状にし、種子の中に含まれる致死量分のシアン化合物を紅茶に注ぎ入れる。さらにレモンを入れると赤く変色するバタフライピーティーの特性を利用して自分と那月の紅茶をすり替え、毒物が混入していた痕跡を分かりづらくした。だが音也への犯行は犯人にとっては予想外のものだったため、突発的かつ痕跡が分かりやすくなってしまった。
彼女の犯行動機だが、アンは心優しい少女ではあったが、今まで清廉潔白な環境で長く過ごしていたため悪への耐性が弱いことと、箱入りのお嬢様出身の影響で内面はより繊細で傷付きやすい。これまでも精神的に苦しんでいたものの何とか踏ん張って来たが、今までのコロシアイ生活による殺人と処刑の応酬でついに精神が摩耗してしまい、「いっそ死んでしまえばこの生活から早く解放される」と思うように。そのような危険な状態になっている時、同じように精神的に憔摩耗していた那月の発言をたまたま聞いたことで「苦しんでいるのは自分だけじゃない」と錯覚、皮肉にもそれが犯行を後押ししてしまった結果に。音也は完全にとばっちりです、ごめんね…;
次レスは彼女のオシオキ…。感想まだ
- アイドルロンパ Chapter4 ( No.302 )
- 日時: 2021/06/13 16:25
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
注意…
シアン「あの時のあたしと那月ちゃんの会話が、アンちゃんの犯行を後押ししていたなんて…!」
アン「シアンちゃん、気にしないでください。どちらにせよ私は近いうちに殺人を犯していたと思いますし、その時のターゲットはあなたや他のみんなだったのかもしれません。本当は、分かっているんです。私が音也くんと那月くんを殺したのは単なる自分勝手な自己満足で、2人はそんなことは望んでいなかっただろうって…。でも、止められない。止められなかったの…」
サユリ「アンちゃん…!」
アン「メイプル、早く人殺しの私の処刑を実行してください。私は壊れているし、もう疲れてしまいました。早く楽になりたいんです…」
メイプル「自分からオシオキを望む展開なんて、ちょっと拍子抜けですぞー?でも、キミにはとっておきのオシオキを用意したからね?」
残ったアイドルたちの前で最後の言葉を紡ぐアン。彼女の様子は犯行を暴かれた時からは幾ばくか落ち着いていたが、事務所に閉じ込められた当初からはすっかり変化しており、すっかり生きる気力を失っていた…。最後に鎖に繋がれる前、彼女はシアンに向かって振り返り、引きつった泣き笑いの表情を浮かべた。
アン「狂っていて、ごめんね…!」
シアン「アンちゃん…!」
メイプル「それじゃあ、ワックワクドッキドキのオシオキターイム!」
GAME OVER
アンさんがクロに決まりました。オシオキを開始します。
メイプル「良い子のみんなー!今から超アイドル級のパティシエールでもあり超人気アイドルの1人でもあるアンちゃんの生放送のクッキングショーですぞー!こんな機会は滅多にないから、ぜひぜひ楽しんでいって欲しいですぞー!」
アン「…っ!」
「Un Deux Trois!!〜あつあつ仕立てのクロカンブッシュ〜」
超アイドル級のパティシエ アン・ブランカの処刑執行
超アイドル級のパティシエである少女はメイプルによってステージの上へと上げられていた。そこはキッチンスタジオであり、大勢の観客型メイプルの声援と幾つものカメラのフラッシュが自分を照らしている。だがスタジオのあらゆる場所には濃いピンク色の液体が点々と飛び散っており、悪趣味としか言いようがない。目の前のテーブルにはお菓子作りの道具と材料が用意されており、メイプルは彼女に何かを作らせる気だろう。その予想は当たっており、司会を模したメイプルがこう大声で宣言した。
メイプル「本日のメニューはアンちゃん大得意のシュークリーム!…いや、それをたっぷり乗せたシュークリーム好きにとっては夢こスイーツ・『クロカンブッシュ』を作って貰いますぞ!はい皆さん、拍手ー!」
観客「パチパチ!ヒュー!ヒュー!」
