二次創作小説(新・総合)
- アイドルロンパ Chapter5&エピローグ ( No.310 )
- 日時: 2021/06/20 16:50
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「前回のあらすじ」
音也と那月が殺害される連続殺人が起こるが、その犯人は超アイドル級のパティシエであるアンだった。アンは精神の限界により、死ねば自分も他のアイドルたちも解放されるという発想に至ってしまったのだ…。
第5章 「アイドルとして軸がぶれている」
「第5の殺人」
アンが2人殺害したことでコロシアイ生活におけるボーナスが働き、社長室を除く1階と地下、事務所周辺を囲う庭が完全解放された。脱出が間近に迫ってきたことでよりやる気を出したアイドルたちは、黒幕と脱出の手がかりを探す。だが、それに伴い新たなトラブルが起きる…。
それは捜索開始2日目に起きた。違和感を感じたシアンは地下にある部屋のひとつである小型の運動場へ。そこで彼女は衝撃的な光景を目にする…!
何と、これまでアイドルたちを牛耳り翻弄していた残酷な社長・有栖川メイプルが何者かによって殺されたのだ!
真斗「メイプルが地下で殺されただと!?」
サユリ「今までのことから考えても、私たちの誰かがあの人を殺したとしか考えられないわ…!」
ロージア「みんながあいつを嫌っていたし恨んでいたけど、まさかこんな形で死ぬことになるなんて…!」
アイドルたちを牛耳っていたメイプルが殺されたため、今回は彼によって残された時限式のメイプル型AIによって捜査と裁判が行われる。メイプルは地下にあった小型体育館の中央で包丁によって腹部を刺されていたが、彼の死亡推定時刻とアイドルたちが地下に立ち寄った時間は一致せず、さらに部屋には内側から鍵が掛けられていたので密室による犯行となっていた…。だが、捜査を進めるうちにシアンたちは現場に残された僅かなおかしい点を見つける。
シアン(このメイプルの遺体と現場、刺殺の現場としてはどこかおかしいにゃん…!メイプルがいた上半身部分の床に血の跡じゃない、透明なシミがある。しかも大きさが小さくないシミが…!)
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter5&エピローグ ( No.311 )
- 日時: 2021/06/20 16:56
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「思い出した」
アイドル裁判の末、シアンはメイプル殺しの事件の真相を暴いた。実は包丁による刺殺はフェイクであり、彼の本当の死因は何かを強く打ち付けられたことによる頭蓋骨折だったのだ!そしてそれを行ったもだが、それは驚くべきものだった。それは遺体安置所の巨大冷蔵庫に用意されていた防暑用の氷塊であり、真犯人はメイプルを地下に呼び出した上で殺害場所である運動場の天井スイッチを利用。メイプルの真上からあらかじめセットしておいた氷塊を急落下させて残虐な社長を殺したのだ。ただの氷と侮るなかれ、高さとそれなりの重さを兼ね備えた氷塊を勢いよく叩きつけられたメイプルは昏倒し、頭蓋骨を骨折して死亡した。しかも所詮は氷なので時間がたてば恐ろしい凶器は水と化し、やがて気化して現場から消えてなくなってしまう。あとはシアンたちクロ以外のアイドルが遺体を見つける前に腹部に包丁を思い切り刺して刺殺のように見せつけて現場を偽装工作。トリックに使用された機材と包丁を片付け、外に出る前にドアの内側からカギをカギ穴に差し込み、さらに持参したピンセットを差して端に丈夫な糸を結び付けて密室にする。後はそのまま部屋を出るだけ。こうすれば廊下に出ている糸を回収すればピンセットが回転して室内にカギがかかり、ピンセットは自然と鍵穴の下に落下するのだ。これで密室の完成。メイプル型AIが調べた結果、確かに遺体安置所の氷塊がひとつなくなっており、トリックに使用されたことが証明された。
問題はそれを誰がやったか、だ。シアン自身は会議室とリビングルームと亡くなったアイドルたちの個室の探索をしており殺害を行っていない。犯人は遺体安置所の氷塊の存在を知っていた人間であり、残りのアイドルの証言から犯人を導いた。真斗は1階全般、サユリは美術室と倉庫、翔は更衣室、凛はキッチンと食堂と音楽室、ロージアは屋上庭園と保健室を中心に探索しており、肝心の地下には解放直後にしか立ち寄っていなかった。そう、この事件の犯人は…!
