二次創作小説(新・総合)
- chapter5 バトル大会 ( No.53 )
- 日時: 2021/11/20 22:26
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
chapter5 騎士団の息抜き
あれから僕たちは数日、数週間と騎士団の活動をし続けた。
一ヶ月活動し、流れる時は早いなとしみじみと感じたころ合いだった。
いつものようにたたき起こされ、不機嫌になりつつも依頼所に行けば、受付の横に見慣れぬポスターを見かけた。
「…?
パラケル、あれなに?」
「ん~? あぁ、バトル大会のお知らせお知らせ~!」
ポスターを見てパラケルはそう嬉しそうに言った。
「バトル大会…ですか?」
「そうそう~!騎士団だってずーっとお仕事してたら精神的に疲れちゃう。
だからだから息抜きにね、こういうお祭りをするんだよ~!」
まぁ、騎士団だし…戦うのが好きな輩…例えば僕なんかがそうだけども、多い。
だがしかし…。
「ただでさえおたずねものが減ってないどころか増えてるっていうのに随分と呑気ね?」
そう。仕事量が遥かに新人の頃より多くなっているのだ。
おたずねものを中心とした活動は続けてはいるものの、一向に減るどころか増えている。
遊んでる暇なんてないのではないだろうか?
「だからこそだよ、だよ~!
だんちょーも言ってたよ。息抜きをしなきゃいつか心が死んじゃうって。
一日くらいヘーキヘーキ!」
とキャッキャッと喜ぶ姿はまるで子供だ。
そんな中だった。
「そ。真面目に仕事続けてたら過労死で死ぬぜ?」
「あ、だんちょー!」
ファー付きのパーカーを着たフェイがこちらに歩み寄ってくる。傍らにはファリスもいた。
「おはようございますファリス様!今日も立派な佇まいで…」
「おーい。ボクにも挨拶くれよ~。
っと、冗談はここまでにしておいて…。」
「…いいのか兄さん…。しばらくここを俺に任せても…。」
「まあ近いうちに帰るさ。それまでこれと仕事任せたぜ。」
と、ファリスに肩ポンするフェイ。
…ん?今なんて言った?
「フェイ、どこかいくの? バカンス?」
「うんにゃ?
用事ができたからそっちに行くのさ。しばらく帰ってこねぇ。それまでファリスにここを任せんのさ。
…ま、明日はバトル大会だから大丈夫だろうけどよ。」
「私的には副団長さんがリーダーの方がなんか安心できます。」
「なんだなんだお前さんら。喧嘩なら買うぜ?」
「すみません。」
その会話の中である疑問が生まれた。
「…バカンスでもなきゃどこいくのさ。仕事?」
「ん~?そんなところかね?
ま、ちぃと出かけるだけだし心配事はなんもねぇよ。」
「え~。だんちょーがいないと明日つまんなーい」
「ゲスト用意してるからそれなりに楽しめると思うぜ?
じゃ、また逢う日まで。」
とパーカーのポケットに両手を突っ込み、出かけて行ってしまった。
あの怠惰の塊が用事…しかも仕事関係で出かけるだって?
「明日槍降りそ~…。」
「わかるわ~…。」
「兄さんはああ見えてもできる方なのであまりそう言わないでください…。」
とファリスはため息をついた。
「バトル大会は明日だから~、ゲストさんも明日わかるんだね~!楽しみ楽しみ~!
ふくだんちょーはどうせ口止めされてるんでしょ~?」
「まぁ…。はい。」
頬をかいて彼は苦笑した。
ゲスト…一体どんなポケモンなのだろうか?
「バトル大会は明日だし~、明日ちゃーんと説明するね~。
で、今日はどんなおたずねものを退治する~?」
「はぁーい!私、ドラゴンタイプのおたずねものを倒したいわ!」
「無理に決まってるでしょ! 今日は炎タイプのポケモンです!」
「暑いじゃない!」
「昨日氷タイプだったのでちょうどいいんじゃないでしょうか…?」
「というか結局強さ同じぐらいだし変わんないでしょ。
パラケル、このゴウカザルの退治受けるね。」
「はぁ~い!」
「マフラー組のことも考えてよ~!」
「今日は僕の言う通りにしてくださ~い」
と、今日もいつも通り。いつも通りおたずねものを退治して、明日のバトル大会のことを考える。
イベント事は初めてだ。楽しみだと。
僕はそう思った。
「月の裏側は見たことある?」
「なーい。」
「僕も見たことない。きっとピッピならわかったかもね。」
「おとーさんだったらわかったかもー。」
「…、あそこに…行かなきゃいけないのかぁ。」
「…死んじゃったあの子のためにもね。僕も頑張ってお手伝いするから、諦めないで!」
「もちろん。そのつもりだよ。
この命にかけてもね。」
黒い影は月夜の輝くこの場で笑いあう。
笑いあって、ふと霧のように姿を消す。
一つの都市伝説のように。一つの幻覚のように。
もうそこにはなにも、誰もいなかった。
- chapter5 バトル大会 ( No.54 )
- 日時: 2021/11/21 09:48
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
次の日。
いつものように起こされ、依頼所に集まる。
副団長が受付のカウンターのほうにおり、様々な騎士たちがそこでわいわいと、大会の楽しみという興奮で、騒いでいる。
「…あ、ツムギ。」
「お前たちか。」
見知った顔を見かけ、そこに駆け寄る。
「ツムギさんってバトル大会参加したことあるんですか?」
「あぁ。優勝まで漕ぎつけたことは…ないけどな。」
「じゃあこうしましょ!
