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二次創作小説(新・総合)
- Re: 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~ ( No.13 )
- 日時: 2021/09/17 08:30
- 名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)
エマは何の疑いもなくかすみの誘いに乗った。
これこそかすみの狙いだったのだ。
たっぷりの糖質を含んだ甘い菓子パンを食べさせ、太らせる。
ぽっちゃりになれば人気も下がり、ライバルが減る。
単純だが世にも恐ろしい作戦である。
しめしめと含み笑いをした、その時だった。
「はい。かすみちゃんもどうぞ♪」
真ん中で綺麗に半分こにしたパンを優しい笑顔でかすみに差し出したのだ。
エマは決して独り占めするような性格ではない。喜びを他者と分かち合いたいと考える優しい性分なのだ。
「うぐっ・・・・・・!」
かすみは怯んだ。
食べれば体重の増加は免れない。
さてはエマ先輩、かすみんを道連れにするつもりじゃ――
「食べないの?」
エマの目の端にじんわりと涙の粒が浮かぶ。
今にも泣きだしそうだ。
うるうると目を潤ませ泣きそうになるエマにかすみの良心が揺れる。
先輩を泣かせるなんて、最低だよ、かすみん。
いいや。あれは演技だ。騙されてはいけない。非情に徹するのだ。甘さは捨てろ。
世界一可愛いアイドルになりたいんだろう?
心の中で天使と悪魔が葛藤をはじめる。
悩み抜いたかすみが下した決断は――
「た、食べますよ! 食べるに決まってるじゃないですか!」
あむっとパンに噛みついた。
やはりかすみの悪だくみは失敗に終わるのだった。
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