シアン「犯人は…。犯人は、犯人はあなたなの!クロウちゃん!」
クロウ「……」
犯人は地下を探索しており、遺体安置所などの地下1階の構造と室内の状況を詳しく把握していたクロウだった…。彼は抵抗せず殺害を認め、その彼に生き残ったアイドルたちは詰め寄る。
真斗「おいクロウ!お前は何で殺害なんてしたんだ…!」
凛「あんた、前に我を忘れてメイプルを殴ろうとした私を止めてくれたじゃない!なのに、どうして…!?」
クロウ「お前らは、俺のことを随分と信用しているんだな?まあ、ここまで生き残りの奴らで支え合って生き残って来たんだし、当然だな…」
翔「もしかしてお前、何か知ってんのか…!?」
クロウ「知っているも何もない。…俺はこの事件の加害者であり、そしてこの監禁事件の黒幕の1人だ!お前たちアイドルは俺が攫って閉じ込めた!そのせいである者は耐えきれずに、ある者はやむを得ず殺人を犯し、被害者となり、処刑されていき、そのせいで9人のアイドルたちは死んでいった…。俺はアイドルなんかじゃない。『超アイドル級の処刑人』、それが俺の肩書だ。俺は黒幕に乗せられ、多くの惨劇と絶望を生み出したクズ野郎だ…」
全員「!」
クロウは本来類まれな歌と演奏の才能を持つ「超アイドル級のギターボーカリスト」だった。まだ若年ながらもそのことで業界では一目置かれ、人気V系バンドユニット「シンガンクリムソンズ」のギターボーカルとしてスカウトされ日々歌い、ギターをかき鳴らし続けていた。だが黒幕によって引き起こされた「絶対的絶望事件」が引き起こされてから彼の周囲は一変してしまう。黒幕の策略によって彼のバンドメンバーは全員殺害され、「シンガンクリムソンズ」は解散に追い込まれてしまう。自分の生きがいであったバンドとバンド仲間を失ったクロウは深い憎しみと絶望に囚われ、黒幕の巧みな誘導もあり黒幕の配下として芸能界に絶望をまき散らす「超アイドル級の処刑人」となってしまった。彼は絶望していたことから何のためらいもなくシアンと残りのアイドル15人を攫い、絶望の事務所・「シャイニング」に監禁。コロシアイ生活が行われるように誘導した。その結果、9個の命が奪われた…。
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter5&エピローグ ( No.312 )
- 日時: 2021/06/20 17:02
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
シアン「そんな…。クロウちゃんが、事件を引き起こした1人だったなんて…」
クロウ「今だから言うけど、ターゲットの1人にシアンがいると知った時は本当にびっくりしたんだぜ?俺をギターボーカリストとして後押ししたのがガキの頃のお前だったんだからな?本当は芸能界に何の関係もないただの女であるお前だけでも逃がしてやりたいと思ったけど、黒幕に逆らうことは死を意味する。だから連れてくるしかなかった…。シアンは才能を秘めた原石であり明るくコミュニケーション能力に長け、心の強さも合わせて他の成功したアイドルたちにも一目置かれる存在だった。絶望を邪魔する存在になると判断した黒幕はシアンを要警戒人物だと言い、俺に特に強く注意を払って観察するようにと言いつけた。だがシアンは何度も何度も酷い殺害現場や絶望を見せつけられても屈しない精神力の持ち主だった。シアンは俺なんかより何倍も何十倍も強い人間だったよ。…死んでいった奴らの最期を目の当たりにした俺は、絶望と憎しみによって逸らし続けていた現実に目を向け始めた。そして前回精神衰弱の果てに死んでいったアンの最期の顔を見た瞬間、俺の中に決定的に後悔が押し寄せてきた…!ああ、殺された奴らも処刑された奴らもこういう風に死んでいったんだなって…!シアンとケンカした時に言った「弱かったから死んだ」という発言を俺は心から後悔した!ふざけんな!誰よりも1番弱っちかったのは他の誰でもない!憎しみに囚われて視野が狭まって黒幕のいいように流され続けてきた俺だろって…!俺が殺人を犯せば黒幕に繋がる部屋が解放される、だからこの道を選んだ。もう後戻りできない取り返しのつかないことをした俺は自分へのケジメとお前たち残った6人を解放するためにあのふざけたメイプルを殺したんだ」
