二次創作小説(新・総合)

chapter2 初仕事 ( No.31 )
日時: 2021/11/13 10:58
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)


「私のなないろのマフラーだわ!
ありがとう!もうこのまま一生見つからないかと思ってたわ!
本当に…本当にありがとう…!」

届けたなないろのマフラーを巻きながら何度も何度も頭を下げるイーブイの“イヴ”。
感動のあまり泣き出しそうだ。

「僕たちはたまたまこのなないろのマフラーを見つけただけだよ。
お礼ならこのゴロンダに言ってよ。マフラーどうしようか右往左往してたところに僕たちが声をかけたんだからさ。」
「ん…。」
「あっ、テンダーさんじゃないですか!
見つけてくれてありがとうございました!」

イヴはぺこりと頭を下げた。
それをゴロンダ…テンダーは頭を掻きながら「お、おぅ」と先ほどの勢いが見えないおどおどさを見せた。

「テンダーさんとは仲がよろしいんですか?」
「はい!実は私のお姉さまであるブラッキーにほの字で…」
「やめろやめろ!これ以上はやめろ!」

テンダーはうがーっと照れ隠しのように怒る。
それに慣れているのかイヴはくすくすと笑った。

「それにしても、お礼を用意し忘れたわ。
と、いっても見合うお礼なんて…。」

うーん、うーん。と唸るイヴはハッとすると

「あの、ご迷惑でなければ!
あなた方のチーム“アルバ”に入らせていただけませんか?!」
「ッッッッッえ?!」
「だってあなたたちみたいな私と同じ年の子でもチーム組めるんでしょ?
だったらお役に立ちたいわ!それぐらい恩義を感じているのよ!」

ぴょこぴょことしっぽを揺らす彼女にノヴァは唸る。
だかその前に僕が言った。

「団長たちに直談判しよ。」
「えーっ、またーっ!?」

仲間が増えることは特に嫌ではない。それに、このイーブイ…中々やると見た。

「この時間って団長様はカフェにいんじゃねぇーの?」
「カフェ?」
「おう。看板にレガーレって書いてあるカフェだよ。団長様はそこで本を読みながらコーヒーブレイクしてるぜ。
何度も見たことあるしな。」
「…」

ノヴァは思った。想像できないと。
ライトは思った。想像できねぇと。

「でしたらレガーレにさっそく出発ね! 場所ならわかるから案内するわ!」

と、イヴは僕たちの前を先導してレガーレというお店にやってきた。





「いらっしゃいませ~!
本屋兼カフェ、レガーレにようこそお越しいただきましたー。
…あら、新顔さんね。」

とニンフィアが笑顔で接待をしてくる。

「はじめまして。私、アンビション騎士団に属したばかりのチームアルバのノヴァと申します。」
「同じくチームアルバのライト。」
「うふふ。初めまして。
私、リボンっていいます。ここのお店を営んでいます。」

ぺこりとお辞儀をする彼女を見てこちらも頭を下げた。

「それで…お仕事の疲れを癒しに来たのですか?お席は…」
「あぁ、違うんです。団長を探してて…。」
「団長様ですか。あちらにいらっしゃいますよ。
実は丁度彼から注文を受けていまして…偶然ですね♪
よければ今この場でご注文を承りますよ。」
「私は…紅茶無糖でお願いします。」
「僕、モモンの実のスムージー」
「私キーのみのスムージー生クリーム乗せオレンの実チップ入りフラペチーノで。」

「えっなんて呪文?」

「はい。無糖の紅茶、モモンの実のスムージーに、
キーのみのスムージー生クリーム乗せオレンの実チップ入りフラペチーノですね。かしこまりました。」

「さすが店員…。すべて理解している…。」

穏やかな笑みで彼女は案内してくれた。





「団長様。お待たせしましたー。
デカ盛り木の実大盛りパフェとブラックコーヒーミルク付きです。どうぞごゆっくり。
あなた方のご注文の品も持ってきますからお待ちくださいね。」
「はい。ありがとうございます。
…と、チームアルバの皆様じゃないですか。」

「「団長じゃないっ!!!」」
「お二方、ここは本屋でもあるんですよ。お静かに。」

そこにいたのはファリスだった。
彼はリボンから注文の品を受け取り、注意しながらコーヒーにミルクを入れる。

「…それで、どうかされましたか?
ご依頼は達成されているようですけれど…。」
「実は…」

かくかくしかじかと話しながら、注文の品を受け取りつつファリスに事情を説明した。

「…また、兄への許可が必要ですね。」
「へっ。ファリス様って団長じゃないんですか?!」
「ワタシは副団長です。もう何度も修正しても聞かないので…諦めてそうなるようになってしまったんです。」
「そうなんだぁ。」
「つかファリス、砂糖入れすぎじゃない?」
「ワタシ苦いもの飲めないので」
「レベルが違います。」

