二次創作小説(新・総合)

在りし日の記憶 深紅の暴君 前編 ( No.15 )
日時: 2021/08/02 10:20
名前: 桜木霊歌 (ID: xIyfMsXL)

優の過去、在りし日の記憶シリーズ第3弾!
魔法石を持ってきてグリムのクビとエースとデュースの退学を取り消した優は、グリムと二人一組で監督生としての入学を認められる。
乗り気になれないながらも本を読んでいると、奇妙な首輪をつけられたエースがオンボロ寮へとやってきた・・・

グリム「明日から俺様もナイトレイブン・カレッジの生徒なんだゾ〜!」
優「良かったね、グリム」
グリム「でも優はあんまり嬉しくなさそうなんだゾ・・・」
それは当然だ。優には優の学園生活があるし、あの日見た謎の悪夢のことを知りたい。
あの悪夢の影響で、元々あった帰りたいという欲求があった。
まあ、そう言っても何ともならないのは事実であり、優は持ってきていた本を開いた。
本の題名は『失くし物探し駅』。
優の曽祖父、彼岸の姉であり、このツイステッドワンダーランドに迷い込む前に『夢が優を誘ってるのかもしれない。夢の誘いを受けてみるのも1つの手』といっていた桜木霊歌の晩年かつ最後の作品の児童文学である。
優が霊歌の事を尊敬するきっかけになった作品であり、宝物の本である。
内容は『失くし物駅』と呼ばれる駅に一人存在している駅員が自分の本当の名前と姿、持ち主を忘れてしまった付喪神を持ち主の元へ返すという物語であり、オムニバス形式で語られている。
この作品が霊歌の作家としての立場を確立した作品であり、それが生前最期の作品であった為、なんとも言えない皮肉である。
グリム「何の本読んでるんだゾ?」
優「失くし物探し駅。僕の大叔母様の生前最期の作品なんだよ。」
グリム「ふーん・・・ちょっと読んでやっても構わねぇけど、読めねぇんだゾ・・・」
優「じゃあ僕が読んであげるよ。別の日に翻訳するつもりだけどさ」
結果、グリムは泣いた。
人間たちが当たり前に使っている物の付喪神たちの迷いや持ち主たちの不安などを描いた物語の世界の虜になっていた。
グリムが特に泣いたのは持ち主がすでに亡くなっていた婚約指輪の二人組と直らないオルゴールの少女、そして・・・誰も来なくなり、廃駅となった駅・・・語り部の駅員だった、
そんなグリムを見て、優は自分もそのお話で泣いたっけ?と懐かしむ。
もしも自分が彼ら彼女らの立場なら、持ち主の元へ帰るかどうか、悩んでしまうだろうが。
グリム「いい話なんだゾ〜!」
優「泣きすぎ泣きすぎ。未来の大魔法士が、そんな泣き顔してちゃダメだよ?」
そういって優はハンカチでグリムの涙を拭き取る。
グリム「すげーいい話だったんだゾ!子分のご先祖様ってすげーな!」
優「えへへ。そうだよね?まあ、最初の頃はあまり評価されてなかったんだけどね」
グリム「こんなにいい話書けるのになんでなんだゾ!?」
優「彼女がお話を書いていた大正時代や明治時代、あまり女性の立場は高くなかったんだ。それに文壇に立った時は彼女は12歳だったし、最初は『女子供の道楽』扱いされてたんだ。でも時間が経つに連れてどんどん評価されていって、『失くし物探し駅(この物語)』が発表された頃には彼女は誰からも愛される童話作家になって、作家としての立場を確立したんだ。・・・でも、その直後に肺結核にかかって19歳の若さで亡くなったんだ・・・当時の結核は不治の病だったから・・・」
グリム「ふなぁ・・・」
一人の少女の悲しい過去を聞いて、グリムは耳がペタンとなっている。
可愛らしいが、グリムとしては悲しい気持ちなのだろう。
優はここで、『霊歌さんでこれなら彼岸さん・・・もとい、ひいお祖父様や多喜二さんの事を話したらどうなるんだろう・・・』と思ってしまったのは内緒である。