ロージア「…だからって、自分が処刑されることを選ぶ必要なんかないじゃない!警察に出頭するなりして、生きて罪を償う道もあるじゃない…!」
クロウ「言っただろ?大量殺人の片棒を担いだ俺の手は、愛用のレッドトマホークを握ることも出来ないほどどす黒く汚れちまったんだ。もう俺は以前のギターボーカルには戻ることなんて出来ねえし、今まで死んでいった奴らにも見せる顔がねえ…!」
シアン「レッド、トマホーク…」
レッドトマホーク、という言葉を聞いた瞬間、シアンの脳裏にある光景がよぎった。それは以前自分が見続けていた夢…。
幼いシアン「うわぁ、とっても素敵なギターの音!きみも音楽が好きなの?」
幼いクロウ「まぁな!俺様は将来、世界で1番カッコ良くてモテるギターボーカリストになるんだ!ネコの女のお前、お前もギターを演奏するのか?」
幼いシアン「うん!あたしも最近ギターをやり始めたのにゃん!これはあたしのギターのストロベリーハート!イチゴちゃんって呼んでるのにゃん!ねえ、きみの名前は?」
幼いクロウ「そんなに知りたいなら教えてやるぜ!俺の名前はクロウ!世界で1番カッコよくてモテる超アイドル級のギターボーカリスト様だ!こいつは愛用のレッドトマホークだぜ!」
幼いシアン「すっごーい!とってもカッコいいにゃん!」
幼いクロウ「まあな!俺様がカッコいいのは当たり前のことなんだよ!…なあシアン、良かったらお前にもギターを教えてやるぜ!始めたばっかりなんだろ?」
幼いシアン「本当に!?ありがとにゃんv」
幼いシアン「…ねえ、もう行っちゃうの?」
幼いクロウ「ああ、元々俺は親父の仕事の都合で一時的にここにいただけなんだ」
幼いシアン「そんなぁ…!やっと少しだけコードが弾けるようになったのに…!クロウちゃんとセッションしたかったのに…!ぐすん…!」
幼いクロウ「…なあ、シアン。俺は才能があるし売り込みも出来るから、将来でっかくて人気のあるバンドにスカウトされる。そこのギターボーカルとして絶対ビッグな男になる!だからお前も泣くな!それでまた、クラブとかの舞台で会おうぜ!それで一緒にセッションするんだ!歌も一緒に歌おうぜ!音痴でも大丈夫だぜ!俺のスペシャルビブラードテクニックでカバーとリードしてやるよ!」
幼いシアン「…クロウちゃん、それ、本当?約束、破らない?」
幼いクロウ「ああ、もちろんだ!俺様は約束を絶対に破らないでっかい男なんだぜ!」
幼いシアン「…ふふっ、クロウちゃんったら変なの!クロウちゃんはおっきくないのに!」
幼いクロウ「何だとー!将来絶対190越えの超スーパーウルトラでっかいビッグな男になるからいいんだよ!」
幼いシアン「分かったにゃん!もしクロウちゃんがビッグになれなくても、絶対にあたしから探しに行くからね。それで会って、絶対に一緒にセッションしようね…!約束だよ…!」
シアン「あ…。ああ…!」
クロウ「…思い出しちまったのか。俺はこんなことになっちまったし、本当はずっと『ただのクロウちゃん』のままで覚えて欲しかったんだけどな…」
被害者:残酷な社長:メイプル
クロ:超アイドル級の???(ギターボーカリスト/処刑人) クロウ
動機:実は物語のキーパーソンの1人であるクロウは全体の事件を引き起こした黒幕の1人。バンドの仲間たちや自分の尊厳を奪われてすっかり絶望に囚われていたクロウは何の躊躇いもなくシアンとアイドルたちを攫いコロシアイ生活を引き起こした。しかしターゲットの1人に幼い頃触れ合い、自分をギターボーカリストの道へと後押しさせたシアンがいたことで動揺。彼女をアシストする、と見せかけて監視する生活を続けていく。その中でコロシアイ生活の果てに殺害されたアイドルや処刑されたアイドルの生き様や最期、何度も絶望を突きつけられても立ち向かうシアンや生存アイドルたちの姿を見せつけられて正気を取り戻し、自分の監禁のせいで9つの命を奪い見捨てるという許されない犯罪を犯したせめてもの償いとしてメイプルを殺害した。これでシアンたち生き残った者たちは解放されるので、死ぬ覚悟は出来ている。
