二次創作小説(新・総合)
- Re: ポケットモンスター 救世の姫君 ( No.3 )
- 日時: 2021/06/28 18:01
- 名前: 海桜 ◆VYJqzu6hsI (ID: WhJAOnLo)
その後、ナージャは早々にディアンシーに別れを告げ暗い森の中を進んでいた。
追っ手が来る可能性を考慮し、夜の内に少しでもフローナスから遠ざかりたかったからだ。両親に秘密でこっそり入手したランニングシューズで、木の根を跨ぎ、沢を飛び越え。どんどん進むナージャ。だぼだぼのメイド服のせいで動きづらいが、我慢して進む。
夜の風が、彼女の長い金色の髪を弄んでいた。
「ナージャ!」
その後をディアンシーが追いかけていた。
石の身体に力を込めて地面を跳び跳ね、前に進む。かなり力を入れているのか、荒い息を吐きながら跳んでいる。人間で言えば、全速力で走っているのと同じらしい。
「ナージャ、お待ち下さいませ!」
この言葉を聞くのは、何度目か分からない。
別れを一方的に告げてから、ディアンシーはナージャの名を呼びながら、ずっと追いかけてきていた。急ぐから、と説明してもディアンシーは追いかけるのを止めない。鬼ごっこは長いこと続いていた。
しばらくしてこれ以上逃げても無駄だと諦めたナージャは、立ち止まり、ゆっくり振り向いた。
「ナージャ、わたくしを置いて先に行こうとなさるなんてひどいですわ」
宝石のように透き通った目を吊り上げ、ディアンシーはナージャを睨む。
「え、さっきお別れするって言ったのに」
「いきなりさよならなんて、ひどいですわ」
「うーん。そうね、急すぎたかな? ごめんね」
とっさに謝ると、ディアンシーは機嫌をよくしたのかニコリと笑う。
「よろしい。では、ナージャ。わたくしと共に森を歩くことを許します」
「はい?」
何故ディアンシーと共に森を歩くだけで、わざわざ許されないといけないのか。
意味が分からず、ナージャがぽかんと口を開けるとディアンシーは、慌てて訂正する。
「えっと。わたくしと森を歩いて欲しいのです!」
ああ、なるほどとナージャは納得する。
同時にディアンシーは、ダイヤモンド鉱国の中では偉い立場に居るのではないかと推察した。許す、と言う言葉が出るくらいだ。こう見えて、ダイヤモンド鉱国の女王様か自分と同じお姫様もしれない。——まあ、王様や王子と言う可能性がなくもないが。
「この暗闇は、恐いしね」
「ええ。この暗い森はとても恐いですが、二人で歩けば恐くありませんわ」
「いいよ。一緒に行こ」
快くナージャが快諾すると、ディアンシーは嬉しそうに飛び上がった。