ドンドンドン…

優「?何だろ?」
グリム「不審者が来たら俺様に任せるんだゾ〜・・・」
警戒しながらエントランスへと向かう。
導きの栞と空白の書を構えて、何が来てもいいようにする。
優「どなたでしょうか?」
???「俺だよ、エース!」
優「エース君?エース君がなんで?」
そう思いながらも扉を開けると、そこには先程まで行動していたエースだ。
服装は先程までの制服姿だが、その首には右が黒左が赤の派手なカラーリングかつハート型という特殊な形をした首輪をつけられていた。
優「・・・何それイメチェン?」
エース「ちげーよ!」

感想まだです

在りし日の記憶 深紅の暴君 前編 ( No.16 )
日時: 2021/08/02 10:25
名前: 桜木霊歌 (ID: xIyfMsXL)

話を纏めた結果・・・

①お腹が空いてキッチンに行く
②冷蔵庫の中にタルト3ホールを見つける
③一切れだけつまみ食い
④そこに寮長のリドル・ローズハートが登場
⑤ハートの女王の法律第89条『女王の許しなくタルトを先に食べてはならない』に反していたらしく、ユニーク魔法『首をはねろ(オフ・ウィズ・ユアヘッド)』をくらう
⑥逃げ出してオンボロ寮に ←今ここ

はっきり言って、エースの自業自得である。
その証拠と言わんばかりに、優とグリムは冷めきった瞳でエースを見つめている。
エース「なあ優、寮長横暴だと思わね!?」
優「君の発言によって変わるけど、エース君まずリドルさんに謝ったの?」
エース「うっ・・・」
その様子から、謝っていない事は明白だ。
グリム「どっちもどっちなんだゾ」
優「エース君が謝ってその対応なら僕も胸を張って『横暴だ』って言えるよ?でも謝ってないなら僕は君を庇わないし、リドルさんを横暴とは言えないよ」
エース「お前ならそう言ってくれると思ったのに・・・」
優「3ホールもあったんでしょ?だったらパーティー用とかそういうふうにも思えないの?馬鹿?それに誕生日とかの可能性もあるし、そんなケーキやタルトの最初の一切れは誰にも譲れない至上の味わいだよ。それを食べられたら、怒るのも当然だと思うけど?」
優の容赦ない言葉の嵐にエースは叩きのめされる。
優「そもそも、ユニーク魔法って何?リドルさんのユニーク魔法、すごく物騒な名前だけど・・・」
エース「お前の世界ユニーク魔法ねぇの?ユニーク魔法ってのは本人にしか使えない特別な魔法なんだよ。寮長のユニーク魔法『首をはねろ(オフ・ウィズ・ユアヘッド)』はこの首輪をつけた奴が魔法を使えないようにするんだよ」
優「要は必殺技みたいなもので、効果は封印ってことだね」
優の解釈にエースは何度も頷く。
だが、完全にエースの自業自得であり、謝りに行くのは確定である。
エース「しゃーねーな・・・でもお前が提案したんだから、お前も付いてこいよ!」
優「何で僕まで?・・・はぁ・・・ついていくけど、謝罪は自分でする事!はい、こちらのソファへどうぞ!」
エース「まじかよぉ・・・」

感想まだです

在りし日の記憶 深紅の暴君 前編 ( No.17 )
日時: 2021/08/02 10:30
名前: 桜木霊歌 (ID: xIyfMsXL)


ドンドンドン…

優「んぅ・・・?何・・・?」
グリム「何かデジャヴってやつなんだゾ・・・」
談話室で寝ていたエースを叩き起こし、玄関へと向かう。
そこにはデュースがいた。
優「おはようデュース君。もしかして、エース君を迎えに来たの?」
デュース「ああ。やっぱりここに来てたのか」
エース「げぇ・・・デュース・・・」
デュース「他の寮生から話は聞いたぞ。寮長のタルトを盗み食いして首輪をはめられるとは・・・お前、相当馬鹿だな」
優はデュースの意見に同意すると言わんばかりに頷いていた。
エース「うっせぇ!お前にだけは言われたくねー!」
怒った様子で言い返すと、エースは少しだけ塩らしい様子になってデュースに問う。
エース「ところで、寮長まだ怒ってた?」
デュース「そうでもない。少しイライラした様子で起床時間を守れなかった奴が3人ほどお前と同じ目にあったくらいだ。」
優「それ少しイライラしてるってレベルやない!めっちゃ怒っとるの間違いや!」
エース「は?優?」
大人しそうな外見の優からいきなり大阪弁が出てきた事に驚きを隠せない表情をしている3人だが、優はすぐにはっとして咳払いをするを
優「急ごうエース君。これ以上放置していたら許してくれるものも許してもらえなくなるよ。」
グリム「あ、優、名案があるんだゾ!エースが謝りに行くついでに、エース達の寮を見学するんだゾ!」
優「確かに名案かも!」
そう言って笑い合う二人を見て、エースは一言言う。
エース「お前ら完全に他人事に思ってるだろ!」