ツムギが優勝したら、リボンちゃんに告白する!」
「なんでそこであいつが出てくるんだよ!!」
真っ赤な顔でシャーと怒る彼に肩に腕を回す。
「知らないと思ったぁ~?イヴも僕も君の想い人はお見通しなんだよ~?」
「えっ。ツムギさんってリボンさんに好意を持っていたのですか?」
「あの脳筋は論外だけど。」
「ライトだって同じようなもんじゃん!!」
そうノヴァが大声をあげるとパンパンッと手を叩く音が響く。
音源を確認すると、副団長のファリスとパラケルがそこにいた。
「皆さん。お集まりいただきありがとうございます。
今回、団長の不在により進行はワタシ、副団長のファリスと、」
「いつもどーり、パラケルが行いま~す!」
団長の不在。その一言で周りがざわつく。
「団長がいない…?どういうことだ…?」
「用事だって~。何しに行ったんだろうね。」
ツムギもその一匹であった。
そもそも昨日直々に聞いた僕たちはそこまで騒ぐことではなかった。
「皆さん。静粛に。」
ファリスがそういえばみんな静まり、目線を彼らに送る。
「バトル大会初めての子がいるから説明するねするね~!
ルールは簡単!トーナメント方式でチーム、もしくは騎士で戦って勝った方が上り詰める!
チーム対騎士のバトルになった場合は、チームの代表者が出て、一対一で戦ってね~!
そして優勝者には豪華景品の授与!そしてなんとなんと今回は~!」
「今日来ていただいておりますゲストと戦う名誉をお差し上げします。」
ゲスト…。
その言葉に周りはざわついた。
そうだ。僕も気になっていたのだ。ゲストがどうのは今日でわかる。
一体どんなポケモンがゲストとして登場するのだろう。
「それでは、ゲストを紹介致します。
どうぞ。お入りください。」
そういわれて入ってきたのは一匹ではない。三匹のポケモンだ。
ビードロのような艶をこしらえた体毛。なんと美しいのだろうか。
七色のマフラーがリボン状に結ばれているのが特徴のエーフィ。
貫禄がもう強者だとわかるそのオーラ。世のメスポケモンはメロメロだろう。
首からネックレスのように指輪を下げているのが特徴のルカリオ。
眠そうにあくびはしているものの、この緊迫した場面でもそんな態度をとれるのは強いものの証だろう。
スカーフのように首に巻かれているリボンが特徴のランターン。
「皆様方、初めまして。
騎士団ではありませんが、団長のお知り合いとしてここにお呼ばれをいただきました。
探検隊チーム、ハロウィンのリーダーのリムです。」
「同じく、チームハロウィンの一員、リカルです。」
「んーと、同じ一員の…えっとぉ…。ジャックぅ…。」
「今回は是非とも皆様の闘いを見させていただきます。よろしくお願いいたします。」
ランターンのジャック以外の二匹はぺこりと丁寧にお辞儀をした。
その三匹のポケモンの登場に周りはざわついた。
当たり前だ。マスターランク、世界を救った英雄と呼ばれる探検隊がゲストとして呼ばれここにいる。
夢だと思うだろう。
いいや、現実なのだ。
隣にいるツムギもあまりの驚愕に口をパクパクさせている。
「それではゲストのご紹介も済みましたので、バトル大会、これにて始まりです。」
「トーナメント表いまから振り分けまーす!
第一戦、戦ってもらうのは~!?」
穴の開いた箱を取り出してファリスはそこから二枚の紙を取り出した。
「第一戦、モールス対ツムギ!
用意ができましたら訓練フィールドへお進みください。」
「俺かー!!頑張るぜー!!」
「…初っ端かよ。」
「まあまあ、頑張れって。」
「…できるだけな。」
そう言って彼は少し深呼吸をし、訓練用のフィールドへとモールスと共に向かうのであった。