二次創作小説(新・総合)

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.18 )
日時: 2013/12/15 00:24
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

chapter2  超高校級のドM伝説に栄光あれ!



コロシアイ学園生活5日目

「ピンポンパンポーン。こちら放送部落ち武者。お前たち朝でございます。今日も1日気分全開で過ごしましょう」
朝から頭痛が酷かった。昨日3度も人の死を見たからかもしれない。それとも昨日の悪夢のせいか。
昨日の悪夢と言えば見たことのあるあの「琴音」と呼ばれている少女は一体誰だ?
その件は放っておいて食堂に行くか。


「瑠香ちゃん…おはよ…」
流石の周流でさえも元気がなかった。仕方ないか人が死んだんだからな。ほとんどの人間が目の前で人が死ぬのを見たのは初めてだろうから。
静かな朝食会は終わり、私たちが食堂を出ようとした時だった。
「お前たちおはようございます。いきなりですが、我からビッグニュースを用意しました」
「何だ、そのビッグニュースとやらは?」
「ちゃんと聞いてくださいよ。一度しか言いませんから。なんとこのフロアの全ての部屋のロックを解除しました!」
「このフロアって言われてもこの学校には上に階段もエレベーターもなかったぞ。唯一あったとすれば裁判会場に行くために使ったエレベーターがあるけど、あれは裁判会場に行くためだけにあるんだろう?」
落ち武者はふふふ、と笑う。
「それはまた機会のお楽しみです。ビックリするような仕掛けを用意していますから」
落ち武者は突然に私たちの前から姿を消した。私たちに疑問だけを残して。
しかし、そんなことを言われてもリーダーのような存在だった美月がいなくなった今ロックを解除されたから確認しに行こうなんて言う人もいない。と思ってた時だった。
「おい、いつまで悲しい顔している?」
「海人くんは悲しくないの?」
「もちろん悲しい。でもそんなこと、悲しいなんて言ってる場合じゃないと思うんだ」
周流以外誰も池面の声に反応しようとしない。
「まぁいいさ。お前らがその程度の人間だったなら別に構わないがな。勝ち組ヶ丘学園に入学出来た超優等生たちがその程度だっただなんてな。俺は先に行くぜ」
私たちにそう言い残すと池面は食堂を去った。多分ロックが解除された部屋を見に行ったんだろう。それでも私たちは動こうとしない。お互いの顔を見合って険しい顔をする。
でも、そうだよな。ここで悲しんだところで何も変わりはしない。私が、私たちが行動しなければ。
私はその場に立ち尽くしていたみんなを放って食堂を出て、池面を追いかけた。今頼りになりそうなのは池面だけだ。


池面を追いかけ最初にたどり着いた場所が科学室だった。
今更気づいたのだが、この勝ち組ヶ丘学園には右のエリアと左のエリアがあったらしく、私たちが過ごしていた右のエリアから左のエリアに行けるようになったらしい。私は電子生徒手帳を取り出し地図を確認した。間違いない、地図が更新されている。
左エリアには、科学室を始め、音楽室、多目的ホール、プールなど個性を生かすためのよつな設備が揃っていた。超高校級のミュージシャンなんかがいれば音楽室なども役にたったのだろうが音楽に関する才能をもってそうな人はいなかったな。プールにしてもそうだ。
池面を探すついでに各施設を見て回るか。何かあるかもしれない。私は少ない可能性を信じ歩き出した。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.19 )
日時: 2013/12/15 22:49
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

私はふと思った。こんな状況にこそ自分の才能を発揮できたらなと。キャプテンという才能を。
「あ、池面。待ってくれ」
私はついに池面に追いついた。
「おっおっ、来てくれたか。待ってたんだよ。1人じゃちょっと悲しくってさ」
無駄にかっこつけてたのは見かけだけか。内心は残念だったのか。
「それよりさ、キャプテンが1人で来たってことはさ才能を発揮してみんなを率いるために先陣をきったの?」
「えっ?」
「噂かな?してたらみんな来たじゃないか」
私が後ろを振り返ると、そこにはみんなが揃っていた。みんな過去のことは忘れたような顔していた。わずか何分か前のことなのに別人のような顔だった。まさか本当に私が才能を発揮した?そんなわけないか。それより早く探索をしないと。
「探索は前みたいに2人1組にしないか」
「でもそれだと1人だけ余ってしまうよ」
「その点に関しては問題ない。俺が1人で行く」
池面が1人で行くことになり、先に1人出発した。今回私は微山と行動することになった。
「一緒に行動するのは初めてですね。いや、初めてではないか。うふふふふ」
私には理解不能なことを言い出すは少しの間笑い続けた。笑い終えたのはみんなが2人1組を決め出発した後だった。微山もよくわからないやつだな。
やっとのことで歩き出すことができた私たちが最初に訪れたのは科学室だった。さっき前は通ったけど中には入らなかった施設だ。
「うわっ、薬の匂いが凄いですわね。鼻が潰れてしまいますわ」
「確かにずっといれる環境ではないな。早く出たい」
私たちは鼻を押さえながら科学室の壁際に沿って置かれている棚に目をつけた。中をのぞくと毒物が約9割その他約1割といった感じだった。毒物ばかりなんて殺すために用意された雰囲気を出してるな。その棚の横には毒物を入れるための容器なんかも用意されていた。
「毒物なんて趣のない。もっと科学に必要な薬物をおいてくれないかしら?」
「これも落ち武者が殺すときに使えと遠まわしに言ってるみたいだな」
「毒殺なら身体に斑点が出てきたりするけど、自殺に見せかけれたりしますからね」
「詳しいんだな…。そろそろここから出ようか」
私たちは毒物の棚から離れるとそのまま科学室を出た。
「なぁ微山。さっき言ってたことってどういうことだ?」
「さっきのこととは?」
「ほら、一緒に行動するのは初めてじゃないってやつだよ」
微山は笑いながら答えた。
「何を言ってるのですか。妾たちは学級裁判を乗り越えたでしょ。ただそれだけですわ。うふふふふ」
まだ何かを隠していることを自身で悟りながらもなぜか私は微山に恐れ声が出なかった。おそらく微山はまだ真実を告げていない。急ぎはしないからいつか教えてくれるといいな。
「士導さんもなかなか鋭いところにつけ込んでくる人間ですわね」
微山は私の知らぬ間に呟いていた。


