二次創作小説(新・総合)

chapter1 騎士団入隊 ( No.18 )
日時: 2021/11/12 08:36
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)

フェイに案内された部屋はそこそこ広く、二段ベッドと呼ばれそうなものが二つ部屋の隅に置かれている。
窓もあり、日がまだ高いのか日差しが入っており、日当たりがよいことがうかがえる。
物置、少し大きめのテーブル、生活に必要なものは最低限おかれていることに僕は感動した。

「ここがチーム、アルバの部屋だ。好きに使ってくれりゃそれでいい。
汚く使おうが、家具増やしたり豪華にしたり好きにしてくれ。」
「私…汚くしませんよ…。一応賃貸でしょう…?」
「へっへっへ。冗談だ。」

へへっと笑うフェイの後ろで頭を抱えてため息をつくファリスが見える。
わかる。そうなることは非常にわかる。僕もその立場ならそうなる。

「仕事は明日からな?今日はゆっくりとして明日に備えてくれ?
じゃあな。」
「では、ワタシも失礼いたします。食事等は各自好きに摂る形になりますので、ご理解してください。」
「わ、わかりました!」

ノヴァがピシッとした背筋でそう返事すれば、ファイはそのまま出ていき、ファリスはこちらに一礼して部屋を出て行った。


「…あのねノヴァ」
「だめ。ライト、それは言っちゃダメ。」
「ファイよりファリスの方が絶対団長っぽいよね」
「思ったけど!だめ!!これ以上だめ!」

とノヴァは僕の口を手で塞ぎ、これ以上なにも言えないようにされる。

「それにしても!こんな立派な部屋貸してくれるんだよ!?
ベットもふかふかだし、上で寝られるし!すごい!」
「まあ…確かにそれはそうだけど。」

キャッキャッと嬉しそうに二段ベッドの梯子を上り、ベットの感触を楽しんでいる。
僕もベットに腰掛け、ベットに倒れこむ。

ふむ。中々の寝心地がいいベットだ。

「ご飯は各自、だよね!ほら、実はリンゴ隠し持ってたんだー!」

ノヴァは軽々と二段ベットからぴょんっと飛び降り、じゃじゃーん!とリンゴを二つ取り出し、テーブルに置く。
中々の大きさだ。これ一個で腹がはちきれそうだ。

「セカイイチっていうリンゴで、世界一おいしくて、世界一大きいんだよ。
私の家からかすめ取っちゃったものだけど…。」
「盗品じゃん」
「元々私のだからいーの!
だから今日はほら、祝杯?として、これ食べて明日に備えようよ!」

とにこやかにセカイイチを押し付けてきた。
まあ、確かにお腹は空いてきたし、あーだこーだしてるうちに日が傾いてオレンジ色の明かりがこちらをさしている。

「そうだね。そうしよう。」
「じゃあ、席について…。」

僕とノヴァはテーブルにセカイイチを置き、椅子に座る。

「今日は私とライトとのチーム“アルバ”結成を祝してー!」

「「いただきまーす!」」

むしゃりとセカイイチを齧る。
…おいしい。とてもおいしい。僕が今まで食べてたものを覚えていればダントツでおいしかったと言えるだろう。
気づけば半分、そして食べれなくなった芯。これを見るともっと食べたくなると思ってしまう。
それぐらいおいしかったのだ。

「ぷはーっ!おいしかったー!」
「もっとないの?」
「あれ以外ないよ!
それに外に買いに行くとしても…ほら、お金が…。」
「そっか…。」

食べれなくなった芯はゴミ箱と思わしき箱に捨て、僕たちは決めたベットの位置で寝る。




「ねえ。」

そんな夜だった。ノヴァが上から話しかけてきた。
僕はノヴァの下の布団で寝ることになってるのでちゃんとはっきりと聞こえた。

「ライトは何も覚えてないけど、名前と人間だったことは覚えているんだよね。」
「うーん…。まあ、そうだね。」
「…行く当てないからって無理やり騎士団に入れたけどさ…、」
「気にしなくていいよ。そんなこと。」

寝相を変えながら僕はそう言った。

「きっと、騎士団の仕事をしていれば僕のこと、何かわかるかもしれない。」
「…うん。」
「だから気にしなくていいんだ。時間と、出来事が解決してくれる。」
「そっか。」
「ほら、明日早いし、寝ようよ。
ノヴァ、おやすみなさい。」
「…おやすみなさい。」


す、と目を閉じれば睡魔があっという間に僕を襲う。
思った以上につかれているみたいだ。
明日、あしたには…つかれは…とれている…は…



「すー…、すー…。」



こうして長いようで短かった一日が終わり、明日から騎士団“アルバ”として活動が開始される。

ライトとノヴァの冒険はここから始まるのだ。


chapter1 終了