ダバダバと砂糖をコーヒーにいれつつ説明したファリスはパフェを食べながら

「わかりました…。ワタシも相当甘いですね…。」
「今飲み食いしてるのも甘いしね」
「上手いこといってもなにも出ません。
イヴさん、これからアルバと共に騎士団の本物の団長に会っていただきます。」
「ひゃっ。ひゃい!」

緊張で彼女は呪文の飲み物を一気に飲む。
多分これから起こり得るであろ未来に僕とノヴァは苦笑いをするのであった。


chapter2 初仕事 ( No.32 )
日時: 2021/11/13 20:18
名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)


コンコン。

「開いてるぜ~」


ああ、気の抜けた声が聞こえる。
イヴはガチガチになりながらその扉を凝視し、ごくりと生唾を飲んだ。
失礼します。と言わないファリスは扉を開けた。


そこには、フェイはいなかった。

「…あれ。フェイさんは…?」
「ここです。」

ファリスはクローゼットの扉を開けた。
そこには枕に頭を乗せ、タオルケットをかけて丸まっているフェイがいた。

「うそでしょ…。」

イヴのそんな声が聞こえた。
わかる。その気持ちは非常にわかる。
コクコクと僕とノヴァは頷く。その傍らではファリスにより引き出されたフェイがいた。

「こちらが団長。ワタシの…兄の…。」
「アンビション騎士団団長フェイだ。よろしくな。」

へへっとサーナイトらしくない笑い方をしながら団長席に座る。
もうそこ、ファリスの席でいいんじゃないかと思うが口は固く閉ざさせてもらう。

「私、チームアルバに入団…したいのですが…。」
「ふ~ん。へ~。なるほどなぁ~。」

そういった後ガサゴソと一枚の紙をだし、ペンを置く。
それは、昨日僕たちが書いた書類そのものだった。

「採用だ。空いてる枠に自分の名前を書きな。」
「兄さん…。」
「心配だけじゃあ騎士は生まれねぇぞファリス。」

そういいつつ、頭を肘置きに、そして細い足をもう片方の肘置きに置いてリラックスするフェイはにやりと笑いこちらを向く。

「いいか。騎士になって皆を守りたい。皆を救いたい。それがありゃ騎士はそこで生まれるんだ。
ガキだからどうした? 立派な正義感じゃあねぇか。ボクはそれを尊重する。それだけさ。」

フェイはそう言って大あくびをした。

「半端な気持ちでやって後でやめる。でもいいんだぜ?かわいこちゃん。」
「なによっ。そんな覚悟でここに入るって決めたんじゃないわ!」

がりがりと彼女は名前を書き、ペンをダンっと置く。
そして書類を確認したフェイは頷き、

「受理したぜ。住み込みにするか家から通うかは好きに決めな。
じゃ。がんばれよ~」
「兄さん!そのまま寝るな!そこの書類やってもらわなくてはいけないんだからな!」
「後でな~」
「兄さんッッッッッ!」


そのやり取りを背にして颯爽と僕たちは団長の部屋から出た。






「なぁに?!あの団長!
ファリス様の方がよっぽど団長らしいわ!」
「私もそうは思います…。」
「僕は思わない。」
「は?!正気なのライト!」

暫し思考し、頬杖をつく。

「あれ。頭のいい奴だよ。それもとびっきりの。
…僕らの考えられる領域外、しかもそれ以上のことを考えることができる。天才だよ。」
「そぉ?そうは見えなかったわ。」
「…。」

しかしそれを看破できる一言がある。だが、僕はあえてそれを言わなかった。

「まあまあその辺にして…。
ご飯にしましょう!レガーレで色々テイクアウトしてきたんです!」
「ノヴァやるじゃない!」
「じゃあ今日はこれで祝杯だね。」


僕らはテーブルに様々な料理を並べ、椅子に座る。

「それでは、チームアルバ、新メンバー“イヴ”の入団を祝して―!」


「「「いただきまーす!」」」


もぐもぐと食べた料理はどれも絶品だった。
二匹も同じ考えになったようであれがおいしい。これもおいしい。と目を輝かせてそういった。
初めての仕事も上手くいった。それも相まって、よりおいしく感じるのだろう。
騎士団に入ってよかった。


僕は、そう思えたのだった。



chapter2 終了


あとがき

早速リボンちゃんを出させていただきました!
愛らしくて何度でも出したい…平和に過ごして…(なお物語の進行上ry)
リボンちゃんはこうじゃないっとかこうすると自分の思い描いた子になりますよというご報告も待っておりますので、よければまたコメントやキャラクターを出していただければ幸いです。
それでは失礼いたします。