二次創作小説(新・総合)

奇襲作戦!『親友への手記』ヲ浄化セヨ! ( No.48 )
日時: 2021/09/17 17:29
名前: 桜木霊歌 (ID: q.GNWgNw)

優「う、うゆぅ・・・まさか侵蝕者がここまで賢いなんて・・・」
辰雄「あ、あはは・・・これを機に少し休んだら?」
優星「正直、君がこの界隈に来ることは驚いたけど、叔父さんにとっては君がいてくれるとこの上ないほど頼りになるよ」
調べ物をして少し休憩している優に、優を大人に成長させたような男性が励ましとなる言葉をかける。
優の父親である優朔の兄であり、つまるところ優の叔父に当たるとき小路こうじ優星ゆうせいである。
表向きにはこの御伽図書館で司書をやっているが、こうして特務司書の仕事もしているのだ(ちなみに前回までいなかった理由は他の図書館に出張に行っていた為)。
グリム「錬金術の基礎から学ぶなんて、めちゃくちゃ厄介なんだゾ・・・」
優星「それだけ相手が賢くなってるということだよグリム君。」

ドドドドドドド…

優「?何の音でしょうか?」
いきなり走るような足音が聞こえたと思うと、霊歌(文豪)と芥川が扉を開けてきた。
優星「わ、芥川先生に大叔母様・・・どうしたんですか?」
霊歌(文豪)「今はそれどころではないのです!」
優「え?」
芥川「優斗が図書館にいないんだ!」
そんな芥川の話を聞いた優星と優はしばらく呆然としていた後・・・
優星・優「・・・はあああああああああああああああああああああああああああ!!!?」
大声を上げた後、司書室を飛び出して彼岸探索に身を乗り出した。
よくよく見れば、他の文豪たちも図書館で彼岸を探している。
しかし、図書館のどこを探してもいない。
かと言って、図書館の外に行った訳ではない。
その理由としては、文豪は司書に外出許可を貰わないと外出できないようになっているからだ。
当然彼岸は外出許可証を提出していないし、何なら優にも優星にも外出許可証を彼岸に渡した記憶は無い。
となれば必然的にこの図書館の中にいることは確定だ。
彼岸を探す中で、優はある部屋の前で足を止めた。
それは、文豪たちや有装書や有魂書、有碍書に潜書する為に使用する潜書室だ。
彼岸はまだ転生したばかりな上に精神は不安定だ。
そんな彼が有装書や有魂書以外・・・ましてや有碍書に単独・・・それも無断で潜書するなんて考えられない。
だが、優の第六感はここだと告げている。
優は扉を一応ノックし、扉を開ける。
そこには潜書に使う機械の中に黒い靄と黄金の光を放ちながら浮いている一冊の本があった。
そして、その本の題名は『親友への手記』・・・作者は『蓮喰光一はすばみこういち』・・・
彼岸の親友であった文士・・・
そして、軽く侵蝕具合を確かめると、急激な侵蝕があったと考えられるレベルの侵蝕だった。
これにより、彼岸が単独で有碍書となった『親友への手記』の中に潜書した事が確定してしまった・・・!
優「嘘でしょ・・・!?叔父様ーーーーーーーーーー!!!!!」

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奇襲作戦!『親友への手記』ヲ浄化セヨ! ( No.49 )
日時: 2021/09/17 17:34
名前: 桜木霊歌 (ID: q.GNWgNw)

その頃『親友への手記』の中。
そこで彼岸は自身の本を彼岸花のチャームのついた灰色と黒を基調とし、サブカラーに赤をあしらったリボルバー式の拳銃に変化させ、侵蝕者を攻撃して倒していく。
ある程度倒したことを確認すると、彼岸はふぅと一息ついて本を元に戻す。
彼岸「何で・・・何でコウの本が侵蝕されないといけないの・・・!?」
そう、彼岸は優の予想通り急激に侵蝕を受けた自分の親友の書いた小説を守る為、自らの意思で無断で『親友への手記』に単独潜書したのだ。
彼岸「コウ、待っててね・・・!僕が絶対に助けるから・・・!」
学生であった頃に出会い、どんな時でも一緒だった・・・戦争により引き離された哀れな二人だ。
そんな彼のことを、彼岸は思い出していた。

