二次創作小説(新・総合)

Ep.02-ex【再度開催!メイドインワリオカップ】 ( No.107 )
日時: 2022/05/08 22:35
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 会話も一通り落ち着いた後、オービュロンはマリィに信濃を返そうと動いた。元々は優勝賞品としてワリオが用意したものだ。安全になったのなら、彼女に渡すのが筋というものだろう。
 しかし、その手をマリィは拒否した。呪いは既にないと説明を受けても、彼女は首を横に振った。



「うーん。あたしが貰っても…って感じ。なんか、オービュロンさんと一緒にいたがってる気がする」
「―――何?」
「あたしにはみんなが何言っとるか理解は出来ない。けど、何となくわかる。だから、あたしはいいよ。マリオさんに勝てたっていう実績だけで充分嬉しいから」
「まりぃサン…」



 マリィのその言葉を聞いた大典太は、確信を持った。"オービュロンならば信濃を顕現出来るだろう"と。ならば行動は早い方がいい。そう判断し、彼はオービュロンに向かって信濃を顕現するように言った。
 唐突な言葉に、オービュロンはぎょっとする。自分なんかが出来るわけない、と。



「エッ?ワタシナンカが顕現出来る訳がアリマセン!モット、心の強い人の方が適任デス!」
「……俺からしてみれば、邪気を纏った短刀を危険も顧みらず俺のところまで持っていく奴に"心が弱い"なんて言われたくないんだがな」
「ウゥ…。ソウ言われてシマウト反論が出来まセン」
「……ほら、ジンベエが前にやっただろう。あれと同じようにすればいいんだよ。信濃に向かって声をかけてあげてやればいい」
「ワタシニ出来るデショウカ」
「……出来る。信濃の声が聞こえたんだろう?だったら大丈夫だ」



 不安がるオービュロンに大典太は優しく背中をさする。信濃の声が聞こえたのなら大丈夫だと。だから、優しく彼に向かって呼びかけてあげてほしいと。そっと彼の背中を押した。
 オービュロンは大典太の言葉を受け、遂に覚悟を決める。信濃の本体を両手でそっと握り、宿っている付喪神に向かって心の中で語りかけた。
 自分はここにいる。もう大丈夫だ、安心して出てきてもいい、と。

 オービュロンが意識を集中させた刹那。信濃の本体が淡い光を放つ。その様子を初めて見るポケモントレーナーは目を見開くことしか出来なかった。



「不思議な光…。でも、何だか心が安らぐ気がする」
「もしかして、これが本来の"付喪神の霊力"というものなのでしょうか?心が洗われるようでございます」
「分かりません。でも…不思議と心が落ち着きます」



 淡い、白い光は徐々に人の姿へと変貌した。そして―――その中から現れたのは、赤髪が特徴的な少年だった。彼が"信濃藤四郎"。信濃の本体に宿っている付喪神。刀剣男士の一振である。
 少年はぱちぱちと瞬きをした後、視界が開けていることに驚く。しかし、今まで味わってきた苦しみからやっと解放されたことの方が強かったのか、へなへなと座り込んでしまった。



「だ、大丈夫デスカ?!」
「あれ…?目が…視界が…光…なんで…?」
「……落ち着け信濃。あんたは顕現されたんだよ。あんたに燻る邪気はもう存在しない」
「そ、そっか…。俺、助かったんだ…?」



 大典太の言葉を聞いて安心したのだろう。こわばっていた表情がいくらか和らいだような気がした。そして、信濃は一同に頭を下げ、自己紹介を始めたのだった。



「俺、信濃藤四郎。うちは兄弟多いし、俺、秘蔵っ子だから…。あんまし知らないかも。でも仲良くしてね!」
「しなのサン。トテモ可愛らしい刀剣男士サンデスネ!」
「藤四郎…前田さまのご兄弟なのでございますか?」
「えっ?前田がいるの?」
「はい。今ここに戻って来ている筈ですよ。確かによく見れば…前田と軍服のデザインが似ていますね」
「そっか…。みんな、みんな一気に苦しみだして。俺も次第に苦しくなって。今まで酷い悪夢を見てきたような気がする。でも…優しい声に導かれて、俺は起きることが出来たんだ」
「……今まで、辛かったな。あんたは…よく頑張ったよ。踏ん張ってくれたお陰で助けることが出来た。ありがとう、信濃」
「大典太さん…言い過ぎだよ!いつの間にそんなにネガティブ克服しちゃったの?」
「……主の、影響だろうか。それとも…」
「???」
「……お人好しの元ジムリーダーのせいもあるかもしれない」