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter5&エピローグ ( No.313 )
- 日時: 2021/06/20 17:14
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
シアン「嫌だ…!嫌だよ…!クロウちゃん、行かないで…!」
クロウ「俺はとっくのとうに死ぬ覚悟が出来ている。今まで許されないことをしてきたツケだ。当然の末路だよ。シアン、お前はいい意味で変わっていなかったな…。殺人事件の捜査や裁判や処刑はキツかっただろうけど、明るく元気で強いお前がいたからこそ、このクソみたいな状況の中でも全滅せずに数人は生き残れたんだ、胸を張っていいぜ…!真斗、みんな、後のことを全部押し付けて悪ぃ。絶対にこのふざけた事務所から脱出してくれ…!お前らなら出来る…!」
ボロボロ泣きじゃくるシアンにクロウは向き合い、彼女の手を掴んで最後の言葉をひとつずつ、ひとつずつ口にする。そしてハリネズミ族の少年は、やっと本来の明るくやんちゃな笑顔を取り戻し…。
クロウ「シアン、このふざけた状況をぶっ壊せるのはお前だけだぜ?」
シアン「クロウちゃん…!?嫌、お願い、やめてやめてやめてやめてやめてクロウちゃん…!いやああああああああああー!!!!!!!!!!」
幼い頃の記憶を取り戻した少女の慟哭空しく、ハリネズミ族の少年は処刑場へと引きずられていった…。
GAME OVER
クロウくんがクロに決まりました。サイゴのオシオキを開始します。
BGM:TSUBASA
処刑場に連行されたクロウは幾重ものスポットライトが交差する巨大なライブハウスの中にいた。そこはライブ会場特有の熱気で渦巻いており、数多くの観客たちがクロウのギターテクニックと震えるビブラートと高いシャウトに夢中になっている。彼は自分が絶望に堕ちた時以来手にしていなかった幼い頃からの愛用の楽器・「レッドトマホーク」を身に着け、バンド時代の十八番の曲を歌っていた…。
「少年は真紅の翼に抱かれ夢を見るか?」
超アイドル級の処刑人 クロウの処刑執行
クロウ「家畜共、盛り上がってるかー!」
観客「ウォォォォォ…!」
クロウ「まだだ!まだ到底足りねえ!お前らの渇き餓えた叫び、もっと俺様に響かせてみろ!」
大勢の観客たちの呻きに対するクロウのレスポンスは圧巻のものであり、彼が一流のギターボーカリストとして成功出来たと納得のいくものだった…。観客たちの手はクロウに届くすれすれのところにあり、ライブ特有の熱気と処刑前の緊張感が同時にぴりぴり漂う。彼の後ろにはギター、ベース、ドラムを演奏する動物型のメイプルがおり、それはかつての彼の仲間たちによく似ていた。
クロウ(アイオーン、ヤイバ、ロム…。あいつらが今の腑抜けた俺を見たら、一体どう思うんだろうな…)
かつてのバンド仲間たちのことを思い、一瞬陰るクロウだが、彼の演奏と歌声の迫力に陰りはない。クロウのライブはさらに熱狂し、これが処刑だということを見守る誰もが忘れるほどだった。だが、次の瞬間クロウは驚きの余り息を止めることになる。
バンド仲間その1?「ヴァ…」
バンド仲間その2?「ググ…」
バンド仲間その3?「オォ…」
クロウ「アイオーン!?ヤイバ!?ロム!?」
観客たちに紛れてクロウに手を伸ばしていたのは流血しているかつてのバンドメンバーたちだった。だが彼らに生気などというものはなく、顔色は土気色であり動きも緩慢。白目を剥きただただクロウに手を伸ばし続ける様子はまさにゾンビといってもおかしくない容貌だった。強く動揺するクロウだが、彼らに続いて現れたのは…!