探索を終えた私たちは食堂に集まり報告会を開いた。期待してたわけではないが、何処にも出口はなかったらしい。犯行に使われる可能性がある部屋が増えただけだった。もうそんなこと起こらないと思うが、前回もそう思っていた次の日に起こってしまったから。
あの科学室の毒物。あれは犯行に使われやすいはず、あれだけは時々見ておいた方がいいかもしれない。減ったら犯行が起こる合図。次こそは阻止しなくちゃならないんだ。
私の中で良いムードになっていたのを潰したのはまたもや落ち武者だった。
「あーごほごほ。お前たち、新しいエリアには行ったと思いますけど、ゴミ焼却炉には行きました?」
「それならワチクシたちが行ったよ」
「あ、それなら場所もわかるしいいと思いますが、これからは自分が出したゴミは全て自分で処理してもらいます」
「それぐらいお前がやったらいいだろ。どうせ私たちを見張っているだけだろ?」
「あのねー梶野さん、こっちにも大人の事情があるんですよ。そういうことですから我はこれで」
それだけ言うと落ち武者は食堂から姿を消した。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.20 )
日時: 2013/12/16 22:49
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

コロシアイ学園生活6日目


「ピンポンパンポーン。こちら放送部落ち武者。お前たち朝でございます。今日も1日気分全開で過ごしましょう」
気が付けば朝だった。最近1日1日が疲れるせいか昨日の記憶が飛んでいるときがある。今がまさにそうだ。
だが、遅れるわけにはいかない。食堂に行かないと。


食堂に私が顔を出すと、そこには誰もいなかった。その代わりだろうが、テーブルの上に1枚の紙があった。
“これを見たらすぐにプールにきてね”
口調的にこれは周流が書いたものだろう。プールか、死体が見つかったなら死体発見アナウンスが鳴るだろうから別の目的に違いない。私はぶつぶつと呟きながらプールに向かった。


「瑠香ちゃん、はやくはやく」
「えっ?」
私が見た光景はとても素晴らしく楽しそうだった。生徒が全員で遊んでいた。
「よっしゃ小西どっちが速く泳げるか勝負じゃ!」
「望むところや!上げパンなんかに負けるか!」
実に楽しそうだ。閉じこめられた感を出さない、まさに希望に溢れた顔を全員がしていた。私も一度更衣室で着替えるためにプール出て、再びプールに戻ってきた。
「私もいれてー」
「じゃあ士導は私たちのチームに入れ」
「ちょっと待ってよ。水中バレーなのに1対8なんておかしいよ!」
「単細胞うるさいぞー。真剣にやれば不可能なんかねーぞ」
ちょっとしたいじめの空間にもなっていた。その状況で1人だけ才能を発揮した人間がいた。
「えーとじゃあ、僕が1人のチームにいってもいいかな?」
超高校級のドM、大寺殴身。彼が周流の代わりに1人のチームに行きだした。Mだからか?いや違った。ドMだ。
誰もが予想はしていたが、その水中バレーは酷い試合になった。ずっとボールを当てられ続ける大寺。Mだからかずっと笑っていた。嬉しかったのか笑い続けている。
「もういっちょ行くぞ!どりゃあ!」
「ぐふぅっ!もういっちょ!」
何回も何回も当てられ続けたいる大寺を見てだんだんと可哀想になってきた。かと言って私が彼の代わりになるのも嫌だ。何か良い方法はないか。
「あなたたち何をやっているのですか」
「希佐凪も来いよ楽しいぞ」
「それで本当に楽しいのですか?」
希佐凪が大寺の救世主になりそう。そのまま助けてやってくれ。
「そんなに弱く当てて何がおもしろいのですか?もっと強く当ててこそでしょう。てりゃぁ!」
「ぎっひゃ!」
「どっひゃ!」
「ぐおうふ!」
梶野からボールを奪いとった希佐凪は勢いのある球を大寺に当てた。
「流石にやりすぎじゃね?もうあいつ目が死んでるぞ」
「きゃーはははははははは。もっともっと行きますよ!」
「やべーな。ああなってしまった女王はもう止めるのも無理そうだな。大寺には悪いがここは見とくだけにしておこう」
希佐凪の行為はMの許せる範囲を超えていたのだ。もう潤いの目でこちらに休戦を望んでくるが希佐凪は気にせず投げ続けた。希佐凪の才能の別名は超高校級のドSだったとしても今なら納得することができる。
「みんなぁ、助けてくれぇぇ」
私たちにできることはただひとつ。死体発見アナウンスが鳴らないことを祈るだけだ。大寺、こんな争いで死ぬんじゃないぞ。


それから間が空き、希佐凪がついに大寺いじめをやめた。
「おいみんなこい!こいつ死にそうな顔してるぞ。保健室に連れて行くぞ」
「息も結構安定してねーぞ」
保健室に大寺を連れるとまずベッドに寝かせ、次に酸素を送る機械を使って大寺に酸素を送った。
「おい、マジで危なかったじゃねーか」
「あそこで死んでも学級裁判絶対勝てるけどな」
大寺は本当につまらないことで生死をさまよったが、何とか命は助かった。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.21 )
日時: 2013/12/17 23:39
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

