二次創作小説(新・総合)

chapter2 初仕事 ( No.27 )
日時: 2021/11/13 09:19
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)


「なないろのマフラー?ですか?」
「はい。このあたりに落ちていないかなと。ピンク色の半透明のバッチがついているものなんですが…。」
「あ~。確かに見たわ。
それ、アンビションの雑貨店の傍に置いといてたからそこの店主さんに預けておいたわ。」
「アンビション…って。私たちの街じゃないですか!!」

そこで僕は違和感に気づいた。
ゴロンダが欲しがっていた落とし物。

たしかにあれは七色の色彩で彩られていたマフラーだった。

「イーブイの専用道具でかなりレアなのよね。
だからすぐに盗って売っちゃおうって方がこの頃多くて。あそこの店主さんとは仲良くしてるから信頼して預けたのよ。」

とふわふわと浮かぶアゲハントを見上げた僕は感じた。

「えっ…じゃあ…。僕たち無駄足…?」

ついでにつぶやいてしまった。

「むだあしじゃないよー」

と一生懸命によちよちと僕の方にケムッソのむーちゃんが足元へとやってきた。

「ライトさんとーノヴァさんはー、わたしたちがわるいことするの。とめようとしてくれたの!
おともだちもすうひきね、もとにもどってるとおもうの!
だからすごーくすごーくたすかったの! ありがと!」

キャッキャッと喜ぶ姿を見てダンジョンへ潜ったことを後悔した気持ちがなくなった。
“ありがとう”そう言われて悪い気はしなかった。

「ねえねえーまたきてー!
おしごとじゃなくて、あそびに…ね!」
「むーちゃんったら…。
ごめんなさいね、なんかなついてしまって…。」
「いえいえ!是非ともまたこちらへ来させてください!
チーム“アルバ”、あなた方のお悩みも解決いたしますので!」

それを聞いたむーちゃんは

「きしだん?きしだんなの?!
かっこいー!わたしもおっきくなったらきしだんになるー!」
「あらあらうふふ。」

とぴょこぴょこと跳ねながら住処を飛び回る光景をアゲハントは見た後僕に向き直り、

「先ほどの無礼をお詫びいたしますわ。
雑貨店のハハコモリさんには“落とし物の主が見つかりました。”と“シキブの知り合い”と言っていただければ恐らく落とし物をお渡ししてくれるかと思います。」
「わかった。ありがとうね。シキブさん」
「いえいえ、こちらこそ。目を覚まさせていただいて感謝いたします。」

お互いにぺこりとお辞儀をかわし、ダンジョンを無事に出た。







アンビション。僕らの住む騎士団がある街へ帰ってきた僕たちは早速雑貨店へ行こうとした。

「ん…?」

雑貨店の少し離れたところで白黒の巨体のポケモンがうろうろとしている。

「あっ、昨日の泥棒じゃん。どうしたの。」
「おいっ!人聞きのわりぃこというんじゃねぇ!」
「でも昨日クレーム入れてましたよね?
どうしたんです?あれは落とし物で…」
「し、知ってんだよ!そんぐらい!!」

ガーっと怒る彼はおっとといった反応を見せて咳ばらいをする。

「実はだな…」
「実は落とし主の本人もしくは親族に恋してる子がいてその子のためにマフラーを回収したいけど素直になれなくてどうにもできないし昨日やべぇ姿見せたとどうしよう。」
「全部の心情答えんなァァァァァァ!」

またガーっと怒りだした。こやつ、実はオコリザルでは?

「その子から依頼が来てるんです。ですから…」
「…、わぁーったよ。俺の手柄無し…そんでいいさ…。」
「待て。」

トボトボと帰ろうとしたゴロンダに僕は待ったをかけた

「実は君にも僕たちにも得するアイディアがひとつあるの。」
「…噓じゃねぇよな?」
「本当!本当! 僕はそのあたり正直だからね!」


ふっふっふと笑う僕にゴロンダもノヴァも首を傾げた。