二次創作小説(新・総合)

chapter1 騎士団入隊 ( No.11 )
日時: 2021/11/11 12:08
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

chapter1

~アンビション騎士団に入隊!~


「わあ…。」

僕は街の光景を見てそんな声が出た。

往来するポケモン達。
井戸端会議をしているポケモン。
どこを見てもポケモン、ポケモン、ポケモン。

傍から見たら平和的だ。先ほど聞いた悪夢による狂暴化という話が嘘のように感じた。

「うーん…。騎士団どこだろ…。
建物とか店が多すぎてわからないよぉ…。」

ノヴァはため息をついてきょろりと周りを見渡した。
僕はそれよりも街の雰囲気を楽しんでいた。
しかし、ずーっとこうして迷子になっても仕方がない。

「いろんな店に行って聞いてみようよ。
ここに住んでるポケモンに聞くのが一番だよ。」
「そう…だね。
じゃあ…。」

と目星をつけた店にノヴァは近づく。無論僕もそこについていく。

「はいはいいらっしゃいませ~!
クルミル雑貨店へようこそ~。お客様、何をお求めですか~?」

ハハコモリが笑顔で接待してくる。
後ろではちょこちょことクルミルとクルマユがせっせと店の仕事をしているのが見えた。

「え、と。買い物ではなくて…。」
「あらあら~。そうしたら迷子かしら~?」
「は、はい!
ちょっと道というか聞きたいことが…」

僕がそのまま言葉を口にしようとすれば


「あ゛あ゛あ゛ん?
俺はこれが欲しいっつってんだよ!」
「で、ですから…。そちらは落とし物…でして、お売りすることが…」
「だったらこんな場所に飾ってんじゃねーぞ!
勘違いするだろうが!あ゛あ゛?!」

怒声と泣きそうなか細い声が聞こえた。
見ればゴロンダとクルマユが言い争っているのがみえる。
…いや、この場合一方的にゴロンダがクレームを言ってる。

「お客様~、困ります~。
ほかのお客様にご迷惑をおかけしますので、裏でお話し、お聞きしますよ~?」
「んだその腹立つ喋り方は!?なめてんのか?!」
「申し訳ございません~。癖、というものでして…。」

それを見た僕は思考せず、足を進めた。

「ら、ライト!?」

それをみたノヴァは驚き、僕の後ろをついていく。

「ねえ。なにぎゃあぎゃあ騒いでるの?
子供相手に怒声浴びせるって、常識…マナーがなってないんじゃない?」
「なんだお前は!関係ねぇやつはすっこんでろ!」
「はぁ…。お客様は神様です。の精神のつもり?
言っておくけど、アンタみたいな客、神様でもなんでもないただの迷惑野郎だよ。」

ガシッと頭を掴まれ、宙に浮かされた。
こんな巨体に掴まれて顔に近づけさせりゃそうはなる。

「ら、ライト!なにやっ…」

ノヴァが僕の元へ向かおうとする。
それと同時だった。


「何をしていらっしゃるのですか?」


赤いスカーフをした、色違いのエルレイドが凛とした声でそういう。

「ぁっ! アンビションの騎士団さんだ!」

クルミルはそう言って目を輝かせそう叫んだ。
ゴロンダはそのエルレイドを見て舌打ちをしたのち、僕をエルレイドに投げつけた。

「騎士団相手じゃどうにもねぇ…。
チッ、覚えてろよ。」

のしのしとイラつきながら、ゴロンダは出ていく。
そして僕はエルレイドにキャッチされ、優しく支えられている。

「大丈夫ですか?」
「…は、はい。」
「店長さん方、なにもございませんでしたか?」
「いいえ~。ファリス様のおかげで何事もなく済みましたわ~。
ありがとうございます~。」
「ふぁりすさん!ありがとー!」
「あ、ありがとうございます…。」

これが…騎士団の貫禄…。

「か…かっこい…」

ノヴァもその貫禄にメロメロのようだ。


僕は降ろされた瞬間、かぽりと頭になにか乗せられた。
傍にある鏡を見れば、ハハコモリがにこやかにしながら僕に帽子をかぶせていた。

「小さな騎士ちゃん。問題どうにかしようとしてくれてありがとうね~。
これはお礼。ふふふ。オシャレしたくなったらまた来てね~。」

と、笑いながらそう言った。

「…。
問題が解決できたようで何よりです。
それでは私はこれで…」
「あ、あの!」

ノヴァは声を上げてファリスと呼ばれたエルレイドを呼び止める。

「…あ、あの…。」


彼はもじもじとしながら話をしようとした。

chapter1 騎士団入隊 ( No.12 )
日時: 2021/11/11 17:34
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)




様々なポケモンが多くいる。
あれやこれやと相談し、コルクボードに張り出された紙を手に、受付であろう所に行くポケモンが殆どだ。
逆に、その相談事を別の受付へ話してるポケモンも少なくなく、その内容であろうものを書きだした紙を空いた場所にまた張り出される。