アン「…それでは、これからクロカンブッシュの調理手順を紹介していきます。材料はシュー生地用に薄力粉120グラム 、お水200ミリリットル、無塩バター100グラム 、お塩を小さじ1/4、溶き卵4個、霧吹き用のお水。中に入れるカスタードクリーム用に牛乳200ミリリットル、薄力粉大さじ2杯、グラニュー糖大さじ2杯、卵黄4個。カラメル用に砂糖150グラムとお水50ミリリットル。仕上げ用に粉砂糖とチャーピルです。まず最初にオーブンは200度に設定して予熱をしておきますね」
メイプルと周囲の熱狂に惑わされず落ち着いてクロカンブッシュの作り方を紹介していくアン。その様子はこれから死が待ち受けると確定しているとは思えないほど落ち着き払っていた。
アン「まずはシュークリームの生地を作ります。お水200ミリリットル、無塩バター100グラム、お塩を小さじ4分の1程度鍋に入れ、中火に掛けて沸騰させます。バターが溶けてきたら火を止めて次の作業へ移りますね。お鍋の中に薄力粉を振りかけて、木べらで素早く混ぜ合わせましょう。薄力粉の粉気がなくなったら中火に掛けて2分ほど混ぜ合わせたあと、鍋底に薄く膜が張ったら火を止めましょうね」
メイプル「ふむふむですぞー。注意するポイントは何?」
アン「時間を掛けすぎると焦げてしまう可能性があるので作業は手早く行うことがポイントです。お鍋に溶き卵を少しずつ加えて、木べらで生地を持ち上げた時にゆったり落ちる固さになるまで混ぜ合わせましょう」
メイプル「これでやっと生地が出来たのねー?何だか長くて退屈ですぞー?」
アン「…まだまだ掛かりますよ?次は中にクリームを詰める絞り袋を用意します。そして丸口金を入れた絞り袋に入れ、クッキングシートを敷いた天板に3cm程度の間隔をあけながら、直径4cm程度にに丸く絞り出しましょう。ここは注意深く、かつ上手く絞るには慣れがいるポイントなので気をつけましょうね。霧吹きで水をひと吹き掛けて、濡らしたフォークで形を整えたあと、200度のオーブンで10分程度焼きましょう」
ここまでは冷静かつ順調にシュー生地を作っていたアンだが、内心は死への恐怖に怯え、終始冷や汗をかいていた。
アン(おかしいです…。私はこれから死ぬことが分かっているので、その恐怖から体がたくさん汗を流していることは分かります。でも、ここは空気が薄い気がします…。それ以外の何かもおかしい…!)
メイプル「何モタモタしてるんですぞ?早く続きを作ってよ?」
アン「あっ…。はい。シュー生地が焼き上がったら10分ほど置いてオーブンから取り出して余熱を取りましょうね。続いてカスタードクリームを作りましょう。耐熱ボウルに耐熱ボウルに薄力粉とグラニュー糖をふるい入れ、牛乳を少しずつ加えながらよく混ぜます。そしてラップをふんわりと掛けて、600ワットの電子レンジで2分30秒加熱します。取り出したら…」
メイプル「取り出したら?」
観客「取り出したらー?取り出したらー?」
アン「…っ、取り出したら、素早く泡立て器で混ぜましょう!そのあとはもう1度ラップをふんわりと掛けて、さらに600ワットの電子レンジで30秒加熱します!」
メイプル「また混ぜるのー?どれだけ混ぜれば気が済むんですぞ?アンちゃんは混ぜ混ぜが好きでちゅねー?」
観客「好きでちゅねー?好きでちゅねー?」
アン「…そのあとは、バットに薄く広げ、ラップを密着させて、氷水を入れたひとまわり大きなバットに入れて冷やして、丸口金を付けた絞り袋に入れて…」
メイプル「何を薄く広げるんですぞ!?分からないですぞー!」
観客「分からない!分からない!」
アン「だから、カスタードクリームを…」
メイプル「もういいですぞ!今からボクがこのクッキングショーの先生ですぞ!」
アン「やめてください!調理の途中で余計なことをするのはダメです!…最後にカラメルを作ります!お鍋にカラメルの材料であるお砂糖とお水を入れて中火で煮詰めて…」
メイプル「お前の話なんか聞いてないですぞ!」
アン「きゃあっ!」
いきなりサラダ油を掛けられ、目を瞑り蹲るアン。そんな彼女に観客たちが水や小麦粉や砂糖を掛けたり、調理器具を持って追いかけ回し始めた。酷い妨害に困り果てるアンだが、気にせず自分がするべき作業を行なっていく。だが観客の1人である観客型メイプルがそんな彼女に怒り、包丁を振り翳してきた!