 信濃は今まで邪気で苦しんでいた。でも、彼が諦めずに踏ん張ってくれていたからこそ助けることが出来た。大典太はそのことに感謝し、信濃の頭を撫でた。無骨だが優しい大きな手に嬉しそうに反応を返す信濃だったが、常にネガティブ全開な大典太にしては珍しいその行動が気になっていた。
 実際に口にされると、返す言葉が見つからない。サクヤの影響はもろに受けているのは自覚はしていたが…。直近でお人好しが増えているのだ。もしかしたらその影響もあるかもしれない、と大典太はネズの方をそっと見やった。
 その反応が不思議だったのか、ネズはきょとんとした顔で首を傾げていた。

















 数刻後、会場にノボリを呼ぶ声が聞こえてくる。その方向を向いてみると、クダリが手を振ってこちらに近付いてきているのが分かった。観客の無事も確認できたため、戻ってくることにしたのだそうだ。
 ワリオカンパニーの面々はすぐに表彰式を仕切り直すと準備を始めた。優勝者であるマリィを除く一同も元居た席の椅子を直し、再び腰掛ける。



「もう!ノボリが暴走特急になるからこっち大変だった!」
「それに関しては本当に申し訳ございません…。ですが、あの場で燻っているよりも動いた方が先決だとわたくしふと思った次第でございます。許してくださいまし」
「目的が定まったらすぐ行動に移せる判断力は評価しますが、あんたそれで一度命落としかけてるのそろそろ自覚してくださいよノボリ」
「わたくしが暴走特急なのは自覚しております故!何事もお客様の安全が第一でございます!それに命を落としかけているのはネズさまも同様!同じお考えをお持ちのはず!」
「割とブーメラン発言してたのを今自覚しました」
「うんうん。ノボリもネズさんももっと自分を大切にしてほしい。いくら他人を守れたとしても、いつも怪我してちゃ意味がない」



 クダリの愚痴を2人で受け止めている隣で、前田と信濃も再会を果たしていた。兄弟刀が無事に顕現出来たと聞き、居ても立っても居られなかったのだろう。前田の顔には笑顔が花開いていた。



「信濃!お久しぶりです!」
「本当に久しぶりだよ…。俺達元々いた本丸は全然違うけど、兄弟刀に会えて凄く嬉しい!んもう!会える距離にいるなら早く言ってよ大典太さん!」
「……そういう話の流れじゃなかったもんでな…うぅ…」
「光世には話を受け流す方法を今後レクチャーしなきゃなりませんね」



 まさか前田と一緒に行動していたとは思っていなかったようで、"近くにいたなら早く言ってほしかった"と信濃は悪態をついた。そんな彼の突拍子もない言葉の攻撃に、思わず大典太はたじろいでしまう。
 返す言葉が思いつかずおろおろとしている大典太を横目で見つつ、ネズは上手く話を受け流す方法を教えてやらねばと心に誓ったのだった。


 談笑が続く中、表彰式の準備が終わったらしい。ペニーがマイクを持ったのを皮切りに、ざわついていた空気も一気に静まり返る。
 そして、改めて表彰式が始まった。ワリオの代わりにモナがステージに上がり、マリィに頭を下げたのだった。