鏡舎にあるトランプの意匠で飾られ、上のあたりに『HEARTSLABYUL』と彫られている鏡に入る。
赤と白で彩られた少し歪んでいるようにも思える奇怪な形をした建物に赤と白の薔薇に生け垣の迷路といった空間だった。
この空間を例えるなら、正しく『不思議の国のアリス』だろう。
優「すごいすごい!不思議の国のアリスみたい!」
デュース「不思議の国のアリス・・・?この前話してもらった地獄変みたいに、お前の世界の物語か?」
優「うん!僕の世界にある英国イギリスって国で暮らしていた文豪ルイス・キャロルさんの書いた童話の一つだよ。この話にハートの女王が出ているんだ」
エース「ハートの女王が!?聞かせてくれよ!」
優「良いよ!」

あるところにアリスという少女がおりました。
空想大好きなアリスにとって、姉の読む挿絵も会話も無い本は退屈そのもの。
空想に浸っているアリスの目の前に、『遅刻だ遅刻ー!』と懐中時計を持った白兎が現れます。
その時計ウサギを思わず追いかけたアリスは、時計ウサギの入ったウサギ穴へと飛び込みます。
落ちていくのに落ちていく速度はゆっくりしていて、落ちていく中でアリスはある場所へたどり着きます。
そこは奇妙な住民たちの暮らす『不思議の国』。
アリスは一人『不思議の国』に迷い込んでしまったのです。

優「ハートの女王はこっちじゃ悪役だけど、アリスを夢から覚ます裁判を行う裁判長っていう大事な役割もあったんだ。」
エース「ハートの女王がここまで悪役として描かれるのは中々無いから、少しびっくりしたなぁ・・・」
デュース「でも、中々面白い話だな!」
優「えへへ~・・・」
優は元の世界の文学を語れてとてもご満悦だ。
この調子で自分の知ってる文学を全て布教しようかなんて考えてしまっている。
迷路の方に行くと、オレンジの髪をポンパドールにしている生徒が少し急いでいる。
???「やばいやばい。急いで薔薇を赤く塗らないと。」
優「・・・どうしたんですか?」
???「おっと危ない。塗り残しは首が飛ぶぞ〜」
聞こえていないのか、集中しているのか、質問を無視された。
少し優は痺れを切らしたのか、肩を叩いて『何をしているんですか?』と質問する。
ようやく生徒は優たちに気がついたのか、こちらを振り向く。
???「ん?君たち何か用?」
エース「それ、何してんの?」
???「これ?見ての通り薔薇を赤く塗ってるだけだよ。」
それを聞いた優は、どこかソワソワしている。
それはまるで推しに会えるとなったヲタクのような反応だ。
優「もしかして、ハートの女王のお茶会の為ですか?」
???「お、よく分かったね!その通りだよー」
優「わぁ・・・!すごいすごい!ホントのホントにアリスの想区に来た感じがするよ!」
???「アリスの想区?ってのは分かんないけど、良かったね〜。・・・って君たちよく見たら昨日10億マドルのシャンデリア壊して退学騒ぎ起こした新入生じゃん。」
それを聞いたエースとデュースは少し・・・否、かなりバツの悪そうな顔をしている。
それを見た優は『自業自得だ』、と言わんばかりにため息をつき、少し冷めた表情をしている。
エース「俺達、卒業までずっとシャンデリアの事ずっと言われそうだな・・・」
優「これで分かったでしょ?軽率な行動が黒歴史どころか、自分の将来に関わる事になるって」
エース「身を持って分かったよ・・・」
???「しかも君は、その日の内に寮長のタルトを盗んで罪の上塗りをした子だ!」
その言葉でエースは優の言葉の嵐以上にぐさっとなった。
もう知れ渡っている事もかなりショックだったのだろう。
完全に冷めた瞳である優からはは、エースを擁護する気はさらさら感じられなかった。