レトリー「早く家に帰りたい…!帰りたいよ…!」
コリエンテ「嫌だ、食われたくない…!誰か助けて…!」
タロー「何で俺がナカジに殺されるんだよ…?ナカジ、どうして…?」
ナカジ「サユリはどうなった…?無事なのか…?」
クロウ「まさか、死んだ奴らを操っているのか!?」
そこにいたのはケーキサーバーの刺さった腹部から血を流すレトリーと、鮮血が噴き出し全身がぐちゃぐちゃになったコリエンテと、ぷすぷす焦げる音と匂いを放つ水死体となったタローと、全身穴だらけのナカジだった。彼らは言わずもがな死んだ時と同じ状態であり、死者を愚弄するような行為にクロウは戸惑い、そして怒りを覚える。だが…。
藍「痛い…。息が出来ないし、苦しい…!」
カミュ「美風、来栖、すまん…」
那月「もう殺し合う生活は嫌です…。どうしたら僕たちはこの悪夢から出られるんですか…?」
音也「那月、アンちゃん、ごめんね、俺がちょっとでも気付いてあげられてたら…」
アン「熱い…。ただただ熱いです…!」
クロウ「このステージ、アイツらと近いからマズくないか…!?」
顔面蒼白かつ首筋に吉川線がくっきり浮かぶ藍と首元がぱっくり割れて血が噴き出すカミュと吐血する那月と頭部から血を流す音也と全身黒こげのアンがいた。彼らはクロウに向かって手を伸ばしており、クロウは彼らの元に引き寄せられそうになる。間一髪で躱したクロウだが、彼のいるステージは空中に浮遊しており足場には安定感がない。さらに客席全体を見渡すと、そこはクロウにとって地獄と言っても大差ないものだった。客席にはクロウの家族、クロウやシンガンクリムゾンズを応援していたファン、かつてのライバルバンドだった者たち、知り合いのTV関係者や音楽関係者たちが屍と化しており、全員がクロウの歌と演奏を聴きながらクロウを屍の仲間にするため引きずり込もうと手を伸ばしていた。流石に恐怖を覚えたクロウは脱出出来る場所がないか探すが、ステージが空中に浮かんでいるためライブハウスからの脱出は不可能。屍と化した観客たちの手を躱して逃げ回る中彼が思いだしたのは、かつてのシアンの言葉だった。
絶対に一緒にセッションしようね!約束だよ!
もう2度とその約束が果たされることはない。何より、自分は到底許されないことをした。ならばせめても、とクロウは歌唱と演奏を一旦中止し、浮遊するステージの上にレッドトマホークを置く。そして蠢く屍たちにクロウは叫ぶ。
クロウ「上等だぜ家畜ども!お前たちの魂の叫び、俺様が全部聞いてやるよ!」
次の瞬間、クロウは観客席に飛び込んだ。待ち望んだ獲物の登場に屍たちはあっという間に群がる。屍たちにもみくちゃにされるが、クロウは一切抵抗しなかった。そしてクロウは最後まで歌い続けた。今までのV系ロックナンバーとは一転してそれは誰もが知る古典的な子守唄であり、ハイトーンのビブラートやシャウトを得意とする彼には似つかわしくないと思われるものだが、何故か不思議と優しく聞こえた。その状況の中クロウの周囲を飛び交う鮮血は、まるで彼に生えた赤い翼のようだった…。
レッドトマホークを入手しました!
第5章 「アイドルとして軸がぶれている」
生き残りメンバー 残り6人
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter5&エピローグ ( No.314 )
- 日時: 2021/06/20 17:14
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
エピローグ 「ニルヴァーナ」
幼馴染のクロウが処刑されたあと、シアンは深い絶望に包まれていた。そんな彼女を真斗は「クロウはシアンだからこそ、この悲惨な状況を打破出来ると託した」と根気強く彼女を説得する。他の4人も賛同し、その言葉に自分を取り戻したシアンは仲間と共に完全解放された事務所内を探し回る。遂にみつけた自分の愛用の楽器であるストロベリーハート、そして真斗の手元にあるクロウの遺品のレッドトマホークはシアンにとって希望の象徴であり、彼女は決して怯まない。それは彼女と共に多くの人物の死と絶望に立ち向かってきた5人も同じだった。
真斗「最期のクロウの言葉通り、俺たちは必ずこの悪夢の幕を引く…!未来ある輝かしい多くの者たちの命が紙切れのように扱われ、虚しく死んでいった悪夢は必ず終わらせなければいけない…!」
サユリ「ようやくこの長い悪夢が終わるんだね…。私もナカジくんやタローくんの分まで頑張るし、この戦いの中心人物となって顛末を見届けるわ…!」
翔「ちっぽけで何も出来ないと思っていた俺たちにも出来ることはあるんだぜ?でも、立ち塞がってくる黒幕は何をしてくるか分かんねえからな!お前たちも気を付けろよ!」
凛「下手したら私も被害者や加害者になっていたかもしれない…!犠牲になったみんなだけじゃなく、これからの自分のためにもけじめはしっかり付けないといけないわ…!」
ロージア「みんながメイプルに振り回されて平気で人を殺し合う生活とはこれでおさらばよ!ここから出たらみんなを弔う場所を作るわ…!長く続いた悲しみと犠牲の連鎖は絶対にあたしたちが断ち切る!」
シアンは希望の象徴であるストロベリーハートを抱え、ここまで閉鎖されていた社長室へ向かう。全ての元凶が待ち受けるため緊張は走るが、彼らは絶対に振り向かない。意を決して、ネコ族のミューモンの少女はドアを開けた!