そろそろ落ち武者が動くころではないか。前回もみんなの雰囲気が良くなったと思うころに動機を提示してきた。今回も同様に今みんなが一緒になって何かをしている、その隙を突いて落ち武者が現れるのでは。
そんな風に私は考えていた。もうコロシアイは起きない、そう信じたいが信じきれないのが現実。人の弱い心を握っている落ち武者は容赦なく私たちをコロシアイへと導く。
「ぐぅぅぅぅ」
私の真剣な思想を潰すかのように誰かのお腹がなった。
「大寺のことに体力使いすぎて俺様のこと忘れてた」
「上目、今度はお前が空腹で大寺みたいに生死をさまようぞ」
「気をつけないとな。それよりもう昼だし飯にしよーぜ」
上目の一言でランチテンションになった私たちはあらかじめ食堂から持ってきていたお弁当を食べることにした。そのお弁当は誰かが作ってくれていたらしいのだが、その作ってくれた子は料理が下手だったらしく、おそらく卵焼きと思われる卵の残骸と梅干しが1つのっただけのご飯というとても悲しいお弁当だった。
「何だよこの飯は。食う気にもなれねーよ!誰だよ作ったやつ!」
「キチガイが作ってくれたんだよ!文句あんなら食わなきゃいいじゃねーか!」
「何だと!俺様はもっとまともな飯を作れないのかと言ってるんだ!」
「調理できるやつがいねーからしょうがないだろ」
「蹴くんに千歳ちゃん、喧嘩は止めてください」
周流が止めに入ったが2人は無視して言い争いを続けた。私は文句を言わずそのお弁当を口に運んだ。


プール遊びももう既に半日が経とうとしていた。疲れ切った私たちはプールから出て着替えると部屋に戻った。その数分後である。私が池面に呼び出されたのは。
「しんどいだろうにすまないな」
「別に大丈夫だけど、何の用?」
池面は一度深呼吸する。
「前回の殺人のことなんだけど。キャプテンはおぼえてるか?スタディルームにあった血だまりのことを」
血だまり?前回の事件のことは忘れようとしていたので詳しいことはあまりよく覚えていない。だから池面言ってることもよくわからない。
「わからないって顔をしてるな。前の捜査の時に言っただろ。ラッキーの死体から離れた位置に血だまりがあるって」
「何となくだけど思い出してきた」
「みんなで推理して事件解決は良かったんだけど、あの血だまりのことは事件に関係なかったみたいじゃないか」
「真冬を殺した時に飛び散った血じゃないのか?」
「もしそうだったらその死体を移動させる時に血がつくはずなんだ。だからどうしてもあの血だまりのことが不思議で」
池面に言われてからだんだんと記憶を取り戻してきた私もようやくそれが不思議に思えてきた。
「キャプテンは何か心当たりはないか?」
「何で私なの?」
「キャプテンにしか言ってないからに決まってるじゃないか」
池面はヘラヘラと笑いながら私の肩をポンポンと叩く。それから私の耳にそっと声を発した。
「この学園にはもう1人生徒がいるかもしれない」
えっ?
「落ち武者を操っている人物だよ。コロシアイ学園生活に参加している生徒は落ち武者を捜査することはできないだろうからもう1人いると考えた方がいいだろ。それも心当たりがあれば教えてくれ」
池面はそれだけ言うとヘラヘラしたまま私から離れていった。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.22 )
日時: 2013/12/19 14:17
名前: 紅茶 (ID: HEliJZHP)

コロシアイ学園生活7日目


「ピンポンパンポーン。こちら放送部落ち武者。お前たち朝でございます。今日も1日気分全開で過ごしましょう」
朝から頭痛が酷い。昨日あんなにプールで遊んだからだ。それで疲れてそのまま寝たんだっけ?記憶もあまりない。ダメだまずは朝ご飯を食べに行くか。


「ないないないないないなあぁぁぁい」
終生が朝から叫んでいた。何がないらしい。
「おいキチガイ!朝からうるせーぞ」
「だってないんだもん!」
終生は食堂のあちらこちらをキョロキョロしながら梶野と目を合わせずに会話していた。それほど大切なものと見受けられる。
「だから何がだよ!」
「みんながワチクシのお弁当は残念とか言うから張り切ってラー油を作ったの。おかずになるかなと思って」
「ラー油なんかおかずになるわけないだろ!」
言い争いの内容が悲しすぎてさらに頭痛が悪化しそうだ。とにかく終生が作ったラー油が行方不明だそうだ。私には関係ないが。
ラー油行方不明事件のおかげで朝から賑やかだった。一応終生と梶野には礼は言っとくべきなのかもしれない。


「おい士導!早く来てくれ!」
「どうした?池面のくせに慌ててるじゃないか」
「理由はすぐにわかる。だから早く」
手を引っ張られながらたどり着いた場所は科学室だった。科学室に入ってすぐに池面は毒物のある棚の前に向かった。
「容器が1つないんだよ!毒物は全部あるけど」
「えーと、毒物が使われた可能性があると?」
「それ以外考えられないだろ。殺人がまた起こってしまう」
「お前はアホか。容器だけなくなっているなら別の用途で使われている可能性だってあるだろ」
池面はハッとした表情をする。
「確かにそうだな。その可能性もあることを忘れていた」
もう1つの可能性もあるけどな。後で1人で見に行こう。


私は池面と別れるとすぐに武器庫に向かった。
武器庫なら毒物も用意されてるのではないかと思ったからだが、初めて入ったのでかなり怖い。自分の180度、どこを見ても凶器で溢れていた。しかし、見えるのは比較的刃物が多い。毒物らしきものは見当たらない。
毒物じゃなくとも化学変化をさせれば毒に変わるものでも使えるかも。科学室では毒物以外にも実験装置なんかもたくさん置いてあったから不可能ではないはずだ。もし、犯人が自分で化学変化を起こすなら人目に目立つからかなりのリスクは背負わないといけないが。
毒物の容器の別の用途も考えないと。何か知ってそうな人物と言えば、ダメだ思いつかない。朝から続く頭痛のせいで頭が回らないのかもしれない。今日は安静にしとくのが良さそうだ。動き回らないでおこう。また明日続きの調査をしてみよう。
私は部屋に戻るとベッドに潜っていつもより早いが寝ることにした。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.23 )
日時: 2013/12/19 23:54
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