彼岸『戦争!?何で君が!?』
光一『・・・赤紙が届いた。正直に言って、俺は戦争に行きたくない・・・』
彼岸『僕だって君に行ってほしくない!君は戦争に行くような人じゃないんだ!』
光一『ありがとう、優斗・・・』
涙を潤ませた光一は『あのな』と言った後に原稿用紙を取り出す。
そこに書かれた題名は『親友への手記』・・・
光一『これ、俺が帰ってくるまでこの原稿預かっててくれないか?』
彼岸『僕は構わないけど・・・』
光一『俺が書いた新しい小説。もう完成してるから、あとは出版するだけなんだ。でもな、このご時世じゃすぐに歴史の中に葬られる。だから戦争が終わってから出版するんだ。俺が帰ってくるまで、その原稿の事をお前に任せていいか?』
彼岸『・・・じゃあこんなこと聞きたくないけどさ、もし君が戦死しちゃったらどうするの?』
光一『お前に任せるよ。捨てたかったら捨てていいし、出版したいなら出版していい。』
彼岸『出版・・・するよ・・・!でも!絶対に生きて帰ってきて!この本を自分で出版して!約束だからね・・・』
光一『果たせるように、頑張るさ・・・』
彼岸が最後にあった光一は、沢山の人に旗を振られながら汽車に乗り、笑顔が似合っていた彼には不釣り合いな程に固い表情をした光一であった。
最後・・・そう、最後とあったように、彼岸はもう二度と生きている光一と会えなかった。
再開できたのは・・・光一の葬式であった。
どうやら戦地で爆撃の直撃を受けた事で、即死してしまったようだ。
それは、彼岸にとっては忌まわしい戦争が終わる、一年前の出来事であった・・・

彼岸「コウ・・・」
助けよう。そう心に刻んで、彼岸は物語の世界を進み続けた。



青年「ん・・・?ここは、どこだ・・・?」
青年は何もわからずに教室のような場所で目を覚ました。
黒い軍服に彼岸花の造花のついた黒い軍帽、白い手袋を身に着け、茶色い編み上げブーツを履いており、蓮の花の留め金のついた裏地に蓮の花の模様の描かれた黒いマントを羽織り、鎖の千切れた手鎖を両手につけて赤いメッシュの入った黒髪ショートに金色の瞳をした青年だ。
そして、その手には本を握っている。
周りをキョロキョロと見る少年だが、ふとあることに気がついた。
青年「あれ・・・?俺って・・・誰だっけ・・・?」

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奇襲作戦!『親友への手記』ヲ浄化セヨ! ( No.50 )
日時: 2021/09/17 17:46
名前: 桜木霊歌 (ID: q.GNWgNw)

その頃図書館では優星の指示の下早急に会派を組み、潜書の準備を行っていた。
ちなみに会派メンバーは武者小路(会派筆頭)、志賀、太宰、檀の4人だ。
霊歌(文豪)と芥川、白秋や朔太郎、犀星は行くと言っていたのだが、光一の作品をよく知ってるのはこの4人だった為参加は見送りとなってしまったのである。
優「・・・にしても叔父様。志賀先生と太宰先生を一緒にして大丈夫なんですか?確か二人は仲が悪かったはずでは・・・」
優星「あはは・・・昔はそうだったよ、昔は・・・叔父さんがね、頑張って仲を取り持ったんだよ」
太宰「まあ、昔は苛ついたけどさ、優星の言うように志賀の良いところを見つけようって言われて良いとこ見つけて、昔の事謝ったって所だよ。」
志賀「仲直りしてからは喧嘩の事はもう過去の事だな」
本来なら仲の悪い文豪が仲良くなっていることに驚いたが、優星は人をまとめる才能を持つ。
こうして喧嘩したり、仲の悪い人物を仲直りさせられるところも、彼の1つの才能なんだろうか。
優の父親である優朔は『それが兄さんの良いところだけど、騙されてしまいそうで心配』との事だ。
武者小路「もう、優星君は人がいいのは構いませんが、騙されないように気をつけてくださいよ!」
壇「そうだな。騙されそうで怖い」
優星「先生方、優君、まさか僕がそこまで単純そうに見えてるんです?」
優・武者小路・志賀・太宰・壇「(はい/おう)」
優星「うぇ〜・・・」
兎も角、雑談している時間派無い。
今回は優は図書館に残り、文豪たちを待つことにした。

・『親友への手記』の中

潜書した4人は大正時代の校内にいた。
太宰「学校の中・・・?」
武者小路「そうだ、確か親友への手記は現実の二人みたいに主人公が親友である父親を亡くした同級と出会うところから始まるんだよね?」
志賀「そうだな。」