観客型メイプル「澄ました顔してお菓子を作りやがってー!邪魔!お前なんてもういらないですぞ!」
アン「ひっ…!」
このままでは包丁を突き刺されて殺される!反射的に目を瞑るアンだが、次の瞬間になっても、少し時間を置いても何も起こらなかった。
アン「あ、あれ…?」
彼女が再び目を開けると、自分を刺し殺そうとしたメイプルが突然包丁を手放し倒れていた。これに怒った司会と観客のメイプルは怒って次々とアンを殺そうとするが、バタバタ倒れていく…。
アン「助かった…のかしら?」
ともあれ襲われそうになっていた状況から助かった彼女はほっと息をつき、最後の仕上げに取り掛かる。最後は出来上がったシュークリームをタワー型に積み上げる作業であり、最も盛り上がるところだ。小柄なアンは梯子を使い、お皿にシュークリームを積み上げていく。だが、次の瞬間。
アン「最後に、お砂糖とチャーピルを振りかけて…」
仕上げをしていたアンが突然意識を失い、倒れてしまった。彼女を映す画面はジリジリと滲みながらどんどんフェードアウトしていく…。やがてカメラは全体を映し出す。何と、アンや大勢のメイプルがいたステージはあるものが囲っていた。それは巨大なオーブンであり、実はアンは最初からステージごと熱せられていたのだ。突然意識を失って倒れたのは火から煙が発生したことによる一酸化中毒(火災が起こった際に死亡する原因のひとつであり、無臭の毒性の強い有害な煙。二酸化炭素や普通の煙と異なり無臭なのが厄介であり、気が付いたら一酸化炭素を多く体内に取り込んで倒れたケースも多い。特に一酸化炭素中毒は重症化しやすく、対処が遅れると死に至る危険の強いもので、過去の事故では火災以外にもストーブや湯沸かし器の不具合が全員で発生した一酸化炭素の事故で多くの方が亡くなっている。目立たない分注目されないが、火災はとにかく炎より煙がマズい)によるものだろう…。
やがてステージを囲ったオーブンが派手に出火し、メラメラと燃え上がる炎が全てのものを焼き尽くしていった…。全てが終わったあと、最後にメイプルが真っ黒になったオーブンから何かを取り出す。それは先ほどまでアンが作っていたクロカンブッシュ…。だが、それもすっかり黒焦げになってしまい、お世辞にも食べられるとはいえないものだった。
メイプル「これは酷い出来ですねー、少し焼き過ぎちゃったかな?こんなの食べられないからゴミ箱へポイ!代わりにあらかじめ用意してあったクロカンブッシュを食べますぞ!…うーん、美味しいですぞー!トレビアーン!」
彼女の命が潰えた瞬間、アンの部屋の花瓶に飾ってあったシクラメンとスプレーマムの花がポトリと落ちた…。
博愛のエプロンを入手しました!
第4章 「妄想メソロギの滑稽な夢」
生き残りメンバー 残り7人
to be continue
最後はアンちゃんと、今回の被害者である音也となっちゃんのオシオキ案です。感想まだ
- Re: とある彼らの日常日和SP ( No.303 )
- 日時: 2021/06/13 16:31
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
最後!
・「博愛のエプロン」
あるフランス出身のパティシエールの少女が愛用していたエプロンと帽子のセット。着心地が良く汚れも付きにくく扱い易いと業界人にとって嬉しいアイテム。少女はいつもこれを身に着けて得意のお菓子作りや料理を行っていた。
・アン「Un Deux Trois!!〜あつあつ仕立てのクロカンブッシュ〜」
本家のようなピンク色の液体が飛び散ったキッチンステージにいるアン。彼女の目の前にはお菓子作りの用具と材料が用意されており、メイプルたちのリクエストに応えてプチシュークリームが多く重なったタワー…クロカンブッシュを作ることに。慣れた手つきでシュークリームを作っていくアンだが、何かがおかしい。これから死ぬ恐怖で冷や汗は流しているが、それにしても量が多いしどこか息苦しい。その影響もあったのか手つきは徐々に鈍っていき、作業が遅いとブーイングするメイプル軍団が暴れ包丁などの調理器具を持って彼女に襲い掛かろうとするが、殺されかける手前で暴動を起こした観衆が次々ばたりと倒れていく。驚くもほっと息をついたアンだが、彼女も突然意識を失って倒れてしまう。実は彼女のいたキッチンステージは巨大な窯の中に入っており、様子がおかしかったのはステージごと熱せられていたからだった。最後はすっかり焦げてしまったアン特製プチシューを見て、少し焼きすぎたかなーとあらかじめ用意されていたクロカンブッシュを食べるメイプルを映してEND。