シアン「それで?どうしてこんなことをしたの?ここまで『あたしたち』を苦しめてきた黒幕さん?」
BGM:ニルヴァーナ
壊れた世界の隅っこで 僕らは空を見上げてる
君のぬくもりを探しにいくよ
繋いだその手の微熱が 消えない明かりを灯せば ぼやけた世界の隅まで照らす ほら 鮮やかに
悲しみは沈み ほら 夜が明ける 君のぬくもりを探しにゆこう 未だ見ぬ世界へと
エピローグ「ニルヴァーナ」
生存アイドル 6人
AIDORU RONPA END
こうしてシアンたちは黒幕に打ち勝ち、幾つもの惨劇を引き起こした事務所の脱出に成功します。生き残ったのはシアンと真斗とサユリと翔と凛とロージアであり、彼らは事務所から出られなかったアイドルたちに思いを馳せるも、彼らとの思い出と遺志と希望を背負って前に進んでいきます。
そしてクロウの処刑には驚いた方もいるでしょう。物語のキーパーソンの1人であるクロウは全体の事件を引き起こした黒幕の1人であり、バンドの仲間たちや自分の尊厳を奪われてすっかり絶望に囚われていたクロウは何の躊躇いもなくシアンとアイドルたちを攫いコロシアイ生活を引き起こしました。ですがターゲットの1人に幼い頃触れ合い、自分をギターボーカリストの道へと後押しさせたシアンがいたことで動揺。彼女をアシストする、と見せかけて監視する生活を続けます。その中でコロシアイ生活の果てに殺害されたアイドルや処刑されたアイドルの生き様や最期、何度も絶望を突きつけられても立ち向かうシアンや生存アイドルたちの姿を見せつけられて正気を取り戻していきます。正気を取り戻す決定打になったのは意外にも精神的限界を迎えた先に殺人を犯したアンの処刑であり、「殺された者たちは弱かったからいずれ殺されたり殺人を犯して処刑された」という発言を彼は心底後悔します。そして「1番弱かったのは黒幕に乗せられて今まで黙っていた俺自身だ」と悟り、その結果極限状態に追い込み9人もの命を奪う凶悪犯罪の片棒を担ぐ取り返しの付かないことをしでかした償いとしてメイプルを殺害。クロウはシアンのことを覚えていましたがシアン側はクロウのことについて覚えていませんでした。ですが、彼女がクロウのことを思い出した時にはすでに遅く…。
最後に、主人公であるシアンちゃん以外の生存組と作品全体のキーパーソンであり、パロディ最後のクロであるクロウのオシオキの解説。感想まだ
- アイドルロンパ Chapter5&エピローグ ( No.315 )
- 日時: 2021/06/20 17:30
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
・「レッドトマホーク」
クロウの愛用の楽器であった深紅のギター。クロウは幼い頃からこれを演奏しており、小さいシアンを惹きつけただけでなくギターボーカリストとして本物かつ一流の才能があった。しかし事件の黒幕によって彼のバンド仲間の3人が殺害され、バンド解散に追い込まれた時からクロウはこれを使用しなくなった。憎しみと絶望の果てに「超アイドル級のギターボーカリスト」から「超アイドル級の処刑人」へと転じたクロウが最期に使用したのは、自分の処刑を行う処刑場…。
「生存組」(全く考えていないシアン以外)
・真斗「聖川師範代による模範演技」
和室のような空間にいる和服姿の真斗。彼の目の前にはまっさらかつ大きな和紙が広がり、傍らには筆と硯も見られる。メイプル集団による真斗コールを耳にしながら最後にその声援に応えようと筆を構える真斗。だが突然その体が宙に浮く。次の瞬間目の前が真っ黒に染まり呼吸はままならず、口には苦いとも何ともとれない不快なものが広がる。そして全身、特に頭部が悲鳴を上げるではないか。…ここまで表現すれば分かるだろうが真斗自身が筆に見立てられており、彼を掴んでいるのは巨大なメイプル。何度もそれを繰り返され意識がもうろうとする真斗を後目に最後の一筆を振るおうと大きく振りかぶったメイプルだが、そのはずみで彼を墨汁溢れる巨大な硯に落としてしまった。…そして最後に仕上がった書にはお世辞にも上手いとはいえない文字で「めいぷる」と記されていた…。