夏の日差しが差し込む教室。
ここで僕は、後に親友となる君に出会った。
とても悲しげで、今にも潰れてしまいそうなくらいに一人になりたがる君を僕は放っておけなかった。

_____親友への手記 出会いの記憶より

実際の彼岸と光一も夏の日に出会った。
その時の彼岸は3年前に桜木霊歌じっしを、このすぐ前に芥川龍之介ちちおやを亡くし、かなり憔悴していた。
それを見ていてもたってもいられなくなった光一が彼岸に話しかけ、仲良くなった。
そして後に、彼岸の方から『僕の心を打ち明けられる親友になってほしい』という言葉を受け、二人は志賀と武者小路、朔太郎と犀星と同じくらい・・・言葉で例えるなら、知己朋友と言えるくらいの生涯の大親友であった。
こんなにも仲が良く、心の底から通じあえていたからこそ、別れがとても悲しいものになったのだろう。
壇「太宰、今はそこまでにしておいた方がいい。来るぞ!」
壇が見据えた方向を見ると、そこには侵蝕者の大群がいた。
見た所不調の獣ばかりだが、数が多いため油断はできない。
武者小路と志賀は自身の著作であり本体の本を刀へ、太宰は大鎌へ、壇は大剣に変化させ、侵蝕者に斬りかかった。



彼岸は教室の扉を一部屋ずつ開け、光一を探す。
教室にも職員室にも教員や生徒は一人もいない。
だが、彼岸にはこの景色は見覚えがあった。
自分と光一の母校であり、自分たちの出会った場所であった。
教師も生徒もいないから、人や侵蝕者がいればすぐに分かる。
彼岸「コウ!コウ、どこなのー!」
幾つ目の教室か分からなくなったとき、ようやく目的の人物がいる教室にたどり着いた。
そこにいる光一はかつて自分と出会った学生と思える姿で転生していた。
赤いメッシュの入った黒髪のショートヘアに金色の瞳をしており、彼岸花の造花のついた黒い軍帽を被って、黒い軍服を身にまとい、裏地に彼の名前にもある蓮の花の模様の描かれた黒いマントを羽織って、茶色い編み上げブーツを履き、鎖の千切れた手鎖を両手につけている。
あの戦争に徴兵され、もう会えないと思っていた友が、ここにいた・・・
それだけで彼岸の赤い瞳からはハラハラと涙が溢れる
青年「え、あんたは・・・」
彼岸「良かった・・・またあえて良かったよぉ・・・」
青年「あの、その・・・」
彼岸は光一が『あの』、『その』というワードを使うとは思えず、驚きと呆然を交えた表情をした。
まさか、と彼岸はある考えを思いつくが、光一はその予感を的中させる一言を放つ。

青年「あんた、誰だ?」

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奇襲作戦!『親友への手記』ヲ浄化セヨ! ( No.51 )
日時: 2021/09/17 17:44
名前: 桜木霊歌 (ID: q.GNWgNw)

・御伽図書館

潜書室に近い図書室で、霊歌(文豪)と優、優星とグリムは待機しており、優はその中で『親友への手記』を読んでいた。
優「空渡彼岸さんと蓮喰光一さん・・・両者とも活動当初は人々との繋がりを描いた物語を。昭和後期は関東大震災や第二次世界大戦で失った命を悼む物語を描き、弾圧にも負けなかった気高き文子たち。」
霊歌(文豪)「優斗たち、そんな活動していたんだ・・・すごいの・・・」
その言葉に優は「そうですね」と言ってその手に持つ『親友への手記』に目を向ける。
優「あの時代は多くの文学作品や思想が弾圧され、多くの文学の芽が摘み取られていった。そんな摘み取られた芽を花開かせたのが、ひいお祖父様ですね。数多の文士たちの発表の場を作ったり、家族を失った子供たちの為に再びペンを取って、詩を唄ったことと後世に文学を残す活動をした事から、ひいお祖父様は『第二の国民詩人』、『文学の守護者』と呼ばれています」
霊歌(文豪)「文学の・・・守護者・・・」
グリム「カッコいいんだゾー!」
霊歌(文豪)が持っていたのは彼岸の代表作であり、晩年の詩集である『人生列車』。
人生を列車に見立て、人生の無情さや儚さを描いた詩集だ。
霊歌(文豪)は自分の弟がそんなにすごい異名を与えられている事を誇らしく思えた。
優星「それで、蓮喰光一さんはお祖父様の親友。最初は詩人として活動していたけれど、後に詩はお祖父様に向いていると判断し、自然主義文学に転向した。現実をありのままに描く自然主義文学の中では異色で、現実と理想を調和させて描いた文士。人の営みや人と人との繋がりを描いた彼の小説は、多くの人々の心を沸き立たせていた。それと同時に、戦争の時には『お国の為に』となっていた当時の日本をまるで操り人形のようだと例え、皮肉った小説も残されております。この『親友への手記』は、その代表例だね。」
そう言って優星は親友への手記の頁をパラリと捲った。