僕たちは、ファリスと呼ばれるエルレイドと共に、アンビション騎士団の施設にやってきたのだ。

「悩み事でしたらここの受付で全て執り行われます。
ですので、私はここで…。」
「違う!違います!」
「僕たち、騎士団になりたくてここに来たんだ。」



時は数分前。


「…あ、あの…。
アンビション騎士団に行きたくて…。どこにあるのでしょうか。」


とノヴァは騎士団になりたい。という意思を敢えて言わなかった。
なので、ファリスは僕たちが依頼したくて騎士団にご案内されたみたいだ。



当然、それを聞いたファリスはうーむと悩んだ。
「しかし、あなた方のような幼子が騎士団の入隊する…ですか…。」
「こ、子供だけどさ!今起こってる狂暴化を、世の中の乱れを変えたくて…。
ファリスさんは…団長さんなの? だったら…。」
「…私が、団長ですか。」

ふふ、とくすりと笑うファリスは首を振る。

「ファリスさん、子供じゃやっぱりだめですか…?」
「ノヴァさん、でしたっけ。そもそも私はここの団長じゃないですよ。」
「「えっ?!」」

僕とノヴァは驚愕の声を上げた。
凛とした佇まい。いかにも団長だといわれそうな出で立ち。
違うと言われてびっくりしないわけなかった。

「私は副団長ですよ。
…と、そういう訳で入れてくれるかどうかは団長次第ですね。」
「会わせては、くれませんか?」

僕とノヴァはじっとファリスを見続けた。
キラキラとした眼差しで見つめれば根負けしたのか、ファリスは深くため息をついて


「団長に直談判してもらってください…。団長の元へは私がご案内します。」

と、確かにそういった。

「「やったー!」」

僕とノヴァはジャンプし、ハイタッチをする。
それを見たファリスはふ、と笑い「こちらです。」と僕たちを案内してくれるのであった。






そして。その団長室へとやってきた。
一体どんなポケモンがここを仕切っているのだろう。
ノヴァの話から、アンビション騎士団は騎士団の中でも一二を争う優れた騎士団だと聞いた。
しっぽが少しゆらゆらと揺れてきた。今からその優れた騎士団の団長に会う。というのに。
緊張というよりも。楽しみが先に出ている。
ノヴァのほうを見れば、両手をもじもじとし、落ち着かない様子でいる。
多分、こっちの反応のほうが正しいんだろうな、と僕は内心苦笑した。


コンコン。

「どうぞ~」

気の抜けた声がそこから出てきた。ファリスは「失礼します」もなしにそのドアを開けた。
一体どんなポケモンが…………






「どーしたファリス。そんなガキ連れてきて。
迷子相談の場所ぐらいわかるだろ?ん?」

そのポケモンは椅子の肘置きに頭を乗せ、細い足を対称の肘置きに乗せて随分とリラックスしていた。
色違いのサーナイト。それがここの団長であるようだ。
あまりのだらしない格好に僕とノヴァは口をあんぐりと開けてしまった。

「違う。騎士団の入隊希望だ。
…できるか? この子供たち…」
「ん~、あ~。へ~。」

とファリスの言葉を遮り、ニヤリとサーナイトらしくない笑い方をしながら僕たちを見た。
そして「へへっ」と笑いながら一枚の紙を取り出す。

「採用だ。ここに名前とチーム名を書いてボクに提出しな。」
「なっ、兄さん!?本気で言っているのか?!
相手は子供なんだぞ?!」
「だからどうした?眼に偽りなし。正義感も十分だ。勇気もある。
ボクはそれに期待した。いーのさ。ガキが騎士になったって。
危険?それはこいつらが一番承知している。」

よっこいしょときちんとした格好で椅子に座るサーナイト、団長はペンを置く。

「チームの概念を説明するな?
2匹から構成される騎士がチームとして登録される。お前さんたち、個別で騎士になるわけじゃねぇだろ?」
「まあ…はい…。」
「簡単だろ?」

とニヤリと笑うサーナイトにぽかんとしながら僕たちは名前を書いた。

「チーム、チーム名か…。
まさかこうなるとは思わなかった…。ライト、なにかいいものはある?」
「チーム…の名前かぁ…」

暫し思考し、ある単語を口にした。

「アルバ…。」
「アルバ? いいねかっこいい!」

とノヴァはその単語を書き、団長に提出した。

「…ん。了解。
じゃあお前さんたちにはこいつをプレゼントだ。」

どさりと置かれたバック、そこから飛び出ている地図、そして二つの星のバッチが目の前に置かれる。

「まずはバック。道具を入れるもんだ。んで地図。不思議なもんでな?お前さんたちが言ったことのない未開の地は雲に覆われてんだけど、教えてもらったり自分の足で行きゃ雲は晴れる。
面白いだろ?

んでバッチな。それは騎士団の一人であるという証、“騎士団バッチ”まあそのままだな。
今はくすんだ白色だけどお前さんたちの活躍が周囲に認められりゃいつかはダイヤモンドの輝きを放つかもな?」

へへっと笑う彼に、ファリスは頭を抱えながら

「お二方、家などはありますか?」
「…。」
「んじゃ住み込みだな。」

サーナイトは立ち上がり、青いまなざしでこちらをみた。

「これからよろしくな。ボクはフェイ。
アンビション騎士団の団長さんだ。これから部屋に案内するから、こっちに来な。」

フェイと名乗った団長に、僕たちはついていく。
まさかこうもあっさり通るとは思わず流されるまま、フェイに連れられこの騎士団の施設を案内されるのだった。