「マリィちゃん。あの刀、あんなに危険な物だとは思わなくて…。ワリオおじさまが大丈夫っていうから、みんな止められなかったの。おじさまが優勝賞品にするって言った時は"変だな"とは一瞬思ったんだけど…。まさかこんなことになるとは思わなくて。
 結果的にみんな無事だったから良かったけど、本当にごめんなさい!」
「ううん。あたしも気付けなかったのが悪い。オービュロンさんが叫んでくれたから。アニキや鬼丸さん達が勇気を出して悪い奴に立ち向かってくれたから。ノボリさんやクダリさんが率先してお客さんを安全な場所まで動かしてくれたから。大典太さんが怪我人をすぐに治療してくれたから。こうしてみんな無事なんだよ。
 みんな悪くない。やれることをやって、みんな無事ならそれであたしはいいよ。謝らないで」




 マリィのその言葉に、思わずネズは再び涙する。兄として妹の成長に感動できない訳がない。顔を覆って泣く彼に、ノボリとクダリはいたわるように優しくよしよしと頭を撫でたのだった。
 彼女には信濃の代わりとして、後日ダイヤモンドシティにある高級レストランのタダ券が贈られることになった。
 こうして、波乱を巻き起こした第2回目のメイドインワリオカップは無事に幕を下ろしたのだった。

Ep.02-ex【再度開催!メイドインワリオカップ】 ( No.108 )
日時: 2022/05/09 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jX8tioDf)

 表彰式も無事に終わり、観客が次々とダイヤモンドシティから去っていく。湧いていた余興も落ち着き、街は元の静けさを取り戻した。そんな中、会場を荒らしたからと大典太達は社員に混じり、会場の片付けを手伝っていた。
 それを聞いたオービュロンは最初、"客なんだからそんなことをしなくてもいい"と言ったのだが、ほぼ全員がやりたいとその場を動かなかった。後ろで様子を見ていたネズも、言葉には出さずとも手伝う気満々だった。彼らの好意を無下にする訳にも行かず、ワリオに話した結果あっさり了承。こうして手伝っている訳である。ちなみに、当のワリオは人数が増えた為しっかりとさぼっている。


 人数が増えたおかげで、予定よりもずっと早く片付けが終わった為撤収することとなった。社員は解散し、各々の帰路へ着く。オービュロンも手伝ってくれたお礼を言いに、大典太達がたむろしているところまで歩いて行ったのだった。
 オービュロンが戻ってきたところで、信濃の今後の処遇を決める話し合いを行うこととなった。本来ならばサクヤの元で行うべきなのだが、ある程度話を纏めておいた方がいいとのノボリの提案で、こうして意見を交わすことになったのだ。



「……とはいうものの。もう信濃はオービュロンの刀だ。どうするかは信濃とオービュロンが決めるべきだと俺は思うがな…」
「まぁ、そうだよね?でも、俺最初から答えは決めてるよ。大将と一緒にいる!」
「"たいしょう"ッテ…ワタシ?!」
「あなたさまでございますね」
「つまり、この宇宙人と一緒にいる……議事堂に来るということだな」
「そういうこと!前田もいるし、身内がいた方が俺も安心できるからね」
「信濃さんの言うこと分かるよ。あたしもアニキが議事堂に行くって言ったから、シュートシティじゃなくて城下町に行くって決めたもん」
「……確かにそれはそうだ。ここには前田もいる。安心できるのは事実、なんだが…」
「引っかかることでもあるんですか?大典太さん」
「……まぁ、な」



 信濃は刀剣男士の為、当然神域が"見える"存在である。入出できるかどうかについては大典太はあまり心配をしていなかった。しかし、問題は別にある。自分達の本来の目的を話しても、信濃は納得してくれるかどうかだった。オービュロンには既に全て話してしまっている為、彼に仕えている状態である信濃にも伝わるのは時間の問題。それを聞いて、彼が理解し、受け入れてくれるかどうか。大典太は内心不安だったのだ。
 しかし、信濃は大典太が表情を曇らせたことも関係ないかのように言い放った。