最終的な死因は墨汁の海に落とされたことによる溺死(実は真斗は泳げない。原作か3期2話をよく見ると分かるが他のキャラと比べると真斗が泳いでいる描写がどこにもない)であり、最後の書も作詞した歌詞を半紙に綴るほど(アニメ3期8話参照)の彼に対する冒涜。「師範代」自らが筆にされてしまうというのも皮肉。
・サユリ「折り鶴たちの恩返し」
舞台は夕暮れの教室。そこにはたくさん積まれた折り紙と机に向かって一心不乱に折り鶴を折る制服姿のサユリ、そしてそんな彼女を見守る教師の格好をしたメイプルが。サユリが心を込めて折った折り鶴をメイプルは吊るしていき、とうとう最後の1羽が完成。折り鶴たちは重なり合って1羽の鶴となり、「優しいサユリちゃんを天国に連れて行ってあげる」とサユリを背中に乗せる。怒るメイプルを後目に窓を開け飛び出した鶴だったが、その直後窓枠にサユリの体が引っ掛かりそのまま落下してしまう。それに気付かず折り鶴は彼女が乗っていると思い込み、天高く飛んで行った…。
彼女の死因は転落死。これは言うまでもなく「鶴の恩返し」を参考に。折り鶴に心が宿りサユリちゃんの味方になった…と思わせて(悪気なく)それに裏切られてしまった、というオチ。浮かんだ風景が幻想的かつロマンチックなので気に入っていますが、肝心のサユリちゃん自身がクロになりそうもないキャラだった。
・翔「ケン王特別回~ゼツボウの未来へReady GO!~」
憧れのケン王(ケン王はうたプリの作中劇のひとつであり、翔の恩師&憧れのアイドル&シャイニング事務所の大先輩である日向龍也さんが主演として出演している)の衣装を着せられ、世紀末風の鎧などを装着された白馬に跨る翔。今回の主役である翔の準備が出来たこともあり、監督のメイプルが撮影開始の合図を出す。翔は愛馬に跨り駆けながら、次々と自分に襲い掛かる悪漢たちを倒していく。それらは炎の剣を操る男、水や氷を纏う刀を振るうサムライ、ガトリングガンをぶっ放してくる大男、次々と魔法を繰り出す魔導士の男、火を付けた弓矢を放つ色男、笛を吹き彼らを援護する褐色の男…。何とか彼らを全員倒し、翔の最後の敵として立ちはだかったのは、彼の憧れの存在である日向龍也によく似た色違いのケン王だった。どうやら彼はニセモノのケン王であり、悪漢たちのボスとして街で蹂躙の限りを尽くしているようだ。一瞬翔は怯むが、互いに馬に跨った2人は激しく殴り合う。確かな実力を持つニセケン王に苦戦するものの何とか彼は辛勝した。だが次の瞬間主人が強敵に勝利したことから興奮した白馬が暴れ出し、翔は白馬から振り落とされてしまう。起き上がろうとする間もなく白馬は翔を踏み付け、去っていく。そんな彼の背後にはいつの間にかモヒカンたちが乗ったバイクや多くの水牛の群れが…。
彼の死因は白馬やバイクや水牛たちに轢かれたことによる轢死。ちなみに補足すると、劇中に出てきたのは翔の仲間であるST☆RISHのみんなの戦闘スキルを模した姿の男たちです(音也=オーソドックスな片手剣&炎魔法、真斗=名刀・明鏡止水&水の魔法、那月=星のエネルギーをチャージしたガトリングガン、トキヤ=基本の3属性と無・闇属性の魔法を使用可能な魔導書、レン=炎属性付きの弓矢&炎魔法、セシル=光属性の魔法やバフや回復などサポートに長けるスキルを使用可能な狩猟笛)。憧れの龍也さんがニセモノ扱いされていること、振り回されながらも何だかんだで仲間思いの翔ちゃんが仲間を模した悪漢たちと戦わなくてはいけない点が絶望的。ちなみにタイトルの元ネタは某アニメの最終回タイトルから。
・凛「霜月委員の図書室整理」
学校の図書室らしき場所へとメイプルに案内された凛。メイプルから高いところにある本を取るように頼まれ、仕方なく言われるまま脚立を使って本を取ると彼女の手元に小さな虫が這ってくる。慌てて本を落として振り払うも本の中や更に本棚の中からも何匹もの虫が現れ、凛の体を這っていく。最終的に彼女の身体全体が虫に包まれ、恐怖のあまり凛は床に倒れ込んでしまう…。と、その時、突然床が大きく揺れ、辺りに轟音が響き渡る。暫く経って映された画面には身体中を虫に包まれた上にペラペラになった凛の姿が…。実はメイプルが凛を連れていったのは、巨大な飛び出す絵本の紙面だったのだ。最後は「こんな虫だらけの栞が入った本は要らない」とメイプルが凛入りの絵本をゴミ箱に放り投げて捨ててEND。