コロシアイ学園生活8日目


「ピンポンパンポーン。こちら放送部落ち武者。お前たち朝でございます。今日も1日気分全開で過ごしましょう」
昨日の酷い頭痛の痛みはほとんどなくなり、いつもより気分の良い朝だった。


食堂に足を踏み入れた私は誰かに挨拶される前に今日は自分から言った。
「おはよう!」
「珍しいですわね。あなたから挨拶してくるなんて」
そう言ったのは希佐凪だったのだが、私からすれば希佐凪が朝に食堂に来てる方が珍しいと感じる。しかし、希佐凪が口にしているのはご飯ではなく自分で淹れた紅茶とクロワッサンだった。
「零ちゃんいいなー」
「何言ってんのよ周流!ワチクシのご飯が食べれないの?」
「食べれないっていうか食べたくない?明らかにクロワッサンの方が美味しそうじゃん」
周流は終生が作った朝ご飯をテーブルに置き去りにして自分でクロワッサンを取りに行った。ちなみに今日の終生の献立は牛乳に剥き方を間違えたリンゴと焼きすぎたトーストだと思う。料理が下手すぎて献立の内容すら半信半疑だ。
「士導は食べてくれるよね?」
「ごめん。今日は腹痛が」
正直に言うと食べたくない。私の気分も終生のせいでかなり下がった。
そう言えば大寺はどうなったんだろ?まだ保健室で寝ているのだろうか。お腹空いてるだろうからご飯を持って行ってやるか。


ー保健室ー

「大寺ー入るぞー」
大寺はまだベッドの上で寝ていた。酸素注入器もまだつけたままだ。保健室でも落ち武者のアナウンスって聞こえるはずだよな。まだ大寺は一度も起きてないってことなのか。
私は思い切って大寺の頬に触れてみた。
「!?」
一瞬身体が硬直した気がしたのだ。
頬に触れた時感じた冷たさ。私は確信した。
大寺は死んでいる。
そう確信したと同時に私は持ってきた朝ご飯を地面に落としたのにも気づかずみんなを呼びに行った。


再び私が保健室に戻ってきたのは数分後のことだった。
「ピンポンパンポーン。死体が発見されました。一定の捜査時間の後学級裁判を開きます」
「殴身くんが死んだあぁ」
周流が泣きながら叫んでいる。普段なら梶野が怒っていたところだがその梶野も異常事態のせいか真剣名顔をしていた。
私たちの間で良くなってきていた絆はまた最初の頃に逆戻りした瞬間だった。
「タイミング悪く登場ですが、久しぶりですねお前たち。早速ですが、ザ・落ち武者ファイルを配布しようと思いますがいいですか?」
私が頷くと落ち武者は私たち全員に落ち武者ファイルを配布した。これに触れるのも2回目。触りたくなくとも触らなければいけないもの。私は前回同様に落ち武者ファイルを開いた。

落ち武者ファイル2

死者  超高校級のドM  大寺殴身

死因  腹部の側面に刃物が刺さっているが詳しくは不明

死亡時刻 午後9時頃

死亡場所 保健室


腹部の側面に刃物なんかあったような気がしない。と思って見てみると私から見て見えない方の側面に一本のナイフと思われる刃物がしっかり刺さっていた。これが致命傷?落ち武者ファイルには不明って書いてあるけど。
「先にお前たちに言っておくけど餓死ではないですからね。それじゃあ頑張ってください。また学級裁判で会いましょう」
落ち武者は手を振りながら保健室を出て行った。
死亡時刻は昨日の午後9時頃ということは私は酷い頭痛で寝てたから何があったのかすら知らない時だ。
みんなのアリバイを確かめる必要がありそう。それから、何で殺されたのかも探し出さないと。聞き込みから開始しましょ。
私は保健室にいる人から聞き込みを始めた。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.24 )
日時: 2013/12/21 12:12
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

池面、上目、小西の3人は昨日の午後7時頃に保健室に訪れ大寺にご飯を上げたらしい。その時に生きてたとなると犯人はそれ以降に保健室に訪れないといけないわけだが、保健室に訪れたと発言する人物はその3人以外にいなかった。その3人の誰かが殺した可能性が一番高いがお互いが見合っている状況であの刃物を刺すことなどできないはずだから、池面、上目、小西は犯人候補から一旦外しておこう。
刺殺でなければ毒殺という方法もあるが、生物室の毒物はなくなっていなかったし武器庫にそれらしきものもなかったから、やはり刺殺が妥当だろう。
「なあ士導、あのなくなった容器は事件に関係してないのか?」
「それって毒物の容器のこと?」
「ああ、それのことだ」
「毒殺の可能性が低いからあまり関係ないんじゃないかな」
池面はふぅーん、と言いながらもまだ納得いかない顔していた。
刺殺の場合、あのナイフと見られる刃物はどこから調達したかそれを知る必要があるな。ナイフがある場所と言えば食堂か武器庫。食堂から行ってみるか。


ー食堂ー
「士導ー、これ食べてー」
食堂に入ってすぐに聞こえてきたのは終生の声だった。
「こんな状況でよくラー油なんて作れるな」
「謎解きとかあまり得意じゃないから、役にたてることと言えばご飯を作ることぐらいなんだよね」
終生は終生なりに頑張っているようだ。さて本題にはいらないと。
「ここの厨房にナイフってあるのか?」
「うん。あるけど一本は犯行に使われたものだと思うよ」
犯行に使われたものだと!?
「昨日の夜、大寺のご飯を作ったのは?それでその時にナイフはあったのか?」
「ワチクシだよ。ワチクシがご飯を作った時にはもうなかった気がするな」
終生がご飯を作った時にはもうナイフがなかった。犯人は終生が夕ご飯を作る前に一度食堂に入っている。かなりのヒントだ。これで7時以降に食堂に入らなくてもよくなった。
次はどこに行こうか。もう一度みんなに聞きに行くか。