「助けてもらった恩は返さなきゃ。どんな事情だって、俺はみんなについていく。それは変わらないよ」



 はっきり言い切ったその言葉に、大典太は少しだけ心が晴れやかになった気がしたのだった。






















 ―――話し合いも終わり、一同はリレイン王国への帰路についていた。各々今日の成果などを楽しそうに話している。
 ネズとノボリは大典太と共に、一番最後尾で皆がそうしているのを見守っている。そんな折、気になることを質問したかったのかネズが大典太に首を向ける。



「光世。さっきから気になっていたんですが…。"大将"ってどういうことなんですか?」
「……あんたも知っているとは思うが、あいつらは"契約した仲"だ。だから、オービュロンが主で信濃が仕える者。令嬢と執事…王と配下…審神者と刀剣男士。
 まぁ、厳密にはオービュロンは審神者ではないんだが…。それを"大将"と呼んでいるに過ぎないだけだ…」
「へぇ」
「大典太さまがサクヤさまに"主"と呼びかけるようなものと同じなのでございますね。刀剣男士さまごとに、呼び名は異なる…わたくしはそう解釈いたしました」
「……それで合っているさ。呼び名は違おうとも、主に仕えていることは変わらないんだからな」



 感心そうに相槌を打つネズの隣で、ノボリも納得したように言葉を返す。今はまだ彼らも主ではないが、いつかオービュロンのように仕えられる側に回るのかもしれない。そう思ったら、興味が湧いたのだそうだ。
 しかし、ネズはともかくノボリには『仕えられる』とう感覚があまりなさそうだった。そもそもサブウェイマスターとして客を日々もてなしている立場である以上、根付いてしまっているのだろう。そういう考えが。



「いつか、おれ達もこうなる日が来るんでしょうかね」
「感覚は分かりませんが…。未来など、誰にも予想は出来ないのです。可能性を見据えることは大事でございますよ」
「……あんた達ならいい主になると思うがな…」
「いつものように陰気な考え方をしないんですね。珍しい」
「……茶化すな。どこかの誰かのお陰でネガティブになってられないだけだ…」
「ですが、後ろ向きよりは前向きの方がずっとよろしいとわたくし思うのです。後ろを向いても過去しか見えませんが、未来は前を見据えないと分からないのですから。電車の進行方向と同じでございます」



 ふと目の前を向いてみると、大典太の名前を呼びながら信濃が大きく手を振っている。早く城下町に行きたいという興味がその仕草から伝わった。
 それに反応するように、2人と一振は人影を追いかけたのだった。















 ―――無事に城下町に到着し、一同は解散をした。信濃は大典太に案内され、神域へと通される。しんがりを務めていた鬼丸がそっと襖を閉め前を向くと、そこには静かに座っているサクヤがいた。
 大典太のスマホロトム越しで大体の事の顛末は知っているが、大典太は改めてサクヤに今日起きたことの報告をした。無事信濃の邪気が祓われ、オービュロンの刀になったことも。

 その報告を聞いたサクヤは安心したように微笑む。やはり、長年邪気を纏っていたことで心配が拭えなかったのだろう。



「本当に良かった…。町で戦闘が起きたと聞いた時は気が気でならなかったのです。分身だとはいえ、相手は強大な力を持つ神。よく皆様無事に戻って来てくださいました」
「今回ばかりはそこの悪使いの男とその妹に感謝せねばならんな。思った以上に分身の力が強かった」
「……だから、名前で言えよ。失礼だろう」
「知らん」
「いいですよ別に。トゲ頭から呼び名を変えてくれたことに関しては見直しましたんで、今」
「オービュロンさんも信濃さんのこと、本当にありがとうございました。これから大切にしてあげてください」
「イエイエ!今回はワタシ何もシテマセンシ…。しなのサンと契約デキタノダッテ、皆さんのお力添えがアッタカラデスヨ」



 サクヤが感謝を告げると、オービュロンはいえいえと首を横に振った。自分だけの力ではない。今回は特にそう思っていたが、信濃が自分を信じてくれると真っすぐな目を向けている為それにはしっかり応えるつもりだと答えた。
 粗方報告も終わり、信濃もこの神域を使っても良いことになった。オービュロンの刀なのだから許可するのは当然だろうとサクヤがあっけらかんとした表情で答えると、前田が嬉しそうに笑顔を綻ばせた。