最終的な死因は巨大な本に潰されたことによる圧死。ちなみに凛の身体を這ったのは本を台無しにする「死番虫」という虫であり、古書や紙を食べてダメにしてしまうことから本の関係者から恐れられている。本の関係者に死番虫が寄ってくる、女子の身体を大勢の虫が這う、最終的に本の関係者が「栞」にされてしまうという3種類のヤバい絶望がずらり。自分で考えた者が言うのも難ですが、本好きの身としてはこれはマジでえげつない…;
・ロージア「PRETTY MEIDEN」
ドレスアップルームに佇み、巨大な鏡の前に座っているロージア。彼女の側にはスタイリストの格好をしたメイプルがおり、彼女を可愛らしくドレスアップしていく。まずは針が付いたヘッドドレスを彼女の頭に突き刺し、次にガーターベルトを彼女の太ももにキツく縛り付ける。ロージアは思わず「痛い!」と叫ぶが、別に死ぬ程の痛みじゃないとメイプルはノリノリでロージアのドレスアップを続ける。炎で熱した真っ赤な靴を履かせ、ロザリオのネックレスで首を締め付け、無数の棘が内側に装着されたコルセットを無理やり着せ…。そしてとうとう彼女のドレスアップが完成した。そこにはゴシックロリータ風の非常に可愛らしい衣装とアクセサリーで目一杯飾り付けられたロージアの姿が鏡に映されていた。だが彼女の顔面は真っ青で血の気がなく、最初に装着された針付きヘッドドレスが付けられた頭部からは彼女の血が一筋垂れていた…。最後はハート型のグラスにたっぷり注がれた真っ赤なトマトジュース(?)を飲むメイプルがアップで映されてEND。
彼女の死因は体内の全ての血液が血抜きされてしまったことによるショック死&失血死。実はヘッドドレスに付いている針は注射器の針であり、最初からロージアの体内の血液を吸い続けていた。つまり最後にメイプルが飲んでいたものは…。タイトルの元ネタは某ドールの漫画&アニメ。
・クロウ「少年は真紅の翼に抱かれ夢を見るか?」
巨大な浮遊ステージにギター「レッドトマホーク」を構えてスタンバイするクロウ。観客の手は届くすれすれのところにあり、ライブ特有の熱気と処刑前の緊張感が同時にぴりぴり漂う。後ろにはギター、ベース、ドラムを演奏するメイプルがおり、それはかつての彼の仲間たちによく似ていた。スタンドマイクを前にした彼はレッドトマホークをかき鳴らし、得意のシャウトとビブラートで観客たちを圧倒する。だがここにいる観客たちはどこかおかしい。…そしてとうとうその中に死んだはずのバンド仲間たちの姿を発見する。しかもその姿は死亡時の状態であり、彼らは生きる屍となってクロウに手を伸ばしていた…。他にも観客の中には彼の家族、応援してくれたファン、ライバルだったバンドの者たち、さらにコロシアイ生活で死んでいった仲間たちもが蘇り、クロウの姿を捉えようと手を伸ばし続けている。その光景に恐怖を覚えて逃げ出そうとするが、空中に浮遊しているステージに逃げ場はない。そんな状況の中最後に彼が思いだしたのはかつてシアンと交わした約束だった。「出来ることなら、シアンと一緒に歌いたかったな…」
もう2度と約束が果たされることはない。何より自分は許されるべきでないことをしてきた。なら最後にせめてもとレッドトマホークをステージに置き、蠢く屍となった観客たちにクロウは叫ぶ。
「上等だぜ家畜ども!お前たちの魂の叫び、俺様が全部聞いてやるよ!!!」
そして観客席へとダイブ。クロウは屍となった観客たちにもみくちゃにされるが、彼は一切抵抗しない。そんな中でクロウの周囲を飛び交う血はまるで彼に生えた赤い翼のようだった…。
タイトルの元ネタは有名なSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」から。余談ですが、本家ダンガンロンパ2のあるチャプターのタイトルもこれのパロディです。
これでダンガンロンパパロディの「アイドルロンパ」はおしまい。NGシーンと裏話を少しだけやります。感想OK