死因は言うまでもなく焼死。タイトルは某クッキングアイドル風に。ちなみに最後に出てきたシクラメンとスプレーマム(小型の菊の花)は彼女の誕生花(11/1)のひとつです(他にはカリンなど)。花言葉はシクラメンが「ピンクのシクラメン:憧れ、内気」、「赤のシクラメン:嫉妬」 、「白のシクラメン:清純」など。スプレーマムが「清らかな愛」「高潔」など…。本来のアンちゃんに相応しい言葉であり、同時に劇中の彼女の結末と比較すると皮肉な言葉が多いですね、うわぁ…;
・那月「なつきとほしのえんそうかい」
豪華なコンサートホールに立っている那月。観客席には彼の大好きなピヨちゃんら可愛い動物…の着ぐるみを来たメイプル集団が。これが自分の最後の演奏だと悟る那月は固い表情を浮かべつつもバイオリンを構えクラシック曲・「星はきらめき」を演奏する。彼の演奏は「天才」と称えられるだけあって非常に素晴らしいものであり、終わった瞬間観客は拍手喝采。だがその歓声は徐々にどよめいたものへと変わっていく。何事かと頭上を仰いだ那月の真上にホールの天井が落下。メイプルの乗った流れ星が屋根にぶつかり、その衝撃で天井が抜けてしまったのだ。その後カメラの視点が切り替わり、夜空に美しい三日月と輝く双子座の星座が映されEND。
モデルは本家の舞園さんのオシオキ案。実は初期のプロットでなっちゃんは元々第4章のクロになる予定でした。動機は掲載したシナリオ案とほぼ同じであり、「コロシアイ生活の継続で精神が衰弱しきって壊れてしまった」というもの。その後「このままだと男ばっかりクロになる」「こっちの方がよりインパクトがある」と被害者側に変更されましたが、オシオキ案自体はすんなり思いついてました。そのためコロシアイ生活が続いて精神が衰弱していたことは変わらず、アンちゃんの犯行を後押しする立ち位置に。音楽と彼の好きな星と絡めてロマンチック、かつ残酷に。最後に浮かぶのが「月」と彼の星座である双子座というのも皮肉。…この案は元々使う予定だったのでかなり気合いを入れましたね。
・音也「決めろ!ゼツボウシュート!」
大きなサッカースタジアムに連れて来られた某サム○イジャパンのユニフォーム姿の音也。彼はメイプルとPK対決をしなくてはいけない。普通のゴールキーパーのメイプル、すばしっこく動き回る小型のメイプル、折り重なってゴールを防ごうとする群れのメイプル、巨大なゴールキーパーのメイプル型ロボットなど様々な妨害があったものの、才能のこともあってか何とか機転を利かせて全てきちんとシュートを決めていく。やがて試合終了のホイッスルが鳴り響き、今回のPK対決のMVP選手として音也はインタビューを受けるが、インタビュアーのメイプル、カメラマンのメイプル、実況や解説のメイプル、審判のメイプル、ユニフォーム姿の選手メイプル、サポーターのメイプルとあらゆるメイプルが彼の元に集っていく。やがてそれらのメイプルは積み重なって音也の周りを包んでいき、彼はメイプルたちによって全く身動きが取れなくなってしまった。その姿は側から見ると歪な形だがサッカーボールのように見える。そして彼と大量のメイプルたちを某ア○ゼンチン風のユニフォームを着たメイプルが勢いよく蹴り飛ばす。いつの間にかスタジアムの天窓が開いており、音也と彼の周りに積み重なった大量のメイプルたちは空中へどんどん浮かび上がっていく…。やがてそれは爆発し、美しい夜空に赤い花火がパッと浮かび広がった…。
死因は言うまでもなく爆死。実は音也の来ていたユニフォームにはあらかじめ小型の爆弾が仕掛けられており、例え彼がPK対決に勝利したとしても爆殺する予定だった。サッカー選手の音也自身がサッカーボールに見立てられてしまう点が絶望的。花火が赤いのは音也のイメージカラーが赤だから。タイトルの元ネタは某ギャグ漫画の劇中サッカー漫画のタイトルから。まともなサッカー系のものからタイトルを取って来ないところも皮肉ですね…。あと音也、マジで劇中でとばっちりの被害に遭わせてごめん;
今回はここまで。次でいよいよロンパパロの「アイドルロンパ」は完結します!そろそろギャグも書きたいし、次の長編のネタも浮かんできた&書きたいですしね。死ネタや湿っぽい話は懲りたし、しばらく書きたいとは思えないな…;
今回のお話の感想があれば、どうぞ。