「これから賑やかになりますね!信濃、沢山お話しましょうね!」
「うん!俺、この世界の事いっぱい知りたい。だから沢山教えてね!大将、前田。みんな!」



 前田も兄弟刀が祓われ、無事に顕現がされたことを自分のことのように喜んでいた。
 そんな彼らの微笑ましい光景を見守りながら、大変な一日は幕を下ろすのだった。































 ―――神域にも夜が訪れる。皆が寝静まった深夜。オービュロンは中々寝付くことが出来ず、こっそりと縁側で粗茶を嗜んでいた。
 そんな彼の隣に、信濃がやってくる。やはり興奮で眠れていないようだった。彼は主に気付いた後、ぴったりとくっつくように座る。



「しなのサン。眠れないノデスカ?」
「うん。なんだか目が冴えちゃって。こっそりこっちまで来ちゃった」
「ワタシと同じデスネ!デモ、皆寝静まってイマス。お話をスルナラコッソリシマショウネ」
「そうだね。起こしちゃったら忍びないもんね」



 お互いを見やり、くすくすと笑う。そして、信濃は改めてオービュロンにお礼の言葉を述べたのだった。



「大将。助けてくれて本当にありがとう。大将の声で俺は怖い夢から目覚められたんだよ」
「改めて言われると照れてシマイマスネ。デスガ…しなのサンが無事で本当に良かったと思ってイマス。……しなのサン。ツカヌコトヲお伺いシテモイイデスカ?」
「いいよ。なーに?」
「しなのサンの見ていた"夢"のお話デス。ソノ…実は、のぼりサンも不思議な"夢"を見たとワタシ達に話してクレタコトガアッタノデス。デスカラ、興味が出てきてシマイマシテ。
 しなのサンが嫌ナラバイイデスガ、モシ良ければ…しなのサンガ見ていた"夢"を教えてはクレマセンカ?」



 ふと、オービュロンにそう問われ信濃はきょとんと表情を崩すも、彼に隠す必要もないと素直に言った。
 ―――真っ暗闇の中に沈んでいく夢。いくらもがいても浮上することはない、ずっと息苦しい思いをする夢。右も左も分からず、自分がどこにいるのかも分からず、ただただ苦しみながら沈むことしかできない…。そんな夢を見ていたと、信濃は答えた。
 ノボリが話していた鮮明な夢とは反対に、信濃の話してくれたことはあまりにも抽象的で具体性がなかった。だが、信濃の表情から"苦しい気持ちだった"ことは本当なのだと理解する。



「苦しい思いをシテキタノデスネ」
「そうだね…。でも、この夢を見ているのは俺だけじゃない。今邪気に囚われてる刀剣男士みんなが同じ思いをしている筈だよ。だから…俺も、大典太さん達の力になりたいんだ。兄弟を、同じ同胞を、助けてあげたいんだ」
「ハイ。絶対に皆さんを助けてアゲマショウ!ソレニ、しなのサンはコレカラ沢山"楽しいコト"を体験スルンデスカラネ!」
「………!」



 オービュロンは決めていた。信濃に、これから沢山の楽しいことを教えてあげようと。主としてではなく、一人の友として。一緒に経験して、楽しい思い出をこれから沢山作っていこうと、彼はそうはっきりと言った。
 その言葉を受けた信濃は嬉しくなり、思わずオービュロンを膝の上に乗せ抱っこをした。ぎゅう、と抱きしめられオービュロンは思わず照れてしまう。



「ワタシ、子供デハナイノデスケレド…」
「俺も子供じゃないよ?だからいいじゃん。ね、大将!これから沢山一緒に楽しいことを探していこうね!」
「……ハイ。ソウデスネ!」




 オービュロンと信濃を優しく照らす月は、1人と一振を優しく見守る様に輝いていたのだった。




 Ep.02-ex 【再度開催!メイドインワリオカップ】 END.


 to be continued…