二次創作小説(新・総合)

Re: 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~ ( No.16 )
日時: 2021/09/17 13:38
名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)


普段、おとなしい花陽が見せた別人のような迫力に、かのんは苦笑いで対応する。
頬には汗が流れており、内心ビビッていることがわかる。
皿に小山のように盛り付けられた白米を見て、花陽は目を輝かせていた。
家で食べるご飯もいいけど、お店で食べるご飯も一味違うよね。
そんなことを考えながら、箸を手に取る。
たかが白米。されど白米。
同じ米と一口に言っても水の分量や炊き方で味が全く変わったものになる。
店ごとの個性が現れるのだ。
それはまるでスクールアイドルのように。米たちは自分を食べてと主張する。

「いただきます!」

丁寧に手を合わせて、ぱくりとひとくち。

「んん~ッ!」

声にならない悲鳴を上げて目を閉じ、米の味を堪能する。
それから一気に白米を口の中にかきこみはじめた。
およそアイドルらしからぬ豪快な食べっぷりだが、かのんはそれが良いと思った。

「ごちそうさまでした!」

お礼を言って店を出てから、街をしばらく散策すると、嵐千砂都がやっているワゴン式のたこ焼き屋を発見した。少し歩いたことで腹の虫が鳴き出した。
花陽は燃費が悪いのだ。
暖簾をくぐると、千砂都が笑顔で出迎える。

「花陽ちゃん、久しぶりー!」
「ご無沙汰してます」
「今日は何味にする?」
「じゃあ、わさびマヨネーズにしようかな。2パックお願いできるかな?
凛ちゃんにも食べさせてあげたいの」

しばらくして、千砂都はわさびマヨたこ焼きのパックを袋に入れて差し出した。

「おまちどうさま。熱いから気を付けてね」
「ありがとう、千砂都ちゃん」

パックを受け取り、花陽は再び歩き出す。
爪楊枝に突き刺し、出来立てのたこ焼きを頬張る。
あまりの熱さに涙が出てくるが、頑張って飲み込む。
口から白い湯気が吐き出され、美味しさに頬が染まっていく。
ピリッとワサビの辛さが刺激をするが、少しオトナの気分を味わったみたいで、花陽としては嬉しい気分になるのだった。

「やっぱり千砂都ちゃんのたこ焼き、美味しっ。
凛ちゃんも喜んでくれると嬉しいなあ」

休日の食べ歩きは、星空凛の家で〆るのだった。