最初に出会ったのは早帰だった。
「早帰は昨日の夜何してた?それと昼と」
「夜は9時ぐらいまで上目くんと喋ってたよ。昼は部屋で昼寝だったよ」
9時まで喋っていた。犯行は不可能なのか。
「それで9時ぐらいに上目くんがトイレに行くからって上目くんの部屋まで着いて行ってから帰ったんだ。その途中に愛想くんにもあったよ」
完全なアリバイがある。2人は除外だな。次は愛想にでも話を聞きに行かないと。


やっぱり愛想はここか、叫場。どれだけ叫ぶのが好きなやつなんだ。
「愛想ー。昨日は何してたー?」
私は大声で叫んだ。
「そんな大声で言わなくてもわかるよ。てか、さっき言ったじゃないか。昼はブラブラと夜もブラブラと」
「さっきは早帰に会ったなんて言ってなかったぞ」
「それは女子たちの女子会…じゃなくて風呂の帰りにたまたま会ったって感じだよ」
「女子会って何だ」
「ゆ、許してください。ただちょっと混ざりたかっただけなんです」
昨日よるは女子会をやっていたらしい(私抜きで)。女子には全員アリバイがあるということになる。あと話を聞いてないのは松谷だけだ。謎の多いやつだけど推理力は抜群のあいつだから変わったことをしているのだろうな。次は松谷に会いに行こう。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.25 )
日時: 2013/12/23 16:38
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

「松谷!」
「そろそろ来るころだと思ってたよ」
私の考えは松谷に読まれていたらしい。
「僕は昨日君の代わりに女子会に行ったんだ。士導さんの代わりに来てほしいって言われてからね」
愛想に言ったら羨ましがるだろうな。
松谷は女子会に同行してたらしいから女子たちと同様にアリバイ成立。てことは犯人候補は…誰になるんだ?今の状況だと誰にも犯行できない。まさか自殺?
あの呼吸困難にまで陥った大寺が自殺なんてできないはずだ。犯人は私たちの誰か何だけど…。
「困った顔をしてるね」
「犯人が誰かなのかよくわからなくて」
「犯人がわかったわけじゃないけど手がかりなら少しあるよ。ついてきて」
松谷は私の手を引っ張りながら歩いていった。


ー科学室ー
毒物の容器がなくなった場所だ。その毒物の容器が見つかったのか。
「この棚の毒物をよく見てね。これだけ中身の色が違うでしょ」
私も目を凝らして見てみるがビンの塗装のせいでよくわからなかった。松谷が言うに色が違うらしいが。
「それがどうしたって言うんだ?」
そう言うと松谷はその毒物のビンの蓋を取り、自分の手ですくい取り舐めた。
「うげぇ〜。まぢぃ〜」
「ま、松谷!何してるんだ!早くはきだせ!」
松谷は私に満面の笑みを浮かべる。
「これはきっと終生さんが作ったラー油だよ。予想通り酷い出来だ」
「終生が作ったラー油?何でそんなものがここにあるんだ?」
「この前の朝、終生さんが作ったラー油がないって嘆いてたでしょ。おそらく犯人が毒とラー油を入れ替えたんだ。だから大寺くんの本当の死因は刺殺ではなく毒殺だと思うんだ」
その一言で刺殺の可能性はなくなり、毒殺の可能性が高いことがわかった。後は犯人だけなのだが。
「犯人はまだわからないのか」
「それは学級裁判で決めることだよ。今は小さい手がかりを集めていくしかないんだ」
学級裁判はもう間近まで来ている感覚が私にはあった。もう捜査する時間も残りわずか。最後にもう一度だけ死体発見現場に行こう。小さな手がかりを見つけるために。


ー保健室ー
「別に松谷についてこいなんて一言も言ってないけど」
「僕だってまだ捜査したい場所ぐらいあるよ」
私は松谷から離れ大寺の死体に寄った。ナイフがなぜ刺されているのかわからないが、死因は毒殺。毒殺たいうことは酸素の中かあるいは別のものに毒を混ぜたことになりそうだけど。毒を入れれそうなものはご飯だけだ。
「ねぇ士導さん、これって何だろう?」
松谷が指差したその先にあるのはカードリーダーだった。
「カードリーダー!?これで犯人が特定できるんじゃ」
「最後に入った人物が犯人ってことだね」
そんな期待を膨らませながらカードリーダーを調べると特定できるのは性別だけだった。
「最後に入った人物は男性。分かり切ってる情報だな」
「本当にそうなのかな。もう時間はなさそうだからこれ以上は調べれないと思うけど」
そう言った直後だった。
「ピンポンパンポーン。ついにきてしまいましたね。お前たち学級裁判です。前回同様に和室の横の赤い扉の前にお集まりください」
私と松谷は無言で赤い扉の前に移動した。
それから、中に入る。他のみんなも入ってきてみたいだが、それ以上に学級裁判を気にしすぎて気づかなかった。
赤い扉のエレベーターはどんどんと地下へ潜っていく。聞こえるのはエレベーターの移動する音と私たちの息だけ。静かなエレベーターから開放されたその先にあるものは。
「お前たち学級裁判が始まりますよ。自分の名前がある場所へ移動してください」
そして始まる。

超高校級のドM、大寺殴身を殺した犯人を見つけるべく二度目の命懸けの学級裁判は幕を開ける!!!

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.26 )
日時: 2013/12/26 20:55
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

  学 級 裁 判   開廷!!



