二次創作小説(新・総合)

Re: 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~ ( No.14 )
日時: 2021/09/17 13:15
名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)

平安名すみれは金髪を風に靡かせ、自信に満ちた笑みを浮かべた。9月28日はすみれの誕生日である。ギャラクシーカリスマである自分ならば街を歩くだけでもファンから盛大に祝福される素晴らしい誕生日を過ごすことができる。モデルのように颯爽と歩いてみるが、声をかけられることはない。秋に近づいた涼しい風がすみれの傍を吹き抜ける。

「ギャラクシー!?」

理想と現実のギャップに絶望してガックリと肩を落とし、とりあえず自分を慰める意味でもかのんの喫茶店に向かった。中へ入ると、可可、千砂都、かのん、恋がいた。

「すみれちゃん、お誕生日おめでとう! さぁさ、座って~!」

かのんに促されテーブル席に着く。髪をくるくると指でいじりながら時間を持て余していると、かのんが抹茶ラテを運んできた。

「ありがとう」

礼を言って一口飲むと抹茶とコーヒーの苦みと渋みが混ざり合い、快感を覚えた。

「これもどうぞ」

続いて千砂都から差し出されたのは丸い卵だ。それをかのんが持ってきた白米にかける。

「まあるい卵を使用した、美味しい卵かけご飯だよ。召し上がれ」
「ありがとうったらありがとうね」

千砂都に軽くハグをして、卵かけご飯を頬張る。濃厚な黄身と醤油の旨味がコラボレーションし、いくらでもご飯が食べられそうだ。体系を維持するために食べすぎは禁物なのだが、今日くらいはチートデイと考えて良いだろう。夢中でかきこみ、ペロリと平らげると、今度は恋が控えめに言った。

「すみれさん。私からの誕生日プレゼントです。良かったら、受け取ってください」
ほんの少し顔を赤らめながら、まるで長年の想い人に告白するような体で渡されたのはハート型のピンク色のチョコレート。
「みなさんとは趣向を変えてみました」
「嬉しいったら嬉しいわよ」

ショウビジネスで鍛えた笑顔で最高の礼をして受け取る。抹茶が続いたので、恋の好物の苺チョコレートというのも中々にオツだ。
そして最後は可可だ。すみれは生唾を飲み込む。
彼女がどんなものをプレゼントするのか全く予想できないからだ。
可可がすこし乱暴にテーブルに置いたガラスの器には細かく砕かれた氷の山が乗せられていた。

「え」

すみれは思わず固まってしまった。
可可が置いたのは誰がどう見ても抹茶シロップをかけたカキ氷だったからだ。

「これ、カキ氷よね?」
「見てわかりませんか」
「わかるけど! 今9月よ!? こんなもの食べたらお腹冷やしちゃうじゃない」
「いつもお腹丸出しの服を着ているすみれに言われたくないデス。言い訳せずにさっさと食え、デス!」
「ああ、もう分かったわよ。
・・・・・・ありがとね。色々変だけど感謝してるったらしているわ」
「何か言いましたか?」
「ちゃんと聞きなさいよ!」

ガツガツとカキ氷を頬張りながら可可に言い返す。
ツッコミとボケのいつものやりとり。喧嘩するほど仲が良い。
その様子を見ながら、かのんと千砂都、恋は温かい目をして微笑んでいる。
いつもの仲間から祝われる心のこもった個性的な贈り物の数々。
今日という一日をすみれは忘れないと心に誓うのだった。