二次創作小説(新・総合)

chapter0 オープニング ( No.1 )
日時: 2021/11/10 22:21
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

chapter0

~絵空事の始まり~










…ここは?


爽やかで気持ちいい風。
あぁ、草と草が重なり合って心地よい音が僕の耳に入ってくる。





―――――て!!


―――――――――ない!!


…?
人の声がする。
足音もこっちに近づいてきて…




「うわあああ!!!」
「いっっっったい!」

ドカンッッッッッ

僕にぶつかった。背中を思い切り蹴られてとても痛い。

「わわっ!ごめんなさい!
大丈夫…ですか?」
「…え、っと」

言葉に詰まってしまった。
なぜか。
目の前の水色のポケモンが言葉を、人間の言葉を巧みにしゃべっている。
このポケモンは…“リオル”だ。
僕は頭をクラクラさせながら、たどたどしく言葉を発した。

「り…リオルが喋ってる。」
「…えっ? 喋るのは当然ですよ?
君だって “ピカチュウ” なんですよ?」

その言葉を聞いて僕は手を見た。足を見た。後ろ姿を見た。

「ッッッッッッ?!」

声に出ない悲鳴が出た。

「キミ、不思議な方ですね。」

と、リオルがそう発した時だ。



「いたぞ!!」

一匹のバルキーがそう声を荒げた。

「あわわわわ!」

リオルはそう慌てた声を出しながら僕の手を掴んで駆け出して行ったのだ。


「待ってよ!僕何も関係ないでしょ!!」

そう言葉を荒げながら僕はこのリオルとともに森へと入ったのだった。

chapter0 オープニング ( No.2 )
日時: 2021/11/10 22:44
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

驚いて言葉も出ない。
ああ、そうだ。このリオルはバルキーに追われているみたいだし、こっちは人間の身だったハズなのに。
ハズなのに。


「ちょっと!離してよ!」

森に入った僕は、そう言ってリオルの手を無理やり引きはがした。

「あっ…あぁ、申し訳ございません。
キミを巻き込む気はなかったんです…。」

ピカチュウにしては黒めの黄色い手で頭を抱え、今までしっかりと見れなかった周りを見る。


まずここ。鬱蒼とした森だ。
綺麗に道ができていること以外は普通の森、だと思う。少し薄気味悪いが。

そしてこのリオル。マフラーをつけているのがやっと認識できた。
青から明るい紫色のグラデーションの生地で黄色い星柄の長めのマフラー。まるで朝日のようだ。

次に僕。
毛並みは黄色いが、汚れているかのようにすこしくすんでいる。
本当に汚れているのかと思ってこすってみたが、どうやら仕様のようだ。

状況をつかめていない僕をリオルは心配そうに僕を見ながら

「…あの、大丈夫ですか? あ、名を名乗り忘れていました。
私はノヴァといいます。以後お見知りおきを。」

キリっと、そして礼儀正しく、品よくぺこりとした“ノヴァ”と名乗った彼は僕を見つめる。


「そして…キミは?
もしよければお名前を聞きたいです。先ほどの無礼をしっかりと謝りたいので。」
「僕?…僕は…。」

脳内をまさぐる。
名前、ナマエ、なまえ、僕のなまえ……………………


「ライト…」

そして言葉にできた単語は、この一言だった。

「ライトさん、ですね!
えっと、先ほどお昼寝の邪魔をして申し訳ございませんでした。
…しかし、なぜあんな場所でお昼寝を?」


空白の時間。
僕はなぜそこにいたのか。
それを考えた。
そもそもここのことをよく知らない。


あれ。僕は ぼくは ボクは 



「わからない…」
「えっ」
「頭が真っ白に塗りつぶされた感覚でわからないッ!
僕は誰?! 元々人間だったのにッ! 何も!僕がピカチュウになったこと訳もあそこにいたわけもわからないッ!」

僕はそこでやっと自覚した。

キオクが なにも ない 。

ナマエ いがい なにも おもいえがけない 。



「あっ!あんな所に!」

先ほどのバルキーが僕らを見つけた。

「わわっ!すみません!お手を拝借します!」

頭を抱えた僕の手を握り、ノヴァはこの森を駆け出した。
整理する時間が…今はない。