二次創作小説(新・総合)
- Re: オオカミ少女と嘘の森 ( No.1 )
- 日時: 2021/07/12 14:07
- 名前: 坂田 烈 (ID: 7yWjtgfN)
プロローグ
「大変だー!オオカミが来たぞー!!!」
草原に響き渡る快活な少年の声。
その言葉を聞いた、草原で昼寝していた男二人は慌てて飛び起きた。
「お、オオカミだぁ!?」
「た、大変だ……食われちまう!オオカミが来る前に逃げろー!!!」
バタバタと逃げていく二人の姿を、爆笑しながら一人の少年が見ていた。
「あっはははは!!オオカミなんて嘘に決まってるのになぁ!」
この少年は、仕事自体は真面目にやるし、根は優しい性格なのだが、一つ悪い趣味を持っていた。それは、嘘をつくことだ。
少年は暇になるといつも「オオカミが来た」と嘘をつき、それを聞いて慌てふためく者達を笑いながら見るといういたずらをしていた。迷惑この上ない趣味である。
「さーてと、また誰か来ないかな〜」
少年は男達がいなくなった草原に寝転んで、次の村人を待つ。言うまでもなく、またいたずらをする気であった。
「皆あっさり信じるからなぁ。オオカミなんて、いるわけないのに」
少年が含み笑いで言った、その時であった。
【ーー嘘をつくのは、貴様か?】
「!?」
少年が慌てて体を起こし、周囲を見渡すと。
少年のすぐ後ろに、巨大な、とても巨大な真っ黒な毛皮のオオカミが一体、立っていた。
「ひ、ひぃっ!ほ、ほ、本物のオオカミ……!!!」
少年の額から、汗が流れ落ちる。
オオカミは少年の目の前まで来ると、もう一度同じ質問を繰り返した。
【嘘をつくのは、貴様か?今まで周りの者達に迷惑を掛けていたのは、貴様なのか?】
「は、はい!今まで『オオカミが来たぞ』って嘘をついていたのは僕です!!本当にすみませんでしたぁ!!」
少年が土下座する勢いで必死に謝ると、オオカミはすっと目を細めた。
【ーーふむ、反省はしているようだな。しかし、今まで迷惑を掛けてきたことに変わりはない。一つ、貴様に罰を与えるとしよう】
「うっ……は、はい、分かりました……」
一瞬顔が引きつるが、少年はすぐに覚悟を決める。今までやってきたことの報いなら仕方がないという反省の気持ちが、少年の中に渦巻いていた。
「えーと……僕を殺すんですか?」
【私はそこまで残虐なことはしない。では、貴様に罰を与える】
- Re: オオカミ少女と嘘の森 ( No.2 )
- 日時: 2021/07/12 19:45
- 名前: 坂田 烈 (ID: zVUea1Ub)
「ぐぅっ!?」
少年の心臓がどぐんと脈打ち、身体に変化が生じていく。
髪の毛が艶を帯びながら長くなっていき胸の辺りまで伸び、黒かった色も濃い金色へと染まる。
もともと小柄だったため身長には大きな変化はなかったが、肌は柔らかくなる。さらにそれは日焼け知らずの色白になる。
鼻の頭に、ぽつぽつとそばかすが現れた。
変化した髪や肌をさする少年の手も、さらに細くなり華奢な腕や手となる。
そんな手で膨れ上がりそうな胸元にある二つの膨らみを押さえるも、それは押さえきれず、柔らかく弾む。思わず少年の口から小さく声が漏れた。
「はぅっ!あっ…あっ……!」
足も腕と同様、白く細くなり、男性のシンボルは縮み、やがて消滅。
それと同時に、少年の腹の辺りがぐぐぐっとへこみ、括れが出来ていく。
胸を押さえていた手を離し、大きなおっぱいが揺れるのを横目に、股間に手をおく。
しかし、すでにソレはなくなっており、喪失感を覚えた。その下腹部がぐにぐにとうごめくと、少女の器官が生まれた。
喉仏が引っ込み、低く変わりかけていた声が少女の高く可愛らしい声になった。
「あぁ!あっ!はぁうっ!」
少年は女体化してしまったのだ。高くなった声で喘ぐ、少年に更なる変化が起こる。
少年の頭がむずむずしたかと思うと、ぴこんと二つの尖った、黄色い毛皮に覆われた耳が飛び出した。
上着が茶色に染まりフードが現れ、オオカミの耳を覆うような獣耳の形がフードにもつき、フードは頭に被せられる。中に着ていたシャツはTシャツへと変わり紫色に染まり、ズボンは裾が折られて赤紫色に染まった。
少年のお尻に奇妙な感覚が走り、ズルルルッと音を立ててふわふわの毛皮に包まれたオオカミの尻尾がそこから伸びた。
「ふわぁぁぁあっ!!?」
「はぁ……はぁ……」
変身の感覚がようやく収まり、少年は思わず膝をつく。
少年は、オオカミ少女へと変身したのだ。
- Re: オオカミ少女と嘘の森 ( No.3 )
- 日時: 2021/07/12 15:43
- 名前: 坂田 烈 (ID: 7yWjtgfN)
「あ……僕、女の子に……?」
自身の身体を確認して唖然とする少年に、オオカミは告げた。
【反省しているようなので記憶は残してやった、有り難く思え。もしも貴様が今までの行いを悔い改め、一ヶ月間正直者として過ごしたのであれば、元の姿に戻してやろう】
「あ、いえ。僕はこれからは必ず正直に生きますが、姿はこのままで良いです」
即答で断られ、思わずオオカミはきょとんとする。
【……ほう?それはなぜだ?】
「もしこのまま元の姿に戻ってしまったら、安心感から全部忘れて、僕はまた嘘をついてしまうと思ったんです。もう二度と忘れないために、僕はこの姿のままでいたい」
予想外に真面目な少年の言葉に、オオカミは感心し頷いた。
【なるほど。それが望みなのであれば、そのままにしておいてやろう。嘘ではないようだしな。しかし、私は嘘をつく者が大嫌いなのだ。貴様はもう大丈夫なようだが、嘘をつく者が出てくれば、また会うかもしれないな。さらばだ、オオカミ少女よ】
そう言い残すと、オオカミはサッと姿を消した。
「オオカミ少女か……嘘をついてしまうとこうなるんだな、よし!これからは正直に生きよう!」
オオカミ少女は、一人そう決意したのであった。