落ち武者
「では、最初に学級裁判の簡単な説明をしておきます。学級裁判では、クロは誰か?を議論し、その結果はお前たちの投票により決定されます。ただしいクロ見つけたらクロがおしおき、もし誤ったらクロ以外がおしおきされ、クロだけが卒業できます。では議論を始めてください」

早帰
「殺されたのは大寺だったな」

希佐凪
「何を今更確認してるのです?」

早帰
「いや、意味はないんだ」

池面
「まずだけど、昨日夜に保健室に入ったのは誰だ?」

上目
「俺様と池面と小西…。それと終生ぐらいか」

終生
「ワチクシは殺してなんかいないですよぉ!」

梶野
「そうやって否定しまくるところが怪しいな」

終生
「本当だから!信じて!」

松谷
「終生さんが犯人って決まったわけじゃないんだから落ち着いて」

周流
「三友ちゃんは女子会に来ていたから犯行無理だったはずだよ」

梶野
「そっか、じゃあ犯人ではなさそうだな」

士導
「じゃあ保健室に入り、かつ犯行を可能にできたのはそこの3人だけってことでいいのか?」

微山
「そういうことになりそうですわね」

早帰
「小西か池面か上目があのナイフで大寺をグサッと殺ったわけだな」

松谷
「そのことで不思議なことがあるんだ」

士導
「毒物のことか?」

周流
「毒物って何のことですか?」

松谷
「毒物は毒物だよ。僕は大寺くんは毒殺されたと思ってるんだよ」

小西
「ちょっと待てよ。落ち武者ファイルには死因は刺殺って書いてあっただろ?読まなかったのか?」

松谷
「本当に書いてたの?小西くんのにだけ刺殺って書いてあるのかな?」

梶野
「私も見たぞ。でも、死因は刺殺だろ」

士導
「落ち武者ファイルには死因は不明と書いてあったはずだ」

池面
「不明だと!刺殺じゃないってことなのか?」

松谷
「そう。ナイフが何のために刺されたのかわからないけど本当の死因は毒物によるものなんだよ」

上目
「毒殺なのか?毒物なんて見かけなかったけどな」

終生
「そうだよね。毒物らしきものなんて」

池面
「毒物の容器がなくなっただけで毒殺と断定できるのか?」

松谷
「容器だけじゃないよ。毒物も消えていたんだよ」

早帰
「待ってくれ!毒物は全部棚においてあったぞ」

松谷
「入れ替えられていたんだ。毒物のビンの中には毒物が入ってるはずなんだけど、1つだけ中にラー油が入ってるビンがあったんだ」

希佐凪
「ラー油と聞くと何か思いあたる気がしますわね」

微山
「私もどこかで聞きましたわ」

終生
「もしかして、私の作ったラー油のこと?」

松谷
「それ以外には考えられないからね。いつかの朝なくなっていたラー油だよ」

終生
「私のラー油が入れ替えられていた。犯人絶対許さねぇ!」

松谷
「自分で言っておいて何だけど正確には入れ替えられたわけじゃない。ラー油が毒物のビンに入れられ、元々入っていた毒物はなくなった容器に入れられたんだと思うんだ」

池面
「毒だけを使い、容器は焼却炉に捨てたわけだ」

周流
「そうか。ゴミ処理が各自になったからそれが可能になったんだね」

梶野
「そんなこといちいち言わなくてもわかるよ!」

松谷
「えーと…続けていいのかな?」

士導
「それでその毒がどう使われたのかわからないけど」

上目
「飯の中にでも混ぜたのか?」

小西
「飯の中に入れたとなれば可能なやつは」

梶野
「キチガイだけ?」

士導
「終生が犯人だってことか?」

終生
「違うよ!私は殺したりなんかしてないよ!」

松谷
「ご飯の中にいれる以外の方法だってあるはずだよ」

梶野
「癒し系はキチガイを庇うってのか」

松谷
「庇ってるわけじゃないよ!終生さんは犯人じゃないんだよ!」

士導
「そうなのか?」

松谷
「確定じゃないけど。もしご飯の中に毒を入れたのなら毒物を入れ替えた人物が犯人だ。そうだろ落ち武者」

落ち武者
「あまり言いたくないのですが、そういうことになります」

松谷
「そういうことらしいから。終生さんが入れ替えてなければ終生さんは犯人じゃない!」

梶野
「どうなんだよキチガイ!」

終生
「やってないよ!」

士導
「終生…」

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.27 )
日時: 2013/12/30 00:12
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

終生
「だから本当だって!」

池面
「そこでやってるとかやってないとかばかり言ってても学級裁判は終わらないぞ」

希佐凪
「そうですわよ」

微山
「そう言えば、最後に保健室に入ったのはそこの3人ですよね。その時にはまだ生きてたなら犯人はそれより後に入ったことになるますけど、その後に入った人は本当にいないのですか?」