親友への手記
この物語は作者本人である蓮喰光一と親友である空渡彼岸をもとにした・・・というか、『小説 太宰治』のように、書かれている内容はほぼ事実の私小説。
これは主人公である青年が学生だった頃に父親を亡くした事で元気を無くしていた後の親友となる生徒と出会い、仲良くなって彼との思い出を主人公は持っていた手記に綴っていく。
しかし戦争が始まり、平和主義者で根っからの戦争反対派だった親友は『非国民』だと罵られ、精神を衰弱させていく。
彼を支える主人公だが自分に赤紙が届き、戦争に行かなければならなくなってしまう。
『生きて帰る』という約束を親友とかわした主人公は戦地へ行く汽車に乗り込むという所で物語は終わる。
この物語は主人公は実際の光一と同じように戦死し、親友に彼の持っていた手記が届けられ、それを親友が読んでいるのか、まだ戦死しておらず、主人公が手記を書いている最中なのかは、読者の解釈によって変わり、優曰く『10人に読んでもらったら10通りの解釈が、100人に読んでもらったら100通りの解釈ができる』と言われる作品で、そういった所を読者に委ねている点が評価されている。
作者の蓮喰光一は生前この本を手にする事ができずに戦死し、後に彼岸が菊池の力を借りて出版した。

優「さて、霊歌さんとグリムはこのお話を聞いて、このお話は主人公が戦死して彼の持っていた手記が親友に届けられてそれを『親友』が詠んでいる、或いはまだ戦死してなくて書いている途中の物語・・・どっちだと解釈しますか?」
優星「叔父さんは前者だと思うなぁ・・・光一さんの死因を考えると、そんな感じに解釈できちゃうから・・・」
グリム「俺様はまだ死んでないほうだと思うんだゾ・・・戦死したんなら、もう少し先まで書かれてるはずだと俺様は思ったからな!」
霊歌(文豪)「私は・・・分かりません・・・どっちの可能性も、ありえてしまうから・・・」
そう言ってシュンとした霊歌(文豪)に『それも1つの解釈ですよ』と優はニコリと微笑む。
そしてすぐに、潜書室の方向に目を向けた。

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奇襲作戦!『親友への手記』ヲ浄化セヨ! ( No.52 )
日時: 2021/09/17 17:49
名前: 桜木霊歌 (ID: q.GNWgNw)

・『親友への手記』の中

光一「あんた、誰だ?」
彼岸「・・・!?」
その言葉を聞いて、光一も自分が侵蝕された『歯車仕掛けのヴィーゲンリート』の中に囚われていた時に姉や養父、兄弟子や師匠の事を忘れていたのと同じように、自分が何者なのかを忘れてしまっているようだ。
頭では分かっているものの、心はあまりその現実を受け止めたくないようだ。
彼岸「・・・そっか・・・コウも僕と同じ様に何も思い出せないんだね・・・」
青年「コウ・・・?それが俺の名前か?ってか、お前も記憶無くしたのか!?」
その問いかけに彼岸は『もう記憶は戻っているけど』と言って、その後に一言付け足す。
彼岸「コウって言うのは君の渾名。僕が君につけたんだよ」
青年「そうなのか!・・・でもごめんな、俺お前の事覚えてないんだ・・・」
彼岸「大丈夫、気にしないで。・・・!」
ふと後ろから気配を感じ、彼岸は険しい表情で後ろを振り向く。
そこには沢山の侵蝕者たちがいた。
不調の獣に伝わらぬ洋墨、纏まらぬ洋墨に炎上する嫉妬心など、数が多すぎる。
青年「お前・・・」
彼岸「コウは下がってて!」
咄嗟に光一を下がらせ、著作を武器に変化させ銃口を侵蝕者に向ける。
大切な親友に傷つけさせてなるものかと、彼岸は容赦無く侵蝕者を撃ち落としていった。
数体倒していくうちに、侵蝕者の内一体が自分が記憶を取り戻した時に触れた『記憶の歯車』を落とした事を見逃さなかった。
素早く、紙一重で侵蝕者の攻撃を躱しながら、彼岸は『記憶の歯車』を拾い、青年に投げ渡した。
彼岸「これを!」
青年「は、ちょ・・・!?」
記憶の歯車に触れた瞬間、青年は激しい頭痛を感じ、思わず目を瞑る。
そして、脳裏に浮かび上がってくるのはかつての自分の記憶だった。