感想まだです

在りし日の記憶 深紅の暴君 前編 ( No.18 )
日時: 2021/08/02 10:35
名前: 桜木霊歌 (ID: xIyfMsXL)

だが、優もさすがに気の毒に感じたのかは分からないが、優は助け舟を出した。
優「そういえば、あなたのお名前聞いてませんでしたね。僕は時ノ小路優です。僕の世界の中で僕の暮らしている国では名字・・・ファミリーネームを先に名乗るので、優が名前で時ノ小路が名字です。」
デュース「デュース・スペードです。」
エース「・・・エース」
グリム「優の親分のグリム様なんだゾ!」
???→ケイト「優ちゃんにデュースちゃんにエースちゃんにグリちゃんね!俺は優ちゃんたちの先輩で3年生のケイト・ダイヤモンド君でーす!ケイト君やけーくんでもいいよ。よろよろ〜」
かなり軽い感じで自己紹介するケイトという先輩は優は少し引いてしまった。
こういう類の人間に振り回されてばかりだからだろうか?
まあ、悪人ではない事は確実だろう。
ケイト「さてと、君たち薔薇を赤く塗るのを手伝ってくれない?」
優「構いませんよ!ホントにアリスみたいですから!」
エース「お前ホント文学好きだな!?ってか何で!?」
ケイトの話を要約するとこうだ。

①寮生の誕生日ではない日に『何でもない日のパーティー』を開く
②エースが食べたタルトは『何でもない日のパーティー』用
③『何でもない日のパーティー』は白いテーブルクロスに赤い薔薇ではなければならないから

・・・という事らしい
優「エース君、君寄りにも寄って伝統行事のパーティー用のケーキを食べるって・・・」
エース「知らなかったし・・・ってか面倒だし・・・」
優「えー?手伝ったらシャンデリア壊した事とタルト食べた事のイメージ払拭に繋がるんじゃ「よっしゃやってやろうぜ!」軽いなぁ・・・」
なんだかんだ言って上手くことに乗っけるのは優の得意分野だ。
メリットを全面的に出して、上手く手伝わせる事に成功した。
ケイト「デュースちゃんとグリちゃんは魔法を使って、魔法を使えない優ちゃんとリドル君のユニーク魔法で魔法を使えなくなってるエースちゃんはペンキで塗ってねー」
優「分かりました」
グリム「やった事ねーんだゾ・・・」
優「グリム、偉大な大魔法士なら簡単にできると思う「やってやるんだゾ!」頑張れ頑張れ!」
デュース「乗っけるのが上手だな」
優「こういう子たちは上手く頑張ってくれたら上手くいくよ!僕らも始めよ!」
エースとデュースとグリムは苦戦していたが、ケイトと優は余裕そうだ。
ケイトは3年生だから手慣れているのだろう。
優の場合は天賦の才と藪内兄弟イラストぶのゆうじんにしごかれた事が原因だろう。
ケイト「お、優ちゃん手際良いね!」
優「イラスト部の友達にしごかれたんですよ。あの二人、写真と変わらないくらい精巧な絵を書くから・・・」
エース「どれだけ上手なんだよ」
優「僕文芸部に入ってるんですけど、偶に・・・というか毎回勝手に挿絵を描かれるんですけど、ちょっと見たらやばい生物をリアルに描きすぎてそれを見た生徒や教師にSANチェック発生するくらいに・・・発狂者が今の所0人なのが奇跡ですが・・・」
デュース「発狂者・・・?」←スペキャ顔
談笑をしながら薔薇を塗り終えたが、追い出されてしまった。
どうにも、盗んだ物は返さなければならないらしく、タルトの場合は新しいタルトを用意しなければならないらしい。
その為4人(3人と一匹)は追い出され、謝罪すらできなかった。
エースは少なくとも今日は魔法を使えない為、魔法を使う授業は見学確定だ。
エース「俺小遣いないのにぃ・・・」
優「流石に今回はお金を出し合おう。」
エース「え?大丈夫なのか?」
優「お財布を見たらさ、何故かマドルになってたんだ。それも、僕の元の世界で持ってた金額と同じくらい。ケーキって意外と高いからさ」
そんな談笑をしながら、授業の為に教室に向かうが、優とグリムは先に職員室へと向かった。

感想OKです!