上目
「犯人が答えるわけないと思うけどな」

終生
「…。ワチクシが入ったよ」

上目
「は?」

士導
「終生今何て?」

終生
「ワチクシがその3人の後に入ったの!」

小西
「じゃあやっぱ犯人は終生なんだな!」

終生
「入ったっていうか覗いたの。大寺くんが寝てるかどうかを確認するために」

松谷
「本当に覗いただけなの?」

終生
「だからそうだって言ってるじゃん!ドアから体が半分出てるぐらいしか入ってないけど」

松谷
「その時大寺くんは生きてたの?」

終生
「う、うん。生きてたよ」

周流
「幸喜くん急にどうしたの?」

松谷
「ちょっとな。おい落ち武者。終生の言う覗いただけは保健室に入ったと認識されるのか?」

落ち武者
「それは言えないです」

士導
「そうか!そういうことなら私からも頼む!」

落ち武者
「我は女の子には弱いからなぁ〜。しょうがないです。答えます。結果は覗いただけは認識されます」

松谷
「これでわかった終生さんは犯人じゃない!」

梶野
「何でわかんだよ」

松谷
「あの保健室は最後に入った人の性別がわかるようなカードリーダー式になってたんだ。それによると最後に入った人の性別は男と認識していたんだ」

池面
「なるほど。俺たちが入った後に終生が入り、その後にまだ男が入っていったってことか」

松谷
「終生さん。入った時間とかわからない?」

終生
「ワチクシが女子会を抜けてトイレに行く途中に寄ったんだけど、何時かまでは覚えてない。ごめんなさい」

希佐凪
「確かその時は8時30分くらいでしたわよ」

士導
「本当か!」

希佐凪
「ええ。絶対に合ってますわよ」

松谷
「犯人は男性で8時30分より後に保健室に入った人物。男性の中で怪しいのが池面、小西、愛想だな」

上目
「早く出てこいよ」

梶野
「3人もいるのか。せめて2人に絞りたいところだな」

小西
「ええと、俺と池面は犯行時間それに終生が保健室に入った時間は池面の部屋にいたから俺らは犯人候補から外れる」

周流
「てことは沈くん?」

早帰
「いや愛想は風呂帰りだったぞ。俺が見ているから間違いない」

松谷
「早帰くんは愛想くんと会った後どうしたの?」

早帰
「部屋に戻った、それだけしかしてない」

愛想
「早帰の方が早く部屋に入ったな。その後で俺が部屋に入ったんだ。何せ服が旅館の服みたいだったから歩きにくくてよ」

松谷
「愛想くんでも早帰くんでもないとすればもう1人しかいない」

士導
「上目…。お前なんだな」

上目
「ちげーよ。俺様も部屋に入ったぞ。その時早帰が見てたはずだ」

士導
「トイレに行くと言って部屋に入ったと聞いたが」

池面
「その口実で一度部屋に入り早帰に自分は部屋に入ったと思い込ませたわけだ」

上目
「しかもだな。一度部屋に入って誰かにそう思い込ませることができるのは早帰だってそうだろ」

松谷
「確かにね。でもそれはないよ」 

上目
「なんでだよ!」

松谷
「そんなに本気にならなくたっていいじゃないか?わかりやすすぎるんだよ」

上目
「!?」

希佐凪
「終わりですわね」

上目
「俺様は犯人じゃねー!俺様を犯人にしたいなら科学室から毒を持ってきたって証拠を言いやがれ!」

士導
「もういいだろ上目。自分で犯人だって言ってるようなもんじゃないか」

上目
「な、なんでだよ」

士導
「誰が犯行に使われた毒は科学室から持ってきたと言った?」

小西
「本当だ!何で上目は知ってんだよ!」

上目
「毒物が置いてる場所なんてそこぐらいしかないだろ」

士導
「武器庫があるよ。なぜ武器庫にはないと判断できるの?」 

上目
「うぐ、ぐぐぐぐぐぐぐぐ」

松谷
「もう一度事件を最初から振り返ってこの学級裁判に終止符を打とう!」

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.28 )
日時: 2014/01/13 18:41
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

  クライマックス推理

act1
まず犯人は終生が作ったラー油を盗んだ。その後科学室で毒物を容器に移した後に持ってきたラー油を毒物が入っていた容器に入れたんだ。毒物が入っていた容器は塗装が激しかったから中にラー油が入ってることも誤魔化せると思ったんだろう。

act2
そして、時は殺人が起こった日。犯人は早帰に部屋に入るとこを見せ早帰にはそう思わせたんだ。おそらくその時は毒物を取りに部屋に戻ったんだろう。毒を手に取った犯人は真っ直ぐに大寺のいる保健室に向かった。

act3
保健室カードリーダーがあることも知らずに犯人は保健室に入った。誰もいないことを確認し大寺の頭上まで移動した。それから、毒を大寺の口に注ぎ後は死ぬのを待った。

act4
大寺が死んだ後は毒が入っていた容器を焼却炉に捨て証拠隠滅したんだ。そして、何も起こらなかったような雰囲気で犯人は部屋に戻った。


士導
「これが事件の全貌よ!そうよね上目蹴!」

上目
「……」

希佐凪
「往生際が悪いですわね」

上目
「いやそうじゃねぇ。俺様は殺さねぇとか偉そうに言ってたのに情けねーなと思って。犯人は俺様だ。お前たちの大正解だよ」

士導
「上目…。何がお前を殺人まで追いやったって言うんだ?」

上目
「わからねぇ。気づいたら大寺の奴殺しちまってたんだ。俺様の心が早くここから出たがってたのかもな」

池面
「俺はお前に聞きたいことがある。あの大寺に刺さっていたナイフ。あれはどうやったんだ?士導の推理にナイフのことはなかったが」

上目
「それもわからねぇ。大寺の死体を始めて発見した時に刺さっていたんだよな。俺様は刺してないから別の誰かが刺したんじゃないか」

池面
「上目じゃないなら誰が何のために」

上目
「もういいだろ?おい落ち武者投票タイムってやつを早くやってくれ」

落ち武者
「わかりました。それではお前たちはお手元のスイッチで投票してください。さぁクロは誰なのか。その答えは正解なのか不正解なのか。緊張が走りますねぇ〜」

  学 級 裁 判  閉廷!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「大正解です!大寺くんを毒殺したのは上目くんでした!」
私たちは自分の席を離れ上目の周りに集まっていた。
「本当に情けねーな」
上目はそればかりを呟いていた。何度も何度も。
そんなことはどうでもいい。私が聞きたいのは動機だ。動機不明でこの殺人事件は幕を閉じる、そんなことは私が許さない。死の真相を突き止めるだけが殺人事件の終わり方じゃない。「わからねぇ」なんて言葉で終わるようなら学級裁判なんて開かなくてもいい。動機が、動機が知りたいんだ。
「上目、お前の本当の動機を教えてくれ」
上目は周りをキョロキョロしその後私の耳にこそっと行った。
「俺様の部屋に行け。そこに答えはある」
「えっ?」
上目はニコッと笑顔を作っていた。もちろん自然な笑顔でないのだが、私にはそれは自然なように見えた気がした。
「希佐凪よぉ、お前には迷惑かけたな」
「あらご自分で理解しているなんて予想外ですわ」
「はっはっは。そうか。それはさておき俺様から言えることはこれだな。偉そうにしてたらもし殺人を犯してしまったときに後悔するぜ。今の俺様みたいにな」
希佐凪は下を向きながら笑った。
「私はあなたと違って殺人なんかしません。落ち武者が私にそれを強要してきても同じことですわ」
「言葉だけ頂いておきましょう。少しいいムードですがそろそろおしおきタイムといきましょうか」
上目は迷わずかまわねぇと呟く。その顔はとても辛そうでとても絶望的な顔だった。
「それでは張り切っていきましょう!おしおきターイム!」
「じゃあなみんな。後悔ないよう生きるんだぜ」
最期のその顔は希望に満ちたような顔だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