光一『お前、どうしたんだ?』
彼岸『・・・放っといてください・・・今は誰とも話したくない・・・』
光一『んなこと言われても、そんなに潰れそうなくらい落ち込んでる奴を放っとけるか!・・・って、名前まだ何も言ってなかったな。俺、蓮喰光一っていうんだ。お前は?』
彼岸『優斗。時ノ小路優斗・・・空渡彼岸って名前で詩を書いてます・・・今はお休みしてますけど・・・』
光一『そっか、よろしくな優斗・・・って今空渡彼岸って言ったか!?俺空渡彼岸の大ファンなんだけどさ、まさかこんなに近くに憧れの人がいたなんてな!』
彼岸『僕なんか白秋先生や犀にぃや朔にぃに比べたら全然ですよ・・・』



彼岸『光一、お願いがあるんだ』
光一『?どうした?』
彼岸『僕はいつも年上の人たちに守られてばかりだ。だから・・・僕の心を打ち明けられる親友になってほしい!』
光一『ふっ、そんな事かよ。もちろん良いに決まってるじゃねぇか!』

青年→光一「そっか、俺は・・・光一・・・!蓮喰光一・・・!」
彼岸「コウ!」
すべてを思い出し、目を開けるとそこにはあの日運命を分かつことになった大切な親友が目の前にいた。
彼岸の言っていた侵蝕者とかいう奴らは姿が見えない上に、彼岸本人が息を切らしている為、全て彼が始末していたようだ。
光一「優斗・・・!お前、何でここに・・・!?つうか、ここ何処だよ!?」
彼岸「コウ、ここは君が僕に預けた原稿・・・君の遺作の中だよ。」
光一「遺作の中・・・?」
彼岸「うん、戦争が終わったあとに僕がヒロシさんの力を借りて出版したんだ。」
光一「それは分かったが・・・どういう事だ・・・?」

・彼岸説明中・・・

光一「要は俺の本が侵蝕されたから助けに来てくれたって事か?」
彼岸「そういう事。コウ、絶対に『俺みたいな軍人の小説なんか守らなくてよかったのに』とか言いそうだもん・・・」
そんな言葉に光一は図星と言わんばかりにウッと声を漏らす。
そんな様子に彼岸は大きな溜息をつく。
彼岸「コウ、僕は君の本を守りたいし、後世に残したい。だから勝手に一人で潜書したんだ。」
光一「優斗・・・」
彼岸「さ、早く戻ろ?今帰れば有魂書から新しい文豪を連れてきたって風に誤魔化せる「有魂書の潜書にしては遅かったから来てみれば、有碍書に無断で潜書か〜?」そうだよ。コウの本を守りたくて・・・え?」
光一以外の声が響き、錆びついたブリキの様に後ろを向くと、そこには怒った様子の武者小路と志賀、太宰と檀がいた。
彼岸「つ、津島先輩達!?何でここに!?」
武者小路「図書館で君が行方不明になったって聞いて、皆大パニックだったんだ。」
志賀「そしたら優が有碍書になった『親友への手記』を見つけて、潜書したって訳だ」
人知れず素早く終わらせようと思っていた彼岸は、思いっきりシュンとし、潜書が終わったあとは反省文は間違いないだろう。
・・・いや、今回は事情が事情なので、反省文は免除されるだろう。
だが、彼岸は北原一門のメンバーや霊歌(文豪)、芥川(文豪)に迷惑をかけたことを恥じていた。

・御伽図書館 潜書室

浄化完了の印である白い光に書物が包まれると同時に、潜書に行っていた4人と彼岸が戻ってきた。
それと同時に、新たなる文豪がここに転生した。

光一「蓮喰光一だ。・・・俺の事、優斗から聞いてんのか?俺みたいな軍人でも求めてくれるなら、頑張るさ」

おまけ 優星について
時ノ小路優星
優の叔父であり、三兄弟の真ん中。
特務司書と図書館司書を務めており、大人しく穏やかな性格。
初期文豪はしげじ。現在の助手は高村先生。

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