みなさん、あけましておめでとうございます。

ここのところ忙しくてなかなか更新出来ませんでしたが時間が空いたので久々に更新しました(ゲームばかりしてて時間がなかったなんてとても言えない)。

それにしても上目くん死んでしまいましたね。個人的には上目くんは結構気に入ってるので殺してから後悔してますww
これも打ち合わせ通りですから仕方ないっちゃ仕方ないですけどね。

また話が変わりますけど
今年は更新ペースが落ちると思いますがどうか暖かい目で見てください。
今年もダンガンロンパ〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜をよろしくお願いします。



Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.29 )
日時: 2014/01/13 16:42
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

上目くんがクロに決まりました
おしおきを開始します


超高校級の自信過剰のおしおき
「チェックメイト」


「さぁて上目くん我とチェスをしようか」
落ち武者はニコッと笑いながら俺様を見る。
なぜかその時の落ち武者は大きく見えた。一度目を閉じ頬ペシペシと叩く。それでもやはり落ち武者は大きく見える。
「どうしたの上目くん?自分が小さくなったからって何キョロキョロしてんの?」
落ち武者にそう言われて俺様は始めて気づいた。落ち武者が大きくなったわけじゃなく俺様が小さくなり姿はキングの駒になってチェスの盤のキングの位置に立っていた。
俺様の許可もないまま落ち武者は駒を動かす。しかし、俺様は駒を動かせないのでただじっとするしかない。


端からまずポーンを取られ


ルークが取られ


ナイトが取られ


ビショップが取られ


クイーンが取られ


最後には俺様のキング一体だけになった。


「く、来るな!」

俺様は必死に自分が取られないように盤の上を逃げた。
ずっと逃げ続けた末俺様は隅に追い詰められていた。
「上目くんこの状態を何て言うか知っていますか?」


「チェックメイトだよ、上目くん」


落ち武者がそう言った直後に落ち武者の駒が俺様を襲った。今の俺様は駒のはずなのに流血している。落ち武者の駒は俺を切り裂き続けた。俺様が俺様でなくなるまで。


「ふぅ〜。今回の勝負は我の勝ちですね」


血だらけになったキングはそのチェスの盤面に張り付けにされ死んでいった。

Re: ダンガンロンパ 〜ようこそ勝ち組ヶ丘学園〜  ( No.30 )
日時: 2014/01/15 22:52
名前: 紅茶 (ID: hzDRnUrf)

「また1人減ったんだな」
血だらけになったキングを見ながら呟いた。
美月の時と違い血が出る殺し方だったから苦手だった人もいる一方でひたすらに何かを考えている人もいた。その代表的な1人が私。上目の動機について今でも考えていた。上目の部屋に一体何があるというのだろうか。実際行ってみて確認するしかない。
私は誰よりも先に学級裁判の会場から姿を消した。


「上目の部屋って聞いただけでそれはどこにあるんだろう?」
私は場所を聞いていなかったので、上目の部屋に行ってからあちこちを探すはめになった。それに上目の言っていた動機が紙なのか物なのかすらもわからないので余計に時間がかかった。
「ん?この紙…」
私の目に留まった紙は何かに懐かしい感じがした。手にとっても触り心地が他とは違う特別な紙。そこには上目に共犯を求めるような記述が書いてあった。書き手の名前は書いてなくおそらくパソコンで文字を打っているため個人は特定できなかった。
ただ異様に懐かしく感じること、昔一度でもこの紙を見たことがあるかもしれない気すらしてきた。
そんなことは後で記憶をほじくり出し確認することに決めた私は上目の部屋から出ると自分の部屋に戻りベッドに潜り込んだ。落ち武者は何のために私たちにコロシアイをさせるのだろうか。そもそも落ち武者の正体は誰なんだ?
私は知らぬ間に目を閉じていた。



「初めまして!細乃の名前はぁ〜周流細乃で〜す」
聞いたことのある声がする。この声は周流に間違いない。
「よろしくな。俺の名前は池面海人だ」
この声の正体はきっと池面だろう。それより何で自己紹介なんかしてるんだ?
私の視界の先に見えたのは勝ち組ヶ丘学園に入学してきたみんなだった。ただその中に私はいない。別室からその光景を見ているようだった。
私はみんなと一緒に勝ち組ヶ丘学園に入学してきたはずなのになぜか別室にいる。しかもその光景の見え方が窓を通して見るのではなく、モニターを通して見ていた。私がみんなを監視しているようだった。
「ふふふふふ」
夢の中の私は笑っていた。それは喜びの笑い何かじゃなく邪悪な笑いだった。
「そろそろ私も行かないと彼らの元へ」
私はそう言うとモニターのある部屋から出て行った。
しばらくしてからモニターに私が映った。初めて私がみんなに会って自己紹介している様子だ。私だけ遅刻、遅れて自己紹介と言い私の過去と全てが一致していた。
その後のシナリオも私の過去通りだった。急に落ち武者が出てきて梶野が怒って部屋に戻る。このモニターのある部屋以外での出来事は全て一致。私が記憶していることが再現されたようだった。


chapter2 超高校級のドM伝説に栄光あれ 完